がみえた。 まほ、つつか 「あ、魔法使い卩 水の精はあわてて手をひっこめると、すばやく水の中ふかくにもぐっ てしまった。 まほうつか あたま しあ 魔法使いは、水の精にあうことで頭の中かいつばいだったので、仕上 じゅもん じんふく げの呪文をかけわすれていた。自分の服をけしていなかったのさ。やっ ちえ ばりこの魔法使いはうつかりもの、すこしはかり知恵がたりなかったん 「ああ、もうすこしだったのにー なんということた じぶんしつばい きしべ 魔法使いは、自分の失敗にいかりくるい、岸辺にあった大木を何本も まほ、つつか まほ、つつか たいぼく なんぼん 4 4
くろ ってい、つと 、パッとなにか、黒いかたまりをなげたの。それがハエでね、 むらさきいろ 0 、 ノ ーツととびたった。すると、紫色のカエルたち、いっせいに口をあ いてね、パッ。、ツ、とびあがってハエをたべちゃった。 あっけにとられていると、そのおはあさん、につこりして、 むらさき 「さあ、おいで。〈紫バ、ハアレストラン〉にようこそ」 まほ , つつか っていうんだよ。そう、そのおばあさん、魔法使いみたいだけど、たし むらさきいろ いしよ、つ かに紫色の衣装だ。 むらさき 「なんで、なんで、〈紫ババアレストラン〉なんてつくったの。へん なレストラン」 「うひひ」 4
「きようこそ、つかまえておれのものにするぞ」 A 」り′ こえ ところか、こんども鳥のさえする声をきいて、水の精は水の中ににげ まほうつか みずうみ てしまった。魔法使いもいそいで湖にとびこんで、あとをおいかけた か、水の精の怺ぎにはとてもかなわない まほうつか 魔法使いともあろうものが、水の精をつかまえられないとは ちえ ね。おまえは知恵がたりないんだね」 ごえ ものし とっぜん、大きなわらい声がきこえた。森にすむ物知りばあさんだ。 「どうしたらいいのだろう。おしえてくれよ よわき まほ、つつか すっかり弱気になった魔法使いは、おばあさんにいい方法がないもの そうだん かと相談した。 ほ、つほ、つ 8 3
か、はねてい そのあとを、わたし、あるいていった。 ついたよ」 ごえだいがっしよう カエルたちが、カエル声で、グエグエ声で大合唱。 たしかにレストランだ。 かし ふん、まるで、ヘンゼルとグレーテルが森の中でみつけた、お ~ 果子の いえ 家みたいなの。 「きたかい、 むらさきいろ 魔法使いみたいなおばあさんがでてきてね、紫色のカエルたちに、 「ごくろ、つ、ごくろ、つ」 まほ、つつか きたかい、 ごえ よくきたねえ。おいしいごちそうかまってる 2
きんいろほうせき 「ほうら、こんどは金色の宝石だー 「まあ、なんてきれいなの」 きしべ 水の精はうっとりとなり、すこしすっ岸辺にちかついた。それをみた しよ、フにん きんいろにじ 商人は、金色の虹の切れはしをふりかざして、いった。 「さ、さ、もっとちかくにきて、よおく、ごらんくださいまし」 こえ せいしようにん その声につられて、水の精は商人の手のとどくところまできた。 いえ 「おしようさん、わたしの家にいらっしゃれば、もっともっとうつくし いものかありますよ。たつぶりとお目にかけましよう。さあ、はやく そういいなから、商人は足を一歩まえにふみだし、水の精に手をか しようにんうわぎ まほ、つつか くろふく そうとした。そのとき、商人の上着の下から、魔法使いのまっ黒い服 しよ、つにん
よ、つかい イレの花子さんそれから・ : それから : ・」いつばい妖怪のいる部屋でした。 かい 2 たんり・よ , つり・ とくせい さあ、みんながそろったところで、特製の屋談科理をおだしいたしましよう。 じこいのち 邦夫は心をよせていた菜穂子さんへのプレゼントをわたさぬまま、事故で命をうば おも われました。「モンキチョウのプローチ」には、想いをのこして死んでいった人の、 けしん くにおれし ふかいかなしみがよこたわっています。お墓をとんでいたチョウは、邦夫の霊の化身 だったのでしよう。 みずうみうつく にじいろ 「虹色にかかやく湖」の美しさは、空いちめんにとびちった虹の破片がしすんでいる き なないろにじ からです。七色の虹をハサミでチョキンチョキンと切るというのは、とてもおもしろ ものがたり はっそ、つ い発想です。目のさめるような美しさにいろどられた物語です。 しん いえ 死んだ人の霊は、四十九日のあいだは家のまわりをただよっていると信じられてき にんげ・んこうりゅう ししゃれい ました。「ピンクのドレス」は、四十九日をめぐる死者の霊と人間の交流をえがいた さくひん 作品です。ママにはみえなくても、ひかるにはえりちゃんのすがたがみえていたので す。 くにおこころ 、つつく にじ へや し はヘん 1 39
いわやま ひっこぬき、岩山をくだき、虹になげつけた。たちまち虹は空いちめん なないろひかり にとびちり、七色の光をはなった。 はヘん しばらくすると、虹の破片はきらきらとかがやきながら、湖の中にし みずうみ すんでいった。それから、この砌はふしぎな色になったという。そし て、いまなお、色あせることなく、虹色にかがやいている。 まほ , つつか その後、だれひとり、水の精や魔法使いのすがたをみたものはいない というけれど、ひょっとしたら、虹のかかった日には、水の精が顔をだ すかもしれない にじ にじ にじ にししろ にじ みずうみ かお
「うーん、そうだね、水の精は好奇心がとてもつよいっていうからね」 おばあさんはロの中でぶつぶっといった。 「空に大きな虹をかければい ) しさ、きれいな色をした虹をね。水の精は にじ きしべ まだ虹をみたことないから、きっと岸辺までおよいでくるよ」 まほ、つつか 魔法使いはさっそく空に、とびきり大きな虹をかけた。そして、おば こまものしようにんば あさんにおそわったとおり、町の小間物商人に化けて、砌にでかけて っこ。 し / 空にかかった虹が砌にうつり、きらきらとかかやいていた。水の精 は水の中からそうっと顔をだして、空と湖をかわるがわるにながめて にじ にじみずうみ かお こうきしん みずうみ にじ にじ みずうみ 9 3
」よ、つ - かし たば 1 レ十・ . ゝヾこ、 まず教会の墓地で、草をひと束、かりとるんだ。それから、死刑台 えだ のそばにあるナナカマドの枝を一本きりとる。それを墓場の草といっ ぬま いわ しょに、アシで編んだひもでたはねて、たそがれどきに沼へいって、岩 の上にすわるのさ。 じっとうごかないで、朝までしつかり、目をつぶっていなけりやいけ オし よ , っせい だけどね、妖精の手助けでしあわせになっても、長つづきはしないと い、フよ つぎの日、ジーンは墓地の草とナナカマドの枝をもって、たそがれど ぬま いわ きに沼へいった。岩にすわると目をとじた。 てだす あさ えだ なが
・′ 0 みずうみ 魔法使いが湖にちかづくと、 」 A トり - 小鳥たちがいっせいにさえすった。 「ピー、ピー、チュンチュン、魔 ほ、つつ . か 、冫イいだ。森にすむわるいやつが きたぞ」 こえ その声をきくと、水の精はすは やく、水の中にもぐってしまった。 まほうつか つぎの日、魔法使いはとくいの わざ 技でカワウソにすがたをかえて、 きしべ 岸辺で水の精をまっていた。 まほうつか