地蔵 - みる会図書館


検索対象: ピーターパンの島
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1. ピーターパンの島

ふかきね くき 父は垣根にまつわって咲いているバラの花を何輪か切り、茎のトゲをもいで ぼ、つ から坊やに渡した。 「さあ、これを持っていくんだよ」 「一つ , ん」 そふ 杖をついた祖父と花を抱えた坊やの二人は、丘の道を下り、ふもとの小さ じぞう な森のそばにあるお地蔵さまにむかった。 そな ねが 「さあ、お花をちゃんと供えて、よくお願いするんだよ」 坊やは小さな手を合わせて、二、三回頭を下げた。 じぞう 「お地蔵さま。もう、こわい夢を見ないはうにして下さい」 と、うしろで祖父が言うのをまねして、同じように坊やは言い、 「もう今夜から、だいじようぶだね」 と、うれしそうにとびはねた。 わた さ カカ ゅめ なんりん おか 7 お地蔵さまのくれたクマ

2. ピーターパンの島

「また、こんばんも、きっと見るよ」 そふ 祖父が答えないので、坊やはからだを揺らせながら声を高くした。 「そうだね。どうしたらいいだろうね」 そふひく 祖父は低い声でつぶやき、首をかしげていたが、やがて言った。 じぞう 「ああ、それではお地蔵さまにおまいりにい こ一つかね」 ゅめ じぞう 「お地蔵さまにおまいりすれば、こわい夢を見なくなるの」 「そうだよ」 そふ 祖父は、こう答える以外になかった。 「じゃあ、すぐ行こうよ」 そふほね 坊やは、祖父の骨ばった手を引っぱった。 そな 「そうするかい。それならお供えする花を庭から持って行こうね」 そふ あさっゅ 祖父は花バサミをさがし、二人は朝露のまだ乾ききらない庭に下りた。祖 ルカし かわ 156

3. ピーターパンの島

5 お地蔵さまのくれたクマ

4. ピーターパンの島

せなか 「なにを食べたんでもいいや。ばくはバクちゃんの背中にまたがりたくて、 大きくなるのを待っていたんだよ」 坊やはバクにまたがり、急に大きくなったバクのやわらかい毛に、うれし そうにさわった。 163 お地蔵さまのくれたクマ

5. ピーターパンの島

「 ( れからの出来事 ・」うりしゅぎしゃ 合理主義者 むじゅうりよくはんざい 無重力犯罪 ゅう 力 誘拐Ⅲ じぞう お地蔵さまのくれたクマ ピーターパンの島 もたらされた文明 サーカスの旅 帰路 い 3

6. ピーターパンの島

「ねえ、おじいちゃん。また、こわい夢を見たんだよ」 まどべ 朝の日のあたる窓辺の椅子にかけている祖父に、坊やがいらいらした声で 一一一一口った。 「坂ゃ。夢なんてものはね、朝になればみんな消えていってしまうんだから、 5 そんなにこわがるんじゃないよ : まど 祖父は、坊やの頭をなでながら答えた。窓は、潮の香を含んだすがすがしお い風を迎え入れている。二人は港の近く、小高い丘の上にある家に住んでい お地蔵さまのくれたクマ じぞ、つ むか ゅめ ゅめ しおかおりふく おか ぼ、つ

7. ピーターパンの島

「さあ、クマに似ているのかい」 「うん。しつばは牛のみたいだな。やさしい目つきをしていて、夢で会うた びに少しずつ大きくなっていくようだよ」 そふ 祖父はひたいに手を当てて考えていたが、しばらくして言った。 「ああ、それは、きっとバクっていう動物だよ」 「バクちゃん : ねが 「うん。こわい夢を食べてくれる動物なんだ。きっと、坊やがお願いしたの じぞう で、お地蔵さまが一匹わけてくれたんだよ。かわいがってやらなくては、い けないよ」 「ばくたち、とっても仲よしなんだ。早く大きくならないかなあ。そしたら、 せなか バクちゃんの背中に乗って遊べるんだけど」 「そのうち大きくなるよ。坊やのこわい夢をみんな食べてくれて、大きくな ゅめ びき なか ゅめ ゅめ 160

8. ピーターパンの島

るんだよ」 そふ びしよう 祖父は目にやさしい微笑を浮かべながら、坊やの頭をなでた。 すず 夕方ちかく、家のそばで鈴の入ったポールをころがして遊んでいた坊やは、 ふいに、うしろから乱暴な声をかけられた。 か 「おい、それを貸してみな」 おどろ じ こども 驚いてふりむくと、そこには意地の悪そうな目つきの子供が立っていた。 「面白そうな物じゃないか」 こヾと . も物は、つ その子供は坊やより大きく、強そうだった。 「い巧、わ」い」 「けちなことを一言わずに、よこしなよ」 こ 4A ャも かた その子供は、命令するような口調で言い、坊やの肩をこづいた。 坊やは、こわさで、ロもきけないほどふるえた。前につづけて見たこわい らんぼう つ ぼう 1 お地蔵さまのくれたクマ