海賊船 - みる会図書館


検索対象: ピーターパンの島
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1. ピーターパンの島

こ」。っ かんせい ウエンディと、そのほかの大ぜいの子供たちは、 ) しっせいに歓声をあげた。 かいぞくせん かいぞくせん 海賊船。いま、ここにあるのは夢にまで見た海賊船なのだから。黒ずんだ もくぞう 色をした木造の船体。ピッチをぬりこんだ甲板。海のにおいのしみこんだ太 いロープ。 こと。も 子供たちはあたりを駆けまわり、それぞれを手でなで、腕を押しつけ、ほ かんせい ほをすりよせ、においをかいだ。あまりのうれしさで、その歓声は泣き声の ひび ゅ しおかぜ ような響きをおびて、潮風とともに揺れつづけた。 ピーターバンの島 か ゅめ かんぼん うでお 164

2. ピーターパンの島

みな、すごすごと帰ってゆくのだった。 こど、も と、つ しろ 城の子供たちは、暗い物かげ、塔の上、森のなかの小川のほとりなどに、 ようせい にんぎよおにせんにんゆきおんな 何人かが集まって、妖精や魔法使い、人魚、鬼、仙人、雪女、そのほかいろ いろのお化けについて、一日じゅう語りあう。 そして、話す種がっきると、先生をさがして、新しい話をねだる。 のろ うらな 「ねえ、先生。古代エジプトの呪いのお話か、海賊たちがやった占いのお話 をしてよ」 かいぶつ 「それより、海の底の怪物か、巨人のいる星の話がいいな」 ふつう いずれも、普通の学校でなら聞けない話だし、たとえ、聞けたとしても、 こども ふつう いっしようふ 普通の子供たちだったなら、一笑に付してしまう話だ。なぜなら、スフィン げんだい かいぞく かんけい そんざい クスや海賊は、現代とはまったく関係のないと、 いうべき過去の存在だし、 ちょうさ しんかいわくせい 深海も惑星も、人間によってくまなく調査され、なにもないことがはっきり たね そこ きよじん かいぞく 178

3. ピーターパンの島

むかしふう おそくまでみちていた。つぎの日、昔風の船員の服をつけた男があらわれ、 「さあス出かけましょ一つか」 こ +AJ も と迎えた。子供たちはソリに乗り、雪のつきたところからは馬車に乗りか どうろ とちゅう せいぜん え、港にむかった。その途中、大きく整然としたビルの並ぶ、都会の道路を こも まど 通った。だが、それを窓から見た子供たちは、 「あれはみんな、うそなんだね」 「そ一つさ。なにかのまちかいさ」 などと話しあっていた。馬車のすみのほうに乗っていた先生は、それをゆ ううっそうに聞いていた。 わか やがて馬車は港につき、そこで先生と別れ、岸壁に用意されていた海賊船 こ +AJ も かんせい に乗りこみ、子供たちは歓声をあげたのだった。 むか がん。へき なら かいぞくせん 182

4. ピーターパンの島

すごすのだ。 しかし、ウエンディたちは、気のついた時にお祭りをやった。 しゆっこうきねんび 「きようはシンドバッドの出航記念日だぞ」 ねんど と、だれかが言い出せば、そうきまってしまう。その夜は、粘土で作られ あかり たアラジンのランプに灯がともされる。 こんばんそんごくうたんじようび 「今晩は孫悟空の誕生日だ」 ふぶき と、きまれば、みなはおサルになり、紙吹雪を飛ばしあう。 しかし、クリスマスは本当のお祭りだ。なんでも持ってきてくれるはずの こども そうだん サンタクロース。子供たちは、サンタクロースになにをたのもうかと相談し よ、つきゅう た。そして、その要求は、とても欲張ったものになった。 つばさ かいぞくせん 「海賊船に乗って、天使のように翼のある人の住む島に行きたい。そこで妖 まほ、つ 精や、魔法使いや、人魚などに会いたい」 にんぎよ と 0

5. ピーターパンの島

ほばしら それに、この帆柱。広い海に出てから一杯に帆が張られ、風を受けとめな はた がら船を押し進める帆柱。それには縄梯子がかけられ、上のはじには黒い旗 もよう そ しうまでもなく がひるがえっていた。そこに白く染め抜かれている模様は、ゝ 海賊の印だ。 そして、旗の上の高い空には、細い三日月が金色に輝き、さっきから少し ずつ明るさをましていた。タやみが、この港をも包みはじめているのだった。 ほばしら えんとっ とれも帆柱はもちろん、煙突 もちろん、港には、ほかにこんな船はない。、 けいごうきんせし もなく、複雑な形のアンテナを持った軽合金製の船ばかりだ。波をたてるこ の、つりよく もくてきち すべ ともなく、目的地めがけてまっすぐに滑るだけの能力しかない船。内部は多島 ン もくてきち くの色のプラスチックで虹のように仕上げられ、その乗客は、目的地につく タ までの時間を、地上となんのちがいもなくすごせることだけに満足する。 「あ、船長だ : : : 」 かいぞくしるし ふくざっ お はた ほばしら にじ なわばしご ぬ つつ かがや まんぞく

6. ピーターパンの島

ある夜、エフ博士は月の光をあび、ひとりで海岸の波打ちぎわにたたずん す でいた。気をまわすのが好きな人は、 じっさい 「ははあ、あいつも実際には内心ロマンチストで、女生にもてないのを悲し んでいるのだろう」 す と思うだろうし、金もうけの好きな人は、 さきん 「さては、砂金でもそっとさがし出そうというのだろう」 はかせせんもん と博士の専門から察し、つぶやくかもしれない。 れんあい だが、そのいずれでもなかった。博士の心は恋愛をうけつけなかったし、 さ いっかくせんきん やましてきじんせいかん 一攫千金といった山師的な人生観も持たなかった。もっとも、このへんに砂 え ちしつがくてき かのうせい はかせすな 金の存在する可能性は、地質学的にあり得ないことと知っていた。博士は砂 しりようさいしゅう ふく びりようげんそ に含まれている微量元素を研究するため、その資料を採集にこの海岸に来た のだ。 きんそんざい はかせ はかせ じよせい 128

7. ピーターパンの島

咸完れ る よ か く 夜 ま 時 を も 子 じ い 子こ そ き 供ぎ カゞ う っ く が た ど も の な お ば 執を夜 き あ っ あ た と 日 さ て け え ち カゝ つ に ノし、ん つ な 白 ば あ に た た ゆ た の の る 話 と 聞 の 航 く く り る し ) 海 気 潮船 も 島 海 3 、 と し し い き 風 た だ が 円 す は の つ い 子こ鳥 の 帆ほ を ぐ っ の オこ む よ た 供が く 船 聞 な を わ ち 0 た 船 と 長 き か ふ か 月い ーナ で く カよ ち の の つ ・イっ 海望 上 は ら が た 迷 オよ 賊を 迷え子こ に 船 を ま ら く 子こ 鏡 } 供せ に 供ぎ の 員 飛と は 船 ん 歌 を 小 た に は て が 借ゕ 長 ひ 他 ち さ で お 過すムがり は 南 人 話 と な は 島 ぎ 甲 唱 ; て の を り に ロ 板第進 グロく も せ さ か 足 / げ ず しゝ 相き が れ も を カゞ と み び 見 な を ん オこ っ カゝ つ い 破はだ 魚 つ洋 え と け な 壊ぃ か 0 が も ま け く た す 海み波 ら わ て 坊 る し . そ の つ しゝ 主ず上 の 島 と 平 に 幽 は 糸泉 か マ し 匕じ ず 上 ; 船芫 を ス て に む ト む の つ に 暖 快まだ け け た あたた ピーターパンの島 183

8. ピーターパンの島

「あさってだ」 「では、急がなくてはなりませんね」 「ああ。船を進めろ」 お ボタンが押され、船のかくされていたジェット機関が音もなく動きはじめ すべ た。船は海の上を滑りはじめ、島はみるみる遠ざかった。 と じつけんひょうてき 「あの島が、こんどの実験の標的にされて、ふっ飛んでしまうんですか」 ていど くつうしゅんかん 「いや、そんな程度ではない。苦痛の瞬間もないだろう。新エネルギ 1 の威 りよく 力によると、一瞬のうちに消えてしまうのだ」 かぎ 「科学の進歩は、ますます速度をあげていますね。人類の未来は限りがない。 こどもた それなのに、あんな思考のおかしな子供が絶えないのは、どういうわけなの でしよう」 島は、もはや水平線にかくれた。鳥かごにとじこめられたオウムが、なに いっしゅん きかん じんる 186

9. ピーターパンの島

いるうちに、船はゆっくりと岸壁をはなれ、びかびか光るスマ 1 トな船のあ いだをぬって、港のそとへむかいはじめた。つぎつぎと張られる帆、まわさ こ %J も かじ れる舵などから、どの子供も目をはなそうとしなかった。 やヤ」、つとりよう 夜が、海の上にひろがってきた。港はますます遠ざかり、夜光塗料がぬら ふんすい しようめい れ噴水のようにわきでる照明をうけて、光り輝いているビルのむれは小さく なっていった。そして、それは海の上を舞う一匹のホタルのようになり、つ しず いには水平線のむこうに沈んでいった。 こども く要ざ 子供たちは、やっと船室に入った。だが、だれも眠ろうとはせず、車座に なって、ほてった顔をむかいあわせ、それぞれ勝手なことをわめきつづけた。 まど せんぶく 波は窓の下の船腹をこすりながら、あわ立つような音をたてて船を揺らせ こ」も る。それにともなって、天井から下っている黄色いランプが、子供たちの影 を伸びちぢみさせた。 てんじよう がんべき かがや びき ねむ 168

10. ピーターパンの島

わたし うちゅうせん と、私は宇宙船の速力をあげながら、こう話しかけた。団長はうなずき、 答えた。 「ああ、われわれも、はるばるやってきたかいがあったな。さあ、つぎの星 に急ごう。そこでも、さぞ待っていることだろう」 わたし うちゅうせん ま、ひとつの星を 私たちの赤や青や黄色ではなやかに彩った宇宙船は、い ね」 きち おおよろこ 「団長、さっきの星の基地では、みなが大喜びしてくれて、よかったです だんちょう サーカスの旅 だんちょう