第 5 次出入国管理基本計画の概要 課題である。 諸外国との相互認証を通じた受入れ促進高度人材ポイント制をより多くの高度 人材に利用してもらうには、効果的な広 措置についても継続していくとともに、 今後の方針 これ以外の分野においても、専門的・技報を行うことが必要であり、出入国管理 ①経済社会状況の変化に対応した専門術的分野と評価できるものについて、社行政としても積極的に取り組んでいく。 的・技術的分野の外国人の受入れの推会のニーズや資格等の相互認証等の環境③緊急に対応が必要な分野等における 外国人の受入れ 進 が整えば、同様の措置が可能か検討して 東日本大震災からの復興事業の一層の 我が国の経済社会の変化に伴い、専門 加速化を図りつつ、 2020 年東京オリ 的・技術的分野の人材が新たに必要とさ②高度人材外国人の受入れの推進 れた際には、そのニ 1 ズを的確に把握平成 % 年 6 月に成立した出入国管理及ンピック・パラリンピック競技大会関連 し、適切かっ迅速に対応する必要があび難民認定法の一部改正法 ( 以下「平成の建設需要に適確に対応するための緊急 かっ時限的措置として、建設分野におい る。現行の在留資格や上陸許可基準に該 % 年改正入管法ーという。 ) において、 当しないものでも、専門的・技術的分野高度人材ポイント制における高度人材をて即戦力となり得る外国人の受入れが開 と評価できるものについては、幅広い視対象に、新たな在留資格「高度専門職」始され、また、建設分野との人材の相互 点で検討し、在留資格や上陸許可基準のが創設され、平成年 4 月 1 日から施行流動が高い造船分野についても同時に外 見直し等を行うことによって、経済成長された。この法改正により、今後の高度国人の受入れが始まった。法務省として は、今後、関係省庁と連携して、適正か に寄与する人材の受入れを進めていく。 人材受入れの更なる増加が期待される。 っ円滑な受入れを行っていく。 我が国では高齢化が急速に進み、質の 高度人材は、我が国の産業にイノベー 高い介護に対する要請が高まっている。 ションをもたらす人材であり、経済成長④留学生の適正な受入れの推進 より多くの留学生を我が国に迎えるこ 平成年 6 月に閣議決定された「『日本や新たな需要と雇用創出も期待できるこ 2 014 」においても、 とから、更なる受入れを推進する必要がとで、日本を理解し、親しみを持っ外国 再興戦略』改訂 介護分野における外国人の受入れが盛りあるが、高度人材が我が国社会に定着人が増え、将来的な相互理解の強化につ 込まれた。そこで、我が国の大学等を卒し、経済成長に貢献するには、その生活ながると考えられる。さらに、留学生が 業し、介護福祉士の国家資格を取得した面、教育面、福祉面など、政府の幅広い卒業後に我が国企業に就職することによ引 外国人留学生について、在留資格を拡充行政分野における施策によって、総合的って、いすれ我が国の経済発展を担う人の 、 ( し、就労を認めていく。 な受入れ推進が行われなければならな材となる可能性があるとともに、高度人法 材の卵を育てることにもつながると考え邱 また、情報処理技術者に係る資格等の
活動内容等を共有し、コミッションやコれている。具体的なテ 1 マ設定、主要論査共助、人身取引被害者と証人の効果 的保護における成功と課題 ングレスに向けた準備をする。また O-IZ 点、議論の方向性、パネリストの構成、 —は、毎年 4 月か 5 月に開催されるコミ準備のための専門家会合の開催回数と開③サイバー犯罪、文化財不法取引等の ッションでもワークショップ開催を期待催時期、これらのための連絡調整など、 進化し続ける犯罪形態への犯罪防止と ろ され、実際に実施されている。コングレなすべきことが相当に生じる。逆に言え 刑事的対応の強化 ( 教訓や国際協力をの 律 法 スより小規模だが、コミッションの議題ば、最初の時点で主導役を取れば、ある 含む ) に関連したテ 1 マで専門家が議論する点意味で当該機関又は担当者の目指すもの④犯罪予防と刑事司法の認知度向上に は変わりない。 を反映できることになり、刑事法分野に 向けた社会参加ー教訓と経験 コングレスのワークショップが動き出おける国際舞台でプレゼンスを高められ要するにワ 1 クショップ①は女性と少 すのは約 3 年前である。その理由は、次ると言えよう。 年に関する話題、②人身取引問題、③サ 回コングレスの議題との関連が必要であ イバ 1 犯罪と文化財不法取引、④市民参 り、毎年のコミッションでの議題や関心 加であり、は①と④の運営 五ドーハ会議のワークショッ 事項の方向性を見定めるためである。こ に一部協力した。 プ運営 の頃にテーマ決めのため、事務局 >ZO からへの意見聴取が始まる 四つのテーマ 2 z < LL ーの関与 先のドーハ会議で言えば、全体会議での 大きな議題の四つが存在したが、そのま ドーハ会議のワークショップの議題は協力の程度も様々である。ワークショ までは議論に馴染まないため、ワークシ次の四つであった。 ップ①は「女性」と「少年ーの問題に分 ョップは各議題を細分化する。特に、世①効果的・公正・人道的かっ説明責任かれ、専門家も違えば論点も異なる。主 界・地域・諸国内の刑事法分野が直面すを果たす刑事司法制度支援のための犯導役のは、ラウル・ワ 1 レンバ る犯罪の現状・動向とその分析、問題罪防止及び刑事司法分野における国連グ人権人道法研究所 ()— ( 注 9 ) ) で 点・対応策とその実践例などを意識して の基準・準則の役割ー加害者の処遇とあり、当所は補佐として関与した。ちな テ 1 マを絞っていく。 社会的統合 ( 注 8 ) に主眼を置いた女性みに「女性受刑者及び女性犯罪者の非拘 そしてのうち、どの機関が主導及び少年に特有なニ 1 ズを満たすため禁措置に関する国連規則ー ( バンコク・ してワ 1 クショップ運営に向けた準備を の教訓及び経験 ル 1 ルズ ) に関しては、タイ政府の主導 するかを定める。共同運営も普通に行わ②人身取引と密入国ーその犯罪化、捜で成立したことから、女性のテーマには
特集刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 私が見たコングレス・ワークショップ ここでコングレスの全体像を可視化す 私が見たコングレス・ワークショップ \ べく「進行イメ 1 ジ」 ( 図 1 ) を示して ー第回ドーハ会議に参加して おく。通常、テーマごとに複数のワ 1 ク ショップが設けられ ( ド 1 ハ会議では各 国連アジア極東犯罪防止研修所長山下輝年 9 時間 ) 、日程の都合上、一部が重なり つつ進行する。 が、 2015 年 4 月のドーハ会議も同様図 1 最下部のと】 cilla Meeting ( アン 一本稿の目的 であった。 シラリー会合 ) とは、参加登録者が事前 本稿は、第回国連犯罪防止刑事司法全体会合では、議題に関して加盟国や申込みと登録を経た上で、発表するもの 一定地域の代表者の発表がなされる。対を指す。主催は個人・団体・官民を問わ 会議 ( ドーハコングレス ) のワークショ ップ報告である。議論の内容紹介に徹すして、ワークショップはコングレスの第 閉会式 一・第二委員会に属し ( 注 2 ) 、刑事法分 べきであろ、つか、ワ 1 クショップとは何 日題報告書採択 か、その位置づけ、誰が準備運営するか野の専門家がパネリストとなり各自の知 第一・第ニ 題委員会報告 などにつき、公刊物ではあまり見当たら見を発表し、コングレス参加の国や国際 機関等の参加者との質疑応答がなされ 題 る。その経緯・結果を報告書にまとめ、 冒頭肩書きの通称 ( 注 1 ) 目題 日議 これが各委員会で採択されて国連文書と ( 又はアジ研 ) の所長として関わったた 4 め、 5 年後の日本コングレス開催を意識なり、コングレス政治宣言 ( 注 3 ) の内容 議 会ト して、その位置づけと内容の両方につきの一部として反映される。 者グ 紹介する。 英語 Workshop の和訳は、辞書によれ 位セ 例 高ル ば「研究集会」である。講義形式ではなジ 2 レ 日議ハ く参加者の自主的な講習会であると付記 開会式 ニワークショップとは何か されている。確かにコングレスのワーク行 進日 5 5 年に一度のコングレスでは全体会合 ショップは犯罪防止と刑事司法の専門家 と並行してワークショップが開かれるによる研究集会と理解すれば分かりやす図事 全体会合 WSI 女性・少年扣 人身取引ほか川 WS 2 サイバー・文化財胴 WS 3 WS 4 市民参加 0 Ancillary Meetings ( 附属集会 ) 197 21 ・法律のひろば 2015.11
「国際連合アジア極東犯罪防止研修所・ : 第Ⅱ回 ( 年 ) 国連犯罪防止刑事 \ ・ : を関係諸君の努力によって見事に運営 してきたことが、結局においてわが国が 司法会議 ( コングレス ) 日本開催の意義 ' 刑事司法、矯正、保護の各分野において、 ー京都コングレスから年の節目に向けて いわゆる先進諸国に伍して決して遜色を律 法務省大臣官房秘書課付、田美宙ハ 見ない域に達していることを国際的に明 らかにすることになり、またわが法務省 事司法の専門家 4000 人以上が参加しがすぐれた組織力を持っていることを国 一コングレスとは 連当局に認識させ、アジアにおいてはじ コングレスとは、正式名称は「国際連そして、このコングレスにおいて、平めてのこの世界会議の日本における開催 合犯罪防止刑事司法会議」であり、 5 年成 ( 2020 ) 年第回コングレス方を求めてきたものと思う。」としてい に一度開催される刑事司法分野におけるか、年ぶりに日本で開催されることがる ( 注 2 ) 。 このコングレスは、同年 8 月日から 、、、国連最大の会議である。国連薬物・犯罪決定した。 回事務所 (UnitedNations ()fice on Drugs 本稿では、このコングレスの日本開催同月日までの川日間にわたり、国立京 都国際会館において、新か国の政府代表 第 and Crime (DZOQO)) ( 注 1 ) が事務の位置付けや意義について述べることと 局を務め、刑事司法分野の専門家が世界したい。なお、意見にわたる部分は筆者等 1000 人以上の参加を得て開催され レの犯罪防止・刑事司法分野の諸課題につの個人的な見解である。 たものであり、馬場義続元検事総長が総 いて議論しつつ、その知見を共有し、コ 会議長を務めたほか、開会式には高松宮 ミュニケーションを図ることで、様々な 殿下同妃殿下が御台臨されて殿下よりお 19 7 0 年京都コンクレス 言葉が述べられ、また、法務大臣・最高 分野における国際協力を促進し、より安 1970 ) 裁判所長官からの挨拶、総理大臣メッセ 全な世界を目指して協働することを目的今から菊年前の昭和 ( 1 ジが述べられるなどした。 年、大阪万博の年に、欧州以外の国で初 協としている。 この第 4 回コングレスにおいては、国 平成 ( 2015 ) 年 4 月にカタ 1 ルめて、日本で第 4 回コングレスが開催さ のド 1 ハにおいて開かれた第回コングれた。 連が 1960 年代を開発の川年として開 1 9 “ / この日本開催に至る経緯について、総発計画を実施したこと、昭和菊 司レスにおいては、世界 140 か国以上か 0 ) 年が、第二次開発計画の推進される ら司法大臣や検事総長をはじめとする刑会議長を務めた馬場義続元検事総長は、 1111
に傾くため、対立が生じる。 ける方向付けに寄与するのだろう 対国にその実施を求める性格が強く、多 そして、汚職による巨額の国外流出財また、ワークショップは専門家会合の数決は潜在的名宛国への説得力を減殺す 産問題もあり、欧米が財産没収により 犯性質を有するのに、自国の利害から発言る」 ( 以上要旨・傍点は筆者による ) と 5 罪者の資産剥奪に成果を上げると、流出しがちな外交的発想で、議論の内容をま指摘する。頭では理解できても、実際に ろ 元の国が国家資産を奪われた被害者の立とめる報告書案の一字一句に意見や異議目の当たりにすると、その労苦たるや大の 律 法 場を強調して無条件返還を要求するとい を唱える場面があった。例えば、各報告変なものがあると感じた。 う構図もある。 書案に、従前どおりに general discussion 敷田氏はこの分野では著名な日本人法 こ、つい、つことも影響しているのか、開 ( 一般的議論 ) 及び conclusion ( 結論 ) 律実務家であり、検事退官後も 発途上国は必ず、国連や先進諸国が技術とあったが、中国・パキスタン・ロシ代表として長らく存在感を示してきた。 支援を行うべきことの明記を求め、これア・南アフリカなどが、各国による文言その跡を引き継ぐ現 <<uær-æは国連 を自らの成果にする感さえある。 交渉を経ていないので「結論」という表 O としてはトップカテゴリーである総合 題は相応しくなく、「議長の個人的な結諮問資格を有している。今回も日本から 論」とすべきだと独自の主張をした。休現理事長日野正晴氏を含む 3 名が参加し 2 全会一致原則の一面 憩して調整した結果、 generaldiscussion ていたが、 2020 年の日本コングレス での活躍が大いに期待される コングレスやコミッションの合意は全 &chair'ssummary ( 議長の要約 ) とし、 会一致が原則である。コングレスの政治「結論」の表記を削除して内容はそのま 宣言には強制力がない。ましてやワ 1 クま残った。かくも名目にこだわる国々が 3 コングレス・ワークショップ余 ショップは専門家会合としての性格を有存在するのが現実世界なのである。 するから強制力はない。ならば無意味と この点を示唆した文献に敷田稔氏 ( ア 感じるかも知れないが、複雑な利害が対ジア刑政財団・ ( 注リ元理事日本は時間厳守の国であるが、コング 立する国際舞台で強制力を求めると、反長 ) の 1990 年第 8 回ハバナ・コングレスの世界はそうではない。どの会合も 対者は合意から脱するであろう。皆が不レスに関する論考 ( 注リがある。「さし予定の開始時刻から分以上は遅れて始 承不承でも合意すれば、強制力はなくてたる調整努力なしに無視されればそれままづた。初日の開会式や最終日の全体会 も尊重するし、露骨な反発には国際的なでという説得的効果しかない決議を投票議は 1 時間以上遅れた。しかも何のアナ 非難がいく。この微妙なバランスの上で決する意義は乏しいー「 ( 決議対象は ) ウンスもなければ謝罪もなく、これに不 で、コングレスの議論が刑事法分野にお賛成国がほば実施済みのものであり、反満を述べて騒ぐ人は誰もいない。なるほ
則一一一口いきることには、、 このような考え方に対しては、法律よる限りだが ) 本人訴訟である本件及び しささかの躊躇を覚 R える。評者としては、運送法が大幅に変 り優位である条約 ( 憲法囲条 2 項 ) 、し掲東京地判平成 % 年月 2 日において、 5 0 かも統一条約である本条約につきこのよ ( 本人訴訟であるにも関わらず ) 当事者わろうとしている今日 ( 注 ) 、空法を扱 、ま える実務家層が拡大し、本件や前掲東京 うに解することは、法の統一という本条間に「武器不対等」の関係がなく、原告 ろ 約の制度趣旨を損なうものであるとの批が条約の規定を踏まえた主張を行ってい 地判平成 % 年肥月 2 日のような事案にの 判が当然なされよう。ただ、いくらコンる一方、訴訟代理人が付いた前掲大阪地も、実務家 ( 弁護士等 ) が何らかの形で テンツである法規 ( この場合には条約 ) 判平成年肥月日において、原告サイ関わり、当事者の行動を制御し、判決に を統一しても、それを判断する裁判所が 至らない形で紛争が解決できるようにな ドの訴訟技術上の拙劣さが目立っことに 国ごとに別個なものとして置かれているも一因があるのではないかと考えていることを願っている。 以上、かかる「不統一 , は必然的に生じる。別稿でも述べたところだが ( 注、 ざるを得ない ( 注リ。 前掲大阪地判平成年肥月日における ( 注 ) ( 1 ) 19 2 9 年川月肥日にワルソ 1 で署名された国際 のアプローチは、サイドからは、空 航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改 法の世界の定石を踏まぬものと映り、 実務上の留意点 定する議定書。昭和肥年条約第Ⅱ号 による提訴期間制限の主張は、評者の目 本判決の規範的判断とは直接関係はな からすると、要は「弁護士が選任されて ( 2 ) 国際航空運送についてのある規則の統一に関する 条約 (convention for the Unification of Certain RuIes いが、興味深い点として、原告に訴訟代いるにもかかわらずその期間を徒過した 理人として弁護士がついた前掲大阪地判 リスクは、弁護過誤として処理されるべ Relating ぎ lnternational carriage by と「 ) 。昭和年 条約第号 平成年肥月日において、パタ 1 ナリ きである」と述べるに等しい。 スティックな判断がなされている一方、 前掲大阪地判平成年月日に関す ( 3 ) モントリオール条約 ( 国際航空運送についてのあ る規則の統一に関する条約 ( ゴ】 e Convention for the 本人訴訟である本件及び前掲東京地判平る評釈は、この点を重視し、「弁護過誤」 成年月 2 日において、かかる判断がの可能性を示唆する ( 注。しかし、消 Unification of Certain Rules for lnternational Carriage なされていないことを指摘しておきた費者法や保険法等他の法領域に比べ、空 by Air) 【平成新年川月四日条約第 6 号、平成年Ⅱ 月 4 日発効 ) は、国際航空運送人の責任につき、ワル いかかる差異が生じた一因として、結法の実務が、一般の弁護士 ( ごく一部の ソー条約の規定を改め、現代化するものである。ワル 果の重大性の有無があることは既に述べ専門家を除き ) にとり、参入容易なもの ソ 1 条約に基づく体制 ( ワルソー体制 ) の概要につい ではなく、十分な数の専門家がいるわけ ては、藤田勝利編「新航空法講義」 ( 信山社、平成四 しかし ( あくまでも判決文から判断すでないことを考えると、「弁護過誤」と
特集刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 私が見たコングレス・ワークショップ 侵害の問題が生じる状況であったが、裁その要旨は次のとおりである。 っている。未成年の移民につき、子の福 判確定後の受刑者処遇は世界共通の課題 祉の観点から適切な配慮をすべきであ り、これに関与する犯罪組織は、国と市 であったため、早くから国際的議論に馴人身取引や移民の密入国は、弱者を餌 染んだと思われる。 食にし、人権侵害を引き起こす重大犯罪民の安全に対する脅威と人道上の危機を 半世紀が過ぎて見直しの機運が生じ、 である。その背景には、貧困・失業・迫招来する。 数年の議論を経て南アフリカ共和国ケ 1 害・紛争・差別・環境の悪化が存在す 印象的であったのは、不法移民や密入 プタウンにて通算 3 回目の政府間専門家る。これを犯罪組織は巧みに利用し、イ 会合で改正案ができた。改正は主に追加 ンタ 1 ネットを活用して新事業分野を形国という用語に問題性を感じる人がいる であり、被拘禁者の医療 ( 身体・心理の成し、テロリストへの資金供給やマネ 1 の、か、 "undocumented person" AJ い、つ表 両面 ) へのアクセスと衛生に配慮するこ ロンダリングと関連している。全関係者現を耳にしたことである。そして弱者問 題としての観点が多く、その意味でワー と、外部機関との連携に配慮し、規律違の協力が重要である。 反行為に対する懲罰手続等を明確にする人身取引の対象者は、人権侵害の被害クショップ①と共通していた。 ことなどである。年間の獄中生活を強者として適切な保護・手当の対象となる いられた南アフリカ共和国マンデラ元大はずだが、捜査段階ではそうなっていな 八ワークショップ③ 、 0 統領にちなみ、「マンデラ・ル 1 ルズ」 人権に基づくアプロ 1 チが重要であ ーサイバー犯罪と文化財不法 と命名され、ド 1 ハ会議で国連準則とするが、このアプロ 1 チを実践するための べき旨の決議が採択された ( 注 政治の指導力、資源及び情報が欠けてい る。一方、捜査段階では、被害者の発見・ サイバー犯罪問題 認識の困難性、被害者に証言を求めるこ 七ワークショップ② との困難性が存在する。有罪件数は少数ワ 1 クショップ③は、の韓国刑 ー人身取引と密入国 に留まっているが、国連組織犯罪防止条事政策研究院æ—0) を始めとする 3 >ZOQO 事務局長を始め、国連人権約 (øzeoo) 人身取引議定書が果た機関が運営し、パネリストは川名を超え ていた。 ろ 高等弁務官事務所・国際移住機関・欧州した役割は大きい。 ひ の 安全保障協力機構のハイレベルバネルで また、武力紛争が発生し、避難民問題その発表の要旨は次のとおりである。 律 法 始まり、専門家パネリストの発表と議論が長期化している地域では、通常の移民 か祝いに サイバー空間では、低リスクで高利益 ル 1 トの不存在が移民の不法入国に繋が
特集刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 私が見たコングレス・ワークショップ 90 年の「非拘禁措置に関する国連最低 タイ司法研究所 ( 注四 ) の協力 六ワークショップ① 基準規則」 ( 通称「東京ルールズ」 ) ( 注リ を得て進めた。当所は、国際研修でも主 ー女性犯罪者・非行少年の処 がある。しかし世界各地での女性の不当 題にしたことがある上、 2014 年 5 月 遇と社会復帰 のコミッション時にワーキングランチを な扱いに関するニュ 1 スに鑑みると、そ の着眼点には先見性があったと言えよ 主催し、同年 6 月には当所で準備会合を 女性の処遇関連 開催するなど当所教官の努力もあり、「女 性ー問題に関して事実上の主導役となっ ワークショップ①は第一委員会に属基調講演に引き続き、 8 名の専門家が パネリストとして順に分ずつ発表した。 た。パネリスト選定では、日本人専門家し、議長はルイ・アルフォンソ・デアル として名執雅子法務省大臣官房施設課長バ在ウィーンメキシコ代表部大使で、その出身地域は、欧米・中南米・中東・ アジア・アフリカだが、先進国と途上国 をパネリストとしたほか、女性のテ 1 マ ZOQO の運営担当者はクラウディア・ ハローニ女史である。と当所の所の実情と意見を反映させるためである。 に関する全パネリストの選定・調整を行 った。 ハネリストの発表は、国・地域によっ 長が冒頭挨拶した後、タイのパチャラキ ワ 1 クショップ④の市民参加では、日ティャパ王女 ( 検事でもある ) の基調講て固有の事情はあるが、例えば中東での 本の保護司制度を市民参加の好例として演で始まった ( 注リ。前述のバンコク・実情調査の結果、女性収容者には虐待を 紹介するためにパネリストを推薦するこルールズは、 2010 年月幻日に国連受けた経験、薬物依存、性差別体験等の とで貢献した。実際には、当所の元教官総会議決 / 229 で採択されている。有無・割合が、男性とは大きく異なるこ である今福章二法務省保護局観察課長をその要旨は、「刑事施設自体が男性を念とが判明し、バンコク・ル 1 ルズの参照 推薦し受け入れられたのだが、ワークシ頭に置いており、従前の犯罪者処遇に関用として、その実施に関する評価ツール する国連規則も女性特有の問題への考慮が作成されたという。 ョップ①と比べれば関与は深くない。 タイでは子を持っ女性受刑者のために 次項以下で内容を紹介するが、ワ 1 クがない。拘禁の必要性、処遇面での女性 ショップ②③には直接関与しておらず、特有のニーズへの着目、矯正施設の設計医療設備や生活環境の整備に取り組み 一部見聞したに過ぎない に始まり、女性の身体・心理ケア、社会 ( ドミニカ共和国も同様 ) 、ラテンアメリ 内処遇の促進、女性受刑者が監護する児力も種々のプログラムを実施している引 が、女性の特性に応じた矯正施設とそのの 童への最善の配慮などを求める」という ものであった。 運営を可能にする国レベルの政策策定の法 ほか、政府職員・・地域社会との 非拘禁措置推進という意味では、 19
特集刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 第 14 回 ( 2020 年 ) 国連犯罪防止刑事司法会議 ( コングレス ) 日本開催の意義 次の川年の幕開けの年に当たること等をこと、犯罪者の処遇を含む、犯罪防止対 三 2 0 2 0 年コングレス日本 受け、包括テ 1 マが「犯罪と開発」とさ策に現在払われている関心の不足が社会 開催に向けて に重大な結果をもたらすこと等を指摘し れ、分科会のテ 1 マは、それぞれ、第 1 京都コングレス開催当時、コングレス 分科会「社会防衛政策と国の開発計画」、 た上で、①各国政府に対し、各国が計画 第 2 分科会「犯罪・非行の防止及び規制している経済的、社会的開発の枠の中は専門家会議としての性格が強いもので に対する公衆の参加」、第 3 分科会「矯で、犯罪防止の施策を調整し、かっ、強あったが、その後、政府間会議の色彩が 正の分野の最近の進展に鑑みての被拘禁化するための効果的な措置をとるよう要濃厚となり、政策決定機関として位置付 けられるようになっていったとされる 者処遇最低基準規則」、第 4 分科会「社請する、②国際連合その他の国際機関に っ 0 1 : 9 1 ) 年の 会防衛における政策の発展のためのリサ対し、犯罪防止の分野における国際協力 ( 注 3 ) 。しかし、平成 ( ーチの構成」とされた。 の強化に高い優先権を与え、特に、犯罪国連総会決議により機構改革が行われた そして、その成果として、第 4 回コンと非行の防止及び規制に関し、施策を発結果、刑事司法分野における政策決定機 グレスでは、コングレスにおける最初の展させるため効果的な技術援助を要望す関として、国連に新たに国連犯罪防止刑 政治宣言といえる「総会宣言」が採択さる国に対し、かかる援助を保障するよ、つ 督促する、③犯罪防止の分野に、より直 れた ( 末尾に全文掲載 ) 。 このいわゆる「京都宣言」は、開発が接的に、また、より意図的に関与してい くため、いっそう効果的な措置をとるの 人間の生活と環境に与える影響を慎重に 考慮しつつ、各国が経済的、社会的発展に必要な行政上、専門上及び技術上の機 のための計画を緊急に改善する必要があ構の在り方に特に留意するよう勧告す ること、多数の国において、犯罪問題がる、といった内容であり、現代に通じる 質、量ともに重大化しているにもかかわ問題意識に基づいた非常に先見性に富ん らず、開発の過程において、生活の多くだものであったといえる。 この第 4 回コングレスの日本開催は、 の面で十分な注意が払われていないこと が明らかであること、犯罪が、より良き戦後の高度成長を果たし、東京オリンピ 環境と生活を得ようとする国民の努力をックを成功させた日本が、刑事司法の分 脅かすものであること、世界の犯罪問題野でも、その存在感を示したものであっ が内容及び規模において重大化しているた UNODC 写真 1 ドーハコングレス開会式 5 ・法律のひろば 2015.11
特集刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 第 13 回コングレスの概要 果的で説明責任のある、包括的な機関を あらゆるレベルにおいて構築する人間中 心のアプローチに焦点を当て、持続可能 な開発のために、平和で、腐敗のない、 包括的な社会の形成を促進することの重 要性を再度強調する。 5 我々は、効果的、公正、人道的かっ 説明責任のある犯罪防止及び刑事司法制 度と、これを担う諸機関を支持する決意 と政治的意思を再確認し、国家主権及び 領土の不可侵性の原理を最大限に尊重し つつ、かっ、人間の尊厳、すべての人権 及びすべての人々、特にその地位の如何 に関わらず、多様かっ悪質な形態の差別 に苦しむ社会的弱者を含む、犯罪の被害 者、刑事司法制度の対象となる人々の基 本的自由を擁護し、あらゆる種類の不寛 容又は差別を動機とする犯罪を防止し、 これらに対処する加盟各国の責務を認識 しながら、社会のあらゆる部門による効 果的な参加及び包摂を奨励し、これによ る、より広範な国際連合のアジェンダの 発展に必要な条件の整備を奨励する。こ の目的のために、我々は、次の努力をする。 ( 略 ) 6 我々は、被拘禁者処遇最低基準規則 についての政府間専門家会合の作業を歓 迎し、 2 015 年 3 月 2 日から 5 日まで 南アフリカ・ケープタウンにて開催され た会合において専門家グル 1 プが完成さ せた被拘禁者処遇最低基準規則の改訂草 案に留意し、犯罪防止刑事司法委員会に よるこの改定草案の審議とこれに基づく 行動に期待する。 7 我々は、文化的アイデンティティを 尊重しつつ、すべての児童及び青少年に 対する文盲の根絶を含めた教育が、犯罪 及び腐敗の防止並びに法の支配及び人権 を支える法遵守の文化の促進にとって重 要であることを強調する。この点につき、 我々は犯罪防止に向けた取組における青 少年の参加が果たす重要な役割も重視す る。それが故に、我々は以下の努力を行う。 ( 略 ) 8 我々は、犯罪防止を強化し、刑事司 法制度が効果的、公正、人道的で説明責 任のあるものであることを確保し、かっ、 究極的にはすべての犯罪を防止し、これ に対処することに向けた我々の取組の基 礎として、国際協力を強化することを努 力する。我々は、締約国に対し、国際的 な組織犯罪の防止に関する国際連合条約 及びその付属議定書、腐敗の防止に関す る国際連合条約、薬物関連 3 条約、並び にテロ防止に関する条約と付属議定書を 履行し、より効果的に活用することを奨 励し、これらを締結していない加盟国に 対し、批准もしくは加盟を検討すること を要請する。我々は、テロリズムに対処 するためにとられるいかなる措置も、国 際法上のすべての義務に従ったものでな ければならないことを強調する。我々は、 虐待と陵辱の人生を強いられた多数の個 人に対する組織的な搾取を阻止するため に、国際協力をさらに強化することを努 力する。故に我々は次のことに励む ( 略 ) 9 我々は、新たに出現する形態の犯罪 を防止し、これらに対処する我々の取組 を強化するに当たり、経済的、社会的及 び技術的発展の利益が積極的な力となる ことを確保するための努力をする。我々 は、これらの犯罪によりもたらされ、増 大・台頭してくる脅威に適切に対処する 責務を自覚する。故に我々は次のような 努力をする。 ( 略 ) 我々は、犯罪及びその被害の危険に 19 ・法律のひろば 2015.11