( 設問 2 ) 株主総会の招集通知を発する期間は , 機関設計等に よって異なっている。具体的には , 下記のとおりであ る ( 会社法 299 条 ) 。 書面または 電磁的方法 非公開会社 取締役会取締役会 による議決 権行使 認める 認めない 非設置会社設置会社 株主総会の日の 2 週間前まで 株主総会の 日の 1 週間株主総会の 前まで日の 1 週間 ( 定款で短前まで 縮可能 ) 公開会社 株主総会の 日の 2 週間 前まで 本問の前提は , 非公開会社かっ取締役会設置会社で あるから , 表より株主総会の日の 1 週間前までに招集 通知を発送しなければならない。なお , 取締役会設置 会社においては , 通知は書面または電磁的方法で発し なくてはならないが , 取締役会非設置会社においては , 通知は口頭でもよいことを併せて覚えておきたい。 よって , 「イ」が正解である。 ( 設問 3 ) 自己株式の取得には , 株主全員に譲渡の勧誘をする 方法 ( 本設問の① ) と特定の株主から取得する方法 ( 本設問の② ) がある。 ①においては , 株主総会の普通決議で , ( 1 ) 取得する 株式の数 , ( 2 ) 株式を取得するのと引換えに交付する金 銭等 , ( 3 ) 株式を取得することができる期間 ( 1 年以 内 ) を決定する ( 会社法 156 条 ) 。 一方 , ②においては , 株主総会の特別決議で , 上記 ( 1 ) から ( 3 ) と , ( 4 ) 譲渡人となる株主を決定する ( 会社法 160 条 , 同 309 条 2 項 2 号 ) 。また , 譲渡人とされた以 外の株主は , 自己を譲渡人に加えることを請求できる。 ②において特別決議が必要とされるのは , 特定の株主 から恣意的に自己株式を取得できると会社支配の不公 正が生ずる可能性があるため , 要件が加重されている。 なお , これらを正確に記憶していなくても , 特定の 株主から自己株式取得を行う場合には他の株主を保護 する必要が生ずることから , 要件がより重いと想像で きる ( 未知の問題に遭遇した場合でも , 論理的に考え ることで正解にマークする確率を上げたい ) 。 よって , 「エ」が正解である。 第 3 問 ( 設問 1 ) 独占禁止法は , 公正で自由な競争を促進するため , 企業診断 2015 / 11 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー 私的独占 , 不当な取引制限及び不公正な取引方法の各 類型にあてはまる行為を禁止している。 ア x : 抱き合わせ販売とは , ある商品の供給に合わ せて , 他の商品を自己または自己の指定する事業者 から購入させる等を強制することをいう。抱き合わ せ販売は , 公正取引委員会の告示 ( 一般指定 ) の中 で , 「不公正な取引方法」にあたるとされている ( 選択肢「イ」の解説を参照 ) 。 イ〇 : 不公正な取引方法とは , 公正な競争を阻害す るおそれがある行為をいい , 独占禁止法 2 条 9 項に 定義されている。その 1 っとして , 再販売価格の拘 束がある ( 同法 2 条 9 項 4 号 ) 。 なお , 不公正な取引方法については , 同法 2 条 9 項 6 号に基づき公正取引委員会が告示する「一般指 定」 ( すべての業種に適用される ) と「特殊指定」 ( 特定の業界を対象とする ) がある。このうち , 「一般指定」には , 不当廉売 , 抱き合わせ販売 , 排 他条件付取引等 15 種類がある。 ウ x : 不当な取引制限とは , 他の事業者と共同して 対価を決定する等 , 競争を実質的に制限する行為を いう ( 独占禁止法 2 条 6 項 ) 。一般にカルテルや談 合と呼ばれるものが , これに該当する。 工 x : 優越的地位の濫用とは , 自己の取引上の地位 の優越を利用して , 不当に当該取引に係る商品また は役務以外の商品または役務を購入させる等の行為 をいう。優越的地位の濫用も , 「不公正な取引方法」 の 1 類型である ( 独占禁止法 2 条 9 項 5 号 ) 。 ( 設問 2 ) ア〇 : 私的独占 , 不当な取引制限及び一定の不公正 な取引方法については , 違反事業者に対して課徴金 納付命令が出される。 イ〇 : 公正取引委員会は , 排除措置命令等の法的措 置をとるに足る証拠が得られなかった場合であって も , 違反するおそれがある行為があるときは , 関係 事業者などに対して「警告」を行い , その行為を取 りやめること等を指示する。 ウ〇 : 公正取引委員会は , 違反行為をした者に対し , その違反行為を除くために必要な措置を命ずる。 れを「排除措置命令」という。 ェ x : 不当な取引制限や私的独占をした者は , 5 年 以下の懲役又は 500 万円以下の罰金に処せられ ( 懲 役と罰金は併科できる ) , 法人等に対しては 5 億円 以下の罰金の両罰規定がある。しかし , 不公正な取 引方法については刑事罰はない。さらに , 刑事罰は 公正取引委員会ではなく , 裁判所が科すものである。 117
のような紛らわしい選択肢に引っかからないように してほしい。 ウ x : 他人の商品表示として需要者の間に広く認識 されているものと同一の商品表示を使用し , 他人の 商品又は営業と混同を生じさせる行為は , 同法が禁 止する周知表示混同惹起行為 ( 2 条 1 項 1 号 ) にあ たる。しかし , 他人の商品又は営業と混同を生じさ せないのであれば , 不正競争行為にはならない。具 体的な混同の防止手段としては , 広告や商品パッ ケージ等に「当社は〇〇とは関係ありません」と明 示すること等が考えられる。 工〇 : 競争関係にある他人の営業上の信用を害する 虚偽の事実を告知し , 又は流布する行為は , 同法で 不正競争行為とされている ( 2 条 1 項 14 号 ) 。 第 10 問 他者から商標権侵害に関する警告状が届いた場合の 対応について , 質問への回答形式で問う問題である。 ア〇 : 判定制度とは , 特許発明や実用新案の技術的 範囲 , 登録意匠や類似意匠の範囲 , 商標権の効力の 範囲について , 特許庁が判定対象の権利侵害の可能 性について , 厳正・中立的な立場から判断を示す制 度である。特許庁の判定には法的拘束力はないが , 実務上は権威ある判断として扱われるため , 判定を 求める意味はある。 イ〇 : 実際に使用していない商標をいつまでも登録 しておくべきではないという考え方に基づき , 不使 用取消審判制度が設けられている。商標権者が継続 して 3 年以上 , 登録商標を指定商品に使用していな い場合 , 第三者がその登録の取消を求めることがで きる ( 不使用取消審判 , 商標法 50 条 ) 。このため , 商標 B が 3 年以上不使用の状態かどうかを調べる 実益がある。 ウ x : 商標法で定める不登録事由がないかを調べ , あれば特許庁に対して異議申立てを行うこと自体は , 自社の利益を守る方策の 1 つである。しかし , 商標 登録異議申立書の提出期限は , 商標公報の発行の日 から 2 カ月である ( 商標法 43 条の 2 第 1 号 ) 。本 問では , 商標 B の登録は 5 年前とあり , この時点 で登録異議申立てを行うことはできない。 工〇 : このような警告を受けた場合 , まず行うべき ことは , 警告者が本当に当該商標について , 自社の 商品・役務と同一または類似の指定商品・指定役務 に関する登録を受けているかどうかを調査すること である。商標登録原簿には , 商標の登録年月日 , 指 定商品 , 登録名義人 , 専用使用権および通常使用権 120 の設定などが記載されており , 特許庁へ申請するこ とにより閲覧および交付を受けることができる。 第 1 1 問 地域の特産品およびそのキャラクターの保護につい て , 会話形式で問う問題である。設問 1 は , 平成 26 年 の法改正に関する内容である。 ( 設問 1 ) 空欄① : 地域団体商標とは , 地域の事業協同組合や 農業協同組合などが , 地域プランドを用いて他地域の 商品・サービスと差別化し , 地域産業の活性化や地域 おこしに役立てることを目的に , 平成 17 年の商標法改 正 ( 平成 18 年 4 月 1 日施行 ) で設けられた制度である。 地域団体商標は , 上述の制度趣旨から , 地域の名称と 商品または役務の名称の組み合わせからなることが要 件の 1 っとされる ( 例 : 「今治タオル」 ) 。 制度導入当初 , 地域団体商標の登録主体は , 法人格 を有する事業協同組合や特別の法律により設立された 組合に限られていた。その後 , 平成 26 年の商標法改正 で , 地域プランドのさらなる普及・展開を図るため , 近年新たな地域プランド普及の担い手となっている商 工会 , 商工会議所及び NPO 法人が地域団体商標制度 の登録主体に追加された。 よって , 「商工会議所」が入る。 空欄② : 商標法 7 条の 2 は , 地域団体商標の登録要 件について「その商標が使用をされた結果自己又はそ の構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものと して需要者の間に広く認識されているとき」と定めて いる。 この「需要者の間に広く認識されている」について , 特許庁「商標審査基準」は , 商品又は役務の種類及び 流通経路等に応じた類型ごとに判断されるとする。 のうち , 比較的低価格で日常的に消費される食品につ いては , 地域が属する都道府県を越える程度の範囲に おける , つまり , 隣接都道府県までの多数の需要者の 間に広く認識されていれば足りるとされる。 よって , 「隣接都道府県」が入るため , 「イ」が正解 である。 ( 設問 2 ) 空欄③ : あなたの第 3 発言「キャラクターのデザイ ンや絵柄の創作を保護する」から , 「文芸 , 学術 , 美 術又は音楽の範囲に属する , 思想又は感情の表現であ る創作的な表現」を保護する制度である「著作権」が 入る。なお , キャラクターそのものは著作物ではない ので , 類題で問われた際には間違えないようにしてほ しい。 企業診断 2015 / 11
例年 , 経営戦略論およびマーケティング論では , 基 礎性の高い頻出論点からの出題や , 組織論ではやや専 門性の高い出題など , 正答の選択に難渋する出題 , 細 部にわたる記憶力を要する出題があったが , 本年度も そうした傾向に大きな変化はない。昨年度と比較する と , 本年度は経営戦略論がわずかに難度が上がり , 組 織論はやや難度が下がっている。例年 , 難度が大きく 変化してきたマーケティング論は , 本年度はかなりの 幅で下がっている。戦略論は難度が低い基礎的な出題 など , 過去における高頻度出題が若干少なくなって , やや難度が高い出題が増えた印象をもつ。 しかし , 難度の若干の上昇の原因は , 新規性の高い 出題が増えたわけではなく , 正答と容易に誤認させる ような選択肢文が複数あったことである ( たとえば , 第 5 問 , 第 8 問設問 2 , 第 10 問 ) 。よく考えられた出 題とも言えるが , 難度を引き上げたとも言えよう。 これまで組織論では , 特に一昨年度のように , かな り難度の高い出題と比較的平易な出題とが混在してい たが , 本年度は難度が中位の出題が増えた印象である。 一昨年度 , 昨年度と E ランクの高難度出題が相対的 に多い分野であったが , 本年度については大幅に減っ ている。他方 , A, B ランクのような基礎的・高頻度 出題もまた少なくなり , 中位難度 (c ランク ) の出題 が大半を占めるようになっている。 例年 , 数題は見られた新規性のある出題は , 本年度 はほとんどなかったが , 基本的なテキスト中心の学習 では初見となる用語が複数あった。たとえば , 心理的 契約 (psychological contracts) のように , 日本語訳 で異なった言葉の研究があること , 研究によって概 念・解釈に多様性があること , 同義で別の用語が従来 から使われていたこと ( たとえば , 慣行 ) , などのた めに , 正答選択にあたって迷いの要因となるケースも あった。他方 , 例年の出題で見られた選択肢文の曖昧 性は減少し , 基礎的な知識と一般的な読解力があれば 正答選択が比較的容易な出題が多かった。 組織論で注目しなければならない点は , 人的資源管 理 , 労働法令関連からの出題である。本年度の場合は , 昨年度 2 題出題された人的資源管理領域からの出題が その姿を消し , 労働法令領域から 4 題出題されている。 ところが , この労働法令関連の出題の配点が引き下げ られ ( 4 題で 8 点 ) , 難度も中位の出題が増えている。 これまで , 本講評でも度々指摘してきたように , 労 働法令関連領域からの出題については , 社会保険労務 士試験のような詳細な知識の記憶を必要とする出題が 目立っていたが , 本年度は見られなかった。 企業診断 2015 / 11 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士衄】実力養成セミナー マーケティングでも , 難度の低下・中位化の傾向を 指摘できる。昨年度の場合 , 各ランクからほば均等に 出題されていたが , 本年度は A , B ランクの出題が全 体の過半を占めている。特に事例問題が少なくなった こと , 出題文・選択肢文の分量がやや減少したことで , 解答時間の圧力は下がっている。出題テーマ・論点の 基礎性 , 一般性が高くなり , テキスト中心の学習でも 対応できる出題が大半であった。 【難易度別設問数】 A ランク B ランク C ランク D ランク 15 問 5 問 5 問 13 問 【基礎性の高い出題】 ・経営戦略論 : 第 1 問 , 第 2 問 , 第 3 問 , 6 問 , 第 7 問 , 第 8 問 ( 設問 1 ) ・組織論 : 第 20 問 , 第 21 問 E ランク 3 問 第 4 問 , 第 ・マーケティング論 : 第 26 問 ( 設問 1 , 設問 2 ) , 第 27 問 , 第 28 問 , 第 29 問 ( 設問 1 ・設問 2 ) , 第 31 問 ( 設問 1 ・設問 2 ) , 第 33 問 ( 4 ) 連営管理 本年度の出題数は 44 問であり , これは例年との比較 ではやや多いものの , 出題文のポリュームは例年より 増えていないため , 大きな負担になっていない。むし ろ , 平易で簡単な出題が増えている。 この科目は , 生産管理と店舗販売管理の 2 つの出題 分野から構成されているが , 相互の関連性はあまりな いため , 2 つの科目を合同したものと位置づけられる。 生産管理からは 22 問 , 店舗販売管理から 22 問 ( 枝問を 含む ) と同数出題となっている。 難度については , 本年度はやや下がってきている。 個別的な出題を難度別に類別してみると , 基礎的で平 易な出題 (), B ランク ) にすべて正答できれば , 合 格点の凌駕が容易となっている。他方 , 難度の高い (), E ランク ) 出題については , 昨年度比で大きな 変化はなかった。つまり , 難度中位の出題が減少して いることになる。科目合格は相対的に容易だったが , 全体の平均点を押し上げるほどではなかったと言える。 下記のように , A, B ランクの出題 ( 25 問 ) のすべ てに正答し , 他のランクの出題 ( 19 問 ) のうち 2 ~ 3 問に正答すれば , 合格点に達することになる。両部門 間の難度格差は大きくはないが , 平易で基礎的な出題 の比率から判断すると , 生産管理よりも店舗販売管理 のほうが , やや難度が低かったと思われる。 本年度の生産管理では , 基本的な生産管理用語 , レ イアウト , 生産方式 , VE, IE, 発注方式 , 設備管理 145
( 相続 : 80 % 分 , 贈与 : 100 % 分 ) 制度である。事業 第 27 問 グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付に関する 承継税制の対象は , 経済産業大臣の認定を受けた非上 場中小企業の後継者である。 出題である。 ァ x : 貸付限度額は , 1 貸付け当たり「 1 億円」で よって , 「エ」が正解となる。 ( 設問 2 ) はなく「 5 億円」である。 事業承継税制の内容に関する出題である。 イ x : GNT 支援貸付の対象となる資金使途は , 次 事業承継税制の対象者は , 次の 2 点の支援措置が受 のように定められている。 ①海外現地法人に対する出資金 けられる。 ②海外現地法人の事業運営に必要な設備の新増設 , ①非上場株式に係る贈与税の納税猶予・免除 更新 , 改良 , 補修及び無形固定資産の取得等のた 後継者が , 先代経営者 ( 贈与者 ) から非上場会社の めの設備資金又は海外現地法人の事業運営に必要 株式の贈与を受け , 一定の要件を満たす場合は , 贈与 な運転資金の転貸 ( 親子ローン ) 前から後継者が既に保有していた議決権株式を含め , ③自社製品の海外販売を増加させるための設備資金 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの部分 ④自社製品の海外販売を増加させるための研究開発 について , 贈与税の全額の納税が猶予される。納税が 費 猶予された贈与税額は , 先代経営者又は後継者の死亡 よって , 「国内子会社に関する出資金」は対象外。 等により , 納税が免除される。 ②非上場株式に係る相続税の納税猶予・免除 ウ x : GNT 支援貸付の対象者は , 自社製品・サー 後継者が , 先代経営者 ( 被相続人 ) から相続等によ ビスのグローバルシェア拡大を目指し , 海外拠点の 設立又は拡大並びに海外向け販路拡大等を行う事業 り非上場会社の株式を取得し , 一定の要件を満たす場 合は , 後継者が相続前から既に保有していた議決権株 計画 ( 商工中金が適当と認めたものに限る。以下 , 海外事業計画 ) を有するもので , 次の a , b のいす 式を含め , 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達する までの部分について , 課税価格の 80 % に対応する相続 れか , かっ , c, d の要件を満たすものである。 a 今後 3 年間の海外事業計画が作成され , かっ , 税の納税が猶予される。納税が猶予された相続税額は , 直近の事業年度における海外向け売上高比率が 10 後継者の死亡等により , 納税が免除される。 % 以上であり , 当該海外事業計画期間中の海外向 よって , 「イ」が正解となる。 第 25 問 け売上高が 5 % 以上増加していること。 b 今後 3 年間の海外事業計画が作成され , 当該海 雇用調整助成金に関する出題である。 外事業計画期間中の海外向け売上高比率が 5 ポ ア〇 : 教育訓練を行う場合 , 訓練費として 1 人 1 日 イント以上増加していること。なお , 商工中金が 当たり 1 , 200 円の加算がある。 認めた場合は , 5 年間で達成する海外事業計画の イ〇 : 記述のとおりである。 ウ x : 中小企業の場合 , 助成率は休業手当または賃 作成も可とする。 c 自社製品・サービスについて , 日本国内におい 金相当額の「 5 分の 1 」ではなく「 3 分の 2 」であ て一定のシェアを確保していること又は高い技術 る。 工〇 : 雇用調整助成金は , 年間の支給限度日数が定 カ・商品力を有していること。 d 日本国内において事業活動拠点 ( 本社 ) が存 められている ( 1 年間で 100 日 , 3 年間で 150 日 ) 。 よって , 「ウ」が不適切であり , 正解となる。 続すること。 したがって , 自社製品について , 海外において一 第 26 問 定のシェアを確保しているかどうかは関係ない。 事業協同組合に関する出題である。 ア x : 記述の内容は企業組合に関するものである。 工〇 : 記述のとおりである。 よって , 「エ」が正解となる。 イ x : 記述の内容は企業組合に関するものである。 第 28 問 ウ〇 : 記述のとおりである。 ェ x : 事業協同組合の根拠法規は , 「中小企業団体 ものづくり・商業・サービス革新事業に関する出題 の組織に関する法律」ではなく「中小企業等協同組 である。 ( 設問 1 ) 合法」である。 ものづくり・商業・サービス革新事業における「も よって , 「ウ」が正解となる。 企業診断 2015 / 11 138
幅広く問う問題である。 ア x : 著作権法は , 譲渡人を保護するため , 著作権 を譲渡する契約において第 27 条 ( 二次的著作物の翻 案権等 ) または第 28 条 ( 二次的著作物の利用権 ) に 規定する権利が譲渡の目的として特掲されていない ときは , これらの権利は , 譲渡した者に留保された ものと推定すると定める ( 同法 61 条 2 項 ) 。 したがって , 著作権の全部を譲渡するためには , 契約書で「全ての著作権 ( 著作権法第 27 条および第 28 条の権利を含む ) を譲渡する」等と規定する必要 がある。 イ〇 : 別段の定めがない限り , 法人等の従業者が職 務上作成し , 法人等の名義で公表される著作物の著 作権は , 法人等に帰属する ( 著作権法 15 条 ) 。著作 者人格権も法人等に帰属するため , 法人等は著作者 人格権に基づき当該著作物の改変行為の差止めを請 求できる。 ウ〇 : 平成 26 年の著作権法改正により , 電子書籍に ついても出版権を設定できるようになった。電子書 籍の出版権者は , 著作物を記録媒体 (CD-ROM 等 ) に記録された電磁的記録として複製し , または記録 媒体に記録された著作物の複製物を用いて公衆送信 ( インターネットで配信する等 ) する権利の全部ま たは一部を専有する ( 著作権法 80 条 1 項 ) 。その権 利に基づき , 電子書籍の出版権者は , 違法な電子書 籍の複製行為の差止めを請求できる。 工〇 : リバース・エンジニアリングとは , 競合する 他社が開発した新製品を分解・解析し , その原理・ 製造技術などの情報を獲得して自社製品に応用する ことをいう ( 三省堂・大辞林第三版 ) 。リバース・ 工ンジニアリングを禁止する旨を当事者間の契約で 定めることは , 独占禁止法の「不公正な取引方法」 ( 拘東条件付取引 ) 等に当たらない限り , 適法とさ れている。 第 15 問 外国企業への生産委託について , 技術情報の流出防 止対策と , 生産委託の手法としての契約形態が問われ ている。 空欄 A : 問題文の「第三者による重要な生産技術の 利用を防ぐ上で」一定の効果があり , 「権利を取得す る前に生産方法の公開により技術的なノウハウが広く 全世界に流出してしまう」という記述から , 技術情報 を対象とする「特許権の取得」があてはまる。 空欄 B:OEM ( 委託者のプランドで製品を製造す ること , またはそのような製品を製造する事業者を意 122 味する ) を進化させたものとして , 製品の設計段階か ら製品開発 , マーケティングに至るまで受託者が一貫 して提供する形態の名称が問われている。 製造だけでなく企画や設計 , デザインなどの段階か ら請け負う形態は , ODM (OriginaI Design Manufacturing または Original Design Manufacturer の略 ) と呼ばれる。 ODM では , 受託者が企画や設計段階から担当するため , 受託者の技術レベルが委託者と同水準 , またはそれ以 上の高い水準にあることが基本的な条件である。問題 文の説明に合致し , 空欄 B には「 ODM 」があてはまる。 なお , 「ア」の「 FMS 」は多品種・小口ット生産に 対応した柔軟な生産システム , 「イ」の「 EMS 」は他 メーカーから受注した電子機器の受託生産を専門に行 う企業 , 「ウ」の「 ODF 」はオフィスソフトの扱う文 書ファイルを保存するためのファイル形式を , それぞ れ意味している。 よって , 空欄 A は「特許権の取得」 , 空欄 B は 「 ODM 」が適切であるため , 「エ」が正解である。 第 16 問 ( 設問 1 ) 英文の共同研究開発契約書のある条項を読ませ , そ の主旨を問う問題である。英文の和訳は以下のとおり である。 1 . 本契約の期間中 , 本契約に競合する , いずれかの 当事者と第三者との共同研究もしくは開発 ( また はその両方 ) は , 事前に相手方の書面による同意 なくして行うことができない。 2 . 本契約の終了は , 前項に定める義務に影響を与え ない。 したがって , 両当事者間の競業避止を意味する 「 Non-competition 」が最も適切であるため , 「イ」が 正解である。 なお , 「ア」の「 ConfidentiaIity 」は「機密性」 , 「ウ」 の「 Non—delegation to a third party 」は第三者に委任 しないこと , 「エ」の「 Obligation upon Termination 」 は契約終了時の義務を , それぞれ意味している。 ( 設問 2 ) わが国で競業避止など競争の制限について定める法 律は , 独占禁止法である。 公正取引委員会は , 契約終了後に競争品の取り扱い を制限することは , 事業活動を拘束して市場への参入 を妨げるものであり , 原則として独占禁止法上問題と なるとする。ただし , 秘密情報 ( 販売ノウハウを含 む ) の流用防止その他正当な理由があり , かっそれに 必要な範囲内で制限するものである場合には , 原則と 企業診断 2015 / 11
ただ , 第 9 問は産業集積に関する出題であったが , この内容はここ数年の白書で取り上げられたことがな かったため , 前年度の白書中心の学習者にとっては 「都市複合型集積」の用語も目新しかったであろう。 また , これも例年の傾向でもあるが , この科目では 2 つの出題分野ともに枝問が多く , 配点が 2 点の設問 と 3 点の設問とが混在しているため , 受験時に自己の 得点を想定しながら解答に臨むことができない。 出題形式面では大きな変化はなかった。選択肢の適 切・不適切を判断する問題が過半を占めており , 続い て空欄補充形式の問題が多かった。昨年度 6 設問出題 された並べ替え形式問題 ( 第 3 問設問 2 , 第 6 問設問 1 ) は減少した。 また , この科目の場合 , 選択肢が 5 択の問題が多く , 4 択問題は 24 設問 , 5 択問題が 18 設問であった。 5 択 問題のほとんどが , 前半の中小企業経営に集中してお り , この点も前半の難度が相対的に高かった要因にな っていると言えよう。 科目別合格率で見ると , 難度が例年になく低かった 昨年度と比較しても , かなり合格率が下がっており , 難度が経年で平均的であった平成 25 年度 , 平成 24 年度 と比較してもやや高くなっている。経営情報システム ほどではないものの , 相対的な難度はやや高いと言え よう。それでも , 基礎性が高く , 高頻度で出題されて きたような問題にしつかりと対応できていれば , 合格 点の確保はさほど困難ではなかったと推察している。 出題分野別に見ると , 前半の中小企業経営で難度が やや高くなり , 中小企業政策は昨年度並みの難度であ ったように推察できる。したがって , 科目別合格率の 低下は , 中小企業経営における出題の難化によるもの と言えよう。 そもそも昨年度の白書は , これまでになく掲載デー タ量が多く , ページ数も増えている。政府の経済政策 の重点対象となっていることもあってか , 白書そのも ののも論点が多岐化し , 分析や解析も丁寧になってい る。したがって , 必要学習量も増えてしまうため , ど うしても個々の論点・テーマの掘り下げが希薄となっ てしまうのであろう。 本年度は , 白書掲載のデータの中でも特に中小企業 庁による調査 ( 委託調査 ) ではなく , 他の官公庁によ る公的調査データがより多く素材として使われていた ことが注目される。白書そのものも独自データだけで はなく , ほかのさまざまな 2 次的統計・アンケートな どを駆使して分析が加えられているため , 中小企業庁 独自調査だけを理解しているだけでは対応できない。 企業診断 2015 / 11 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士試験】実力養成セミナー できるだけ , 論点の多様化に配慮しつつ , 論点ごとに 現状 , 推移 , 予測 , 要因 , 対策などを構造的に理解す る必要がある。 さらに , 第 7 問の出題は 2013 年度版白書によってお り , 前年度版白書からの出題ではなかった点で , 難度 上昇に影響を与えたのではないかと推察できる。 前年度版白書を素材とする出題が多いということは , 当然の結果として , ごく最近の実情・実態・傾向が問 題となっている。それ以前の段階において , 一般的で あった事実を前提にすると , 正答選択に失敗する。 たとえば , 第 3 問設問 3 は , 海外子会社の地域別構 成割合について , 大企業と中小企業とに分けて , もっ とも比率の高い地域を選択させている。大企業の場合 , かっては北米で子会社を進出させることが多かったが , 最近は中国を除くアジアとなっており , 中小企業の場 合には中国となっている。かっての常識が変わってき ていることを重視しなければならない。 他方 , 中小企業政策における難度はあまり変わって はいない。この分野では , 過去において高い頻度で出 題された基本的な論点・施策が , 本年度も多く出題さ れているためである。この分野からは全部で 21 問出題 されているが , その 3 分の 2 は高頻度出題の基本施策 からの出題であった。 しかし , 中小企業政策は動態的であり , 新規立法や 法改正が相次いでいることから , 新たな動向は常にチ ェックしておきたい。本年度も , 第 14 問において平成 25 年成立の「小規模企業活性化法」が出題されており , 設問 2 では平成 26 年の「小規模企業振興基本法」一部 改正も取り上げられている。 また , 論点・施策としては基本的なものであっても , 施策の主旨・目的・基本的内容だけではなく , 対象や 内容にかかわる数値を押さえておくと , より高得点を 得られるだろう。本年度では , 第 18 問 ( 交際費の損金 算入特例 ) , 第 19 問 ( 日本政策金融公庫の「女性 , 若 者 / シニア起業家支援資金」 ) などがそれに該当する。 【難易度別設問数】 A ランク B ランク C ランク D ランク E ランク 1 1 問 6 問 【基礎性の高い出題】 ・中小企業経営 : 第 3 問 ( 設問 1 ) , 第 4 問 , 第 5 問 ( 設問 1 ) , 第 7 問 , 第 10 問 , 第 12 問 ・中小企業政策 : 第 13 問 , 第 14 問 ( 設問 1 ) , 第 15 問 ( 設問 1 , 設問 2 ) , 第 18 問 , 第 19 問 , 第 21 問 , 第 22 問 , 第 23 問 , 第 24 問 ( 設問 2 ) , 第 26 問 , 第 28 問 ( 設問 2 ) 149
え , 計算が不得意な受験者にとっては , 時間内解答が 難しい科目であることは否定できない。毎年度 , 手 数・検算を要する計算問題が多く出題されているため , 「時間との戦い」という科目特性を考慮しておきたい。 A および B ランクの設問が 13 問あったため , それ らすべてを正答できれば 40 点の足切りは防げるが , 合 格点には到達しない。したがって , C ランクに類別し た第 2 問 , 第 3 問 , 第 5 問 , 第 10 問 ( 設問 2 ) , 第 12 問 , 第 17 問 ( 設問 1 , 設問 2 ) について , 正答できるかど うかがカギとなる。 ちなみに , 昨年度の設問別難易度類別では , A: 4 問 , B : 1 問 , c : 7 問 , D : 6 問 , E : 7 問であった。本 年度 , A—C ランクが増え , D—E ランクが減ったこ とで , 難度が低下したと言えよう。 分野別の難度については , 例年の傾向がほばそのま ま引き継がれている。これまでと同様に , 管理会計と ファイナンスで得点を積み上げ , 計算問題の多い制度 会計のうち , 基本的で必要計算量が少ない問題でどれ だけ得点できたかが , 合否を分ける。要は , 日商簿記 2 級程度の実力があれば , 管理会計・ファイナンスの 2 分野で基礎的な学習を履行しておくことで , 合格点 を確保できるだろう。 制度会計では , 例年の出題と比較してやや基礎性の 高い出題が増えている。たとえば , 売上原価の計算 ( 第 1 問 ) , 原価計算 ( 第 6 問 ) , キャッシュフローの 考え方 ( 第 9 問 ) など , 簿記・会計の基本が出題され ており , 計算量も少なかった。 一方で , 複雑性の高い出題や , 過去問ではあまり見 られなかった領域からの出題もあった。本支店会計 ( 第 2 問 ) , 銀行勘定調整表 ( 第 3 問 ) などについては , 計算プロセスに戸惑うこともあったかもしれない。 とは言え , 第 2 問 , 第 3 問 , 第 5 問 ( 自己宛為替手 形 ) などは簿記の基本にかかわる出題であり , 簿記学 習者にとっては比較的容易に解答できるものである。 それぞれの処理について , その必要性と処理規則を理 解していれば , 計算そのものはあまり複雑ではないた め , 解答しやすい出題であった。 管理会計では , 例年高い頻度で出題されてきた領 域・テーマからのものが少なくなかった。たとえば , 経営分析 ( 第 11 問 ) , 損益分岐点売上高・損益分岐点 比率 ( 第 10 問 ) などは基礎性が高く , 出題頻度も高い。 ファイナンスでは , MM 理論 ( 第 13 問 ) や , 加重平 均資本コスト ( 第 14 問 ) , 証券投資論 ( 第 16 問 ) など , 過去の出題頻度が高い設問が多かった。もっとも , 第 17 問 ( 期待値と標準偏差 ) などは純粋に統計学からの 144 出題であり , 計算がやや複雑な出題もあった ( 過去に 期待値と分散とを問う出題はあった ) 。しかし , こう した出題は例外的であり , 標準的な教科書では掲載さ れていないような出題はかなり減少している。 【難易度別設問数】 A ランク B ランク C ランク D ランク E ランク 0 問 10 問 2 問 8 問 5 問 【基礎性の高い出題】 ・制度会計 : 第 1 問 , 第 4 問 , 第 6 問 , 第 9 問 ・管理会計 : 第 7 問 , 第 8 問 , 第 10 問 ( 設問 1 ) , 第 1 1 問 ( 設問 1 ) ・ファイナンス : 第 1 3 問 ( 設問 1 ・設問 2 ) , 第 1 4 問 , 第 16 問 ( 設問 1 ) , 第 19 問 ( 3 ) 企業経営理論 本年度は , 戦略論から 13 問 , 組織論 ( 人的資源管理 を含む ) から 14 問 , マーケティング論から 14 問出題さ れており , 3 つの分野がほば均衡している。例年 , の科目は受験者の得点が中央値付近に集中し , 大きな 偏差がない特質があるが , その中央値付近の得点では , 科目合格はやや困難であった。つまり , 難度 C クラ スの出題について正答選択を付加できなければ , 合格 は厳しいと言えよう。 また , 理論問題が多い特性もあって , この科目で高 得点が得られるような職業経験をもっている受験者も 少ないため , この科目で平均点の底上げを図るのも一 般的には困難だと思われる。本年度の場合には , した傾向がさらに強まっている。つまり , 出題そのも のの設問別難度を見ると , 平易な問題 , 高難度の出題 が減り , 逆に中位難度の出題が増えている。 全体の難度は , 科目別合格率から判断すると , 昨年 度 , 一昨年度よりやや下がっている。理由として , 例 年 , 組織論で見られた極端に正答選択が困難な設問が 減ったこと , 基礎的な知識があれば解答できる問題が 増えたこと , 相対的に高い頻度で過去に出題された領 域や論点からの設問が多く , 大方の受験生にとって初 見の出題があまり見られなかったこと , 出題文および 選択肢文の分量がやや少なくなり時間の圧力が低下し たこと , 事例問題のように応用カ・思考力が求められ る出題が減ったこと , などを指摘できる。 もちろん , 難度が下がったといっても , その差はわ ずかである。得点分散が狭まっているだけに , わずか な知識・能力の差異が合否を分ける。また , 本年度の 場合 , 特に戦略論で正答の一義性に戸惑うような選択 肢文があったことに注意しなければならない。 企業診断 2015 / 11
( 設問 1 ) 前述の法律の趣旨より , 空欄 A には小規模企業活 性化法 , 空欄 B には中小企業基本法が入る。 よって , 「ア」が正解となる。 ( 設問 2 ) ア〇 : 小規模基本法第 2 条 2 項に規定されている。 イ〇 : 小規模基本法第 2 条 1 項に規定されている。 ウ〇 : 小規模基本法第 13 条 5 項に規定されている。 工 x : 記述の内容は , 小規模基本法ではなく「小規 模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法 等の一部を改正する等の法律 ( 小規模企業活性化 法 ) 」に関するものである。 よって , 「エ」が不適切であり , 正解となる。 ( 設問 3 ) 小規模支援法の正式名称は , 「商工会及び商工会議 所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改 正する法律」である。 よって , 「ア」が正解となる。 第 15 問 ( 設問 1 ) マル経融資 ( 通常枠 ) に関する出題である。 ア〇 : マル経融資 ( 通常枠 ) の貸付期間は , 運転資 金 7 年以内 , 設備資金 10 年以内である。 イ〇 : マル経融資 ( 通常枠 ) の貸付限度額は 2 , 000 万円である。 ウ x : 金利は日本政策金融公庫の基準金利より低利 である。 工〇 : マル経融資 ( 通常枠 ) では , 日本政策金融公 庫の審査を経て , 融資が実施される。 よって , 「ウ」が不適切であり , 正解となる。 ( 設問 2 ) マル経融資 ( 通常枠 ) の融資対象になるための要件 に関する出題である。 ア x : 経常黒字が黒字でなくても , マル経融資 ( 通 常枠 ) の融資対象になる。 イ〇 : 記述のとおりである。 ウ x : 商工会・商工会議所の会員でなくても , マル 経融資 ( 通常枠 ) の融資対象になる。 ェ x : マル経融資 ( 通常枠 ) の融資対象になるため の要件は , 商工会・商工会議所の経営指導員による 経営指導を原則「 6 カ月」以上受けていることであ 136 JAPAN プランド育成支援事業に関する出題である。 第 16 問 よって , 「イ」が正解となる。 る。 ア〇 : 記述のとおりである。 イ x :JAPAN プランド育成支援事業は , ①戦略策 定段階への支援 , ②プランド確立段階への支援 , ③ プロデュース活動支援 , の 3 つであり , プランド維 持・強化は支援対象外である。 ウ〇 : 記述のとおりである。 工〇 : 記述のとおりである。 よって , 「イ」が不適切であり , 正解となる。 第 17 問 中小企業退職金共済制度に関する出題である。 ア x : 掛金は一部ではなく全額非課税となる。 イ〇 : 新規加入の事業主に対して , 加入後 4 カ月目 から 1 年間 , 加入している従業員の掛金月額の 1 / 2 ( 従業員ごとに上限 5 , 000 円 ) を国が助成する仕組 みがある。 ウ x : 退職金共済契約は , 独立行政法人中小企業基 盤整備機構ではなく , 独立行政法人勤労者退職金共 済機構と結ぶ。 工 x : 小規模企業共済制度と違い , 中小企業退職金 共済制度では , 事業資金などの貸付けは行っていな よって , 「イ」が正解となる。 第 18 問 中小企業における交際費の損金算入の特例に関する 出題である。 平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度より , 資 本金 1 億円以下の法人などに対する交際費の損金算入 の特例措置として , 支出した交際費等の 800 万円まで の金額または支出した飲食費の 50 % ( 上限なし ) のう ち , どちらかを選択して損金算入できるようになった。 よって , 「ウ」が正解となる。 第 19 問 日本政策金融公庫の「女性 , 若者 / シニア起業家支 援資金」に関する出題である。 「女性 , 若者 / シニア起業家支援資金」の対象は , 次の① , ②のいずれも満たす事業主である。 ①女性または 30 歳未満か 55 歳以上 ②新たに事業を始める事業主や事業開始後おおむね 7 年以内の事業主 ア〇 : 前述の①と②をいすれも満たしているため , 当融資制度の対象である。 イ x : 前述の①は満たしているが , ②を満たしてい ないため , 当融資制度の対象外である。 ウ x : 前述の①は満たしているが , ②を満たしてい ないため , 当融資制度の対象外である。 企業診断 2015 / 11
5 番目の項目である販売数で昇順に並べ替えている ため , 誤りである。 工〇 : 最後の並べ替えにおいて「 ORDERBY 販売 数 * 売価 DESC 」と売上金額を降順に並べ替えてお り , 正しい。 よって , 正解は「エ」である。 第 9 問 TCP/IP ネットワーク上の周辺機器や端末の通信状 態を調べるコマンドに関しての問題である。 ア〇 : 「 ping 」コマンドの説明である。 イ x : UNIX では「 traceroute 」 , Windows では「 tracert 」 コマンドの説明である。 ウ x : 「 arp 」コマンドの説明である。 工 x : 「バケットキャプチャ」の説明である。 よって , 正解は「ア」である。 第 10 問 ネットワーク技術に関する問題である。設問内の用 語の解説は下記のとおりである。 ・ LAN : 限られた一定の範囲においてコンピュータ やプリンタを接続し , データアクセスを行うネット ワークのことである。 ・ WAN : 広域通信網のことであり , 通信事業者のネ ットワーク網を通じて複数の LAN 同士を結び , 全 体として 1 つの大きなネットワークを形成している ものをいう。 ・ EDI: 企業や団体間での商取引の各種情報を標準的 な形式に統一して , ネットワークを介して電子的に 交換する仕組みのことである。 ・ VAN : 付加価値通信網のことである。データ通信 サービスの一種で , 単なる信号の送受信だけではな く , バケット交換やコード変換 , プロトコル変換 , データの形式変換などの付加機能を併せて提供する 回線ネットワーク・サービスのことである。 ・ IPS : サーバやネットワークへの不正侵入を阻止す るツールで , 侵入を検知したら接続の遮断などの防 御をリアルタイムで行うほか , 管理者への通知 ( ア ラート ) や , イベントの記録 ( ログ ) を取る。 ・ VPN : 複数のユーザが使用するネットワーク上に ューザごとの専用回線を仮想的に構築することで , 組織の拠点間での通信セキュリティを高めるために 利用される。 よって , A は「 LAN 」 , B は「 WAN 」 , c は「 VAN 」 , D は「 VPN 」となり , 適切な組み合わせは「イ」となる。 第 1 1 問 システムの性能に関する問題である。 企業診断 2015 / 11 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー 「スルーブット」とは , コンピュータが単位時間内 に処理できるデータ件数のことで , 回線速度や周辺機 器の処理速度などシステム全体のやり取りを通じ , 最 終的に処理がどれほどの速度で行われるかを評価する。 ア x : マルチタスクとは , コンピュータにおいて複 数のタスク ( プロセス ) を切り替えて実行すること である。多重度が高くても , 内部の CPU メモリなど , リソースの取り合いが生じることもあり , スループ ット時間が短縮するとは限らない。 イ x : スルーブットには , 主記憶装置 ( メモリ ) の データ書き換え速度だけではなく , 補助記憶装置 ( ハードディスク ) の回転速度 , オペレーティング システムの応答速度などの多様な要因が影響する。 ウ x : レスポンスタイム ( 応答時間 ) とは , コンピ ュータに指示を出してから , 最初の出力が出るまで の時間である。ターンアラウンドタイムとは , コン ピュータに指示を出してから , 出力が完了するまで の時間である。これらの反応速度に対し , スループ ットは処理速度であるため , 評価尺度が異なる。 工〇 : 記述のとおりである。 よって , 正解は「エ」である。 第 12 問 コンピュータの故障や障害への信頼性に関する問題 である。設問内の用語の解説は下記のとおりである。 ・フェイルセーフ : コンピュータに故障や障害が起き た場合を想定した設計をしておくことで , 実際に故 障や障害が起きた場合でも被害を最小限にとどめる 動作をさせる。例としては , 鉄道システムにおいて 列車の衝突事故を防止するための列車保安装置 (ATS) がある。 ・フォールトアポイダンス : 各部品の品質向上や十分 なテストを行うことにより , 情報システムの構成要 素の信頼性を向上させ , 信頼度の低い構成要素を除 去することで , 障害や故障を発生させない考え方の ことである。具体的には , 次のようなものがある。 ・構造化設計 : 個々の構成要素の設計やレビューを 大きな機能から小さな機能へと段階的に行って , 設計の品質を高める方法である。機能とデータに 着目して , トップダウン型のアプローチを取る。 ・ソフトウェアテスト : ソフトウェアの機能が仕様 の要求どおりに動作するかどうか , 意図しない動 作をしないかどうかを確認する作業である。ソフ トウェアテストには , ソフトウェアの内部構造 ( プログラムロジック ) に着目したホワイトボッ クステストや , ソフトウェアの入力と出力に着目 127
図表 2 科目別受験者数・合格者数・合格率 B : 基本的な理解・知識に加えて , ある程度の応用力 , 読解力があれば正答できる出題。大学学部の当該・ 科目 科目 難度 科目名 年度 合格率 又受験者数 合格者数 変化 類似科目で「 B 」 , 「良」以上の評価を得ていれば正 経済学・経済 27 15.49 答できる。 政策 26 13 , 398 19.41 25 12 , 18 2.13 C : 実際受験あるいは過去問解題で 50 ~ 65 点程度を獲 14 , 852 3 , 689 24.84 得できる人と同等の力量があれば正答できる出題。 財務・会計 27 12 , 649 4 , 666 36.89 26 12 , 784 784 6.13 大学学部の当該・類似科目で「 A 」 , 「優」の評価を 25 14 , 343 2 , 374 16.55 24 14 , 213 534 3.76 得ていれば正答できる。 企業経営理論 27 12 , 628 2 , 105 16.67 D : 実際受験あるいは過去問解題で 66 ~ 75 点程度を獲 26 1 3 , 796 1 , 849 13.40 25 13 , 71 1 935 6.82 得できる人と同等の力量があり , 出題科目 7 科目中 24 1 3 , 926 1 , 741 12.50 2 科目以上の領域で一定の実務知識・経験があれば 27 1 1 , 848 2 , 424 20.46 26 1 2 , 838 2 , 288 17.82 正答できる出題。 25 12 , 592 1 , 323 10.51 24 13 , 563 2 , 630 19.39 E : 設問について的確で豊富かつ高度な知識・理解が 27 1 2 , 454 1 , 419 11 .39 あり , また読解カ , 思考カ , 実務経験・知識が豊か 26 12 , 153 1 , 263 10.39 25 1 2 , 585 2 , 655 で , 80 % 以上の確率で設問に正答できる力量があれ 24 1 2 , 936 2 , 341 18.10 ば正答できる出題。 経営情報シス 27 1 1 , 172 716 6.41 テム 10 , 031 1 , 502 14.97 受験者の設問ごとの解答結果データが公表されてい 25 1 1 , 623 6 , 021 51.80 ないため , わが国の 4 年制経営・商学部で履修する当 24 11 , 145 2 , 880 25.84 中小企業経 27 10 , 571 1 , 290 12.20 該・類似科目の教育水準を基準に評価した。過去問学 営・中小企業 26 1 2 , 283 3 , 826 31 .15 政策 習において , ますは特定年度の過去問を実際試験と同 25 13 , 210 2 , 229 16.87 24 1 4 , 088 2 , 455 17.43 様の条件で解いて自己採点し , この設問別難易度分類 注 : 「科目合格者」数には「試験合格者」は含まない。 を参考にして , その段階における自己能力を判断して , 運営管理 , 経営法務 , 企業経営理論など , 年度間の 学習計画を立てていただきたい。 難易度格差があまり大きくない科目がある一方で , 財 繰り返し述べてきたように , この資格試験の学習で 務・会計や経営情報システムの年度間難易度格差の大 は過去問学習が大きな意味をもつ。学習進行のそれぞ きさは目立つ。注目すべきは , 全体の難易度だけでは れの段階において , 過去問を実際環境 , つまり何も参 なく , 科目別の難易度格差 , 難易度の年度変動である。 照しないで同じ時間で解いてみることによって , それ 科目別に難易度を高合格率順に見る ( 括弧内は平成 ぞれの段階における科目別の理解水準を把握でき , 学 26 , 25 , 24 年度の順 ) 。①財務・会計 ( 7 位 , 4 位 , 習計画に応用できる貴重な自己情報を獲得できよう。 7 位 ) , ②運営管理 ( 3 位 , 5 位 , 3 位 ) , ③企業経営 また , 科目別合格率との差異にも注目する必要があ 理論 ( 5 位 , 6 位 , 6 位 ) , ④経済学・経済政策 ( 2 位 , る。実際受験者母集団の合否結果と自己能力との差異 7 位 , 2 位 ) , ⑤中小企業経営・政策 ( 1 位 , 3 位 , から , 科目別受験者集団および受験者 ( 受験希望者 ) 5 位 ) , ⑥経営法務 ( 6 位 , 2 位 , 4 位 ) , ⑦経営情報 個々の得意 , 不得意領域を知り , 学習に活かしたい。 システム ( 4 位 , 1 位 , 1 位 ) となっている。また , 26 年度 , 25 年度 , 24 年度との比較を矢印で示した。 ( 1 ) 経済学・経済政策 財務・会計と経営情報システムの年度変動が相対的 マクロから 13 問 , ミクロから 12 問 , 合計 25 問 ( 枝問 に顕著である。また , 中小企業経営・中小企業政策の を加えて ) が出題されている。全体的な難易度の設定 , 難度が , 昨年比でかなり上がっている。ただ , この科 および出題論点は平成 26 年度をほば踏襲しているもの 目については , 昨年度の難度がやや突出して下がった の , 昨年度比で若干難度が高くなっている。公表され ことが原因となっており , 科目別合格率から難度を推 ている科目別合格率 , 個々の出題についての筆者なり 定する限り , 平成 25 年度以前と大きな変動はない。 の精査などから判断すると , 40 点以下の足切りの可能 以下 , 設問ごとにその難易度を 5 段階に分類した。 性は少なかったものの , 合格点としての 60 点の獲得は A : 基本的な理解・知識で正答でき , 選択肢の相対評 やや困難であったと思われる。 価も比較的平易な出題。大学の学部単位取得レベル しかし , 一昨年度の難度が高かった反動として , 昨 でも正答できる。 年度の難度が大きく下がったため , 本年度では難度が 142 企業診断 2015 / 11 運営管理 経営法務 ↓ ↑ ↓