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検索対象: 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]
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1. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

の有効活用 , ②相乗効果の発揮できる関連事業への進 出 , ①虫自性の高い事業展開による優位性の確立等に 留意する。 く別解〉 問題と留意点は , ①本業と関連性が少ない事業は相乗 効果が薄いので , 相乗効果の発揮できる事業への進出 , ②既存資源の未活用は資源の投資効率が低下するので , 既存の人材・施設等資源の有効活用 , ③多角化事業の 不振は本業へ景彡響が大きいので , 独自能力の高い事業 展開による優位性の確立 , により多角化の成功を目指 す。 第 4 問 ( 配点 25 点 ) 理由は , ①プライダルは広域的な集客が期待できると 共に , A 社は , ②プライダル事業の経験ある人材 , ③店舗・庭園等婚礼用に適した施設の活用力河能なた めである。事業展開は , ① A 社の料理技術や施設を 活かした特徴的な婚礼プランの開発 , ②広域的な集客 を目指す広告・営業活動や web サイトの整備を行い 顧客獲得を目指す。 第 5 問 ( 配点 20 点 ) A 社は , 組織面で , ( 工徴的な婚礼プランを開発する プロジェクト組織や②営業等を専門に行うプライダル 部門の新設 , 人事面で , ①プライダル経験のある若手 の採用や②業績等に応じた評価報酬制度 , ③婚礼プラ ンの開発や料理技術を高める能力開発制度を充実する。 こでは , 始めに「組織事例」の基本的な考え方を 説明し , その後 , 各問の具体的な解説を行っていく。 ( 1 ) 組織事例の基本的な考え方 企業を取り巻く環境は常に変化しており , この変化 に適応して存続・成長を図っていくために , 企業は経 営戦略を策定し , その事業活動の方向性を明確にする 必要がある。そして , この経営戦略の実行を担うのが 経営組織である。 チャンドラー (Chandler:1962) は , 「組織の構造 は戦略に従う」という命題を示し , その重要性を説い 企業診断 2016 / 1 ・解説 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー ている。企業の新しい戦略は , 新しい組織構造を必要 とし , 組織構造の変革なしに企業活動力哘われるなら ば , かえって組織活動の効率性が低下し , 業績を低下 させる可能性が高くなる。 このため , 経営組織は , 事業を実行するのに適した 部門構成 ( 組織構造 ) を実現すると共に , 経営活動を 行ううえで最も重要な経営資源の 1 つであり , 組織 を構成する人材を効果的に管理 ( 人的資源管理 ) する ことが重要になる。 以上のことから , 組織事例を解くにあたっては , 経 営戦略に沿った組織・人事の施策を解答することが基 本であり , 重要な考えになる。 ( 2 ) 2 次本の組織事例の特徴 ただ , 現在までのところ , 組織事例では , 「経営戦 略を基にした組織構造や人的資源管理の問題」は出題 されておらず , 「事業構造や事業展開を基にした組織 構造や人的資源管理の問題」が多く出題されている。 この事業構造については , 事例 I では「事業別の売 上構成比」や「主要顧客別売上構成比」で表している。 「事業展開」については事例文中で , 「対象顧客や対 象市場 , 提供商品や提供方法」などの項目で A 社の 事業 ( 商売 ) の内容を説明している。また , 平成 14 年度事例 I ( 第 4 問 ) では「戦略的事業展開」が求 められている。 したがって , 事業構造や事業展開は戦略を反映した もの , または戦略そのものであるとも理解できる。 のため , 組織事例では , 「経営戦略」 , または経営戦略 を前提とした「事業構造 , 事業展開」に適応する「組 織構造・人的資源管理」を解答することが重要になる。 第 1 問 ( 配点 15 点 ) ( 1 ) 設問の要求事項 A 社がこれまで行ってきた事業展開では , 事業の 継続が困難になりつつあるとして , その理由を「経営 環境の変化」と「事業展開上の視点」から , 120 字以 内で述べることを求めている。 ( 2 ) 解答の導き方 組織事例の第 1 問では , 現状分析的な設問が出さ れることが多い。現状分析の解答は , 基本的には調査 129

2. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

次試験で学習した基本知識を活かして , キーワードを 用いながら解答していくことがコツである。 高得点のためには , 問題点・留意点とも多面的に ① ~ , ② ~ , ③ ~ と展開していくことがコツである。 ( 1 ) 設問の要求事項 第 4 問 ( 配点 25 点 ) 異なるため , 詳細になりすぎないように注意したい。 することができる。ただし , マーケティング事例とは といった視点から解答していくことで , 合格点を確保 このため , 事業展開は , 「誰に , 何を , どのように」 を説明している。 客」や「提供商品・提供サービス」 , 「販売方法」など で用いられていることが多い。具体的には , 「対象顧 すると , 「事業展開」は「商売の内容」的な意味合い で用いられたりする言葉である。過去の本試験を分析 事業展開は , 事例 I でよく出題されたり , 事例文中 開方法については , 具体的な事業内容を解答したい。 かして解答していきたい。また , プライダル事業の展 経営資源等 , 外部・内部の両視点から考え , 与件を活 プライダル事業進出の理由は , 事業機会や強み的な ( 事業展開の方法 ) の 2 点を求めている。 業へ進出を決めた理由と , プライダル事業の展開方法 第 4 問は , 事業多角化の 1 っとしてプライダル事 ( 2 ) 解答の導き方 て , 150 字以内で述べることを求めている。 めた理由と , 今後のプライダル事業の展開方法につい A 社が新規事業としてプライダル事業へ進出を決 ( 3 ) 具体的な展開方法 132 以上の点から , 次の理由が導き出される。 建物で , ( 中略 ) 多目的なパーティにも利用できる ・店舗は , 上品で落ち着いた雰囲気のある 2 階建ての ていた者も数名いる ・従業員の中には , 前職場でプライダル事業を担当し 広域から効果的に集客している店もある ・ハウスウ工ディングなどのプライダル事業を行い , ロブライダル事業に進出した理由 そこから以下の理由や事業展開の方法が導き出せる。 事例文中には , 次のヒントが散りばめられており , 〇プライダルは広域的な集客カ硼待できる ( 外部 / 事 業機会 ) 〇プライダル事業の経験のある人材がいる ( 内部 / 経 営資源 ) 〇店舗・庭園など婚礼用に適した施設の活用力河能で ある ( 内部 / 経営資源 ) ロブライダル事業の展開方法 ・調理担当者の技能 ( 調理技術 ) は顧客からも高く評 価されている ・店舗は , 上品で落ち着いた雰囲気のある 2 階建ての 建物で , ( 中略 ) 多目的なパーティにも利用できる ・広域から効果的に集客している店もある ・プランの開発やその告知などを十分に検討し , 特徴 的な事業を展開していく必要があり , ( 中略 ) 経営 管理上の施策を強化・充実していく必要がある 以上の点から , 次の事業展開が導き出される。 〇 A 社の料理技術や施設を活かした特徴的な婚礼プ ランの開発 〇広域的な集客を目指す広告・営業活動 , web サイ トの整備 ( 4 ) 合格点・高得点のポイント 合格点を確保するためには , 理由と事業展開の方法 を明確に区分してモレなく解答すると共に , 理由を事 業機会や強みなど外部・内部の視点から多面的に捉え て解答することがコツである。また , 事業展開につい ては , 商売的な内容を多面的に解答していくことがコ ツである。 高得点のためには , 事業展開の方法を , 「誰に , 何を , どのように」といった視点から , ① ~ , ② ~ , ③ ~ , と多面的に要素を区分して解答していくことが重要で ある。 第 5 問 ( 配点 20 点 ) ( 1 ) 設問の要求事項 プライダル事業を展開するための経営管理上の施策 について , 120 字以内で述べることを求めている。 ( 2 ) 解答の導き方 こでは , A 社がプライダル事業を展開するため の経営管理上の施策が求められている。経営管理上の 企業診断 2016 / 1

3. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

・直近 2 ヵ年度は業績悪化のため , 賞与の支給は行わ れておらず , そのため従業員のモラールも低下 ・マンネリ気味なメニューが顧客の減少につながって いる ( 中略 ) 改善するための教育的な支援は行って はこなかった 以上の点から , 次の理由が導き出される。 〇成り行き的な報酬制度によるモラール低下 〇調理能力・メニュー開発の教育訓練の不足 ③その他の組織・人事にかかわる視点 ・平均年齢は 48 歳と高めで高齢化が進んでいる ・そのうち , 意見を出し合うこともなくなり , 取り組 以上の点から , 次の理由が導き出される。 みに向けた連携も少なくなっていった ある問題とは , 多角化の際に生じやすいデメリットで しかし , 落ち着いて考えてみると , 発生の可能性の かみどころがないように感じる。 題」については , 一見 , 何を解答したらよいのか , っ ている「事業の多角化の際に発生する可能性のある問 事業の多角化に関する問題である。こで求められ ( 2 ) 解答の導き方 ことを求めている。 るために留意すべき点について , 150 字以内で述べる のある問題と , 問題の発生を抑えて多角化を成功させ A 社が事業の多角化をする場合に発生する可能性 ( 1 ) 設問の要求事項 第 3 問 ( 配点 25 点 ) するためのコツである。 口を明確にして展開することも , 内容を伝わりやすく にあたっては , 組織面では ~ , 人事面では ~ , と切り 多面的に解答していくことがコツである。また , 解答 造と人事制度の両面から考え , ① ~ , ② ~ , ③ ~ , と 高得点のためには , A 社の組織的問題を , 組織構 して解答づくりをすることが重要である。 ばめられている組織的な問題を , モレなく引用・抽出 合格点を確保するためには , 事例文の中に多く散り ( 4 ) 合格点・高得点のポイント 〇社員の高齢化による組織の柔軟性の不足 企業診断 2016 / 1 あることに気づく。 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー 131 とが重要である。また , 内容は事例文中のヒントや 1 意点 ( 対策 ) について , 2 つを区分して解答するこ 業多角化の問題点と , それを抑え成功させるための留 合格点を確保するためには , 設問が要求している事 ( 4 ) 合格点・高得点のポイント 〇独自性の高い事業展開による優位性の確立等 〇相乗効果の発揮できる関連事業への進出 〇人材・施設等の経営資源の有効活用 上記の与件から , 次の留意点が導き出される。 プライダル事業を展開していく ・現在の A 社の経営資源を最も活かすことができる ・ A 社の経営資源を活かし , 事業を多角化する 建物で , ( 中略 ) 多目的なパーティにも利用できる ・店舗は , 上品で落ち着いた雰囲気のある 2 階建ての る ・前職場でプライダル事業を担当していた者も数名い ロ多角化を成功させるための留意点 〇多角化事業の不振による本業への影響 〇既存資源の活用不足による投資効率の低下等 〇無関連事業への多角化による相乗効果の希薄化 上記の与件から , 次の問題を考えることができる。 うである 業の業績へも影響を及ばしているケースも多いよ ため , 相乗的な効果が得られず業績不振となり , 本 本業とはあまり関連のない事業から参入している 直感で進出してきた企業もあり , そのような企業は ・フランス料理店の中には , プームに乗って経営者の ロ多角化を行う場合に発生する可能性のある問題 ( 3 ) 具体的な展開方法 かして解答を展開していく。 ともできる。以下では , 事例文に記されたヒントを活 されている。それらをヒントに解答を展開していくこ また , 事例文にも事業の多角化に関連する与件が記 活かして解答していきたい。 は , 1 次試験の企業経営理論で学んだ知識をフルに べればよいことになる。多角化のデメリットについて A 社が多角化を成功させるための留意点について述 すいデメリットを指摘し , そのデメリットを克服して つまり , A 社が事業の多角化を行う際に発生しや

4. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

結果である事例文から引用・抽出するのが合格点確保 の重要なコツである。こで求められているのは , 事 業継続が困難となりつつある理由について , ① A 社 の創業時からの取り巻く経営環境の変化と , ②事業展 開上の視占以上の 2 点から述べることである。 つまり , A 社の外部環境の変化と , 内部状況の 2 点から述べることが求められている。したがって , 解 答にあたっては , この 2 点を明確に区分して表現す ることがコツである。 ( 3 ) 具体的な展開方法 事例文中には次のヒントが散りばめられており , こから以下の理由が抽出できる。 ロ経営環境の変化 そ ・平成 13 年頃には , フランス風懐石料理のプームや個 性的なレストランへの期待が高まった ここ数年の洋風レストラン業界は , フランス風懐石 料理のプームが後退 ・気軽なレストランや , さらなるカジュアル・レスト ランへとトレンドが移行 ・多様な業態のレストランや低価格のレストランの出 店が増加 ・料理・サービスの質を維持しながらも低価格化が進 んでいる 以上の点から , 次の理由が導き出される。 〇創業時は , フランス風懐石料理や個性的なレストラ ンのプーム 〇近年は , プームの後退や業態の多様化低価格化へ の進行等の変化 ロ事業展開上のネ見点 ・新しいメニュー ( 中略 ) など , 互いに改善案を出し 合った ( 中略 ) 改善が進むことはほとんどなかった ・ 5 回 , 6 回と繰り返し来店してくれるリピーター はあまり多くはない ・新奇性があり , 目新しいメニューが季節ごとに替わ る店に顧客が流れている ・マンネリ気味なメニューが顧客の減少につながって いる 以上の点から , 次の理由が導き出される。 〇メニュー開発等の革新を行っていない 〇固定客イヒが図れず , 顧客カ毓出した 130 ( 4 ) 合格点・高得点のポイント 合格点を確保するためには , 調査結果である事例文 から重要要素を引用・抽出して , ポイントを押さえた 解答を書くことが重要である。また , 解答は A 社を 取り巻く経営環境 ( つまり , 洋風レストランの動向 等 ) と , A 社内部の事業展開上の視点から , 2 点を 明確に区分して述べることが重要である。 高得点のためには , 事例文中のヒントを引用・抽出 するだけではなく , つまり , そのことは何を意味する のかを , 分析のキーワードを用いて解答することがコ ツである。 第 2 問 ( 配点 15 点 ) ( 1 ) 設問の要求事項 業績カ坏振である A 社の現在の組織的な問題につ いて , 120 字以内で述べることを求めている。 ( 2 ) 解答の導き方 本問は , A 社の組織的な問題点を指摘する内部環 境分析の問題である。環境分析の解答は , 第 1 問同 様に事例文から答えを抽出することになる。 こでは現在の組織「的」な問題点が求めら れているが , 以降の設問で人事的な問題点が求められ ていないため , 組織構造的な視点のみではなく , 人事 制度の視点も含めて多面的に解答していきたい。 ( 3 ) 具体的な展開方法 事例文中には次のヒントが散りばめられており , こから以下の理由が抽出できる。 @齟織構造のネ見点 そ ・実行の権限があるわけでもなく , また責任の所在も 明らかでない ・改善が進むことはほとんどなかった。そのうち , 意 見を出し合うこともなくなり , 取り組みに向けた連 携も少なくなっていった 以上の点から , 次の理由が導き出される。 〇各担当者間の権限・責任カ坏明瞭 〇意見交換や改善への取り組み等の連携不足 ②人事制度のネ見点 ・賞与などは経営者がその時々の直感で成り行き的に 決定している 企業診断 2016 / 1

5. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

桃経営者 M&A は世界を視野に入れて展開 リー 2 : 的に間口を開き , キャッシュを手元に用意してい て決断が速いため , オファーが多いのでしよう。 M & A 先は結局 , 直感で決めているかもしれま せん ( 笑 ) 。いろいろと検証をしても , 結果はあ まり変わらないように感じています。でも , 買収 をして結果的に失敗したことはあまりありません ね。 対象としては , 派遣やコールセンターに注目し ています。派遣の仕事には職住近接ニーズがあり , 都会では時間をかけて通勤もしますが , 地方では 違います。近所の仕事へのニーズが高いため , 狭 い範囲でのマッチングが多く , 時給での競争があ まりない。都会と地方では , ライフスタイルが分 かれるようです。弊社の規模では , まだ大都市で 大手企業との勝負はできませんが , 人口数十万人 ほどの都市だとちょうど良く , そのような狭域派 遣モデルでやっていきたいと思っています。 人材ビジネスには都市型産業のイメージが ありますが , これからは地方の時代でしようか。 地方企業には , ビジネスとして仕組み化されて いるところが少ない。そういった企業を買収し , 仕組み化していくことを狙っています。 地方企業の買収には , 拠点展開というメリット もあります。地方といっても , まずは都市度が高 い地域での展開を考えており , 八王子の派遣会社 が買収第 1 号になりました。目指すところは弊 社の持っ営業リソースの提供で , ゆくゆくは BtoB 企業のインフラになりたい。 中小企業では , 営業などすべてを自前で行うこ とが難しいため , 事業スピードを上げたいときに その外部リソースになりたいと思っています。人 を育てるのに時間がかかる営業は , スピードアッ プが課題ですね。事業スケールを大きくするのは 大変ですが , 業態を増やすことで適材適所が生ま れ , 人の育成スピードも上がります。 事業展開のスピードアップを目指し , 経営陣を 求めて M & A を行うケースも出てきています。弊 10 社では , M & A を成長戦略のコアに置いています が , 日本だけでは小さい展開にしかなりませんの で , 世界を視野に入れています。特に , 東南アジ アに関しては投資の必要性を感じており , ミャン マーのオフショア開発事業も展開しています。 画像開発をする事業で , 作業は現地で行ってい ますが , 日本で技能を取得してから現地に戻って 働いてもらうという , ミャンマーの人々のキャリ アパスも考えたモデルです。日本に来て技術や資 産を蓄え , ミャンマーに戻って現地企業への紹介 を行うものです。今年中に現地に会社を設立しま すが , マンダレーに日系企業を作るのは弊社が初 めてのようです。 これをきっかけに , 海外事業をしつかりと伸ば せるようにしたいですね。海外視察をした若手マ ネジャーたちが大いに刺激を受けていましたが , ミャンマーの人々は , 自身の将来像を国内だけで なく , アセアン全体で見ているのです。アセアン 市場が伸びる前提で事業を考えるという発想で , 国内だけしか見てこなかった私たち日本人には良 い勉強になります。 →後に , 平井社長にとっての挑戦とは。 業種業態を超えた価値提供をしていきたいと思 企業診断 2016 / 1

6. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

施策とは , 事例文の終わりのほうに「体制づくりおよ び制度づくりなど , 経営管理上の施策を強イヒ・充実」 と記されているとおり , 組織体制面と人事制度面での 具体的な施策である。 解答にあたっては , 組織イ本制 ( 部門 , 階層 , 権限 , コミュニケーション ) と人事制度 ( 採用・配置 , 評 価・報酬 , 能力開発・教育訓練 ) の両面から , 多面的 に述べていきたい。 ( 3 ) 具体的な展開方法 こでは , 事例文中の与件を活かしながら , 第 4 問で解答した事業展開を実施していくための組織・人 事的な施策を解答していきたい。 ロ組織体制 第 4 問では次のような事業展開を解答した。 ・特徴的な婚礼プランの開発 ・広域的な集客を目指す広告・営業活動 これらのことから部門構造として , 次の点が考えら ・ A 社としては初めての取り組みでもある ・平均年齢は 48 歳と高めで高齢化が進んでいる こから次の対策を考えることができる。 事例文には以下のようなヒントカ隴されており , そ ロ人事制度 〇営業等を専門に行うプライダル部門の新設 〇特徴的な婚礼プランを開発するプロジェクト組織 れる。 企業診断 2016 / 1 度の充実 〇婚礼プランの開発や料理技術等を高める能力開発制 〇業績等に応じた評価報酬制 〇プライダル経験のある若手の採用 上記の与件から , 次の人事制度が考えられる。 管理上の施策を強化・充実していく必要がある 的な事業を展開していく必要があり , ( 中略 ) 経営 ・プランの開発やその告知などを十分に検討し , 特徴 善するための教育的な支援は行ってはこなかった いることは薄々感じていたが , A 社ではこれを改 ・マンネリ気味なメニューが顧客の減少につながって われておらず , そのため従業員のモラールも低下 ・直近 2 ヵ年度は業績悪化のため , 賞与の支給は行な 決定している ・賞与などは経営者がその時々の直感で成り行き的に 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー ( 4 ) 合格点・高得点のポイント 合格点を確保するには , 「経営管理上の施策」とい う設問の要求に , しつかりと対応した解答を書く必要 がある。事例 I では , 経営管理を組織管理とほば同一 の意味で使っている場合が多く , 事例文にも「体制づ くりや制度づくり」のヒントがあった。これを切り口 として , 組織体制面と人事制度面の視点から解答する ことがコツである。 高得点のためには , プライダル事業を展開するため の組織構造 ( 部門 , 階層 , 権限 , コミュケーション ) と人事 ( 採用・配置 , 評価・報酬 , 能力開発 ) の両面 から , 多面的にかっ具体的に , 組織 , 人事のキーワー ドを用いて解答するのがコツである。 解説のまとめ 以上 , 本事例の解説を行ってきたが , 解答にあたり , 環境分析的な問題等については , ヒントが事例文中に 散りばめられており , また事例文中の与件 ( 言葉 ) を 利用して組み立てることカ河能である。しかし , 本事 例の組織構造 ( 体制 ) に関する対策や , 人的資源管理 ( 制度 ) の対策が問われるケースでは , 解答に使える 具体的キーワードの事前準備が必要になる。 本試験で改善策などが問われた , また問われそうな 可能性のある項目は , 下の表のように整理するとよい。 項目ごとに解答に利用できる具体的なキーワードを整 理し , いつでも利用できるように準備しておきたい。 それが安定的に合格点を獲得するコツである。 組織 構造 人事 制度 項目 ( 切り口 ) 部門構造 階層構造 権限関係 コミュニケー 雇用管理 人事考課 給与 教育訓練 ンヨ / 改善のキーワード △△△ 〇〇〇 〇〇〇 , 〇〇〇 , 〇〇〇 〇〇〇 , △、△ - △ 〇〇〇 , , 〇〇〇 - △△△ , - △△ . △ , z ゝ乙ゝ乙ゝ , △、△ ※改善のキーワードは , 1 次対策の企業経営理論の テキストや 2 次言鵡の過去問の解答例から抜き出し , 自分なりに整理していきたい。 133

7. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

回は来店するが , 5 回 , 6 回と繰り返し来店してくれ るリピーターはあまり多くはない。新奇性があり , 目 新しいメニューが季節ごとに替わる店に顧客カ毓れて いるようである。このようなことから A 社の業績は 低下し , 営業利益は 3 期連続でマイナスとなっており , このままでは事業の継続も危ぶまれている状況である。 現在 , A 社は , 調理担当とホール担当 , 経理・総 務担当など業務を分担して仕事を行っている。業績が 低下し始めた頃には , 新しいメニューや接客の仕方 , コスト削減の方法 , 販売促進の方法など , 互いに改善 案を出し合ったこともあった。しかし , 実行の権限が あるわけでもなく , また責任の所在も明らかでないた め , 改善が進むことはほとんどなかった。そのうち , 意見を出し合うこともなくなり , 取り組みに向けた連 携も少なくなっていった。また , マンネリ気味なメニ ューが顧客の減少につながっていることは薄々感じて いたが , A 社ではこれを改善するための教育的な支 援は行ってはこなかった。給与などに関しては , 従業 員の勤務年限に応じて一定の昇給を行うが , 賞与など は経営者がその時々の直感で成り行き的に決定してい る。ちなみに , 直近 2 ヵ年度は業績悪化のため , 賞 与の支給は行われておらず , そのため従業員のモラー ルも低下しているようである。 このような状況の中で A 社経営者は , 業績を改善 するために , 本業であるフランス料理店の売上高を高 めることと , A 社の経営資源を活かし , 事業を多角 化することを決意した。そして , 経営者は事業の多角 化として , 現在の A 社の経営資源を最も活かすこと ができるプライダル事業を展開していくことを決断し た。ただ , プライダル事業は , A 社としては初めて の取り組みでもあるため , プランの開発やその告知な どを十分に検討し , 特徴的な事業を展開していく必要 があり , また , それに向けた体制づくりや制度づくり など , 経営管理上の施策を強化・充実していく必要が あると , 経営者は考えている。 第 1 問 ( 配点 15 点 ) A 社は , 創業時から行ってきたこれまでの事業展 開では , 今後事業を継続していくことが困難になりつ つある。その理由を , A 社を取り巻く経営環境の変化 と A 社の事業展開上の視点から , 120 字以内で述べよ。 128 第 2 問 ( 配点 15 点 ) 業績不振の A 社は , 組織にいかなる問題があると考 えられるか。その問題について , 120 字以内で述べよ。 第 3 問 ( 配点 25 点 ) 企業の業績改善には , 事業の多角化も 1 つの方法 である。そこで , A 社が事業の多角化を行う際に発生 する可能性のある問題と , その発生を抑えて成功させ るために留意すべき点について , 150 字以内で述べよ。 第 4 問 ( 配点 25 点 ) A 社は , 業績の改善を目指して , 新規事業としてプ ライダル事業へ進出することを決めた。そこで , A 社 がプライダル事業へ進出を決めた理由と , 今後のプラ イダル事業の展開方法について , 150 字以内で述べよ。 第 5 問 ( 配点 20 点 ) A 社が進出を決めたプライダル事業を展開してい くための , 経営管理上の施策を 120 字以内で述べよ。 第 1 問 ( 配点 15 点 ) 創業時はフランス風懐石料理等のプームがあったが , 近年は , プームの後退や業態の多様化低価格イヒの進 行等の変化が見られる。これに対し A 社は , メニュー 開発等の革新・改善を行っておらず , 固定客化が図れ ず , 顧客が流出し , 事業の継続が困難となっている。 第 2 問 ( 配点 15 点 ) 問題は , 社員の高齢化による組織の柔軟性の不足に加 え , 組織面で①各担当間の不明瞭な権限・責任関係 , ②意見交換や改善への取り組み等の連携不足 , 人事面 で①成り行き的な報酬制度によるモラール低下 , ②調 理能力・メニュー開発の教育訓練の不足 , 等がある。 第 3 問 ( 配点 25 点 ) 発生する可能性のある問題は , ①無関連事業への多角 化による相乗効果の希薄化②既存資源の活用不足に よる投資効率の低下 , ③多角化事業の不振による本業 への影響等がある。成功には , ①人材・施設等の資源 企業診断 2016 / 1 ・解答例

8. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

えた組織・人事戦略と考えるのが素直な思考プロセス である。 解答内容としては , ( 設問 1 ) との関係性を踏まえ ると , 共同受注を効果的に機能させるうえで必要な組 織運営について問われていると読める。具体的には , 共同受注を行ううえで , X 社の受注窓口となる幹事会 社をどの企業が担うのか , 各工程管理の進捗管理など のマネジメントをどの企業が担うのかがポイントとな る ( 中小企業施策「新連携」におけるコア企業の位 企業間のマネジメントにおいて , A 社がどのような 役割 , 機能を果たすべきだろうか。まずは , 技術交流 に関する与件文を確認していく。与件文から , A 社は 主導的な立場で技術交流を運営していることがわかる ( 第 8 段落 ) 。共同受注においても A 社が X 社の受注 窓口となり , 各工程管理などのマネジメントを行うこ とができるのでないだろうか。 A 社社長の経験やノウ ハウがあれば対応可能である。ただし , 現時点でこれ ができるのは A 社社長のみであり , A 社の管理職ク ラスの従業員を幹部人材として育成し , マネジメント の向上を図る必要がある。これが第 4 問で問われてい る論点である。 第 4 問 A 社の組織・人事戦略の問題である。設問指示は , 「人事制度をどのように見直すべきかについてのアド バイス」であり , 題意は読み取りやすかったと思う。 また , 「今後の事業展開」 , 「管理職クラスの人材強化」 , 「管理職クラスの従業員を対象」といった制約条件を 踏まえると , 本設問が第 3 問と密接につながっている ことはわかる。 第 3 問では , 共同受注への移行 , その移行に際して の A 社の役割が問われており , 今後 , この役割を担 うのは A 社社長ではなく , 管理職クラスの従業員と なるはずである。題意が読み取りやすい本設問は , 実 は , 題意が読み取りにくい第 3 問 ( 設問 2 ) の解答方 向を類推する際のヒントになっている。 まずは , 現状の人事制度や管理職クラスの従業員に 関する与件文を確認していく。 A 社の管理職クラスに 対しては , 部門業績を重視した成果主義であることが わかる ( 第 8 段落 ) 。そのため , 部門を超えた全社的 企業診断 2016 / 1 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士】実力養成セミナー な視点に立ったマネジメントの意識が弱い。今後の事 業展開を踏まえると , 部門間連携のみならず , 企業間 のマネジメントといった高い視点での管理能力が必要 となる。「部門間のみならず企業間の調整などの成果 を評価に加える」といった具体策に触れてもよい。た だし , あまり掘り下げすぎるとアイデア論になってし まうので , 注意が必要である。 第 5 問 A 社の組織・人事戦略 ( プラス , 事業戦略 ) の問題 である。題意を正確に捉えるのは , かなり難しい。ま ず , 設問指示は「新たな事業分野を開拓する場合の留 意点」であり , 具体的な事業分野までは問われていな いことに注意してほしい。 また , 設問間のつながりを考えると , 第 2 問と密接 につながっている。第 2 問では , 航空機産業に挑戦し た理由として , チャレンジ精神の醸成 ( 組織文化の変 革 ) といった「組織的視点」と , 技術やノウハウの波 及効果といった「事業戦略的視点」を指摘することが できた。つまり , 新たな事業分野の開拓においても , この 2 つの視点を意識する必要があるというのが本設 問の題意となる。 さらに , 設問構造を踏まえると , 第 2 問では組織文 化の視点 , 第 3 問では組織運営の視点 , 第 4 問では人 的資源管理の視点が問われており , 組織・人事戦略と しての設問構造バランス上 , 本設問では組織構造の視 点も問われているのではないかと類推してほしい。 第 2 問の模範解答と関連させて , 本設問の解答の方 向性を考えていきたい。まず , 第 2 問の「組織的視 点」の理由から , 新たな事業分野の開拓に際してもチ ャレンジ精神の向上につながるような組織構造 ( 組織 体制 ) にしていく必要があるのではないか。 1 次知識 を踏まえると , 組織活性化につながる動態的組織の視 点である。たとえば , 既存組織から切り離したプロジ ェクトチームの創設と随時展開などが考えられる。 次に , 第 2 問の「事業戦略的視点」の理由から , 新 たな事業分野の開拓に際しても既存事業で培った技術 やノウハウ ( 他社との連携における成果を含む ) を活 用していきたい。つまり , シナジーが発揮できる事業 分野の開拓となる。シナジーは , 事例 I ではよく問わ れる論点である。 125

9. 企業診断 2016年 01 月号 [雑誌]

加工が主力事業となるまでに成長した。しかし , 業界 環境の変化により , 最近では減収減益傾向にある。事 業基盤の再構築に向けては , 同業他社を巻き込んだ外 部連携の強化が必要となる。 本事例では , 外部環境の変化を踏まえつつ , 社内外 の経営資源を最大限活用し , 事業基盤をどのように再 構築していくか , その展開に向けた組織・人事面での 問題点をどう改善し , 課題をどう乗り越えるかが問わ れている。 特に , 外部連携強化のイメージが持てないと , 一貫 性のある解答とならない設問構造となっている。事例 I では , この「一貫性のある解答」が最も重要な評価 ポイントとなっている。このため , 前掲した本事例の 設問構造 ( 図表 ) を意識しながら解答していくことが 重要である。 第 1 問は , 環境分析の問題である。事例 I の第 1 問 は , 毎年ほほ「 SWOT 分析」が出題される。第 3 問の 戦略立案の問題とのつながりを意識できたかが , 評価 ポイントとなる。 第 2 問は , 真因遡及分析 ( 当該企業の問題点の根源 を探る ) の設問である。なぜ , この設問があるのか , どの設問とつながってくるのか , 「隠れた題意」を意 識する必要がある。特に , 第 5 問の組織・人事戦略の 問題とのつながりを意識してほしい。事例 I では , 本 設問のような題意を把握することカ攤しい設問が多い。 この際 , 全体の設問構造から「題意を類推」するスキ ルが要求される。 第 3 問は , 戦略立案の問題である。第 1 問の外部環 境分析 , A 社の強み・弱みといった内部環境分析を踏 まえたうえで , 事業の方向性についてイメージできた かどうかが , ポイントとなる。事例 I では , 他の設問 に先行して , まず , この設問の解答方向を確定する必 要がある。いわゆる「へその設問」である。事業構造 , つまり , ビジネスモデルの視点が問われていると考え られる。 第 4 問と第 5 問は , 組織・人事戦略 ( 機能別戦略 ) の問題である。第 3 問の事業の方向性についてイメー ジできていないと , 対応することカ攤しい問題と言え る。事例 I における組織・人事戦略は , 組織構造 , 組 織運営 , 人的資源管理の 3 つの視点 ( 切り口 ) から 企業診断 2016 / 1 出題される。 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士試験】実力養成セミナー 123 とがわかる ( 第 5 ~ 第 6 段落 ) 。これは , これまで培 たにもかかわらず , A 社の従業員には危機感がないこ 与件文より , 当時の A 社の業績は下降気味であっ 2 つの視点で捉えると題意をつかみやすい。 ではこのような場合 , 「組織的」と「事業戦略的」の は何らかの切り口を要求していると考えたい。事例 I 示には , 「具体的な理由を 2 つ」とあるため , 出題者 「隠れた題意」を意識する必要がある。また , 設問指 この設問があるのか , どの設問とつながってくるのか , 出題者の意図 ( 題意 ) を捉えにくい特徴がある。なぜ , ( 「どのような理由が考えられるか」など ) であり , 事例 I では第 2 問で問われることが多い出題形式 は , 「 A 社社長が航空機産業に挑戦した理由」である。 A 社の真因遡及分析に関する問題である。設問指示 第 2 問 応していくことが求められている。 脅威を回避するのではなく , 機会と捉えて積極的に対 直しのアドバイスが問われており , 本設問で指摘した なお , 第 3 問では , X 社との取引関係の抜本的な見 で重要である。 設問間のつながりや解答全体をストーリー化するうえ えることができないかを考えてほしい。この視点は , 特に , 脅威の視点は回避できるか , もしくは機会と捉 ドタイム短縮要請といった脅威があることがわかる。 カーから国内重工系メーカーへのコストダウンやリー 引条件が厳しくなっており , その背景には完成機メー の高まりといった機会がある一方で , 取引先からの取 与件文から , グローバル市場での航空機生産の需要 と感じる機会もあることを注意したい。 のが素直な思考プロセスとなる。ただし , 一見 , 脅威 切り口の視点から , 機会と脅威の両面の視点を捉える 「外部環境の変化の具体的な内容を 2 つ」とあるため , ながりを意識する必要がある。また , 設問指示は , ないかと考えたい。まず , 設問構造上 , 第 3 問とのっ 今後の事業展開に活かせる機会が問われているのでは は , ほば SWOT 分析である。外部環境分析であれば , A 社の外部環境分析の問題である。事例 I の第 1 問 第 1 問 2 . 各設問の解説

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2 次試験 1 次試験 合格率合格者数 合格率 合格者数 平成 27 年度 3 , 426 19.1 % 944 26.0 % 平成 26 年度 24.3 % 23.2 % 3 , 207 1 , 185 平成 25 年度 910 3 , 094 18.5 % 21 .7 % 平成 24 年度 1 , 220 3 , 519 25.0 % 23.5 % 平成 23 年度 19.7 % 790 16.4 % 2 , 590 平成 22 年度 19.5 % 925 15.9 % 2 , 533 ※平成 27 年度 2 次試験は筆記試験までの数字 1 次試験は年度によって合格率 , 合格者数ともに 大きく差があるのに対し , 2 次試験はおおむね合格 率は 20 % 前後です。制度上は絶対評価とされていま すが , 実際には相対評価と考える人が多いようです。 1 次試験では基礎的な知識を一定レベル以上持っ ているかを判定し , 2 次試験では 1 次試験の合格者 の中から読む・書く・考えるといった総合的な能力に ついて絞り込むことが , 試験の目的と捉えられます。 なお , 2 次試験の概要は , 一般社団法人中小企業 診断協会のホームページ (https://www.j-smeca. jp/) で 1 度確認しておきましよう。 3. 4 つの事例と特徴 こからは , 2 次試験の学習方法を説明していき ます。説明にあたり , 1 次試験パートと同じように , 診断士試験の学習支援をしている先生と 2 人の生徒 に加え , 「ふぞろいな授業 2015 」でも登場した , 今年 こそ 2 次試験合格を果たしたい受験生にも登場して もらいます。受験生が抱える悩みについて , 具体的な アドバイスを展開していきます。 こまでで , 2 次試験の概要がどの : 皆さん , ようなものかわかりましたか ? : 1 次試験と違い , 2 次試験が単なる知識を確 認する試験でないことは , よくわかりました。 でも , そのために必要な能力はどうやって学習 すればよいのでしようか。 : 試験の概要にもあるように , 試験は 4 つの事 例に分けて出題されるわ。まずは , 科目ごと に対策を見ていきましよう。 0 : はい。事例 I は , 組織・人事に関する事例です。 経営環境の変化や , その背景の分析 , 事業を円 滑に進めるための人事施策 , 事業戦略について 問われます。最近では , 組織変革や組織文化に 関する問題や , 従業員の定着率やモチベーショ ンの維持・向上のための人事施策に関する助言 をよく見かけますね。 : 事例Ⅱは , マーケティング・流通がテーマの 事例です。小売店やサービス事業を展開して いる企業が , 競合他社と差別化をしながら売 上をどう伸ばすかに焦点が当てられています。 : 事例 I とⅡは , 1 次試験の企業経営理論の知識 が使えそうですね ! : そうですね。事例Ⅱは , 小売店の場合 , 運営管 理のマーチャンダイジングも関係しているため , 1 次知識を応用して解答する必要があります。 事例Ⅲは , 生産・技術がテーマです。グラフ や工程が示されて , それらを参考に生産管理上 の課題を問う問題も出題されています。やはり , 売上を伸ばすことがテーマですが , コスト削減 も同時に問われることが多いですね。 事例Ⅳは , 財務・会計がテーマです。財務諸 表から財務上の課題を見つけ出し , 経営分析や , 商品ごとの採算性を計算したり , 将来の予想キ ャッシュフローにもとづき , 設備投資に対する 採算性を判断したりする問題が出ています。 : 事例Ⅳでは , ある程度点数が取れないと上位 20 % に入るのは難しいですね。僕は去年 , 事例 Ⅳで大失敗して不合格になってしまいました。 : 古多割さん , 去年の試験では残念だったけど , この授業でしつかりと対策をして , 今度こそ 合格できるように頑張りましようね。受入さ んが説明してくれたように , 各事例には特徴 があるわ。これらの特徴を踏まえて対策する ことが合格への近道ね。 2 0 命 2 企業診断 2016 / 1 88