特集スポーツ振興の未来ー法的立場からみた課題と紛争解決 日本バスケットボール協会に対する制裁 ( 資格停止処分 ) が解除されるまでの経緯 ハナンス改革のスキーム作りは当然なが トップリーグが最初に行ったのは 日、入会審査結果を発表し、ほば全チー ら、その実装のための調査 ( 資料分析、各種デ 1 タの収集と検討である。新たなム ( 入会申込みのあった町チームのうち 関係者ヒアリング、実地調査等 ) 、実行 リーグ統一の道筋を検討するには、関係チーム ) の入会を承認した。これによ 案の作成・翻訳、実行に当たっての関係法人の実態を把握することが必要であって、トップリ 1 グの作業の第一段 者への連絡・告知等のやりとりに加えり、そのためには、まずは各法人の財務階が完了した。 以下、リー グ統一の過程で検討したい て、タスクフォース会議 ( 計 6 回 ) の開状態を把握すべきであると考えた。 そこで、第 1 回のタスクフォ 1 ス会議 くつかの点について詳述する 催に際してはアジェンダ・配付資料・プ レス 1 グ運営 丿丿ース資料等の作成、会場確保との後、筆者らは直ちに、リー 設営、メディア対応等、さらには、会社、、運営団体に加え ②リーグ統一の基本スキーム < が負担することとなるタスクフォ 1 スて、リ 1 グ及び、に 1 グ統一のスキ 1 ムに関しては、当 関連費用の管理まで、多岐に及んだ。ま所属する全チ 1 ムに対し、 3 期分の財務初は、を運営する法人とリー た、タスクフォースの活動は、基本的に デ 1 タ ( 貸借対照表、損益計算書、税務グ運営会社が当事者となって組織再編 その組織 と情報・認識を共有しながら進申告書等 ) の提出を依頼し、これを検討 ( 合併・事業譲渡等 ) を行い、 める必要があったが、その日本側窓口をするとともに、あわせて、両リ 1 グの関再編後の法人が新リ 1 グを運営するとい 筆者らが務める必要も生じた。 係者、チ 1 ム代表者に対するヒアリングう手法をイメージしていた しかしながら、この二つのリーグは、 も実施した。そして、その過程で、 以下、①トップリ 1 グ及び②ガバ ナンスの活動について述べる。 グを統一するためのスキームとしては、競技規則や試合運営のルール、審判制 度、選手に関する規則 ( 移籍制度やサラ 新リ 1 グ運営法人を立ち上げ、既存リー リ 1 キャップ ) 等のレギュレーションが グに所属するチ 1 ムが既存リーグを退会 2 トップリーグの活動 した上で、新リーグに入会するという方異なるため、その調整には相当の時間を トップリーグの活動の概要 要すること、また、それぞれに異なるス 法を採るしかないと判断した。 ポンサーを抱えているため、権益の調整 トップリ 1 グの活動の目的は、併トップリ 1 グは、平成年 4 月 1 存する二つの男子リーグを一つに統一す日、新リ 1 グ運営法人である一般社団法にも時間を要することが明らかであっ ることであった。トップリ 1 グは、 人ジャパン・プロフェッショナル・バスた。また、・」リー グの資本金は約億 丿ーダーを川淵三郎チェアマン、サプリ ケットボ 1 ルリ 1 グ (hæCQ-a) を設立円であるが、創設後川年間の累積損失がろ 1 ダ 1 をスコット・ダ 1 ウインし、 4 月末日までに全チ 1 ムの入会届を約億円近くに上ったため、組織再編にの セントラルボ 1 ドメンバ 1 ) とし、境受領し ( 既存リーグに退会届を提出して向けて、その事業価値の評価額を合意す法 田もそのメンバ 1 となった。 いることを入会の条件とした。 ) 、 5 月末ることにも相当な時間がかかることが予 4
んでいないはずであるが、 リ 1 グの権益 想された。さらに、リ 1 グ運営法人が前 3 新リーグ設立等の具体的手順 = = ロの断打、つ」 ~ は、リ . ー グが各所属チ等の調整ができずリーグ運営法人の同意 前記スキ 1 ムを具体的に検討し始めて が得られなければ、その結果は必然とな 1 ムの同意を得るという手順も必要と思 る。そのように考えたとき、自らあるい すぐに、両リ 1 グの規約上、チ 1 ムがリば われた。このような事情を勘案すれば、 ろ ひ 1 グを退会するためには、「参加しない 6 月までの短期間で、両リ 1 グの組織再は法人の利害関係者の権益を第一に考え の シーズンの開幕月 ( 注【通常は 9 月か川律 編についての条件を定め、両リ 1 グの合ざるを得ない ( 注 7 ) リーグ運営法人に、 法 ハスケットボ 1 ル界の将来を委ねてよい月 ) が属する年の前年の 6 月末までに」 意を得ることが困難であることは明らか であった。 のかという疑問が生じ、そうではなく、 退会届を提出することが必要であるこ そこで、川淵チェアマン及び筆者らこの将来選択は、バスケットボール界をと、すなわち、 2 016 年川月からのシ 1 ズンに新リ 1 グを開幕するためには、 は、リーグという事業を運営する運営法支える基盤であり日本代表として活躍す 人とその事業とを切り離し、事業のみをることになるであろう選手やファン、こ両リ 1 グに所属するチームが 2015 年 れらを身近で支えるチームの判断に委ね 6 月末までにリーグに退会届を提出する 新たに設立するリ 1 グに移転すること、 リーグ運営法人は所必要があるということが判明した ( 逆に すなわち、 丿ーグの事業を構成するバスるべきではないか、 ケットボ 1 ルチ 1 ム ( その運営法人 ) を属するチームの選択を尊重すべきではな一言えば 2015 年シーズンからの開幕は いか、との考えに行き着いた。 不可能ということでもあった。 ) 。タスク 既存のリ 1 グから切り離し、新リーグに 前述したチ 1 ム代表者に対するヒアリフォースのリーグ統一のスケジュールも 帰属させるという手法をとることとし ングを通じて、筆者らは、ほとんどのチ考慮すると、筆者らは、両リーグ所属チ 1 ムには 2 015 年 5 月末までにリーグ ームが新リーグに参加してくれるであろ このリ 1 グ運営法人とチ 1 ム運営法人 に退会届を提出してもらうことが必要で 、つという確信も得ていた。 を切り離すという手法を選択した背景に 他方、チームが新リ 1 グに参加しなあると考えた。 は、次のような考えもあった。すなわち、 、すなわちリーグ統一に賛成しない、 そしてさらに、チームの立場に立て 6 月までにリーグ統一ができなければ、 日本代表チ 1 ムがリオ五輪の予選に出場という判断を万が一行うのであれば、そば、「新リ 1 グ」というリ 1 グ戦の受け できないどころか、日本のバスケットボれが日本バスケットボ 1 ル界の選択であ皿がない状態で既存リ 1 グに退会届を出 り、制裁が解除されないという結論も受すという判断はできないのではないか、 ール界が国際社会から隔離された状態が 続き、 2020 年東京オリンピックへのけ入れざるを得ないであろうという思いまた、リーグ統一というに与え られた課題に対する回答としては、新リ 出場も危ぶまれることになる。そのようもあった。 ーグの「成立」という結果を— < に な結論は日本バスケットボ 1 ル界のみな 示すべきではないかと考え、そのために らず、スポーツを愛する国民の誰もが望
特集スポーツ振興の未来ー法的立場からみた課題と紛争解決 スポーツ庁の設置とスポーツ紛争解決に関する今後の施策 争解決手続についてのスポ 1 ッ団体の ずるものとした。 ( 公財 ) 日本スポーツ仲裁機構に委託し 理解の増進その他のスポーツに関する て「中央競技団体のガバナンスの確立、 スポーツ基本法 紛争の迅速かっ適正な解決に資するた 強化に関する調査研究」を実施した。本 めに必要な施策を講ずるものとする。 事業の目的は、中央競技団体 (z;æ) が 第五条スポーツ団体は、スポ 1 ツの普 目指すべきガバナンス強化の方向性を確 及及び競技水準の向上に果たすべき重 さらに、平成年 3 月に策定されたス定し、また、ガバナンスを強化、確立し 要な役割に鑑み、基本理念にのっと ポーツ基本計画においても、今後 5 年間たを正当に評価できるためのガイド り、スポーツを行う者の権利利益の保 に取り組むべき政策課題の一つとしてラインを策定することである。そして、 護、心身の健康の保持増進及び安全の 「ド 1 ピング防止やスポ 1 ッ仲裁等の推翌年 3 月には、本事業の成果物として 確保に配慮しつつ、スポ 1 ツの推進に 進によるスポ 1 ツ界の透明性、公平・公 「組織運営におけるフェアプレーガ 主体的に取り組むよう努めるものとす正性の向上」が設定され、その施策目標イドラインのガバナンス強化に向 る。 けて 5 」 ( 以下「ガイドライン」という。 ) として「スポ 1 ッ団体と連携し、スポー 2 スポーツ団体は、スポーツの振興の ッ仲裁の自動受諾条項 ( 注 ) を置くスポが取りまとめられた。以下では、ガイド ための事業を適正に行うため、その運 1 ッ団体の継続的な増加等スポ 1 ッ紛争ラインの目的・対象範囲及び紛争解決に 営の透明性の確保を図るとともに、その予防及び迅速・円滑な解決に向けた基関する部分について解説する の事業活動に関し自らが遵守すべき基礎的環境整備を推進する」ことが定めら ガイドラインの目的・対象範囲 準を作成するよう努めるものとする。 れた。そして、施策目標達成に向けた具 3 スポーツ団体は、スポ 1 ツに関する体的施策として、「スポ 1 ッ団体の組織ガイドラインは、第三者による評価基 紛争について、迅速かっ適正な解決に 運営体制の在り方に関するガイドライン準ではなく、が自らガバナンス強化 努めるものとする。 に取り組むに当たり、その指針を示し、 の策定」や、「仲裁人・調停人等スポ 1 ( スポ 1 ツに関する紛争の迅速かっ適正 ッ仲裁に関わる専門的人材の育成ー等にによるガバナンス強化を支援するた な解決 ) めの自己評価基準である。そのため、 Z 国が取り組むこととされた。 第十五条国は、スポーツに関する紛争 の運営に携わるの理事、委員、事 の仲裁又は調停の中立性及び公正性が 務局員が実務的に使いやすい形とするこ 5 2 ZLL 組織運営におけるフェアプ 確保され、スポーツを行う者の権利利 とを目指しており、の実務運営の場 ろ レーガイドライン ひ 益の保護が図られるよう、スポーツに 面に照らし、①運営全般、②会議体運営、 の 関する紛争の仲裁又は調停を行う機関 スポ 1 ッ基本法やスポ 1 ッ基本計画も③具体的業務運営、④会計処理、⑤懲罰、法 紛争解決、⑥情報公開、⑦インテグリテ 9 への支援、仲裁人等の資質の向上、紛踏まえ、文部科学省では平成年度に、 ( スポ 1 ッ団体の努力 )
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 三三 = = = = = = = = = = 三 = = = = = = 自衛隊朝霞訓練場、皇居外苑及ひ必要な特別措置について定めるもる事件等を裁判員の参加する合議 4 ◆平成三十一一年東京オリンピックヒ 0 」の丸公園 ) の無償使用を可能とのである。その主な内容は、次の体で取り扱うべき事件から除外す 競技大会・東京バラリンピック競 とおりである。 する。 ることを可能とする制度を導入す 2 技大会特別措置法 ③公益財団法人東京オリンピッ①公益財団法人ラグビ 1 ワール るほか、裁判員等選任手続におい ( 平成羽年法律第号 ) ドカツ。フ . ワ 0 010 ク・パラリンピック競技大会組織 組織委員会が調て犯罪被害者の氏名等の情報を保ひ 〔平成年 6 月 3 日公布・ 委員会が調達する大会の準備及び達する大会の準備及び運営に必要護するための規定の整備等を行、つ律 公布後 1 月以内施行〕 法 運営に必要な資金に充てるため、 な資金に充てるため、大会を記念ものである。その主な内容は、次 大会を記念した寄附金付郵便葉書した寄附金付郵便葉書等を発行でのとおりである。 本法は、 2020 年に開催され等を発行できるようにする きるよ、つにする ①審判に要すると見込まれる期 る東京オリンピック競技大会及び④大会の準備及び運営を支援す②大会の準備及び運営を支援す間が著しく長期にわたる事件等に 東京パラリンピック競技大会の円るため、組織委員会の要請に応じるため、組織委員会の要請に応じついて、例外的に、裁判員の参加 滑な準備及び運営に資するため必て組織委員会に国の職員を派遣でて組織委員会に国の職員を派遣でする合議体で取り扱う事件から除 要な特別措置を定めるものであきることとし、国家公務員共済組きることとし、国家公務員共済組外し、裁判官のみの合議体で審判 る。その主な内容は、次のとおり合法や国家公務員退職手当法等に 合法や国家公務員退職手当法等にを行うことができる である。 係る特例等、国の職員の派遣に関係る特例等、国の職員の派遣に関②重大な災害により生活基盤に ①内閣に、大会の準備及び運営して必要な規定等を整備する して必要な規定等を整備する。 著しい被害を受け、その生活の再 に関する施策の重点的・計画的な なお、本法は、平成年 6 月 なお、本法は、平成年 6 月 建のための用務を行う必要がある 推進を図るための基本方針の案の日に施行されている。 日に施行されている。 裁判員候補者は、裁判員となるこ 作成及び基本方針の実施の推進等 とについて辞退の申立てをするこ とができる を担う「東京オリンピック競技大 ◆平成三十一年ラグビーワールド◆裁判員の参加する刑事裁判に関 会・東京パラリンピック競技大会 ③著しく異常かっ激甚な非常災 カップ大会特別措置法 する法律の一部を改正する法律 推進本部」 ( 本部長は総理大臣、 害により交通が途絶するなどした ( 平成年法律第号 ) ( 平成羽年法律第引号 ) 副本部長は官房長官及びオリバラ 地域に住所を有する裁判員候補者 冖平成年 6 月 3 日公布・ 〔平成年 6 月粍日公布・ 担当大臣 ) を置き、内閣法の一部 等については、裁判員等選任手続 公布後 1 月以内施行〕 公布後 6 月を経過した日から施行〕 改正により本部が置かれている への呼出しをしないことができ る。 間、国務大臣の数を 1 名増員す る。 本法は、 2019 年に開催され 本法は、裁判員の参加する刑事④裁判官、検察官、被告人及び ②大会の開催に必要な競技施設るラグビーワールドカップ大会の裁判に関する法律の施行の状況に弁護人は、被害者の氏名、住所等 等に供するため、国有財産 ( 陸上円滑な準備及び運営に資するため鑑み、審判に著しい長期間を要すの被害者特定事項を公開の法廷で
特集スポーツ振興の未来ー法的立場からみた課題と紛争解決 日本バスケットボール協会に対する制裁 ( 資格停止処分 ) が解除されるまでの経緯 げ、チームには、既存リ 1 グを退会し はチ 1 ムが退会届を提出する期限までム ) との差異をどこまで認めるかという に、運営法人を設立しておく必要がある点から生じる次の三つであった。すなわ て新リ 1 グへの入会の意思表示をして もらいたいこと と考えた。 ち、①チ 1 ム名に企業名を入れることを ・ 2 016 ーシースンに新リーグを開 その結果、退会と入会という一連の手認めるか、②企業チームに独立法人化、 順とタスクフォ 1 スのリーグ統一スケジすなわちチ 1 ム運営会社と企業の切り離幕すること ・ 1 立ロ、 2 部、地域リーグとピラミッド ュ 1 ルを検討し、 4 月 1 日に新リ 1 グ運しを求めるか、③プロ契約ではない従業 型で運営すること 員選手を認めるか、という問題であっ 営法人を設立し、 4 月末日 ( 注 8 ) までに、 ・トップリ 1 グチームについては独立法 各チーム運営会社から、既存リーグへのた これらの問題については、川淵チェア 人化すること 退会届と新リーグへの入会届を提出して ・トップリーグチームに関しては、 5 0 もらうとい、つスケジュ 1 ルを決定した。 マンが、②と③については、プロリーグ 00 人収容のホ 1 ムアリーナでホーム 川淵チェアマンと議論を重ね、この結論である以上は基本的に譲れない条件であ ゲームの 8 割を開催すること に行き着いたのは、 2 月間日前後であるとして、 1 部リ 1 グに所属するには、 ・サラリーキャップ ( 年俸総額制限 ) を り、川淵チェアマンは、 2 月日の各リ独立法人化と選手のプロ化は必須とした ーグの代表者会議 ( チ 1 ム代表者全員でが、①については、リ 1 グが新たにプ廃止すること ロリーグを立ち上げたのとは異なり既存などである。 構成される会議 ) で、このスキ 1 ムを公 タスクフォースは、 3 月日の第 3 回 表した。 のプロリーグを統一する場面であること から、従前から企業名をチーム名に付し会議で、同様のトップリ 1 グ要件を公表 ていたチ 1 ムの存在を尊重すべきとしした。 4 新リーグの概要・要件 この中でも特に「 5000 人収容のホ て、チーム名に企業名を入れることを容 ームアリ 1 ナでホームゲ 1 ムの 8 割を開 新リ 1 グの具体的な概要や要件の検討認することを決断した。結果として、一 は、リ 1 グを立ちあげ成功に導いた川 部リ 1 グ入りした企業チームはこの決定催する」という条件については、異論が 淵三郎タスクフォ 1 スチェアマンの知識に従っており、そこに大きな衝突や混乱多く述べられることとなった。 2 月肥日 はなかった。 の各リーグの代表者会議でも、特に県内 と経験に専ら頼ることとなった。 むしろ問題となったのは、その他のトの全域で活動している複数のチームか ーグ統一のための課題として、これ ろ まで組織委員会等で問題となった点は、 ップリーグ要件であった。 2 月日の各ら、地域密着、ファン層拡大のためには、 ひ 大きくは、企業チームといわゆるプロチ 丿 1 グの代表者会議で、川淵チェアマン県内 1 箇所で試合をするのではなく、県の 内を幅広く巡回して幅広い層に試合を見法 ーム ( バスケットボールチームの運営をは、「私案」として、次の案を示した。 主たる目的とする会社が運営するチ 1 ・社団法人を設立して新リーグを立ち上てもらう必要があるという強い反対意見
図 4 スポーツ庁の組織構成と主な業務 スポーツ・青少年局 ( うちスポーツ関係 3 課 1 参事官 ) スポーツ庁 ( 5 課 2 参事官 ) 121 人 ( 新規増 7 人、他府省からの再配置 23 人を含む。 ) スポーツ審議会 76 人 中央教育審議会 スポーツ・青少年分科会 局長 大臣官房審議官 スポーツ・青少年企画課 総括・管理業務、スポーツ・青少年分科会、スポーツ基本計 画、日本スポーツ振興センター、スポーツ施設の整備、スポ ーツ団体のガバナンス改善 スポーツ振興課 地域スポーックラブの育成、指導者の育成、スポーツの安 全確保、スポーツ選手のキャリア形成支援、障害者スポー ツの振興 競技スポーツ課 選手強化への支援 ( 強化拠点・強化費 ) 、国際大会の招致、 2020 年東京オリンビック・パラリンビック競技大会の準備、 国際交流、ドービング対策 参事官 ( 体育・青少年スポーツ担当 ) 学校体育・運動部活動、武道の振興、子供の体力の向上 政策課 総括・管理業務、スポーツ審議会、スポーツ基本計 学校体育室 画、日本スポーツ振興センター、武道の振興、国内 ( 学校体育・運動部活動 ) 外の動向調査、戦略的広報 健康スポーツ課 国民へのスポーツの普及、予防医学の知見に基づく障害者スポーツ振興室 スポーツの普及、地域スポーックラブの育成、子供の ( 障害者スポーツの充実 ) 体力向上、スポーツの安全確保 競技スポーツ課 選手強化への支援 ( 強化拠点・強化費 ) 、医・科学を活用した競技力向上策の開発 国際課 国際大会の招致、国際交流、ドーピング対策、スポーツ甬にた国際献 . 世黒の スポーツ界への積檸的関与 ( 人材育成・派情等 ) オリンピック・パラリンビック課※時限 オリンビック・パラリンビックムーブメントの推准 ( spo 代 fo 「 Tomo 作 ow の推准等 ) 、 2020 年東京大会に向けたスポーツ団体等との調整 参事官 ( 地域振興担当 ) スポーツをできる多様な場の創出 ( 地域スポーツ施設の充実等 ) 、スポーツ涌に た地域おコ . への支援 参事官 ( 民間スポーツ担当 ) スポーツ団体のガバナンス改善、スポーツ人材・指導者の育成、スポーツ選手の キャリア形成支援、産業界との携促准 0 三スポーツをめぐる紛争解決 スポーツ紛争解決が求められる ろ ひ 背景 の 近年、一部のスポ 1 ッ団体において、 スポーツ指導をめぐる暴力や公的助成金 の不適切処理等の不祥事が発覚するとと もに、競技団体による代表選手選考の決 定やド 1 ピング違反による資格停止処分 等をめぐり、アスリ 1 ト等とスポーツ団 体との間で紛争が生じている。 スポ 1 ツ界の透明性や公平・公正性を 向上させることは、誰もが安全かっ公正 な環境の下でスポ 1 ツに参画できる機会 を充実させるための基礎条件である。ま た、近年、企業の社会的責任の一環とし て組織運営の透明化や説明責任を果たす ことが社会的潮流として求められるよう になっている。しかし、従来の振興法は、 これらの課題に関して規定を設けていな かった。 こうしたことから、平成年に成立し た基本法は、運営の透明性の確保やスポ 1 ッ紛争の迅速な解決を、スポ 1 ッ団体 の努力義務として新たに規定するととも に、スポーツに関する紛争の迅速かっ適 正な解決のために、国が必要な施策を講 1
ることを問題視し、 2009 年以降、再醜 日本バスケットボール協会に対する 三にわたって、 リーグ統一を実現するよ。 う *-A<< に対し求めてきた。しかしなが 制裁 ( 資格停止処分 ) が解除される ら、最終期限とされた 2014 年川月末ば ろ までに、は、リーグ統一を実現すひ までの経緯 内閣官房オリ・バラ推進本部政策参与・東京大学理事・弁護士境田一止樹ることができなかった。そのため、律 四谷番町法律事務所弁護士 ~ 序有「十は、に対し、 2014 年Ⅱ月 日付け書簡により制裁を科すに至っ 筆者らは、前記タスクフォースの活動 た。その要旨は次のとおりである。 一はじめに に関わる貴重な機会を与えられた。本稿 2014 年Ⅱ月、公益財団法人日本バでは、制裁の発動後、解除に至るまでの 〔制裁の理由〕 スケットボ 1 ル協会 ( 以下「」と 尸に、いかなる問題に向き合い、どのよ①定款に準拠した機能を保証 いう。 ) は、国際バスケットボ 1 ル連盟うに解決を図ったのか、タスクフォ 1 ス するの組織再編が実行されてい ないこと (lnternational Basketball Federation) ( 以の活動について振り返る 下「—」という。 ) から「資格停 ②既存の 2 リ 1 グが管轄下で運 営される 1 リ 1 止処分」を受け、間近に控えたリオデジ グへ統合されていない 一一制裁までの経緯と背景事情 ャネイロオリンピック ( 以下「リオ五輪」 こと、そして、国内全域において という。 ) 予選を含む国際交流試合等一 Official Basketball Rules に従って試合 制裁が科されるまでの経緯 が行われていないこと 切の国際活動を禁止されるという深刻な 事態に直面することとなった。 2005 年にリークか創設されて〇 3 2020 年以降の代表チ 1 ム強化に 2015 年 1 月日、前記問題を解決以降、日本国内には、傘下のリ 1 向けた明確な計画の提示がなされなか ったこと するために「ジャパン 2 0 2 4 タスクフグ ( 現在は一般社団法人日本バスケット オース」 ( 以下「タスクフォ 1 ス」とい ボ 1 ルリ 1 グが運営する「ナショナル 〔制裁の内容〕 スケットボ 1 ルリ 1 う。 ) が結成され、制裁解除に向けた様々 グ」。以下、「 z は、 2014 年 5 月 2 日付け な取組が行われた結果、 2015 年 8 月」という。 ) と株式会社日本プロバ 書簡、同年川月日付け書簡及び、 20 9 日、東京で開催された中央理スケットボールリーグが運営するリ 14 年 9 月日に開催された中 事会 ( セントラルポード ) において、 1 グが並存することになったが、央理事会 (central Board) の決定に基 に対する制裁が無事解除された。 < は、一つの国に二つのリーグが並存すづき、を資格停止処分とする。
が述べられた。また「 5000 人アリー 書」、ホームアリーナ確保を確認するた状態は大幅に改善され ( 注 9 ) 、中には億 ナは不可能である」という否定的な意見めの資料として地方自治体の「支援文単位の資本注入がされたり、スポンサー は、間接的な形で筆者の耳にもよく入っ書」の提出を求めたところ、ホームアリ収入が倍増するチームが現れるなどし てきた。 ーナ確保や支援文書取得の過程を通じた ろ しかしながら、川淵チェアマンのこのて、地方自治体や都道府県バスケットボ プロリ 1 グを成功させるためには、リひ 1 ル協会との関係が劇的に変化したチ 1 ホ 1 ムアリ 1 ナ構想も、最終的には多く 1 グ運営法人はもとより、所属クラブの律 のチ 1 ムに受け入れられ、このアリーナムもあった。なお、クラブが自治体や地運営が健全・適正になされること、さら 要件を満たしたと評価できるチームは最元経済界からの支援を得られるよう、 にクラブが自治体や経済界から支援され 終的にを超えた。その中から、 1 部リ淵チェアマンと筆者らは、特にトップリることが必須であり、トップリーグ要件 ーグ所属チームチームが選抜されるこ ーグ要件に否定的な意見も聞かれた初期はその基盤作りとしても必要な要件であ ととなったのである。 の頃は、可能な限り、県庁や市役所等をつたと考えている 川淵チェアマンのホ 1 ムアリ 1 ナ構想訪問するなどして、首長等に対し、クラ が最終的に受け入れられたのは、その構プへの支援を要請した。 5 のガバナンス改革 想が既存のプロのクラブの在り方や現状また、 3 月日に開催された第 3 回タ からスタ 1 トしたものではなく、バスケスクフォ 1 ス会議では、トップリーグチ < のガバナンス改革については、 ットボールクラブが、プロのクラブとし ームの要件として、債務超過でないこと現在もその改革は進行中であり、誌面の て成功し存続してゆくための必要最低条 ( 入会申込み時点で債務超過である場合都合もあることから、ここではそのポイ 件を考慮したものであったためであると には、入会後 2 年以内に債務超過を解消ントのみ紹介することとする。 筆者らは考えている。このアリ 1 ナ構想できる具体的計画の提示を要する。 ) 、ト まずはの加盟団体をはじめ国内 は、プロクラブが存続するための集客規ップリーグ 1 部については年間売上収入のバスケットボ 1 ル関係者に、前述した 2 5 0 0 0 万円以上であることという 模 ( チケット収入、スポンサ 1 収入の両億 の基本規程等諸規程の遵守 面から相応の集客規模が必要であるこ条件を提示した。と同時に、 2015 年 CQ< 規程を遵守することでもある。 ) を と ) 、地域に根付くための地方自治体、 7 月末に 1 部、 2 部、 3 部の階層分けの徹底することが重要であったため、定款 都道府県バスケットボ 1 ル協会等の支援発表を行う予定であることも公表し、実や基本規程、その他諸規程の見直しを行 の必要性などの重要な条件を、一言で表際には 7 月末と 8 月末の 2 回に分けて発 い、今後も遵守を徹底してゆくことが確 現するものであったのである。 表を行った。その結果、最終的な階層分認された。 けを発表した 8 月末までの約 5 か月間で 実際に、入会を認める要件として、都 そして、が国内バスケットボー 道府県バスケットボール協会の「支援文 1 部入りを目指した多くのチ 1 ムの財務ル界を統轄してゆくためには、スピーデ
特集スポーツ振興の未来ー法的立場からみた課題と紛争解決 日本バスケットボール協会に対する制裁 ( 資格停止処分 ) が解除されるまでの経緯 この点、前述の例に照らせば、国が道 に競技者規則の策定、競技会の主催及び体は、スポーツの普及及び競技水準の向 主管等の事業運営規則の策定並びに開上に果たすべき重要な役割に鑑み、基本路交通法を定め、国家権力がその違反に 催、審判の養成・認定・登録、指導者の理念にのっとり : : : スポーツの推進に主ついて取締りを行う場面とは異なり、 養成・認定・登録、国際大会の開催、代体的に取り組むよう努める」べきものとはあくまで私法人であり、が 統轄権限を有する根拠は、の内部 表チ 1 ムの選定・派遣、競技の公式記録している ( 同法 5 条 1 項 ) 。 の統規定にしか存しない ( 注 6 ) 。の統 の作成・保存、さらには、日本バスケッ の規程に従わない、 トボール界を代表する唯一の団体として轄外の組織の存在を認めた場合、国内で轄団体としての権威、バスケットボール 公益財団法人日本体育協会及び公益財団はの認識しない有料競技会、国際界を統轄する権限は、そうだとすると、 ハスケットボ 1 ル競技団体、あるいは競 法人日本オリンピック委員会、交流試合が横行し、選手等に関しても、 等への加盟、バスケットボールの施設及の全く知らない選手等が国内海外技関係者の明示・黙示の承認 ( 同意 ) に び器具、用具の検定又は認定等を、事業で活動を行うこととなり、日本代表チ 1 求めるほかない。 そして、現実に—•CQ<< は、リーグ として行う ( 定款 4 条 ) 。 ムの選抜、招聘にも困難が生じる。その これはすなわち、国内でバスケットボ結果、バスケットボールというスポーツとの関係でこの「承認」を失ったがため ールの普及及び振興を図り、競技者を育を通じたスポ 1 ッ基本法の基本理念の実に、統括団体としての権威・権限を喪失 してしまったのである。 成強化し、オリンピック等の国際大会で現も阻害されることとなるのである グは、実態として その結果、リ 1 活躍できる代表チームを産み出し、それ身近な例に例えるならば、危険を防止 によってバスケットボールとい、つスポー し交通の安全と円滑を図るための道路交はの統轄下にないまま、 2005 グの運営を行 ツを通じて「国民の心身の健全な発展に通法が存在するにもかかわらず、道路交年から川年もの間、リ 1 、その間に全国のバスケットボ 1 ルフ 寄与し、また豊かな人間性を涵養する」通法を守る義務を負わない車両が国内の ためには、 hCQ< が国内バスケットボ 1 公道を走行しており、その取締りすらでアンにも根付き、エンタティンメント性 の高い魅力あるリ 1 グとして、社会的に ル界唯一の統括団体、日本の唯一の代表きないという状態が生じるのである 知・承認されるに至っている ( 前記の 機関として、世界標準に従って日本バス 道路交通法の例えを用いると、道路交通 ケットボ 1 ル界の共通ル 1 ルを策定し、 3 --'0< による支配統治の根拠 法を守らなくとも、一見道路の通行に特 これを遵守させてゆくことが必要という ことである このように、による競技団体統に支障が生じてはおらず、他方で他の価ろ の 必ずしものみを想定しているもの轄の必要性が認められるとしても、その値まで生じた、ということである。 ) 。 律 法 ではないが、 スポーツ基本法は、「スポ統轄権限の根拠はどこに求められるか、 1 ッ団体の努力ーとして、「スポーツ団という問題は別途存する。
ていなかった。 ) ということも、否定し本的な事項、留意点をまとめた「運動部が不徹底だったのではないかと、重く受 難い事実であった。すなわち、この宣言活動での指導のガイドライン」を作成しけ止めています。」「体罰は、学校教育法 公表している。 の後も、スポ 1 ッ指導における暴力は、 に違反するのみならず、児童生徒の心身 数は減ったものの依然として存在してお に深刻な悪影響を与え、カによる解決のば り、今まで「厳しい指導」としておおっ 志向を助長し、いじめや暴力行為などのひ 6 文科省「体罰の実態把握につい びらに行われていたものが、世間の風当 土壌を生む恐れがあり、いかなる場合で法 たりが強くなったことを契機に現在は潜 も決して許されません。」とした上で、「厳 在化している状況だと言ってよいであろ文科省は、平成年 8 月 9 日、体罰実しい指導の名の下で、若しくは保護者や 態調査の結果を第 2 次報告として取りま児童生徒の理解を理由として、体罰や体 とめ、「体罰の実態把握について」とし罰につながりかねない不適切な指導を見 てこれを公表した。 過ごしてこなかったか、これまでの取組 5 運動部活動の在り方に関する調 これによると、平成年度における体を検証し、体罰を未然に防止する組織的 査研究報告書 罰の発生件数 ( 国公私立合計 ) は、中学な取組、徹底した実態把握、体罰が起き 文科省は、平成年 5 月日、運動部校 2805 件、高等学校 2272 件であた場合の早期対応及び再発防止策など、 活動の在り方に関する調査研究報告書をり、そのうち、場面を「部活動」とする体罰防止に関する取組の抜本的な強化を 取りまとめた。青少年スポーツの重要なものが中学校 10 7 3 件 ( ・ 3 % ) 、 図る必要があります。」と述べるに至っ 部分を中学校・高校における運動部活動高等学校 948 件 ( れ ・ 7 % ) 、場所をている が担っているのに対し、その運動部活動「運動場・体育館ーとするものが中学校 における指導中の暴力が後を絶たないこ 1136 件 ( ・ 5 % ) 、高等学校 9 6 四なぜスポーツ指導における とから、この報告書では、「指導に当た 4 件 ( ・ 4 % ) あったとされていて、 暴力はなくならないか って、学校教育法で禁止されている体罰運動部活動における体罰が数多く存在し を厳しい指導として正当化するような認ている実態が明らかとなった。 国際的には、オリンピック憲章やオリ 識があるとしたら、それは誤りであり、 これを受けて文科省は、平成年 8 月ンピック倫理規程、ユネスコ体育スポー 許されない」ことを明らかにするととも ツ国際憲章などにおいてスポーツからの 9 日、「体罰根絶に向けた取組の徹底に に、体罰等の許されない指導とあるべきついて」を発表して、「全国の国公私立暴力の排除が謳われており、我が国にお 指導の考え方について整理し、運動部活学校における体罰の件数が 6700 件を いても、日本体育協会倫理規程では、ス 動での指導を行うに際して考慮すべき基超え、これまで、体罰の実態把握や報告ポ 1 ッ指導において暴力は行ってはなら