プラッドフォード総督とスクワントが、酋長となにか話しあっている。それ 、もーり・ なか せんじゅうみん からスクワントが、先住民をなん人か連れて、森の中へとはいっていった。 むらびと 総督が、村人たちのところへもどってきて、言った。 「インディアンたちが、シカをつかまえに行ったが、われわれも、もっと食べ 、ものよ、つい 物を用意しなくてはいけない。プリシラ、子どもたちに、指示をたのむよ」 わかりました」と、プリシラ 「よい、 じゅんび おとなたちが、準備のために立ち去ると、残った子どもたちが、プリシラの あっ まわりに集まった。プリシラは、「あなたは水をくんできて」「あなたは、畑か トでつし ら野菜をとってきて」「あなたたちは、もっとテープルの用意をして」と、子 しじあた どもたちに、てきばきと指示を与えていった。 しごと さいご 子どもたちは、指示を受けると、それぞれの仕事へと散っていき、最後に、 ちい のこ ジャック、アニー、そして、大きなかごをかかえた、小さな女の子が残った。 プリシラか、ジャックに一一一口った。 やさい おお にんっ しゅうちょう のこ みす おんな よこナ
「ごきげんよう、アニ 1 」 おも てんかい ジャックは、思いもかけない展開に、ことばを失ってしまった。 しれいかん おどろいたのは、ジャックだけではない。スタンディッシュ司令官も、プリ ひと かお シラも、そのほかの人びとも、あっけにとられた顔をしている。 わら しかし、プラッドフォード総督だけは、にこにこと笑いなから、一一一口った。 「これは、ふしぎな縁だ。しかし、そうでなかったとしても、わたしたちは、 かんげい かみ たからもの きみたちを歓迎しなければなるまい。子どもは、神さまがくださった宝物だ。 どうぜん わたしたちをたよってきた子どもは、わたしたちの子どもも同然なのだから」 しようねん むら ちょうどそのとき、ひとりの少年が、村のほうから走ってきた。 ュ、、つ A プ、 「総督 ! マサソイト酋長たちが、こちらに向かってきます ! 」 「おお、そうかわかった。すぐに行く」 「そ、それが、すごく大ぜいなんです : : : 」 しようねんゅび みんなは、少年が指さしたほうへ、目をやった。 えん しゅうちょう おお うしな
くち そこまで読んだとき、とっぜん、アニーが口をはさんだ。 「お兄ちゃん、そのルをとるのも、中止よ ! 」 「なんで ? 」 、力し ろくじゅうねん 「その貝は、六十年も生きられるんでしょ ? 長生きさせてあげなきや」 おも ジャックは、それもそうだと思った。 しわうえ ふたりは、岩の上にすわりこんだ。かごは、からつほのままだ。 「ねえ、お兄ちゃん。ほかにわたしたちができることって、ないのかしら」 しごと ジャックは、本をめくって、ピルグリムの子どもたちが仕事をしている絵を せつめい 見つけ、その説明を読みあげた。 ピルグリム・ファ 1 ザ 1 ズの子どもたちは、おとなの手つだいをよくした。 えさく くしごとどうぶっせわちち みす はたけしごとさかな 家や柵を作る大工仕事、動物の世話や乳しばり、水くみ、畑仕事、魚つり みあっ や貝とり、木の実集め、たきぎひろい、石けんづくり、ろうそくづくり、 、刀し つく 学 / し ほん ちゅうし せつ な力い
くび 首にかけた。 かんげい これは、レイ。歓迎のしるしだよ」 「アロー じぶん つづいて、カマが、自分のレイをジャックの首にかけて、言った。 ジャック ! ようこそ、わたしたちの村へ」 「アロ 1 むらびと すると、村人たちが、いっせいに言った。 ジャック、アニ 1 「アロ 1 さっき歌をうたっていた、やさしそうな女の人が、ふたりに話しかけた。 「あなたたちは、どこから来たの ? 」 アニ 1 が「フロッグ : : : 」と言いかけたので、ジャックが、あわてておさえ、 島の子ども、カマとポカ しま おんなひと くび むら 1 OO
〔第 2 話〕ハワイ、伝説の大津波 四つめの魔法をさがしに・ 央山と神秘の島、ハワイ・ 島の子ども、カマとポカ・ 青い海、ヤシの木、白い砂浜・ サーフィンに挑戦 波乗りなんか、大きらいだ ! いつの日か、大地がゆれ動き 高台へ、走って逃げろー 及情のきすな・ 大冒険のあとで : お話のふろく・ たかだい だいぼうけん しま あお ゅうしよう なみの かざんしんび うみ まほう ちょうせん きしろ 4 8 8 8 ・ 3 すなはま ハワイ、でんせつのおおつなみ
かおひ アニ 1 が、顔を引きつらせて、つぶやいた。 わたし、まだ、足がガクガクしてる」 「こ、こわかった : : 。ほんとに、あぶないところだった」と、ジャックも言った。 「うん : 力いがんせんみ ボカとカマは、だまって、変わりはてた海岸線を見つめている こ、ん そのとき、どこからか、子どもたちの名まえを呼ぶ声がした。 「ポカ ! カマ ! ジャック ! アニ 1 りようしん ばやしま、んくさち 四人がふりかえると、ボカとカマの両親が、ヤシ林の前の草地を、こちらに む 向かって、走ってくるところだった。 むらびと そのすぐ、つしろから、村人たちも、走ってくる。 りようしんと ホ力とカマが、両親に飛びついた。 むらびと ジャックとアニ 1 も、村人たちに、わっととりかこまれた。 か 6 わら みんなで、泣いたり、笑ったり、抱きあったりした。 ジャックも、アニーと抱きあった。 ょにん 0 こ あし か 6 よ 0 ・・・・ハワイ、伝説の大津波 137
ふと、アニ 1 が言った。 「お兄ちゃん、ピルグリムの子どもたちは、たいへんだったわね」 じぶん 「うん。みんな、おとなといっしょに、働いてたね。食べる物も、自分たちで もんく つくったり、とったりしてた : : : ひとつも、文句を言わないで」 かぞく 「それだけじゃないわ。家族や友だちが、大ぜい亡くなったのよ」 「うん : くちひら ふたりは、しばらく、だまって歩きつづけたが、アニ 1 がまたロを開いた しつも『ありがとう』って言ってたわーーー」 「それでも、プリシラは、、 かぞく おも ジャックは、プリシラのことを思えば、家族がいて、いごこちのよい家かあ おも って、食べ物がいつでも食べられることは、ほんとうにありがたいと思った。 」よ、つ だいす 、こ一丁のに。 それに、今日はこれから、大好きなおばあちゃんに会しし彳 おも かぞく かんしゃ これからは、もっともっと感謝しよ、つ、と思ったーーー家族に、友だちに、そ して、いまの生活に。 もの せいかっ レ」ーも はたら おお もの A 一、も
せんたく、そうじ、暖炉の火の見はり、食事の用意、あとかたづけ、小さ い子の世話、そのほか、おとなにわれたことを、なんでも手つだった。 くち と教えられていたの 子どもたちは、おとなにロごたえをしてはいけない、 で、つかれていても、不平を言わなかった。 「みんな、えらいんだな : えることなんか、なにもないよ」 いえ、きっとあるわー こ、ん きゅ、つおも アニ 1 は、しばらく考えていたが、急に思いついて、声をあげた。 かんしやさい おも しちめんちょうや 「お兄ちゃん ! わたし、七面鳥を焼くことなら、できると思うわ。感謝祭の とき、いつも、ママがやるのを見てるから」 「でも、アニ 1 がやるのは、焼けてにおいがしてきたら、ママに教えるだけじ でんし オししち、ここには、ガスオ 1 プンも電子レンジもないんだぞ」 ゃないか。、、こ、、 せわ だんろ かんが アニ 1 、やつばりここには、ばくたちか手つだ しよくじ レム、つし おし おし ちい ・・・はしめての感謝祭
ょにんなみの つぎに、四人が波に乗って、浜にたどりついたことを、あらわした。 そら じぶんとり それを見ているうちに、ジャックは、自分が鳥のように空を飛んでいる気も おも ちになったことを、思いだした。 ひょうげん おん 気がつくと、ジャックは、そのときの気もちを、からだで表現していた。音 うでなが 楽にあわせて、ステップをふみ、ゆっくりと腰をゆらし、手や腕を流れるよう 、つご に動かしてーーー、ジャックは、たしかに、フラをおどっていた かいすいおきむ カマが、海水か沖に向かって、いきおいよく引いていったことをうたった。 おおなみ それから、みんなでけんめいに崖をのばったこと、おそろしい大波がおしょ すなはま せ、砂浜のなにもかもを運びさったことも、うたった。 ひと むらびと ょにんおど 四人の踊りに、し 、つしか、村人たちもくわわった。人びとは、子どもたちが おど 無事だったことをよろこぶ踊りを、おどった。 ひと みぎひだり 人びとが、右へ左へ、からだをゆらしてフラをおどると、花や草も、ヤシの 木までもか、いっしょにおどっているかのようだった。 0 ノ、さ ・・・・ハワイ、伝説の大津波 141
でんせつ ちえ しまれきしった むかしからの伝説や、島の歴史を伝えていこうとする、ハワイの人たちの知恵 おも も、すばらしいと思った。 むらひろば ていあん 村の広場についたところで、ポカが提案した。 「カマ、アニ 1 ジャック。ばくたちが体験したことを、フラで、みんなに話 してあげよ、つよ ! 」 カマとアニ 1 は、笑ってうなすいたが、ジャックは、手をふってこたえた。 み 「ば、ばくは、見てるよ」 こえ ボカたちのお父さんが、村人たちに、声をかけた。 ばんそう 「村のみんな ! 子どもたちが、話をするそうだ ! 伴奏をたのむよ ! 」 よこぶえふ ひょうしぎ おんなひと 男の人が、横笛を吹きはじめた。男の子が拍子木を打ち、女の人たちが、羽 ねかざ がっき 根飾りのついた楽器を鳴らして、それにくわわった。 っしょにおどった。 カマが、歌いなからおどり、ボカとアニ 1 か、い なみこ きけんし ひょうげん まず、ジャックが波を越えて、危険を知らせてくれたことを、表現した。 む おとこひと と、つ わら むらびと はなし おとこ たいけん こ て ひと 十 6 140