( 5 ) 押さえておきたい論点 : 事例 I では , あらかじめ論点の知識を整理して おくと知識も使いやすいわ。過去に取り上げら れた人事・組織の観点でまとめておくことがお 勧めよ。たとえば , 「博士号取得者を雇用する メリット , デメリット」というようにメリット とデメリットでまとめておくと , 試験でも使い やすいわよ。 : 過去 10 年以上 , 実にさまざまなテーマが出たか らね。 : 過去に出たものの例として , 次のような論点が あるわね。たとえば , 「成果主義」に関する テーマは , 平成 17 , 22 , 24 年度と出ている頻出 論点よ。そして , 成果主義に対し , 肯定的な傾 向があるのも見逃せないわね。つまり , 成果主 義に対して出題されたら , 「導入すべき」とい う肯定的な出題の可能性が高いと想定すること が重要ね。 : 海外 , 女性 , シルバー人材の活用は , 日本の少 子高齢化で減る労働力確保の 3 大テーマだから ね。たとえば , 「子育て中の女性」なんて , そ ろそろ出そうな重要なテーマだと思うよ。 : 平成 26 年度試験では産学連携が出ましたが , 6 次産業や農商工連携あたりも『中小企業白書』 でも話題が多いので注意ね。いずれにしても , 予想するというより , どの論点も自分なりに考 えてメリットとデメリットを自分の言葉で説明 できるようにしておくことが重要よ。 ( 6 ) 図表に注意 : 近年は出ていませんが , 事例 I でも過去の平成 13 , 14 , 16 , 18 年度など組織図などの図表が出 たことがあるので , 一応見ておきましよう。毎 年何かしらサプライズがあると言われますが , 過去に実績があるものはサプライズでも何でも ないわ。 : 過去にそんな問題が出たこともあるんですね。 : 組織図は , いつ使われてもおかしくない出題方 式だと思うわ。想定しておくだけでも当日混乱 しないで済むわよ。 ( 7 ) 朝からの行動をイメージしておく ・あと , 事例 I は最初の試験科目という点でも見 逃せないね。どうしても緊張するし , 失敗した くない心境だからね。 : 思い出すだけで緊張する ! : 休日に , 試験開始時間と同じ時刻で演習してみ るとよいわ。また , 試験監督員の合図の仕方や 環境など試験の段取りがわからないので , 5 分 くらい余裕をもって解くことも大事ね。さらに 何よりも , 「事例が面白い ! 」というポジティ プなイメージを持つようにすると , 力が発揮さ れやすいわ。頑張ってね ! く人事の論点〉 成果主義 , 高齢者雇用 , 女性活用 , 年功序列 , 非 正規雇用者 , 新卒採用 , など く組織の論点〉 所有と経営の分離 , 同族会社 , 買収 , フランチャ イズチェーン , 子会社 , 主要取引先に依存した体 制 , OEM, アウトソース , など : たくさんありますね・・・。今年は何が出るんだろう。 : 可能性はさまざまよ。たとえば , 次のようなも のかしら。 く出題の可能性のある論点〉 外国人の雇用 , シルバー人材の活用 , 後継者問題 , 定年制度 , 社内べンチャー , ワークライフバラン ス , など 企業診断 2015 / 10 60
出題の趣旨 3 . 直前チェック事例Ⅱ ( 1 ) 事例Ⅱの概要 : 続いて , 事例Ⅱの直前チェックをしましよう。 事例Ⅱのテーマは「マーケティング・流通を中 心とした経営の戦略及び管理に関する事例」で , マーケティング戦略に関して出題されています。 : 過去の事例企業を見ると , 「 BtoC 」の事業を 行っている企業が取り上げられており , この傾 向は変わらないだろうね。 : 分析問題に対応するためには , どのような点に 注意して対応すればよいですか ? : 去年も「旅行業」なので , 「 B to C 」ですね。 問題にはどのような傾向があるのでしようか ? : 分析ポイントは , 比較対象が何になるかを明確 にすることだ。たとえば , 与件文に記述されて : 過去の出題傾向を見ると , マーケティング問題 いる過去と現在の市場環境の比較などだね。市 としては , 2 つのタイプをしつかり押さえてお 場の変化を把握するためには , 時制を意識して く必要がある。「ターゲティング」と「プロ しつかり分析しないといけない。 モーション戦略」だ。 : 事例Ⅱは , ほかの事例に比べると馴染みのある : プロモーション戦略は , 8 月号で昨年度の事例 企業がテーマになることが多いのですが , 時制 を研究した際に , 「誰に , 何を , どのように , が複雑な場合があります。ですから , しつかり をプロモーションとして検討することである」 問題に沿って , 整理・分析をする必要がありま と学びました。ターゲティングについては , ど すよ。 のような点に注意すればよいのでしようか ? ( 2 ) 知識問題・表問題への対策 : ターゲティングとは , 文字どおり「誰に売るか」 を考えることなんだけど , 主には「既存顧客」 : 多面先生 , 事例Ⅱでは毎年新しい形式の問題が か「新規顧客」を意識するとよいだろう。与件 出題されていますが , これらにはどのように対 文に , より詳細な顧客像 ( 要介護高齢者を持っ 応すればよいのでしようか ? 家族など ) について記載がある場合もあるので , 与件文をしつかりチェックしよう。 : 受験生は気になるところですが , あくまでも基 礎的な問題なので , 落ちついて対応していけば : 事例Ⅱの問題構成は , どのような特徴があるの 大丈夫よ。それでは , 少し具体的に見ていきま でしようか ? しよう。 の : 出題の趣旨を過去 5 年間にわたって分析してみ ・過去問を見てみると , 「コーズリレーテッド・ ると , 半数以上は「分析力」が問われている問 マーケティング」など , いきなり聞かれたら答 題だ。事例Ⅱが分析カ中心であることを踏まえ えられそうにないキーワードが出題されていま すよね。今年も新しいキーワードが出たらどう ると , 受験生を驚かせた表を分析させる問題は , 想定内の問題なのかもしれないね。 したらよいでしようか ? 企業診断 2015 / 10 過去 5 年間 平成 26 年度 平成 25 年度 平成 24 年度 平成 23 年度 平成 22 年度 35.3 % 5.9 % 40. O% 50.00/0 58.8 % 60. O% 50.00/0 をを 167 % 83.3 % 20. O% 28.6 % 40. O% 40. O% 71 .4 % ・分析能力・助言能力■基本的理解 , 知識 曾を
中小企業診断士第 1 次試験【出題傾向と学習のポイント】 [ 運営管理 ] ( オペレーション・マネジメント ) 村越和香子 TAC 専任講師・中小企業診断士 齊藤光介 中小企業診断士 早川大亮 TAC 専任講師・中小企業診断士 中居広行 株 MMC 専任講師 直行率とは , 出荷される製品のうち , 品質不良 / 不 適合と判定されることなく良品 ( 直行品 ) として出荷 された製品の比率のことである。 1 . 出題傾向 歩留りとの違いは , 歩留りが「投入された主原材料 平成 27 年度の運営管理の TAC データリサーチによ の量と , その主原材料から実際に産出された品物の量 る平均点は , 63.1 点であり , 前年の 61.0 点に対し , 2.1 との比率」 ( JIS z 8141 ー 1204 ) , つまり , 主原材料の全体 点の増加となった。難易度は例年並み ( やや易化 ) の 量から廃棄量 ( 産出されなかった品物の量 ) を引いた 状況である。 量の比率を指しているのに対し , 直行率は通常の工程 平成 27 年度の運営管理の本試験の特徴は , グラフや で適合品として産出された品物の量との比率を指して 図表が与えられている問題が多いことであり , 第 1 問 いる点にある。 ( 直行率 ) , 第 5 問 ( P ー Q 分析図 ) , 第 10 問 ( ジョン 本問の製造ラインを例にすると , 不適合品もすべて ソン法 ) , 第 14 問 ( 在庫量グラフ ) , 第 16 問 ( 連合作業 手直し工程を経て次工程に送られ , 直行品も手直し品 分析 ) , 第 17 問 ( 流動数分析 ) , 第 37 問 ( 物流 ABC), も品質に差がないものとして最終製品として出荷され 第 40 問 (RFM 分析 ) , 第 42 問 ( 反応予測モデル ) で , るため , 歩留りは 100 % になる。しかし , 実際には , グラフ・図表問題が出題されている。このほかに計算 手直し品には手直し工程が入る分 , 費用面でも時間面 問題が , 第 9 問 ( 指数平滑法計算 ) と第 28 問 ( 売価と でも余分なコストをかけていることになる。 売価値入率 ) と出題されており , 例年に比べると解答 これに対し , 直行率は , 手直しなどを行わない良品 に時間を要する問題が多かった。 の割合のみを把握する指標のため , 歩留りだけを見て 出題領域については , 大きな変化が見られない。生 いたのでは判明しない生産工程の効率性 , および品質 産管理では , 生産管理用語 , レイアウト , 生産方式 , 管理の指標として用いられる。 Ⅶ , IE, 発注方式 , 設備管理などが出題され , 店舗販売 本問では , 3 つの生産工程それぞれに不適合品率が 管理に関しては , まちづくり 3 法 , 商品陳列 , 商品予 設定されている。そのため , 直行率は以下のように算 算計画 , ISM, 流通情報システムなどが出題された。 出する。 難易度および出題領域について , 大きな変化が見ら 直行率 = 第 1 工程の良品率 x 第 2 工程の良品率 x 第 れないことから , 今後も , 極端に易化または難化する 3 工程の良品率 = ( 1 ー第 1 工程の不適合品率 ) x ( 1 ことはないと考えられる。グラフや図表を読み取る問 ー第 2 工程の不適合品率 ) x ( 1 ー第 3 工程の不適合 題が継続して出題される可能性はあるため , 普段の学 品率 ) = ( 1 ー 0.2 ) x ( 1 ー 0.1) x ( 1 ー 0.1 ) = 0.8 x 0.9 x 習から , グラフや図表には意識をして目を通すように 0.9x100 = 64.8 ( % ) してほしい。詳細な知識が問われる難問も出題される よって , 「イ」が正解である。 が , 基本的な論点を確実に覚えることで合格点を得る 第 2 問 ことは十分可能である。 見込生産の特徴に関する , 正誤の組み合わせ問題で ある。 2 . ワンポイント解説 見込生産とは , 「生産者が市場の需要を見越して企 第 1 問 画・設計した製品を生産し , 不特定な顧客を対象とし 製造ラインの直行率に関する計算問題である。 て市場に製品を出荷する形態」 (JIS z 8141 ー 3203 ) の 企業診断 2015 / 10 133 生産管理
が出題されている。 ・技術戦略に関する問題 ( 第 7 問 ~ 第 9 問 ) 。たとえば , ・べンチャー企業との関連で「デビルリバー」と 「デスパレー」 ( 第 8 問・設問 1 ) , および「ダー ウインの海」 ( 同・設問 2 ) について問う問題。 なお , べンチャー企業にかかわる問題は , 昨年度 は 2 問 ( 第 10 問 , 第 11 問 ) 出題。 ・イノベーションの対応や課題を問う問題 ( 第 9 問 ) 。 ・リストラクチャリング ( 事業構造の再構築 ) に関す る問題 ( 第 10 問 ) 。 ・例年頻出している日本企業の海外進出に関する問題 ( 第 11 問 ) 。 ③空欄補充問題がない 平成 23 年度に 1 問出題された空欄補充問題は , 平成 24 年度以降 , 姿を消している。 90 分という試験時間で受験者の合否を適切に判別し なければならない以上 , 思考カ・応用力を試す問題が 中心を占める傾向は , 今後とも続くだろう。したがっ て , 受験者は「論理的な思考カ・応用力」の涵養に心 すべきである。それと同時に , そうした問題を解く前 提となる「経営戦略論に関する基礎的な知識」の確実 な習得にも , これまで以上に留意すべきである。 それとともに , 常日頃から受験者にとっても中小企 業診断士にとっても必須の , 現実に対する鋭い問題意 識と鋭敏な感覚を研ぎ澄ますことが切に望まれる。た とえば , 前段で触れた第 11 問などは , 日頃の問題意識 とこれらの問題に関する現実的な知識がなければ , 解 答にいくぶん戸惑うかもしれない。 ( 2 ) 問題の形式 本年度は試験制度改正後 10 年目の試験となったが , 問題数は昨年度よりも 2 問減の 11 問で , 平成 22 ~ 25 年 度とほば同様。設問数は平成 23 年度以降 13 問 ( 平成 22 年 度 : 14 問 ) で一定しており , 問題数 , 設問数ともに大き な変化はない。ただし , 設問に関しては , 今年度の 4 択 問題は 5 問であり , 平成 26 年度 4 問 , 平成 25 年度 , 平成 24 年度の 2 問 ( 平成 23 年度 : 1 問 ) に比べて増加した。 逆に今年度の 5 択問題は 8 問であり , 平成 26 年度 9 問 , 平成 25 年度・平成 24 年度の 11 問 , 平成 23 年度 ( 12 問 ) , 平成 22 年度 ( 10 問 ) , 平成 21 年度 ( 12 問 ) , 平成 20 年度 ( 11 問 ) と比べてやや減少傾向が見られるが , ほほ 10 問前後に落ち着いていると考えられる。 なお , 平成 27 年度も平成 26 年度 , 平成 25 年度と同様 に , 平成 23 年度に 1 問復活出題された空欄補充問題は 出題されていない。思考力を試し , 難易度の低下を回 避するための措置であろう。 企業診断 2015 / 10 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー また , 比較的長い「文章を読んで」 , 多様な視点か ら複数の「設問に答え」させる問題は , 何よりも現実 に関する知識と , 一定の基礎的な知識に基づく論理的 な思考カ・推理力が要求され , 単なる暗記や断片的な 知識による機械的・反射的な解答は困難であるため , 注意が必要である。このような問題が , 今年度は第 8 問と第 11 問の 2 問 ( 設問数計 4 ) 出題された。今後と も同種の問題が出題される可能性は , きわめて高いと 思われる。 全体としては , 平成 24 年度以降 , 基礎的な知識 + 思 考カ + 応用力を問う問題が中心に据えられており , 問 題の形式としては , ほほ過去の延長線上にあって , 大 きな変更はない。この傾向は , 今後とも変わらず続く ものと考えられる。 ( 3 ) 問題の内容 問題の内容に関しては , 会社全体の戦略である全社 戦略ないし企業戦略 (corporate strategy) , 個々の事 業で競争優位を獲得するための競争戦略 (competitive strategy), その下位の機能戦略という 3 分類のほか , さまざまな分類基準があり , それらの各出題領域の比 重も年度によって変動がある。 平成 22 年度までの傾向をごく一般的に言えば , かっ て非常に比重の高かった全社戦略が後退し , 実践性の 強い競争戦略の比重が高まっていたことは確かである。 しかし , 本年度は , 全社戦略と考えられる問題として , 第 1 問 (PPM) , 第 2 問 ( 企業ドメイン + 事業ドメイン , 平成 25 年度は第 5 問に出題。ただし , 事業ドメインに 関しては競争戦略 ) , 第 10 問 ( リストラクチャリング ) の 3 問が出題された。ちなみに , 平成 26 年度は 4 問出 題されており , 平成 25 年度は 3 問が出題された。全社 戦略に対するこのような比重の復活は , 平成 23 年度以 降 , 見られる傾向である。 技術経営に関する問題は , 平成 21 年度以降 , 増加傾 向にあると感じられたが , 平成 23 年度以降は一転減少 に転じた。しかし , 本年は第 7 問 ~ 第 9 問の 3 問が出 題されている。 なお , 平成 18 年度以降 , 現実企業に対する実践性・ 即効性のきわめて高い「競争戦略」に関しては , 思考 カ・応用力を要する問題を中心に増加傾向が続いた。 本年度も , 第 2 問 ( 事業ドメイン + 企業ドメイン , 全 社戦略と重複計算 ) , 第 3 問 ( 資源べース理論に基づ く「持続的な競争優位」 ) , 第 4 問 ( 仕入れ先 ( 売り 手・供給業者 ) と顧客 ( 買い手 ) に対する交渉カ ) , 第 5 問 ( タイムペース競争 ) , 第 6 問 ( デファクト・ スタンダード ) , 第 11 問の 6 問が出題された。平成 26 117
: 素直さんも , だんだん気づいてきたようね。平 成 24 年度の第 3 問で出題された「コーズリレー テッド・マーケティング」の問題はタイプ 2 に なるのですが , 「 B 社が行った」というところ から時制に着目して与件文を分析するとよいで しよう。 : キーワード問題も「分析力」を問う問題なので , しつかり設問や与件文の分析ができるかが大き なポイントになるんだ。 : では , もう 1 つの事例Ⅱの「表問題」について は , どのような点に注意する必要があるのでし ようか ? : 2 年連続で表の分析問題が出題されたのは , 先 生も意外でした。ただし , POS データ分析や 顧客分析は過去にも記述問題として問われてい たので , テーマとしての違和感はないですね。 さて , 表問題のポイントですが , 和水さんに 簡単に説明してもらっていいかしら ? : 表問題は , まず何を説明した表であるかをしっ かり確認しよう。表のタイトルや注釈 , 集計の 単位 ( 人なのか , 金額なのか ) を確認すること から始まるんだ。 : 平成 26 年度はデシル分析だったので , 顧客の数 ( 世帯数 ) と金額 ( 客単価や総額 ) でしたね。 平成 25 年度は , POS データ分析として平均金 額が表に掲載されていました。 : そして , デシル分析は顧客層の比較なのに対し て , POS 分析では期間比較でした。 : そう ! 古多割くん , 良いところに気がつくね。 表では比較分析をさせることを意図しているの で , 表の内容から「何を比較しているか」を把 握することが大事なんだ。 : 7 月号でも説明があった , 縦と横 ( 行の比較と 列の比較 ) の観点が大事なんですよね ? 企業診断 2015 / 10 : そんなに心配しなくても大丈夫よ。キー 問題は次の 2 つのパターンがあるので , れの対策を押さえておきましよう。 タイプ 1 : 補足説明がヒントになる タイプ 2 : 与件文がヒントになる : 過去問のことなら , 私に任せなさい。 ます , キーワード問題が出題されたのは , 平成 22 年度 の第 3 問「インターナル・マーケティング」が 最初だよ。この問題はタイプ 2 だね。問題文に あるとおり , 「従業員の能力を引き出すために 展開した」ものなので , 与件文から過去に従業 員へ行った施策を手がかりに分析するんだ。 : いまでこそ , 「インターナル・マーケティング」 と言われれば , 「従業員満足→接客品質向上→ 顧客満足度向上→固定客化→売上向上」と解答 のフレームを覚えていますが , 知らないと答え にくいですよね。 : いや , キーワードに惑わされないで , 問題の要 求を見てみよう。インターナル・マーケティン グとして行ったことが問われているので , 与件 文との対応づけができれば答えられる問題だ。 : 知らないキーワードが出てきても , キーワード だけに反応してはダメなんですね。 : そして , 翌年の平成 23 年度の第 4 問に出題され たのが , タイプ 1 の「サービス・リカバリー システム」の問題だ。タイプ 1 の問題は , キー ワードに関する説明 ( 補足 ) が注釈などで記載 されており , それをヒントに与件文の分析を行 う問題だね。 の : サービス・リカバリー・システムの内容として 考えると難しいのですが , 注釈の「サービス組 織」や「顧客のロイヤルティ」というヒントか ら , 「組織的な仕組み」と「ロイヤルティにつ ながる仕組み」について , 与件文をヒントに考 えればよいのですね。設問だけではなく , 注釈 の分析もしつかりやる必要があるのですね。 をや曾を 62
: 3 月号でも触れたけど , 過去 5 年の事例企業を 見ると , すべて「製造業」の事例になっている ね。製造現場に馴染みのない人にとっては , 事 例Ⅲに対して苦手意識を持っことがあるかもし れないね。 : 昨年度の問題も「超精密小型部品製造業」なの で , 「製造業」になっていましたね。製造現場 を見学する機会ってほとんどないので , 与件文 を読んでもなかなか現場の状況のイメージが湧 かないんですよね・・ : 僕も苦手意識があります。問題にはどのような 傾向があるのでしようか ? : 過去の出題傾向を見ると , 最初の設問では SWOT 分析を背景に , 「強み」や「弱み」を答 えさせる問題が出題されるよ。その次に , C 社 の経営戦略 , それからどんどんミクロの視点で の個別戦略 , 具体的改善策などを述べさせる設 問が出ることが多くなっているね。 : 過去問分析でわかったことですが , 和水さんが おっしやっているような設問のパターンがほと んどなので , 事前の対策がしやすいですよね。 そして , 1 次試験科目の「運営管理」の中の 「生産管理」の分野で出題される知識を , 説明 できるレベルで持っていることが前提になって いるのも事例Ⅲの特徴だと思います。 : まさに , そのとおりだね ! 与件文をしつかり 読んで C 社の現場の状況を押さえることも大 事だけれど , 基本的な生産管理の知識を押さえ ておくことも , とても重要だと思うよ。 : そうなんですね・・・。 1 次試験の運営管理をしっ かり復習しなければ・・・ ! : そうだね。その知識を前提に , 事例Ⅲではどの ような能力が求められているのかについて , 般社団法人中小企業診断協会が発表している出 題の趣旨を見てみよう。 平成 26 年度事例Ⅲの出題の趣旨より抜粋 C 社の事業の変遷を把握し , C 社の強み 第 1 問 と弱みを分析する能力 課題を把握し , 問題視されている加工不 第 2 問 良率を解決する能力 第 3 問 C 社のメリットを分析する能力 設問 1 C 社の生産計画や資材調達計画の課題を 第 3 問 把握し , 解決する能力 設問 2 C 社の現状を把握し , X 社依存状態から 脱却を図るために必要な戦略を提案する 第 4 問 能力 曾曾を : 現状把握 , 分析 , 課題解決という文言が目立ち ますね。 : 与件文に書いてある C 社の現状を把握し , そ の状況を分析して問題を見つける。そして , あ るべき姿とのギャップを見い出して , 課題を設 定し解決策を提示する。まさに実務で中小企業 診断士がやることそのものだよね。 : 2 次試験を単なる国語の問題のように認識して いたら , 痛い目に遭いそうですね ! : そのとおり ! 甘く見てはいけないよ。 : 私は C 社の問題を見つけるところが難しいと 思います。「問題となっている」と具体的に与 件文に書いてあればわかるのですが , 与件文を さらっと読んでしまって , 問題を見逃してしま うことが多いんです。 : 事例Ⅲでは , C 社の問題点を見つけることがと ても大事になってくるわね。そして , 与件文に 書いていないことは , 基本的には「 C 社ではや っていない」と思うことが大事だと思うわ。 皆さんが働いている企業では当たり前のよう にやっていることを , 「 C 社も当たり前のよう にやっているだろう」と思い込んでしまうと , 問題点が見つけにくくなってしまうので , 先入 観に邪魔されないように気をつけましよう。 企業診断 2015 / 10 を曾を 64
こうして結局 , 振り出しに戻った 5 年目 , 今度は 試験の申し込みを忘れてしまいます ( 笑 ) 。勉強 はしていたのですが , 申し込みを忘れるという失 態を犯し , 締切翌日に気づいて協会と交渉したの ですが , さすがに受け付けてもらえませんでした。 さらに 6 年目は , 1 科目も合格できませんでし た。勉強する時間を作ろうと思えば作れたのでし ようが , 実際には仕事を終えて家に帰ると , 疲れ てやる気が出ない状況で・・・。そのとき , 「これで はまずい」と思い , 夜型から朝型に勉強時間を変 えたんです。その結果 , 時間にすると 1 時間程度 ですが , 継続的に勉強することが可能となり , 7 年目に 4 科目 , 8 年目に 3 科目に合格し , 再び 1 次試験を通過しました。その年は 2 次試験で不合 格となりましたが , 翌年の 9 年目にようやく 2 次 試験に合格することができました。 ー特につらかった時期はいつでしたか。 3 回目の 2 次試験に落ちたときは , 「さすがに これはわからない」となってしまい , 「次に落ち たらもうやめよう」と思っていました。 2 次試験 は正答が発表されませんので , 最初は予備校の解 答を参考にしていましたが , 根拠がよく理解でき ず , 考えようがなかったんです。 そこで , 合格した 9 年目は一度冷静になり , い ままでの流れを整理して考え方を変えてみました。 市販のテキストを活用する中で , 出題者の気持ち になって解答をシンプルに考えるようにしたんで す。こうして , 自分なりに出題者の解釈を踏み , 素直に解答するようにしたところ , ようやく合格 することができました。 ◎ 2 次試験にも独学で挑む◎ 2 次試験の勉強方法で工夫されたことなどは ありますか。 ただ長時間勉強するのではなく , 短時間でも集 企業診断 2015 / 10 中する時間を作り , その間は特にいつまでと決め ずに問題を解いていました。長くて 2 時間ほどで す。朝 4 時半 ~ 5 時頃に起きて取り組みましたが , 夜はほとんど勉強せず , 休みも家族サービスに費 やしていましたので , ほとんど学習時間はとりま せんでした。受験モードという感じではなかった ですね。だからこそ , 時間がかかってしまったと いうのもありますが ( 笑 ) 。 診断士の資格取得に必要な勉強時間は , トータ ルで 1 , 000 時間ほどと言われますが , 私の場合は , おそらく 9 年間合計で 1 , 000 時間程度だと思います。 過去問を中心に , 直近の 4 ~ 5 年分を 2 ~ 3 回転 させましたが , 暗記については目で見て , 実際に 書いて暗記していました。以前 , 暗記の仕方には , 聞いて覚えるタイプと見て覚えるタイプ , 書いて 覚えるタイプの 3 タイプがあると聞いたことがあ りましたが , 自分は見て覚えるか , 書いて覚える タイプだと認識していましたので。 模擬試験は受けましたか。 一度も受けたことがありません。そのため , 自 分がどの位置にいるかは把握できていませんでし たが , とにかく出題者の意図を踏まえて解答すれ ば合格に届くと考えていましたので , 順位は気に していませんでした。また , 予備校が作った問題 と本試験は違うと認識していたことも , 模擬試験 を受けなかった理由の 1 つです。 勉強にあたって , 事例ごとに留意されていた ことなどはありますか。 事例Ⅳ以外は , 明確に事例を区別して考えるよ うなことはありませんでした。実際には , 人事や マーケティング , 生産管理といったテーマがあり ますので , 「自分はこう解答する」という決め事 はありましたが。ただし , 事例Ⅳだけは計算式な どを覚えないとまったく解けませんので , よく勉 97
年度は 4 問 , 平成 25 年度 4 問 ( 5 設問 ) , 競争戦略に 関する問題が出題されている。 今年度 , 「競争戦略」に該当する問題は , 解釈によ って若干の相違はあるとしても , 前段で指摘した第 2 問 ( 3 点 ) , 第 3 問 ( 2 点 ) , 第 4 問 ( 2 点 ) , 第 5 問 ( 2 点 ) , 第 6 問 ( 2 点 ) , 第 11 問・設問 2 ( 3 点 ) の 計 6 問であり , 配点合計は 33 点中 14 点 ( 配点比重 : 42.4 % 。ただし , 第 2 問は全社戦略と重複計算 ) であ った。平成 26 年度は 34 点中 11 点 ( 配点比重 : 32.4 % 。 ただし , 第 3 問は全社戦略と重複計算 ) である。 「競争戦略」の比重は平成 18 年度 ~ 21 年度まで年々 低下傾向が見られたが , 平成 22 年度以降 , いくぶん増 加傾向に転じ , 平成 25 年度は一気に平成 19 年度の水準 にまで高まった後 , 今年度も高止まりで推移している。 こうした競争戦略重視の傾向は , おそらく今後とも続 くに違いない。 他方 , 経営戦略論のもう 1 つの重要領域である「全 社戦略」に関する問題は , 第 1 問 (PPM), 第 2 問 ( 企 業ドメイン + 事業ドメイン , 平成 25 年度は第 5 問に出 題。ただし , 事業ドメインに関しては競争戦略 ) , 第 10 問 ( リストラクチャリング ) の 3 問が出題された。 配点比重は 9 / 33 = 27.3 % ( 第 2 問は競争戦略と重 複計算 ) である。ちなみに , 平成 26 年度は 4 問 ( 配点 比重 : 10 / 34 = 29.4 % ) , 平成 25 年度は 3 問 ( 配点比 重 : 8 / 34 = 23.5 % ) が出題された。 企業全体の事業構造を相対的に長期的な視点から最 適化するという , どちらかと言えば迂遠で即効性に欠 ける全社戦略に関する問題は , 近年従来ほどには頻出 しない傾向が見られ , 比重の低下が目立っていたが , 「全社戦略」に対するこのような比重の復活は , 平成 23 年度以降みられる傾向である。 このほかには , 第 7 問 ~ 第 9 問で MOT(management of technology) の問題が出題されている。これらの問 題では , 知らない用語を目にしても動揺せず , 落ち着 いて本文を読まれたい。 さらに , 第 11 問では , 設問 1 で「中国やアセアン諸 国等の新興国への市場浸透を成功させる方策」 , 設問 2 で「中・低所得層の潜在的な市場への浸透について 注意すべきこと」を問うている。わが国企業の海外進 出に関する問題は例年必出であるが , 本問はこうした 過去の傾向の延長線上の問題であるといってよい。 全体として本年度の問題で目立つ特徴をまとめれば , 昨年度と同様 , 次の 4 点に集約されるだろう。 ①テキストの機械的な暗記では対応が困難な , 思考 118 カ・応用力を問う問題が依然として多い ②現実の産業・企業に対する日頃の問題意識と企業経 営に関する知識がなければ , 必ずしも解答が容易で ない問題が多い ③経営戦略論に関する従来型の単純で画一的な分類で は , 必ずしも割り切れない問題も散見される ④経営戦略の基礎理論 ( + 思考カ ) の重視 最後に特筆すべきは , 技術経営 (MOT) に関する 問題である。年度により出題数に多少の変動があると しても , 受験者にとって技術経営に対する備えが肝要 であることは明白である。 2 . ワンポイント解説 第 1 問 おなじみの「 PPM 」に関する問題である。 選択肢をざっと一瞥すれば , 「イ」 , 「ウ」ともに「花 形商品」ではなく , 「金のなる木」でなければならな いことは , ただちに理解されよう。 「エ」は「自社事業の成長率」ではなく , 「相対的市 場占有率」である。 また , PPM は「オ」とは異なり , 「「事業間のマー ケティングや技術に関するシナジーを考慮してい』な い」。 残る「ア」は適切であり , 正答となる。難易度 : 低 第 2 問 企業・事業ドメインに関する問題である。会社全体 のドメインである企業ドメインに対して , 事業ドメイ ンは個々の事業のドメインである。 5 肢のうち , 「エ」にある「事業ポートフォリオ ( 事 業の組み合わせ ) の決定」は事業ドメインではなく , 企業ドメインの問題である。ほかはすべて適切である。 よって , 最も不適切な「エ」が正答となる。難易 度 : 低 第 3 問 資源べース理論に基づく「企業の経営資源と持続的 な競争優位」に関する問題である。 同理論ではコア・コンピタンス概念が必ずしも分明 ではないため , 後に独自能力などと言い換えられた。 具体的には , VRIO (valuable : 貴重 , rare : 希少 , inimitable : 模倣困難 , organization : 組織 ) , または , VRIN ( 前掲の organization に代えて non—substitutable : 代替困難 ) の特性を持っていなければならない。 したがって , 「イ」の「代替可能な経営資源の希少 性」は明らかに不適切である。希少な経営資源であっ たとしても , それが代替可能であれば競合他社は当然 その代替資源を活用するはずだからである。 企業診断 2015 / 10
切な部分と不適切な部分が混ざっているため , 丁寧に 読んで不適切な選択肢を見つけることが重要となる。 2 . ワンポイント解説 1 . 出題傾向 第 26 問 本年度のマーケティング論は , 第 26 問から第 35 問ま 専門店小売業者の事例を想定した問題である。小規 での 14 問が出題されている。昨年度の 13 問とほば同じ 模な小売業におけるプライベート・プランド (PB) に 問題数であり , 配点は 33 点で例年どおりである。 ついて問うている。 事前に示されている出題は 8 領域である。マーケテ PB は , これまで大規模な小売業を中心に導入され イングの基礎概念から 0 問 ( 昨年度 0 問 ) , マーケテ てきた。ナショナル・プランド (NB) が多く陳列さ イング計画と市場調査から 0 問 ( 昨年度 1 問 ) , 消費 こ数年のうちに PB の れてきた小売業においても , 者行動から 3 問 ( 昨年度 3 問 ) , 製品計画・製品開発 割合が高くなってきている。 PB の戦略は低価格帯を から 4 問 ( 昨年度 2 問 ) , 価格設定から 1 問 ( 昨年度 中心として , 大量購入によりそれを実現し , 同時に利 2 問 ) , 流通チャネルと物流から 2 問 ( 昨年度 2 問 ) , 益率の向上を図ろうとするものである。 プロモーションから 2 問 ( 昨年度 0 問 ) , 応用マーケ PB は , その多くがチェーン展開をしている小売業 ティングから 2 問 ( 昨年度 3 問 ) の出題であった。 こでは , 専門店というコ を中心に導入されている。 マーケティングの基礎概念からの出題が 3 年連続な ンテクストにおける PB 導入について取り上げている。 いのが , 図表 1 から見て取れる。一方で , 消費者行動 ( 設問 1 ) は 3 問すっと一定数出題されている。基本的にはバラ 製品計画・製品開発領域から PB の設問である。 ンスが重視されていると思われるが , ばらっきがある。 「ア」は PB の歴史性についての記述である。 PB は 本年度は基本問題が中心である。例年 , 数問は難易 低価格で展開されるため , 劣等財 , つまり「安かろう , 度の高い問題が含まれるが , 今年は基礎的な学習を行 悪かろう」というものもあるが , 近年の PB にはプレ っていた受験生にとって , それほど難しくない問題が ミアム性を訴求するものもあり , 不適切となる。 提示されていると言える。また , 文章量もそれほど長 「イ」は PB のプランド設定者についてである。 PB くはないので , 基本的なマーケティングの概念を理解 は小売業だけでなく , 卸売業者によっても開発 , 展開 していれば , おおむね正解を導ける問題であった。 される。そのため , 小売業者に限定されていることは マーケティング論に対しては , 基礎書の学習で対応 ないので , 不適切となる。 できるものが中心であるが , 一部はマーケティングの 「ウ」は PB の略称についてである。プライベート 動向から出題されている。今年では , プライベートプ プランドの略称が PB となるのであり , パーソナルで ランドとサプライチェーン ( 物流 ) , サービス・マー はない。そのため , 不適切となる。 ケティングが該当する。より深い学習を求める問題が 「エ」は品揃えとの関係である。 PB 導入にあたり , あることも , 頭に入れておく必要があろう。 小売業者は PB の構成比率を考慮する必要がある。 PB 選択肢は昨年同様 4 択である。 14 問中 , 第 29 問の設 の比率が高まることが , 品揃えの幅を狭めてしまい , 問 1 のみ 5 択である。 4 択では , 1 つの文章の中に適 図表 1 領域別出題数 平成 27 年度平成 26 年度平成 25 年戸平成 24 年度平成 23 年戸 0 1 3 2 2 2 0 3 マーケティンク論 二 1 ロ 出題領域 マーケティングの基礎概念 マーケティング計画と市場調査 消費者行動 製品計画・製品開発 価格設定 流通チャネルと物流 プロモーション 応用マーケティング 叉 0 1 ・ 0 (C) 1 っ 4 つ」へ 0 叉 0 乙へ 0 っ 0 1- 0 1 へ 0 0 叉 0 4- 00 1- 0 1- 4 0 = = ロ 129 企業診断 2015 / 10
〇の問題は , 不安の原因を特定し , 弱点を克服 することで , 次回は自信を持って正答できるレベ ルにする必要があります。したがって , 「選択肢 を選ぶ判断基準があいまいだったのか ? 」 , 「問題 要求の意図を捉え切れなかったのか ? 」 , 「知識が 不足していたのか ? 」 , 「論理的に解答を導けなか ったのか ? 」といった視点で , 修正すべきプロセ スを模索します。 △の問題は , 基本的な知識は備えているはずで すから , そのうえでミスの原因を特定します。 「計算間違いなどの解答プロセス上のケアレスミ ス」 , 「選択肢を読み違えてしまった , 解釈を間違 えたなどの読解工ラー」 , 「勘違いや思い込みで解 答してしまった判断ェラー」 , 「〇を選ぶべき問題 で x を選んでしまったなどの問題要求無視ェ ラー」といった原因が考えられます。 x の問題は , 原因が多岐にわたります。ますは , 「問題で問われている論点の知識を , ある程度は 備えていたか ? 」を判断しましよう。知識を持ち 合わせていなかったのであれば , 新たにインブッ トすれば良いですし , 知識を備えていたのであれ ば , 〇の問題と同様にプロセスを振り返り , 修正 点を模索しましよう。 実際には , このような振り返りを行わすに次年 度の対策を開始する方が後を絶ちません。なぜな ら , 人は自分の痛みから目を背けたいという特性 を持っているからです。しかし , こで誠実に自 分の痛みと向き合うことで , 本試験を受けた経験 から弱点をあぶり出すことができ , それが次年度 の学習計画立案のべースとなります。 今年の 2 次筆記試験に 4 回目の挑戦予定です。 いまだに , 模試などの結果に多少バラつきが あり , 残り時間を何に費やすべきかで悩んで います。 大切なのは絶対値の「点数」ではなく , 相対値 の「順位」や「 ABCD 評価」です。点数は試験の 企業診断 2015 / 10 難易度に左右されますので , あまり気にする必要 はなく , 上位 20 % , もしくは A ランクをコンスタ ントに取れていれば , まったく問題はありません。 何よりも大切なのは , 「得点すべき箇所で , モ レなく得点できたか ? 」という視点です。得点す べき箇所とは , 与件文に根拠が明示されている解 答要素や , 出題バターンとして定番の要素です。 このような箇所は , 合格レベルの受験生は確実に 得点しますので , 本試験では落とせません。です から , この視点でこれまで解いた問題を振り返り , プロセスを修正していくと良いでしよう。逆に 与件文に根拠がほとんど書かれていない問題や , 複数解釈が成り立ってしまう計算問題などは , た いていの受験生が対応できす , 差はっきません ( 毎年 , 事例、の計算問題で全問に正答できる方 は , きわめて少ないです ) 。 また , 今年の 1 次試験の財務・会計の問題で , 2 次試験の出題領域と重なるものは確認しておき ましよう。 1 次試験と同様の論点が 2 次筆記試験 でも出題された前例があるからです。 最後に , これまで 2 次筆記試験で何度も悔しい 思いをされてきた方へ。それでもあきらめずに学 詮断 / 車珈企産力ィ誉 0 宿田一とが・月上・第・・川・・日第画 翌の達人が教える合格の物課 88 習を継続してきた努力は , 必す報われます。 「中小企業診断士試験攻略ガイド待ってろ , 診断士 ! 験の達人が教える合格の秘訣 88 」 A5 判 280 ページ本体 2 , 0 円十税 津田まどか・井上龍司・長谷川敏・日景聡著 津田まどか監修 受 95