特集認知症とトラブル法律家に何ができるか 認知症の方への支援 も出てくる。よくよく聞くと、 O さんはように支援する専門職である。この事例る。就労や子育てに関する問題など、深 かなりのものをさん宅より自分の家へは、本人が自分の経済力により自立した 刻な困難を引き起こすことになるため、 「お持ち帰りーしていた。そのことにつ生活を送る中での支援であり、経済的虐今後の支援が急がれるところである いて聞いてみたが、 全く悪びれる様子も待が懸念される内容でもあった。継続し 若年性認知症の有病率 なかった。「あの人は認知症だから : : : 」 て観察と見守りを続け、何かあれば介入 歳人口における人口川万人当 を繰り返し、その業者に騙されているこする必要があると思われる。 ① ・ 6 人であ たり若年性認知症数は、貯 と、自分がそれを見張って守っているか り、男性・ 8 人、女性・ 7 人と男 ら、そのお礼に少しもらっているのは当 若年性認知症 たり前という話が繰り返された。介護支 性が多かった ( 表 3 参照 ) 。 援専門員は、その話については傾聴し、 歳までに発症する認知症について、②全国における若年性認知症数は約 0 3 ・ 78 万人と推計された。 0 さんの思いを受けとめた。また、さ一般に「若年性認知症」と呼んでいる んともよく話し、あくまで必要な電器製若年性認知症とそうでない高齢期の認③基礎疾患としては、脳血管性認知症 ・ 8 パ 1 セント ) 、アルッハイマー 品のみを購入するということの了承を得知症は、認知症としての症状や病態に病 ( ・ 4 パ 1 セント ) 、頭部外傷後 た。また、さんの家の玄関や冷蔵庫な理学的な差異があるわけではないが、高病 ( 遺症 ( 7 ・ 7 パーセント ) 、前頭側頭 ど、目立っところに 齢期に発症する認知症とは異なる様々な 「担当介護支援専門員〇〇〇〇 社会的・家庭的な問題を抱えることにな葉変性症 ( 3 ・ 7 パーセント ) 、アル 何かあったらこちらにご連絡くだ さい。関係各所と連携し、さんの 生活を守ります。 計定者人 8 3 4 5 8 0 1 5 乃 連絡先〇〇〇ー〇〇〇ー〇〇〇〇」 訳 と大きく貼り出すことを了承してもら病 内 の 数か所に貼ってきた。 O さんにも、 症こ 0 っ乙 1 広 0 LO 0 乙 CD つ」っな 7 ′ 当伏 これからもさんの生活を「見守る」と 疾 一三 0 つ」 ( 0 つな CD 1 0 4- ロ 0 広 0 C-D 礎 基 いう役割を意識してもらい、「お持ち帰年万率女 0 病 の り。から少しずつ意識をそらしてもらえ墸 印有 8 っ 0 つな LO CD 1 ロ 0 1- 8 一 ~ 1 「 / 8 1 8 ( 0 8 4- 0 乙 7 ′知 - 知 - っ ~ 柄 1 00 CD 4 一 ( 乙 LC) るよ、つに接していこととした。 認認伴ン 型をソ % 介護支援専門員は、基本的には介護保齢 年→症。頭症外症 険制度を根拠にして本人や家族等が可能 コ知側性 % 部遺ア 年トト若劒認 ~ 1- っ乙 0 乙っっ 0 4 4 ) 広 0 C.0 1 レ認 3 頭変頭彳 図レ 刃性前 な限り自立した生活を送ることができる表 その他 17.0 % 脳血管性 認知症 39.8 % アルツハイマー病 25.4 % 0 55 ・法律のひろば 2015.2
それを実現することが難しいという事態 ・抽象思考の障害 害 2 に陥りやすくなるといえる。そのよ、つに ・失語 障害 銘障 なることの別の一端には、認知症の人 ・失見当 記の 2 、ま 障障 が、認知症という病気により自分のこと 失認 憶害 害害記障 害支支年ひ ・失行 を適切に表現できなくなることが挙げら 障障ドの 障害ののの 能障活係律 憶憶一考 れる。脳の萎縮や脳血管障害等により脳 ・実行機能障害 記記ソ思当 機の生関 期期ピ象語見認行行断常人店 ・判断の障害 の神経細胞が減少することで、自分で自 短長工抽失失失失実判日対井 ③生活の障害【今までの自立した生活分のことを的確に表現することが困難に 永 る なるのである。 に支障をきたすこと て か ・仕事や社会生活に支障 し れ 否定される ・対人関係の障害 き き と で オよ 認知症の方本人が、自分なりにしたい 銘 ことや望みを抱えていたとしても、ある 実行したいことかできない か な支すれ わ なきにここ 表 2 を見ると、記憶障害や認知障害 ( 実いはどうしたいか選択の場面があったと とな がなないきで活起の こせ味きかなでるが生を療 行機能障害 ) があることにより、生活のしても、その望みや希望は「認知症があ た出意でつきがな断会ル診 障害につながっていることが予想できる人だから判断できないだろう」、又は ついるのががで作く判社ブ症 行思れざり当知操なの、ラ 認 る。つまり、一人では生活に支障が生じ「どうせわからないだろうから聞かなく 、を忘わ取見認のらか業ト てしまうことにより、誰かの何らかの手てもよいだろう、こちらで決めてしまおンととをとりのを具かれ職と イここ体こや所人道わこの人学 う」と本人に確認せすに決められてしまポたな全やの場いながかでのに 助けを必要とする状況になるといえる のい切験語葉とし単順れまり医 うことが多い。聞かれたとしても、認知 手助けを受けながら社会生活を営むわけ か聞大体単言時新簡手あ今周銘 だが、そうした場合、多くは手助け ( 介症であればなかなか答えを出すことがでど 夫 害。啝 護・介助 ) を行う人の決定に身を委ねるきない場合が多い。仮に答えられたとしカ 障 症害 害障ちと 障能うこ ことになっていく。どこかに行きたい、 ても、「認知症だから、正確に判断でき蜘障 知機のる ていないだろう」と思われ、介護者や家 又は慣れた家で過ごしたいと思っても、 認行次あ 生 ② ( が ③出 手助けをしてくれる人が連れて行ってく族等の判断が優先され、本人の思いや望表① れなければ行けない、又は家で過ごしたみは尊重されないことが多い。確かに いが手助けをする人の都合により家で過認知症が進行してしまうと複雑な思考や思を軽んじることはいかがだろうか。前 判断は難しくなるだろう。しかし、だか述したように、認知症になっても本人の ごすことができない、などである。 らといって本人の自己決定を無視し、意感情は生き生きと残っており、表現でき 本人がいくら実行したいと思っても、 一三ロ
特集認知症とトラブル法律家に何ができるか 我が国と諸外国における認知症施策 援の目的・理念等を明示した新たな 5 かの高齢者在宅ケア拠点の整備」、「認知症 3 オランダ 2 0 0 6 の人に対するケアの研修・トレ 1 ニン 年計画である「認知症国家戦略 オランダでは、 2 0 0 2 年、健康審議 ー 2010 」 (National Framework for グ」の 3 本柱に沿った施策も展開され 会による認知症の人及び認知症ケアの現 Action on Dementia 2006 ーー 2010 ) を策た 定した。 状と課題に関する答申を契機に、国を挙 また、「認知症国家戦略 2006 ー 2 この「認知症国家戦略」では、「認知 010 」は、 2011 年末まで延長されげた取組が本格化し、 2004 年に「全 症とともにポジテイプに生きるための総るとともに、「認知症イニシチアプ」の国認知症プログラム ( 2004 ー 200 合モデル」として、認知症の人を直接支評価や、連邦政府・州政府・準州政府の 8 ) 」 ( »-a 【 Landelijk Dementie Pro- える介護者・家族とケアサ 1 ビスが対に代表で構成される認知症ワーキンググル gramma) が実施された。 このプログラムでは、アルッハイマ 1 なる形で位置づけられ、「認知症の人と ープの評価を踏まえ、認知症ケア施策の 介護者、家族の生活に良い変化をもたら更なる展開に向けて新たな国家戦略を立協会の各地の協会支部が中心となり、全 すため、国民は協力して取り組む」こと、案すべき方針と五つの提言からなる「評国地域において、認知症の人・介護者 「政府は、認知症の人と介護者・家族に価報告書」がまとめられた。 2013 年とケア提供者から成るワ 1 キンググルー とってアクセスしやすく、シ 1 ムレスな 5 月、連邦政府はこの評価結果を踏まえプを設置した。それぞれの地域における ケアパスをつくるため、サービス提供者た新たな戦略を検討し、初案となる提言認知症ケアの課題抽出・優先づけ、緊急 及びコミュニティと協力する」ことを目書として「 National Framework for Ac ・度の高い問題改善に向けた三 5 四つのプ 的として設定し、優先すべき領域とし tion on Dementia 2013 ー 2017 Draft 」をロジェクトを実施し、「当事者視点に基 て、「ケアと支援」、「認知症に関する情公表した。この初案では、今後取り組むづく良い認知症ケア」像の明確化を目的 としつつ、認知症の人・介護者の言葉を 報やサ 1 ビスへのアクセスと公正」、「情べき施策内容を、「リスク削減と認知・ 認識」、「アセスメント、診断と診断後の用いてⅡの問題領域を整理し、この領域 報と教育の提供」、「調査研究」、「人材と サポート」、「マネジメント、ケア、支援に対応して推奨される活動をワークプッ 研修」の五つを示している クにまとめるなど、一定の成果を挙げ とレビュー」、「終末期」の四つのステ 1 なお、この戦略に加え、認知症の人と 介護者に対する支援を目的とする事業でジに分け、そのステージごとに、政策、た なお、ここで取り組まれたプロジェク 人材、教育、研究、多様なニ 1 ズグルー ある「認知症イニシチアプ」として、 2 0 0 6 年から 5 年間、「認知症の人と介プ、環境とコミュニティ、の 6 分野の整トの上位としては、「ケースマネジメンろ ト」、「認知症及び認知症ケアに関する情の 護者の生活の質を改善するためのさらな理を行っている。 報充実」、「早期発見・診断」、「家族介護法 る研究、ケアの改善、早期介入等のため 者支援・レスパイトケア」、「専門的教 の取り組み」、「認知症に特化した拡張型
本人と介護者や家族等の関係性も良好な 状態を維持できれば、それはなお認知症 の症状を緩和することにつながるのであ る。 ろ 本稿では、認知症を有する人々の実例 8 律 からその現状や日常生活上の困難等を心 法 特別養護老人ホームとかみ共生苑高梨友也 理的側面からの視点も含めて報告し、介 じ込める、訴えの多い落ち着かない人を護者や家族を含めたその生活の危うさや 一はじめに べッドや車椅子に縛りつける、それでも権利侵害の可能性などについて検証す る。認知症の症状は「生活障害」とも称 「認知症の人は、周りは大変だけど本寝ない人には薬で抑える、などである。 しかし、近年になって、認知症の人のされることから、主に生活のなかでの支 人は何もわからなくて幸せ」と思われて いたことがあると聞いて久しいが、今で権利や残された機能、表現されない意思障や必要な支援について報告することと もそうだろうか ? 近年の認知症の研究などが着目され、それらを探り、的確にする。 や認知症の方本人の発言等により、様々表現されていない本人の意思を可能な限 り代弁し、意思決定を促す援助を行う本 なことが明らかになってきた。 ニ認知症の人の日常 認知症の人も、我々と同じように感人主体のケアが認知症ケアの本流として じ、思い 、喜びも悲しみも抱えて生きて提唱されてきている。介護者主体で進め ( ある朝 ) 「目が覚めたが、今は何時でここがど いる : : : ただ、認知症という病気のためられてきた歴史のある認知症ケアだが、 その反省も含め、現在では認知症の方へこだか分からない。なぜここにいるのだ にそれが適切に表現できずにいるとい う。表現できないためにそれを感じてもの支援は見直されてきている。認知症のろう。何をしたらよいのだろう。まずは いないと判断され、本人の思いは見過 ) 」方本人の尊厳、権利、意思が尊重されるこのなぜか高い台の上にある布団をたた まなければ。しかしどこに片付けるか分 ことで、本人も自分の存在意義を感じ、 され、権利を迫害されて生きざるを得な かった人々 : : : それが認知症の人の知ら不安感や焦燥感は軽減され、そのことでからない。仕方がないから床にいったん 例えば徘徊や妄想などの症状が緩和され置いておき、後で片付けることにしょ れざる側面かもしれない。 ・ : 誰か見知らぬ人が入ってきた。 ることにつなかるとい、つことが明らかに 研究の進展等に伴い認知症ケアについ ても変遷があった。以前は、問題対処型なってきた。認知症による症状が緩和さ床の布団を見て何か大声で話しているが 目をつり上げてこち ケアと呼ばれる認知症の症状に対してそれることは、周りの介護者や家族等の負早くて分からない 担も軽減されることを意味している。こらへ向かってきた。こわい。何かされそ れを抑制するケアが当たり前のように行 われていた。歩いてしまう人を部屋に閉れらのことにより、結果的に認知症の方うだ。 認知症の方への支援 ー現場からの報告
コール性認知症 ( 1 トセンターなどがあるが、それらの十必要があろう。その上で、柔軟な思考に 2 レビー小体型認知症等 ( 3 ・ 0 パ 1 セ分な情報を持っている人は少ないと考えより新しい情報や研究結果、実践の成果 られ、各自で苦労しながら取り組んでい に目を向けることで、認知症の人本人と 5 ント ) の順に多かった ( 図参照 ) 。 介護者や家族の権利を復活させ、より一 ④推定発症年齢の平均は贏・ 3 歳であるのが現状であろうと思われる ( 注 3 ) 。 ろ った。 層の生活の質の向上を図ることが求めらひ 律 れているのである。 法 五まとめ 最後に、認知症の人への支援は、本人 若年性認知症の人の困難 認知症の人への支援は、①認知症といの声なき声を聴き、隠された思いを引き 前述したとおり、若年性認知症の人が 抱える問題は、本人のみならず家族に大う病気の理解、②認知症を有する「人」出し要望等を推測するという、認知症を きな影響を及ばす。就労していれば、仕の理解、③認知症ケアの理解、の三つの有しない人々にも通じることである。特 事の継続が危ぶまれることがあるし、継次元を理解することで、適切な支援に近別なことではなく、全ての人のケアの根 幹にかかわるコアな部分であると思われ 続困難ということになれば、その家族のづけると思われる。 経済状況に直結する。子育て中の場合も病気によって本人が表現できない本当る。認知症の人の困難と支援を考えるこ あり、子どもの養育や教育費など、大きの気持ちや感情を、できるはずのことがとは、人間対人間の在り方を見直すきっ できないもどかしさを、我々が理解しよかけにもなるのではないだろうか な問題となる。 年齢が若ければ若いほど認知症に関すうとすることで本人に近づくことができ る。本人に近づくことができれば、それ ( 注 ) る家族の理解や受け容れも難しくなり、 だけ適切な ~ 文援にも近づノ \ ことを亠昼咊す・ ( 1 ) 制作・著作認知症介護研究・研修東京センター 雇用先とのトラブルや、家族関係が悪化 「認知症の人から学ぶ 5 クリスティーン・プライデン る。また、日々の生活に困難を抱える認 することも少なくない。 講演より 5 」 「本人による病気の受け容れ」に加え、知症の人々は、その意思や尊厳を軽んじ ( 2 ) 厚生労働省「若年性認知症の実態等に関する調査 「家族による病気の受け容れ」がより若いられる傾向が強い。高齢者虐待のデータ 結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策につい をみても、特に入所系施設においてはそ 世代で求められることになるのである。 て」 2 0 0 9 年 現状、若年性認知症の人々が生活を継の多くの割合を認知症の人が占めている ( 3 ) 東京都福祉保健局『若年性認知症ハンドブックー 続するのに、充分な制度や支援策がある ( 注 4 ) 。このことからも、認知症の人が 職場における若年性認知症の人への支援のために」 2 とは言い難い。介護保険制度や障がい者権利を侵害されずに自分らしく生きるこ -0-1 、 00. 正・ ( 4 ) 厚生労働省「平成年度高齢者虐待の防止、高 支援制度、成年後見制度等の活用や、支との困難さが改めて推測できる。 援者組織 ( 若年性認知症家族会や認知症我々は、認知症という現在進行形で研齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対 ワ 3 -0- 1 亠り 0 年 の人と家族の会等 ) 、サポート組織とし究と解明が進んでいる病気に対し、従来応状況等に関する調査結果」 ( たかなし・ともや ) ての若年性認知症 0 ールセ、一タ 1 やサポの偏見や誤解に基づくイメージを変」る 3 ・ 5 パ 1 セント ) 、
特集認知症とトラブル法律家に何ができるか 我が国と諸外国における認知症施策 り、これまでの認知症ケアの流れを変え 我が国と諸外国における ることを基本目標とした「今後の認知症 施策の方向性について」を公表、さらに、 知症施策 これまでの認知症医療・ケアを一歩進め て、初期の段階から適切にサポートし、 認知症の人の在宅・地域での暮らしを支 厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室公羽月 . 純肖 えることを目指した戦略である「認知症 施策推進 5 か年計画 ( オレンジプラン ) ー き役割を提言しており、例えば、 一はじめに 〇 2010 年の時点で 3560 万人の認を公表し、 2013 年 4 月から施行して いる 現在我が国における認知症の人の数知症者がいると推計されるが、毎年 7 この「認知症施策推進 5 か年計画」に 70 万人の新しい認知症者が増えてお は、 2 012 年で約 4 6 2 万人、 o り、世界のどこかで 4 秒に 1 人が新しついては、 2014 年度末に新たな段階 (MiId Cognitive lmpairment 【正常と 認知症との中間の状態の軽度認知障害 ) く認知症になっていることになる。認を迎えることになるが、詳細は後述する 知症の加速度的な増加は、特に現在まこととし、まずは、先進各国での認知症 の人は約 400 万人と推計されており、 に対する取組について、近年において だリソ 1 スの乏しい低中所得国におい 合わせると歳以上高齢者の約 4 人に 1 て迅速な行動を必要としている。 様々な研究レポートなどを通じた情報把 人が認知症の人又はその予備軍と言われ ている。今後、高齢化の進展に伴い、更〇保健システムが、今後予測される将来握も行われていることから、これらのレ の有病率増加に対処する上で、莫大なポートを踏まえ、いくつかの諸外国にお に増加していくことが見込まれている コストが大きな課題となる。現時点ける認知症施策についてその概要を紹介 が、我が国のみならず、こうした高齢化 にイう認知症の人の増加への対応は世界で、そのコストは毎年 6040 億ドルする。 共通の課題となっている。 ( 約兆円 ) で、その増加は有病率の 上昇よりも急速となると推計される。 2012 年に、 ( 世界保健機関 ) 一一諸外国における認知症施策 といったことが言及されている と < — ( 世界アルッハイマ 1 協会 ) と こうした中、我が国では、超高齢社会 が共同発表を行った報告書「 Dementia 【 イングランド ろ A public Health p ュ 0 ュ」では、認知症である我が国における今後の認知症施策 ひ イングランドでは、 2 0 0 7 年に「認の の人が今後、低中所得国において爆発的について実行ある施策を講ずることを目 に増加することを示し、具体的な先進事的とし、 2012 年 6 月、厚生労働省の知症に関する超党派議員団」が結成され法 例等を示しつつ、国家が果たしていくべ認知症施策検討プロジェクトチームによるなどの政治的関心の高まりも受け、 2
特集認知症とトラブル法律家に何ができるか 認知症高齢者等への法的サポート いても意味を理解できない、話そうとし 示し、日常生活の個人的活動が損なわれ ニ認知症高齢者の増加と成年 る状態が少なくとも 6 か月間は認められてもうまく言葉が選べす出てこない、表 後見人等の役割 るものとされている。認知症とは状態を現できないなどの症状である。失認とは 指す用語であり、病名ではない。厚生労見る、聞くなど視覚や聴覚で知覚してい 認知症高齢者の増大 働省は 2005 ( 平成リ年度に、痴呆かるものの意味するところを正しく認識で きないことをいう。知っているはすの人 日常生活に支障を来すような症状・行ら認知症への名称変更を行い、 2015 動や意志疎通の困難さが多少みられて ( 平成年までの間年間を「認知症を知を判別できないなどの症状である。失行 とは運動機能に問題がないにもかかわら も、誰かが注意していれば自立できると り地域をつくる川カ年ーと位置づけた。 いうレベル以上の高齢者 ( 歳以上 ) 数認知症の原因疾患は間種類以上あるす、物事を目的に合わせて遂行できなく ワ 3 0 1 0 ( 平成 ) 年に 280 万人でが、頻度としてアルッハイマ 1 型認知なる障害のことである。衣服の着脱がで きなくなることが典型例である。 あった。 2015 ( 平成年には 34 症、血管性認知症が 8 割以上を占めると いわれる。その他にレビ 1 小体型認知症、③見当識障害 5 万人と予測されている。簡歳以上の高 記憶障害や失認のために、時間や空 齢者の川人に 1 人以上となる。核家族前頭側頭型認知症が注目を集めている。 間、人、場所などの見当がっかなくなる 化・少子化と超高齢社会のなかで、老老 症状である。日にちがわからない、季節 認知症の中核症状 介護、介護期間の長期化、認知症の重度 認知機能の障害として、記億障害、失がわからない、今いる場所がわからない 化が取りざたされている。 などの症状としてあらわれる。 語、失行、実行機能の障害などがある。 アルッハイマー型認知症を例にすると、④実行機能の障害 認知症 記憶障害や失認・失行のため実行機能 次のような障害がある の障害が起きる。物事を目的に合わせ適 認知症とは ①記憶障害 「物忘れ」として知られている症状で切にやりとげることができなくなる状態 成年後見制度に携わる場合には認知症 の知識が必要である。認知症とは、いったある。人は加齢とともに記憶障害が起こである。外出のために衣服や持ち物を整 りやすくなるが、認知症では症状としてえる、家事を段取りして予定通りにこな ん正常に獲得・成立した脳の知的機能が、 【 0 何らかの後天的、器質的な障害によって進行していくことに特徴がある。物や人す、買い物に行って必要なものを買って 0 慢性的に低下し、日常生活に支障を来しの名前、物を置いた場所やしまった場所くるなど、順を追っての作業が途絶えて ば ろ しまい遂行できなくなる。 た状態である。の国際疾病分類第など物忘れが多くなる。 ひ の ②失語。失認・失行 川版では、脳疾患による症候群で、意識は 律 法 周辺症状 失語とは読む、話すなどの言葉を使っ 清明であって、記憶、思考、見当識、理解、 計算、学習能力、言語、判断などの障害をた行動においての障害である。言葉を聞多くの認知症の方に出現するが必ずみ 0
特集認知症とトラブル法律家に何ができるか 我が国と諸外国における認知症施策 génératives 2015 ー。 2019 」を発表。 ) 。 協会等それぞれの立場からの情報や意見症施策の取組状況をお示しした。それぞ を集約したバックグラウンドレポ 1 トをれの国における政府の構造や、施策等の 作成し、その上で 2010 年秋に、「デ根拠となる法律や関連法の立ち位置など 5 デンマーク ンマーク認知症アクションプラン」を策が異なることから一概に比較することは 困難であるが、こうした取組の比較への 定している。 デンマークでは、長年にわたり、「認 このアクションプランでは、認知症ケ参考に資するものとして、 2013 年 1 知症の人を 1 人の人として尊重するこ と」、「専門性に基づいた支援を行うこアに責任を持つ自治体に対して、七つの月、認知症施策の国際動向を把握するた と」、「責任の所在を明確にすること」のフォーカス ( 着眼点 ) とⅡのリコメンデめに、国家戦略として打ち出すことによ 三つを認知症ケアの基本理念として、家 ーション ( 提言 ) を明文化し、地域間のりサービス改革等を強力に推進している 庭医、州立病院老年精神科、認知症の人格差や、組織的な均てん化をトップダウ前記の国々から政策関係者を招聘し、「認 ンで提示しているという特徴がみられ知症国家戦略に関する国際政策シンポジ の治療・ケアのほばすべてのフェ 1 ズに ウム」 ( 主催【公益財団法人東京都医学 関わる認知症コ 1 ディネーターが緊密にる。 なお、このアクションプランは、認知総合研究所、後援【厚生労働省ほか ) が 連携し、必要に応じて地域で協働するこ とで、認知症ケアの体制が支えられてき症を全国民的な政治的課題へと位置づ東京で開催されている。 このシンポジウムは、前述の「認知症 け、特に既存のリソースのコ 1 ディネ 1 こうした地方自治会主導によるポトムト機能の強化を加速させているが、一方施策推進 5 か年計画」が 2013 年 4 月 アップでの認知症ケア体制を構築してきで次のステップとして「認知症治癒に向より施行される上での足がかりとなるイ たが、 2009 年肥月の国会で、アクシけた更なる研究への投資」、「適切な診断べントであると同時に、今後の我が国の 認知症施策の方向性について、その方向 ョンプラン策定のための省庁横断的ワー 評価を受けられるようにするための啓 キンググループの立ち上げが超党派で合発・人材育成」、「関連するすべての支援性についての確認を行う上でも一定程度 意され、内務保健省・社会省・財務省の者の質の底上げ」、「国全体の認知症治の意味のあるイベントとして認識されて 3 省と広域自治体・基礎自治体の連合組療・ケアのレベルを高め、均てん化を更おり、シンポジウムの場では、以下に示 織とで構成されるワーキンググループがに進める」ためのプラン 2 ・ 0 の策定をす「共通する理念と推進体制」、「地域生 活を可能とするための共通戦略の例」に 結成された。 求める声も見受けられている。 ついて論点がとりまとめられたが、目指ろ アクションプランの制定に当たって すべき方向性については、「認知症施策の は、まずは認知症に関する既存の実践や 6 日本 推進 5 か年計画」にせよ、各国の国家戦法 リソースのマッピングや、研究、医療、 いくつかの諸外国における認知略にせよ、大きな相違はないものと考えい 法律、ケア、一般市民、アルッハイマー 以上、
られている 境で暮らし続けることができる社会」の硯 Health P ュ 0 ュ」では、以下のメッセー ジ ( 提言 ) を発信しているが、これも今実現を目指すという目標を掲げるととも 2 〇共通する理念と推進体制 後の認知症施策の方向を論ずる上で、同に、医療・介護等の基盤整備に類する一 ・基本的理念【認知症の人の思いを尊じべクトルを指し示しているものとも考定の施策については、 2017 年度末ま ろ ひ での数値目標を設定しており、これよ忍 重し住み慣れた地域での生活の継続えられる。 , を一三の 知症施策の推進の基盤でもある医療制度法 を目指す 〇行動の時は今だ や介護保険制度における政策推進とも密 ・推進体制【首相・大統領レベルのリ 1 ダ 1 シップ、当事者・市民の積極 ・認知症にフレンドリーな社会を世界接な関係があることを考慮して設けられ 的に促進する た仕掛けともいえるものである。 的関与 ・認知症を国家の公衆衛生、ソーシャ 今後更に認知症施策を推進・展開して 〇地域生活を可能とするための共通戦略 ルケアにおいて優先させる いくには、「認知症施策推進 5 か年計画」 の例 ・認知症に対する公共上、職業上の態 に位置付けられた各施策について課題分 ・事前の意思表示【本人の意思や希望 度を改善し、理解も深める を初期に確認し、それを尊重したケ 析や様々な視点からの評価を行いながら ・認知症者と介護者へのケアとサービ 進めていくことが必要不可欠なのは一一一一口う アの提供 スを改善するために、健康と社会に までもないが、例えば、介護保険一つと ・早期・事前的対応【早期の適切な診 関するシステムに対して資源を費や ってみても、利用者の多くが何らかの認 断と支援により危機を事前に防ぐ予 す 知症を伴っている、認知症高齢者の半数 防的ケア体制 ・公衆衛生のリサーチにおいて認知症は在宅で生活しているなど、サ 1 ビス提 ・ケアラー支援【レスパイトやカウン 供場面での認知症への対応が求められ、 セリングなどの家族介護者 ( ケアラ の優先度を増す 各地域の実情に応じて、医療サービスか 1 ) 支援の強化 ら介護サービスへのシームレスのサ 1 ビ ・行動・心理症状への対応〕行動・心 ス対応や連携が必要であり、認知症施策 理症状等への心理・社会的ケアの強 三我が国の認知症施策の近況 を主眼においたまちづくり、地域包括ケ 化、抗精神病薬使用の低減 ・普及・啓発【国民の認知症に対する 「認知症施策推進 5 か年計画」は、 2 アシステムの構築が必要不可欠となって いる 017 年度末までの 5 か年計画として 2 理解と意識の向上 また、人口高齢化は、単身、あるいは 013 年度よりスタートした。本計画は さらに、冒頭で紹介したと「認知症になっても本人の意思が尊重さ高齢者夫婦世帯、高齢核家族世帯といっ —との共同報告書「 Dementia 【 A public れ、できる限り住み慣れた地域のよい環た世帯構造の変化にも及ぶなどの論点を
と笑い出したりと、通常の人よりも簡単記憶として定着し、身近な人を対象に加記憶が失われていく過程を赤裸々に話す に、感情が極端に多く出る点が特徴でも害者と限定し攻撃的な言動が出現する。 ことで、認知症に対する偏見をなくす活 ある。 動に取り組んでいる。 ろ ~ ~ < 事例 N> 近年では、脳血管疾患は生活習慣病の ひ の 筆者が老人ホ 1 ムで生活相談員をしてい 一つであり、高血圧症が脳出血の要因、 レビー小体型認知症 律 法 た時に入所されていた、氏 ( 歳、女性 ) 糖尿病や高脂血症などが脳梗塞の要因に 三つ目は、レビ 1 小体型認知症であ なるといわれている。これら生活習慣病は、物取られ妄想が激しくなり独居生活が る。前述の脳血管性認知症、アルッハイ に対し、飲酒や喫煙の習慣、運動不足な ~ 難しいと判断された。通帳からお金を盗ら ~ マ 1 型認知症とともに、三大認知症とい ど生活スタイルを改善する予防対策を講れるという妄想のため「頻繁に通帳印を変 ~ われるうちの一つである。まだレビ 1 」 じるようになっていることから、脳血管 ~ 更していたために、沢山の印鑑を持ってい 体型認知症の原因が何であるかは不明で 性認知症も少なくなることが期待され ~ た。年金支給日にいつものように銀行に行一ある。しかしながら、レビー小体という る。 くが、当日持参した印鑑が違っていたため ~ 神経物質が大脳皮質に出現することがわ に引き出すことができず、行員が勝手に通かっている 帳印を変更したから引き出しできなくなっ アルッハイマー型認知症 手足の振戦や筋拘縮などが症状として 二つ目は、アルッハイマ 1 型認知症で . たのだと思い込んで、行員に対して「泥棒 ! 現れる神経難病のパーキンソン病の場合 泥棒 ! 」とカウンター越しに叫んでいた。 ある。脳全体が委縮する疾患で、加齢と には、レビー小体が脳幹を中心に出現し ともに発病する傾向にあるため女性に多一時間をおいて筆者が氏へ印鑑の確認をす ) ている。これらから、 1 キンソン病患 いとされる。認知症の中でもアルッハイ るが、自分が何度も印鑑を変更した記憶は者の予後に認知症状が現れたり、レビー マー型認知症は、全体の半分以上を占め、なく、誰かに印鑑を変えられたという被害 小体型認知症の症状がパ 1 キンソン病様 るほどに増加している。高齢社会の進展〉者意識が増幅していった。氏は、その後 に運動障害を来したりする。遺伝とは に伴って増加することから、今後も増加 なせ印鑑が違うのかと悩み続け、抑うつ的一関係で誰にでも起こり得るものとされ していくと予測されている。最初は単純一になり、攻撃性は減少したものの、生活全 , る。他に特徴的なのは、実際にはないも な物忘れから始まることが多く、深刻な一体に対する自発性が低下してしまった。 のがありありと見えるという幻視であ る。 物忘れへと慢性進行型の症状を示す。初 アルッハイマー型認知症の場合、初期 期段階では、慣れた環境では自立して生 には自分の記憶がこれまでとは違ってく ( ^ 事例 m> 活できるが、探し物が頻繁になり「盗ら ることを自覚している。近年は、当事者 筆者が成年後見人として支援した被後見 れた」という発言が起こりがちになる。 進行していくと、盗られたことが事実のが積極的に認知症であることを開示し、 人の O 低 . ( 歳「」女性 ) は、夕方になると