地下にたどりつくことなく、合流式下水 ②ーーたいせつなめぐみ、雨水 しよりしせつ 道管を通って、そのまま処理施設に流さ 「雨か、いやだなあ。」 れ、海にすてられます。 じゅんかん そう思ったことはありませんか。しか このように、雨水の循環がたたれた都 し、考えてみると、雨は淡水です。利用 市部では、たくさんの雨が短時間にふる もしないですてるにはもったいない資源 と、雨水は一気に下水道管へ流れこんで です。 しまいます。そのため、下水道管がいっ へいきん 日本の降水量の年平均は、 1718mm で ばいになると、水が逆流します。そして、 す。あたりまえのことですが、わたした マンホールのふたをおしあげ、道路にあ ちか地下水や川、湖などから取水して利 ふれて、洪水をおこすことがあります。 としこうずい 用する水よりも、ずっと多くの水が空か この洪水は「都市洪水」とよばれます。 さいがい らもたらされています。しかし、本来な こうした災害をふせぐためばかりでは みずしげん ら、陸地にふった雨は地下にしみこみ、 なく、雨水は新たな水資源としていろい 地下水になると同時に、植物にとりこま ろなことにつかえます。全国の市町村で じようさん じようはつ かっすいたいさく れて蒸散したり、地表から蒸発し、ふた は、雨水を、渇水対策、地震などの災害 じたいさく たび雨となって地表にもどります。 時対策として積極的に取り組みをすると いまは、どうでしよう。都市化が進ん ころがふえています で、多くの地面がアスファルトやコンク 雨水は、きたないと感じている人が多 リートでかためられ、雨が土へしみこむ いかもしれませんが、案外きれいです。 ことができません。せつかくふった雨も、 もとは、蒸発した水分ですから、蒸留水 第第物 たんすい しげん ぎやくりゅう こうずい さいがい せつきよくてき じようりゅうすい じようはつ 雨水を利用している 江戸東京博物館。こ の広い屋根にふる雨 ちょすいそう を地下の貯水槽にた めている。 56
後 多蟻源くしダもみに の / 水な : で , なに生」 ' チ今 て 水を、 , ・で・ - , じ , き境も ' 、に 。 - ん : し、つ るムけな【大環 , し よ ダだ、お せた ) ての京もて . , とぎん。源し / つく東ちつるのかノすし資 , 「 , で か遠、た / いなん【ら【で , 》み水く つる , ・は人と , とさな / のない が・え - ・れむいる , く , 水る・。たて 人・こそ住な ( くた雨き新れ / では . 一ら の。、、を 0 」 4 り・つ 京す部足上りしが水か 東 , , 脈ま , 市が以か / かと , 』雨《は 、、、 1 ・ , し都水ノれ・「かしこのか ま・ ) ての る市を用 い " はし】 . 国うを担》すれ都利 くと全よムふ負まい すすはの ーはす・、》ままのう たれ・ , でいりにつ , ーか まそとてななっ : % 』 = とーダ ・こ / 「・れ / , もかて , うひ すすうわ . , にまえよ。。つば でま ~ いしれ 水をわ。・ーしとれ んりとと ~ 節半くでひな のく ぶあい、水了 , - 。、大たい でのしなク多 ゅ所 しと水少はンが じ .. 長でさこ用ー、くタ数 んやう庭も - し水 か家とか雨→も い車はふ花 ,. 、つでくずのてす ん洗 , / こ。 , 。を草を水なむ庭くま 水そ素や水雨きら家さし き敵 き道ん塩木雨でな 1 7 7
このように、雨水をためて利用する取 り組みは、いま、全国で広がっています。 すでに、 2002 年度には、全国で 1246 の 施設で雨水を水洗トイレなどにつかって います。 雨水利用のための設備をもっ建物もふ え、たとえば、福岡ヤフードームでは、 2900m 、ナゴヤドームでは、 1500m3 もの 卩、いトいを 雨水タンクをそなえています〇屋根にふ った雨水をあつめて利用することは、下 しよりすい しようき しせつ 水処理水を再利用するより、施設も小規 模ですみます。 マレーシアのサバ州でつかわれている雨水 工場でも雨水をつかっているところが おせん タンク。川の水は農薬などで汚染されてい ほんだぎけんこうぎようくまもとせいさくじよ あります。本田技研工業熊本製作所では、 るため雨水の利用がすすめられている。 工業用水としてつかっている地下水の量 ん。韓国では、サッカー場に雨水利用の しせつ をへらすために、雨水をためてつかって 施設がつくられ、芝生へまく水としてつ います。そのため地下水の年間利用量は、 かわれています。シンガポールでは、空 半分以下にへっています。 港の滑走路や芝生の雨水をあつめて利用 しいくよう たいわん 雨水の利用は、日本だけではありませ しています。台湾では、動物園で飼育用 の水としてつかわれています。 こうした雨水の利用は、一般の家庭に も広がりをみせています。とはいえ、雨 の日にバケツをだしてもなかなか雨はた まりません。雨をあつめるのに、いちば んいいのは、屋根です。屋根にふった雨 第 は、雨どいを伝って下水に流れます。か んたんに雨どいから水を引くことのでき はんばい る道具や、雨水のタンクも販売されてお せっち り、雨水タンクなどの設置に補助金がで る市町村もあります。 雨水は、飲んだり、調理したりという ことにはつかえませんが、トイレ、水ま すいせん ふくおか さい しばふ かっそうろ しばふ いつばん 用水利川は地球を救う 天水尊 墨田区の雨水タンク 雨水タンクは、ためた雨水の中に藻が発生しないよう、 日光をさえきるようにつくられている。また、ボウフ ラの発生やこみがはいるのをふせぐために、ふたがで きるようになっている。 58 ほじよきん すみだく
雨水は 地球を救う 第地第 墨田区は水をためて 水・渇水・災書 すみだくちょうしゃ 墨田区庁舎のトイレに は、こんなステッカー がはってある。 すみに ました。 に近いものだといえます。小さな離島な すいげん 区内にある江戸東京博物館には、 2500 どで、水源がないところや、水源が農薬 おせん m のタンクがつくられていますし、大相 などで汚染され、飲み水として利用でき こくぎかん 撲がおこなわれる両国国技館の地下には、 ない国では、雨水をためて飲み水として 1000m3 のタンクがあります。ほかにも公 利用することがすすめられています。 共の建物やマンションなどの屋上の雨水 ただ、雨は、大気中のよごれをとりこ もタンクにため、トイレ、植木の水やり、 んでいます。空気のきれいな地域の雨水 ふん水などにつかっています。 は、かなりきれいなのですが、都市部で たいき ありゅうさん また、「路地尊」とよばれるタンクが、 は、ふりはじめの雨に大気中の亜硫酸ガ せっち 18 か所に設置されています。このタンク スやちっ素酸化物がとけこんでいること は、屋根にふった雨水が 223m3 ためられ があり、そのままでは飲み水としてはつ るようになっており、手動式のポンプで かえません。 水をくみあげることができます。 こうした雨水の利用を積極的にすすめ ちいき すみだく これは、地震や火事などの災害時用に ている地域のひとつに、東京都墨田区が とつくられたもので、実際に、火事のと あります。ここではどんなところで利用 ろじそん しようかい き、近所の人たちが路地尊の水をバケッ されているのか紹介しましよう リレーして、消火活動に役立てました。 墨田区区役所の建物の下には 1000m3 の また、子どもたちが水遊びをしたり、 雨水タンクがあり、建物の屋根にふった サイクルにだすビンやカンをあらったり、 雨をため、トイレにつかっています。区 地域のコミュニケーションの場にもなっ 役所では、 2005 年度は、トイレにつかっ わりあい た水で雨水が占める割合は 43 % にもなり ています。 雨っ ると いひ ての れ尊 さし地 ち置ろ路 。設 せ一三 く区し施 だ田用 す不 すいげん おおす りようごく たいき ちいき ろじそん そさんかぶつ さいがいじ すみだ ちいき 57
ルです。オイルポールは、その名のとお り、汕のかたまりです。家庭からの排水 と雨水をいっしょに処理する合流式下水 道が採用されているところでは、大雨か ふって下水処理がおいつかなくなると、 下水は雨とともに処理されないまま、海 や川へ流されます。そのため、大雨がふ るたびに、油は、下水管の中にこびりつ いつばんかてい けいしやどそうほう 一般家庭での傾斜土槽法 いたほかのよごれとともに、かたまりに なって海へ流れだします。それがオイル います。ムサシトミョが奇跡的に生きの くまがや ボールです。大きさは、豆つぶくらいか こっている熊谷市では、下水道の人口普 ら、ときには、直径 30cm ほどの岩のかけ 及率は 42.5 % ( 2006 年 ) ですが、ムサシ せいび らみたいな形をしたものまであります。 トミョの生息する地域では下水道が整備 はまべ オイルポールは海をただよって、浜辺に されていません。くみとりや単独処理槽 流れつきます。 が大きな割合を占め、台所やふろ、せん はいすい これまでに通用した下水処理の方法も、 たくの排水が直接川に流れこみます。人 時代が変わり、わたしたちの生活も変わ 口がふえ、家庭排水の量もふえて、生息 げすいしよりぎじゅっ かんきよう ってくると、また新しい下水処理技術か 環境が悪化し、ムサシトミョの個体数は、 必要になってきているのです。 この数年で半分ほどにへってしまいまし けいしやどそうほう た。そこで、傾斜土槽法をつうじて、生 おすい 活からでる汚水はきちんと処理をして川 へ流すことの大切さをみんなで考え、行 動しようとしています。 このように、よごれた水をそのまま川 げすいしよりしせっ や海に流さないための下水処理施設や浄 せいび しよりほうほう 化槽などを整備したり、処理方法を変え たり、さまざまな取り組みがされていま す。しかし、どれも完全というわけでは ありません。 はやくから下水道を整備してきた大都 はいすいこう 幅 3.6m 、高さ 2.5m の排水口 市でも、問題がないわけではありません。 大雨で合流式下水道管がいつばいになると、下水と雨 いま、問題になっているのはオイルポー はいっしょにここから川へ流される。 はいすい さいよう げすいしより きせきてき きゅうりつ ちいき たんどくしよりそう わりあい げすいしより ちよくせつ せいそく はいすい あっか じよう せいび
量も 20 % 以下になってしまいました。 しゅうかくりよう かんがいは、綿花の収穫量を一時的に かんそうちたい あげました。しかし、乾燥地帯での過度 なかんがいは、けっきよく、塩害を生み しゅうかく だし、収穫をへらし、荒れ地をつくるこ とになってしまいました。また、かって はゆたかな湖で、さかんに漁もおこなわ れていたアラル海でしたが、湖の水量か のうど へり、塩分が、何倍もの濃度になってし まったために、魚たちの大半が死んでし まいました 塩や、長い年月のあいだにたまった有 害物質は、湖が干あがったことで風によ って飛びちります。そのため、綿花畑の 塩害をさらに大きくしたり、湖の周囲に けんこうひがい くらす人びとを、健康被害で苦しめてい モロッコのハッターラ ( 横井戸 ) ます。 さばく 砂漠にならんでできた小山は、ハッターラをほりすす たてあな たくさんの農産物を生産し、輸出大国 めるためにつくられた縦穴の出入り口。ハッターラの ほし物う あな 補修もこの穴からはいっておこなう。 となっているアメリカでも、大規模なか ェリアなどでは、山の中腹に井戸をほり、 んがいがおこなわれています。カリフォ そこから横に地下水路をつくって、村や ルニア州では、 1930 年代から、水が豊富 農地の近くまで水を引いています。それ な北部から南部へ、長さが 710km もある を、生活用水として、かんがい用水とし カリフォルニア水路を引きました。広大 て大切につかっています。このように な畑をつくり、 1987 年には、農産物の生 じようはつ 水を地中に通す方法は、蒸発をふせぐた 産がアメリカで 1 位になりました。しか えんがい め、水をむだにしないですみます。 、ここでも約 30 % の農地で、塩害がお 川の水のとりすぎや、地下水のくみあ きています。 げすぎによる問題が大きくなり、いまで 世界には、もともと雨が少ない地域が ちいき は、大量に水をつかう方法から、作物の たくさんあります。そうした地域では、 てんてき でんとうてき ちよくせつ 根元へ直接水をとどける点滴かんがいな その地域特有の伝統的なかんがいの方法 えんがい ど、より効率的で塩害を生まない方法へ があり、いまでも利用されています。 変わりつつあります。 たとえば、イランやモロッコ、アルシ えんがい カ { いぶっしつ えんがい いど ゆしゆっ だいきば いど ちいき ちいき こうりってき
めんせきすいい ■世界のかんがい面積の推移 ⑩ーー作物を育てる 水は、農作物を育てるうえでかかせな いものです。しかし、農業用水を雨だけ しゅうかくりよう にたよっていては、収穫量は安定しませ ん。そこで、むかしから、川や湖、地下 水を引いて、農業に利用してきました。 それをかんがいといいます。 20 世紀になって、多くの国で、かんが いのためのダムをつくったり、川から大 きな水路を引いたり、大量に地下水をく みだす大規模な工事がおこなわれました。 その結果、世界の農地面積は急速に拡大 しました。 しかし、川の水や地下水を大量につか うことで、いろいろな問題がおきていま す。大規模なかんがいは、一時的には作 物の収穫量をふやします。ところが、大 量に水をまくことで、地中の塩分が地表 にあがってきたり、地下水にわずかにふ くまれる塩分が地表にとりのこされます。 大規模なかんがいがつづけば、地表に塩 分がたまり、作物が育たなくなってしま だいきぼ きゅうそく かくたい だいきほ しゅうかくりよう だいきば 1961 175000 150000 125000 100000 75000 1965 1970 1975 えんがい 単位 : 1000ha 1980 1985 1990 1995 2000 2003 しよくりようのうぎようきかん 資料 : 国際連合食糧農業機関 (FAO) しりよう ひがい います。塩害 ( 塩分による被害 ) です。 えんカ { い しゆくしよう たいきば しゅうかくりよう さいばい ちいき 湖の面積はもとの約 40 % 以下になり、水 結果、アラル海にそそぎこむ水がヘり、 大規模なかんがい工事をしました。その リア川やシルダリア川から畑に水を引く 1950 年代から、アラル海へそそぐアムダ がさかんで、その収穫量をあげるために した。アラル海のまわりは、綿花の栽培 琶湖の約 100 倍の面積をもつ大きな塩湖で えん アラル海は、かっては世界第 4 位、琵 大アラル ) の地域です。 和国の国境にあるアラル海 ( 小アラル、 カザフスタン共和国とウズベキスタン共 しむところがあります。中央アジアの、 そうした、ひどい塩害と湖の縮小に苦 いまのアラル海 もとのアラル海 小アラル 大アラル アラル海 日本 左 : 2003 年 IO 月 14 日に撮影されたアラル海。 湖底で、塩が蓄積している。 ちくせき 白く見えるのは、水がなくなってあらわれたかっての 52
⑩ 地下水をつかう わりあい ■地下水利用の割合 養魚用水 13.2 億 m3 / 年 10.6 % ようぎょ 生活用水 35.5 億 m3 / 年 2 圧 6 % けんちくふつようとう 建築物用等 6.5 億 m3 / 年 5.2 % 水は、川や池のように人の目にふれる ところだけではなく、地面の下にもたま っています。地面にしみこんだ雨や雪ど ねんど け水が、岩盤や粘土など水を通しにくい 層の上にたまったものが地下水です。地 下水は、 1 日数 cm ~ 数 m のスピードで地 中を移動しています。 地下水がたまる層を、帯水層とよびま ひかくてき す。地下水は、比較的地面に近い浅いと ころのほかに、水を通しにくい層の下に も少しずつしみこんでいき、より深いと ころにもたまります。 たんすい 地球上の淡水のうち、地下水は 30 % を 占め、約 1100 万 km3 あるといわれていま す。湧き水としてふたたび地上にでて川 や池に合流したり、または、地下を通っ たまま海まで流れていきます。 地下水は、長い時間をかけて少しずっ ながのけん たまっていきます。たとえば、長野県と がんばん し、どう たいすいそう 50 農業用水 124.1 億 m3 / 年 3 .0 億 m3 / 26-6 % 業用水 3 9 億 m3 / 年 みずしげん 平成 18 年版「日本の水資源」 ( 国土交通省 ) より作成 わりあい 生活用水、工業用水、農業用水がほぼ同じ割合で利用 ようぎょ されていることがわかる。「養魚用水」はウナギ、アユ、 ようしよくいけ けんちくぶつようとう れいぼう コイなどの養殖池に、「建築物用等」は冷房などにつか われている地下水をしめす。 やまなしけん 山梨県をまたぐ八ヶ岳の湧き水は、 1 年 から 100 年もかけてたまった地下水です。 だいさんせいぼんち オーストラリアの大鑽井盆地の地下水は、 100 万年以上もかけてたまったものです。 また、アメリカ中部にあるオガララ帯水 層は、日本の面積よりも大きく広がる世 界最大級の帯水層で、 12 ~ 21 万 km3 の水 があると考えられています。 地下水は、ゆっくりと土でろ過されて 28.9 % やつがたけ たいすい たいすいそう いで ンジボタルが舞う。 でている。初夏にはゲ 秒 1 トンもの水が湧き 湧水。霧島連峰から毎 ゆうすいきりしまれんぼう 宮崎県小林市の出の山 みやざきけんこばやしし
著者 監修者 表紙写真 イラスト 協力・ 写真提供 デザイン 岸上祐子 ( きしかみゆうこ ) 高校教職員、団体職員、出版社勤務などを経て、現在フリーの編集者・ライター。社団法人 生態系トラスト協会理事。著作に「ヤギの見る色どんな色 ? 実験 240 日の記録」 ( ポプラ社 ) 、 「つながるいのち一生物多様性からのメッセージ」 ( 共著・山と渓谷社 ) 。 嶋田泰子 ( しまだやすこ ) フリーの編集者・ライター。「ブナの森は緑のダム」 ( 太田威著・あかね書房 ) 、「地球ふしぎ 発見シリーズ」 ( ポプラ社 ) などの企画編集にたすさわる。著作に「車いすからこんにちは」 ( あかね書房 ) 、「ボランティアわたしたちにできること」「いっしよがいいな障がいの絵本」 ( 以上ポプラ社 ) など多数。 谷口孚幸 ( たにぐちたかゆき ) 工学博士。大手建設会社に勤務、都市開発にたずさわった後退職し、現在は大東文化大学環 境創造学部で教鞭をとる。 NPO ( 特定非営利活動法人 ) 首都圏環境カウンセラー協会理事。お もな著書に「都市水代謝デザイン」「地球環境都市デザイン」 ( 理工図書 ) 「水ハンドブック」 ( 海象社 ) などがある。 横山隆一はこやまりゅういち ) 財団法人日本自然保護協会 ( NACS - J ) 常勤理事。専門は、保護地域・アセスメント・大型猛禽 類の保護研究。自然保護に関する教育・メディアにも関わり、「野外における危険な生物」「指 標生物 - 自然をみるものさし」「昆虫ウォッチング」 ( 平凡社・共著 ) 等の執筆・編監修を行う。 環境省・林野庁等の多くの施策検討会委員に就任中。 萬田正治 [ 表 ] INAXC 裏 ] 岩崎保宏 株式会社ササクラ江戸東京博物館埼玉県環境科学国際センター木持謙東京発電株式会社 東京都下水道局株式会社四電技術コンサルタント生地正人東京農業大学高橋悟 字宙航空研究開発機構福岡地区水道企業団東洋紡績株式会社東京都水道局 新日本製鐵株式会社王子製紙株式会社日本ミリボア株式会社 独立行政法人石汕天然ガス・金属鉱物資源機構清水建設株式会社針江生水の郷委員会 東京大学宇宙線研究所積水ハウス株式会社東京大学生産技術研究所沖大幹軽部孝木下修 lmage Copyright Marc Dietrich, Dmitry Bomshtein Used under license from Shutterstock, lnc. 鈴木康彦 地球の未来と「水」 2 水をつかう、水を流す 2007 年 10 月第 1 刷発行 著者 / 岸上祐子・嶋田泰子 発行者 / 浦城寿一 発行所 / さ・え・ら書房 東京都新宿区市谷砂上原町 3-1 http: 〃 www. saela. CO. jp 印刷・製本 / 光陽メディア 〒 162-0842 ◎ 2007 Yuko kishikami / Yasuko Shimada ISBN978-4-378-01162-2 NDC518 PRINTED IN JAPAN ・参考文献 「水ハンドブック循環型社会の水をデザイン する」谷口孚幸海象社、「水と生命の生態学」 日高敏隆編講談社、「雨の事典」レインドロッ プス編北斗出版、「水をめぐる人と自然」嘉 田由紀子編有斐閣、「都市の水循環」ソーラ ーシステム研究グループ著日本放送出版協会、 「癒す水・蝕む水」藤田紘一郎 NHK 出版、 「やさしい地下水の本」地下水を守る会北斗 出版 ・参考資料 「平成 18 年版日本の水資源」国土交通省土 地・水資源局水資源部編国立印刷局、「水の 世界地図」ロビン・クラーク著沖大幹監訳 丸善株式会社
くの電力が必要となるにしたがって、も っと多くの電気がつくれる火力発電がふ えていき、やがて原子力発電がくわわり ました。そのため、水力発電は、 2005 年 になると、全発電量の約 8.3 % にへってい ます。 水力発電は、火力発電や原子力発電に くらべると、一度に多くの発電ができま げん せん。しかし、水力発電のエネルギー源 は川の水です。石油やウランなどのよう に、燃料を輸入する必要がありません。 さらに、発電に利用したあとの水は、川 にもどすので、何回でもつかえます。 また、水車に水を送りこめば、ほんの 10 分でも発電ができるという特性があり ます。 1 日のうちでも、電気がたくさん つかわれるときと、少ないときがあり、 必要量は時間単位で変わります。短時間 で電気をつくれる水力発電は、火力発電 や、原子力発電にない、そうした変化に 応じられる長所があります。 しかし、一度にできるだけ多くの発電 ねんりよう ゆにゆう とくせい おう さくま 28 大量の土砂がたまっている。 どしゃ 上から見た佐久間ダム ( 静岡県 ) 。このダムの内側には しすおかけん うちがわ をしようとすれば、より高くから水を落 とせて、より多くの水量を確保するため の大規模なダムが必要になります。とこ ろが、日本では、その条件をみたす場所 はかぎられています。 大規模なダムをつくるには、そこにく らす人が、立ちのかなければなりません。 さらに、ダムからの水で川の水がにごっ たり、上流へ魚がのほれなくなるなど、 えし、きよう 生態系にも大きな影響がでます。 さらに、川が上流から運んできた土砂 ひがた が、ダムにせきとめられ、河口では干潟 すなはま や砂浜が消えていくことになります。 たとえば、日本の三大砂丘のひとつで、 てんりゆうがわ しずおかけんはままっし 天竜川の河口にある、静岡県浜松市の中 すなはま 田島砂丘では、砂浜が 200m も後退して げんいん います。原因は、 1956 年に上流にできた 佐久間ダムだといわれています。佐久間 そうちょすいりよう ダムは、高さが 155.5m 、総貯水量は 3 億 2600 万 m で、水力発電では日本一の発電 量があります。 さくま 佐久間ダムには、できてからの 50 年間 かくほ だいきぼ じようけん だいきば せいたいけい どしゃ さきゅう なか たしまさきゅう さくま さくま なかたしまさきうしずおかけん 中田島砂丘 ( 静岡県 ) から見える海。以前は同じ場所に さき物う 立っても高い砂丘が連なり、海は見えなかった。