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検索対象: 地球の未来と「水」 2
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1. 地球の未来と「水」 2

量も 20 % 以下になってしまいました。 しゅうかくりよう かんがいは、綿花の収穫量を一時的に かんそうちたい あげました。しかし、乾燥地帯での過度 なかんがいは、けっきよく、塩害を生み しゅうかく だし、収穫をへらし、荒れ地をつくるこ とになってしまいました。また、かって はゆたかな湖で、さかんに漁もおこなわ れていたアラル海でしたが、湖の水量か のうど へり、塩分が、何倍もの濃度になってし まったために、魚たちの大半が死んでし まいました 塩や、長い年月のあいだにたまった有 害物質は、湖が干あがったことで風によ って飛びちります。そのため、綿花畑の 塩害をさらに大きくしたり、湖の周囲に けんこうひがい くらす人びとを、健康被害で苦しめてい モロッコのハッターラ ( 横井戸 ) ます。 さばく 砂漠にならんでできた小山は、ハッターラをほりすす たてあな たくさんの農産物を生産し、輸出大国 めるためにつくられた縦穴の出入り口。ハッターラの ほし物う あな 補修もこの穴からはいっておこなう。 となっているアメリカでも、大規模なか ェリアなどでは、山の中腹に井戸をほり、 んがいがおこなわれています。カリフォ そこから横に地下水路をつくって、村や ルニア州では、 1930 年代から、水が豊富 農地の近くまで水を引いています。それ な北部から南部へ、長さが 710km もある を、生活用水として、かんがい用水とし カリフォルニア水路を引きました。広大 て大切につかっています。このように な畑をつくり、 1987 年には、農産物の生 じようはつ 水を地中に通す方法は、蒸発をふせぐた 産がアメリカで 1 位になりました。しか えんがい め、水をむだにしないですみます。 、ここでも約 30 % の農地で、塩害がお 川の水のとりすぎや、地下水のくみあ きています。 げすぎによる問題が大きくなり、いまで 世界には、もともと雨が少ない地域が ちいき は、大量に水をつかう方法から、作物の たくさんあります。そうした地域では、 てんてき でんとうてき ちよくせつ 根元へ直接水をとどける点滴かんがいな その地域特有の伝統的なかんがいの方法 えんがい ど、より効率的で塩害を生まない方法へ があり、いまでも利用されています。 変わりつつあります。 たとえば、イランやモロッコ、アルシ えんがい カ { いぶっしつ えんがい いど ゆしゆっ だいきば いど ちいき ちいき こうりってき

2. 地球の未来と「水」 2

食べのこしたり、そまつにしないことが どたくさんつかっているかに気づくでし 大切です。 それが、結果として水を大切につかう 日本は、ほんとうに水や食べ物がゆた じきゅうりつ ことや、食料の自給率をあげることにつ かで、生活に不安のない国なのか、もう ながるのではないでしようか。それだけ いちど考えてみる必要があるのではない でなく、遠くの外国から食材を運ぶため でしようか のよぶんなエネルギーもつかわないです みます。 水は、人間の生活全体に深くかかわっ きのうの晩ごはんに何を食べたか、思 ています。目先の便利なくらしを追い求 じゅんかん いだしてみてください。そして、どんな めて、自然の循環をこえた大量の水をつ 食材がどこからきたのか、チェックして かったり、遠くの国から、食べ物の形で みてください。きっと、思っている以上 たくさんの水を運んできたりすることは、 に、外国からの食材が多いでしよう。 本来は、とても不自然なことです。わた そして、その食材を育てるために、ど したちが、こうしたくらしを見直し、よ そうぞう れだけの水がつかわれたのか、想像して りよい水のつかい方を考える時期が、い みてください。遠くの国の水を、どれほ まきているのです。 ピーマン たまねぎ 30 % しいたけ 46 % とうもろこし バーベキューの中 かんこく にも、韓国や中国、 アメリカ、オース トラリアなどから ゆにゆう 輸入された食べ物 がたくさんつかわ れている。 ( 青字 は食材全体の自給 かちく りつ 率。家畜のえさは はいらない ) しきゅう 赤ピーマン 約 8 % 牛肉 57 % なす 47

3. 地球の未来と「水」 2

0 ー一容器にはいった水 水を買って飲むという人がふえていま す。スーパーマーケットやコンビニエン スストアには、外国や日本の容器いりの 飲料水がたくさんならんでいます。 ヨーロッパやアメリカでは、古くから 飲み水を買うという習慣がありました。 しかし、日本の水道水は、世界でも有数 の安全な水といわれていましたので、 般の人が「容器にはいった水を飲用水と して買う」などということは考えられま せんでした。 1986 年には日本国内でのミネラルウォ ーターの生産は 81000 キロリットル、輸 入が 1179 キロリットルでした。そして 2006 年には国内生産 1800850 キロリット ゆにゆう ル、輸入が 552591 キロリットルにもなっ ています。ひとりあたりの消費は、 1986 年には年間 0.7 リットルでしたが、 2006 年 には 18.4 リットル、 20 年間で消費が約 26 倍にもふくれあがっています。 しようひ 容器にはいった水がこれほど消費され るようになった理由はどこにあるのでし いっ ばん しようひ しようひ 42 よう力、 ? いちばんの理由は、 1980 年代のおわり ころから、大都市を中心に、水道水にふ くまれる発ガン性物質のトリハロメタン が問題になったことだと思われます。ト しようどく リハロメタンは、水を消毒するときにつ えんそ かわれる塩素が、水道水のもととなる水 にふくまれる有機物 ( よごれ ) とむすび ついて発生します。日本の経済が急速に ふくれあがり、それとともに、川やダム おせん の水の汚染もすすんだ時代でした。 えんそ 水がよごれれば、たくさんの塩素をく さいきん わえる必要がでてきます。塩素は、細菌 おせん による汚染をふせぐための消毒というだ けでなく、水にとけこんでいる鉄やマン ガン、アンモニアなどを酸化させて、と りのぞきやすくしたり、有害なアンモニ へんか アを害のないものに変化させるためにか かせないものです。しかし、塩素をふや せば、さらにトリハロメタンの発生もふ えてしまいます。 また、水道水に、水道管のさびや、塩 素のにおいもあるということから、水道 すいしつ 水の水質に不安を感じた人がふえてきて、 都市部の人たちのあいだで「水を買う」 しゅうかん という習慣が広まったと思われます。 せいぶっしつ はつ ゆうきぶつ けいざい えんそ しようどく さんか ゆうがい えんそ

4. 地球の未来と「水」 2

⑩ 地下水をつかう わりあい ■地下水利用の割合 養魚用水 13.2 億 m3 / 年 10.6 % ようぎょ 生活用水 35.5 億 m3 / 年 2 圧 6 % けんちくふつようとう 建築物用等 6.5 億 m3 / 年 5.2 % 水は、川や池のように人の目にふれる ところだけではなく、地面の下にもたま っています。地面にしみこんだ雨や雪ど ねんど け水が、岩盤や粘土など水を通しにくい 層の上にたまったものが地下水です。地 下水は、 1 日数 cm ~ 数 m のスピードで地 中を移動しています。 地下水がたまる層を、帯水層とよびま ひかくてき す。地下水は、比較的地面に近い浅いと ころのほかに、水を通しにくい層の下に も少しずつしみこんでいき、より深いと ころにもたまります。 たんすい 地球上の淡水のうち、地下水は 30 % を 占め、約 1100 万 km3 あるといわれていま す。湧き水としてふたたび地上にでて川 や池に合流したり、または、地下を通っ たまま海まで流れていきます。 地下水は、長い時間をかけて少しずっ ながのけん たまっていきます。たとえば、長野県と がんばん し、どう たいすいそう 50 農業用水 124.1 億 m3 / 年 3 .0 億 m3 / 26-6 % 業用水 3 9 億 m3 / 年 みずしげん 平成 18 年版「日本の水資源」 ( 国土交通省 ) より作成 わりあい 生活用水、工業用水、農業用水がほぼ同じ割合で利用 ようぎょ されていることがわかる。「養魚用水」はウナギ、アユ、 ようしよくいけ けんちくぶつようとう れいぼう コイなどの養殖池に、「建築物用等」は冷房などにつか われている地下水をしめす。 やまなしけん 山梨県をまたぐ八ヶ岳の湧き水は、 1 年 から 100 年もかけてたまった地下水です。 だいさんせいぼんち オーストラリアの大鑽井盆地の地下水は、 100 万年以上もかけてたまったものです。 また、アメリカ中部にあるオガララ帯水 層は、日本の面積よりも大きく広がる世 界最大級の帯水層で、 12 ~ 21 万 km3 の水 があると考えられています。 地下水は、ゆっくりと土でろ過されて 28.9 % やつがたけ たいすい たいすいそう いで ンジボタルが舞う。 でている。初夏にはゲ 秒 1 トンもの水が湧き 湧水。霧島連峰から毎 ゆうすいきりしまれんぼう 宮崎県小林市の出の山 みやざきけんこばやしし

5. 地球の未来と「水」 2

I 章水をつかう、流す わりあい は、割合がかわります。たとえば、砂漠 ①ーー水のつかいみち が国土の大きな部分を占める国では、生 ゆうせん 生き物は、水なしでは生きられない。 活用水が優先して、つぎに工業用水、の それは、だれもが知っています。 こりが、わずかな耕地にかんがいをする では、わたしたちは、どんなことにど 農業用水となります。 さて、日本ではどうでしよう。 れだけ水をつかっているのか考えてみま たんすい 日本で 1 年間につかわれる淡水の量を 0 いちばん先に思いっくのは、飲み水、 見ると、約 66 % が農業用水で、約 14 % が ふろ、トイレなどのくらしのなかでのつ 工業用水、生活用水は約 20 % になってい かわれかたと、農業でしようか ます。 0 とうけい こまかく見ていくと、とうぜん地域に 水のつかいみちを、統計で見てみます。 水の利用は、大きく 2 つに分けられま よってもちがいがあります。農業を中心 す。都市用水と農業用水です。都市用水 とする地域なら田んばや畑などの農業用 わりあい 水の割合は高くなりますし、都市部なら、 には、工業用水と生活用水があります。 し 世界の平均を見ると、取水された淡水 多くを占めるのは生活用水です。 の 69 % は農業につかわれています。 21 % 農業用水は、大きく分けると、田んば、 ちくさん が工業用水で、のこりの 10 % が生活用水 畑へのかんがい、畜産の 3 つです。その わりあい 割合は、田んばへのかんがい用水が 94 % です。でも、これは、どこの国でもおな ちくさん わりあい 強、畑へのかんがい用水は約 5 % 、畜産 じ割合というわけではありません。工業 ちいき がさかんな国、乾燥した地域で農業をす 用水が 1 % 弱です。 農業用水でいちばん多くを占めるのは る国、アフリカなどの水のとばしい国で 田んばですが、わたしたちがお米を食べ ■水のつかいみちによる分類 ることがへってきているため、田んばも 家庭用水 へり、それにしたがって 1998 年ごろから は、田んばへの利用量も少しへってきて います。 田んばとはぎやくに、畑へのかんがい は、少しすっふえつづけています。米づ てんかん くりから、野菜づくりに転換をしている 農家がふえているためです。 ちち わたしたちに肉や乳や卵などを提供し しいく ぶた にわとり てくれる牛や豚、鶏などの飼育に必要な さばく し こうち ちいき ちいき たんすい へいきん し ぶんるい 都市活動用水 生活用水 都市用水 火農業用水 ていきよう 工業用水 みずしげん 「平成 ] 8 年版日本の水資源」 ( 国土交通省 ) の資料をもとに作図 しりよう 4