め、その普及に努める。⑧技能検定 の実技試験の実施方法を見直す。 [ 施行期日 ] 2015 年 10 月 1 日 ( ②・ ③は 2016 年 3 月 1 日、⑤・⑥・⑧は 同年 4 月 1 日 ) [ 審議経過 ] 2015 年 3 月 17 日 ( 189 国会 ) 内閣提出、 4 月 13 日参・厚生 労働委付託、 14 日趣旨説明、 16 日質 疑の後可決、 17 日参・本会議可決、 1 名反対。 8 月 28 日衆・厚生労働委 付託、 9 月 2 日趣旨説明、 4 日質疑 の後可決、 11 日衆・本会議可決、成 立、全会一致。 [ 審議論点 ] 適職の選択に資する情 報の積極的な提供の重要性、労働関 係法令違反企業からの求人不受理の 在り方、職業能力の開発の必要性等 労働者派遣事業の適正な運営 の確保及び派遣労働者の保護 等に関する法律等の一部を改 正する法律 評成 27 年 9 月法律第 73 号い [ 趣旨・内容 ] ①一般労働者派遣事 業と特定労働者派遣事業の区別を廃 止し、労働者派遣事業を全て許可制 とする。②厚生労働大臣は、労働者 派遣法の規定の運用に当たり、派遣 就業は臨時的かつ一時的なものであ ることを原則とするとの考え方を考 慮しなければならない。③業務単位 の期間制限を廃止し、事業所単位の 期間制限 ( 派遣先の同一の事業所に おける派遣労働者の受入れは 3 年を 上限とし、これを延長するときは、 過半数労働組合等からの意見聴取を 必要とする。意見があった場合には 対応方針等の説明義務を課す。 ) お よび個人単位の期間制限 ( 派遣先の 同一の組織単位ごとの業務における 同一の派遣労働者の受入れは 3 年を 上限とする。 ) を設ける。④派遣元 事業主に対し、同一の派遣労働者に 係る期間制限の上限に達する見込み がある派遣労働者の雇用安定措置 ( 派遣先への直接雇用の依頼等 ) を 義務付ける。⑤派遣元事業主に対し、 派遣労働者への計画的な教育訓練等 の実施や均衡待遇を確保するために 考慮した内容についての説明を義務 付ける。⑥派遣先に対し、派遣労働 者について、派遣元事業主の求めに 応じ、当該派遣労働者と同種の業務 に従事する労働者が業務遂行に必要 な能力を付与するための教育訓練に ついては、派遣労働者に対しても実 施するよう配慮することを義務付け る。 [ 施行期日 ] 一部の規定を除き、 2015 年 9 月 30 日 [ 審議経過 ] 2015 年 3 月 13 日 ( 189 国会 ) 内閣提出、 5 月 12 日衆・本会 議趣旨説明および質疑、同日衆・厚 生労働委付託、 13 日趣旨説明、 15 日、 20 日、 27 日、 28 日、 29 日、 6 月 2 日、 10 日および 12 日質疑、 19 日討論の後 可決、同日衆・本会議討論の後可決。 7 月 8 日参・本会議趣旨説明および 質疑、同日参・厚生労働委付託、 14 日趣旨説明、 30 日質疑、 8 月 4 日、 11 日、 20 日、 26 日、 27 日、 9 月 1 日 および 3 日質疑、 8 日質疑および討 論の後修正議決、 9 日参・本会議討 論の後委員長報告のとおり修正議 決、民主、維新、共産、無所、社民、 生活等反対。 9 月 11 日衆・本会議討 論の後修正に同意、成立、民主、維 新、共産、生活、社民反対。 [ 審議論点 ] 労働者派遣事業を全て 許可制にする意義、派遣労働者の正 社員化に向けた取組、新たな期間制 限の在り方と過半数労働組合等から 121 の意見聴取の実効性、派遣労働者の 雇用安定措置の在り方等 医療法の一部を改正する法律 1 [ 平成 27 年 9 月法律第 74 号 ] [ 趣旨・内容 ] ①医療機関の業務の 連携を推進するための方針を定め、 当該方針に沿って、参加する法人の 医療機関の業務の連携を推進するこ とを目的とする一般社団法人は、地 域医療連携推進法人として都道府県 知事の認定を受けることができる。 当該方針において、介護事業等の地 域包括ケアシステムの構築に資する 事業の連携を推進する旨を記載した 場合は、当該事業等を行う法人を参 加法人とすることができる。②一定 の基準に該当する医療法人に対し、 計算書類について、会計基準に従っ た作成、公認会計士等による外部監 査の実施、公告等を義務付ける。③ 医療法人への理事の忠実義務、任務 懈怠時の損害賠償責任等を規定する ほか、社員総会等の機関に関する規 定を整備する。 [ 施行期日 ] 一部を除き、公布日 ( 2015 年 9 月 28 日 ) から 2 年以内で 政令で定める日 [ 審議経過 ] 2015 年 4 月 3 日 ( 189 国会 ) 内閣提出、 7 月 28 日衆・厚生 労働委付託、 29 日趣旨説明、 8 月 5 日質疑および討論の後可決、 7 日衆・ 本会議可決、民主、維新、共産、生 活、社民反対。 9 月 9 日参・厚生労 働委付託、 10 日趣旨説明、 15 日質疑 および討論の後可決、 16 日参・本会 議可決、成立、民主、維新、共産、 社民、生活等反対。 [ 審議論点 ] 地域医療連携推進法人 制度創設の目的と必要性、その業務 の在り方、地域医療への影響等
[ 特集引死刑の論点 027 年 4 月 21 日裁判集刑 294 号 149 頁、③最決平 20 年 9 月 29 日 判タ 1281 号 175 頁、④最決平 20 年 11 月 4 日裁判集刑 295 号 239 頁、⑤最決平 21 年 1 月 14 日判タ 1295 号 188 頁、⑥最決 平 21 年 12 月 17 日裁判集刑 299 号 1275 頁、⑦最決平 23 年 3 月 22 日裁判集刑 303 号 535 頁、⑧最決平 23 年 12 月 12 日判時 2144 号 153 頁、⑨最決平 24 年 1 月 16 日判時 2151 号 120 頁、 ⑩最決平 24 年 7 月 11 日裁判集刑 308 号 91 頁、⑩最決平 24 年 12 月 3 日裁判集刑 309 号 1 頁、⑩最決平 24 年 12 月 17 日 裁判集刑 309 号 213 頁、⑩最決平 25 年 11 月 11 日裁判集刑 312 号 7 頁、⑩最決平 27 年 2 月 3 日裁判所時報 1621 号 1 頁、⑩最決平 27 年 2 月 3 日裁判所時報 1621 号 4 頁。 ( ながた・けんじ ) 確化を図り、死刑適用に関する客観的な一般的基準が判 例上定着しつつあるところである」としている ( 最決平 20 年 2 月 20 日判時 1999 号 157 頁 ) 。 4 ) 1 つの事件において、被告人が複数の場合も 1 件と して計上している。 5 ) 被殺者通算 2 名事例は、無期懲役の仮釈放がほとん ど認められなくなって無期懲役が事実上終身刑化したこ とにより、近時あまり見受けられなくなっている類型で あることに留意する必要がある。 6 ) 例えば、殺人罪と過失致死罪は死の結果は等しいが、 行為者の主観面が異なるため、法定刑が大きく異なって いる ( 刑法 199 条、 210 条昭 ) ー彡い、 0 7 ) 最判昭 50 年 10 月 3 日刑資 216 号 422 頁。 8 ) 最判昭 55 年 4 月 25 日裁判集刑 217 号 607 頁、最判昭 56 年 6 月 26 日裁判集刑 222 号 663 頁。 こうした状況は、ドメスティック・バイオレンスや、 異常な環境における強度の「支配一被支配の関係」の下 でも生じうる。死刑が回避された一例として、最決平 23 年 12 月 12 日判時 2144 号 153 頁。 10 ) 最判平 18 年 6 月 20 日裁判集刑 289 号 383 頁。 11 ) 最判昭 28 年 6 月 4 日刑集 7 巻 6 号 1251 頁、最判昭 58 年 7 月 8 日刑集 37 巻 6 号 609 頁、最判平 8 年 9 月 20 日刑 集 50 巻 8 号 571 頁、最判平 11 年 12 月 10 日刑集 53 巻 9 号 1160 頁。 12 ) ①最決平 20 年 2 月 20 日判時 1999 号 157 頁、②最決平 20 可第扁メモ - 一人でする仕事 事項の処理を構成員のうち一名に委任すること ) で弁論 判事補は特例が付くまで単独事件をもっことができな 準備手続期日や和解期日を担当することがある。もとよ いので ( 裁判所法 27 条 1 項、判事補の職権の特例等に関 り、社会の耳目を集める重大事件や複雑困難な事件を判 する法律 1 条 1 項 ) 、一人で事件処理をする機会は少な 事補が一人で担当することはまずないが、手頃な事件で い。同期の弁護士や検事と集まって話をすると、彼らは あれば、 2 年目、 3 年目の判事補が一人で期日入ること 一人でどんどん事件をこなしているようであり、自分よ は往々にしてある。普段横で見ている裁判長の訴訟指揮 りも随分たくましく見える。 を真似て何とか期日を取り仕切ろうと努力しても、当事 もっとも、判事補も例外的に一人で事件処理を任され 者・代理人の予想外の反応にうろたえることも多く、や るケースがある ( 以下は民事を念頭に置いた話である ) 。 はり訴訟指揮は難しいものだと痛感させられる。 証拠保全はその中でも代表的なものである。事案として 一人で事件処理をするときは、普段と違って緊張し、 は、診療録を保全するため、病院で検証を実施するケー 失敗して落ち込むことも多いが、それだけ終わった時の スが多い。それなりの規模の病院であれば、対応も慣れ 充実感は得難いものがある。特に、当事者・代理人の説 たものであり、ほとんど揉めることはないが、裁判所と 得に成功して和解をまとめることができた場合などは、 違って誰かに助けを求めることはできないので、毎回緊 喜びもひとしおである。特例が付いて単独事件を処理で 張しながら現場に赴いている。興味のある方には、東京 きるようになる日を見据えて、着実に力を蓄えていきた 地裁証拠保全研究会「証拠保全の実務』 ( 金融財政事情 研究会 ) を一読されることをお勧めする ( 物語編は読み し、。 物としても秀逸である ) 。 また、合議事件において、単独受命 ( 合議体が法定の
120 LAW FORUM ローワォーラ 4 最新立法インフォメー ション 日公認心理師法 [ 平成 27 年 9 月法律第 68 号 ] 略し、 3 日衆・本会議趣旨説明の後 同日同委員長提出、委員会審査を省 国会 ) 衆・文部科学委において起草、 [ 審議経過 ] 2015 年 9 月 2 日 ( 189 政令で定める日 ( 2015 年 9 月 16 日 ) から 2 年以内で [ 施行期日 ] 一部を除き、公布日 ける。 る受験資格等について経過措置を設 する。⑤既存の心理職資格者等に係 を用いた名称を使用することを禁止 理師の名称または心理師という文字 る。④公認心理師でない者が公認心 を受けなければならないこととす 係る主治医があるときは、その指示 関する支援を要する者に当該支援に 連携を保たなければならず、心理に って医師、教員その他の関係者との 課するとともに、業務を行うに当た 失墜行為を禁止し、秘密保持義務を する。③公認心理師について、信用 資格を有する者に対して試験を実施 および厚生労働大臣 ) が一定の受験 について、主務大臣 ( 文部科学大臣 心理師として必要な知識および技能 うことを業とする者をいう。②公認 状態の観察、その結果の分析等を行 心理に関する支援を要する者の心理 る専門的知識および技術をもって、 の他の分野において、心理学に関す を用いて、保健医療、福祉、教育そ は、登録を受け、公認心理師の名称 [ 趣旨・内容 ] ①「公認心理師」と 心理専門職の国家資格 9 日参・本会議可決、 8 日趣旨説明および質 可決、全会一致。 9 月 7 日参・文教 [ 審議論点 ] 成立、全会一致。 疑の後可決、 科学委付託、 化の意義等 国会 ) 井坂信彦議員他 5 名提出、同 [ 審議経過 ] 2015 年 5 月 26 日 ( 189 月 16 日 [ 施行期日 ] 一部を除き、 2015 年 9 備のための施策を講ずる。 の多様化の推進その他雇用環境の整 的地位への登用等の雇用管理の方法 の就業形態の設定、採用および管理 が不当に妨げられないよう、労働者 望する雇用形態により就労すること がその意欲と能力に応じて自らの希 む措置等を講ずる。⑤国は、労働者 図り、 3 年以内に法制上の措置を含 遇および均衡の取れた待遇の実現を 容、責任の程度等に応じた均等な待 される労働者との間において業務内 を講することにより、派遣先に雇用 用等の待遇についての規制等の措置 教育訓練の実施、福利厚生施設の利 派遣労働者について、賃金の決定、 その他の施策を講ずる。④政府は、 者の待遇に係る制度の共通化の推進 働者および通常の労働者以外の労働 にするため、事業主が行う通常の労 相違が不合理なものとならないよう う。③国は、雇用形態による待遇の 待遇の相違等について調査研究を行 務の相違および賃金、教育訓練等の ②国は、労働者の雇用形態による職 て行われることを基本理念とする。 ることを可能とすること等を旨とし の従事する職務に応じた待遇を受け 労働者が、雇用形態にかかわらずそ じた待遇の確保等のための施策は、 [ 趣旨・内容 ] ①労働者の職務に応 [ 平成 27 年 9 月法律第 69 号 ] 関する法律 確保等のための施策の推進に 労働者の職務に応じた待遇の 日衆・厚生労働委付託、 27 日趣旨説 明、 29 日、 6 月 2 日、 10 日および 12 日質疑、 19 日修正議決、同日衆・本 会議討論の後委員長報告のとおり修 正議決、民主、共産、生活、社民反 対。 7 月 8 日参・厚生労働委付託、 14 日趣旨説明、 8 月 18 日、 19 日およ び 9 月 1 日質疑、 8 日質疑および討 論の後可決、 9 日参・本会議討論の 後可決、成立、民主、共産、社民、 生活等反対。 [ 審議論点 ] 労働者の職務に応じた 待遇の確保のための具体的な方策、 衆議院における修正の趣旨等 勤労青少年福祉法等の一部を 改正する法律 [ 平成 27 年 9 月法律第 72 号 ] [ 趣旨・内容 ] ①題名を「青少年の 雇用の促進等に関する法律」に改め る。②公共職業安定所は、一定の労 働関係法令違反の求人者からの求人 の申込みを受理しないことができ る。③学校卒業見込者等を条件とす る募集を行う者は、青少年の適職の 選択に資する情報を提供するように 努める。また、募集に応じる者等の 求めに応じ、当該情報を提供しなけ ればならない。④中小企業の事業主 について、青少年の職場への定着の 促進等に関する取組等の実施状況が 優良なものであること等の基準に適 合する旨の認証制度を創設する。⑤ 国は、無業青少年に対し、職業生活 に関する相談の機会の提供、職業生 活における自立支援施設の整備等の 措置を講ずるように努める。⑥職業 生活設計の策定等を支援するキャリ アコンサルタントの登録制度を創設 する。⑦国は、労働者の職務経歴等 記録書 ( ジョブカード ) の様式を定 法学セミナー 2016 / 01 / no. 732
2016 [ 目 Contents 法学セミナー ( ) 日本評論社 2016 年 1 月 1 日発行毎月 1 回 1 日発行通巻 732 号 1956 ( 昭和 31 ) 年 4 月 12 日第 3 種郵便認可 VOL61-01 ISSN 3-3 四 5 集 ] [ 特別企画 ] 死刑の論点 表現の自由の今 開かれた政府と 死刑事件の手続 執行方法からみた死刑の残虐性 死刑存廃論の系譜と展開 グローバルな視点から見た死刑制度 永山基準は葬り去られたのか 死刑の基準 あなたは、死刑を言い渡しますか ? 田歳の君に ・石塚伸ー ・・永田憲史 ・寺中誠 ・前田朗 ・・正木幸博 ・笹倉香奈 022 028 035 040 046 012 052 世界の開かれた政府と・ 表現の自由、 情報の自由の今 ・・ディビッド・バニサー
021 【主な死刑関連図書】 向江璋悦『死刑廃止論の研究』 ( 法学書院、 1964 年 ) 、正木 亮『現代の恥辱ーーわたくしの死刑廃止論』 ( 矯正協会、 1968 年 ) 、永山則夫「無知の涙』 ( 合同出版、 1971 年、〔角 川文庫版〕 1973 年、〔河出文庫版〕 1990 年 ) 、三原憲三「死 刑廃止の研究』 ( 第三文明社、 1980 年 ) 、丸山友岐子『逆恨 みの人生ー一死刑囚・孫斗八の生涯』 ( 社会評論社、 1981 年 ; 〔改題版〕『超闘 ( スーパー ) 死刑囚伝ーー孫斗八の生涯」 社会思想社・現代教養文庫、 1993 年 ) 、菊田幸一『死刑 ーーその虚構と不条理』 ( 三一書房、 1988 年 ; 〔新版〕明石 書店、 1999 年 ) 、永山則夫『永山則夫の獄中読書日記ーーー 死刑確定前後』 ( 朝日新聞社、 1990 年 ; 河出書房新社、 1998 年 ) 、団藤重光「死刑廃止論」 ( 有斐閣、〔初版〕 1991 年 ; 〔第 6 版〕 2000 年 ) 、佐伯千仭・団藤重光・平場安治「死刑 廃止を求める」 ( 日本評論社、 1994 年 ) 、ロべール・バダン テール・藤田真利子訳「そして、死刑は廃止された』 ( 作 品社、 2002 年 ) 、布施勇如「アメリカで死刑を見た』 ( 現代 人文社、 2008 年 ) 、堀川惠子「死刑の基準 - ーー「永山裁判」 が遺したもの』 ( 日本評論社、 289 年 ) 、永田憲史「死刑選 択基準の研究』 ( 関西大学出版部、 2010 年 ) 、福井厚編著「死 刑と向きあう裁判員のために』 ( 現代人文社、 2011 年 ) 、堀 川惠子『裁かれた命ーー一死刑囚から届いた手紙』 ( 講談社、 2011 年 ) 、中川義秀『少年死刑囚』 ( インパクト出版会、 2012 年 ) 、堀川惠子『永山則夫ーー - 封印された鑑定記録』 ( 岩 波書店、 2013 年 ) 、森達也「死刑ーー -- ・人は人を殺せる。で も人は、人を救いたいとも思う」 ( 朝日出版社、 2008 年 ; 〔角 川文庫〕 2013 年 ) 、井田良・太田達也『いま死刑制度を考 える』 ( 慶応大学出版会、 2014 年 ) 、堀川惠子『教誨師』 ( 講 談社、 2014 年 ) 1 ) 詳しくは、下記のサイトを参照。 www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo—s/news/senkyo/ senkyo_nenrei/ 2 ) 「ものしり博士」は、 1961 年 4 月 6 日から 1969 年 4 月 5 日まで NHK 総合テレビで毎週放送された子供向けの 番組。司会進行は「ケベル先生」と呼ばれる、眼鏡をか けて額の禿げた学者然とした老人の人形 ( マペット ) で 熊倉一雄が声を担当し、科学や歴史、日常的な疑問を、 子どもにもわかりやすく解説した。 3 ) 詳しくは、法務省のサイトを参昭 www.moj.go.j p / conten レ 000 開 3697. p df 4 ) 詳しくは、最高裁判所のサイトを参照。 www.saibanin.courts.go.」 p/introduction/how to choose. html 5 ) 覚せい剤取締法は、営利目的輸入・輸出・製造につ いては「無期又は 3 年以上の懲役、情状により 10 開万円 以下の罰金併科」 ( 第 41 条 2 項 ) としている。したがって、 第 2 号事件である。これについては、成田空港のある千 葉地裁と関西空港のある大阪地裁堺支部の受理件数が突 出しており、無罪率が高い。 6 ) 裁判員裁判の実施状況については、最高裁の下記の 7 ) 「刑法」 ( 明治 40 年 4 月 24 日法律第 45 号 ) j youkyou. html www.saibanin.courts.go.jp/topics/09 12 05-lOjissi_ サイトを参照。 は、 1907 年 [ 特集引死刑の論点 4 月に制定され、 1908 年 10 月から施行された。 8 ) 主な改正点は、下記の 7 点である。①皇室に対する罪、 外患罪の一部、安寧秩序に対する罪、姦通罪などが廃止 された。②公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、特別 公務員暴行陵虐、暴行、脅迫、名誉毀損、公然わいせつ、 わいせつ物頒布等の各罪の法定刑が引上げられた。③暴 行罪が親告罪ではなくなった。④重過失致死傷罪が新設 された。⑤名誉毀損罪に事実の証明に関する規定が新設 された。⑥刑の執行猶予のできる範囲が拡大された。⑦ 刑の消滅に関する規定が新設された。 9 ) いわゆる「最高裁尊属殺人違憲判決」 ( 最大判 1973 〔昭 和 48 〕年 4 月 4 日刑集 27 巻 3 号 265 頁 ) である。 10 ) 1995 年の「刑法の一部を改正する法律』 ( 平成 7 年 5 月 12 日法律第 91 号 ) によって刑法 200 条は削除された。 11 ) 「爆発物取締罰則』 ( 明治 17 年 12 月 27 日太政官布告第 32 号 ) および「決闘罪ニ関スル件」 ( 明治 22 年 12 月 30 日 法律第 34 号 ) である。 12 ) 「航空機の強取等の処罰に関する法律』 ( 昭和 45 年 5 月 18 日法律第 78 号 ) 、「航空の危険を生じさせる行為等の 処罰に関する法律』 ( 昭和 49 年 6 月 19 日法律第 87 号 ) お よび「人質による強要行為等の処罰に関する法律』 ( 昭 和 53 年 5 月 16 日法律第 48 号 ) である。 13 ) 『組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する 法律』 ( 平成 11 年法律第 136 号 ) および『海賊行為の処罰 及び海賊行為への対処に関する法律』 ( 平成 21 年 6 月 24 日法律第 55 号 ) である。 14 ) ただし、これには、東京裁判で執行された 7 人の A 級戦犯などは入っていない。 15 ) 認知件数とは、被害届や告訴・告発、通報などによ って、警察等の捜査機関によって犯罪の発生が正式に受 理された件数をいう。認知件数と実際の発生件数との差 を暗数という。意図してか、せざるかは別として、犯罪 には必然的に暗数がある。 16 ) 警察統計における凶悪犯罪とは殺人、強盗、放火お よび強姦である。 17 ) 各年次の犯罪情勢については、警察庁が「〇〇年の 犯罪情勢」として、そのとりまとめの結果を発表してい る。ただし、刑法犯の定義が犯罪白書とは異なる。 https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/h24hanzaizyou sei. pdf 18 ) 長勢甚遠 ( 10 人 ) 、鳩山邦夫 ( 13 人 ) 、森英介 ( 9 人 ) 、 谷垣禎一 ( 11 人 ) などの自民党の法務大臣が、歴代の法 務大臣に比べても突出して、積極的に執行命令書に判を 署名した。これと比べると民主党の法務大臣は、執行に は謙抑的であった。 3 年 3 か月で 9 名の死刑を執行して いる。 19 ) 静岡地決 2014 〔平成 26 〕年 3 月 27 日判時 2235 号 113 頁。 20 ) 「免田事件」熊本地裁八代支部判 1983 ( 昭和 58 ) 年 7 月 15 日判時 1090 号 21 頁、「財田川事件」高松地判 1984 ( 昭 和 58 ) 年 3 月 12 日判時 1107 号 13 頁、「松山事件」仙台地 判 1984 ( 昭和 59 ) 年 7 月 11 日判時 1127 号 34 頁および「島 田事件」静岡地判 1989 ( 平成 1 ) 年 1 月 31 日判時 1316 号 21 頁の 4 つの死刑再審無罪事件である。 ( いしづか・しんいち )
事実の概要 113 及び国際航空運送についてのある規則の統一に関す X ( 乗客 ) は、 Y 航空会社との間で、日本国羽田 る条約 ( 以下、モントリオール条約 ) 17 条 1 項に基 空港を出発地及び到達地、アメリカ合衆国ホノルル づき、損害賠償として、治療費、慰謝料、弁護士費 空港を予定寄航地とする、旅客の航空運送契約を締 用の合計 423 万円余りの支払いを求めている。なお、 結し、同契約に基づき、 Y の航空機により平成 23 年 X は、平成 25 年 1 1 月 1 日、本件請求にかかる調停を 8 月 24 日に羽田空港を出発、同日ホノルル空港に到 申し立て ( 不成立 ) 、翌年 2 月 13 日に本件訴訟を提 着した。また、 X は、平成 23 年 9 月 22 日又は 23 日頃、 起した。モントリオール条約 35 条 1 項は、いかなる ホノルル空港を出発し、日本国に到着した。 損害賠償請求権も ( 同 29 条参照 ) 、到達地への到達 X は、往路便に搭乗中、便所を使用するために座 の日、航空機が到達すべきであった日又は運送の中 席から立ち上がったところ、本件航空機が傾くなど 止の日から起算して 2 年の期間 ( 以下、出訴期間 ) したため転倒して頭部を本件航空機の床に激しく強 内に訴えが提起されない場合は、それが消減すると 打し、中心性頸椎損傷等の傷害 ( 全治 7 か月 ) を受 規定している。 けた旨主張して、 Y に対し、債務不履行、不法行為、 [ 東京地判平 26 ・ 12 ・ 2 判タ 1414 号 329 頁 ] カ觝触するかが争われた。具体的争点は、①出訴 モントリオール条約 35 条の解釈。 期間の起算点はいっか、②出訴期間の法的性質論 ( 時効期間か除斥期間か ) 、③ 35 条の適用を排除す 請求棄却①「本件出訴期間の起算点は、遅くと る特段の事情論と本件の適合性であった。判例集 も平成 23 年 9 月 23 日である」。「本件条約 35 条 1 項 に公刊された唯一の先例である、大阪地判平 24 ・ は、本件出訴期間の起算点として、到達地への到 12 ・ 12 判タ 1398 号 314 頁は、①につき、本件裁判 達の日・・・と明確に規定しているのであって、これ 所と同様、症状固定日を起算点とする解釈を退け、 を航空機内の事故によって生じた傷害の症状固定 条約文言通り、到達日等が起算点になるとし、② 日と解釈することは」できない。また、② X は、 については、本条の前身である、ワルソー条約 29 本件出訴期間の法的性質は時効期間であるとも主 条の採択会議における議論の経緯、その後の議論 張するが、「本件条約においては、出訴期間の中 状況を踏まえて判断し、結論、本件裁判所と同 卩断又は停止事由を定める規定はなく、これを時効 様、中断期間は予定されていない条項であるとし 期間と解釈するのは困難であ」る。なお、③本件 て、時効期間説を排除し、③については、期間満 において「出訴期間・・・経過までの間に、本件訴訟 了前から損害賠償交渉が継続してきた事実をとら の提起が困難であったということはでき」ないか えて、 35 条の適用を否定すべき特段の事情を認め ら、 35 条の適用を排除すべき特段の事情の存在も た。 ②の理解につき、加盟各国の議論状況も一様で 認めることはできない。 なく、 ドイツ、英米など、諸外国の判例学説の大 わが国が加盟する 1999 年モントリオール条約 多数が、中断・停止を認めない、日本法にいう除 ( 2g3 年批准 ) は、自動執行力がある商事条約と 斥期間に近い理解を採る一方、フランスでは、時 効期間と解されているという ( 増田史子・リマー して、締約国間又は一締約国を発着地とする国際 クス 50 号 105 頁 ) 。わが国の学説も対立し、時効期 ( 航空 ) 運送の旅客等と航空運送人との間の権利 義務関係を直接的に規律する ( 条約 1 条参昭 ) 間と解し、中断及び停止については法廷地の法に よるとする説 ( 藤田勝利編「新航空法講義」 183 同条約は、旅客の死傷損害につき、 11 万 ~ 184 頁〔藤田勝利〕、坂本昭雄「国際航空法論」 3100SDR までの無過失責任と、それを超える部分 263 頁と、中断及び停止を認めない除斥期間と解 について運送人が無過失を立証すれば免責される する説 ( 小町谷操三「空中運送法論〔増補版〕』 過失推定責任とを定め ( 二層制の責任。 17 条 1 項、 199 ー 200 頁、江頭憲治郎「商取引法〔第 7 版〕』 21 条 1 項 2 項、 26 条 ) 、旅客死傷損害にも ( 手荷物、 329 ー 330 頁、 359 頁、増田・前掲 105 頁 ) があり、 貨物と同様 ) 運送人の責任上限を設定する従来の 今日では、後者が有力と思われる。本判決の①② ワルソー体制 ( 1929 年ワルソー条約・ 1955 年ハー の解釈論は、支持することができる。なお、③の グ議定書等 ) に比して、旅客の保護に厚い。本件 理論に対しては、要旨、屋上屋の議論であり、不 では、請求金額上、前者の無過失責任が追及され 要・不当との異論も学説に唱えられている ( 増田・ たが、国際運送にかかる損害賠償の訴えは、すべ 前掲 105 頁。なお、松井秀征・ジュリ 1474 号 122 頁 て同条約の定める条件及び責任限度に従ってのみ 提起することができる関係で ( 29 条 ) 、同条約の も乱暴な解釈論とする ) 。 法学セミナー ( どき・たかひろ ) 定める条件の一つ、出訴期間の制限に、本件訴え 2016 / 01 / n0732 国際航空運送人の損害賠償責任にかかる出訴期間の制限 最新判例演習室ーー商法 裁判所の判断 中京大学教授土岐孝宏
2016P1 OUGAKU Seminar ( ) 日本評論社 16 年 1 月 1 日発行毎月 1 回 1 日発行通巻 732 号 1 戸 56 ( 昭和 31 ) 年 4 月 12 日第 3 種郵便認可 VOL61-01 鼈集 ] 法学セミナ 一死刑の論点 歳の君に あなたは、死刑を言い渡しますか ? 石塚伸ー 死刑の基準 -- ー・一永山基準は葬り去られたのか 永田憲史 グローバルな視点から見た死刑制度 寺中誠 死刑存廃論の系譜と展開 前田朗 執行方法からみた死刑の残虐性 正木幸博 死刑事件の手続 笹倉香奈 4 0 徳市立文圭館 160940930 ー [ 特別企画 ] 開かれた政府と 表現の自由の今 ディビッド・バニサー ーカ切 ロー・シャ 最高裁判所大法廷での再婚禁止期間と 夫婦同氏強制制度に関する 2 つの訴訟の弁論を傍聴して フリーランス表現者 43 人による特定秘密保護法違憲訴訟 ーーー東京地裁判決 2015 年 11 月 18 日 憲法判例再読ーー他分野との対話・・ 薬局開設距離制限事件 ( 薬事法事件 ) プラスアルフアについて考える基本民法 取引的不法行為 株式会社法の基礎募集新株予約権の発行手続と株主の救済策 小竹聡 林克明 山本真敬・小石川裕介 武川幸嗣 久保田安彦 [ 連載
LAW JOURNAL ロー・ジャーナル 002 整理券 対峙し、原告の一人の小国香織さんの「司法の場に 訴えたのは、政治にはもう絶望したからです」との 気迫のこもった弁論を皮切りに、 5 名の弁護士が、 次々に、それぞれの論点について、わかりやすい言 葉で法律論を繰り広げた 1 ) 。中でも特に心打たれた のは、ある女性の弁護士 ( 寺原真希子さん ) が、「想 像してみてください。明日、ご自身が姓を変更しな ければならないとしたら、どう思うでしようか」と 傍聴人と裁判官全員に呼びかけたことである。法廷 内において、個々の裁判官に向かって、例えば、あ なたは結婚するとき、氏の選択で悩みませんでした かなどと語りかけることは、禁問中の禁問なのかも しれないが、その場に居合わせた者全員に対して、 自分の問題として受け止めるきっかけとなるような 問いを発することは、問題の意味を深く考察する機 会を改めて提供する、大きな心理的効果があったよ うに思われる。各人の心の中を覗くことはできない けれども、裁判官諸氏にも、何がしかの訴える力を 持っことができたものと期待したい。その答えは、 もうすぐ明らかになる。 四大法廷のロタンダの真上には、大きな丸天井が ある。やわらかな光の差し込むこの天井を通じて、 日本の最高裁は世界につながっていると信じたい。 ここでのやり取りは、情報通信のネットワークを通 じてすぐに海外に伝わることであろう。また、国際 人権に関わる各種委員会も、来たるべき判決につい て、その内容を注視しているに違いない。今回の 2 平成 27 年 11 月 4 日 つの訴訟では、日本という国の人権度が問われてい る。離婚と再婚に伴う子の嫡出推定の重複の可能性 をこの物第人は常に物行してくださいい は、理論的には、どこの国でも生じうる現象である。 最高裁判所 DNA 鑑定があるにもかかわらず、嫡出推定の重複 当選者に配布される傍聴券 を避けると称して、女性にのみ再婚禁止期間を設け しばある一傍聴人にとっては、何とも言えすつらい る日本の制度は、社会の実情にも合わず、弊害すら 語られることも多い中で、もはや合理性が失われて ものがあったということだけをここでは記したい。 午前の法廷では、上告人側の弁護人は 1 名だけ、 いるのではないか。結婚という新しい人生の門出に これに対して、被上告人の国側には 10 名が着席して 際して、両当事者の姓をどうするかという諸国に共 いた。私の隣に座った学生は、「不公平ではないの 通する問題の解決策として、夫婦同氏強制制度に ですか」と感想を述べたが、国家権力を相手に裁判 だわり、現行制度の合憲性を支持してその存続に手 に挑むということは、あらゆる資源を握っている相 を貸すことは、諸外国ではおよそ理解できない、結 手と戦う容易ならざる企てであるということを、 婚時にどちらか一方の当事者に氏の変更を強いなけ れば家族の一体感が弱まるとの意見ー「家」意識の のことは目に見える形ではっきりと示している。 れに対して、午後の法廷では、榊原富士子弁護団長 残存を色濃く反映するイデオロギーーにお墨付きを を初めとする上告人側の 10 名の代表が国側の 10 名と 与えることになるのではないか。 21 世紀の世界にお 平成 27 年ⅱ月 4 日 48 にの番号が抽選番号です。 ) ※この整理券で傍聴することはできません 6 ※当選者は , この整理券と引換えに傍聴券の交付を受 けてください。 裁コ所 傍聴希望者に交付される整理券 N 0 . 抽選結果が公示される 傍 聴券 大法迂聴席図 ※この鋼物人・は第に第行してくださし、 最高裁判所 傍 聴券 匚こ 日いロ ここ「こに 日い こ新田を誕 : 蓮「 8 日い口 EE 薩新じこ宿こ いむリい紐ⅱ に田 ( : こにに 二凱「こ ! : こ : ここ い名 0 第ⅱ こにこここに いい日い 平成 27 年 11 月 4 日 あなたの 例第人は 大法廷傍聴図 こ江こ匚こ匚こ こロ匸江〔ここロこ に工ここここ圧にこ こ江こ E ここ窺こ 鰤幻目日 こ週こに匸こ こにこここ こここ正新こ 新新 E こここ あなたの 傍人席は
事実の概要 110 が 10 日未満の場合における公判期日の調書は、当該 公判期日後 10 日以内 ( 判決を宣告する日までの期間 刑事訴訟法 48 条 1 項によれば、刑事訴訟での公判 が 3 日に満たないときは、当該判決を宣告する公判 期日における訴訟手続については、公判調書を作成 期日後 7 日以内 ) に整理されるべきことを規定する。 しなければならない。公判調書につき刑事訴訟法 48 条 3 項は、原則として「各公判期日後速かに、遅く 当該規定が、憲法 31 条の適正手続保障規定を侵害す とも判決を宣告するまでに整理されなければならな る形で、弁護人から最終弁論前に公判調書を謄写す い」とし、判決を宣告する公判期日の調書は当該公 る機会を奪うものであると主張し、上告。 判期日後 7 日以内、公判期日から判決日までの期間 [ 最ー小決 2015 ・ 8 ・ 25 LEX / DB 文献番号 25447426 ] 公判調書整理期間を規定する刑訴法条 1 項の合憲性 最新判例演習室ーーー憲法 解説 公判調書の整理期間を定めた刑事訴訟法 48 条 3 現行刑訴法は、被告人の反対尋問権保障を旨と する伝聞法則に立脚して公判外供述を排除し、公 項は、憲法 31 条に違反するか。 判の当事者主義に基づく公判中心主義から出発し 「現行刑訴法は、争点を中心とする充実した審理 たはずであったが、実際の公判審理は形骸化し、 調書裁判化を遂げてきた。かような見地から、公 を集中的・連続的に行うため、できる限り、連日 開廷し、継続して審理することを目指しており ( 同 判審理活性化の契機として裁判員制度を評価する 法 281 条の 6 第 1 項 ) 、検察官、被告人又は弁護人 声もある。裁判員法成立にあわせて追加された刑 訴法 281 条の 6 は、裁判員の拘東期間短縮による による証拠調べ後の意見陳述についても、意見と 負担軽減という面のみからではなく、ますは、公 証拠との関係を具体的に明示して行うとともに、 判で形成される直接心証を重視し、それが時間経 証拠調べ後できる限り速やかに行うことが求めら 過により損なわれないよう配慮しつつ審理の集中 れている ( 刑訴規則 211 条の 2 、 211 条の 3 ) 。 制を担保する当事者主義促進規定として捉えられ れは、公判調書が未だ整理されず閲覧謄写するこ るべきである。公判の開廷間隔が狭められること とができない段階においても、公判廷で直接取り により、公判審理は書面への過度の依存から離れ、 調べた証拠に基づいて意見陳述をすることが可能 結果的に従来の調書裁判化傾向に歯止めがかかる であることを前提としているものといえる。一方、 可能性もある。かような認識に基づき、本件決定 公判調書は、検察官、被告人又は弁護人による訴 は、調書の未整理段階でも公判廷で直接得た証拠 訟活動の準備のために実務上有効な機能を果たす に基づき意見陳述できると述べ、弁護人の訴訟活 場合があることから、各公判期日後、速やかに 動準備のために果たされる実務上有効な機能とい れを整理することが求められている。しかし、正 う価値よりも、集中審理の実現という価値を優越 確な公判調書を作成し整理するに当たってはある させたのではないか。 程度の日時を要することは避けられないところ、 しかし、論告や最終弁論の起案に際して、公判 そのために集中審理の実現が妨げられるというこ 調書が弁護人にとって重要な資料となり、その結 とは刑訴法の想定するものではない。同法 48 条 3 果被告人の防御権が充実する場合が少なくないこ 項は、これらの事情を考慮し、公判調書の整理期 とを踏まえれば、「審理の集中性」が常に優先さ 間を規定したものである。このような刑訴法等の れるべきとすることには違和感を覚える。また、 規定を統一的に解釈すれば、同法 48 条 1 項により 本決定が公判調書の「本来の目的」のひとっとし 公判調書を作成する本来の目的は、公判期日にお た「訴訟手続の公正の担保」という観点からみれ ける審判に関する重要な事項を明らかにし、その ば、公判調書は、刑訴法 52 条により公判期日にお 訴訟手続が法定の方式に従い適式に行われたかど ける訴訟手続の公正性をめぐり排他的証明力を付 うかを公証することによって、訴訟手続の公正を 与されており、適正手続保障と「直接関係のない 担保することや、上訴審に原判決の当否を審査す 事項」とはいえない。しかし、調書の整理期日の るための資料を提供することなどにあると解され 上限を 7 日と定める刑訴法 48 条 3 項但書は、控訴 る。そうすると、上記の公判調書を作成する本来 趣意書 ( 提出期間 21 日間 ) や上告趣意書 ( 同 28 日 の目的等を踏まえ、公判調書を整理すべき期間を 間 ) による手続規定違反の主張を妨げるものでは 具体的にどのように定めるかは、憲法 31 条の刑事 ないため、憲法 31 条違反とはいえないということ 裁判における適正手続の保障と直接には関係のな 法学セミナー ( あそう・たもん ) にはなろう。 い事項である」 2016 / 01 / n0732 裁判所の判断 鳴門教育大学准教授麻生多聞
<LO 判 、冫三八 00 円 ( 打政去 髙木光著 初学者むけに、基本事項を説明。行政救済法を中 、いに、行政組織法と行政作用法の関連事項にしばって叙述する <()O 判 一七〇〇円 新基本民法 6 不法行為編 大村敦志著◎法定債権の法事務管理・不当利得・不法行為を 扱う。「救済 ( あるいは責任 ) の法」としての再構成を試みる。 は 格 <LO 判 価 、冫四 000 円 刑事訴訟去 法学教室連載「刑事手続法を学ぶ」に大幅加筆。 閣酒巻匡著 刑事手続諸制度の趣旨・目的と、法解釈論の筋道を丁寧に解説。 〔別冊ジュリスト〕 ニ八〇〇円 ミ【有民事訴訟法判例百選第 5 版 民事訴訟法の理解に不可欠 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編 な最重要判例を精選、簡潔・的確に解説した決定版。 法 1956 ( 昭和 31 ) 年 4 月 12 日第 3 種郵便物認可 2016 年 1 月 1 日発行 / 毎月 1 回 1 日発行通巻 732 号 本第掲載記事の無断転載を禁じます。 編集者 = 柴田英補発行所 = 株式会社日本評論社〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3-12-4 / 電話 : 03-3987-8611 ( 代表 ) / 振替 : 0018-3-16 く ( 社 ) 出版者著作物管理機物委託出版物 ) 本誌の無断複写は著作権法上での例外を除き第じられています . 複写される場合は、そのつど事前に、 定価 ( 本体 1400 円 + 税 ) JCOPY ( 社 ) 出版者著作物管理機宿 ( 話 03 ・ 3513 ・ 6969 、 FAX 03-3513 ・ 6979 、 e ・ m : info@jcop第 0 p ) の許第を得てください . また、本誌を代行 業者等の第三者に依頼してスキャニング等の行物によりデジタル化することは、個人の家庭内の利用であっても、 - 切認められておりません . 〒 101-851 東京都千代田区神田神保町 2-17 / Tel:03-3265-6811 http://www.yuhikaku.co.jp/ ◎ 民法・刑事訴訟法改正法案織込み条文収録 / 」」色刷分冊 ) 発 目 月 有斐閣判例亠ハ去 8 版 、冫 2 年五四〇〇円 書 Professional 編集代表 山下友信・中田裕康・山口厚・長谷部恭男 ・収録法令三九九件 ・収録判例約一三四〇〇件 ■判例付き法令四ニ件 + 行政法総論・租税法総論 国際平和支援法、リべンジボルノ防止法、有期雇用 労働者特別措置法等。 個人情報保護法、公職選挙法、 マイナンバー法、労働者派遣法、特許法、不正競争防止法等。 * 付録全国裁判所管轄区域表、印紙税額・登録免許税額一覧表。 * 別冊総合事項索引・事件名索引・判例年月日索引 ・本書購入者特典として用アプリを優待価格にて提供。 ・条名の傍線で改正条がひと目でわかる 新刊案内 0 主な改正 ー判例 六法 有斐 民ま・第・第第正ま第 : : 第込み第文収銀 0 戸大学 神戸大学大学院法学研究科では様々な特色あるコース 平成 28 年度学生募集と教育プログラムを提供しています。 大学院入試説明会 Kobe LL. M. コースでは全ての 授業を英語で提供し、国際ビジ ネス法の専門家として活躍でき 12 月 18 日 ( 金 ) Kobe LL. M. る人材を育成しています。 GMAP ⅲ Law 15 : 0 0 ( 申込不要 ) 13 : 3 0 研究者コース専修コース社会人コース 早期に研究者・高度専門職業人を目指す方のために政治学・基 16 ・ 30 (Kobe LL ・ M ・ ) 15 : 0 0 礎法学だけでなく民法をはじめとする実定法学についても博士 前期課程 ( 修士課程 ) 教育を提供しています ( 博士前期課程へ 神戸大学法学部 の入学には法科大学院の修了を要しません ) 。また社会人大学 ′、 4 一台キャン・ノ立ス第 ! 学・全院生の修学支援のために長期履修制度を設けています。 出願期間平成 2 8 年 1 月 1 2 日 ~ 平成 28 年 1 月 1 8 日 問い合わせ先法学研究科教務係 078 ( 803 ) 7234 入試日程平成 28 年 2 月 27 日 ~ 平成 28 年 3 月 1 日 神戸市バス 36 系統鶴甲団地行六甲台正門前下車具体的な日時はコースによって異なります。募集要項を参照してください。 募集要項の内容は http://www.law.kobe-u.ac.jp/prospective-gs.html で確認することができます。入学願書は郵送で請求してください。 雑誌 08069 ー 01 〒 6 5 7 - 8 5 0 1 神戸市灘区六甲台町 2 ー 1 T E L 0 7 8 ( 8 0 3 ) 7 2 3 4 F A X 0 7 8 ( 8 0 3 ) 7 2 9 2 http://www.law.kobe-u.ac ・ jp/ 4 9 1 0 0 8 0 6 9 0 1 6 8 0 1 4 0 0