王 - みる会図書館


検索対象: ドラゴンと魔法の水
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1. ドラゴンと魔法の水

プロローグーーーアーサー王と円卓の騎士たち むかしむかし、イギリスがプリテンと呼ばれていたころ、王に子どもが生まれ、 じよげん まほ、つつか 丿ンの助言によって、アーサーは、ある ア 1 サーと名づけられた。魔法使いマー いえ そだ 騎士にあずけられ、その家の子として育てられた。 かくちせんそう やかて、王が亡くなると、各地で戦争かおこり、国はばらばらになってしまっ いしだいざ けんぬ きぞく きよう、かし 6 、ん た。貴族たちは、教会の前の、石の台座にささった剣を抜いた者を、プリテンの ぬ でんせつけん おう 王にしよう、と決めたが、だれも抜くことができなかった。その伝説の剣を、み ひ せいちょう ごとに引きぬいたのが、成長したア 1 サ 1 だった。 おう こうして、プリテンの王となったア 1 サ 1 は、マ 1 リンに助けられなから、王 こノ、と、ついっ 国を統一し、国に平和をもたらした。 おうみやこさだ じようへ一 アーサー王が都に定めたキャメロットは、城壁にかこまれた、美しい町だった。 ひと み おう かっき そこでは、ア 1 サー王をしたう人びとが、活気に満ちた生活をおくっていた。 おう おうえんたく よ きし せいかっ おう たす もの うつく まち おう 8

2. ドラゴンと魔法の水

クリスマスの騎士 「アーサ 1 王は、いすこに ! 」 こえ かぶとの中から、クリスマスの騎士の声がひびいた。 あか たいまつの明かりを受けて、赤いよろいが、ギラギラとる こ、ん アーサー王は立ちあがり、騎士をまっすぐに見すえると、低く落ちついた声 でこたえた。 「わたしがアーサーだ。そなたは、なに者ぞ ! 」 リ、、ナこよこたえす、小ばかにした調子でつつけた。 騎士は、王のⅢし力し。 ( めいくんなだか 名君と名高い、キャメロットのアーサーかとすると、 「ほほう。そなたが、 なら ここにい並ぶのは、かの有名な、円卓の騎士たちとお見うけするが ? 」 もの 再度たすねる。そなたは、なに者ぞ ! 」 「そのとおりだ。 むし ア 1 サー王の二度めの問いかけも無視して、騎士は言いはなった。 おう なか おう おう おう さいど ゅうめい きし えんたく もの ちょうし ひくお

3. ドラゴンと魔法の水

しかし、モ 1 ガンは、きつばりと一一一口った。 「わたくしではありません。それに、キャメロットでは、今年、クリスマスの お祝いをしないのです」 せつく 「えっ ? 」と言ったまま、ジャックは絶句した。 「どうして、クリスマスのお祝いをしないの ? 」 かお かな アニ 1 がたずねると、モーガンの顔が、悲しみでかげつた。 としよかん いっぞや、わたくしの図書館へ、来てくださいましたね ? あのとき、 を」りよく アーサー王は戦いにやぶれ、すっかり気力を失っていました。しかし、あなた ゅ、つ一 がたのおかげで、勇気と希望を取りもどすことができました」 「はい」と、ジャックはこたえた〇 「アーサ 1 王が戦っていたのは、モ 1 ドレッド卿という人です。その後、アー しようーり・ サー王は、ふたたびモードレッド卿にたち向かい、ついに勝利をおさめました。 おう きようて やみまほうつか たたか しかし、その戦いのさなか、モ 1 ドレッド卿と手を組んだ闇の魔法使いが、王 おう おう おう オオカ オオカ うしな きよう ひと ことし

4. ドラゴンと魔法の水

さんにんきし 「ねえ、モ 1 ガン。ここにすわっていた三人の騎士は、どうしたの ? 」 こえ するとモーガンが、ふたりだけに聞こえる声で、話しはじめた。 やみまほうつか 士ほ、つつ , か 「闇の魔法使いののろいをとくために、王は、キャメロットの魔法使いたちに、 じよげん まほ、つつか べっせかい ふう 助言をもとめました。魔法使いたちは、『奪われたよろこびは、〈別世界〉に封 レ」 ゅうかんちえ 印されている。それを取りもどすために、もっとも勇敢で知恵ある騎士たちを おうしんげん 行かせなさい』と、王に進言したのです」 べっせかい 「〈別世界〉って、なんですか ? 」と、ジャック。 亠まに、つ 「この地上とはまったく別の、もうひとつの世界です。魔法が生まれたところ し だ、ともいわれています。ふつうの人は、死ななければそこへは行かれす、 ど かえ 度行ったら、もどってはこられません。生きているうちに行って帰ってこられ ひと とくべっ るのは、特別な力をもつ人だけです。 おう ゅうかんさんにん そこで、王は、騎士たちのなかでもとくに勇敢な三人をえらび、〈別世界〉へ たびだ かえ 旅立たせました。しかし、その三人は、ついに帰ってこなかったのです。王は 十つじよう ちから さんにん ひと おう せかい べっせかい おう ・・ドラゴンと魔法の水 4

5. ドラゴンと魔法の水

お話のふろくーーードラゴンと魔法の水 騎士 りようしゅ 中世ヨーロッパの騎士は、王や領主に仕え、戦争のときにはかけつけて、主 せんそう かくちおこな 人のために命をかけて戦いました。戦争のないときは、各地で行われるト 1 ナ ばしようじあ・い ちから うでせいしん メント ( 馬上試合 ) に出場して、カだめしをし、腕と精神をみがきました。仕 しゅじん りようしゅ しあい える主人がいない騎士は、戦争や試合で活やくすれば、王や領主の目にとまり、 め 召しかかえてもらえました。 おこな こんなん む よわものたす また、正しい行いをし、困難には勇敢にたち向力しし 、 : 、者を助け、女性に れいぎ しん 礼儀を尽くすのが、ほんとうの騎士である、と信じられていました。そのため こんなん ほ、つろ、つ たび に、わざわざ困難をもとめて、放浪の旅をする騎士もいました。 おうものかたり でんせつ アーサー王物語とケルト伝説 おう アーサー王、円卓の騎士、モーガン・ルー じん ちゅうせい っ いのち えんたく しゆっしよう せんそう おう ゅうかん かっ つか みず せんそう と、つじよう ものかたり ・フェイなどが登場する物語は、 おう じよせい つか 156

6. ドラゴンと魔法の水

て、言った。 わか 「このなかでいちばん若い、そのふたりに、チャンスをあたえる ! 」 しー刀 ちょうてんたっ 「ならぬと言ったら、ならぬ ! 」アーサー王の怒りは、頂点に達した。 おう 「王よ、ふたりを行かせるのだ ! 」 こ、ん ひろま 騎士の声はこだまして、広間じゅうにグワングワンと、ひびきわたった。 ただおろおろするばかりだった。 ジャックは、とんでもない事のなりゆきに、 しかし、アニ 1 は、 「わたしたち、行きます ! 」 ひ まえすす ' ンヤックは、 とさけぶと、ジャックの手を引っぱって、騎士の前に進みでた。 ) じぶん ふいをつかれて、自分のリュックをつかむのが精いつばいだった。 えんたく めいれい ア 1 サー王が、円卓の騎士たちに命令した。 「あの子らを、止めるのだⅡ」 騎士たちが、いすをけって立ちあがり、ふたりをとり押さえようとした。 おう て こと おう お ・・・ドラゴンと魔法の水

7. ドラゴンと魔法の水

こ、つめいせいたし おう だかゆ、つかんきし 公明正大なア 1 サ 1 王のもとには、気高く勇敢な騎士たちが集まっていた。そ ゅうかん むすこ きようしんじん のなかには、とび抜けて勇敢なランスロット卿、その息子ガラハッド卿、信心ぶか せいじっ ちゅうせいちか = = なパ 1 シハル呱などかいた。騎士たちは、ア 1 サ 1 王に、いからの誠を誓い お、つこく へいわみだ て、たたカ 王国の平和を乱そうとする者があれば、よろこんでその敵と戦った。 こ、つへ えんけい えんたく ア 1 サ 1 王は、どの騎士も公平にあっかうために、円形のテープル ( 円卓 ) に あっ すわらせた。以来、この騎士たちは〈円卓の騎士〉と呼ばれ、人びとの尊敬を集 めるよ、つになった。 がくしやげいじゅっか おうあね また、キャメロットには、すぐれた学者や芸術家もいた。ア 1 サ 1 王の姉、モ 士ほ、つ せかい しよもつあっ 1 ガン・ルー・フェイは、魔法をあやつることができ、世界じゅうから書物を集 ちえ やくだ めて、その知恵を平和のために役立てていた つほ、つ ハ、つい やみ しかし、その一方で、ひそかに王位をねらう者がいた。モ 1 ドレッド卿は、闇 まほ、つつか て けっそく いんば、つ の魔法使いと手を組み、円卓の騎士たちの結束をやぶろうと、陰謀をたくらんで いたのだった : おう 0 ぬ きよう えんたく もの えんたく きよう もの よ お、つこころ あっ ひと きよう そんけい

8. ドラゴンと魔法の水

ま 「ーー待て」 おう しんけんかお アーサ 1 王は、真剣な顔で、ふたりを見すえた。 さんにんあ べっせかい 「そなたたちは、〈別世界〉であの三人に会った、と申すのか ? 」 はなししん アーサー王は、ジャックたちの話が信じられないようすだ。 そこで、ジャックは、持っていた銀のカップをさし出した。 かえ 「これを、ガラハッド卿からあずかりました。お返しください」 くび アニーも、首にかけていたガラスの鍵をはずして、言った〇 「これは、ランスロット卿にー丨・」 じしやく さいご 最後にジャックが、方位磁石の箱を取りだして言った。 「これは、ヾ シバル卿に、わたしてください」 しな 「おお : これらはまさしく、あの三人が〈別世界〉へ持っていった品だ」 おう 、り - 、刀し おおごえわら アーサ 1 王は、すべてを理解すると、手をたたいてよろこび、大声で笑いな がら一一一口った。 おう きよう きよう きよう ぎん か〉さ さんにん み て べっせかい はも、つ 142

9. ドラゴンと魔法の水

王妃は、ふたりに向かって、かすかにほほえんだが、アーサ 1 王は、おどろ かな きとも悲しみともっかぬ表情で、じっと、ふたりを見つめている。 モ 1 ガンが一一一口った。 へいか 「陛下、ジャックとアニ 1 を、おばえておいででしよう ? としよかん しの図書館で、お会いになりました」 こ、ん すると、ア 1 サー王が、低い声でこたえた。 ゅ、つキ」 「もちろん、おばえているとも。わたしに勇気と希望をあたえてくれたふたり まふゅ ジャック、アニー、よく来てくれた。こんな真冬に、 を、わすれるものか。 ノ、ろ、つ たび キャメロットまで旅をしてくるのは、さぞ苦労なことだったろう」 ハウスで来たので、あっ ししえ、王さま。わたしたちは、マジック・ツリー という間でした」 しせんむ それを聞くと、王は、さっと顔色を変え、モーガンにするどい視線を向けた。 すると、モーガンが、あわてて言った。 おうひ おう おう おう ひょうじよう ひく かおいろ いっぞや、わたく おう

10. ドラゴンと魔法の水

アーサー王のなげき いりぐちなら ひろ 城の中にはいると、広いろうかがあり、両がわにいくつもの入口が並んでい あ へや た。つきあたりの部屋から、かすかな明かりかもれている ひろばあっ ばめん かべ 壁には、戦いの場面や、広場に集まる人びとのようすを織物にした、大きな 0 カかかっている タベストリ 1 、、 ま おうった 「あなたがたのことを、王に伝えてきますから、ここで待っていてください」 へや モ 1 ガンはそう一一一一口うと、つきあたりの部屋へとはいっていった。 アニ 1 が、ジャックのそでを引っぱった。 おおひろま 「あの部屋が、アーサ 1 王たちがいる大広間よ。ちょっとのぞいてみない ? 」 : 。ただし、そ、つつとだよ」 「、つん : あしちか せきちゅう ふたりは、しのび足で近づき、石柱のかげから、部屋の中をのぞきこんだ。 へや そこは、テニスコートほどもある部屋で、天井が高いドームになっていた。 しろなか オたカ おう おう ひ ひと りよう てんじよう へやなか 0 おりもの おお