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検索対象: トランジスタ技術 2016年3月号
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1. トランジスタ技術 2016年3月号

研究室で役に立つ / アナログ回路集 のように電源レギュレータの根元のパスコン ( 通常は 図 B の回路でひすみが気になる場合 , パスコン C3 電解コンデンサ ) の 1 点につながれます . 基板が小さ と C4 の容量はもっと大きくしたほうが良い結果が得 いなどの理由で , 回路別のグラウンドを配線する余裕 られます . パワー回路で最後に特性を決めるのは , 回 がないときは , 次善策として図 J (b) のような配線を 路や部品の定数ではなく , 実装技術であることを忘れ 行います . ないでください . ・コラム 2 市販のパワー・アンプでテスト用電流を得ようとして大失敗・ ある仕事で , 市販のパワー・アンプを使用する機 市販のパワー・アンプの出力に 100Q の抵抗を付ー ・会がありました . ソレノイド・コイルに電流を流し けて , その両端電圧をオシロスコープで測定すると , ・ ーて , その磁界を測定するのです . 図 K のように , 50mVp - p の雑音が観測されました . コイルには数 A ~ 10 A ほど流し磁界を計測し , 50mVp-p/IOOQ = 0.5mAp ー p に相当します . ・その後電流を 0 A にリセットし , 再度そのときの磁 10 A の出力電流に比べたら非常に小さいので , ・界を計測しました . パワー・アンプに文句は言えません ( 仕様は満たし すると測定データが微妙にばらっきました . 原因 ている ). ーは , 電流を 0 A にしたときの磁界のデータにハム・ ゼロ設定時には 0mA が出力されることを期待す . ーノイズ ( AC100 V の 50 / 60 Hz を由来とする雑音 ) が るのですが , 実際にはそうはならないことがあると ・のっているからでした . いう例です . 大電流を扱う場合は , 電流が微小なと パワー・アンプの出力電流を 0 A に設定したとき きの特性をチェックする必要があります . . の , 実際の電流を測定してみて原因が判明しました . オシロスコープで観測 十 50mVp-p 50 mVp ー p = 0.5 mAp-p 100 Q ん = OV ( 人力ショート ) (a) 人力 OV で出力電流 O mA を期待したが・ (b) 出力電圧にはノイズがある 図 K 産業用大出力パワー・アンプで一定電流を得ようとしたら雑音に悩まされた 0 mA を期待したがそうはいかなかった . 最大出力に対しては小さな雑音でも実用には大きすぎる場合がある 1 00 Q 人力 パワー・アンプ Iout (notse) トランジスタ技術 SPECIAL for フレッシャーズ 好評発売中 トランジスタ技術 SPE ロ ALf0 「フレッシャーズ NO. 1 1 1 B5 判 144 ページ さまざまな物理量を電気信号に変換して処理するために 定価 : 本体 1 , 800 円十税 センサ・デバイス活用ノート ある物体の位置や向き , 角度や加速度 , 圧力 , あるいはある場所の明るさ , 温度や湿度など , さまざまな物理量が t 測や制御に利用されています . また , 身の回りの家電製品やゲーム機などにも広く応用されてきています . 本書は , 簡単に利用できるワンチップの IC タイプのセンサから高精度な計測用途向けのセンサまで , いろいろなセ ンサ・デバイスについて解説します . 一三ロ CQ 出版杠 〒 112-8619 東京都文京区千石 4-29-14 販売部 TEL. 03-5395-2141 振替 OOI OO -7-10665 169 ンシスタ技術 2016 年 3 月号

2. トランジスタ技術 2016年3月号

ら ) O LO ミて」 0 LO O ) 0 ー 120 ー 1 80 —60 位相角の [ (a) = ー 025 , % = 1 ℃ (b) = ー 0.25. % = 1 .0 の交流波形 のべクトル図 図 12 dq 軸上の電圧を 3 相へ変換 ( 絶対変換 ) : % = 0.25 , = 1.0 の場合 0 60 1 80 1 20 / 1 0.5 ー 0.5 0 : 0.0.0 = 000 = 0 0 位相角の [ ー 1 20 ー 1 80 1 80 1 20 60 のべクトル図 図 13 dq 軸上の電圧を 3 相へ変換 ( 絶対変換 ) : レ 0.5 , = 1.0 の場合 (a) Id=O (b) ね > O の場合 図 14 4 軸上でのべクトル図 山軸上でモータの動作状態を表記する . べクトル制御は軸上で行われる 図 1 5 の (a) と (b) に , 3 相交流から。〃軸と面軸へ 付いています . これは , 3 相軸上の相電流ピーク値と , の座標変換の原理を示します . 結果として , 表 2 のよ ″軸上のピーク値とを等しくするための係数です . 絶対変換では , 電力を等しくするために , / - ( 2 ) うな変換式になります . 表 1 と同じように , 相対変換と絶対変換とでは , 係 をかけています . 数が異なっています . 相対変換では , ( 2 / 3 ) の係数が 202 (c) ん < O の場合 ンタ技術 2016 年 3 月号

3. トランジスタ技術 2016年3月号

粗悪品と優良品を見極めろ / 4 種類の iPhone 充電用 AC アダブタ に垂下特性になっており , 過負荷や負荷の短絡に対し て確実に保護されています . 入力が 100 V でも 240 V でも垂下ポイントの違いは わずかで問題ない特性です . ただし , 定格電流が IA なのに 1.05A で垂下開始なのは , 少々余裕が足りない と考えます . 試験したサンプルがたまたま最下限にば らついた物なのかもしれませんが , 大量に生産すると 個体差で 1 A の定格電流が取れない不具合が出るかも しれません . アップル純正 AC アダブタの出力特性 アップルの純正品は , ケープルの電圧降下補償機能 がないようで , 素直な特性となっています . 出力電流が 1 ユ A を超えたあたりから垂下領域に入 っています . 100 V に比較して 240 V では垂下するポ イントが 50 mA 程度大きくなっていますが , 全く問 題のないレベルです . 流石は純正品と言えるでしよう . ・安全規格通りに絶縁耐圧試験を実施してみる 定格電流 AC アダブタは 100 ~ 240 V のコンセントに接続さ 0.6 0.8 れ , 出力側はスマートフォンにつながれます . スマー 出力電流 CA] トフォンはユーザの体に直接触れるので , AC 入力側 (b) Ap e 純正 AC アダブタ と DC 出力側が絶縁されてないと , ユーザが感電しま 図 1 小型 AC アダブタの出力特性 ( 実測 ) す . 最悪の場合は命に関わります . ダイソーのものも表示に偽りのない特性が得られている ユーザの感電の危険を防止するために , ACIOOV を使う機器を販売するには , 絶縁性能についての規定 両者とも入力電圧は「 100V ー 240V 」と表示してあ がある安全規格を守る必要があります . るので , 3.0kV の試験が要求されます . 安全規格では , AC アダブタの 1 次 2 次間の絶縁が 試験条件 1.5kV 1 分間を先に行い , その後で 3.0kV ちゃんと機能しているかどうかを確認するために , 絶 1 分間の試験を行いました . 縁耐圧試験が規定されています . A200 円 AC アダブタは国内で使うなら問題ない安全 日本の安全規格である電気用品安全法省令第 2 項 性を持っているが技術基準には不適合 の技術基準 J60950 では , 入力電圧が 150 V 以下の場合 アップル純正 AC アダブタは全く問題ありませんで は 1.5kVAC, 150 ~ 300V の場合は 3.0kVAC の試験 した . 電圧を 1 分間加えても , 絶縁破壊があってはならない , 200 円 AC アダブタは , 2 個中 1 個が 3.0kV の試験で と規定しています . NG でした . 技術基準を満足できていません . 6 5 にる プあ カり 性ね 特う 〔 > 〕出細 C-C 田 240V 人力 1 OOVA カ 定格電流 3 2 0.4 0.6 0.8 出力電流 CA] (a) ダイソー 200 円 AC アダブタ 0.2 0 6 カ 5 〔 > 〕出細田 1 OOVX カ 3 2 0.2 1 0.4 0 コラム 1 ケーブルの電圧降下を補償する機能 AC アダブタには普通 1.8 m の長さの DC 出力コー プルの導線を太くして抵抗を小さくすることです . しかし , 太い導線は使用する銅の量が多くなり , 価 ドが付きます . iPhone 用の AC アダブタの場合は , 格が上がります . AC アダブタ業界のコスト競争は USB ケープルで本体と接続します . ケープルには 激しく , そんな事をしていたらライバルに負けてし 細いものだと数百 mQ 程度の抵抗があるので , 電 流を流すと電圧降下が生じます . まいます . そこで , コストの安い細い銅線を使用しつつ出力 500mQ の抵抗があれば IA の電流を流すと 0.5V 電圧を規格内に収める方法として , 回路の工夫でケ / の電圧降下が生じます . 5V で動作する機器の要求 / する電圧は普通 5 V 士 5 % なので , ケープルで 0.5 V ープルの電圧降下を補償する ( 降下するぶんの電圧 を上げる ) 機能が考案され , 一部の AC アダブタに ンの電圧降下があったら要求を満たせません . この問題に対する対策として , 単純な方法はケー 採用されています . ンシス 9 技術 2016 年 3 月号 145

4. トランジスタ技術 2016年3月号

急坂も一定速度でグイグイ / ブラシ付き DC モータのアナログ・サーボ制御回路 持つ最大トルク以上は引き出せません . マイコンもセンサも使わす OP アンプとトラ 図 3 に , 直流電圧を加えて駆動した場合と , フィー ンジスタだけで一定速度に自動制御したい ドバック制御を行った場合のモータの負荷特性を示し 電源とモータを半固定抵抗器などでつなぐだけの簡 ます . 図中のトルク T [ N ・ m] は , モータに加わる 単な回路で制御されたモータは登り坂や下り坂 , 搭載 負荷トルクです . している重量物などによって負荷が変化すると , 回路 図 3 ( a ) は直流電圧だけで制御した場合の負荷特性 速度が変わってしまいます . 本稿で紹介するアナログ です . 負荷の増加に応じて回転数が下がることを意味 定速度サーポ回路は , 図 2 のように負荷変動があって しています . 図 3 (b) はフィードバック制御した場合 も回転数を一定に保とうとフィードバック制御を行い の負荷特性です . 負荷の増加により回転数が変動した ます . 障害物がある場合でも , 乗り越えられる場合は ことを電圧値にてフィードバックし , 回転数を一定に 自動的にトルク・アップし , そのまま進んで行きます . 制御します . これらの機能を OP アンプ , トランジスタ , 抵抗 , フィードバック制御を行うことで , モータが持っト コンデンサだけのシンプル構成で実現できます . また ルクを最大限引き出せるので , 負荷が変動しても回転 速度検出用センサが不要なので , 低コスト化できます . 数が変化しにくく , T ールカープの傾斜が小さくなり 故障のリスクが減るので , 信頼性も上がります . ます . 本回路のメリット ②センサ不要 通常 , DC プラシ付きモータで回転数の制御を行う ①モータが持つトルクを限界まで引き出せる 場合 , ロータリ・エンコーダなどにより回転数を検出 フィードバック制御により , モータが持つトルク性 し , F ー V コンバータ ( 周波数ー電圧変換器 ) により電圧 能を限界まで引き出し , 回転数を一定に保つように制 変換を行います . それで得られた電圧値と目標値 ( 直 流の制御電圧値 ) の差分電圧でモータを駆動します . 御します . 直流電圧だけのオープン・ループ制御より , 大きなトルクを引き出せます . ただし , モータ自身が アナログ定速度サーボ回路は , モータから発生する 上り坂のロ転速度 : 下り坂のロ転速度 1 OOO 「 pm 以下 ( 制御なし ) 1 OOO 「 prn 以上 ( 制御なし ) 1 OOO 「 pm( 制御あり) 1000rpm( 制御あり) 図 2 本サーポ回路は負荷 が変化しても速度を一定 に保とうとがんばる 平地での囘転速度 . 1000rpm( 制御なし ) 1 OOOrpm( 制御あり) ん TLI > ん瓏 > ん 定速ロ転 ル 1 / 1 > / 2 > / 3 負荷が大きく なるにつれロ 転数も落ちる ん = VCTLI 〔 u-ld 」〕囘 〔 11Jd 」〕ミロ ル 2 トルクを限界 まで引き出す トルク万 Ckgf ・ cm] (a) 電圧制御 ( オープン・ループ制御 ) 図 3 フィードバック制御では速度を保っためにモータのトルクを限界まで引き出す モータにおけるトルクと回転数の関係 ( たⅣ特性 ) ンタ技術 2016 年 3 月号 トルク Ckgf ・ cm] : 入力制御電圧 (b) フィードバック制御 0 0 0 0 1 177

5. トランジスタ技術 2016年3月号

表 2 モータ内部抵抗 RM と対応する私 ~ R3 の抵抗値 2 注 モータ内部 抵抗 [Q] M, / 10 CQJ MX ~ 90 [ Q ] MXIO CQ] 820 ( 910 ) 1 開 1 10 1 k ( 1.1 k) 120 1.2 12 1.2 k ( 1.3 k) 150 15 1.5 k ( 1.6 k) 180 18 1.8 k ( 2.0 k) 220 22 22 2.2 k ( 2.4 k) 270 2.7 27 注 : 左側が 80 倍 ( ー 20 % ) の推奨値 , 括弧内は約 90 倍 ( ー 10 % ) の限界値 ステップ 5 ・・ 4 , 7 の抵抗値を決める R4 22k 4 , を 1 の 100 倍ていどに設定します . 図 10 単電源化する方法 ( 正転のみ ) 図 9 の回路の負電源をグラウンドに接続すれば単一電源化できる = 7 = 220 Q x 18 = 22 kQ ステップ 6 ・・ 5 , 6 の抵抗値を決める は無極性電解コンデンサを追加します . 容量が大きい , 6 を躡 , と同等 , または 2 倍ていどにします . 方が , 振動に対する効果は大きくなります . ステップ 8 ・・・ OP アンプの選択 5 = 6 = 22 k Q x 2 = 44 k Q → 47 k Q ( E12 シ OP アンプには , 両電源で使用できるものを選びま リーズに合わせる ) す . 単一電源で使用する場合は 0 V から入力できるも のを選びます . 今回は LM358 ( テキサス・インスツル 厳密に計算するには , , によって制御電圧と モータ電圧間のゲインが決まるので , 式 ( 18 ) から算出 メンツ ) を使用しました . LM358 のような汎用 OP アンプを使用する場合は , します . ステップ 7 ・・・ CI の容量値を決める モータ駆動電流をカバーする外付けトランジスタが必 DC プラシ付きモータでは , プラシで切り替えなが 要です . 発熱が大きいので , 熱発散の大きな TO ー 220 ら 3 個の電機子に給電するため , 切り替わるタイミン パッケージの大容量品を選びます . 今回は 2SC3851A グでインピーダンスが瞬間的に変化します . 逆起電圧 ( サンケン電気 ) を使用しました . 発熱が大きい場合は を検出する回路では , プリッジ・バランスが瞬間的に 一辺が 2 ~ 5 cm 程度のヒートシンクを追加します . 崩れるため , ノイズが発生します . これを抑えるため ・さらなるシンプル化・・・正転のみで OK な場合 に , プリッジ検出端にコンデンサ CI を挿入します . 用途が正転のみの場合は , 負電源をグラウンドに接 低速回転時にモータから振動が出る場合は , CI に 続して単一電源で回路を構成します . マイナス電源は 22 ~ 10 uF 程度のセラミック・コンデンサ , また Vcc OP アンプ LM358 3 2 モータ ( モータ は正転方向に T 「 1 しかロせない ) 2SC 3851A 入力制御 電圧ん R547k 47k 負電源をグラ ウンドに接続 すれは単一電 源で駆動でき る 1 モータ 逆起電圧 内部抵拡呂 実測値 22Q ー 1 .8k 01 2.2 廴 - R7 22k 220Q 2.2Q 1 /2W 安定したサーボ制御を目指すと定速回転じゃなくなる アナログ定速度サーボ回路では , 図 3 ( b ) のよう な定速回転を目標としていますが , これは理想的な 特性です . サーポ制御における臨界 ( = 発振限界 ) 状 態で , 少しでも上回ると発振することがあります . よく使う炭素皮膜抵抗の許容差は 5 % です . 臨界 条件を狙うと , 抵抗値誤差のために発振することが あります . 安定したサーポ制御を行うには , プリッジ抵抗を 10 % ていどずらして発振に対する余裕を持たせま す . この場合の特性を図 A に示します . 図 9 の 2 の 場合 , M の 1 開倍の抵抗値が理想 ( 臨界値 ) ですが , 10 % ~ 20 % 低くしています . ん > ん > ん 理想的な特性 ( 定速囘転 ) 抵抗値を調整して 発振に対する余裕 をもたせる ん几 = VCTLI ん = ん に回 = ん 3 0 0 トルク兀 [kgf ・ cm] 几 : 人力制御電圧 図 A 実際のたⅣ特性 厳密には定速回転じゃない 182 ンタ技術 2016 年 3 月号

6. トランジスタ技術 2016年3月号

ンの」 場合には図 18 のような計画が考えられます . プロセス 1 スレッド 1 CPU コア 1 シングル・プロセスシングル・スレッド CPU への割り当て (1) 1 プロセスを 4 スレッドに分散 = 合計 4 スレッド (a) 通常のプログラム ( シングル・プロセス , シングル・スレッド ) ( 2 ) 4 プロセスを 1 スレッドずつに分散 = 合計 4 ス スレッド 1 ℃ PU コア ( 3 ) 2 プロセスを 2 スレッドずつに分散 = 合計 4 ス スレッド 2 CPU コア 2 スレッド 3 を CPU コア 3 。 プロセスとスレッドの関係を理解していないと , ス スレッド 4 ℃ PU コア 4 レッド分散とプロセス分散を混同して性能劣化を招く シングル・プロセス複数のスレッドを生成 CPU への割り当て ばかりでなく , プログラムが正しく処理されないこと (b) マルチスレッド も発生します . プロセスは人が識別する最小単位と考 プロセス 1 スレッド 1 CPU コア・ えることもでき , スレッドは OS が識別する最小単位 プロセス 2 スレッド 2 C PU コア 2 、 ともいえます . プロセス 3 スレッド 3 OP リコア 3. プロセス 4 U コア 4 スレッド 4 ・並列化最大の壁・・・計算には順序がある 複数のプロセスを生成シングル・スレッド CPU への割り当て 並列化には , データの時間依存性 ( データ従属性と (c) マルチプロセス も呼ぶ ) という最大の障壁があります . 家を建てると き , 土台となる基礎工事が終わらなければ屋根の工事 スレッド 1 CPU コア 1 プロセス 1 はできません . 基礎工事と屋根の工事には順序があり スレッド 2 CPU コア 2 ます . これが時間依存性です . スレッド 3 ICPU コア 3 データに時間の依存性があると並列処理できません . プロセス 2 スレ、ソド 4 ら℃ PU コア 4 例えば , 四則演算では加減算より , 乗除算を優先する 複数のプロセスを生成複数のスレッドを生成 CPU への割り当て ルールがあり , これを誤ると計算を間違えます . (d) マルチスレッドとマルチプロセスの併用 「正」 1 + 2 x 3 = 7 図 18 4 コアにプロセスとスレッドを割り当てる方法 「誤」 1 + 2 x 3 = 9 よる実行の同期が必要になります . これもデータの時 きちんとプログラムすればちゃんと計算できますが , 間依存性の一種です . 1 + 2 x 3 の通りにプログラムを書くと , コンピュータ 並列化の性能は直線的に伸びない・・アムダールの法則 はこの通りに計算して間違えます . このように , 並列化によって余計な処理が生じるた 並列化する場合は処理を分割しなければなりません . め , 並列化は必ずしも直線的に性能が伸びないことが しかし , 図 19 のように計算の優先順位は決まってい 知られています . これを「アムダールの法則」と呼び ます . その場合は並列化できません . ます . データの時間依存性で有名な例は , 前の値が決まら ないと次の値が決まらない場合です . 繰り返し処理で よく使う 土 = 土十 1 ー という演算が該当します . 前の変数 i に 1 を加えて , 次の変数 i に代入します . 前の値が決まらないと次が 決まりません . こうした記述があると並列化できす , 並列コンピューティングを生かせません ( 最近はこの ような場合 , 縮約 reduction という特別な手法で並列 化できる ). 時間依存性には , 前方依存と後方依存が ありますが , いずれにしても並列化できません . データを共有している場合も並列化できない 目的の計算 1 十 2 X 3 = 図 20 のように並列処理で共有しているデータ ( メモ 2X3=A 処理 2 リ ) への同時にアクセスする競合状態が生じる場合も , 1 十 A=B 並列化できません . 計算を誤ってしまいます . ロック (a) 処理を分ける (b) 処理の順序 やセマフォなどの排他制御が必要になり , 処理待ちに 図 19 四則演算の順序を間違えると計算結果がまるで違う ンタ技術 2016 年 3 月号 ロ レッド プロセス 1 1 E : 全体の性能倍率 ( 単体比 ) r : 単体の並列効率 れ : 並列数 図 21 に示すように , 並列数を増やしてもいずれ , 処理に順序があると 同時に実行できない 処理 1 時間 121

7. トランジスタ技術 2016年3月号

コラム 2 突極モータと非突極モータのリラクタンス・トルク 0 軸上には 図 A 回転子の構造の違いによるイン 「磁石」がない ダクタンスの変化 表面磁石型では , d 軸 , 4 軸いずれも磁気回 0 、 路が等しく , インダクタンスの差は生じに くい . 埋め込み磁石型の場合には , 4 軸の 磁気回路には磁石がなく , 磁気抵抗が低下 する . 結果として , 4 軸のインダクタンス は大きくなる傾向にある 、 WI CD U1 V2 W2 V2 (b) 埋め込み磁石型 ( IPM ) → 突極構造 ( 逆突極構造 ) (a) 表面磁石型 ( SPM ) →非突極構造 0 コラム 1 の表 A に示す式の中にあるリラクタン ス・トルクは , d 軸と 4 軸のインダクタンスの違い によって生まれるトルクです . 式 ( 10 ) , 式 ( (1) か ら明らかなように , と % が等しい場合には , の項は無条件にゼロになり , リラクタンス・トル クは生じません . はたして , 工 d と % の違いはどの ような原理で生じるのでしようか ? ・ 2 種類の永久磁石モータ 表面磁石型 図 A にモータの回転子構造の違う二つのモータを 示します . 図 A (a) は表面磁石型 (Surface Permanent Magnet : SPM) と呼ばれるタイプです . フェライト・マグネットを使用した永久磁石モータ を中心に普及しています . 回転子表面に接着剤など で磁石を張り付けるような構造です . d 軸 , 4 軸のどちらも , 固定子から回転子に至る 経路 ( 磁気回路 ) に差はなく , インダクタンス値も等 しいと言えます . 埋め込み磁石型 図 A(b) の埋め込み磁石型 (lnterior Permanent Magnet : IPM ) の場合は , ネオジウムなどの強力な 磁石を回転子の内部に埋め込んで使用します . この 場合は , 構造的に 4 軸方向には磁石が存在せず , 4 軸の磁気回路には d 軸よりも鉄の部分が増えます . 結果として 4 軸インダクタンスが増加します ( < ). 永久磁石の透磁率は空気とほば同じなので , d 軸と q 軸のインダクタンスの差は大きくなります . この IPM 構造は , ネオジウムなどのレア・アース を使用し始めたころに登場しました . フェライトに 比べて , 高出力密度化が可能で効率も改善しました . 昔からある巻き線型同期モータ ( 回転子の磁東を (a) 電流位相のの定義 ③全トルク ( ① + ② ) トルクが増幅 1 00 ①永久磁石 トルク 1 50 冖ま〕ミ上・ー屮 ん < 0 で トルク最大 ②リラクタンス・トルク 30 60 90 1 20 1 50 1 80 電流位相 [ (b) 電流位相のに対するモータ・トルク 図 B 突極モータの最大トルク位相 リラクタンス・トルクを備えた場合は , 電流位相は 90 。よりもさ らに進めた点にトルク最大点が存在する . d 軸電流を意図的に負 に流した方がより大きなトルクが得られる —50 0 204 ンシスタ技術 2016 年 3 月号

8. トランジスタ技術 2016年3月号

特集 緊急実験 ! 5 ドル I/O コンビュータ上陸 イントロダクション 1 2 、 3 4 5 6 7 8 9 ロスなく転送できている 約 150ns 周期 1 バイト 1 1 SCLK + 工十工 + 十 + 立 SCLK データ転送できて 2V オシロスコープのオー いない時間がロス バーサンプリングによ になっている 20ns り波形が乱れている (a) SCLK = 1 25 MH 乙 1 バイト転送時 , ロスあり 20ns (b) SCLK= 125 MHz, 1 バイト転送時 , ロスなし 連続転送できている 2V 5 us 約 20 s 周期 64 バイト ( し CO 5 s 64 ノヾイト オーバーサンプリ データ転送 ングによる波形の 王できていない 乱れおよび歯抜け (c) SCLK=125MHz, 64 バイト転送時 , ロスあり (d) SCLK=125MHz, 64 バイト転送時 , ロスなし 図 4 転送が周期的に起こり口スが出ている波形とロスなく転送できている波形 送速度の伸びが RT カーネル側で起きるのは , タイム・ や訂正の符号も必要となってくるので , そういったオ スライス間隔が短い恩恵でしよう . ーバーヘッド分の計算も別途必要です . 本実験のような SPI 転送動作では , DMA 動作を行 SPI 通信速度評価まとめ っていないので , CPU 動作によるメモリ転送が主な処 理です . そのためカーネル動作の差が顕著に出ている と考えられます . DMA (Direct Memory Access) とは , ・ S でも 25MHz 以上 , バケット 256 バイト以上な CPU を使わすに専用回路でメモリにデータを転送 / 読 ら USB 1.0 よりも高速 み出せるしくみです . SPI 通信では , 一般的に使われる 1 バイト転送のよ うな小バイト構成では , クロックが高速であっても 1 さらなる高速化を狙う場合は , レジスタを操作して DMA 転送を行えば , 効率良く転送できるでしよう . 回の転送で必ず 35 ~ 45 くらいの動作遅延が起きて ロスとなってしまいます . 一方で大量データのバケッ ト転送を行う場合は , 高速クロックを使えば 30Mbps ・高速 S 日通信のアプリケーションに必須な伝送系 以上とマイコンや FPGA 並みの働きもしてくれそう や誤り検出の配慮 高速なクロックを使った回路を組む場合は , 伝送系 です . ( 信号配線 ) の問題が重要になるので , 拡張コネクタを ・専念させれば 2MHz サンプリングもできそう 介すること自体にリスクがあります . もし実際に高速なクロックで転送する場合は , 可能 例えば , 外部にサンプリング用の基準クロックや な限り専用の基板を作って , 拡張コネクタへはケープ FIFO 付の送受信バッフアを持った 16 ビットの A ー D ルを介さずに直接接続しましよう . さらに基板上でも サンプル回路を組んで接続することを考えます . クロック配線は GND でシールドしつつ配線長を引き SCLK = 62.5MHz 時の通信速度 33Mbps を 16 ビット 伸ばさないなどの配慮をした方が良いでしよう . で割ると約 2 MHz 程となるので , ロガーのような「長 高速シリアル転送の場合は , CRC などの誤り検出 時間漏れのない連続した」 IM ~ 2MHz のサンプリン トランタ技術 2016 年 3 月号 1 1 ⅢⅡ川 . 旧川川Ⅲ旧Ⅲ . Ⅲ引ⅢⅢ II 川鬪Ⅱ . Ⅲ II 川 lll Ⅲⅲ川川い川川卩Ⅲ山川 II 川ⅡⅢⅢ旧川ⅱ物引Ⅷ日測ⅡⅢ川Ⅲ SCLK 109

9. トランジスタ技術 2016年3月号

象とする場合 , これはいつ終わるともしれない孤独な 戦いです . 初心者は , わずかなつまずきでも先に進む ことができないでしよう . ラズベリー・パイでは , 世界中の何百万もの仲間か ◆引用文献◆ ら情報が得られるので , この無用な戦いがありません . ( 1 ) 山本隆一郎 ; 絖刈 MHz 4 コア・コンピュータ最新ラズベリー これは本当に素晴らしいことです . パイ 2 登場 , 2015 年 10 月号 , インターフェース , CQ 出版社・ ( 2 ) 桑野雅彦 ; ARM コンピュータ "Raspberry Pi" のしくみ , 2012 年 12 月号 , インターフェース , CQ 出版社 . ・ますはアレンシから ( 3 ) 江崎徳秀 , 石井モルナ ; 世界の定番 / 名刺サイズ・コンピ ラズベリー・パイは , ネット上の情報を参考にする ュータ「ラズベリー・パイ」 , 2015 年 10 月号別冊 , インター ことで , ソフトウェア的な拡張機能や , USB 機器を フェース , CQ 出版社 . 簡単に動かすことができます . 逆に言えば , ネット上 ( 4 ) 島田義人 ;CSTEP2] あっさり終了 / マイコン主要回路のテ で見つけることのできない機器の接続は難しいと思い スト運転 , 2014 年 10 月号 , トランジスタ技術 , CQ 出版社 . ます . これから入門という方は , まずネット上で同じ ようなことをしている例を探し , それをアレンジする ことから始めるとよいでしよう . 魔法のマシンではない・・・ラズベリー・バイの苦手なこと ラズベリー・パイは大きな可能性を持っワンポー ・汎用ライブラリは便利だが動作が遅くなりがち ド・パソコンですが , 弱点もあります . Linux で画像処理を伴うソフトウェアを開発する 場合 , OpenCV のような定評のあるライプラリが利 ・起動と終了が面倒 用できます . ライプラリ上のいくつかの関数を呼び 表 A にワンチップ・マイコンとの比較を示します . 出すことで , 簡単に高度な処理を実現できます . し ラズベリー・パイは小さくても Linux マシンですか かし汎用性を重視するため , 動作が重く大きなもの・ ら , 起動と終了に時間がかかります . 電源 ON から になりがちです . 開発の速さとはトレードオフの関 , の起動は待てばよいとしても , 突然電源を切ること 係です . ・はできません . また , 電源ボタンを OS で認識し , シャットダウ ン後に , ポードの電源を落とすハードウェアが必要 標準の環境で開発を始める場合の敷居は低いです が , リアルタイム性を向上したい , クアッドコアを : です . この辺は最近の情報家電と同じです . 存分に活用したい , という場合は Linux に関する深 , ・リアルタイム性が低い い知識が必要です . これはこれでやりがいのある分 図 A のように 野です . いったん身に付ければ , 後々大いに役立つ・ Linux はマルチタスク OS です . , CPU を時間的に切り替えることで , 複数のアプリ と思います . ' ケーションを同時に動かしています . ハードウェア , からの要求に即座に応答できるとは限りません . タ 同時にタスク要求発生 , スクの状況によって , 即座に応答できたり , 長く待 高い ・たされたりします . 電子回路的な意味での応答には タスク A : 待ち一 : 注意が必要です . タスク B タスク C 表 A ラズベリー・パイの弱点・・・起動と終了 を 日寺間 マイコンとの比較 優先度の低いタスクはなかなか 順番がまわってこない - マイコン 項目 ラズベリー・パイ を 起動時間 30 秒程度 図 A Linux ではスケジューラが実行タスクを切り替えな 終了方法シャットダウン処理が必須 電源遮断 がら複数の処理を同時に実行していくので , 長く待たされ を 消費電力 数 mA—数十 mA 約 10g mA る場合もある ンタ技術 2016 年 3 月号 ・頑張るには知識が必要 ち一ち 一待一待 - ちち ~ 待待 一ち 一待 ち 一待 ち ~ ち 待一待 ち 待 ち一ち 一待一待 低い

10. トランジスタ技術 2016年3月号

pwmSetMode ( ) 分周器 Mode ( 動作モード ) +divisor Range value 最大 4095 ( 周期 ) ( ・ 1 ' 期間 ) pwmSetCIock ( 厂 pwmSetRange ( ) pwmWrite ( ) 図 1 ラズベリー・バイの PWM 構成 大 4095 分周 ) したものが PWM の動作クロックになります . PWM 部分では周期設定 (pwmSetRange() で設定 ) , '1' 期間設定 (pwmWrite ( ) で設定 ) によって , 周期と '1' 期間の比率が決まります . ラズベリー・パイの PWM には , 後述するように動作モードが二つあり , どちらのモー ドで動作するかを pwmSetMode() で設定します . ・ PWM 出力モードは 2 種類 ・パイの PWM には次の二つの動作モードがあります . ラズベリー ( 1 ) バランス・モード ( 2 ) マーク・スペース・モード 図 2 は , 動作モードによる出力波形の違いを示したものです . 図はわかりやすいように 周期が 8 , '1' 期間が 5 の場合を示しています . どちらのモードも PWM の 1 周期の中の '1' の期間が pwmWrite ( ) で設定した数になる のは同じですが , マーク・スペース・モードでは '1' 期間が集中し , バランス・モードで は拡散していることがわかります . バランス・モードは , 特にデューティが 50 % 前後のときには細かく '1' / ℃ ' を繰り返 します . LED をつないで見かけ上の明るさを変えるときや , ローパス・フィルタをつな いで D ー A コンバータとして使うような場合には都合がよいモードでしよう . パルス幅変 調というよりも , パルス密度変調と呼んだ方がいいかもしれません . 一方 , サーボモータのようにパルスの幅そのものが意味を持つようなときにはマーク・ 1 2 9 ↓ ↓ ↓ : 5 ー 2 : 7 : 4 新 : 6 : 3 : 0 クロック ( 19.2MHz) PWM 出力 モ ス ン ラ ・ 4 ー 3 ー 2 、 4 ! 3 。 1 ! 0 : 7 , 6 。 5 ー 6 ー 5 マーク・スペース・モード ・ 1 ' 期間 : 5 の場合 周期 : 8 PWM の 1 周期 図 2 PWM のモードと動作の違い 70 トランシスタ技術 2016 年 3 月号 別冊付録