せり合い - みる会図書館


検索対象: 剣道日本 2016年4月号
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1. 剣道日本 2016年4月号

かつぎ技やニ段技など、 試合で有効な虚を突くひき技を磨く 竹刀を振り上げてひき胴 竹刀を振り上げてひき逆用 技その⑨ 技その⑩ ポイントその 5 竹刀をかついでひき面 技その⑧ つばせり合いから間合をとって竹刀をかつぎ、相手が防御の体勢をとったところにひき面を打つ。 この技は、とくに小学生の大会で有効打突になるケースか多いという つばぜり合いから、機を見て自分の竹刀が天を突くように振り上げ、相手が防御姿勢をとったところにひき胴を打っ 同じようにつばせり合いから手元を大きく上げ、相手が防御姿勢をとったところに胴。瞬間的に相手の状態を見極め、 左胴が大きく空いているようなら逆胴 ( 左胴 ) を打ってさがる しかけ技のなかには、相手の虚を突い て打つかつぎ技もあります。つばせり合 いからかついで打つひき面は、とくに小日 学生の試合では有効打突になる確率の高剣 い技です。つばせり合いから足をひいて 竹刀をかつぎ、相手の防御をかいくぐっ て打突しますが、注意したいのは打突後 の体勢です。かついで打つひき面は、肩関 節をつかって竹刀を上から下に振り下ろ しますから、打突のあとにも、つ一度肩関 節を上に上げる動作には理がありません。 すなわち、この場合は打突姿勢をほば保 つように、腕を前に伸ばしたままさかる 方が理にかなっていると思います。技に よっては決め方も違ってくるということ です。 つばせり合いから竹刀を真上に振り上 げて虚を突く方法もあります。相手が面 を防 ) 」うと手元を上げた瞬間、ひき胴を 打ちます。 また、しかけ技で小手面や小手胴など の二段技があるように、つばせり合いか らの一一段技も試合では有効です。ますは 胴を打ち、相手の手元が上がった瞬間、ひ き面でさがるという技は、実際、平成 年の大分国体 ( 少年男子の部 ) で教え子 たちが優勝した時、再三有効打突にした 技でした。同じように、つばせり合いか ら面を打ち、相手の手元があがったとこ ろに打つひき胴も有効な一一段技として指 導しています。

2. 剣道日本 2016年4月号

崩す 特集②つばぜり合いを制す ーロロ 1 第ト 第一口 ' ロ円ロ つばせり合いからの技 つばぜり合いから瞬時に崩してひき面 第ロ 第一口。 相手の打突をかわした直後、つばせり合いに入ろうとする間を狙って体勢を崩し、すぐさまひき面に転じる。つばぜり合いになる 間は気持ちが途切れやすい場面であるのに加え、相手は面を打ってきているだけに体の出に勢いがついている。そこで別方向 へと力を加えればバランスを崩しやすい 67 剣道日本 2 0 16.04 つばぜり合いになろうとする瞬間、相手 の胸部分へ向けて力を加えることでそ の体勢を崩す

3. 剣道日本 2016年4月号

特集②つばせり合いを制す 大学生あたりになると、一足ー刀からの勝負にかけ、ひ才支 き技にあまり価値を見出さないという考え方も増えてく る。しかし、有効打突を求め合う試合では、つばぜり合い も決して気を抜けない場面。とくにつばぜり合いになろう かという瞬間は、相手に隙が生じることも多く、こちらの 1 打突が決まらなくても、すぐさま放ったニの太刀が有効に なるケースは少なくない。写真は、面をよけられた直後、 体当たりから体をさばいてくり出すひき面 技ひ 2 裏交差からのひき小手 たら、必す二の太刀の準備をする」とい 、つことはとくに大事にしています。打ち 切った技に手応えがあればしつかり一本 にまとめる必要がありますが、よけられ たり、しのがれたりして一本にならない と判断したら、必す瞬間的に一一の太刀の 準備をし、次の技をくり出す。指導に際 しては、つねづね「最後は自分が技を打っ て、その場面を終わらせることが大事だ」 と一一一口ってきました。 つばぜり合いになった瞬間同様、その 現象が生じた瞬間をとらえる技としては、 つばせり合いの際の、裏交差になった瞬 間のひき小手もあります。拳と拳が競り 合った正しいつばせり合いの形から技を 出すのが理想ですが、攻防の動きの中で は瞬間瞬間に変化が起きます。その変わ り目を、みすからのチャンスとして活か すには、絶えす気を抜かない集中力とと もに、その動作を体に覚えこませる日々 の反復練習が欠かせません つばぜり合いの攻防で、裏交差になった瞬間はひき小 手を打つ絶好の機会。打ち間をとって小さく小手を打 ち、素早くさがる。ひき技で肝心なのは打突力。一足ー 刀からの出ばな技や応じ技はカウンター気味に打突する ことで力が増幅されるが、相手が止まっている状態を打 つひき技は、打突力がないと有効打突として認められに くい現実もある。岩本氏は、リストの強化や振りかぶって 打つ動作など、強く打つひき技の方法も指導している 49 剣道日木 2 0 16.04

4. 剣道日本 2016年4月号

特集②つばせり合いを制す 私はかねてからクつばせり合いなき剣 つばぜり合いを考える上で、切っても 道クの実現を理想としており、今回の学 切り離せない問題のひとつに反則がひと 日大舸逆杉 連剣友大会以前にも同様の取り組みを試 つあります。まだ未熟な学生剣道に限ら みたことがあります。かって私が勤務し ず、日本の最高峰を争、つ全日本選手権で 会 ていたのは実業団の東レ。現在でも同社 あっても、大会上位のレベルでつばぜり とは交流があるのですが、東レは年に一 合いでの反則が頻発するのを見かけます。 度全社を集めて社内剣道大会を開催して 悪い時には一回の反則で試合に敗れる場 います。東レ剣道部の顔となるのが滋賀 面なども目にしますが、相手に打たれた 事業所のメンバ 1 たち。強豪大学で活躍 のならまだしも反則で敗れるというのは した好選手を揃えており、実業団大会は 選手にとっては最大の屈辱でしよう。 もちろん、この社内大会でも毎大会優勝 戦後、Ⅱにより武道禁止令が発布 候補の筆頭です。 され、剣道が禁止されていた時期があり 東レのチ 1 ムは全国各地に所在してい ました。その後、剣道は体育スポーツで 学 ますが、その中でも縁あって私がよく ある、との理念を掲げてますは撓竸技と 話しかけるのが静岡県・三島エ場のメン して復活したわけですが、それ以来、剣 バ 1 たちです。三島エ場の部員たちは基 道にはスポ 1 ッ性という感覚がつねにつ 本的に高卒の社員が多く、勤務は三交代 きまとい続けているような気がします。 制よって剣道部は一堂に会して稽古を 剣道の試合にはル 1 ルがあるだけに、 することもできませんし、社内大会では これはスポーツなのだから、とい、つ認識 他のチ 1 ム同様に滋賀に敗れて上位進出 でル 1 ルに応じて戦い方を姑息に変える は厳しい状況でした。 も、つばせり合いはさせないように」 手の出ばなを狙う面打ちを思いっき、そ選手は少なからす昔から存在していまし その東レ社内大会でも私は審判長を仰結果的に試合は正々堂々たる内容になの稽古をおよそ 5 年ほどの間、彼らに課た。そこで大きな問題となるのは審判員 せつかったのですが、審判員たちにはやりました。そして、普段は敗退を余儀なくしました。 までもがそれに振り回されてしまってい はりつばぜり合いに関する話をしました。されている三島チ 1 ムが、相手はチ 1 勝ち負けのことなど大会のその時にること。つばせり合いでは反則の状況判 「お互いに同じ会社の仲間の審判をするムではあったけれども強豪の滋賀チ 1 ムなってみないと誰もわからないこと。私断が要求されるわけですが、その理屈を んだ。攻め合、つこともせす、サッとくっ に勝利したんです。 のそんな思いを彼らも理解してくれたよロでは一一「ロえても、実際の状況を見てとら ついてチョロチョロするような剣道をし実はかねてより一二島チ 1 ムのメンバ 1 うで、稽古にひたむきに取り組み、実に えきれるかどうかが重要で、ル 1 ルの面 てはいけない。剣道の本は充分な攻めには徹底的に出ばな面の練習を課してい良い剣道をするようになってくれました。 からも剣道の方向や主義をはっきりして旧 と働きかけがあって初めて発生するもたんです。日頃の稽古は 4 、 5 人集まれ社内大会では審判員が安易なつばぜりおかなければ今後の剣道の発展につなが旧 の。ここぞという場面で捨てて出るものば良い方で、夜勤を控えている者もいる合いを許さずに裁き、選手はみな堂々とりません。試合者自らがつばせり合いを木 だ。今日は仲間同士で戦わなければいけ からどうしても稽古時間も短い。 そんな戦った。その結果、三島チ 1 ムの選手たしないような試合に導けなければ、明日道 ないが、何も殺し合いをするわけじゃな環境の中で彼らに何をさせるべきかを考ちの出ばな面が冴え、強豪から勝利を収の剣道に望みや光が見えてこないように 5 6 厳しいやり取りを大前提にしながらえた結果、一切後ろに下がることなく、相めた。これは何とも痛快な出来事でした。感じています。 四部門が開催された学連大会だったが、各部門で積極的な技の応酬が展開された。 審判、そして試合者本人のつばぜり合いを積極的に解消する姿勢がその要因となった

5. 剣道日本 2016年4月号

特集②つばせり合いを制す 相手の技の起こりにひき面 ( 崩しにきた相手に対して ) つばぜり合いから、相手が体をさばいてひき技を出そうとする瞬間を察して、起こりを素早くひき面にとらえる 遠間、近間、一足一刀の間から出す技たところ : : : など、距離をとった場合とる瞬間を見極め、相手より先にひき技をてつねに自分が技を出せる体勢を整えて A 」はい、 つばぜり合いからの技は、相同じように考えれば、稽古のポイントが打つ。相手が足をひいた瞬間や、こちらおくことなども大切になってきます。そ の体を崩しにかかった瞬間などがそれにの点は、遠間、近間、一足一刀の間など、 手と身体が接近している場面から技を出見えてきます。 ここでポイントとするのは、相手の起当てはまりますが、そのためには、つば距離をとった攻防と考え方は一緒です。 すという点に難しさがあります。しかし、 技を出す機会は、相手が居着いたところ、こりをとらえるひき技です。つばぜり合せり合いの攻防で集中を切らさず、相手 いの攻防で、相手がひき技を出そうとすの心を読むことに努めること、先をかけ 相手が崩れたところ、相手が技を起こし 相手の技の起こりにひき面 ( 足をひいた相手に対して ) つばぜり合いから、相手が足をひき、ひき技を出そうとする瞬間を察して、起こりを素早くひき面にとらえる 技その③ ポイントその 3 技その④ 相手の心を読むことに努め、 相手の技の起こり頭をとらえる 57 剣道日木 2016.04

6. 剣道日本 2016年4月号

技その⑤ 相手の力を利用することで、 ポイントその 4 みずから打突の機会をつくる つばせり合いでは、相手の体勢が崩れと拳を合わせた時、上から下に押し込む れば、当然、ひき技を打つべき好機になりように力を加えれば、相手はそれに反発 ます。しかし、拳と拳で競った正しいっして手元を上げます。手元が上がった瞬 ばぜり合いから、腕力で強引に相手を崩間は、こちらがひき胴を打っチャンスに そうとすれば、こちらの体勢が崩れ、逆なります。面を狙うなら左右に揺さぶり に相手にひき技を打たれる可能性もありをかけ、小手なら前方に力を加え、相手 ます。無理や無謀な動作に走れば、反則が反発して手を伸ばした瞬間を狙います。 をとられる可能性も出てきます。 ひき技を打っ瞬間は、とっさに相手も防 そこで指導しているのが、正しいつば御の姿勢をとりますから、その防御の体 せり合いから打突の機会をつくるために、勢にどんなクセがあるかをあらかじめ観 相手の力を利用するということです。拳察しておくことも大事なポイントです。 左右に振ってひき面 つばぜり合いから竹刀で相手の体を横に振って、相手か受けの体勢をとろうとしたところにひき面を打つ。写真の場合は、表を受ける動作に対して裏から狙ったひき面 起こりをとらえるには、相手の動きをしつかり観察し、心を読むことに努める。なおかっ、ひき技全般に通 じることだが、相手がこちらのひき技に対してどのような防御姿勢をとるかを、あらかじめ把握しておくこと も大事。写真右の場合は左面、左胴、写真左の場合は右面、右小手、右胴が狙えることになる 2016.04 剣道日木 52

7. 剣道日本 2016年4月号

亟新新評 特集②つばせり合いを制す つばぜり合いから前下方向に力を加え、ふところか縮んだ相手が手を伸ばそうと反発したところをひき小手にとらえる 技その⑥手元の反発を利用してひき小手 技その ( 9 手元の反発を利用してひき胴 「」号を第を つばぜり合いから下方向に力を加え、手元の下りた相手がそれを戻そうと反発したところをひき胴にとらえる 53 剣道日本 2 0 16.04

8. 剣道日本 2016年4月号

特集②つばせり合いを制す 拳で直接押さえつけるよ うにすると腕にムダなカ みが生じる 力が入りすぎて右腕を 突っ張ってしまえば瞬時 に技を繰り出すことがで きない 竹刀が倒れた状態から は打突のチャンスはな い。つねに技を狙えるよ うに相手の肩幅の範 囲内に自分の竹刀を収 めておくことが重要 相手の両肩を押さえつけるようなイメージでプレッシャーをか け、その圧力を相手つば元に集約させている 後方への左足の攻め ( ひき ) が広すぎれば自然と体勢も低くなり、 その後の体さばきが困難になってしまう 上後 59 剣道日本 2016.04

9. 剣道日本 2016年4月号

の中攻め”を意識する 今現在の私は警視庁の指導者の立場に あり、剣道特練でご指導いただいたこと に忠実な指導を第一に心かけています。 剣道でもっとも大切にしなければいけな いのは、一足一刀で構えあった時の攻防 であり、つばぜり合い、そしてそこから のひき技についてはあくまで勝負のひと つの手段であるという認識を持っていま す。とくに警視庁に入って以降は、自分 から攻めて打っ技、とくに相手の出てく るところをとらえる面を追い求めて稽古 に取り組んできました。それを踏まえた 上で、私にとってつばせり合いでの駆け 引きは、自分が選手として戦っていくた めのライフラインとして重要視してきた 部分であり、ひき技は、つばせり合いで 発生する瞬間的な好機を一太刀でとらえ る効果的な技だと認識しています。 振り返ればかねてよりつばぜり合いで の展開を得意としてきましたが、その きっかけとなったのは高校時代のこと。 中学生時代まではひき技を打たれたこと などほとんどなかった私ですが、高校生 になると九州の選手たちにつばせり合い で翻弄され、巧みなひき技を何度も打ち 込まれました。当時はクなんだこの技はク と大きな衝撃を受けたことを今でも鮮明 に覚えています。全国を見渡せば各地を 代表する強豪選手たちは皆それぞれ個性 あふれるひき技を武器として活躍してい た。自分自身も何かつばぜり合いからの 武器を持っておかねばならない、と強く 思、つよ、つになりました。 権瓶功泰 撮影 = 窪田正仁 中学、高校、大学、そして警察剣道の世界と、 それぞれのステージでトッフレベルの 活躍を収めてきた権瓶功泰選手 その最大の武器となるのは切れ味鋭いひき技 名手・権瓶選手はいかにしてつばぜり合いでの攻防を制し、 霧勝利を収めているのか その技術に追る 5 当時の取り組みとしては、技の好機を ひき技で有効打突を奪える手応えを感 求め、自分でいろいろな技を打ってみてじたのは国士舘大学時代のことです。大日 試すという方法で、その中で試合での使学生になると竹刀の長さも三尺九寸に変 わります。竹刀の長さが伸びた分だけ、つ い方、組み立てを考えてきました。 権瓶といえば技巧派、というイメ 1 ジばぜり合いからは余分にひき技を打てる を多くの皆さんに持っていただいているだけのスペースを取らなければならない。 ようですが、高校時代に私がもっとも得それだけに大学入学当初はひき技の精度 が一気に下がった感がありました。 意としていたのは実はひき技からのパ タ 1 ン技。ひき技一発で決めるのではな大学 4 年時、関東学生優勝大会の選手 く、下がる私を追ってきた相手に対してを決めるリ 1 グ戦を行なった時のことで 前に出る技に転じて仕留めていました。す。私は自分の得意技である、ひき技で下 とくにひき胴からの小手が得意で、それがってからの前に出る技を狙い、ひき面 は今でも自分の大きな武器のひとつです。を打ちました。技を打ち切り、すぐさま 警視庁 1 ( ごんべいのりやす ) 昭和 52 年生まれ・ 錬士七段。新潟明訓高校 ( 新潟 ) から 国士舘大学へと進学。大学卒業後、 警視庁に奉職する。剣道特練員として 各種大会で活躍。現在は剣道助教と して後進の指導にあたる。主な実績に は、全日本選手権大会出場 ( 3 回 ) 、全 国警察大会一部優勝、全日本都道府 県対抗大会出場、国体出場、全日本 学生選手権大会優勝、全日本学生優 勝大会優勝などがある。

10. 剣道日本 2016年4月号

誘う 移 胴 气釼 60 つばせり合いからの技 2 上少年梁 上野タ物 野少年 つばぜり合いからわずかに右方向へと 胴の中央部分を狙うのではなく必ず右胴部分を狙うこ と。ひき胴の場合、結果的に竹刀が中央部分をとらえ 移動すると、相手の目にはこちらの面部 が空いたように映る。これにより、ひき面 てしまうことが多いが、それはあくまで結果的なこと。はじ めから中央部分を狙ってしまうと、相手と自分とのスピー が狙えるという心理を誘う。体を移動さ ドや動きの誤差などにより、胴が空振りしてしまい逆に せるのは、相手がフッと気を抜いた瞬間 面を打ち込まれる危険性が生じる を狙うとより効果的な誘いとなる 2 0 16.0 4 剣道日本 62 体移動を利用して相手のひき面を誘う。ひき面を狙おうとすれば 自然と手元が上がるので、ひき面よりもわずかに早く空いた胴部 に技を打ち込む