思っ - みる会図書館


検索対象: ダレン・シャン 6
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1. ダレン・シャン 6

ぼう エラが、ためいきをもらした。 かいほ、つ クレプスリーがエラを介抱しているあいだ、ばくは腰をおろし、戦闘が終わりに近づくのをばうぜん とながめた。まともに戦える敵は、あと六、七人しか残っていない。そのひとりひとりを、数人のバン ハイアがとりかこんでいる。こうさんすればいいのにと思うか、ハンハニーズのことだ。こうさんなど、 せんし するわけがない ハンパニ 1 ズもバンパイアも、勝っか死ぬか、どちらかしか考えない。誇り高き戦士 にとって、どちらでもない道はありえなかった。 せなか 背中あわせになって戦っていたふたりのバンパニーズが、外に通じる横あなへと逃げだした。すかさ と、つ ノ、イス・プレーンのすがたもあった。おかげで逃 ずバンハイアたちが、前に立ちはだかる。その中に、ヾ : 亡はふせげたが、かたほうのバンパニーズが、つかまって殺される前にやぶれかぶれで、これでも食ら ちゅう たんけん えと短剣を投げつけた。短剣はミサイルのようにいきおいよく宙を走り、なんとハネスめかけて飛 んでいった ! ハネズが、さっと顔をのけぞらせた。よけられるかと思ったが、短剣のほうか速かった。切っ先が、 りさっ ハネズのつぶれていないほうの目に、すぶりとっき刺さる。血がふき出した。バネズが悲鳴をあげ、両 バーがあわてて、バネズをわきへつれていった。 手で顔をおおう。シー あの悲鳴からすると 、バネズはたとえ助かっても、月の光や星のまたたきを見ることは二度とないだ てき こし せんとう

2. ダレン・シャン 6

なりの時間をさいてくれと、強く求めてしかるべきだった。だから、責めはふたりで負うべきだ。おま えひとりが悪いのではない。ヾ ノンパイアのやりかたについてよく知らなければ、だれだって逃げだすだ ろう」 だまって聞いていたシ ーバーか、運命だ、と言いだした。 「こうなる運命だったのだ。もしダレンが逃げださなければ、カーダか一族をうらぎったことも、バン ハニーズのことも、気づかぬままだっただろう」 ここでハーキャットが、ばそりとつぶやいた しんぞう 「運命の針は : : : 心臓の形をした時計のなかで : : : 時をきざむ」 えつ、と全員そろって、 ーキャットを見つめた。 ーキャットフ 「どういう意味だよ、 さあ、とハーキャットが肩をすくめる。 「わからない。ふいにばっと : : : 頭にうかんできた。ミスター・タイニーの : : : ロぐせだ」 ミスター・タイニ 1 と、その手の中で転がされる、心臓の形をした時計 。ばくらは不安げに、顔 を見あわせた。 いつけん 「今回の一件に、デズモンド・タイニ 1 がからんでいたと思うか、ラーテン ? 」 104

3. ダレン・シャン 6

は持つまい」 ーに、マダムを自由にしてやったらどうかと持ちか ばくはもうしばらく、考えてみた。前にもシー けられたことがある。そのときは、ま 。くがことわった。でも、マダムはこれだけ働いてくれた。もう逃 がしてやっても、 しいかもしれない。 「わかりました。おっしやるとおりにします」 「ラーテンに聞かんでもよいのか ? 」 「いいです、いまはそれどころじゃないと思うから クレプスリーは、エラのことで頭がいつばいのはずだ。 ろ、つほ、つ 「よかろう。朗報はおまえからマダムに伝えるか、それとも我が輩のほうがいいか ? ふえ 「ばくが伝えます。ちょっと待っててください。笛をとってきます」 い′戔」さいちゅう 戦の最中に手ばなした笛をとりに行き、急いでとって返して、ロにくわえた。そして音の出ない笛をモ ク の ふき、心の中でマダムによびかけた。 匹 「行け。自由にしてやる。早く行け 章 第 マダムはためらうそぶりを見せてから、ゆっくりと去っていった。すぐあとに、灰色の斑点のあるク ーとふたりで見送った。マダ モが続く。二匹のクモがかべのわれめにもぐりこんで消えるまで、シー ひき わはい はんてん

4. ダレン・シャン 6

して、もう一度ひつばってみるーーやっとぬけた。しかもいっぺんに、すつほりぬけて、こっちにたお がいこっ れかかってくる。重みで体がしずみ、水がのどに流れこむ。し、しまった ! 重い骸骨にのしかかられ て、どんどん、どんどん、しずんでゝ しく。たいへんだ ! おばれる ! おばれるぞー 待て ! 落ちつけ。頭を使え。骸骨に両うでを回して、ゆっくりと回転するんだ。よし、うまくいっ どうき た ! 骸骨が下に、ばくが上になる。空気がおいしい。動悸もおさまる。数匹のコウモリがまた頭上を 飛びはじめたが、 ほかのは動かない 骸骨をはなし、ほらあなの真ん中へ足でおしだしてやる。流れにのまれ、遠ざかっていったようだ。 ぎもん かべにしがみつき、立ちおよぎをしながら、骸骨が流されていくのを待つ。ふと疑問がわいてくる 骸骨を解きはなして、ほんとうによかったのか ? 親切心からしたことだが、もし骸骨が岩にひっかか って、ばくの行く手をふさいだら なやんでも、もうおそい。もっと考えてから行動すればよかった。 状況は、いぜんとして最悪だ。生きて出られるなんて、思うほうがまちがっている。いや、弱気にな るな。ここまで、ぶじに来られたじゃないか。水路もいっかは外に出る。生きて出られないと決まった わけじゃない。信じろ、自分を信じるんだ。 いちばち このままずっと、かべにしがみついていたい。凍死したほうが楽だ。でも一か八か、やってみるしか とうし ひき

5. ダレン・シャン 6

げんかい ろうとして、逆になぐられるしまつだった。 だいこんらん ほらあなに飛びこんで 大混乱のさなか、おくの人り口からストリークと二匹の若いオスオオカミが、 きた。けたたましくほえ、はげしくうなり、歯をむき出している。バンパイアにけしかけられたとは思 えない。おれたちも入れてくれと、勝手におしかけてきたのだろう。 とっしん オオカミたちを見て、数人のバンパニーズが外へ逃げようと、ばくのほうへ突進してきた。がまんの とうし っしゅん、わきにどいて通そうかと思ったが、闘志が 限界、日光のほうがまだまし、というわけか。い むらむらとわいてきた。体のすみずみまで、アドレナリンかいきわたる。みすみす外に逃がしてなるも たいじ ふくしゅうおに のか。ひれつなバンパニーズはひとり残らす、ここで退治してやる ! いまのばくは、まさに復讐の鬼 と化していた。ガブナーのかたきさえとれれば、それでいし やり 見まわしたら、一本の槍が目に入った。さっき、見はり番のバンパニーズがあわてて逃げだしたとき に、落とした槍だ。それをひろって、とがっていないほうの先を地面のわれめにつき刺し、とがった先 を突進してくるバンパニーズたちに向けた。先頭にいたバンパニーズがばくに気づき、槍の切っ先をさ けようとしたが、そうとは知らない後ろのバンパニーズたちにおされて、思いきり槍につつこんできた。 おかげでなにもしなくても、バンパニーズをくし刺しにしてやれた。 てあら ばくは立ちあがり、刺されたバンパニーズから手荒に槍をひきぬいて、後ろにいたバンパニーズたち ひき 1 ろ 2

6. ダレン・シャン 6

げんすい 「たしかに結びの宴が始まったら、わしらは元帥の間をはなれる。しかし元帥の間を占拠されたら、わ しかミッカーかアローがとびらをこじあけ、みなでなだれこむに決まっておろうが それはありえません、とカーダが首をふった。 「生きてとびらをあけることは、なかったでしよう。あなたがた三人のお命を、ちょうだいするつもり きちさっ もう でしたから。今回のために、世にもめずらしい貴重なワインを六本、用意しておきました。。 せんぶ、猛 どく けんじさっ 毒入りのワインです。宴の前に、それを献上するつもりでした。お三方ともわたしの健康を祈ってその ワインを飲み、一、二時間後にはあの世に行って、元帥の間はこっちのものになるはすでした」 「そして、バンパイア一族を全員殺しにかかるというわけか ? 」 ひてい アロー元帥がすごんだが、まさか、とカーダは否定した。 「救いにかかるつもりでした」 「なに、救いにたと ? パリス元帥が、おどろいた声を出す。 ここでカータが、広間にいるバンハイア全員に問いかけた。 そうかいさいちゅう 「よりによってなぜいまことをおこしたのか、不思議に思わないのか ? 総会の最中は、広間にも通路 さんかた せんきょ 17 うー第 19 章カーダの告白

7. ダレン・シャン 6

「ああ、でも、 いっしょに行かせてよ」 だめだ、とバネズか首をふる。 かくにん 「おまえをつれてきたのは、ほらあなの場所を確認するためだ。それがわかれば、もう出番はない。お じじさフ まえがいないほうが、速く動ける。広間に帰って、事情を説明しておいてくれ。バンパニーズを見つけ しだい、 もどるからな」 げんすい しろ ーにつれられて、ばくは元帥の間に向 ハーが待っていた。そのシ 1 城の入り口にもどったら、シ 1 たいしょ しさつみ、ん ひじさつじたい かった。元帥の間には、将軍がおおぜいつめかけていた。今回の非常事態にどう対処するか、話しあう ためだ。用を言いつけられでもしないかぎり、バンパイアは全員、元帥の間のあるほらあなを出るなと 命じられている。そのため、元帥の間の外にも、立ったりすわったり、おおぜいたむろして、知らせが とどくのを待っていた。 クレプスリーとハ 1 キャットは、元帥の間にいた。クレプスリーは兀帥たちと一言葉をかわし、 ャットはマダム・オクタのかごを持って、少しはなれたところに立っている。近づいていったら、 キャットがかごをさしだした。 「マダムを : : : 見たら : : : 喜ぶかと思って」 本音を言えば、うれしくもなんともない。でも、ばくは喜んでいるふりをした。 109 ー第 14 章作戦会議

8. ダレン・シャン 6

りのバンハイアやエラからおくれかちだ。 じさっきさっ けん だんだん状況が、つかめてきた。クレプスリーがばくをさかしに行くと言いだし、エラと、剣を持っ ていないバ、ノ ノ。、イアかついてくることになった。万が一ばくが生きていたら、と心配になったカータも、 ぜひ手伝わせてくれともうし出て、ふたりの手下とともに剣を持ってついてきた たぶん、そんなと なまみ ころだろう。もし生身のばくを見つけたら、三本の剣が目にも止まらぬ速さで動き、ばくと、クレプス こう しさつぐんげんすい リーと、エラと、もうひとりのバンハイアをしまっする。自分のうらぎり行為が将軍や元帥にばれない しゅうとうさく よう、カーダは周到に策をねったのだろう。 ずるがしこいカータか、やりそうなことだ。ただ、カーダに手下がいるとわかったのは、ショックだ った。剣を持ったふたりのバンパイアは、カーダとバンパニーズのことを知っているようだ。でなけれ ば、カーダがつれてくるはずがない。血の番人 ( バンパイア・マウンテンに住みこみ、バンパイアの死 ないぞう ていきさっ ぶきみ 体から内臓をもらうかわりに血を提供する、不気味な人間のことだ ) はカーダの手先という気がする。 たが、うらぎり者のバンハイアはカーダだけかと思っていた。とんだ計算ちがいらしい クレプスリーもエラも、ばくをさがすことしか頭にない。そうでなければ、おかしいと感ついたはす だ。剣を持ったふたりのバンパイアは、そわそわと見まわしたり、手をびくっと動かしたり、みように いっこ、つ 落ちつきかない。中でもカーダは、かなりいらついているようすだ。一行の前に飛びだして、カーダを

9. ダレン・シャン 6

かんせい してもよかった。ばくを見て、いっせいに歓声があがったほどだ。でも、バンパイアたちが戦いについ ふいちさっ て、あることないこと吹聴したり、バンパニーズの息の根をかんせんに止めてやったなどと得意げに語 ったりするのを、聞く気にはなれない 日がくれるころになってようやく、クレプスリーがふらふらとばくらの部屋にやってきた。いつも以 りさって 上に青い顔で、ばくのハンモックにどっかりと腰をおろし、両手の中に顔をうずめてうめく。 「エラのこと、聞いたか、ダレン ? 」 「ああー 間をおいてから、ばくはばそりとおくやみをいった。 ざんねん 「残念だったねー クレプスリーかふかぶかと、ためいきをついた。 きず 「助かると思っとった。たしかに、死んでもおかしくない傷だ。しかし、あれほどの深手にもかかわら告 やさき ず、エラはよくねばった。このぶんなら持ちこたえそうだと、思いはじめた矢先だった」 カ 「エラは : 章 第 と言いかけて、ばくはいっしゅんためらい、せきはらいをした。 かそう 「もう火葬にされたの ? こし ふかで

10. ダレン・シャン 6

ゃいない。でも、ダレン、おまえにはわかった。頭がいいからな。い まの思いをわすれるなよ」 りさつめ 死にかけたバンパニーズがひとり、ふらふらとよってきた。両目をえぐられ、苦しそうにうめいてい る。 ハネズがっかまえ、すわらせて、これ以上苦しまないようにと、手ばやくしまっした。立ちあがっ たバネズの顔は、けわしかった。 「だがな、ダレン、いくら戦がつらくても、さけられないときもある。今回の戦は、おれたちが望んだ 」、つい ものじゃない。そのことを、おばえておいてくれ。おれたちの行為を、悪くとらないでくれないか。お れたちは、むりじいされたんだ」 「ああ、わかってる。ただ、バンパニーズをめった切りにするんじゃなくて、ほかにこらしめる手があ 、れ、はいいのにとは、田 5 一つけ - と」 「ダレン、早く出ていけ。ここは、けがれた仕事の場だ。おまえは広間にもどって、ぐでんぐでんに酔 っちまえ」 「ああ、そうするよ」 くつきさっ ばくはうなすき、最後まで残った屈強なバンパニーズのしまつをバネズたちにまかせて、立ちさろう とした。そのとき、見おばえのある顔が目に飛びこんできた。左ほおに赤いあざのあるバンパニーズだ。 あれは、だれだったか ? しばらく考えて、ようやく思いだしたーーーそうだ、。 カブナーが殺されたとき、 140