置すること , ②仕入れ先菓子メーカー向けに分析デー タを活用した地域密着プライベート商品の開発を提案 する部署を設置すること , である。 第 4 問 ( 配点 20 点 ) 助言は , ①異動の多い社員に異動先での強い一体感を 醸成するため , 業績目標の共有を図ること , ②正社員 とパート社員が改善活動に向けて懇談機会を得るため , パート社員も含めた改善検討会等を実施すること , で ある。 第 5 問 ( 配点 20 点 ) A 社が F 社と新商品を共同開発して販売することを提 案する。具体的には , ① T 市に来訪する観光客やホテ ル宿泊客に対し , ②季節ごとの地元野菜による健康を 意識した菓子類を , ③ A 社の出荷分析データを活用し , T 市限定のお土産物として販売すること , である。 本事例は , 菓子類を主要商品として取り扱う卸売業 者の A 社を題材にした組織 ( 人事 ) を中心とした経 営戦略に関する事例である。菓子市場全体の動向を捉 えつつ , 地域に根ざした菓子専門的知識に強い A 社が , 大手量販店に対して強みを活かした体制を構築し , こ数年横ばいのままである売上を拡大していく。 また , いままでの取引先ではない地元のお土産店に は , F 社とのネットワークを活用し業務提携を考慮し た経営戦略を構築していく流れである。組織文化貢 献意欲向上の論点についても盛り込み , 中小企業診断 士としての基本的知識の理解と事実に基づき , 分析・ 助言する能力を問う教材として作成している。 第 1 問 環境分析 ( 外部環境 ) に関する設問である。 SWOT 分析のうち , O ( 機会 ) と , T ( 脅威 ) の枠組みから 思考すればよい。一見 , 脅威と捉えることができる事 象も , 自社の強みでしつかりと対応すれば機会となる こともある。単に機会や脅威を解答するのではなく , 事例テーマ , 全体戦略との関連を意識する必要がある。 また , 『中小企業白書』 ( 2014 年版 ) 第 3 部・第 1 ・解説 130 章・第 4 節では , 地域型の規模事業者課題として「既 存の営業カ・販売力の維持強化」が , もっとも多く回 答されている。取巻く環境の変化に合わせて , 自社の 組織構造を適切に対処することは不可欠である。 さて , 問われていることは , 「 A 社を取り巻く状況 の変化」である。「平成 15 年頃」と制約条件が設問に あることを念頭に置き , 与件文に設問と同じ言葉があ るところをしつかりとチェックしてほしい。また , 外 部環境分析の問題であるため , 機会と脅威の視点で与 件を根拠に解答を書く必要がある。 与件文の中で , 外部環境変化がいくつも考えられる 場合は , どれを解答にするかを判断する。その判断基準 は , ①設問の制約条件に従うこと , ②他の設問との一 貫性を考えて指摘すること , などである。今回は , 第 2 段落および第 3 段落に書かれている。機会に関する 与件はなかったため , 脅威の視点で与件文を分析する。 【第 2 段落の抜粋】 ・平成 15 年頃から , 大手量販店においては , 大量に売 れる商品は A 社を通さずメーカーから直接仕入れ るいわゆる「中抜き」の商取引が増えていった。 つメーカーが A 社の競合相手となる変化が起きてきた。 【第 3 段落の抜粋】 ・コンビニエンスストア (CVS) の進出による競争 の激化や後継者難により , 地元の駄菓子屋が廃業す るケースが増えてきたことも売上が伸びないこと の一因と考えている。 従来からの顧客の減少となる変化が起きてきた。 第 2 問 環境分析 ( 内部環境 ) に関する設問である。設問の 意義としては , A 社の売上高がここ数年横ばいである ことの根本的原因と具体的影響を分析することにある。 この設問では , 強みを抽出せよという設問文ではな いが , 組織の強みに着目する。組織の強みとは , ノウ ハウ , 信頼 , プランドなどである。それを持ちながら 活用できていない部分を , 与件の中から抽出する。 また , 第 3 問の既存事業拡大へ活用する強みを抽出 するとの意識を持って , 与件の分析ができたかどうか も振り返っていただきたい。この設問では , 中小企業 診断士としての全体を見通す分析能力を問うている。 本問は , 次の卸売業の機能に着目して思考できる。 企業診断 2016 / 5
より , 社長カ噫識の壁を壊し , 想いを広げること を手助けすることです。行き詰まり感のある現状 をベースにしていても , 大胆で革新的な発想は生 まれがたいものです。ワクワクする将来に光を向 けることで , 大きく広く考えることができ , 解決 に向けた前向きなアイデアが出やすくなるのです。 そのために , 診断士は , 積極的で前向きで楽天 的な発想を引き起こす言葉や言い回しを心がける ーン 図表ビジョンの形成イメ ことが大事なのです。 企業診断 2016 / 5 あるものです。現状を整理して , わかりやすく提 普通の中小企業の社長にとっては得がたく価値の 商品分析 , ビジネスモデル分析などの内部分析は , 情報の提供のみならず , 事業別採算性 , 顧客分析 , ません。業界動向や経済・社会・技術などの外部 ついても , 情報収集・整理および分析ができてい よって , 多くの社長は , 外部はもちろん内部に ことを意味しています。 多くは経営や分析に使う時間が少ない傾向にある らないからです。このことは , 中小企業の社長の き合いなど , 広い業務範囲をカバーしなければな は , 現場 , 人事 , 財務 , 営業 , 接待 , 行政との付 中小企業の社長は , 多忙な方が多いです。それ 4 . 関連事実をわかりやすく積み上げる 社長の想い 側面支援 側面支援 ヒション 側面支援 0 ) しぐ ありたい姿 価値観 示するだけで非常に感謝されることもよくあるこ とです。 診断士からの断定的な意見や提案は避けたほう がよいでしよう。社長の判断の邪魔をせず , 参謀 役に徹します。肝心なのは診断士との対話で , 社 長の自己信頼を向上させ , 積極的かつ前向きにチ ャレンジできる精神を育てることです。それによ り , 自身の能力や会社のリソース ( 成長のための 経営資源 ) に気づき , それを活用するための積極 的な行動を促すことができるのです。 次回は , 「 " 社長の想い " をカタチにする」をお 送りします。 くボイント解説〉 " 社長の想い " という社長の大切にしてい ることや価値観を軸にして常に配慮する。社 長が答えを導き出すと信じ , 未来志向で前向 きな発想を広げ , 自信とやる気を引き出すよ う心掛けることが大切である。 ・社長を前向きにさせ , 発想を広げ , 視点を 変えるような質問になるよう工夫する ・社長の想いや感情に沿った質問をして , や りたいことやできることに焦点を当てる ・「ビジョン」は社長の想いを具体化して , 会社全体の長期の未来像を描いてもらう ・社長の適切な判断や気づきを促すために , 必要に応じて事実情報をタイミングよく 提供する ・批判や結論ではなく , 感じたことを伝える だけで , 社長から気づきが生まれる 【問い合わせ先】 埼玉県中小企業診断協会コンサルティン E メール : rmcsai@nifty.com 電話 : 048 ー 762 ー 3350 ホームページ : http://sai-smeca.com/ グ・コーチング研究会 65
運営管理 ( 生産管理 ) 〈時間研究》 例題 時間を算出し , 標準時間に換算するためにレイティ イ個別生産の受注が入ったため , 経験見積法で作業 見積もった。 作業実績に基づく実績資料法によって標準時間を ア個別生産の受注が入ったため , 過去の類似製品の どれか。 時間研究に関する記述として , 最も不適切なものは ングを行った。 作業時間で構成される。 5502 ) と定義されており , 主体作業時間と準備段取 遂行するために必要とされる時間」 (JIS Z 8141- 必要な余裕をもち , 正常な作業ペースによって仕事を をもち , 習熟した作業者が , 所定の作業条件のもとで , を目的としている。標準時間とは , 「その仕事に適性 作業の改善と標準化および標準時間を設定すること 測定する手法」 (JIS Z 8141-5204 ) 」と定義されており , 割し , その分割した作業を遂行するのに要する時間を 時間研究とは , 「作業を要素作業又は単位作業に分 イ 解答 法を使って作業時間を算出した。 工繰り返しの多い作業工程を分析するため , PTS イティングを行って正味時間を算出した。 プウォッチを使用して作業時間を測定したあと , レ ウ作業時間を単位作業ごとに分析するため , ストッ 標準作業時間 主体作業時間 準備段取 作業時間 企業診断 2016 / 5 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士衄】実力養成セミナー ・時間測定の 1 DM (DecimaI Minute) は⑥ のいずれかに分類する。 ・作業測定では , 作業を① , ② , ③ , ④ , ⑤ 下記の① ~ ⑥に該当する用語を記述せよ。 【近年問われた用語を Check ! 】 ある。 い , 手法の習得と準備に時間がかかるなどの特徴が などの見積もりに向いている。見積もりの精度が高 (JIS Z 8141-5209 ) である。繰り返しの多い作業 基準となる時間値から , 作業時間を求める方法」 動作の性質と条件に応じて , あらかじめ決められた の作業を構成する基本動作にまで分解し , その基本 ェ〇 : PTS 法の説明である。 PTS 法とは , 「人間 がある。見積もりの精度は高い。 て測定対象である作業者の個人差を修正する必要 正味時間を算出するためには , レイティングを行っ る手法」 (JIS Z 8141-5205 ) である。測定結果から 要素作業又は単位作業に要する時間を直接測定す 又は単位作業に分割し , ストップウォッチを用いて ウ〇 : ストップウォッチ法とは , 「作業を要素作業 くない。 業の見積もりに向いているが , 見積もりの精度は高 ングの必要がない。個別生産で繰り返しの少ない作 もるので , 通常は余裕時間を含んでおり , レイティ 間を見積もる方法である。直接的に標準時間を見積 経験見積法とは , 経験者の実績と勘によって標準時 イ x : 「レイティングを行った」の記述が誤りである。 ない作業に向いている。見積もりの精度は高くない。 見積もりコストが少なく , 個別生産で繰り返しの少 見積もる方法である。過去の実績資料を用いるため , 績情報などを参考にして , 新たな作業の標準時間を ア〇 : 実績資料法とは , 過去に行った類似の製造実 大庭聖司 (LEC 専任講師 / 中小企業診断士 ) ⑥ : 0.01 単位動作 , ⑤ : 要素動作 ( ① ~ ⑤は順不同 ) , ① : 工程 , ② : 単位作業 , ③ : 要素作業 , ④ : 分を表している。 117
答案分析 疾再現答案 3 『ふそろいな合格答案』総集編 ! 中小企業診断士 2 次試験 ふぞろいな合格答案プロジェクトチーム編 【 2014 ~ 2015 年版】 1 : 2014 年版、 2015 年版の 答案分析編を一挙掲載 ! 0 ; ) 合格答案総集い 中小企業診断士 2 次試験 答案分析 3 に 014 ~ 2015 年版】 ふそろいな合宿ー第プ 0 ジェクトチーム・ 平蔵 25 年度試験、 ・町合“案ま第 合格答第 , 、 2 日年試験の 2 年■ 計 300 枚以上の答案から スト答案て合格に迫る一 「第物 N ・を第」掲第 ! 【 2014 ~ 2015 年版】・・ 冲小企業診断士 2 次試験 合格答案総集編 に 014 ~ 2015 年版ー 再現答 十 2 2014 年版、 2015 年版の ふるいな合発蓄案プロクトチーム・ に再現答案編を一挙掲載 ! B5 判定価 ( 本体 2 , 400 円 + 税 ) 『ふぞろいな合格答案』の 2014 年版、 2015 年版 ( 平成 25 年度試験、 26 年度試験 ) の答案分析編を一挙掲載 ! 2 年間 300 枚以上の答案か ら導きだされたキーワード、ベスト答案で合格に迫る ! ふそろいな合格答案総集編 ! 中小企業診断士 2 次試験 一答案分析② ふそろいな合格答案プロジェクトチーム編 B5 判定価 ( 本体 2.400 円十税 ) 『ふぞろいな合格答案」の 2011 ~ 2013 年版 ( 平成 22 ~ 24 年度試験 ) の答案分析編 を一挙掲載 ! 3 年間の 300 枚以上の答 案から分析した合格ノウハウを結集 ! 中小企業診断士 2 次試験 答分 蓄物第第 、合確蓄案 3 年分の総まとめ 20 い ~ 2013 年版の第分析・を一第掲載 3 年■の 300 複以上の蓄第から竹析した合掲ノウハウを第第 中小企業診断土 2 次試験 ・ふぞろいな合格答案プロジェクトチーム編 B5 判定価 ( 本体 2,400 円十税 ) 『ふぞろいな合格答案』の 2014 年版、 2015 年版 ( 平成 25 年度試験、 26 年度試験 ) の再現答案編を一挙掲載 ! 2 年間計 14 名の合格者の 再現答案と 80 分間のドキュメントで合格ノウハウをつかむ ! ふそろいな合格答案総集編 ! 合答案 平成 25 年度試験、 26 年設試の 合格蓄案 合格者 14 名の現答案、 分のドキュメントマ 合格ノウハウをつかむト これな含発第 中企業診断士 2 次試験 翫再現答案② ふぞろいな合格答案プロジェクトチーム編 B5 判定価 ( 本体 2,400 円十税 ) 『ふそろいな合格答案』の 2011 ~ 2013 年 版 ( 平成 22 ~ 24 年度試験 ) の再現答案 編を一挙掲載 ! 3 年間の合格者 13 人の 再現答案・解答プロセスを一挙公開 ! 再現答 に 011 ~ 2013 第・一 、合裕第案 中小企業診断士 2 次試験 3 年分の総まとめ 2011 ~ 253 年版の 4 蓄第第を一学掲 3 年第の合物・ 13 人の再豊を第・解蓄フロセスを一挙公 0 同友館 〒 113-0033 東京都文京区本郷 3 ー 38 ー 1 本郷信徳ビル TEL 03-3813-3966 FAX 03-3818-2774 URL http; 〃 www.doyukan ℃ 0. jp/
メリットは , ①複数の命令による同時調整が可能 , ②地域別 , 顧客別 , 製品別に機能別の横串が入るため , 経営資源の重複がなく熟練の形成 ( 職能軸の強化 ) が でき , 効率的な運営ができる , ③多元的な命令 , 報告 経路を持っことで迅速で柔軟な情報伝達が可能となる。 デメリットは , ①ワンマン・ツーボスにより指揮命 令系統カ鯤乱しやすく , コンフリクト ( 対立 , 権力闘 争 , 軋轢 ) の発生が懸念される , ②混乱調整による組 織力の内向化である。 さて , 問われていることは「既存事業拡大に向けた 取組みへのアドバイス」である。これを組織の設問で あると認識し , しつかりと与件を分析してほしい。な お , 分析において 1 次知識の「組織の管理原則」を活 【第 4 段落の抜粋】 ■組織構造の助言に関する与件文 用し , 与件文から解答要素を特定する。 構造 ( 専門化の原則・権限責任の一致 ) を助言するこ 用することで , 新商品の開発提案ができるような組織 菓子メーカーに対しては , A 社の出荷分析データを活 を設置する ( 専門化の原則 ) 助言をすること。そして , ることで , 販売戦略を提案するリテールサポート部署 である「得意先小売業への出荷分析データ」を提供す 以上のように , 大手量販店に対しては , A 社の強み 品開発に向けた行動ができるはずである。 強みを有効に活用して体制を構築することで , 新商 し , 独自商品開発に向けた組織構造になっていない。 いと思案していた。しかしながら , 強みを十分活用 社長は , 地元特産品を用いた独自商品を取り扱いた 営業部 , 仕入部 , 配送部という構成になっている。 ・なお , 組織構成は , 平成元年以降 , 総務・経理部 , 【第 1 段落の抜粋】 取り扱うことができないかと思案している。 ・地元の特産品を用いた独自の商品を開発し , 自社で 【第 3 段落の抜粋】 大手量販店への対応ができていないことがわかる。 きめ細かな営業活動ができる体制とは言いがたく , との取引は , 受注を EDI で受け取るのみの対応で , 地元小売店へのきめ細かな対応に比べ , 大手量販店 付けるのみの対応となっている 一方 , 大手量販店との取引は , 受注を EDI で受け 132 とが解答要素となる。 組織文化に関する設問である。全体の設問構成から 組織文化について問われていることカ畔リ断できたかど うかがポイントである。第 3 問で組織構造が問われて いる。そこで , マクロの視点からます , この設問を人 事戦略か組織文化のどちらかに絞ること。次に , 組織 文化で解答することを決断するためには , 設問と与件 から判断することが必要である。今回は戦略レベルを 判断する訓練も目的としている。 今回の設問では , モチベーション向上に関する組織 文化を思考するために , 「バーナードの組織成立要件」 をフレームワークとして活用する。これは , 「共通目 的」 , 「貢献意欲 ( モラール ) 」 , 「コミュニケーション」 の 3 つで構成される理論である。 今回の事例企業において , 円滑なコミュニケーショ ンにより共通目的を全社員で共有することで , 貢献意 欲 ( モラール ) の向上を図るように考えることができ る。また , もし , 第 4 問が人事戦略レベルの設問であ った場合は , 衛生要因と動機づけ要因の切り口から与 件を分析することを覚えておいてほしい。 さて , 問われていることは「パート社員提案の実現 により業務改善を進めるための助言」である。まず , A 社社長が , 業務改善が進まないと感じた原因を与 件から抽出する必要がある。この場合は分析であるた め , 与件文の言葉を「因」にして , 「果」は知識にし て解答を組み立ていくことにする。 ■組織文化の設問であると判断できる与件文 【第 6 段落の抜粋】 ・部署ごとに業績目標達成のための改善検討会が実施 されている。 ・素晴らしい改善案を提案した部署には , 社長賞とし て金一封が与えられることになっているが , 思うよ うな成果が上がっておらす , A 社社長は不思議に思 っている。 すでに人事戦略として報奨金制度などが実施されて いるが , 思うような成果が上がっていないとわかる。 以上の与件文から , この設問は組織文化レベルで解 答するとの判断ができる。 ■業務改善が進まない要因を推測する与件文 【第 5 段落の抜粋】 ・正社員は , 2 ~ 3 年ごとに違う部署に異動している。 企業診断 2016 / 5 第 4 問
【第 7 段落の抜粋】 ・パート社員の大多数には , 地元の主婦が採用されて いる。募集は部署ごとに行い , 採用されてからの異 動はほほない。 正社員は , 2 ~ 3 年ごとに違う部署に異動している が , パート社員の多くは地元採用で異動はほばない。 このことから , 正社員は 2 ~ 3 年で部署異動するた めに , 在任中に余計な仕事をしたくないとの思いが ある可能性が考えられる。つまり , 業務改善に消極 的ではないかと推測できる。 この状況を打破するために , 同じ方向に向かって行 動するような , 組織文化の醸成を図るための助言が解 答の要素になる。 第 5 問 全体戦略を助言する設問である。第 2 問で分析した A 社の強みを , 第 3 問で既存事業拡大に活用する助 言を行っている。さらに , 新市場においても強みを活 用することが助言に含まれていることが重要である。 こでは , 解答骨子にドメインを用いている。 『中小企業白書』 ( 2013 年版 ) 第 2 部・第 2 章・第 3 節に新事業展開における課題として , 中規模企業で は「新事業を担う人材の確保が困難」 , 「新事業経営に 関する知識・ノウハウの不足」と回答する企業が多く なっている。また , 「販売先の開拓・確保が困難」は , 規模にかかわらず多くの企業が挙げており , 共通の課 題となっていることがわかる。 A 社のように新事業を 担うために必要な人材は , 他社とのネットワークを活 用して補完することが求められている。 今回の事例においても経営資源に乏しい中小企業・ 小規模事業者にとって , 既存の経営資源を最大限に活 かせる分野を模索してきたことがうかがえる。 A 社に 当てはめると , 強みである「地域別得意先小売業販売 分析データ」の活用がもっとも適切である。また , A 社以外の力として , F 社の「商品開発力」を活用する ことも新市場を開拓するには重要である。 さて , アンゾフの成長べクトルをフレームワークに して , A 社の強みや取り巻く環境を分析して提案して こでは , A 社の強みを用いて新市場を開発す いく。 る戦略である。 A 社社長が地域の産業活性化のために ぜひとも実現したい夢である地元特産品を用いた独自 企業診断 2016 / 5 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士試験】実力養成セミナー 133 えたものである。 A 社社長に対して具体的な診断助言となるように考 答骨子で構成している。この解答骨子にすることで , 今回の助言には , 誰に , 何を , どのようにという解 助言を行うことが必要である。 することが可能となり , 新市場開発の成長戦略を描く 有効に利用することで , F 社とのネットワークを活用 みである「地域得意先小売業への出荷分析データ」を 売をしている。同じ思いを持つ A 社社長が自社の強 F 社では地元野菜を用いた菓子類を開発し , 試作販 いないことがわかる。 =>F 社は , 販売に関する分析ノウハウを持ち合わせて の裏づけを欲しがっていた。 ・ F 社社長は , この商品の方向性が正しいのかデータ 戦略を模索している。 =>F 社も A 社と同様に事業拡大を念頭において成長 子類を試作販売した商品とのことであった。 拡大を目指し , 地元にこだわり , 健康に配慮した菓 ・ F 社社長にこのお菓子のことを尋ねたところ , 事業 を持つ経営者同士であることがわかる。 っ F 社社長と A 社社長は知り合いであり , 同じ思い であった。 営者同士の異業種交流会会合で出会った知り合い ・ F 社の社長とは , A 社社長が代表に就いたときに経 【第 8 段落の抜粋】 も実現したいと考えている。 A 社社長が業績拡大と地元の産業活性化のために ぜひとも実現したい夢でもある。 発し提供することは , 地域の産業活性化のためにも ・ A 社社長にとって , 地元特産品を用いた菓子類を開 取り扱うことができないかと思案している。 ・地元の特産品を用いた独自の商品を開発し , 自社で 【第 3 段落の抜粋】 特定すべき与件文は以下のとおりである。 拡大を目指すことが妥当な成長戦略と考えられる。 ろに , A 社の強みである「分析データ」を用いて販路 っていない。そのような状況で孤軍奮闘しているとこ がこの方向性で正しいかどうかのデータの裏づけをも を試作販売しているところであった。 F 社は開発商品 ある。 F 社も地元にこだわり , 健康に配慮した菓子類 の商品開発を F 社とともに実現していく成長戦略で
( 1 ) 調達販売機能 メーカーから商品を調達し , メーカーに代わって販 路を開拓して小売業者に販売する役割のこと。消費者 ーズに対応した商品やサービスを探索し , 小売業者 に提供する「川下発想」がより重要視されている。 ( 2 ) 物流機能 メーカーから仕入れた商品を保管・加工・仕分けを して , 小売業者へ配送する機能である。これについて も共同配送や多頻度小口配送など , 効率と品質管理を 重視する川下発想の需要が強まっている。 ( 3 ) 情報提供・サポート機能 メーカーなど仕入先に対しては , 消費者ニーズ情報 や , 商品の売れ行き情報など新製品開発や生産調整に 役立つ情報を提供する。一方 , 小売業者に対しては , 売れ筋商品や新製品情報を提供し , 店舗経営のための アドバイスを実施する。 さて , 問われていることは , 「 A 社の業績が近年横 ばいになっている根本的原因とその具体的影響」であ る。制約条件は , 設問には設定されていないため , 卸 機能の 1 次知識を踏まえて , A 社のこれまでの活動 を与件文から抽出していくことが必要である。 ■根本的原因と考えられる与件文 【第 4 段落の抜粋】 ・その収集した情報を地域得意先小売業への出荷デー タとして分析している。もっとも A 社社長はそうし た分析データを十分に活用できていると考えてい ないようである。 A 社が持つ強みに「地域得意先小売業への出荷デー タ」があるにもかかわらず , A 社社長は十分に活 【第 3 段落の抜粋】 ■具体的景と考えられる与件文 用できていないと認識している。 る情報は与件文にはないため , 新商品開発に強みを 新しい菓子類開発の夢はあるものの , 実現できてい 夢でもある。 地域の産業活性化のためにもぜひとも実現したい ・地元特産品を用いた菓子類を開発し提供することは , 企業診断 2016 / 5 活かしきれていないと推測できる。 目指せ ! 経営コンサルタント / 【中小企業診断士試験】実力養成セミナー 131 取り入れた組織形態 ( ワンマン・ツーポス制 ) である。 ックス組織」の特徴は , 2 重 , 3 重の指揮命令系統を 識として必要である。組織形態の 1 つである「マトリ 組織形態の種類やそのメリット・デメリットは 1 次知 今回は組織形態に関することは問われていないが , 則 ) の観点から A 社の組織構造を分析することである。 命令一元化管理の幅 , 権限と責任一致 , 例外の原 組織構造は , 組織の管理原則 ( 共通目的 , 専門化 , ると決断できたかどうかがポイントである。 問の解答構成の切り口を組織構造 x 組織構造で解答す 問に組織文化の設問が設定されていることから , 第 3 と構造 , 文化と文化の 3 とおりの切り口がある。第 4 次に , 解答骨子の構成であるが , 構造と文化構造 織の設問であると特定できたかどうかである。 まず , 設問全体 ( マクロの視点 ) から , この設問が組 の解答と差別化するためのカギである。そのためには , 葉で解答を書くことができたかどうかが , 他の受験生 組織戦略の組織構造に関する設問である。組織の言 第 3 問 という思考ができたかどうかがポイントである。 かしきれていないため , 売上高が横ばいになっている る「情報提供機能」の視点から , A 社のノウハウを活 近年 , 売上が横ばいである要因が卸売業の機能であ り活用できていないと意識していることがわかる。 しかし , 第 4 段落には , A 社社長がそのデータをあま 別得意先小売業出荷分析データ」について記述がある。 トである。第 1 段落に A 社のノウハウである「地域 冷静に与件文の分析をすることがとても重要なポイン 事例 I においては , 1 次知識が思い出せなくとも , なし ) 。 ところが , 大手量販店へきめ細かな対応はできてい のみの対応となっている。 ・大手量販店との取引は , 受注を EDI で受け付ける 確立されていることがわかる。 地元小売店とは , きめ細かな対応により信頼関係が きている。 顧客ニーズといった情報を常に収集することがで 対応を行っているために , 季節ごとの売れ筋情報や ・ A 社営業部では , 社員が地元小売店へのきめ細かな 【第 4 段落の抜粋】
企業経営理論 《物流・在庫削減》 例題 ( マーケティング論 ) 中小食品スーパーマーケットの A 社では , 地域に 根ざした経営を目標にして , 豊富な品揃えと顧客サー ビスを充実させてきた。売上は順調であったが , 在庫 数が著しく増えて , 収益性を悪化させてしまっている。 この事態に , A 社の社長は何らかの対応が必要であ ると考えている。 下線部に関して , 在庫を減らす試みに関する記述の うち , 最も適切なものはどれか。 ア在庫管理に ABC 分析を用いる。これは一定期間 の販売量や出荷量を元に , 在庫をグループ分けする 方法である。 イ販売実績の動向を見ながら , 仕入れカ河能となる 体制を取る。そこで定期定量方式を採用し , 発注点 を下回る在庫量になった段階で発注を行う。 ウ在庫を減らすために , 管理指標として品切れ率を 導入し , その値を高める。在庫を持っことなく , 入 荷したら一定時間で売り切れる体制を取る。 工受注販売の仕組みを導入する。これにより , 店頭 で顧客とコミュニケーションが取れ , 提案型の販売 も可能となるうえに , 在庫を減らすことができる。 解答 ア 流通チャネルと物流の領域から , 物流についての出 題である。これまでの出題では , 物流についての基本 問題が多い。今月号は在庫削減という課題に関する基 本問題を提示している。 物流については , これ以外に用語を問うものも多く 出題されている。マーケティングのテキストではカ バーしきれないものもあるので , 物流関連の書籍に目 を通しておくことも必要であろう。参考文献として 1 冊提示しているが , これ以外にも用語集などを参考に するのもよい。 116 ア〇 : ABC 分析は在庫管理に用いられる手法であ る。一定期間の販売量や出荷量を元に在庫を A, B, C の 3 つのグループに分ける。 A グループはその 中で 7 割から 8 割を占めるものとし , 次に B グルー プ , そして残りを C グループとする。 C グループ はほとんど販売がない製品となるので , 取り扱いの 見直しを検討することになる。 イ x : 在庫管理においては , 仕入と販売を同期化す ることによって在庫量を減らすことができる。つま り , 販売と同時に仕入れることが可能となれば , 余 分な在庫を持っことがなくなる。販売した数量を仕 入れる体制を構築する必要がある一方で , 物流効率 の点から考えると , 販売した量と言いつつもわずか な量だけの配送を求めることは , 商品 1 点あたりの 物流コストを高めてしまうことになる。そこで , 事 前に発注点を決めて , その在庫量を下回った段階で 発注とする方法が主流となる。定期定量方式とは , 一定の量を一定の間隔で仕入れる方式である。 ウ x : 品切れ率は顧客サービスに密接に関連する。 顧客が来店し , 欲しいと思う商品が品切れとなって いないかどうかを把握するための指標である。多く の顧客は , 商品が揃っていない小売店舗には訪れな い。そこで , できる限り , 品切れ率を低くすること が求められる。ただし , 品切れ率を低くしようとす ればするほど , 在庫水準は高くなるので , 在庫の回 転率を高めたり , 仕入れを工夫したりすることが必 要となる。 工 x : 受注販売による在庫削減は , よく用いられて いる手法である。サプライチェーンそのものを見直 し , 不要な在庫を減らすために自動車メーカーや PC メーカーは受注販売の仕組みを導入している。 ただし , 本事例は食品スーパーマーケットであり , ほとんどの商品はその場で選択し , 自宅に持ち帰る ものであるので , 受注販売には適さないことが多い。 く参考文献〉 ・中田信哉他編著 ( 287 ) 「ロジスティクス概論』実教出版 庄司真人 ( 高千穂大学商学部・大学院教授 ) 企業診断 2016 / 5
【特集】 時事から考える 予想問題 中小企業診断士 1 次試験 図表 3 輸出を成功させるための取組み ■売上高が増加した企業■売上高が増加しなかった企業 ②解説 中小企業の海外展開は , 政府の中小企業政策で 大きなテーマとなっており , 中小企業白書におい ても 2 年に 1 回程度の頻度で取り上げられる重 点テーマです。予想問題は , 2014 年版中小企業 20. O 白書第 3 部第 4 章の , 海外展開の成功と失敗の 要因を調査・分析した内容から出題しました。 2014 年版中小企業白書では「海外展開ー成功 と失敗の要因を探る一」として , 国内市場の低迷 への対応で , 海外市場に活路を見出そうとする中 小企業の現状を分析し , 成功と失敗の要因や , 今 後の海外展開支援のあり方を検討しています。 その中で , 輸出企業の現状として , 輸出を行っ た結果 , 「売上が増加した企業」と「売上が増加 しなかった企業」を区別し , 輸出における成功と 失敗の分かれ道となる取組みを分析しています。 これを見ると , 輸出による売上の変化にかかわ らず , 「販売先の確保」が課題であると認識して いる企業の比率が高いことがわかります ( 図表 20. O 3 ) 。また同様の切り口で , 直接投資を行ってい る企業に対する分析も行っています ( 図表 4 ) 。 ここでも , 直接投資による企業への影響がプラ スかマイナスかにかかわらず , 「販売先の確保」の 比率がもっとも高いことがわかります。「海外展 開を主導する人材の確保・育成」については , 高 い比率を占めるものの , 直接投資の業績への影響 にかかわらず , いずれも 3 番目の比率となります。 ③関連する過去問 政府が重視する中小企業の海外展開において , 3 TPP に関連する他の論点 その動向の把握は診断士にとっても重要です。 ・平成 27 年度第 3 問貿易と直接投資の推移 ・平成 25 年度第 5 問中小企業の海外展開 TPP については , 本章で取り上げた科目以外 ・平成 25 年度第 7 問海外子会社の動向 にも , 企業経営理論での FTA や EPA などの貿 過去問の傾向からも , 中小企業経営の論点とし 易協定との違いや , 運営管理での国際的なバリ て出題されることが多いようです。学習のポイン ューチェーンなどを想定した問題なども考えられ トは , 中小企業が海外進出をする際の 2 つの形態 ます。貿易に関するテーマは幅広いため , 直接的 である貿易と直接投資について , その動向を過去 な変更点に的を絞るなど , より具体的な対策が必 2 年間程度の中小企業白書で把握することです。 要となります。 企業診断 2016 / 5 30. O ー 29.1 25.8 25. O 16.816 2 15.0 1 3.9 13.2 10.6 1 0 ℃ 8.0 77 6.6 5. O O. 0 販売先の信頼できる現地の市場海外展開を海外向け商品・ 確保提携先・アドバ動向・ニーズ主導するサービスの開発 イザーの確保の把握人材の確保 2014 年版中小企業白書 p. 308 「輸出を成功させるために最も重要と 考えている ( 成功と失敗の分かれ道となる ) 取組」から抜粋 図表 4 直接投資を成功させるための取組み ■将来性に良い影響があった企業・資金繰りが悪化した企業 30. O 25. O ー 237 207 20.0 1 9.4 18.2 167 16.0 1 5 ℃ 10 ℃ 8.8 8.1 5 ℃ 3.3 O. O 販売先の現地人材の海外展開を採算性の信頼できる 確保確保・育成・主導する人材維持・管理提携先・アドバ 管理の確保・育成 イザーの確保 2014 年版中小企業白書 p. 321 「直接投資を成功させるために最も 重要な ( 成功と失敗の分かれ道となる ) 取組」から抜粋 25
0 実戦 ! 事例 ・中小企業診断士第 2 次試験対応・ 事例問題解法シミュレーション② 模索する菓子卸売業 A 社の事例 独自商品の開発と組織変革を 業績拡大と地域産業活性化のために 組織・人事事例 ・例題 http://www.aas-clover.com より , 解答用紙と各設問の構造化 シートがダウンロードできます。 田畑ー佳桝田隆史 AAS 京都代表 AAS 関西・白書講座担当 アシストゼミ金沢担当 web 白書特訓主宰 中小企業診断士 中小企業診断士 A 社は , 大都市圏から車で 1 時間ほどの地方にある 128 抜き」の商取引が増えていった。 A 社を通さずメーカーから直接仕入れるいわゆる「中 から , 大手量販店においては , 大量に売れる商品は A 社は売上を伸ばしていった。しかし , 平成 15 年頃 進出してきた大手量販店を販売先にすることにより , 店へと取引先を広げていった。特に , 新たに T 市に さらにデパート , スーパーマーケットなどの大手量販 し始めた頃から , A 社は地元観光地の商店やホテル , 加などにより地域経済が活性化し T 市の人口も増加 度経済成長期に , T 市への大企業の進出や観光客の増 売店が中心であった。その後 , 昭和 40 年代以降の高 A 社の販売先は , 創業当時は駄菓子屋など地元の小 部 , 営業部 , 仕入部 , 配送部という構成になっている。 いる。なお , 組織構成は , 平成元年以降 , 総務・経理 ため , 菓子メーカーからも小売業者からも重宝されて よりも地域に密着した情報をより広くカバーしている は , 各小売業が売れ筋・死に筋を自ら分析したデータ データを創業時から収集して分析している。この情報 えていたため , A 社では地域得意先小売業への出荷 A 社前社長は , さまざまなデータの活用が重要と考 業以来 , 菓子の卸売りとして業績を伸長させてきた。 の卸問屋として現社長の実父によって創業された。創 パートを含めて 80 名である。 A 社は昭和 40 年に菓子 は 5 , 000 万円 , 前年の売上高は約 16 億円 , 従業員数は 観光都市 T 市に拠点をおく菓子卸売業である。資本金 平成 17 年に現社長が 2 代目社長に就任し , 現在に至 っている。創業者の先代社長から事業を引き継ぐ 2 年 前ほと前から現在まで , A 社の売上はほば横ばいの状 況である。 A 社社長は , コンビニエンスストア (CVS) の進出による競争の激化や後継者難により , 地元の駄 菓子屋が廃業するケースが増えてきたことも売上が伸 びないことの一因と考えている。メーカーが開発した 菓子類を単純に卸売りするだけのビジネスモデルだけ では , 業績拡大が見込めないと判断した A 社社長は , 地元の特産品を用いた独自の商品を開発し , 自社で取 り扱うことができないかと思案している。 T 市で生 まれ育った A 社社長にとって , 地元特産品を用いた 菓子類を開発し提供することは , 地域の産業活性化の ためにもぜひとも実現したい夢でもある。 A 社営業部では , 社員が地元小売店へのきめ細かな 対応を行っているために , 季節ごとの売れ筋情報や顧 客ニーズといった情報を常に収集することができてい る。その収集した情報を地域得意先小売業への出荷 データとして分析している。もっとも A 社社長はそ うした分析データを十分に活用できていると考えてい ないようである。一方 , 大手量販店との取引は , 受注 を EDI で受け付けるのみの対応となっている。 A 社の人員構成は正社員が約 30 % で , それ以外は パート社員という構成になっている。正社員は , 2 ~ 3 年ごとに違う部署に異動している。各部署を定期的 に異動することにより , 会社全体の業務を把握できる ようにとの人事上の戦略である。 A 社では , 部署ごとに業績目標達成のための改善検 企業診断 2016 / 5