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検索対象: 奎星 合宿号2018年
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1. 奎星 合宿号2018年

宝石の島 陽の落ちた林道は予想より暗かった。スマホのライト「他の奴に見つかったらまずいだろ」 はやと 「こんなとこ隼人くらいしか来ないよ」 は足もとが照らせるほどで、とても走っては移動できな 「まあどうでもいいから早く来いよ」 かった。早足で道を進みながら時間を確認すると、決め ていた時間から分ほどが過ぎている。大抵のことは適そういうと隼人は道に乗り出していた体を翻し、木と 当なくせに時間には細かいんだよな。自分が悪いことは木の間へ戻っていく。 「え、こんなとこ入っていくの。これじゃ獣道とも呼べ わかっているが、なんとなく頭の中で文句を言ってしま ないよ」 住宅街からそれほど距離が離れていないにも関わら「道になってたらばれるじゃんか。グダグダ言うならお いていくぞ」 ず辺りはとても静かだった。葉が音の振動を打ち消して そうはいうも隼人は私に背を向けて待っている。隼人 いるのだろうか。聞こえるのは自分の息と砂を踏む音、 木々のすれあう音だけだった。さっきまで家族と会話しのシャツの裾をつかむと、私たちはゆっくりと歩きだ ていたはずなのに、今は世界にいるのが自分だけなんじした。木と木の感覚が狭く、左に行っては右にいってと いう具合に、ジグザグと私たちは進んでいった。隼人の ゃないかという気さえする。少しだけ足をはやめた。 ひょり 先導が無ければすでに三回は頭をぶつけてそうだな、と 「おい日依莉」 脇道から突然声がして、思わず持っていたスマ 1 トフ思った。 「つかお前遅刻。ちゃんと時間守れよ」 オンを落としかけた。 隼人はポケットから小さなライトを取り出してスイ ライトくらいつけてよ」 「びつくりした : 4