" 英米法研究 で審理できないという。司法審査適合性訟は、当事者の対立構造を前提とし、事することが、制度として考えられる 連邦民事訴訟規則では、「権利とし は、公共政策上の紛争は裁判所ではな実上の損害 ( 注、起因、救済可能とい く、政治過程を通じて解決するという趣う 3 要件が、訴訟開始においてだけでなての訴訟参加 ( 注」と「裁判所の裁量 く、訴訟の継続中もその要件を満たすこに基づく訴訟参加 ( 注色」とを規定して 旨であるにもかかわらず、法廷意見は民 いる。さらに、裁判所は連邦又は州の政 主的選挙の結果を州が授権した代表が擁とで、政治部門の権限を簒奪しないよう 護することを認めない。 に連邦の司法権援用の要件を規定してき府の職員又は機関の訴訟参加を認める ( 注だけでなく、連邦法や州法につい 法廷意見はイニシアティヴ手続の基本たという ( 注只。 一般的に、制定法の合憲性を争う訴訟て違憲の主張がなされた場合に、合衆国 的前提、主権に基づく直接民主制の優位 において、違法だと主張するのは、法律や州が当事者ではない場合に合衆国法律 を理解していない が適用された結果として個別具体的な損集第篇は、裁判所は合衆国 ( 注色若し 害を被った、あるいは、適用される蓋然くは州 ( 注貯 ) に訴訟参加を許可し、証拠 性が非常に高く、しかも適用されたならの提出、合憲性についての主張を認めて ーば個別具体的な損害を被ることが確実いる。連邦控訴手続規則では、合憲性 な、若しくは、適用される結果として権に疑義が表明されたならば、司法長官若 利や自由、法律上の利益の実現が妨げらしくは州の司法長官にその事実を通知す 当事者適格と訴訟参加 れる人であり、合憲であると防御に務める ( 注ことになっており、既に述べた 合衆国最高裁は、連邦の裁判所の裁判るのは政府という構造になる。ところ 28 U. S. C 2403 に対応する 権行使について、歴史的に司法過程を通が、政府が訴訟で制定法の合憲性を支持これらの規定からは、合衆国の大統領 じて問題を解決できると理解されているしないと宣言し、要請された書面は提出は ( そして、それぞれの州知事も ) その 紛争に限られている ( 注ことを強調しするが、訴訟に「直接関与しない、法誠実執行義務 ( 注的 ) から制定法に対する てきたが、 現在のような当事者適格の法律の防御に務めないという立場を明らか違憲の主張があれば、たとえ訴訟当事者 理は、行政国家の出現、公共の利益に合 にしたならば、争点は適切に主張されなでなくとも積極的に訴訟に関与し、自ら いので、裁判所は判断するのに必要な情その法律の合憲性を防御する責務が導き引 致するような行政法の履行を実現する私 的司法長官の法理、そして、公共訴訟と報を得ることができない。そこで、政府だされるが、大統領や州知事、司法長官の 法 不可分であり、比較的最近確立した ( 注以外の主体が訴訟参加して制定法は合憲たち自身が「その法律は違憲」と判断し、 。合衆国憲法第 3 篇 2 項の事件、争であると政府の代わりにその利益を主張防御しないという事態は想定していない 四研究
地方公共団体の公務員 ( 以下「州 , とい 又は、イニシアティヴを無効とする判決推進派による裁量上訴の申立ては、第第 を上訴する義務のある公務員が義務を果Ⅱ修正平等保護条項がカリフォルニア州 う。 ) を、連邦地方裁判所に訴えた。州 は、「提案 8 」を遵守しつつも、法廷にたさない場合に、擁護し、上訴することに対して、婚姻を男性と女性のユニオン おいて積極的にその合憲性を主張しなかを可能にするイニシアティヴの有効性にであると定義することを禁止するかどう引 かと「提案 8 」の合憲性を争い、被上訴の った ( 注 6 ) 。州が積極的に原告の主張を対する個別具体的な利益、又は、イニシ 法 争わないことから、地方裁判所は「提案アティヴの有効性についての州の利益を人となる原告はかって同性カップルの婚 8 」について承認し、州裁判所での「提主張する権限があるかどうか」について姻を承認していた州がレファレンダムを 通じてその決定を覆すことができるのか 案 8 」訴訟において訴訟参加人となったの意見確認を求めた ( 注リ。州最高裁は、 ProtectMarriage.com ( 注 7 ) が連邦裁判本件で個別的な利益があるかどうかは判が争点であると主張した。 所の訴訟に訴訟参加を申し立てたとこ断せずに、一般論として、州法は、有権 ろ、当事者からの反対がなく、連邦民事者の承認したイニシアティヴを争う訴訟 訴訟規則についての 4 要件 ( 注 8 ) を満た において通常は防御し、上訴する公務員三判〕日 すと、人々 ( 以下「推進派」という。 ) ( 注がしない場合にはイニシアティヴ推進派 9 ) の訴訟参加を認め、推進派は、「提案が訴訟に登場し、その有効性に関する州 8 」合憲の主張を展開した。地方裁判所の利益を主張し、無効とした判決を上訴 判断 は、「提案 8 」を違憲と宣言し、州とそすることを認めていると述べた ( 注リ。 の監督下にある公務員にその執行を禁止この判断に依拠し、第 9 巡回区裁判所最高裁は 5 対 4 で、本件に関し、推進 した ( 注四。 は、州にはその利益の主張者を決定する派には当事者適格はないと判断した。 州は地方裁判所の命令を上訴しなかっ主権者としての特権があるので、推進派ロバ 1 ッ首席裁判官が法廷意見を表し、 たが、第 9 巡回区裁判所は、訴訟参加人が連邦法においても当事者適格があるとスカリア、ギンズバ 1 グ、プライヤ 1 であった推進派による上訴に対し、「第判断した ( 注リ。本案に関しては、 Romer ケ 1 ガン裁判官が同調した。ケネディ裁 3 編の当事者適格要件に照らし、却下さ v. Evans 判決 ( 注に依拠し、権利と義判官の反対意見に、トーマス、アリ 1 ト、 れるべき」ではないことの説明を求め、務を認めながら婚姻に関する正式な承認ソトメイヨ 1 ル裁判官が同調している。 さらに、州最高裁に「州憲法第 2 篇 8 節、を剥奪することは州の正当な利益を促進 その他州法の下で、推進派には、イニシしないので、「提案 8 」は平等保護条項 に抵触すると判断した。 アティヴ採択後にその合憲性を擁護し、
権はない。原審判決を破棄し、裁判管轄断している ( 注 ) 。イニシアティヴ推進た後の推進派の義務や権利について明示 権の欠如から上訴を却下するようにとい派は限定され、同定可能であり、身元は的に規定していないが、成立後の司法手 公表されており、その関わりは実質的で続において州の利益を主張する推進派の う指示とともに、事件を差し戻す。 あって、法案の目的と機能を理解してお権限について判断するのは州の役割であ引 の り、当裁判所が口を出す問題ではない。 り、訴訟結果に利害関係があり、熱心な 律 3 ケネディ裁判官による反対意 法 主張もできることを考えるならば、促進法廷意見は、推進派と州政府との結び 見の要旨 派に州の具体的実質的継続的損害に関つきが不十分であるというが、推進派と 州政府との立場が抵触する場合、長所か 上訴人の当事者適格が連邦法上の争点し、連邦の裁判所において救済を求める であることは法廷意見、州最高裁の指摘権限を認めるべきであり、州法についてもしれない。先例 ( 注も正式な代理関 の通りであるが、本件における司法判断の州最高裁の解釈は、当裁判所を拘東係を要求していはいない。 法廷意見のアプロ 1 チは、例えば刑事 適格性の問題は、イニシアティヴ成立後し、その判断を退ける根拠はなく、第 3 篇の司法判断適格性の要件は満たされて裁判所侮辱調査と訴追に関する私人代理 に裁判所においてそれを防御するため、 いる。他の州においてもカリフォルニア人の任命 ( 注芻 ) 、合衆国を代理する刑事 訴訟参加するイニシアティヴ推進派の地 裁判所侮辱訴追における私人代理人の任 州と同様の判断がなされている ( 注訂 ) 。 位と権限をどのよ、つに規定しているかと いうカリフォルニア州法の問題である。 法廷意見はカリフォルニア州をはじめ命 ( 注、 qu 一 m 訴訟 ( 注肪 ) 、 nextfriend とする州におけるイニシアティヴ制度訴訟 ( 注、株主代表者訴訟 ( 注芝など 州法では、州公務員が拒否したならば、 推進派は成立したイニシアティヴを防御の基本と現実を理解しておらず、第 3 篇といった訴訟の仕組みと両立しない。 する権限があり、それはイニシアティヴの司法判断適合性や争訟性の要件をイニれでは、代表者による訴訟の裁判管轄の シアティヴ推進派が裁判所でその主張を起訴に関する長年の理解は揺るがされ、 手続と一体不可分であるとみなされてい 地方裁判所の判決に対する上訴は実質的 るが、法廷意見はそれだけでは連邦法上展開する障壁にすべきではない。 の要件を満たさないという。州最高裁判地方裁判所の判断の結果、州は第 3 篇にできなくなる。 司法審査適合性の主要な目的は真摯な 所は意見確認の求めに応じて、成立後のの要件を満たす具体的な損害を被った。 司法手続に関する推進派の権利と地位に州がこの判決を争わない場合、連邦の裁主張を確保することであるにもかかわら ついて、州の公務員が合憲性を主張しな判所において州の利益を代理する州法上ず、法廷意見のアプローチでは防御に熱 心ではない州の公務員の訴訟遂行を奨励 い場合にはイニシアティヴの有効性に関の権限の所在を確定することが必要とな して州の利益を主張する権限があると判る。州選挙法はイニシアティヴが成立しする。しかも、地方裁判所の判断を上訴
ー英米法研究 れた Straus 事件においても、その後、 十分「沸騰」するまで待っことも、 ( ア 当事者主義に基づく対立構造 連邦の裁判所に合衆国憲法違反と提訴さ ミーカス文書のように ) 利害関係のない の形式と実態、そして、合衆国 第三者からの様々な見解や情報の提供を れた Pe 一事件においても、合衆国憲法 最高裁判所の判断の在り方 を支持するという義務があると説明し、 認めることも、そして、場合によっては 「提案 8 」は違憲という立場をとった ( 注 当事者が適切な主張をしないときに当当事者のようにふるまう参加人の関与を が、州法の防御を執行府以外に認め事者ではない人々の積極的な訴訟参加を承認することも、より多くの情報を得る ことでより間違いの少ない判断に到るこ ることには反対せず、州法の最終的な判認めつつ、同時に、直接利害関係がない 断については、州であれ、連邦であれ、 人は当事者として認めないという本件判とができるという実質的な要請に応える 裁判所に委ねている。 断について、矛盾しているのではないか態度であるとみることができる。入口も 州の執行府が積極的に州法の合憲性をという反応も理解できないわけではな含め、枠組みをしつかりと守ることで、 自制的な司法権の行使という立場をとり 主張しない、あるいは、違憲であると判い。が、対立した当事者構造を通じて、 断した場合 ( そして、しない場合にも ) 、 つつも、実際に判断するときには最善の 実際には争点が存在しない馴れ合い訴訟 州法の合憲性を主張する役割は、立法府を排除することの重要性、当事者主義と判断をするため、積極的な情報収集を行 ( 注、第 ( 注、他の執行府のメンバ 1 いう仕組みに基づく制度としての要請が う必要があるという判断はわかりやす 、 0 三者の訴訟参加 ( 注、さらには州法のあることを踏まえ、一旦、適切に対立す 規定に従い、指定された役職 ( 州務長官る当事者の存在が認定できたならば、そ 原審には裁判管轄権がないという判断 や州司法長官、顧問局あるいは、州議会の後の実質的な争点の審理を保障するた とともに原審に差し戻すという判決 ( 注 議長 ) などに認められており、様々な仕めの工夫が必要とされているとみると、 に対し、「破棄自判ーという選択肢は 組みで、訴訟において争点が曖味になら論理一貫している。裁判所は、他の統治ないのかという疑問をもたれる読者もい ないような工夫がなされている ( ようで機構とは異なり、受動的な機関であつると思われる。おそらくこれは、現在の ある ) 。州の公職者を指定している場合て、争点に関する議論は基本的に当事者合衆国最高裁判所の「誤判審 cou ofer- を除くと、これらの規定が、法廷意見のの主張に限定されるが、それでは裁判所 ror 」ではないという自己認識と密接に 想定するように当事者としての公的役割が賢明な判断をするのに必要な情報が適関わっているが、同時に、第 9 巡回区裁引 があり、州の代理と認定される要素を備切に提供されないかもしれない。 ( 合衆判所が指示に従って上訴人には適格性がの えていると見なせるのか、疑問である。 ないという判断を下すことによって、地法 国最高裁判所の裁量上訴受理において ) 巡回区間の抵触の有無を重視し、議論が方裁判所において形式的に被告であった
険判例研究 金請求権は破産財団に属する財産である と主張し、に対し、本件共済契約に基 づき、本件共済金及びこれに対する遅延 損害金の支払を求めた。 は、これに対し、以下の理由から、 本件共済金請求権が、破産法条 2 項の 将来の請求権に属することは明らかであ るとする >< の主張に疑問がある旨主張し ①生命保険の解約返戻金については、 それが貯蓄性を持っ契約である場合、破 産手続開始時までに支払われた保険料が 解約返戻金支払の基礎となっていること 【第 1 事件】 一事件の概要 札幌地方裁判所平成年 3 月四日判決 から、解約返戻金は破産財団に組み入れ られるものと考えられる。これに対し、 ( 平成年 ( ワ ) 第 2703 号 ) 第 1 事件 本件共済契約は、いわゆる掛け捨てタイ 【第 2 事件】 東京高等裁判所平成年 9 月日決定 プの契約であって、貯蓄としての性格は 事案の概要 ( 平成年 ( ラ ) 第 1817 号 ) 持っていない。 訴外破産者 < が破産手続開始決定前に 冖原審〕 生活協同組合との間で疾病入院特約付②退職金についても、賃金の後払いの 東京地方裁判所平成年 8 月 6 日決定きの生命共済契約 ( 以下「本件共済契約」性格を有することから、破産手続開始時 ( 平成年 ( フ ) 第 2749 号 ) という。 ) を締結していたところ、破産までに雇用されたことによる部分につい 手続開始決定後に < が疾病の治療のためては、破産財団に組み入れられるのは当 入院し ( 合計肪日間、以下「本件共済事然であると考えられる。これに対し、破 故」という。 ) 、疾病入院共済金 ( 合計産手続開始後の稼動による賃金について引 は、破産財団を構成することはない。他の 万 8000 円、以下「本件共済金 , とい う。 ) が発生した。 < の破産管財人は、方、共済契約の掛金は月払いが原則であ法 本件共済事故に基づき発生した本件共済り、掛金の払込みがなされなければ共済 第回 保険判例研究会 破産手続開始決定前の保険契約について同 - 決定後に保険事故が発生した場合における 保険金請求権の破産財団への帰属の有 酒井優壽 ( 弁護士 ) 」
英米法研究 て、州憲法と選挙法により、イニシアテ株主訴訟の株主要件とは区別される。 2 ロバーツ首席裁判官の法廷意 イヴ過程における独自の役割が認めら Arizonans for 0 ョ c こ English v. と・ 見の要旨 れ、署名を集め、投票にかけるための手 zona 判決 ( 注 % ) では、イニシアティヴ 合衆国憲法第 3 篇は連邦裁判所の司法続をし、選挙公報記事に関与することがを無効とする地方裁判所の判断 ( 注に 権を実際の「事件」又は「争訟」に限定できることを指摘するが、一旦提案が承対し、州知事は上訴を断念し、イニシア 認されたならば、その執行には関与しな ティヴ推進団体が代わりに上訴した。第 している ( 注 ) 。訴訟開始時において、 、 0 9 巡回区裁判所は州議会に準じると判断 そこで、上訴人は、州の代わりに州 原告は、被告に責任がある問題の行為ま でかなりの程度遡ることができる具体的の利益を援用する立場にあると主張すした ( 注が、当裁判所はその当事者適 かっ個別的な損失を ( 現在進行形で ) 被る。例外的に第三者の権利救済を主張で格分析の問題性を指摘した ( 注四 ) 。本件 においても上訴人は州の代理人として権 っており、有利な裁判所の判断をもってきる場合であっても、当事者が事実上の 救済される蓋然性が高いことを立証する損害を被っていること ( 注邑、裁判所に限を付与されたという認定はなく、代理 ことが必要であるため ( 注間 ) 、鋭い対立おいて認識できる利益があること ( 注人の要件も満たさない。 連邦の裁判所において司法権の発動を があるというだけでは第 3 篇の要件を満が要件であり、事実上の損害を被ってい たさない ( 注リ。 ない上訴人は第三者の利益侵害を主張す求める際の第 3 篇の要件は権力分立体制 における司法府の役割という重要な利 るための要件を満たしていない。 当事者適格は、権力分立のため ( 注 ) であり、現実の紛争要件は訴訟の全ての本件では州最高裁が上訴人に当事者適益、裁判所が司法権以外の権限行使拒否 と民主的社会における裁判所の役割の尊 段階で必要とされている ( 注四 ) ので、上格があるという意見を述べたことから、 この意見確認を求めた原審も上訴人の当重を促進するのであって、州が連邦の裁 訴を求める場合にも要件となる ( 注。 本件の場合、地方裁判所において敗訴事者適格を認めた。しかし、州には違憲判所における当事者適格を変更すること した当事者ではなく、訴訟参加した上訴と判断された「提案 8 」の合憲性を主張はできない。 当裁判所は、州公務員等が州法の合憲 人だけが上訴したが、 上訴人には、結果する利益がある ( 注が、上訴人は、州 に直接の利害関係はなく、地方裁判所の議会両院議長 ( 注のように公職にもな性を防御しないときに私人が防御する当 ば ろ 命令を覆すという利益は一般的に適用さく、州が代理として指定 ( 注する司法事者適格をこれまで認めたことはない。 れる州法の合憲性の正当性を証明するこ長官などのように州と公的関係にはな上訴人は、地方裁判所の判決に対する上の とだけである。 : 反対意見が列挙する qui m 訴訟、訴の適格性を立証できなかったので、第法 9 巡回区裁判所には上訴を審理する管轄 上訴人はイニシアティヴ推進派とし本人が訴えられない場合の next end 、
( 注。そのとき訴訟参加人がいなけれ れ、それぞれが執行権限を分担行使して 2 制定法を防御する執行府の義 ば、違憲の主張を争う当事者がいないの いることである。とくに州司法長官は、 務 ( 注訂 ) で争点とはならず、当事者の合意に基づ 連邦の司法長官と同じように、議会に立 いて問題の制定法は違憲ということにな連邦政府に関するかぎり、執行府に制法や州の機関に予定された行動について引 る。 定法の合憲性を防御する義務があるのか助言し、文書で意見を表明し、訴訟におの 法 制定法の合憲性について、当事者が十どうかについては、①合衆国憲法遵守 ( 注いて当事者となり、あるいは、当事者と 分な議論や検討もせずに合意することが と制定法に関する誠実執行 ( 注のなった機関の代理をするだけでなく、私 ないよう、訴訟参加は、制度上は裁判所義務と法の支配に照らし、常にある ( 司人、連邦政府や他の州公務員に対する訴 の裁量の対象となっている。連邦にも、法府による憲法判断の優位 ) 、②合理的訟を開始することができる。 州にも、訴訟参加の機会が与えられてい な主張が可能であるかぎりある、③歴史合衆国憲法第 6 篇 ( 注 ) は連邦法が至 る。それにもかかわらず、まして、連邦と先例 ( 注からすると、執行府には制高であると述べるだけでなく、州の裁判 や州が訴訟当事者であり、訴訟において定法の合憲性に関して独自の判断権限が官を拘東すると規定し、州の立法府だけ 制定法の合憲性について主張する役割をある ( 憲法解釈に関する部門主義 ) のででなく、執行府のメンバ 1 は、宣誓又は 果たすことが期待されているにもかかわ裁量権行使の対象であると、議論を分類確約によって憲法を支持する義務を負っ らず、その役割を十分に果たそうとしなできる。しかし、州法に関する州執行府ている。裁判官は「拘束ーされるが、執 いとき、熱心に訴訟を遂行することが期の防御義務についての議論は、その統治行府のメンノー ヾ 1 よ支持するという宣誓に 待できる推進派に法律を防御する任務を構造と運営実態の多様性から統一的な説「拘束」されるという違いは、執行府も 委ねること、争点を明らかにし、十分な明が難しい ( 注 ) のかもしれなしカ : 、、ほ独立した解釈権を行使し得るという説を とんどないとい、つ ( 注 ) 。 議論を展開することは、裁判所の審理に 裏付けるよ、つにも読める ( 注。 おいて妥当な選択肢である。だが、通常 州の統治構造において特記すべきは、 州知事等、州の執行府は、この憲法遵 の当事者適格の議論からすると、裁判所多くの州においては、大統領を副大統領守義務には、憲法の規定に関し、独立し の裁量の結果認められた訴訟参加人が当と一緒に選出する連邦の執行府と異なた、独自の解釈の可能性を含むと理解 事者適格を満たすのは困難である。 り、執行府自体が知事、副知事、司法長し、州法を訴訟において防御しない根拠 官、州務長官など直接あるいは間接選挙として援用している。「提案 8 」に関し により選出され、あるいは、知事や議会ていうならば、州司法長官は、 2008 の指名を受けた複数の人々により構成さ年に州最高裁判所に州憲法違反と提訴さ
えを行うことも可能であるところ、破産頁 ) は、傍論部分において、保険金請求産が破産財団に帰属するか否かの判断に 手続開始決定が、破産者から財産管理処権が自由財産に属する旨の破産者の主張関わるものではない。 分権を剥奪してこれを破産管財人に帰属を前提として、破産者の当事者適格を否 ろ させるとともに破産債権者の個別的権利定できないと判示したものにすぎない ひ の 行使を禁止するもので、破産者の財産にしたがって、の主張は採用できない。 ニ研究 律 法 対する包括的差押えの性質を有すること②生命保険金請求権が、死亡事故が発 に鑑みると、その効果が抽象的保険金請生するまでは具体化する確率の極めて低 両事件の意義 い権利であり、受取人変更の余地もある 求権に及ばないと解すべき理由はない。 第 1 事件は、破産手続開始決定後に保 したがって、破産手続開始決定前に成立不安定な権利であることなどを考慮して した保険契約に基づく抽象的保険金請求も、破産手続開始時において、将来の発険事故が発生した場合の保険金請求権が 権は、「破産手続開始前に生じた原因に生が予想され一定の財産的価値をもっこ破産財団に属することを明確に判示した 基づいて行うことがある将来の請求権」とは否定できないのであって、これを破ものである。この結論は、破産法及び保 ( 破産法条 2 項 ) として、破産手続開産債権者のための配当財源とすることが険法の学説上の通説的見解に基づくもの であるが、判例上は必ずしも明らかにさ 始決定により「破産財団に属する財産 , 合理性を欠くものということはできない。 ( 同法 156 条 1 項 ) になるというべき③本件保険金請求権が「破産手続開始れていなかった。このため、実務上重要 である 前に生じた原因に基づいて行うことがあな意義を有するものであるといえる。 また、第 2 事件は、第 1 事件と判断内 2 また、の主張については、以下のる将来の請求権」であると解される以 上、破産手続開始決定により「破産財団容を同じくするものであるが、これを明 とおり判示した。 に属する財産」になるのは当然のことで確に判示した上級審における初めての裁 ①の引用する最高裁判決 ( 最三小判 昭和年 9 月日民集巻 8 号 1652 あって、これをもって固定主義や免責主判例であり、第 1 事件と同様の意義を有 頁 ) は、保険事故により具体化した保険義の趣旨に反するということはできないする。 なお、第 1 事件との比較では、第 1 事 金請求権の発生時期が、保険事故発生時し、被保険者である < の意思に反するか か損害賠償額の確定時かが問題となった否かを考慮する余地もない。そして、破件が保険契約者と保険金受取人が同一人 事案であって、抽象的保険金請求権の発産者の経済生活の再生の機会の確保を図であったのに対し、第 2 事件は保険契約 ることは破産制度の目的の一つである者と保険金受取人が別であり、破産者が 生時期について判示したものではない。 が、これは自由財産の拡張の決定におい保険金受取人であるにすぎなかった点に また、の引用する高裁判決 ( 大阪高判 平成 2 年Ⅱ月日判タ 752 号 216 て考慮、対応すべき事柄であり、当該財違いがある
Ⅱ場合の当事者適格という観点から、州と 会子 連邦とを問わず、より一般的な連邦の裁 雅一はじめに ー判所における当事者適格に関する判断と 法 い、つことかできる 谷 2 0 0 8 年、カリフォルニア州で成立 念紙 した州憲法修正提案「プロポジションⅡ 性 夬原擲 1 人ー」… 岡教 8 」 ( 以下「提案 8 」という。 ) の合憲性ニ事実の概要 ロ 一部 日ー学 ~ を争う連邦裁判所での訴訟において、原Ⅱ 争 告の主張を認めて違憲と判断した第 1 審 6 、 . 第ー大 2 0 0 8 年、カリフォルニア州最高裁 判決を被告である州が上訴しなかった場 事適 は、正式な婚姻を異性カップルに限定す 究 3 習合において、州ではなく、第 1 審におい 学 て訴訟参加した「提案 8 」推進派が上訴るのは州憲法平等保護条項に違反すると る事 人として適格性を有するかについて、合判断した ( 注 3 ) 。同年Ⅱ月、本件で争わ 法す当判 衆国最高裁は、州最高裁の意見確認結果れている「カリフォルニア州では男性と 米第定す高 とは異なり、当事者適格がないと判断し女性との間の婚姻だけが有効であり、承 夫方最 認される」という「提案 8 」が州民投票 か満曲 、′ 0 手 本件は同性カップルの婚姻を禁止するにより州憲法修正として成立した ( 注 法を健 州法修正のための州民投票の合憲性を争 4 ) 。州最高裁は修正に関する手続上の う事例であるが、合衆国最高裁は裁量上瑕疵はなく、適切に成立したと判断し ( 注 国衆 訴申立てを受理するに当たり、「上訴人 5 ) 、「提案 8 」は公的な婚姻承認を州憲 合 にー件において憲法第 3 篇第 2 節の当法上の問題としたが、それ以外の権利義 衆 事者適格があるか」について論じるよ務を変更するものではないと述べた う、指示 ( 注 2 ) し、結局、 5 対 4 で、本原告は、「提案 8 」が合衆国憲法第Ⅱ引 件に関し、上訴人に当事者適格はないと修正のデュ 1 ・プロセス条項と平等保護の 判断した。上訴における当事者適格とい条項に抵触すると主張し、州法執行に責法 う問題に関し、執行府が上訴を断念した任のある州知事、司法長官、その他州と邱
保護し得る利益の主張、③訴訟の結果が利益を損ない 州にはもう一度適法な上訴をする機会が ( 注 ) 得ること、④他の当事者がその利益を適切に主張して 与、んられているとい、つことも指摘する必 ( 1 ) Hollingsworth v. pe 「言 33 s. ct. 2652 ( 2 日 3 ). いないことが要件とされている operry v. Schwarzeneg- 0 ( 2 ) Hollingsworth v. peny, 133 S. Ct. 786 ( 2012 ). 要がある。 g . NO. C09 ー 2292 VRW. 289 U. S. Dist. LEXIS 55594 ( 3 ) ln re Marriage cases. 43 C . 4th 757. 183 P. 3d ろ 本件と一緒に判断された United States ひ at 5 ー 6 (). D. C . Jun. 30, 289 ). 384 ( 288 ). の v. W1ndsor 事件 ( 注では、大統領も司 ( 9 ) Dennis Ho 三 n 窃 wo ュ h. Gail ト不】 ight, Martin F. ( 4 ) C 巴 . const. A . I, 57.5. 法長官も積極的に DOMA の合憲性を主 Gutierrz, Hak¯Shing 1 ミ三 am Tam, Mark A Jansson, ( 5 ) strauss v. Ho ュ on. 46 C 巴 . 4th 3 望 . 207 P. 3d 48 張しなかったが、形式的に上訴すること ProtectMarriage.com 力、 2009 年 6 月日以降、 ( 289 ). によって、本件とは異なり、上訴人の当 被告側訴訟参加人として列挙されている。 ( 6 ) イニシアティヴ段階で「提案 8 」に反対していた 事者適格についての形式的な問題を克服 州司法長官は、当初、防御すると述べていたにもかか ( ) perry v. 704 F. Supp. 2d 921 (N. し、同時に、裁判所の裁量により訴訟参 D. Cal. 2010 ). わらず、裁判所に提出した書面では、非常に重要な正 加が認められた BLAG を通じて、本件 当性根拠なく、基本的な憲法上の権利を剥奪すると述 ( Ⅱ ) perry v. Schwarzenegger, 628 F. 3d n91 ( 9 Cir. 2011 ). の地方裁判所での審理と同じように、提べ、違憲という判断を明らかにした。誇ュ n 。 Shaw, ( ) perry v. Brown, 52 C 巴 . 4 1116. 265 P. 3d 182 起された争点に関する充実した議論を真 c まミミき一きを states, 114 COLUM. L (cal. 2011 ). 摯に展開するため、訴訟の対立構造が実 . 2 一 3 , 238nn. 118. 三 ( 20 】 4 ). 7 ) 2000 年に成立した「提案 8 」と同じ文言の州 ( ) Pe コ yv. Brown. 671 F. 3d 1052 (9th Cir. 2012 ). 質的に実現されていると最高裁は判断 ( 法イニシアティヴ「提案」、別名「カリフォルニア ( Ⅱ ) Romer v. Evans. 517 U. S. 620 ( 1996 ). し、その結果、「 DOMAS3 は違憲」とい 婚姻保護法 california Ma ュ品 0 p 「 0 ( 00u0n ActJ を防 ( ) 第 3 篇第 2 節において、事件 ( 0 窃 ) は、①コモ う実体判断を下した。すると、本件の「破 ン・ロー 、エクイティを問わず、連邦法上の問題の場 御するため、 2002 年に結成された伝統的な婚姻を 棄、原審への差戻し」という判決は、本 合、②外交使節などにかかわる場合、③海事法にかか 推奨し、同性カップルの婚姻に反対することを目的と 案の審理判断を求める手段として、上訴 わる裁判管轄の場合に、争訟 (controversies) は、④ する州非営利法人を中心とする複数の団体で構成され 人となるよう州の関与を促しているので 複数の州の間、⑤州と他の州の市民との間 ( 第Ⅱ修 る緩やかな運動体で、「提案」に基づく州法が州憲 はないかという推測が成り立つ。州が形 正 ) 、⑥異なる州の市民の間、⑦異なる州により授与 法に抵触するとの判断 ( 注 3 ) をきっかけに、州憲法 式的な上訴人となるならば、推進派の積 された土地に関する同じ州の市民の間、⑧州又は市民 修正推進へと運動方針を転換し、 2008 年 4 月には と外国、外国の市民、臣民の間について用いられてい 極的な関与を通じて実質的に争点の明確 112 万 0 8 01 の署名とともに、「提案 8 」をイニ るが、「事件」と「争訟」それ自体を区別してはいな シアティヴ手続にかけるよう請願した。 化を実現し、適切な本案審理を実現でき るとい、つ道筋の可能性を一小したよ、つに ( 8 ) Donne11y v G = 。 kn 】目 59F. 3d 405 , 409 (9th Ci 「 1998 ). 第 9 巡回区では、①申立の時期、②有意義な われる。 ( ) Lujan v. Defenders of Wildlife. 504 U. S. 555 , 58 ー