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検索対象: 法律のひろば 2015年3月号
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1. 法律のひろば 2015年3月号

特集インターネットと人権侵害 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の概要 拡大を防止するため、私事性的画像記録さいと考えられるため、刑事罰の対象と像記録 ( 画像データ ) を電子メ 1 ルに添 付して送信する行為は「提供」に該当し、 ( 物 ) を公表する行為に対する罰則を設はしないこととされたものである。 けるものである。 当該データがメ 1 ルサー ー上の保存領 「特定することができる方法」とは、 ②保護法益 撮影対象者の顔や背景として写っている域 ( メ 1 ルポックス ) に保存された時点 本罪の保護法益は、性的プライバシ 1 物など、公表された画像自体から撮影対で既遂に達するものと考えられる。 である ( 注 6 ) 。 象者を特定することができる場合のほウ公然と陳列 「公然と陳列した」とは、不特定又は 本法は、全体としては、個人の名誉とか、画像公表の際に添えられた文言や掲 性的プライバシーの保護を目的としてい載された場所など、画像以外の部分から多数の者が観覧することができる状態に 置くことをい、つ るが ( 1 条 ) 、罰則については、名誉を特定することができる場合も含まれる。 私事性的画像記録 ( 画像データ ) をサ 保護法益とする刑法の名誉毀損罪が存在 「第三者」とは、撮影をした者、撮影 ーコンピュ 1 ターのハードディスク することから、本法の罰則は性的プライ対象者及び撮影対象者から提供を受けた ハシーのみを保護法益としている。 1 条者以外の者をいう ( 2 条 1 項 ) 。広く一上に記憶・蔵置させ、不特定多数の者が の前半部分において、「私事性的画像記般人にとって特定可能であることを要求アクセスして当該画像を認識できる状態 録の提供等により私生活の平穏を侵害すする趣旨ではなく、第三者のうちの誰に置いた場合、当該ハードディスクが私 る行為を処罰する」と規定され、「名誉」か、例えば撮影対象者の配偶者や友人な事性的画像記録物に該当し、これを公然 の文言が除かれているのはかかる趣旨でどが、撮影対象者を特定することができと陳列したものとして、 2 項の罪に当た ある。 るものと考えられる。 れば足りる。 ③要件 イ不特定又は ( 若しくは ) 多数の者にエ故意 本罪は故意犯であるから、過失により ア第三者が撮影対象者を特定すること提供 ができる方法 「不特定」とは、特殊な関係によって画像を流出させてしまったような場合に は成立しない。 本罪は、第三者が撮影対象者を特定すその属する範囲が限定された場合でない また、故意の内容として、私事性的画 ることができる方法で行われた場合にのことをいう。「多数」に当たるかどうか 像記録 ( 物 ) であることの認識が必要で み成立する。本罪の保護法益である性的は社会通念によって判断される。 プライバシーの侵害は、撮影対象者の特 「提供」とは、相手方において利用しあり、私事性についての認識を欠く場合引 の 定が不可能な場合にも生じ得るものの、 得べき状態に置く法律上・事実上の一切も本罪は成立しない。 律 法 その場合の法益侵害の程度は、撮影対象の行為をいい、相手方が現に受領するこオ行為主体 とまでは必要ない。例えば、私事性的画本罪の主体は特に限定されていないのわ 者の特定が可能な場合に比して格段に小

2. 法律のひろば 2015年3月号

特集インターネットと人権侵害 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の概要 拡大を防止するため、私事性的画像記録さいと考えられるため、刑事罰の対象と像記録 ( 画像データ ) を電子メールに添 付して送信する行為は「提供」に該当し、 ( 物 ) を公表する行為に対する罰則を設はしないこととされたものである。 1 上の保存領 けるものである。 当該デ 1 タがメールサー 「特定することができる方法」とは、 撮影対象者の顔や背景として写っている域 ( メ 1 ルポックス ) に保存された時点 ②保護法益 物など、公表された画像自体から撮影対で既遂に達するものと考えられる 本罪の保護法益は、性的プライバシ 1 である ( 注 6 ) 。 象者を特定することができる場合のほウ公然と陳列 「公然と陳列した」とは、不特定又は 本法は、全体としては、個人の名誉とか、画像公表の際に添えられた文言や掲 性的プライバシ 1 の保護を目的としてい載された場所など、画像以外の部分から多数の者が観覧することができる状態に 置くことをい、つ るが ( 1 条 ) 、罰則については、名誉を特定することができる場合も含まれる。 私事性的画像記録 ( 画像データ ) をサ 保護法益とする刑法の名誉毀損罪が存在 「第三者」とは、撮影をした者、撮影 1 コンピュ 1 ターのハードディスク することから、本法の罰則は性的プライ対象者及び撮影対象者から提供を受けた ハシーのみを保護法益としている。 1 条者以外の者をいう ( 2 条 1 項 ) 。広く一上に記憶・蔵置させ、不特定多数の者が の前半部分において、「私事性的画像記般人にとって特定可能であることを要求アクセスして当該画像を認識できる状態 録の提供等により私生活の平穏を侵害すする趣旨ではなく、第三者のうちの誰に置いた場合、当該ハードディスクが私 る行為を処罰する」と規定され、「名誉」か、例えば撮影対象者の配偶者や友人な事性的画像記録物に該当し、これを公然 の文言が除かれているのはかかる趣旨でどが、撮影対象者を特定することができと陳列したものとして、 2 項の罪に当た ある。 るものと考えられる れば足りる。 イ不特定又は ( 若しくは ) 多数の者にエ故意 ③要件 本罪は故意犯であるから、過失により ア第三者が撮影対象者を特定すること提供 ができる方法 「不特定」とは、特殊な関係によって画像を流出させてしまったような場合に は成立しない。 本罪は、第三者が撮影対象者を特定すその属する範囲が限定された場合でない また、故意の内容として、私事性的画 ることができる方法で行われた場合にのことをいう。「多数」に当たるかどうか 像記録 ( 物 ) であることの認識が必要で み成立する。本罪の保護法益である性的は社会通念によって判断される。 プライバシーの侵害は、撮影対象者の特 「提供」とは、相手方において利用しあり、私事性についての認識を欠く場合タ の 定が不可能な場合にも生じ得るものの、 得べき状態に置く法律上・事実上の一切も本罪は成立しない。 律 法 その場合の法益侵害の程度は、撮影対象の行為をいい、相手方が現に受領するこオ行為主体 とまでは必要ない。例えば、私事性的画本罪の主体は特に限定されていないの 者の特定が可能な場合に比して格段に小

3. 法律のひろば 2015年3月号

特集インターネットと人権侵害 検索とプライバシー侵害・名誉毀損に関する近時の判例 報道された。そのため、「今後、我が国タ保護規則提案に規定されたものであ広範な義務、そして高額の制裁金によっ り、その内容としては、事業者の利用目て広く知られるようになり、我が国でも でも『忘れられる権利』 ( のようなもの ) が認められるのではないか」「検索結果的との関係で個人情報の必要がなくなっ有名になったが、実は、現行法である の表示に対する削除請求の要件が緩和さた場合、本人が同意を撤回した場合等にデ 1 タ保護指令にも類似の規定があ れるのではないか」等の予想が語られるおいて、本人が事業者に対して、個人情る。また、 2014 年 5 月に欧州司法裁 ことがある。本件仮処分決定の今後の実報の削除を求めることができ、さらに削判所がグーグルに対して、検索結果の削 務への影響を考えるためにも、「忘れら除要請を受けた事業者は、同じデ 1 タを除を命じる決定を出したことも注目を浴 れる権利」がどのようなものであるかを取り扱う第三者に対して削除要請を通知びた ( 注リ。 するために必要な措置を講じる義務を負忘れられる権利は、外国の法制度であ 確認しておくことには意味がある う、というものである。事業者が故意又り、我が国の裁判所がこれを裁判規範と 現在のの個人情報保護法制の中心 は過失により、この義務に違反した場して採用することはもちろん、その趣旨 は、 1995 年に採択された「デー や考え方に共感して、原告・債権者の保 合、浦万ュ 1 ロ又は全世界の総売上の 1 タ保護指令」 ( 注リによるものである 1 セントを上限とする制裁金を課せら護を篤くする方向で利益衡量を行うとも デ 1 タ保護指令は、加盟国に対 考え難い。その意味で、本仮処分決定と して、データ保護指令が規定する内れる。 容の国内法の整備を要求するものであ我が国の制度で多少なりとも近いもの忘れられる権利との関係は、債権者代理 人が主張を検討する際に、忘れられる権 り、デ 1 タ保護指令が各国に対しては、個人情報保護法条である。本条は、 直接法令としての効力を持つわけではな事業者に対し、本人の求めに応じて保有利に着想を得ることができたという限度 、 0 にとどまるものであろ、つ ( 注リ。ちなみ 個人データの利用停止又は削除を行うこ に前記公表裁判例のうち、京都地裁平 現在、このデ 1 タ保護指令の改訂とを義務付けるものである。しかしなが 作業が行われており、 2012 年 1 月にら、要件として保有個人デ 1 タの取得や成年 8 月 7 日判決においては、原告が は、欧州委員会 ( 注 ) から「一般デ 1 タ取扱いに違法があることが必要であるこその主張において、前記欧州司法裁判所 のグ 1 グルに対する決定を取り上げてい 保護規則提案」 ( 注 ) が出された。一般と、あくまでも事業者の内部的な削除・ る。 デ 1 タ保護規則提案は、データ保護利用停止を義務付けるのみであること、 指令にとって代わるものであるが、こち違反に対する制裁は段階的で強力なもの ろ らは、「規則」であって「指示」ではなではないこと、等の点から、忘れられる 六リンクを張る行為と検索結 く、加盟国に直接適用される法令として権利の方がはるかに強力な規制であると 律 果の表示 法 いえる の効力を持つ。 「忘れられる権利」は、この一般デ 1 忘れられる権利は、そのネ 1 ミングと検索結果の表示の基本的な機能は、検

4. 法律のひろば 2015年3月号

特集インターネットと人権侵害 検索とプライバシー侵害・名誉毀損に関する近時の判例 報道された。そのため、「今後、我が国タ保護規則提案に規定されたものであ広範な義務、そして高額の制裁金によっ でも『忘れられる権利』 ( のようなもの ) り、その内容としては、事業者の利用目て広く知られるようになり、我が国でも が認められるのではないか」「検索結果的との関係で個人情報の必要がなくなっ有名になったが、実は、現行法である の表示に対する削除請求の要件が緩和さた場合、本人が同意を撤回した場合等にデ 1 タ保護指令にも類似の規定があ れるのではないか」等の予想が語られるおいて、本人が事業者に対して、個人情る。また、 2014 年 5 月に欧州司法裁 ことがある。本件仮処分決定の今後の実報の削除を求めることができ、さらに削判所がグーグルに対して、検索結果の削 務への影響を考えるためにも、「忘れら除要請を受けた事業者は、同じデータを除を命じる決定を出したことも注目を浴 れる権利ーがどのようなものであるかを取り扱う第三者に対して削除要請を通知びた ( 注リ。 確認しておくことには意味がある。 するために必要な措置を講じる義務を負忘れられる権利は、外国の法制度であ 、我が国の裁判所がこれを裁判規範と 現在のの個人情報保護法制の中心 う、というものである。事業者が故意又 は、 1995 年に採択された「デー は過失により、この義務に違反した場して採用することはもちろん、その趣旨 や考え方に共感して、原告・債権者の保 タ保護指令」 ( 注リによるものである。 合、浦万ュ 1 ロ又は全世界の総売上の 1 1 セントを上限とする制裁金を課せら護を篤くする方向で利益衡量を行うとも データ保護指令は、加盟国に対 考え難い。その意味で、本仮処分決定と して、データ保護指令が規定する内れる。 容の国内法の整備を要求するものであ我が国の制度で多少なりとも近いもの忘れられる権利との関係は、債権者代理 人が主張を検討する際に、忘れられる権 り、データ保護指令が各国に対しては、個人情報保護法条である。本条は、 直接法令としての効力を持つわけではな事業者に対し、本人の求めに応じて保有利に着想を得ることができたという限度 、 0 にとどまるものであろ、つ ( 注リ。ちなみ 個人デ 1 タの利用停止又は削除を行うこ に、前記公表裁判例のうち、京都地裁平 現在、このデ 1 タ保護指令の改訂とを義務付けるものである。しかしなが 作業が行われており、 2012 年 1 月に ら、要件として保有個人データの取得や成年 8 月 7 日判決においては、原告が は、欧州委員会 ( 注 ) から「一般データ取扱いに違法があることが必要であるこその主張において、前記欧州司法裁判所 保護規則提案」 ( 注間 ) が出された。一般と、あくまでも事業者の内部的な削除・のグ 1 グルに対する決定を取り上げてい る。 データ保護規則提案は、デ 1 タ保護利用停止を義務付けるのみであること、 指令にとって代わるものであるが、こち違反に対する制裁は段階的で強力なもの らは、「規則」であって「指示」ではなではないこと、等の点から、忘れられる 六リンクを張る行為と検索結 く、加盟国に直接適用される法令として権利の方がはるかに強力な規制であると 律 果の表示 法 いえる の効力を持つ。 「忘れられる権利」は、この一般デ 1 忘れられる権利は、そのネ 1 ミングと検索結果の表示の基本的な機能は、検

5. 法律のひろば 2015年3月号

がされているとの申告を受けた事案。 ており、今後とも、ネットいじめを含め 8 6 インターネット上の人権侵害に 法務局は、当初、被害者に対してプロ たいじめ防止等のため、国民の期待に応 関係する近時の立法 バイダへの削除依頼方法を教示し、被害 える取組を行、つこととしている ろ 者自身が削除依頼をしたところ、一部の いじめ防止対策推進法の制定 ひ 書き込みは削除されたが、その余の書き第 183 回国会において成立し、平成 児童買春、児童ポルノに係る行為等律 法 の規制及び処罰並びに児童の保護等に 込みは削除されなかった。そこで、削除年 9 月に施行された「いじめ防止対策 関する法律の改正 されなかった書き込みを法務局が調査し推進法」 ( 平成年法律第ハ号 ) では、 た結果、当該書き込みは、被害者のプラインターネットを通じて行われる、いわ第 186 回国会において成立した「児 イバシ 1 を侵害すると認められたことかゆるネットいじめが増加し、深刻化して童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰 ら、インタ 1 ネットサイト上の所定のフ いることに鑑み、インタ 1 ネットを通じ及び児童の保護等に関する法律の一部を オームにより削除を要請したところ、当て行われるいじめに対する対策の推進に改正する法律」 ( 平成年法律第四号 ) 該書き込みは削除されるに至った。 関する事項を規定しているが、その中でが平成年 7 月に施行された。改正後の ⑤動画投稿サイトに申告者の子どもが は、当該いじめを受けた児童生徒又はそ「児童買春、児童ポルノに係る行為等の 同級生からいじめを受けている様子を撮の保護者は、当該いじめに係る情報の削規制及び処罰並びに児童の保護等に関す 影した複数の動画が掲載され、精神的苦除を求め、又は発信者情報の開示を請求る法律」 ( 平成Ⅱ年法律第号 ) では、 痛を被っているとの申告を受けて調査をしようとするときには、必要に応じ、法児童ポルノをみだりに所持すること等を 開始した事案。 務局又は地方法務局の協力を求めること一般的に禁止するとともに、自己の性的 本件動画は、被害者本人がいじめを受ができる旨が定められている ( 同法四条好奇心を満たす目的での児童ポルノの所 けている様子が撮影され、その同意を得 3 項 ) 。 持等を処罰する罰則を設け、あわせて、 ずに掲載されたものであり、プライバシ 当機関では、従前からインターネット 心身に有害な影響を受けた児童の保護に 1 を侵害されているものと認められたこを通じて行われるいじめを含めた名誉毀関する施策の推進及びインターネットの とから、本件動画投稿サイトの管理者に損・プライバシー侵害事案等について、 利用に係る事業者による児童ポルノの所 対して削除要請を行ったところ、本件動プロバイダ等に対する削除要請の取組を持、提供等の行為の防止措置に関する規 画情報は削除されるに至った。 行ってきたところであるが、当機関によ定等が整備された。同法条は、心身に る支援が行われることが法律上明記され有害な影響を受けた児童の保護のための たことは、当機関のこれまでの取組につ措置を講ずる主体及び責任を明確化する いて一定の評価がされたものと受け止めため、その主体として、厚生労働省、都

6. 法律のひろば 2015年3月号

がされているとの申告を受けた事案。 ており、今後とも、ネットいじめを含め 6 インターネット上の人権侵害に 法務局は、当初、被害者に対してプロ たいじめ防止等のため、国民の期待に応 関係する近時の立法 バイダへの削除依頼方法を教示し、被害 える取組を行うこととしている。 ろ 者自身が削除依頼をしたところ、一部の いじめ防止対策推進法の制定 ひ 書き込みは削除されたが、その余の書き第 183 回国会において成立し、平成 児童買春、児童ポルノに係る行為等律 法 の規制及び処罰並びに児童の保護等に 込みは削除されなかった。そこで、削除年 9 月に施行された「いじめ防止対策 関する法律の改正 されなかった書き込みを法務局が調査し推進法」 ( 平成年法律第ハ号 ) では、 た結果、当該書き込みは、被害者のプラインターネットを通じて行われる、いわ 第 186 回国会において成立した「児 イバシーを侵害すると認められたことかゆるネットいじめが増加し、深刻化して童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰 ら、インタ 1 ネットサイト上の所定のフ いることに鑑み、インターネットを通じ及び児童の保護等に関する法律の一部を オームにより削除を要請したところ、当て行われるいじめに対する対策の推進に改正する法律」 ( 平成年法律第四号 ) 該書き込みは削除されるに至った。 関する事項を規定しているが、その中でが平成年 7 月に施行された。改正後の ⑤動画投稿サイトに申告者の子どもが は、当該いじめを受けた児童生徒又はそ「児童買春、児童ポルノに係る行為等の 同級生からいじめを受けている様子を撮の保護者は、当該いじめに係る情報の削規制及び処罰並びに児童の保護等に関す 影した複数の動画が掲載され、精神的苦除を求め、又は発信者情報の開示を請求る法律」 ( 平成Ⅱ年法律第号 ) では、 痛を被っているとの申告を受けて調査をしようとするときには、必要に応じ、法児童ポルノをみだりに所持すること等を 開始した事案。 務局又は地方法務局の協力を求めること一般的に禁止するとともに、自己の性的 本件動画は、被害者本人がいじめを受ができる旨が定められている ( 同法四条好奇心を満たす目的での児童ポルノの所 けている様子が撮影され、その同意を得 3 項 ) 。 持等を処罰する罰則を設け、あわせて、 ずに掲載されたものであり、プライバシ 当機関では、従前からインターネット 心身に有害な影響を受けた児童の保護に ーを侵害されているものと認められたこを通じて行われるいじめを含めた名誉毀関する施策の推進及びインターネットの とから、本件動画投稿サイトの管理者に損・プライバシ 1 侵害事案等について、 利用に係る事業者による児童ポルノの所 対して削除要請を行ったところ、本件動プロバイダ等に対する削除要請の取組を持、提供等の行為の防止措置に関する規 画情報は削除されるに至った。 行ってきたところであるが、当機関によ定等が整備された。同法条は、心身に る支援が行われることが法律上明記され有害な影響を受けた児童の保護のための たことは、当機関のこれまでの取組につ措置を講ずる主体及び責任を明確化する いて一定の評価がされたものと受け止めため、その主体として、厚生労働省、都

7. 法律のひろば 2015年3月号

と、け・よ、 0 しいのでどこの誰かわかってしまうので困事であるなどが理由のようだが、文部科 る。どうすれば良いのか 【青少年女子 I-L 保護者からの相談】 学省では平成年「児童生徒の問題行動 娘がスマートフォンの掲示板に悪口を書【青少年男子ー保護者からの相談】 等生徒指導上の諸問題に関する調査」に かれた。内容は、いたずらの限度を超えて 子供がネット上でなりすましの悪口を書おいて、いじめの新定義として「当該児 ろ 悪質である。書き込んだのは同級生だと分かれた。学校で対応してくれているが、自童生徒が、一定の人間関係のある者かの かっている。ネット上だけでなく実際にク 作自演だという雰囲気が流れているよう ら、心理的、物理的な攻撃を受けたこと法 一刻も早く で、なかなか対応が進まない。 ラスの中でも浮いた存在にされているそう により、精神的な苦痛を感じているも である。すぐに学校に連絡し、対処してほ書き込んだ人を特定して問題解決をしたい の」とし、「起こった場所は学校の内外 と思っている。警察にも相談に行ったが、 しいと訴えたが学校の姿勢に納得がいか を問わない」としている。このことから 事件にならないと書き込んだ人を特定する ず、今度学校へ面談に行く予定。 も分かるように、堂々と教員に協力を仰 のは難しいと言われた、一体どうしたら犯 いでよいものであり、校内の人間関係の 【青少年女子 0 保護者からの相談】 人を特定できるのか、弁護士なのか、どう 娘の同学年の男子グループが、ゲームの ことならば、より深刻な状況になるのを 掲示板を使い、娘をネタにした猥褻画像や一。すれば良いか教えてほしい。 避けるためにも、教員には積極的に協力 してほしい。 書き込みを行っている。本人たちが娘を追 そ い回し、映像を撮るなどの行為を行い、 インターネット上でだけ繋がっている 実に様々な事例があるが、どれも主に の処理もどうなっているかわからない。学学校内、友人関係の間で起こっていると人との間で起こっているいじめの対処と 校に相談したところ、原則、校外のことと いう点が共通している 最も大きく違う点、気をつけなければい 対応も曖味。このような場合にどうしたら いじめ行動がインタ 1 ネットに派生しけないことは、今後の実生活への影響で 良いか、何か良い例がないか ている、あるいは、インターネットが発ある。 インタ 1 ネット上にある書き込みを加 端なのかの違いはあるが、実際の友人関 息子の同級生がに息子の写真を無係内で起こっていることは、インターネ害者本人の知らないところで勝手に削除 断で投稿した。消してほしいと言ったのだ ットだけでの問題では済まされない。校してしまうと、加害者は勝手に消された が消えないので、先方の保護者に電話連絡内で起こっている出来事ならば、教員のことに腹を立て、実際のいじめ行動を助 をし、写真は消えた。その後、「 ( 相談者の ) 一協力は不可欠である。しかし、事例の中長させるかもしれない。また、別の場所 名前は消さない」という書き込みがあった にもあるが、教員の協力を得ることが難に書き込みをする等、内容がエスカレ 1 ので、また保護者へ伝えたのだが消えず、 しいと感じる人もいるようである。学校トすることも考えられる。そのため、書 連絡も取れなくなった。プロフィールには は携帯電話・スマ 1 トフォンの持ち込みき込んだ本人に悪いことであると自覚さ 学校名が書かれており、我が家の名字は珍 ~ が禁止であるとか、学校の時間外の出来せ、消させるのが最もよい方法である 【青少年男子保護者からの相談】

8. 法律のひろば 2015年3月号

といけない。 しいのでどこの誰かわかってしまうので困、事であるなどが理由のようだが、文部科 る。どうすれば良いのか 【青少年女子保護者からの相談】 学省では平成年「児童生徒の問題行動 娘がスマートフォンの掲示板に悪口を書【青少年男子ー保護者からの相談】 等生徒指導上の諸問題に関する調査」に かれた。内容は、いたずらの限度を超えて 子供がネット上でなりすましの悪口を書おいて、いじめの新定義として「当該児 悪質である。書き込んだのは同級生だと分かれた。学校で対応してくれているが、自、童生徒が、一定の人間関係のある者かの かっている。ネット上だけでなく実際にク 作自演だという雰囲気が流れているよう ら、心理的、物理的な攻撃を受けたこと法 ラスの中でも浮いた存在にされているそう で、なかなか対応が進まない。 一刻も早く により、精神的な苦痛を感じているも である。すぐに学校に連絡し、対処してほ書き込んだ人を特定して問題解決をしたい の」とし、「起こった場所は学校の内外 しいと訴えたが学校の姿勢に納得がいか と思っている。警察にも相談に行ったが、 を問わない」としている。このことから ず、今度学校へ面談に行く予定。 事件にならないと書き込んだ人を特定する も分かるように、堂々と教員に協力を仰 のは難しいと言われた、一体どうしたら犯 【青少年女子 0 保護者からの相談】 いでよいものであり、校内の人間関係の 娘の同学年の男子グループが、ゲ 1 ムの 人を特定できるのか、弁護士なのか、どう ことならば、より深刻な状況になるのを 掲示板を使い、娘をネタにした猥褻画像や ( すれば良いか教えてほしい。 避けるためにも、教員には積極的に協力 書き込みを行っている。本人たちが娘を追 してほしい。 い回し、映像を撮るなどの行為を行い、そ 実に様々な事例があるが、どれも主に インタ 1 ネット上でだけ繋がっている の処理もどうなっているかわからない。学学校内、友人関係の間で起こっていると人との間で起こっているいじめの対処と 校に相談したところ、原則、校外のことと いう点が共通している。 最も大きく違う点、気をつけなければい 対応も曖味。このような場合にどうしたら いじめ行動がインタ 1 ネットに派生しけないことは、今後の実生活への影響で 良いか、何か良い例がないか ている、あるいは、インターネットが発ある。 【青少年男子保護者からの相談】 端なのかの違いはあるが、実際の友人関 インタ 1 ネット上にある書き込みを加 息子の同級生が (-nZ(-n に息子の写真を無係内で起こっていることは、インターネ害者本人の知らないところで勝手に削除 断で投稿した。消してほしいと言ったのだ ットだけでの問題では済まされない。校してしまうと、加害者は勝手に消された が消えないので、先方の保護者に電話連絡、内で起こっている出来事ならば、教員のことに腹を立て、実際のいじめ行動を助 をし、写真は消えた。その後、「 ( 相談者の ) 協力は不可欠である。しかし、事例の中長させるかもしれない。また、別の場所 名前は消さない」という書き込みがあった にもあるが、教員の協力を得ることが難に書き込みをする等、内容がエスカレ 1 ので、また保護者へ伝えたのだが消えず、 しいと感じる人もいるようである。学校トすることも考えられる。そのため、書 連絡も取れなくなった。プロフィ 1 ルには は携帯電話・スマ 1 トフォンの持ち込みき込んだ本人に悪いことであると自覚さ 学校名が書かれており、我が家の名字は珍が禁止であるとか、学校の時間外の出来せ、消させるのが最もよい方法である

9. 法律のひろば 2015年3月号

用しようとする者の予見可能性を不当に 6 か月以内の間にが精神上の障害によは、紛争の背景等も視野に入れて、本件硯 における本人の要保護性を具体的に検 奪うものとはいえないとして、上記成年り事理を弁識する能力を欠く常況にあっ 被後見人の保護を図っているものといえたと認められるかどうかなどの事実認定討した結果、類推適用を否定したもの で、本人保護の在り方をどう考えるかが引 る」と説示した。そして、前記趣旨を踏の必要から、原審に差し戻した。 判断に影響しているとみられる。 まえ、民法 158 条 1 項の類推適用の可 この点、本判決は、成年後見開始の審法 第一審判決、原判決との比較 能性について、「上記の者についてその 判を受けることとなった本人について、 後に後見開始の審判がされた場合におい 本件第一審判決及び原判決は、ともに て、民法 158 条 1 項の類推適用を認め民法 158 条 1 項の類推適用を否定した一般に本人の意思や監護状況等は必ずし し難いことを踏ま も確実なものとはい、 たとしても、時効を援用しようとする者が、その理由は異なっている。第一審は、 の予見可能性を不当に奪うものとはいえ民法 158 条 1 項の文理を基に、成年後え、個別の意思や監護状況を問題にする ないときもあり得るところであり、 ( 後見開始の審判がされていない者についてまでもなく、まさに後見的な見地から、 見開始の ) 申立てがされた時期、状況等当然に同項を類推適用することは認めらその財産を維持確保することが本人保護 につながると考えているように思われ によっては、同項の類推適用を認める余れす、平成間年判決は本件と事案を異に 地があるというべきである」と説示しすることを理由に類推適用を否定している。なお、本人の意思という観点からは、 る。これに対し、原審は、一般論として被相続人死亡後の遺留分放棄の意思表示 た。その上で、同項の類推適用の要件、 効果に関し、「時効の期間の満了前 6 箇は類推適用の可能性を肯定した上で、本の成否も問題となり得るが、相続開始後 月以内の間に精神上の障害により事理を件においては、 >< が < 死亡以前から及の遺留分放棄については家庭裁判所の許 弁識する能力を欠く常況にある者に法定びその家族と同居して身上監護を受け、可 ( 民法 1043 条 1 項 ) を要しないと これに不満を訴えることもなく、遺留分される分、その意思表示の認定には慎重 代理人がない場合において、少なくと も、時効の期間の満了前の申立てに基づ減殺請求権を行使する意向を周囲に伝えを要し、本件でもそのような主張はされ き後見開始の審判がされたときは、民法ることもなかったことから、 >•< の保護にていない 158 条 1 項の類推適用により、法定代欠けることがないことを理由に類推適用 理人が就職した時から 6 箇月を経過するを否定したものである ( 時効援用の権利 ③本判決の解釈とその合理性等 までの間は、その者に対して、時効は、濫用の該当性の有無については、本件第本判決は、民法 158 条 1 項の趣旨 完成しないと解するのが相当である」と一審、原審ともに、が成年後見開始審を、精神上の障害により事理弁識能力を の判断を示した。ただし、本件について判を不当に遅らせたとは認められないこ欠く常況にある者の保護と時効を援用し は、前記要件に照らし、時効期間満了前となどを理由に否定している。 ) 。原審ようとする者の予見可能性という二つの

10. 法律のひろば 2015年3月号

用しようとする者の予見可能性を不当に 6 か月以内の間にが精神上の障害によは、紛争の背景等も視野に入れて、本件硯 における >•< 本人の要保護性を具体的に検 奪うものとはいえないとして、上記成年り事理を弁識する能力を欠く常況にあっ 被後見人の保護を図っているものといえたと認められるかどうかなどの事実認定討した結果、類推適用を否定したもの で、本人保護の在り方をどう考えるかが引 る」と説示した。そして、前記趣旨を踏の必要から、原審に差し戻した。 ひ の 判断に影響しているとみられる。 まえ、民法 158 条 1 項の類推適用の可 律 この点、本判決は、成年後見開始の審法 第一審判決、原判決との比較 能性について、「上記の者についてその 判を受けることとなった本人について、 後に後見開始の審判がされた場合におい 本件第一審判決及び原判決は、ともに て、民法 158 条 1 項の類推適用を認め民法 158 条 1 項の類推適用を否定した一般に本人の意思や監護状況等は必ずし し難いことを踏ま たとしても、時効を援用しようとする者が、その理由は異なっている。第一審は、 も確実なものとはい、 の予見可能性を不当に奪うものとはいえ民法 158 条 1 項の文理を基に、成年後え、個別の意思や監護状況を問題にする ないときもあり得るところであり、 ( 後見開始の審判がされていない者についてまでもなく、まさに後見的な見地から、 見開始の ) 申立てがされた時期、状況等当然に同項を類推適用することは認めらその財産を維持確保することが本人保護 につながると考えているように思われ によっては、同項の類推適用を認める余れず、平成川年判決は本件と事案を異に 地があるというべきである」と説示しすることを理由に類推適用を否定している。なお、本人の意思という観点からは、 た。その上で、同項の類推適用の要件、 る。これに対し、原審は、一般論として被相続人死亡後の遺留分放棄の意思表示 効果に関し、「時効の期間の満了前 6 箇は類推適用の可能性を肯定した上で、本の成否も問題となり得るが、相続開始後 月以内の間に精神上の障害により事理を件においては、 >< が < 死亡以前から及の遺留分放棄については家庭裁判所の許 弁識する能力を欠く常況にある者に法定びその家族と同居して身上監護を受け、可 ( 民法 1043 条 1 項 ) を要しないと 代理人がない場合において、少なくと これに不満を訴えることもなく、遺留分される分、その意思表示の認定には慎重 も、時効の期間の満了前の申立てに基づ減殺請求権を行使する意向を周囲に伝えを要し、本件でもそのような主張はされ き後見開始の審判がされたときは、民法ることもなかったことから、の保護にていない。 158 条 1 項の類推適用により、法定代欠けることがないことを理由に類推適用 理人が就職した時から 6 箇月を経過するを否定したものである ( 時効援用の権利 ③本判決の解釈とその合理性等 までの間は、その者に対して、時効は、 濫用の該当性の有無については、本件第本判決は、民法 158 条 1 項の趣旨 完成しないと解するのが相当である」と一審、原審ともに、 >* が成年後見開始審を、精神上の障害により事理弁識能力を の判断を示した。ただし、本件について判を不当に遅らせたとは認められないこ欠く常況にある者の保護と時効を援用し は、前記要件に照らし、時効期間満了前となどを理由に否定している。 ) 。原審ようとする者の予見可能性という二つの