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検索対象: 法律のひろば 2015年12月号
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1. 法律のひろば 2015年12月号

不合理でなければその支払は裁判所にお 職務発明制度・ いて尊重され、不合理であると認められ 営業秘密の保護に関する論占〔◆臼一、る場合は裁判所にまて決定することに なる ろ ひ の 律 更なる改正の必要性 凸版印刷株式会社法務本部長萩原巨刀ロ 法 しかしながら、なお、この改正法の下 でも対価をめぐる訴訟が提起されてお 一総論 ニ職務発明制度の改正 り、昨年 6 月には、実質的に最初の平成 新年改正法下における判決が東京地裁で 平成年 7 月 3 日に職務発明制度に関 背景 出された ( 注 4 ) 。また、各企業において する特許法と営業秘密に関する不正競争 防止法の改正法案が国会を通過し、いず 平成年改正法 は、前記した協議、開示、意見の聴取を れも 7 月川日に公布された ( 注 1 ) 。この 大正川年の特許法改正で、現行の特許適切に行おうとすればするだけその負荷 改正不正竸争防止法は平成年 1 月 1 日法条に規定される、特許を受ける権利は膨大なものになり、これは特許保有件 からの施行が決定しており、一方改正特が従業員に帰属し、企業はその権利を ( 予数の多い電機会社おいて顕著である。一 許法は同年 4 月 1 日より施行される見込約 ) 承継できるが、その反対給付として方、製薬会社おいては、特許出願数は少 みである。 ないものの 1 件当たりの価値が高く、た 相当の対価の支払が義務付けられるとい 昨今、オープン・クロ 1 ズ戦略の重要う枠組みが制定され、昭和年法でもこまたま特許出願に結びつき、商業化に成 性が主張される中、競争力強化のための考え方が維持されてきた。然るに、平功した発明の研究に携わった研究者は多 に、企業等の研究・開発の成果として創成年のオリンパス職務発明事件の最高額の対価が付与されるが、多くの研究者 作された価値ある技術的情報 ( 発明 ) に裁判所判決 ( 注 2 ) や青色発光ダイオード及び研究補助者等はその対象とならない ついて、公開してその代償として排他的事件東京地方裁判所判決 ( 注 3 ) などを受不公平感が少なからずあり、従業員間に 権利である特許権により保護する特許法け、平成新年の特許法改正により、「相好ましくない状況が生じているという また、そもそも特許を受ける権利を承 と、秘匿して営業秘密として保護する不当の対価」を決定するにおいては企業に 正競争防止法が同時に改正され、強化さおける対価の付与にかかる手続を重視す継することによる二重譲渡の問題も存在 ることが規定された。 する。すなわち、従業員がある企業で職 れたことは極めて意義深い。 この平成年改正法によれば、相当の務発明をなしたが、発明の届出をせず、 本稿では、主として企業の立場から両 改正法についてそのポイントを論じてみ対価の支払について、協議の状況、開示その状態のままその企業を退職し、他の 企業に転職した後転職先の企業にその発 の状況、意見の聴取の状況等について、

2. 法律のひろば 2015年12月号

特集日本の知財戦略ー新しい活用に向けた法整備 企業における知的財産の活用の取組 一の技術規格において多くの特許が累積存在し条件が確立しているイセンサーの標準条件だとして、ライセ にも関わらず、ポテンシャル・ライセンス取得を求めた例がある ( 注リ。また、 しているわけではない。しかしながら、 ンシーが条件でないとしてスマートフォンの特許料に関するある調 情報通信分野の規格不可欠特許に関して 査によれば、例えば 400 ドルの製品に ライセンスを拒絶する場合。 多くの紛争や裁判例が示されるところか ら、この特異な「特許の藪。状況が全て②ライセンサーの問題点【おいて、通信の機能を司る主要部品の半 の標準化技術一般に共通に存在する現象条件として、ライセンサーがオファー導体チップの値段はドル程度だが、通 してくるライセンス条件が高すぎて、信に関わる特許料は合計ドルであると の如く議論をされるので、論点のフォー ポテンシャル・ライセンシーがライセの報告がされている ( 注。 カスが論者によってずれることが多い。 ンスを取得することが困難であり、結 また、対策として示される案も特異な状 況を前提としているために、通常の標準果としてライセンスを拒絶せざるを得 3 LL < Z における Reason- ない場合。 化技術の観点から考えると、違和感のあ able RoyaIty とは るケースもあるのではないか ? まさし①に関しては、アジアの一部地域のポ 議論では、差止請求権の有 テンシャル・ライセンシーは、そもそも 、群盲評象の状態である。 通常、標準規格は、標準規格間でも競ライセンスの特許料を踏み倒無に大きなスポットライトが当てられて いるが、実務では Reasonable であるか 争がある。筆者の経験では、例えば、映すことを目的としている。このような会 像信号圧縮技術の MPEG4 AVC(). 264) 社に支払を要求するためには、特許の差どうかの判断が公正に行われる仕組みが と MPEG4 V1sual の二つの規格に関して止請求権が強力なツールであり、大変重要である。「 Reasonable RoyaltY 」 については、①その算定基準は完成品全 は、さほど技術的に大きな差のない技術問題による差止請求権の制限が、特 許料の踏み倒しを助長することにならな体か、それとも限られた部分とするのか 規格であるため、採用を促進するために という画一的な基準を作ることの合理 ( 注リバテントプールの特許料も、あるいような配慮が特に重要である。 一般論として規格不可欠特許への差止性、②更に多数の不可欠特許の存在が明 程度低減せざるを得なかった ( 注リ。 請求権行使は、制限すべき状況があるの確な場合、積み上げ式で個々の特許の価 は確かである。しかし、議論値だけを判断すると、例えば不可欠特 = 日 2 LLC<Z-a 実務での問題 やライセンス契約という仕組みが前提とが数百件となれば合成の誤謬が生じ、 が関係する特許ライセンスする性善説を悪用し特許料を踏み倒した質的に「ホールドアップ、 ( 標準規格 ろ り、過少申告する輩へは、実務上強力な定後に、不可欠特許権者から高額の特 = = 交渉で、実務上往々に問題となるのは、 ひ 料を請求され、標準規格の採用が困難この 対抗策が必要である。 実際は次の二つの状況である。 法 なる状態 ) が生じる等の課題がある ①ポテンシャル・ライセンシーの問題②については、画像圧縮技術の特許に 点【既に多くの契約済ライセンシ 1 がついて、ゲーム機全体の 2 ・ 25 % がラ米国公正取引委員会 ()S Fai 「 T 「 ad

3. 法律のひろば 2015年12月号

「空家等対策の推進に関する特別措置法」 ・ : 古笛恵子マネー・ローンダリング対策と弁護士倫 片山達 の概要及び空家等対策の取組支援 理 認知症等高齢者の消費者被害 ・ : 国土交通省住宅局住宅総合整備課 テロ資金の提供等の刑事規制 ー防止策の現状と今後の対策 : ・坂井崇徳 空き家問題と自治体 ー関連する国内法の改正と国際的視点 認知症高齢者等への法的サポート ー・これまでとこれから : : 榎本好ニ 今井猛嘉 ・髙岡信男 ー成年後見制度の役割・ : 空き家バンク制度の分析と展開・ : 霜垣慎治 認知症高齢者の虐待事案の現況・ : 野本雅志 法律家の視点からみる空き家問題 ■労働審判制度 認知症の方への支援 3 小澤英明 年目の課題と展望 ・ : 髙梨友也 ー現場からの報告 : ・ 不動産業界における空き家対策・ : 周藤利一 労働審判制度の概要と課題 我が国と諸外国における認知症施策 ー制度開始年目を迎えて : : : 品田幸男 ・ : 翁川純尚 ■危険ドラッグの規制と 東京地方裁判所における労働審判の実務 薬物事犯者への処遇・支援 清水響 と運用状況 3 ■インターネットと人権侵害 特集 危険ドラッグの規制と施策 : ・・ : ・ : 渕岡学 使用者側からみた労働審判制度の意義と インターネットにおける人権侵害の現況 ・ : 岩出誠危険ドラッグ情勢と取締り等の状況 課題 ・溝渕章展・中野渡守 ■窃盗事犯者と再犯 ・ : 佐藤正尚 労働者側からみた労働審判制度と今後の インターネット上のトラブルの解決手段 ー平成年版犯罪白書を読む① 川越少年刑務所における特別改善指導 ・夏見陽介 課題 ・ : 久保健一郎 平成年版犯罪白書を読んで ( 薬物依存離脱指導 ) の実施状況 近時の労働をめぐる法整備と動向 ールーティン部分に関して : : : 藤本哲也私事性的画像記録の提供等による被害の ー再犯防止に向けての総合的な取組 村中孝史 ー労働契約法を中心に : 防止に関する法律の概要 : : : : ・水越壮夫 ・ : 髙山佳奈子 ー特集部分に関して : ・ ・ : 會田幸男 児童のインターネット上のいじめと解決 再犯・再入状況と窃盗の女子高齢者の実 ・ : 島田敦子 ・法と判例からみる消費者問題のいま⑥更生保護における薬物事犯者施策の概要 に向けた取組・ 情 ・ : 押切久遠・赤木寛隆 割賦販売法の見直しの方向性 : : : 山本豊 ー平成年版犯罪白書から : : : 橋本洋子インターネット上の実名報道における権 保護観察所における薬物事犯者処遇の新 ・ : 板倉陽一郎消費者安全法改正の概要 利侵害・ : 窃盗事犯者と再犯 たな取組 ・ : 消費者庁消費者教育・地方協力課 検索とプライバシー侵害・名誉毀損に関 ー前科のない万引き事犯者を中心に : ・横地環 ー旭川からの報告 : 景品表示法改正の概要 ・ : 森亮ニ する近時の判例・ : ・ : 町田鉄男 ・ : 消費者庁表示対策課薬物事件の現状と課題 大分刑務所における窃盗防止教育 ー危険ドラッグ禍の残したもの 高齢者の消費者被害と民事訴訟・ : 瀬戸和宏 ■テロ資金・マネーローンダリングを ・ : 竹中哲之 めぐる法整備 ④「ねずみ講」に係る法的論点 保護観察における窃盗事犯の処遇 ー最近の事例を踏まえた要件・違法性 ・ : 冨田彰乃マネー・ローンダリング及びテロ資金供 ■児童虐待の現状と回復への取組 : 齋藤雅弘 の捉え方 与対策関連法の制定・改正の背景 0 2 ⑨ ー防止法施行年を迎えて 大澤裕次景品表示法に基づく差止訴訟判決 ・認知症とトラブル 、ま ろ ・ : 大髙友一・志部淳之介児童虐待の現状と虐待防止法制の展開 ② テロ資金提供処罰法改正の概要 法律家に何ができるか ・ : 石渡聖名雄 ・ : 磯谷文明の 現代における認知症をめぐる諸問題 律 親権制限事件の運用状況 ■空き家問題 ・ : 吉田輝美犯罪収益移転防止法改正の概要・ : 尾嵜亮太 法 ・ : 石井芳明・依田吉人・ ー対策と活用方法を考える 国際テロリスト財産凍結法の概要 認知症患者による事故と監督者の責任 : 小林秀樹児童虐待問題に対する弁護士の取組 松下和彦空き家をめぐる現状と課題 : ・ ー認知症徘徊事故を契機として 年間主要目次 平成 27 年 1 月号 ~ 12 月号 ・、②・・は月号 小森榮

4. 法律のひろば 2015年12月号

利益の内容を決定するための基準の策定ライン素案では、当該ガイドライン素案 新特許法条 5 項・ 6 項 に際して使用者等と従業者等との間で行が職務考案及び職務創作意匠にも準用さ 2 【 0 契約、勤務規則その他の定めにお われる協議の状況、②策定された当該基れる旨示されている。 0 つ」 いて相当の利益について定める場合に 準の開示の状況、及び③相当の利益の内 ろ は、相当の利益の内容を決定するため ひ 容の決定について行われる従業者等から 経過措置 の基準の策定に際して使用者等と従業 の意見の聴取の状況等の考慮事項につい 職務発明に関する事項については、改律 法 者等との間で行われる協議の状況、策 て適正な手続を規定している ( 注リ。な正法に特段の経過措置は定めていない。 定された当該基準の開示の状況、相当 お、今後のガイドライン策定のスケジュ改正後の各条項の適用関係は次のように ールについては、ガイドライン案のパプなる。 の利益の内容の決定について行われる 従業者等からの意見の聴取の状況等を リックコメント募集を行い、必要に応じ新特許法肪条 3 項は、改正法の施行日 考慮して、その定めたところにより相 てパプリックコメントを反映した見直し ( 以下、単に「施行日」という。なお、 当の利益を与えることが不合理である を行った上で、来年 1 月頃には、ガイド施行日については後記三 3 参照。 ) 以降 と認められるものであってはならな ライン案が決定すると見込まれる。そしに発生した職務発明に適用され、改正法 、 0 施行前に発生した職務発明には現行特許 て、ガイドラインは、改正法の施行後に、 経済産業大臣は、発明を奨励する経済産業大臣の告示として公表されるこ法が適用される。したがって、施行日以 ととなる。 降に完成した職務発明であれば、同項の ため、産業構造審議会の意見を聴い 要件に該当すれば、原始使用者帰属とな て、前項の規定により考慮すべき状況 る。 等に関する事項について指針を定め、 職務考案及び職務創作意匠 これを公表するものとする 実用新案法及び意匠法において、それ 新特許法条 3 項の適用基準 ぞれ、特許法肪条を準用する規定 . ( 実用 改正法施行前に発生した職務発明 特許制度小委員会において検討された新案法Ⅱ条 3 項、意匠法条 3 項 ) が設 => 現行特許法適用 ガイドライン案は、「適正な手続の具体けられており、職務考案及び職務創作意 改正法施行以降に発生した職務発明 的内容を明らかにすることにより、使用匠についても職務発明と同様の制度とな 新特許法適用 者等及び従業者等が行うべき手続の種類っている。 職務考案及び職務創作意匠について と程度を明確にし、同条第 5 項の規定に より不合理であるとは認められない場合も、職務発明と同様の問題があることか新特許法肪条 4 項、 5 項及び 7 項は、 に係る法的予見可能性を高め、もって発ら、従前と同様、特許法肪条を準用する相当の対価から名称を改めた相当の利益 ものとしている。また、平成年 9 月 について定めているが、相当の対価に係 明を奨励する」ことを目的としており、 新特許法肪条 5 項に例示された①相当の日の特許制度小委員会で示されたガイドる規定は、平成新年改正時にも改正され

5. 法律のひろば 2015年12月号

前出の国際標準関係技術等のあらゆる組 このような法律と現実との乖離をビジ 2 特許件数の飛躍的増大と 合せを特許化することが可能になった。 ネス化したのが < であり、このよう 2 (patent Assertion Entity) の活動 したがって、を利用する製品でなの活動を支える特許流通業者、 統計データが示すワ 1 ルドワイドの特は、 1 製品当たり 1 万件をはるかに超え紛争解決業者、さらには、一部の弁護士ば 許数は新興国、特に中国を中心に激増しる特許が関与すると言われている。このや弁理士等もこの法律と現実との乖離をひ ている。現在では特許だけでも 200 万ような多大な研究開発投資を伴わない特ビジネスに利用しているといえる 件を超える出願があると言われている。 許も含む膨大な数の特許の全てが差止請 昨今、このような特許流通が産業の発 どうしてこのような状况になったのであ求権を持っということ自体、特許法制度展に貢献している面もあるという意見も ろ、つ ができた頃には予想もしていなかったで聞くことがあり、特許のマネタイズが特 の高速化とその後のソフトウェあろう。一方では、材料、医薬、建築、許戦略の中心的な話題になり、それらを アによるハードウェアの置き換えによ物理的機構に依拠する機械等の分野で 駆使した特許戦略がメディア等で称賛さ り、特許明細書を作成する際に大きく変は、特許の数は—oe を利用する製品のれる例も散見される。しかしながら、 わった点は、それらを用いる特許明細書特許数に比べて相対的に変化は小さく、 は研究開発投資を行った企業から特許 は、特許法条 4 項 1 号にある「通常のそれらの業界の状況を慮れば、特許法のを買い取り、特許権自体の権利範囲の曖 知識を有する者がその実施をすることが改正は困難であり、その議論はなされて昧性と差止請求権を有するという特質を できる程度」に対する壁が著しく低くな いないのが現状である 利用し、買取り価格よりはるかに大きな った点である。つまり、実施例には、 O 多大な研究開発投資を伴わなくとも可額の収入を他の企業から得るという事実 とそれにバスを介して繋がるメモ能な特許出願は、場合によっては幾つか から見て、の活動は技術開発によ り産業の振興を促す特許法本来の趣旨に リ、プロセスュニット、コントロ 1 ラ等の既存の技術の組合せに相当するので、 をプラックポックスとして図面化し、 O 必ずしも権利範囲が狭いということはな反し、産業の振興には決して貢献しない。 やコントローラの動作をフロ 1 チャく、 しかしながら、このよ、つなの活 実質的に回避が容易でないものも多 ートとして書けば、この要件はほば満た い。また、組合せを変えるだけでも、技動を法律で禁止することは現実的には当 される状態になった。 術的に良い面が必ず存在するため、その面は期待できない。したがって、企業の このことは、多大な研究開発投資を行良い面を技術的効果と主張して特許を獲知的財産戦略はこの状況を理解した上で 得することは有能な権利化担当者にとっ考えなければならない わなくとも特許出願をすることを可能と このよ した。さらに、ソフトウェアが特許化できては決して困難なことではない。 るよ、つになったことで、ソフトウェアと うな特許権は本来の特許法の趣旨から少 3 業界を超える知的財産の影響 し逸脱しており、特許法自体が現実から 既存の各種ハードウェアとの組合せや、 前述したように、ネットワーク速度の ディスプレイ上の表示、ビジネスモデル、乖離している面がある。

6. 法律のひろば 2015年12月号

ろ ひ の 律 法 ま 去務総合研究所研修第三部では、法務局及び入国管理的体制の整備を計画的に進めていかなければならない 、局関係職員に対する研修を実施している。法務局及た、近年の社会情勢等により、ここ約川年間に大幅な増員 び入国管理局は、ともに多様な業務を取り扱う組織であるが認められた結果、現時点において既に職員構成に急激な ことから、それぞれの専門業務に特化した実務に役立っ研変化が生じており、今後も大幅な増員が見込まれる状況下 修を設ける必要があり、とりわけ、それぞれの専門業務に において、新規採用職員の育成はもとより、若手職員を指 即応するため、研修科目に実践的内容の演習等を加えた研導・育成する立場にある中堅職員の職務遂行能力を向上さ 成 修を実施し、他方、必すしも業務に即応したものとはいえせるとともに、将来、部門等の責任者となることが期待さ 月 ないものであっても、権力行使の根拠となる法理論を学ぶれている職員に高度な管理能力を修得させるなど、組織カ 〕目機会を設けるなど、法の支配の担い手としての職員の育成の強化を図るための研修の充実が重要な課題とな 0 てい る を図っているところである 職 ところで、法務局においては、厳しい定員事情が続いて このような状況を踏まえて、法務局部長及び地方法務局 のおり、今後も定員合理化計画に基づく厳し〔状況が見込ま長を対象とした管理研究科研修のほか、法務局・入国管理 れる。しかしながら、法務局が国の行政機関として、国民局ともに課長職等を対象とした管理科研修、今後の組織を の期待と信頼に応え得る組織であり続けるためには、所掌支える若手職員を対象とした高等科研修等においては、組 し する各種業務を適正・円滑に遂行することはもちろんのこ織マネジメントに関する講義やコーチング等の実践的な講 義を取り入れるなどして、人材育成に効果的と思われる研 とと、国民の求める新たな施策にも積極的に取り組んでいく ことを通じて、法務局の重要性及びその人的基盤の強化の修を実施しているところである。 手 必要性について、一層の理解を得ていくよう努力しなけれ 研修第三部では、今後も、法務局及び入国管理局のニー しばならない このような状況下において、若手職員の育成ズを把握し、これに応じた研修を適切・円滑・確実に実施 日一のみならず、若手職員を指導・管理する中堅職員及び幹部 していくため、各種研修の実施に当たっては、法務局及び 入国管理局を取り巻く現状を踏まえ、研修内容の更なる充 職員の能力の向上を図る必要性がますます高まっており、 の 職員の高度の法律的素養と専門性の高い職務遂行能力及び実を図っていきたいと考えている。加えて、法務局及び地 方入国管理局それぞれに委嘱して実施している初等科研 酉管理能力の向上が研修において期待されている 入国管理局においては、 2 0 2 0 年東京オリンピック・ 修、中等科研修等の地方研修についても、これらを円滑に 支 法の支配の担い手と ハラリンピック競技大会に向けて、政府が目標として掲げ実施するため、積極的な支援を行い、 ている観光立国実現のために新たに講じる施策の実施によしての職員育成に努めていきたい。 ( 修 ) ろ去る外国人旅行者の増加に対応できるよう、必要な人的・物

7. 法律のひろば 2015年12月号

意識すると、企業の知的財産活動も業界らなし 、。どこの国でどのような知的財産公庁、政治家、メディアへの対応等、知 を超えたものが要求されることになる。権の権利行使をするかというフォーラム的財産部門の活動は多岐に及んでいく必 2 しかし、数多ある他業界の企業全てと折ショッピングも企業にとっては大事な決要がある。 衝をすることは至難の業であろう。一方定になってくるであろうし、これに伴、 それらの活動は常に最新の情勢に基づば では、他業界の企業と訴訟合戦をして互各国間での制度競争も激しさを増してく くものでなければならないが、ネットワひ いに消耗することは愚の骨頂である ると考えられる。 ーク、書物、メディア等を介して得る情律 法 このような他業界の企業との付き合い このような国を超えた様々な選択肢を報は最新のものとは言えず、実態を反映 は、知的財産活動においてもできる限り伴う知的財産活動を効果的に行うには、 したものでないことも多い。また、仮に win-win のスト 1 リ作りを考えるべきで最新の法制度や、判例等の司法の実態をそうであったとしても、それを正しく理 ある。そのためには、他業界と自業界と把握しておかねばならない。また、経済解することは難しく、時間もかかり現実 のビジネスの仕組みの違いや文化の違の状況や政治の動向等を理解した上で、 的ではない。それに対して、信用のでき 、特に、他国の他業界企業と話をするそれらの制度や実態がどの方向に変化する有識者、専門家等との対話は生の実態 場合には社会的な背景の違いをできる限るかをも見極めた判断も要求される。 を反映していることが多く、これらの対 り早く理解しなければならない。 話から常に情勢のアップデ 1 トをしてお その上で、他業界の相手の立場を理解 くことが重要である。 4 日取後に すれば、 win—win のストーリは同業他社 このように、企業における知的財産部 とのそれよりははるかに解が見つけやす述べてきたように、国際的に知的財産 門がなすべきことの基本的な考え方は変 いはずである。 を取り巻く状況は、 ヒジネス環境の変わらずとも、目的を達成するためには、一 化、特に、ネットワーク環境の変化に伴企業の知的財産部門内の活動ではなく、 って、ここ数年大きく変化してきてい外へのアプロ 1 チがより重要になってき 複数国に跨るビジネスと知的財 る。その中で、企業の知的財産活動は前 ていることが分かる。また、その活動の 産活動 出の五の 153 に記載のようにその活動中で得られた知見からの早い決断と実行 三の 4 に述べたように、ビジネスその範囲を拡げなければいけない。 が将来にわたる企業の知財戦略、会社の ものが複数国に跨るようになると、知的 また、他業界や他国の企業との円滑な経営戦略の成否を決定する鍵となる。 財産戦略や知的財産の活動は各国の法制事業活動や知的財産活動を補完する大学我が国企業がこれまで以上に果敢に外 度の違いや司法の実態に大きく影響されや研究機関との連携、 & < の実行やべ に飛び出し、逡巡なく知的財産活動を展 るようになる。しかも、その実態は各国ンチャ 1 の設立、そのような知的財産活開することにより、我が国の産業振興が の経済状況や国益等の要因により、日々動のべ 1 スとなる法制度の改正への参推進されることを祈念する。 変化していることにも留意しなければな画、それらに伴う大学等の研究機関、官 ( ながさわ・けんいち )

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特集日本の知財戦略ー新しい活用に向けた法整備 職務発明制度・営業秘密の保護に関する論点 ては、「相当の利益の内容を決定するた産業界から強く望んだものである。これについては、発明活動のインセンテイプ めの基準の策定に際して使用者等と従業によって「指針」の法的位置づけが明確として秘匿を決定をした際に一定額の支 者等との間で行われる協議の状況、策定となり、裁判所においても規範性のある払を行うことが考えられる。 ものとして取り扱われることが強く期待 された当該基準の開示の状況、相当の利 中小企業における対応 益の内容の決定について行われる従業者されるところである。実際には、この指 等からの意見の聴取の状況等を考慮ーし針は経済産業大臣の告示として出される大企業の多くは、職務発明についての て「相当の利益ーを決定・付与すること予定であり、現在産業構造審議会で最後社内規程が整備されており、この改正法 とし、その付与するところが不合理であのとりまとめが行われており、平成年に対応することもさほど困難なことでは ないと考えられるが、中小企業での法人 ってはならないとしている。よって、発 1 月には公表される予定である。 帰属制度の利用については容易なことで 明者への「相当の利益ーの付与に当たっ はないかもしれない。ます、最初から法 秘匿発明 ては、企業はこれまでと同様の作業を行 平成年 7 月日知的財産高等裁判所人帰属とするための社内規程の策定を行 う必要がある 、さらに従業員との協議や開示、さら 判決 ( 平成年 ( ネ ) 第 10126 号 ) によれば、その判決文中に、「この独占には意見の聴取などの手続を一定程度の 指針 前記したように現行規定の 4 項、 5 項的利益は、法律上のものに限らず、事実レベルで充たさねばならない。しかし、 雀この法人帰属制度は中小企業の経営者に に当たる手続規定がほばそのまま改正法上のものも含まれるから、発明が特許オ こそメリットがあると考えられ、このた の 5 項、 7 項に引き継がれたため、手続として成立しておらず、営業秘密又はノ の適正性を担保するための指針を法的根ウハウとして保持されている場合であつめに、官民協力して支援制度を構築し、 拠のあるものとして政府が示し、企業がても、生じ得る。」との判示がある。し運用していく必要がある。実際、特許庁 かしながら、権利範囲が特許権のようにでは中小企業向けの手引書や & < など その指針に沿った手続により付与した 「相当の利益」は裁判所においても不合は定まっていない秘匿発明について、独のツールを用意するようであり、さらに 理と判断されることがない、言い換えれ占的利益が存在するのか、またそれに基は説明会なども頻繁に開催する予定と聞 いており、日本商工会議所や日本知的財 ば「相当の利益ーの合理性についての予づく超過利益を認めるべきなのか、甚だ 見可能性を高めることを目的とした指針疑問があると考える。これは改正法に固産協会なども積極的に中小企業をサポー 有の問題ではないが、改正法に対応するトする活動を行うことが望まれる。 の策定が肪条 6 項に明記された。 ろ この指針に関する規定については、「相よう社内規程の改定を行う際に一考を要 ひ の 当の利益 [ が法定された際には、現行のする。一つの考え方として、従業者から 律 3 まとめ 法 法律的に根拠のない事例集に代わるもの発明の届出があり、その発明にノウハウ 以上、職務発明制度についてのこの として条の条文に組み込まれることを的要素が高いとして特許出願しないもの

9. 法律のひろば 2015年12月号

特集日本の知財戦略ー新しい活用に向けた法整備 職務発明制度・営業秘密の保護に関する論点 きから当該使用者等に帰属する。 明の特許を受ける権利を譲渡し、転職先は現実に起こり得る このような産業界からの問題提起を受 企業が特許出願してしまうことが想定さ 4 従業者等は、契約、勤務規則その他 けて、安倍政権下における成長戦略の一 れる。この場合、元の企業は自社におけ る職務発明であるにも関わらず、特許法環として、内閣官房知財戦略本部や自由の定めにより職務発明について使用者等 に特許を受ける権利を取得させ、使用者 条 1 項の規定によって、その特許出願民主党政務調査会知財戦略調査会におい についての対抗要件を有さない。雇用のて、前記した問題点を解消し、企業の競等に特許権を承継させ、若しくは使用者 流動化が頻繁に起こり得る状況になって争力強化とイノベ 1 ションの活性化を促等のため専用実施権を設定したとき、又 きた昨今、このいわゆる二重譲渡の問題すために、特許法肪条の再改正の必要性は契約、勤務規則その他の定めにより職 が示され、表 1 のような過程を経て、特務発明について使用者等のため仮専用実 払る会産 許庁における 2 年に及ぶ議論の末、今般施権を設定した場合において、第条の 支す員財 の 資委的定 2 第 2 項の規定により専用実施権が設定 の改定に至った。 価 に究知決 力研の議 されたものとみなされたときは、相当の 争査会め閣 し 金銭その他の経済上の利益 ( 次項及び第 競調員た 特許法条の改正 属」業る委の案 7 項において「相当の利益」という。 ) を 帰ン産す小 ョ 関度正 受ける権利を有する。 改正法の内容 人 ) ンどこ し制度改 今回の職務発明制度の改正について 法。ビな度許制法 にき策る制特な許 契約、勤務規則その他の定めにおい は、特許制度小委員会において平成年 的べ政ね明勺 る始す産委発会囃る て相当の利益について定める場合には、 3 月日より、同年月日までⅡ回の = = ロめ日原に財に義 矛 = = ロ国す 相当の利益の内容を決定するための基準 審議を経て最終決定されたものであり、 提求見が度的約職審び のて意利制知契造及 その条文は次の通りである ( 傍線部が改の策定に際して使用者等と従業者等との 会めの権い「や庁構進正 緯合た会るな部属許業僊改 間で行われる協議の状況、策定された当 経連ら協けの本帰特産ンの立正部分 ) 。 」度程成 該基準の開示の状況、相当の利益の内容 至体あ産受と略人 こ団を財をこ戦法月月ンて制上法 0 乙っ乙 の決定について行われる従業者等からの 、け明会許第肪条 ( 職務発明 ) 済属的許る産 改経帰知特れ財て年年べ向発国特 4 ・広 0 意見の聴取の状況等を考慮して、その定 152 ( 略 ) に務常正 の本人本るさ的い めたところにより相当の利益を与えるこ 度日法日係制知っるっし職通改 従業者等がした職務発明について 制のに強にじ ~ ~ 直 明月明月明に月明講月月見月月月 とが不合理であると認められるものであ は、契約、勤務規則その他の定めにおい 発 2 発 4 発的 6 発を 7 3 ゞの 3 6 7 ってはならない。 務年務年務法年務置年年物度年年年てあらかじめ使用者等に特許を受ける権 ⅱ諸 LO ロ 0 LO 1 1 1 1 1- 尸 . ー . 職職職が職措 3 0 0 0 0 0 利を取得させることを定めたときは、そ っムつ」 0 乙 経済産業大臣は、発明を奨励するた 却 A A A AA AAA の特許を受ける権利は、その発生したと 37 ・法律のひろば 2015.12

10. 法律のひろば 2015年12月号

・ : 藤田香織第回コングレスの概要・ ・ : 松下裕子 援 : ・ 成幻年 1 月日 ) ・ : ・土取義朗 0 虐待を受けた子どもの状況と子どもへの 私が見たコングレス・ワークショップ 損害賠償と労災保険給付との間の損益相 再犯防止対策と調査研究の役割・ : ワ」 支援・ : ・ : 藤田恭介 ー第回ドーハ会議に参加して 殺的な調整 東京地検犯罪被害者支援室発足 1 年を迎 5 0 家族の回復に向けた取組 : 川﨑ニ三彦 ・ : 山下輝年 えて : ー最高裁平成年 3 月 4 日大法廷判決 2 、ま 虐待防止・早期発見のための取組 第四回国連犯罪防止刑事司法委員会 ( コ による判例変更・ ・ : 尾島明 0 法教育の普及・推進に向けた取組 : : : : 0 ろ ー困難を抱える親への支援 : : : 中板育美 ミッション ) の概要・ ・ : 神谷瑞枝責任を弁識する能力のない未成年者の親 捜査における国際協力とコミュニケーシ ひ の 犯罪の国際化へのアプローチと国際協力 権者の監督義務者としての責任 ■スポーツ振興の未来 の現状 : ・ 川出敏裕 ーサッカーポール事件最高裁判決 ( 最 保護観察官の研修の現状・ : ー法的立場からみた課題と紛争解決⑩ 一小判平成年 4 月 9 日 ) : ・菊池絵理・ 少年鑑別所における非行及び犯罪の防止 スポーツ庁の設置とスポーツ紛争解決に ■日本の知財戦略 に関する援助 : 0 関する今後の施策 ー新しい活用に向けた法整備朝 司法修習の新たな取組・ : 読み切り ・ : 文部科学省スポーツ庁政策課「知的財産推進計画 2015 」の概要 更生ペンギンのホゴちゃん : ・ スポーツ紛争の解決手段と仲裁制度にお ・ : 内閣官房知的財産戦略推進事務局商法改正中間試案の概要 訟務局の新設と新たな法的支援制度 : : ・・ ける代理人の実務・ 上敏郎特許法等の近時の改正の概要 ・ : 松井信憲・宇野直紀・山下和哉 0 効果的な人権啓発活動のためのニつの試 どうしてスポーツ事故は繰り返されるの ・ : 深津拓寛・松田誠司第回″社会を明るくする運動″ 0 カフ・ 国際的知財紛争と知的財産高等裁判所の ー犯罪や非行を防止し、立ち直りを支 高度外国人材の受入れ促進に向けた取組 0 ー今のスポーツ事故対策に欠けている 果たす役割 える地域のチカラーに寄せて「犯罪に 取調べの録音・録画の拡充・ : 0 ものは : : 望月浩一郎 ーアップル対サムスン (iPhone) 知 戻らない・戻さない」ために 登記所備付地図作成作業の更なる推進・ 0 スポーツ指導と人権 財高裁大合議事件における LLC<ZO ・ : 押切久遠・最近の犯罪・社会情勢と検察業務の変化⑩ ースポーツ指導における暴力を中心と 宣 = = 口がされた標準規格必須特許に基づ 第 5 次出入国管理基本計画の概要 「世界一安全な日本」と再犯防止・ して ・伊東卓 く権利行使を素材として : : ・・・ : 飯村敏明 ・ : 根岸功の東京地検社会復帰支援室の「今」・ 日本バスケットボール協会に対する制裁 企業における知的財産の活用の取組 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法 外国法事務弁護士制度の検討状況 : : ・の ( 資格停止処分 ) が解除されるまでの ・ : 守屋文彦 律の一部を改正する法律」の概要 日韓検察庁親善サッカー大会・ : 経緯・ : ・ : 境田正樹岸郁子職務発明制度・営業秘密の保護に関する ・ : 土倉健太・法の支配の担い手としての職員育成 : : ・ スポーツに関する国際的な法整備 論点・ : ・ : 萩原恒昭平成年版犯罪白書のあらまし ・ : 山崎卓也知的財産に関する国際的な動向と企業の ・ : 冨田寛・ 連載 海外展開における課題 : ・ : 長澤健一 ■刑事司法と国際協力 ■民事判例研究 ひろば時論 ー第回コングレス・第四回コミッ ( 一財 ) 日本法律家協会民事法判例研究会 ションの成果と課題 最近の判例から 第回全国中学生人権作文コンテスト : ①精神上の障害により事理を弁識する能力 第図回 ( 2020 年 ) 国連犯罪防止刑事 妊娠中の軽易業務への転換を契機とする 外国人行政を取り巻く我が国の状況 を欠く常況にある者に法定代理人がな 司法会議 ( コングレス ) 日本開催の意 降格措置の有効性・適法性 ( 最一小判 ー入管白書 : ・ ① い場合と民法 158 条 1 項の類推適用 平成年間月日 ) 検察の国際性の向上 : ・ ② の可否 ( 時効の期間の満了前の申立て ー京都コングレスから年の節目に向 小島冬樹・足立格・児島幸良②無戸籍者問題に対する取組状況 : ② に基づき後見開始の審判がされた場合 けて : ・ : 池田美穂子の引渡しに関する裁判例 ( 東京高決平 控訴審段階での犯罪被害者等の保護・支 に、民法 158 条 1 項の類推適用を認