こうじよう かんきよう 工場が環境にあ えいきよう たえる影響をへら きぎよう している企業もあ かんきよう こつべせいこっ ります。日本の神戸製綱では、環境 みず もんだい ひと 問題への取りくみの一つとして、水 ぼうし ろうひ すいしつ おせん の浪費と水質の汚染を防止する、新 ぎじゅっせいぞうこうてい かいはつ しい技術と製造工程を開発しました。 げすいどう こうじようはいすい こつべせいこう 神戸製綱では、工場廃水を下水道 なが に流すことはしていません。そのか はいすい わり、工場内で廃水を処理し、再び りよう せいぞうこうてい 製造工程で利用しているのです。こ こつべせいこう うして、神戸製綱では、利用してい みず ちか る水の ] O O % 近くをリサイクルし ています。 につぼん あたら ふたた こうじようない こうじようすいしつかんきよう しゃいん △製鉄所で働く神戸製綱の社員も、工場が水質環境に せいてつじよはたらこうべせいこう ほうほう けています。 あたえる影響を少なくする方法について、研修を受 えいきようすく けんしゅう ,. ら↓ゼト霎き。気 : ↓気衣第 しばふ あおあお ロ青々とした芝生 世界には、ゴルフ場のように、 みず スプリンクラーで芝生に水をま いて、みばえをよくしていると すいしつ ころもあります。飲める水質ま みず なが で水をきれいにするには、長い じよう しばふ たいへん 時間と、お金がかかっているの かね じかん こうえん いんりようすい じようみず づかいです。 ですから、これは、大変なむだ しよう きれいにしていません。 処理はしていますが、飲料水になるほどまでは、 しより いんりようすい て、水やりをしているところもあります。浄水 じようすい みず にあるゴルフ場のように、下水をリサイクルし げすい いにする必要はありません。たとえば、ハワイ ひつよう く公園やゴルフ場の水やりなら、飲料水ほどきれ
水と産業とゴルフ せいぞう 何かを製造したり、利用するときには、かならすといっていいほど、 水が必要になります。工業用水としても、もちろん、大量の水を使いま すが、ゴルフ場のような娯楽施設でも、責重な水を大量に使っています。 しかし、水の利用と浪費をへらす方法は、あるのです。 みず こうぎようようすい ひつよう みず たいりよう つか ごらくしせつ みず じよう きちょう たいりよう つか みず ろうひ ほうほう Ⅲ円ⅢⅢ川ⅢⅢ ⅢⅢⅢⅢ i いⅢⅢ川に みず さんぎようかつどう △水は、産業活動をするためには、欠かすことができ かいすいかりよくはつでんしよ 0 工業用水の節水 ません。この海水は央力発電所で利用されています。 はつでんしよ みず かいてん じようき 発電所でターピンを口転させた蒸気を、冷やして水 みずぜんしようりよう 先進国の多くが、水の全使用量の 20 % かいすいつか にもどすのに、海水が使われているのです。 こうぎようようすい つか 以上を、工業用水として使っています。 せいぞう ねん あいだ たとえば、自動車を製造するときにも、 力では、 ] 980 年から 2008 年の間に みず こうぎようようすい ほん つか 本をつくるときにも、水が使われます。 工業用水の使用量は 20 % もへっていま みず こうりってき ねん しかし、企業が効率的に水を利用するよ す。日本では、 ] 9 7 0 年とくらべて、 こうぎようようすい うになって、工業用水としての使用量 25 % もへっています。 はヘってきています。たとえば、アメリ こうぎようようすい せっすい りよう おお せんしんこく いじよう ねん しようりよう きぎよう りよう しようりよう
目次 わくせい 青い惑星 地下に隠された宝物 水道のじゃぐちをひねる 水に流す 水と産業とゴルフ 食料と水 気候変動 水をきれいにする生活 水はみんなのもの ? 海をきれいにする 森林と湿地 水と電力 未来へ向けた解決法 水の問題をいっしょに考えよう 用語解説 さくいん 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 4 6 2 2 2 2 2 3 3 3 たからもの すいどう みず なが みず さんぎよう みず しよくりよう うへんどう き みず せいかっ みず うみ しっち しんりん みず でんりよく かいけつほう む みらい みず かんが もんだい ようご かいせつ
岩 みず こうじよう かくち こうべせいこうし、がい ロ「水に流す」 神戸製綱以外にも、各地の工場でおこなわれ げすいどう せいかつようすい つか 家庭などで使った生活用水は、下水道を通 ています。 げすいしよりじよう げすいしよりじよう じて、下水処理場に運ばれます。下水処理場 こけいぶつ ロ「食料と水」 では、まずは、固形物を取りのぞきます。つ びせいぶつ たす ばあい ばい こうぎようようすい せいかつようすい か いで、バクテリアや微生物の助けを借りて有 日本の場合、工業用水の 4.6 倍、生活用水 みずかわ みず きぶつ ばい のうぎようようすい ぶんかい つか 機物を分解し、きれいになった水を川などに の 3.4 倍の水が、農業用水として使われてい みずいちぶ ねんかんみずしようりよう なが のうぎようようすい さいきん 流します。最近は、きれいになった水の一部 ます。農業用水は、日本の ] 年間の水使用量 みず りよう のうぎよう さくもつ が、トイレの水などに利用されるようになり の 3 分の 2 を占めています。農業は、作物を げすいしより ば にほん たいりよう か ました。そのような下水処理には、日本の場 育てたり、家畜を飼ったりするために、大量 みずつか こうすい りつばう ひ 合、 ] 立方メートルあたりで、約 200 円の費 の水を使います。でも、幸いなことに、降水 りようおお かんがいしせっととの 用がかかります。ですから、貧しい発展途上 量の多い日本では、灌漑施設が整っているこ げすいどう みずぷそく もんだい 国では、下水道があまり普及しておらず、下 ともあり、水不足は、あまり問題になってい でんせんびよう のうぎようひつよう みず かわなが せきり 水がそのまま川に流され、赤痢などの伝染病 ません。しかし、農業に必要な水の不足は、 しょこくちゅうごく はってんとじようこく ひろ が広がることがあります。そのような国では、 発展途上国のアフリカ諸国や中国、インドな はら せんしんこく おお 「アシ原による浄化」や「リビング・マシン どだけでなく、先進国のアメリカなどでも大 ばんめ こうかてき じようか もんだい による浄化」が、とても効果的です。 きな問題になっています。中国では、二番目 こうが おお に大きい黄河が、 ] 997 年から ] 998 年にか ロ「水と産業とゴルフ」 けて、河口から 600 キロメートルさかのぼっ あいだみずなが じようりゆう アメリカには、世界のゴルフコースの 60 % た上流まで、 449 日もの間、水の流れがなく たいりようみずつか じようりゆうがわ あっ が集まり、そこの芝生を維持するために、 ] なりました。上流側で大量の水が使われる みずつか おく こうすいりよう 日で、約 ] 50 億リットルの水が使われていま ようになったうえに、降水量がとても少なか みずぷそく ひとびと せいかっゆた す。また、生活の豊かな人々は、広い庭に芝 ったからです。このような水不足をなくすた みず みず しばふ こうりってき 生を植えています。その芝生にやる水が、住 めには、「水の効率的な利用」が、どうしても みず ねんかんしようりよう こうりってき 宅によっては、ケ二ア人の年間使用量の 欠かせません。その「水の効率的な利用」の づか ほうほう てんてきかんがい 1 OOO 倍にもなります。そのようなむだ使い ーっに、「点滴灌漑」という方法があるのです。 みず しようりよう をやめれば、水の使用量を、大きくへらすこ せいかつようすいやく ばあい ロ「気候変動」 とができます。日本の場合、生活用水の約 3 みずじようはつ ばい こうぎようようすい れいきやくよう つか ちきゅうおんだんか 地球が温暖化すると、水の蒸発がさかんに 倍の工業用水が、冷却用などに使われてい こうすいりよう れいきやくすい ちきゅうぜんたい なり、地球全体としては、降水量が増えるだ ます。冷却水は、あまりお金をかけないで、 げんざい ふたたれいきやくすい よそう きれいにすることができ、再び冷却水として ろう、と予想されています。しかし、現在の みす はんかんそうちたい こうすい かんそうちたい 乾燥地帯や半乾燥地帯では、いまよりも降水 利用できます。そのような水のリサイクルは、 つう かてい しよくりよう にほん にほん ぶん し かちく さいわ はってんとじよう まず にほん げ ふきゅう ふそく じようか ちゅうごく ねん ねん さんぎよう みず せかい しばふ しば ひろ じゅう りよう つ りよう か ひと おお うへんどう き にほん かね りよう
さくいん アシ原・ あお 青い惑星・ アメリカ・ イギリス・ 井戸・ インド・・ はら わくせい ・・ 11 ・・・ 7 , 8 , 12 , 22 , 24 , 26 うずい 洪水・・ くれんかんきようけいかく 国連環境計画・ ゴルフ場・ さいせいかのう 再生可能なエネルギー じよう ・・ 16 , 24 ・・・ 19 ・・・ 12 ・・ 26 ・・ 24 ・・ 24 日本・・ ニューシーランド・ バイプライン・ はってんとじようこく 発展途上国・ にほん フランス・ ・・ 12 ・・ 16 ・・ 5 , 10 , 27 ・・ 23 ・・ 5 , 8 ・・ 6 , 21 ・・ 5 , 7 , 26 ・・ 5 , 21 ・・ 21 ・・ 11 ・・ 20 おせん 湿地・ ジャマイカ・・ じようすいしより 浄水処理・ じようすいどう 上水道・ すいしつおだくばうしほう 水質汚濁防止法 すいりよくはつでん 水力発電・ せいかつようすい 生活用水・・ しっち プレーフラッグ・キャンペーン・・ 23 フレンズオブジ Friends Of the Earth インター ス ア ウォーターエイド・ 工コサン・ けいかく 工コ・ビレッジ計画 エジプト・ うみ ・・ 10 , 13 , 15 ・・・ 10 ・・・ 18 ・ 16 , 26 SAS ( 汚水による海の汚染に はんたい かせきねんりよう 温室効果ガス・・ おんしつこうか オーストラリア・ 反対するサーファーたち ) ・・・ 23 ・・ 16 ・・・ 25 16 化石燃料 せかいしぜんほ 世界自然保護基金 (WWF) 9 せかいみす 世界水フォーラム・・ せかいしっち 世界湿地デー せっすい 節水・ 先進国・・ 帯水層・ ダム・ 淡水・ 淡水化装置・ ちかすい 地下水・ ちきゅうおんだんか 地球温暖化・ ちねつはつでん 地熱発電・ ちゅうかんぎじゅっかいはつ ききん せんしんこく たいすいそう ・・ 16 ・・ 16 ・・ 6 , 21 ・・ 28 ・・ 4 , 28 ・・ 2 6 ・ 8 , 12 ・・ 9 , 12 ・・ 24 ・・ 20 中間技術開発グ丿トプ (ITDG ) 27 ナショナル・・ ベルギー 掘りぬき井戸・ ポンプ・・ ほ ゆうきのうほう モザンビーク・・ 水もれ・・ みず 水循環・ みずじゅんかん マイクロ水力発電・ すいりよくはつでん ・・・ 17 , 25 ・・ 19 ・・・ 7 , 15 , 21 ・・ 21 ・・ 4 , 24 ・・ 27 かりよくはつでんしょ 火力発電所・ かんがい 灌漑 かんけっせん ・・ 12 ・ 6 , 15 間欠泉 16 有機農法 19 リビング・マシン リーズ (REEDS) ・ 干ばっ・ こうへんどうわくぐみじようやく 気候変動枠組条約・ きようとかいぎ 京都会議・ グリーンピース・ グローバル 500 賞・ げすいしより 下水処理・ げすいどう 下水道・ こうぎようようすい 工業用水 き しよう ・ 6 , 16 ・・ 17 ・・ 17 ・・ 2 2 ・・ 19 ・・ 10 ・・ 10 , 13 ・ 15 , 27 ・・・ 12 (Living Machine) か ろ過・ みず わき水・ 11 ・・ 5 , 7 , 11 チリ・ 点滴灌漑 ドイツ・・ ・・・ 29 ・・ 15 ・・ 17 , 18
水に流す みず いんりよう おく つか 飲料などに使うきれいな水を送る水 道を、上水道といいます。その一方、 家庭や工場などから出る、使用すみの 下水を流すのが下水道です。下水は、 上水道にもとす前に、長い時間とお金 をかけて、安心して利用できるように 浄水処理をします。 ひだり おせんぶっと つん △上のビーカーは左から右へ、汚染物が取 じゅんじよ りのそかれてゆく順序に、並んでいます。 口下水処理 あまみず くわ ロ高価な下水処理 トイ 工場や汚れた雨水などに加えて、 だいどころ げすいしよりじよう みず レや風呂、台所など家庭から出る、使用 下水処理場で水をきれいにするには費 みず げすい げすい はってんとじようこく ずみの水のことを下水といいます。下水 用がかかるため、多くの発展途上国では、 げすいどう げすいしよりじよう とお おも しよりじよう けんせつ は、下水道を通って、下水処理場に送ら 思うように処理場を建設したり、運営し こけし、ぶつ はってんとじようこく れます。ここで、まずは、固形物を取り たりすることができません。発展途上国 のぞき、さらに、有益なバクテリアや微 の中には、下水の 90 % を、まったく処 せいぶっちから ゆうがい か ゆうきぶつ すいげん じようすいどう なが 生物の力を借りて、有害な有機物を取り 理しないまま、上水道の水源に流してい げすいしより ちいき のぞきまします。しかし、下水処理のた る地域もあります。そうした地域では、 かがくやくひん かんきよう いんりようすい びようき りゆうこう めに使用する化学薬品によっては、環境 飲料水が原因で、しばしば病気が流行 ばあい おせん を汚染してしまう場合もあります。 し、死者が出ることもあります。 じようすいどう いっぽう こうじよう かてい しよう げすいどう なが じようすいどう なが じかん かね あんしん じようすいしより みぎ げすいしより なら げすいしより こうか こうじよう 小ろ かてい おお うんえい ゆうえき なか しよう げんいん さいしんげすいしより くこの最新の下水処理 しせつ せんたいやね 施設は、全体が屋根 でおおわれていて、 ふうけい まわりの風景と合う せつけい ように設計されてい ます。 一飛舅整
よそう こうすいりよう 量がヘることが予想されています。降水量が おおあめ すい 増える地域では、大雨も降りやすくなり、水 たいさく かね 害への対策にお金がかかるようになります。 こうすいりよう ちいき のうぎようようすい 降水量がヘる地域では、農業用水や工業用 すいせいかつようすい 水、生活用水を手に入れることが、ますます みず せかい むずかしくなります。世界の水をまもるため ちきゅうおんだんか にも、地球温暖化を、防止しなくてはなりま ひとびと かんが せん。世界の人々は、そのように考えて、 こうへんどうわくぐみじようやく ねん むす ] 992 年に気候変動枠組条約を結び、その条 さんか ねんきようとぎていしょ 約に参加した国々は、 ] 997 年に京都議定書 りよう ちいき こうぎようよう せかい じよう き くにぐに を採択し、温室効果ガスの削減を約束しあい おんしつこうか さくげんやくそく さいたく かく し だ たいりようさかな いじよう おお し し ひ かがくこうじよう か みず めいあん ひと で も 本では水質汚濁防止法が制定され、世界の各 せいてい せかい すいしつおだくほうしほう ほん になります。そして、そのように考えて、日 かんが さないようにすれば、水は、かならずきれい みず 大量の魚を死においやります。汚染物質を出 おせんぶっしつ なりすきると、プランクトンが異常に増えて、 も、海や湖を汚染しています。栄養分が多く えいようぶん うみみずうみおせん 農業排水や生活排水にふくまれている栄養分 えいようぶん のうぎようはいすいせいかつはいすい り、おおぜいの人々を死においやりました。 ひとびと した有機水銀が、魚を通じて人間の体内に入 さかなつう にんげんたいないはい ゆうきすいぎん 病がよく知られています。化学工場が海に流 うみなが かがくこうじよう びよう 水俣市にある化学工場が引きおこした、水俣 みなまた みなまたし きました。工業排水による汚染では、熊本県 おせん くまもとけん こうぎようはいすい 動や人々の生活によって、ひどく汚染されて おせん ひとびとせいかっ 生活に欠かすことができない水が、産業活 せいかっ さんぎようかっ みず ロ「水をきれいにする」 「自然エネ丿レギーの活用」です。 かつよう しぜん 酸化炭素の排出量をへらす一つの名案が、 はいしゆっりよう さんかたんそ を燃やすときに出る二酸化炭素です。その二 にさんかたんそ ました。温室効果ガスの大部分は、化石燃料 かせきねんりよう だいぶぶん おんしつこうか ゆうきのうほうこころ 地で有機農法が試みられているのです。「家庭 つかせんざい で使う洗剤を変えること」も、すぐにでもで かいけっさくひと きる解決策の一つです。 0 「水はみんなのもの」 あんぜんみず けんこう きれいで安全な水は、健康に生きていこう とすると、だれにも欠かせません。しかし、 こくれんじどうききん はっこっ 国連児童基金 (UNICEF) が発行している どもはくしょ せかいこ ねん 『世界子供白書 2004 年』によると、アフガ ばあい すいげん かいぜん りよう 二スタンの場合、「改善された水源を利用する ひりつ ひりつ 人の比率」は、 ] 3 % にすきません。その比率 せんしんこく れいがい は、先進国では、例外なく ] OO % になってい ますが、エチオピアでは 24 % 、チャドでは せんしんこく 27 % にとどまっています。先進国と発展途 かくさ 上国の格差、豊かな人と貧しい人の格差は、 ざんねん いのちみず 残念なことですが、「命の水」にもあらわれて まず はってんとじようこく いるのです。発展途上国の貧しい人々は、 せいかつようすい とお 生活用水を手に入れるため、毎日、遠くにあ みずば ちょうじかん る「水場」と自宅の間を、長時間をかけて みずばびようげんきん おうふく 往復しています。しかも、その水場が病原菌 でんせんびよう おせん くる で汚染されていることがあり、伝染病に苦し あんぜん みず められることがあります。きれいで安全な水 なん を、何とかして、「みんなのもの」にしたいも ち かてい か みず か ひと はってんと ひと ひと かくさ じようこく ひとびと まいにち て し、 あいだ ねんがつ うみ 日本の厚生労働省は、 2005 年 8 月、「妊娠 にほんこうせいろうどうしよう 0 「海をきれいにする」 のです。 にんしん じよせい た ほん している女性は、本マグロやメバチマグロを しゅうかん 水銀が、マグロ類の体内で濃縮され、その魚 さかな たいないのうしゆく すいぎん しい」、とよびかけました。人間が海に流した うみなが にんげん 食べるとしても、 ] 週間に ] 回までにしてほ
かが みず 水の問題をいっしょに考えよう わくせい 0 「青い惑星」 が降らないでいても、かれてしまうことがあ ちきゅう わくせい ひあっちかすい あまみず おおむかし 太陽のまわりを回る惑星は、地球のほかに ります。被圧地下水は、大昔に降った雨水が みずえきたい かせきすい も、いくつかあります。しかし、水が液体の 地下にたくわえられたもので、「化石水」とも たいりようそんざい じようたい わくせい わたし す 状態で大量に存在する惑星は、私たちが住ん よばれています。「掘りぬき井戸」でくみあげ ちきゅう えきたい じようたい かせきすい ちかすい でいる地球だけです。液体の状態になってい る「化石水」は、地下水の大部分を占めます みず ちきゅうひょうめんやく ほきゅう る水は、地球の表面の約 75 % をおおってい が、すぐに補給されることはない、「使えば みずわくせい ちきゅう ちかすい ちか ます。このため、地球は、「水の惑星」とも なくなる地下水」です。どちらにせよ、「地下 みずわくせい うちゅうせん かぎ たからもの たいせつ よばれています。その「水の惑星」を宇宙船 に隠れた宝物」には、限りがあります。大切 みずいろ ひろ からながめると、「水色」の部分が大きく広が にあっかいたいものです。 あおわくせい っているため、「青い惑星」にみえるのです。 みずやく みずわくせい 0 「水道のじゃぐちをひねる」 しかし、「水の惑星」の水の約 97 % は、塩か たんすい かいすい えんぶん ち だいたすう すいどうすい せいかつようすい らい海水です。塩分をふくまない淡水は、地 日本人の大多数は、水道水を、生活用水と きゅうみずやく すいどうすい つか 球の水の約 3 % にすきません。しかも、その して使っています。その水道水は、自治体が あんぜんみず たんすいやく なんきよく こおりゆきやく じようすいじよう 淡水の約 69 % は南極などの氷や雪、約 80 % 管理・運営する浄水場で、きれいで安全な水 かわみずうみたんすい ちかすい じようすいどう か おく は地下水です。ですから、川や湖の淡水は、 に変えられ、上水道を通じて、家庭などに送 みず ちきゅうたんすいやく じようすいじようはこ 地球の淡水の約 ] % にすきない、ということ られてきます。浄水場に運ばれてくる水には、 ちかすいかわみずうみ たんすい みず ちかすい かわ になります。淡水のうち、地下水と川や湖の 川の水や地下水があります。どちらにせよ、 みず せいかつようすいのうぎようようすい あんぜんみず 水は、生活用水や農業用水などとして利用さ きれいで安全な水をつくりだすためには、お たんすい りよう すいどうすい せいさんひ れています。それらの「利用しやすい淡水」 金がかかります。日本の水道水の生産費は、 ちきゅうみず きちょうひん りっぽう は、地球の水の O. 8 % にすきない、「貴重品」 ] 立方メートルあたりで、 ] 80 円ほどになっ こうか すいどうすい ています。そのようにかなり高価な水道水を、 ということになります。 せいかつようすい ひとり にほんじん 日本人は、生活用水として、 ] 人 ] 日あたり つか せ 0 「地下に隠れた宝物」 約 800 リットルも使っています。しかし、世 すいしげん たんすい まず ひとびと すいどうすい こうか つか 水資源として利用しやすい淡水は、大部分 界の貧しい人々は、高価な水道水を使うわけ みずもんだい ちか ちかすい せんもんか が地下にたくわえられている地下水です。で にはいきません。水問題の専門家によると、 ちかすい たからもの ひとり にんげん せいかっ すから、地下水は、「地下に隠れた宝物」な 人間らしい生活をするためには、 ] 人 ] 日あ みずとお ちかすい がんばん せいかつようすいひつよう のです。その地下水には、水を通さない岩盤 たり 50 リットルの生活用水が必要だ、という みずとお じゅうちかすい がんばん すうち の上にある自由地下水と、水を通さない岩盤 ことです。しかし、その数値が 80 リットルに ひあっちかすい じゅうちか の下にある被圧地下水があります。自由地下 もならない国々が、アフリカには、 26 か国 すい あまみず ほきゅう つか ねん 水は、雨水によって補給されますが、使いす ( 1990 年 ) もありました。 ながあいだあめ きるとかれてしまいます。また、長い間、雨 まわ よ た ほ だいぶぶん し つか 小ぶんおお すいどう にほんじん うんえい かんり かてい かね にほん たからもの ちか だい ぶぶん ちか つん くにぐに
み 水の問題をいっしょに考えよう みなまたびよう すいぼっ なが を妊婦が食べると、胎児が水俣病にかかる、 い土地を水没させてしまうだけでなく、流れ じようりゆうがわかわぞこ こうせいろうどうしよう ねん てきた土砂をせきとめ、上流側の川底を高く というのです。厚生労働省は、 2004 年には、 かりゆうがわかわぞこ ようちゅうい ひく 「メカジキ、キンメダイも要注意」、と警告し する一方で、下流側の川底を低くしてしまい かわじようげ うみ ていました。「海をきれいにする」ことは自 ます。また、川を上下する魚の移動をさまた 分の命と健康をまもるためにも、さけてれ みず ぶんいのちけんこう げ、水をくさらせることもあります。このた ねんだいいこう おおがた め、アメリカでは、 ] 990 年代以降、大型ダ ない、さしせまった課題になっています。 ムをとりこわすようになりました。そのよう かんが ひろ ロ「森林と湿地」 な「脱ダム」の考えは、日本でも広がってい あまみず しようきほ しんりん ます。その一方で、「ダムによらない小規模 森林は、雨水をしつかりと受けとめて、地 かっこく かすい すいりよくはつでん せかい ちちゅう 水力発電」への期待が、世界の各国で高まっ 下水として地中にたくわえたあと、ゆっくり かわ なが しんりん と川に流してくれます。このため、森林は、 ています。 みどり しんりん こっ 「緑のダム」ともよばれています。森林は、洪 すいしげん 0 「未来へ向けた解決法」 水を防いでくれているだけでなく、水資源を にんげん かがくぎじゅっ こくりつりんぎようしけん どうぶっちが ほか 人間は、他の動物と違って、「科学技術」 たくわえてくれているのです。国立林業試験 かがくぎじゅっ しんば じようせんもんか しんりんぜんこく をもっています。その科学技術をもっと進歩 場の専門家は、「森林は全国のダムの約 ] 9 倍 あんぜんみず ぜんこく ちょすいりよく させて、きれいで安全な水を、世界のみんな の貯水力をもっている」といっており、全国 もと て しんりん が手に入れるようにすることができないだろ の森林をまもることを求めています。入り江 ねが せいいく しよくぶつ せかい ぬまち しっち うか。そのような願いを受けて、世界では、 や沼地などの湿地は、そこに生育する植物が けんきゅうすす ふえし、 えいようぶんきゅうしゅう さまざまな研究が進められてきました。そし よけいな栄養分を吸収してくれるため、富栄 じつようだんかい みず かいすいたんすいか しんりん ようか おせん ふせ 「海水の淡水化」が、実用段階を 養化による水の汚染を防いでくれます。「森林 て、ついに、 あんぜんみず たんすいか むか かいすい しっち 迎えるまでになりました。海水の淡水化には、 と湿地」は、きれいで安全な水をまもるため かいすいねっ すいじようき ひ 「海水を熱して水蒸気をつくり、それを冷や にも、欠かすことができないのです。 じゅしまく たんすい して、淡水をつくる方法」のほかに、「樹脂膜 でんりよく たんすい ほうほう かいすい で海水から淡水をしまりだす方法」がありま じゅしまくほう みず 高い土地にある水は、「位置のエネルギー」 す。このところ、「樹脂膜法」がものすこく進 でんき ひょうやす たんすいか をもっています。そのエネルギーを、電気の 歩して、淡水化の費用も安くなりました。こ げすい すいどうすい すい すいりよくはつでん ほうほう の方法だと、下水も浄化して、水道水として エネルギーに変えるのが、水力発電です。水 ほうしゃのう にさんかたんそ りよくはつでん つか 使うことができるようになります。そのよう 力発電は、二酸化炭素や放射能を出さないの くにぐにきようりよく みらい な未来に向けて、世界の国々の協力をさらに で、「クリーンエネルギー」の一つとして、こ せかいみずかいぎ せつ つよ かいはつ 強めるため、 ] 996 年に「世界水会議」が設 れからの開発が期待されています。しかし、 おおがた すいりよくはつでん けんせつ 水力発電のために建設される大型ダムは、広 立されました。 たいじ た にんぷ いつばう く けし、こ さかな じ お しっち しんりん にほん だっ いっぽう ち つ かいけつほう む みらい せかい か ほ みず ロ「水と電力」 じようか か だ せかい ねん ひと ひろ
岩渕孝 ( いわぶちたかし ) 1936 年生まれ。東京教育大学理学部地学科卒業。 静岡雙葉学園教諭、桐朋学園教諭、東京教育大 学附属高等学校教諭を経て、秋田大学教授。現 在、聖心女子大学・東京国際大学・成蹊大学講師 ( 非常勤 ) 。主な著書に『地球を旅する地理の本・ 第 1 巻地球に生きる』『地球を旅する地理の本・第 3 巻西アジア・アフリカ』『現代世界の資源問題入 門』『地理教育をつくる 50 のポイント』 ( すべて大月 書店 ) 『環境問題再入門ー解決をめざす人類の歩 みに学ぶ』 ( 地歴社 ) など。 地球環境をまもるアクション 水をまもる 2006 年 1 月 30 日第 1 刷発行 著ジュード・ウェルトン 血偐岩渕孝 翻訳協力株式会社バベル 発行者図師尚幸 発行所株式会社ほるぶ出版 〒 113-0033 文京区本郷 3-40-11 電話 03-5684-8871 印刷共同印刷株式会社 製本株式会社ハッコー製本 NDC360 210X264 ミリ 36P 旧 BN4-593-57614-8 日本語版デザイン : 石倉昌樹矢野真友子 ( 石倉事務所 )