なみ せんしん ボ 1 ドを投げては、波にもぐり、ジャックは、なんとか前進していった。 むね みずふか 気がつくと、水の深さは、胸ぐらいになっていた こ、んしじ ポカが、大きな声で指示を出した。 さ去一 「ここから先は、ポ 1 ドに乗って、手でこいでいくんだ ! 」 おき りようてこ、つごみす ボカとカマが、ボ 1 ドに腹ばいになり、両手で交互に水をかきなから、沖へ すす 進みはじめた。アニ 1 も、おなじようにして、ふたりのあとを追う。 ジャックもまねをしてみたが、これは、意外とうまくいった。 ちょうし ( うん。この調子なら、ばくでも、あんがい、うまくいくかもしれないぞ : : : ) おも そう思ったときだった。 こ、んき うねりのむこうから、カマの声が聞こえた。 あいず なみく おお ! 』って合図をしたら、ボ 1 ドの向き 「大きな波が来るわ ! わたしが『ゴー はまべ を変えて、浜辺に向かって、すばやく水をかくのよ。いい ? しの ? 」と、アニーか聞いている 「いつ、ボ 1 ドの上に、立ちあがればい、 おお 、つえ はら みす し、力し ・・・ハワイ、伝説の大津波 1 1 9
くろ ぐっをはき、頭には、黒っほい、つばっきのばうしをかぶっている。背おって かわふくろ いたリュックは、革の袋に変わっていた。 がっこ、つ 「ねえ、お兄ちゃん。このあいだ、学校で劇をやったの。ョ 1 ロッパからアメ はなし リカ大陸へ、はじめて移住した人たちのお話だったんだけど : ものがたり きよねん 「ピルグリム・ファーザーズの物語だね ? ばくたちも去年、その劇をやった 「この服、そのときの衣装とそっくりよ ! 」 きっと、ばくたちは、ピルグ み、、つかー 「、つ 1 ん、そ、ついえばそ、つだな : じだい リム・ファーザーズの時代についたんだよ ! 」 まえ よんひやくねん ピルグリム・ファ 1 サ 1 ズとは、、 しまから四百年ほど前、イギリスから北ア とち はくじんむら ひがしかいカん メリカにわたり、東海岸のプリマスという土地に、はじめて白人の村をつくっ ひと / 、ろ、つ かれ しぜん 皮らは、きびしい自然とたたかいながら、苦労をかさねて、 た人たちのことだ。彳 カっしゅうこくど・こ、 いまのアメリカ合衆国の土台をつくった、といわれている ふく あたま しよう じゅう ひと 0 0 せ きた
した アニーは、木の下で、ジャックを待っていた むらひと 「わかったわ。村の人に、会わないようにすればいいでしょ ? 」 いちど ノヤックはため息をついた。 アニーは、一度言いだしたら聞かない ) 、 ある しず ちか 「じゃあ、すこし近づいて、ようすを見るだけだ。静かに歩くんだぞ」 おと あし ある ふたりは、歩きはじめたが、 足もとで、落ち葉がカサカサと音をたてる。 ばおと 「そ、ついうお兄ちゃんこそ ! 落ち葉の音は、しようがないわよ」 「それじゃ、ここまでだ。あの木のかげから、のぞいてみよう」 こだち ちか ふたりは、近くの木のかげに、身をかくした。木立のむこ、つに、トウモロコ いえれつみ ゃねちい シ畑と、わらぶき屋根の小さな家の列が見える。 ほんと ジャックは、本を取りだして、村について書かれているべ 1 ジをさがした。 ご、つ ちゅうしん せいきようと メイフラワ 1 号でアメリカにわたった人たちの中心になったのが、清教徒 まこナ むら ひと
かぞく 「 : : : そうね。ご家族が、首を長くして待っているでしよう」 アニ 1 はうなすき、プリシラのほおに、お別れのキスをして言った。 たの 「今日は、楽しかったわ。どうもありがとう」 ジャックは、、つつむいて、ただ「ありがと、つ」と言った。 すると、プリシラは、「わたしのほうこそ、ありがとう」と言って、ジャッ かん かおあか クのほおにキスをした。、、 シャックは、顔が赤くなるのを感じた。 そうとくむ それから、アニ 1 が、プラッドフォ 1 ド総督に向かって言った。 そ、つとく かえ 「総督、わたしたち、うちに帰ります」 くち それを聞いて、小さなメアリ 1 が口をとがらせた。 「だめよ ! まだ、トウモロコシの育てかたを教わってないじゃない ! 」 み、、つ A プ 総督のとなりにすわっていたスクワントが、さっと立ちあがった。 もり 「わたしが、ジャックとアニ 1 を、森まで送っていく。そのとちゅうで、トウ そだ モロコシの育てかたを、教える」 くびなが そだ わか おそ ・・・はしめての感謝祭
アニ 1 が、首からレイをはすした。真っ赤な花は、水にぬれて、花びらがっ やつやと療っている とくべつまほう 「これは、ばくたちが、 " 特別な魔法。を見つけた証拠だ」 ゅ、つじよう 士ほ、つ 「″友情の魔法〃ね」 たねふくろよこ もの アニ 1 が、巻き物、小枝、トウモロコシの種の袋の横に、レイをおいた。 じゅんび それから、ペンシルべニア州のガイドブックを取ると、「お兄ちゃん、準備波 こ、ん しい ? と、声をかけた。 かえ おも ジャックは、まだ帰りたくないと思った。 ふうう 1 と、大きなため息をついてから、ほっりと言った。 ばく、ハワイを、とっても気に入ったよ」 、お兄ちゃん、やっとみとめたわね ! 」 もりしやしんゅび アニ 1 か、フロッグクリ 1 クの森の写真に指をおいて、言った。 かえ 「わたしたち、ここへ、帰りたい ! 」 くび おお こえだ しゅう しようこ みす 147
いわ ジャックは、頭をあげて、あたりを見まわした。崖の下に、岩がくすれ落ち し、刀し 、カ はまべ ている以外、浜辺に変わったところはないようだった。 さんにん み 海のほうを見ると、カマ、ボカ、アニ 1 の三人は、サ 1 フボ 1 ドにまたがり、 さんにんたの わらこえ みずう すなはま 少兵まで聞こ、んてくる 水に浮かんでいた。三人が楽しそうに笑う声か、を、し ・刀いじよう 海上のほうは、だいじようぶだったみたいだ ) ( ああ、よかった : むな ホッとしたものの、なぜか、ひどく胸さわぎがする : じしん ジャックは、ハワイの本をひろいあげると、さくいんで「地震」を引いて、 よ そのペ 1 ジを読みはじめた。 かざんかつどう じしんおお ハワイでは、火山活動による地震が多い。また、海にかこまれているので、 じしん きけん ひろたいへいよう 0 広い太平洋のどこかで地震がおこると、津波におそわれる危険がある じしん かいめん なみ 、刀い、カ′ル つなみ 津波は、地震のゆれによってもりあがった海面が、高い波となって、海岸 つなみ ちよくぜん しぜんげんしよう までおしよせる、おそろしい自然現象である。大きな津波がおこる直前に 、つみ 0 あたま 0 ほん み つなみ おお 、つみ がけした 0 ひ 0 お ・・・ハワイ、伝説の大津波 127
ジャックは、あわてた。 「いえ、そんなことまで、してもらわなくても、けっこうですから : : : 」 とお しかし、スクワントは、すでに通りのはずれで、ふたりを待っている。 「それじゃあ、みなさん、さようなら」 アニ 1 が、テ 1 プルに残っている人たちに、手をふった。 ジャックも手をふった。 ぞくひと ピルグリムとワンパノアグ族の人びとも、立ちあがって、手をふりかえした。 ちゃいろい やせたうす茶色の大が、しつほをふりながら、ワンワンとほえている さきた ある スクワントか、先に立って歩きだした。、、 シャックはびくびくしなから、アニ ーと並んで、うしろをついていった。 よこナ さんにん やがて、三人は、トウモロコシ畑にさしかかった。収穫したあとの枯れた茎 おと や葉が、風にゆれ、カサカサと音をたてている。 はたけゅび ふいに、スクワントがたち止まり、畑を指さして言った。 なら かせ のこ ひと しゅうかノ、
でんせつ ちえ しまれきしった むかしからの伝説や、島の歴史を伝えていこうとする、ハワイの人たちの知恵 おも も、すばらしいと思った。 むらひろば ていあん 村の広場についたところで、ポカが提案した。 「カマ、アニ 1 ジャック。ばくたちが体験したことを、フラで、みんなに話 してあげよ、つよ ! 」 カマとアニ 1 は、笑ってうなすいたが、ジャックは、手をふってこたえた。 み 「ば、ばくは、見てるよ」 こえ ボカたちのお父さんが、村人たちに、声をかけた。 ばんそう 「村のみんな ! 子どもたちが、話をするそうだ ! 伴奏をたのむよ ! 」 よこぶえふ ひょうしぎ おんなひと 男の人が、横笛を吹きはじめた。男の子が拍子木を打ち、女の人たちが、羽 ねかざ がっき 根飾りのついた楽器を鳴らして、それにくわわった。 っしょにおどった。 カマが、歌いなからおどり、ボカとアニ 1 か、い なみこ きけんし ひょうげん まず、ジャックが波を越えて、危険を知らせてくれたことを、表現した。 む おとこひと と、つ わら むらびと はなし おとこ たいけん こ て ひと 十 6 140
えがおす ジャックは、カマのおおらかな笑顔と澄んだ目を見ていたら、なにもかも、 かくさすに、話してみたくなった。 「ばくたちが住んでいるところは、ほんと、つは、フロッグクリ 1 クってい、つん とお だ。海の、ずっとずっとむこうなんだよすごく遠いんだ」 きようみ 「じゃあ、どうやって、ここへ来たの ? 」カマが、興味しんしんにたすねた。 圭 6 、つ 「 : : : じつは、ばくたち : : : 、魔法の小屋に乗って、ここまで来たんだ」 ひろ まんめん すると、カマとボカの目がまん丸になり、つづいて、満面に笑みが広がった。 たの 士につ こや 「魔法の小屋 ? それは、すごく楽しそう ! 」と、カマ 「ばくたちも、乗ってみたいなあ ! と、ボカ ジャックは、カマとホ力が、マジック・ツリ 1 ハウスのことを、なんのうた だいす しん かいもなく信じてくれたことにおどろき、ふたりのことが大好きになった。 カマが立ちあがって、さっきの女の人のところへ行き、なにか話していたが、 さんにんほ、つこく すぐにもどってきて、三人に報告した。 うみ まる おんなひと こや ・・・・ハワイ、伝説の大津波 103
波乗りなんか、大きらいだ ! 「お兄ちゃん、だいじようぶ ? 」 しんばい 気がつくと、アニーが、心配そうにのぞきこんでいる。 お ジャックは、ゆっくりと起きあかった。からだが、ト ( やつばり、見てるだけにすれば、よかった : : : ) じぶんじぶん ジャックは、自分で自分に、腹がたっていた カマか、ジャックのポ 1 ドを持ってきてくれた。そして、笑って言った。 さいしょ : 、だから、最初から立とうとしないで、って、言ったのに ! 」 ジャックは、だまって立ちあがった。 わら ( 笑いごとじゃないよ。ばくは、もうすこしでおばれ死ぬところだったんだ ! ) ボカも、笑って言、つ。 「も、つ一回、やってみようよ。こんどは、うまくいくかもしれないよ」 いつ、力い なみの ら み / きざみにふるえている ら ・・・ハワイ、伝説の大津波 123