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検索対象: 法律のひろば 2015年4月号
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1. 法律のひろば 2015年4月号

英米法研究 ここでは、法律が基礎制限の迂回を塞総額制限が最高裁が Buck 一 ey において制限の迂回を塞ぐという政府の利益にう ぐという政府の目的にびったり適合して正統性あるものとして許容した唯一の政まく適合しない。 相対的多数意見の第一の主張、すな おらず、政治プロセスへの参加を許容し府利益を増進するものでないと結論す 難く規制している。総額制限を超える全る。それは、最も根本的な第 1 修正活動わち、大きい総額の寄付が「腐敗ーを引 き起こさないということは、相対的多数 ての寄付を無差別に禁止することは、迂を侵害する。 地裁決定は破棄され、更なる審理のた意見が「腐敗」を狭く定義しているから 回を塞ごうとする政府の利益と不均衡で にほかならない。相対的多数意見は、議 ある。 め差し戻される。 会が「対価を求める腐敗ーという特定の 口頭弁論において、政府は、 Buckley の迂回遮断正当化の議論から、総額制限Ⅱ形態を標的にしたとする。そして、「対 価を求める腐敗ーとは、賄賂に似た行為、 が、基礎制限の迂回を塞ぐ能力があるか四 Breyer 反対意見の要旨 否かにかかわらず腐敗を防止するというⅡ金員の公的行為の直接交換をいう、とす る。さらに、「腐敗」は、公職者や、政 議論に転じた。 相対的多数意見は、総額制限は、不党に影響力を行使し、アクセスすること 政府によれば、巨額の小切手が立法者 しつでも「腐敗。必要に、第 1 修正上の権利を削減するとを含まないとする。その上、相対的多数 に与えられたときは、、 意見は、「腐敗の外観」を狭く定義され の機会がある。総額制限は、小切手の金した。 その結論は、三つの、異なる、しかした「対価を求める腐敗の外観」とする。 額が大きくなりすぎないことを保証す 互いに関係する主張に依拠する。①基礎しかしながら、この「腐敗、の定義は、 る、とする。この新しい正当化議論は、 反対意見に受け入れられた。これは、腐制限があるから、総額制限が保護に値す最高裁の判例法と矛盾する。本判決を、 敗一般を標的にするもので、先例においる独立の政府目的を推し進めることはなを支持した McConnell 判決 ( 注 。すなわち、基礎制限があるから、選 4 ) と調和させるのは不可能である。 て構築された「対価を求める腐敗」の定 議会が選挙運動寄付を規制しようと 挙に関連して多額の金を費消しても、「腐 義を広げる危険をもつ。 基礎制限の分析において、 Buckley 敗」は生じ得ない。②総額制限が基礎制した反腐敗利益は、相対的多数が認識す は、個人が多額の寄付を、候補者又は公限を保護するという目的を有するとしてるより、もっと広い、より重要な利益で 職者にした時に腐敗のリスクが生じるこも、それは意味のある方法で機能しなある。それは、統治機構の廉潔性の保持 い。基礎制限の迂回は、総額制限がなくであった。そして、それは、憲法と第 1 ろ とを明らかにした。我々の目的からは、 争点となっている総額は、候補者の行為ても考えられないし、そのような考え修正自体に根を下ろした利益である。第の 法 1 修正は、政治的スピ 1 チに従事する個 は、現実と乖離している。③総額制限は、 に特定的に向けられたものでない 前記の理由により、我々は、寄付への合理的な政策手段でない。それは、基礎人の権利を増進するだけでなく、集団的

2. 法律のひろば 2015年4月号

指定 められた要件に対応するものである ( 注し、他者にも呼びかけていること、テロ 4 条 1 項では、安保理決議第 1373 リ。イに規定する「公衆等脅迫目的の行為を行うに足りる物的・資金的能力を 4 号を踏まえ、我が国が国際テロリストを犯罪行為」は、公衆等脅迫目的の犯罪行有していること、物資・資金の調達や訓 指定する要件を規定している。指定は、為のための資金等の提供等の処罰に関す練などテロ行為を行うための準備を現に ろ 我が国のみで完結する取組ではなく、国る法律 ( 平成Ⅱ年法律第号 ) で定義さ行っていること等の事情を考慮し、これの 際的なテロリズムの行為を防止し、抑止れたもので ( 注リ、公衆、国又は地方公らの事情を「十分な理由」の下に認定し法 するための国際社会の取組に我が国とし共団体等を脅迫する目的をもって行われ得るかどうかについては、例えば、継続 て寄与するためのものであり、柱書にそる、人を殺害する行為、航行中の航空機的にテロ行為を行っているような物的証 の旨を明記している。指定は、同項 1 号を墜落させる行為、爆発物を爆発させる拠があること、直近の周辺者から確定的 及び 2 号の要件を共に満たさなければな などの方法により公共物を破壊する行為な供述が得られていること、外国等から らない。 等が列挙されている。ここで、公衆等脅提供された信憑性の高い情報があること 1 号は、外為法により対外取引を規制迫目的の犯罪行為を行った等の要件は、等の点を考慮し、これらを総合的に勘案 されている者であることを要件として い刑事事件で有罪とされた行為であることして判断することとなるものと考えられ る ( 注リ。安保理決議第 13 7 3 号は、 を要するものではなく、国家公安委員会る。 国際テロリストが行う取引が対外取引でが認定するものである。「行い」は既遂 ロは、「イ又はこのロに該当する者が あるか国内取引であるかにかかわらず、 に相当する行為を、「行おうとし」は未出資、融資、取引その他の関係を通じて 一定の要件を満たす国際テロリストの財遂に相当する行為を、「助けた」は幇助その活動に支配的な影響力を有する者 : ・ 産を凍結する等の措置をとるべきこととに相当する行為を、それぞれ意味する : 」とあり、典型的には、イに該当する しているところ、本法により国内取引のイに規定する「将来更に公衆等脅迫目的国際テロリストが 100 パーセント出資 規制をすべき国際テロリストの範囲が外の犯罪行為を行い、又は助ける明らかなする会社等が該当することが想定され 為法により対外取引の規制をすべき国際おそれがあると認めるに足りる十分な理る。「その他の関係」とは、親族関係、 テロリストの範囲を超えることは想定さ由があるもの」の認定には、将来公衆等政治的・宗教的イデオロギ 1 による主従 れないため、両法で規制される対象者の脅迫目的の犯罪行為が発生する客観的な関係等、金銭関係以外に支配的な影響力 範囲の整合を図ったものである。 蓋然性が顕著に存在することについて、 の基礎となり得るものが該当する。した 次に、 2 号はイ、ロ、ハの三つの要件高度の心証が要求されるものと解されがって、例えば、イに該当する国際テロ から成り、これらのいずれかの要件を満る。具体的には、「将来更に : : : 明らか リストの親族やその支配関係にある者の たす者であることを要件としている。イなおそれがある」かどうかについては、 ほか、それらの者が実質経営する会社等 及びロは、安保理決議第 1373 号に定例えば、テロ行為を行うことを現に主張もこうした要件に該当し得るものと考え

3. 法律のひろば 2015年4月号

の他利益」で例示されているものの具体 例としては、テロ企図者をその犯行の前 後において匿うためのアジトとして利用 され得る土地・建物や、テロ行為に利用 され得る武器 ( 「物品」 ) 、そのような武 器を使用できるように訓練を施すこと ( 「役務」 ) などが考えられる。 また、例示されている「土地、建物、 物品、役務」のいずれにも該当しない「そ の他の利益」としては、例えば、空港等 の重要施設への侵入経路やセキュリティ システムの解除方法のような情報、テロ 企図者が身分を偽るために他人になりす まそうとしている場合に自分になりすま すことに同意して協力することなどが考 えられる。 2 主体の拡大 第 3 条 2 公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を罪を実行しようとする一次協力者に対炻 容易にする目的で、当該公衆等脅迫目 し、資金又は当該公衆等脅迫目的の犯罪 的の犯罪行為に係る前項の罪を実行し 行為の実行に資するその他利益を提供し ようとする者に対し、資金又は当該公 た者 ( 図では、便宜的に「準一次協力者」引 衆等脅迫目的の犯罪行為の実行に資すと表記 ) は、 7 年以下の懲役又は 700 の るその他利益を提供した者は、 7 年以万円以下の罰金に処し ( 前段 ) 、当該公 下の懲役又は 700 万円以下の罰金に 衆等脅迫目的の犯罪行為に係る同条 1 項 処する。当該公衆等脅迫目的の犯罪行 の罪を実行しようとする一次協力者が、 為に係る同項の罪を実行しようとするその罪の実行のために利用する目的で、 者が、その罪の実行のために利用するその提供を受けたときも、同様とするも 目的で、その提供を受けたときも、同のである ( 後段 ) 。 様とする。 テロ行為の実行を容易にする目的でテ 前項後段に規定するもののほか、第ロ企図者に資金等を提供しようとする一 1 項の罪を実行しようとする者が、そ次協力者に対し、他のテロ協力者が当該 の実行のために利用する目的で、資金テロ行為の実行を容易にする目的で資金 若しくはその実行に資するその他利益等を提供する行為及び一次協力者がその の提供を勧誘し、若しくは要請し、又提供を受ける行為は、、 しずれもテロ行為 はその他の方法により、これらの資金の実行を容易にする目的を有するテロ協 又はその他利益を提供させたときは、 力者の間における資金等の授受であると 5 年以下の懲役又は 500 万円以下の ころ、そのような資金等の授受は、提供 罰金に処する。 や受領に伴、つ資金等の保管状況や形態等 第 3 条公衆等脅迫目的の犯罪行為の実 4 前 3 項の罪の未遂は、罰する の変化により、テロ行為の実行を助長・ 行を容易にする目的で、これを実行し 促進する危険性がより高まるとともに、 ようとする者に対し、資金又はその実① 3 条 2 項 法執行機関による資金等の捕提をより困 行に資するその他利益を提供した者 3 条 2 項は、公衆等脅迫目的の犯罪行難にする点で、当該テロ行為の実行を容 は、川年以下の懲役又は 1000 万円為の実行を容易にする目的で、当該公衆易にする目的までは有しない者から一次 以下の罰金に処する ( 注 5 ) 。 等脅迫目的の犯罪行為に係る同条 1 項の協力者に資金等を移転する行為よりも、

4. 法律のひろば 2015年4月号

う、一次協力者に対する資金等の提供を り、これらの資金又はその他利益を提供 処罰することとされたものである。 させた者も、同様とするものである ( 2 ②本条の提供罪と 3 条 2 項前段の提供第 5 条前 2 条に規定するもののほか、 項 ) 。 罪は、、 公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のた しずれも、テロ行為の実行を容易 1 条に定義する公衆等脅迫目的の犯罪引 めに利用されるものとして、資金又は にする目的でテロ企図者に資金等を提供 行為として想定されているのは、、 しずれの しようとする一次協力者がいる場合に、 その他利益を提供した者は、 2 年以下も大規模、かっ、組織的な犯罪行為であ この一次協力者に対し資金等を提供する の懲役又は 200 万円以下の罰金に処って、その実行のための資金等の収集 する。 行為を処罰するものであるが、このう は、長期間にわたり、広範囲において、 ち、 3 条 2 項前段の提供罪は、自らもテ 第 3 条に規定するもののほか、公衆しかも、多数の関係者がこれに関与する ロ行為の実行を容易にする目的をもって 等脅迫目的の犯罪行為の実行のために形で行われることか少なくないと思われ 利用されるものとして、資金若しくは 行う資金等の提供、すなわち、いずれも るところ、その一端としての資金等の授 テロ行為の実行を容易にする目的を有す その他利益の提供を勧誘し、若しくは 受がたまたま発覚したような場合、組織 るテロ協力者間における資金等の提供を 要請し、又はその他の方法により、こや犯行計画の全容解明に少なからぬ困難 処罰するものである。 れらの資金又はその他利益を提供させを伴うことが予想される。 これに対し、本条の提供罪は、テロ行 た者も、前項と同様とする それにもかかわらず、資金等がテロ企 為の実行を容易にする目的までは有しな 3 前 2 項の罪の未遂は、罰する 図者やテロ企図者に対する直接の資金等 いものの、一次協力者による 3 条 1 項の の提供企図者にとって利用可能になった 提供罪の実行を容易にする目的をもって①本条は、 3 条及び 4 条に規定するもか否かといった立証を厳格に求めること 行う資金等の提供を処罰するものであののほか、公衆等脅迫目的の犯罪行為のとなると、実効的な対処を行い得ず、国 る。 実行のために利用されるものとして、資際的なテロ包囲網にほころびを生じさせ 本条における「その実行に資する」と金又はその他利益を提供した者は、 2 年ることにもなりかねない は、「第 3 条第 1 項の提供罪、すなわち、 以下の懲役又は 200 万円以下の罰金に他方、資金等をテロ行為の実行のため 『公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容処し ( 1 項 ) 、また、 3 条に規定するも に利用されるものとして提供し、又は提 易にする目的で、これ ( 当該テロ行為 ) ののほか、公衆等脅迫目的の犯罪行為の供させる行為は、提供に係る資金等が直 を実行しようとする者に資金等を提供す実行のために利用されるものとして、資ちにテロ企図者やその直接・間接の支援 る罪』の実行に役立つ」という趣旨であ金若しくはその他利益の提供を勧誘し、者にとって利用可能となるものでなかっ る。 若しくは要請し、又はその他の方法によたとしても、当該資金等をテロ企図者に 第 5 条

5. 法律のひろば 2015年4月号

特集テロ資金・マネーローンダリングをめぐる法整備 テロ資金提供処罰法改正の概要 第 4 条 高い当罰性を認めることができる。 りも高い当罰性を認めることができると そのような当罰性の程度という観点かする趣旨であるところ、 3 項の「提供さ らすれば、当該テロ行為の実行を容易にせる罪」は、一次協力者が、その提供行第 4 条前条第 1 項の罪の実行を容易に する目的で、これを実行しようとする する目的で資金等を提供する者から一次為の実行のために利用する目的で、資金 者に対し、資金又はその実行に資する 協力者が当該資金等を受領する行為につ等の提供を勧誘し、若しくは要請し、又 その他利益を提供した者は、 5 年以下 いては、それが積極的方法によって提供 はその他の方法により、資金等を提供さ の懲役又は 500 万円以下の罰金に処 させた場合と、積極的方法によらずに提せる行為のうち、「前項後段に規定する する。 供を受けた場合とで特に異なるところは もののほか」、すなわち、 3 条 2 項後段 前項の罪の未遂は、罰する。 ないと解され、積極的方法により提供さの受提供罪に該当しない場合を処罰対象 せた場合に限らず、提供を受ける行為全とするものである。 般をも処罰対象とされたものである。 「前項後段に規定するもののほか」 ( 3 ①本条は、 3 条 1 項の罪の実行を容易 ② 3 条 3 項 条 2 項後段の受提供罪に該当しない場にする目的で、これを実行しようとする 3 条 3 項は、同条 2 項後段のほか、同合 ) とは、典型的には、提供させる行為一次協力者に対し、資金又はその実行に 条 1 項の罪を実行しようとする一次協力の相手方 ( 提供者 ) が同項前段の罪の提資するその他利益を提供した者は、 5 年 者が、その実行のために利用する目的供者以外の者である場合が想定される以下の懲役又は 500 万円以下の罰金に で、資金若しくはその実行に資するそのが、それ以外にも、提供させる行為の相処するとするものである。 テロ行為の実行を容易にする目的でテ 他利益の提供を勧誘し、若しくは要請手方が客観的には同項前段の罪の提供者 し、又はその他の方法により、これらのであるものの、行為者 ( 提供させる者 ) ロ企図者に資金等を提供しようとする一 において、そのことを認識していないと次協力者がいる場合に、その提供罪の実 資金又はその他利益を提供させたとき 行を容易にする目的で、一次協力者に対 は、 5 年以下の懲役又は 500 万円以下き、すなわち、相手からの提供が当該テ の罰金に処するとするものである。 ロ行為の実行を容易にする目的の下に行し資金等を提供することは、そのように ①記載のとおり、同条 2 項の提供われている旨の認識がないときに提供さして提供された資金等がテロ企図者に対 罪・受提供罪は、テロ行為の実行を容易せた場合についても、同項後段の受提供する資金等の提供のために利用されるこ にする目的を有するテロ協力者の間にお罪に該当せず、その場合、その他の要件とを通じ、テロ行為の実行を助長・促進引 ける資金等の授受であり、テロ行為の実を満たす限りにおいて、 3 条 3 項の「提するものであることから、本条は、そのの ような一次協力者による 3 条 1 項の提供法 行を容易にする目的までは有しない者か供させる罪ーが成立することとなる 罪の実行を容易にする目的をもって行レ ら一次協力者に資金等を移転する行為よ

6. 法律のひろば 2015年4月号

他方で、有償で取得されるべき物品 ( 注下、これを o とする。 ) ( 現行法 3 条 2 項現行法 4 条は、による < へのテロ資 四 ) であっても、テロ企図者による計画前段 ) 、あるいは、従前の①に相当する金提供を容易にする目的で、にテロ資 実行にとって有用でないものは、「その罪 ( 提供罪 ) を実行しようとする者 ( ) 金となるべき利益を提供した者 ( 例え 他の利益」とはいえない。例えば、テロが、当該実行に利用する目的で資金そのば、 (0) を処罰する。これも、現行法 3 引 の対象として想定されている官公庁が出他の利益の提供を受けること ( 現行法 3 条 2 項・ 3 項と、基本的には同様の趣旨の 法 版している年次報告書であって、当該官条 2 項後段 ) 、従前の①に相当する罪に基づく規定である。 公庁の所管業務の通常の報告にとどまる ( 提供罪 ) を実行しようとする者 ( ) が、 また、現行法 5 条では、 3 条、 4 条以 資料は、「その他の利益ーに該当しない 当該実行に利用する目的で資金その他の外の類型が処罰の対象とされている。そ ことも多いであろう れは、例えば、が、 0 に対して、一定 利益を提供させること ( 現行法 3 条 3 項 ) が、それぞれの未遂とともに、処罰の利益を、これがテロ資金として 0 から されることとなった。 へと提供され得ることを認識しつつ提 三テロ資金提供等罪に該当す 岡、 2 の行為は、テロ資金提供罪の予供する行為を処罰するものである。に べき行為 備的類型である。旧法下でも、 < に対すよる利益提供行為も、 < が企図している 本改正により、テロ資金提供等罪としるテロ資金の提供にが着手すれば、テロを客観的には促進すべきものであ て処罰される行為も拡張された。すなわは、テロ資金提供罪の未遂罪として処罰り、刑事法的に規制されるべきだが ( 注 ち、旧法の下では、①テロ企図者 ( 以下、 され得た ( 旧法 2 条 2 項 ) 。そして、そ ) 、 5 条の主体には、 3 条、 4 条の場 これを < とする。 ) に対して、資金を提の段階以降は、 0 も、に対する共犯と合とは異なり、主観的要件が規定されて 供した者 ( 以下、これをとする。 ) ( 旧して処罰可能であった。しかし、が同 いない。そこで、から提供された利益 法 2 条 ) 、①テロ企図者 ( < ) であって、罪の未遂罪に至る以前でも、の下にテを < が利用する危険性は、 o からへの 資金を収集した者 ( 旧法 3 条 ) が ( それロ資金として利用され得る利益が収集さ利益提供、更には、から < へのそれに ぞれの未遂を含めて ) 処罰の対象とされれ、これが < に提供される相当の危険が 認められる危険性に比べれば、、 月さいと てきた。 朝の類型が処罰されること 認められる場合には、、更には 0 の行解される。に対する法定刑が、 0 らに は、改正後の現行法においても、当然で為を処罰することで、テロの予防効果を対するそれより低いのは、この点から説 ある ( 注。これに加えて、今回の法改高めるべきである ( 注引 ) 。そこで、これ明することができる。 正により、岡従前の①に相当する罪 ( 提を可能とするために旧法の改正がなさ 供罪 ) を実行しようとする者 ( ) に対しれ、現行法 3 条 2 項・ 3 項、 4 条、 5 条 て、資金その他の利益を提供した者 ( 以が規定されたと理解することができる。

7. 法律のひろば 2015年4月号

特集 よるもの又は自国の領域内におけるものの犯罪化等を 内容 ) を実施し、テロ資金供与の防止に関する国際的 な要請に応えるために必要な国内法整備を行うことを 目的として成立したものである。 ( 2 ) 1 条において、「公衆等脅迫目的の犯罪行為」を定 義しており、公衆又は国若しくは地方公共団体若しく は外国政府等 ( 外国の政府若しくは地方公共団体又は 条約その他の国際約束により設立された国際機関をい う。 ) を脅迫する目的をもって行われる犯罪行為であ って、①殺傷行為や誘拐行為等、②航空中の航空機又 は船舶の航行に危険を生じさせる行為やこれらの強取 行為、航空機又は船舶の破壊行為等、③電車等の公用 又は公衆の利用に供する運送用車両、公園等の公衆の 利用に供する施設、一定のインフラ施設、その他の建 造物等の破壊行為等を指すものと規定している。 ( 3 ) テロ資金供与に関する特別勧告Ⅱの「テ ロ資金供与の犯罪化」において、「各国は、テロリズ ム・テロ行為・テロリスト団体に対する資金供与を犯 罪化すべきである。」とされている。 ( 4 ) 2 条は、テロ企図者による資金収集行為を処罰対 象としていた旧法 3 条の資金収集罪と同様、テロ企図 者による行為を処罰対象とするものであり、本改正に より条文位置が 2 条に移動したものである。 本改正で旧法 3 条の条文位置を 2 条に変えた理由と しては、本改正により、テロ企図者に対する提供行為 やテロ企図者による収集行為 ( 提供させる行為 ) に限 らず、テロ企図者に対する間接的な資金等の提供等を も処罰対象とされ、これに伴い、犯罪主体が、テロ企 図者、テロ企図者に対し資金等を提供した者又は提供 しようとする提供企図者、同提供企図者に対し資金等 を提供した者の順になるように条文を並び替えること とし、テロ企図者による資金等を提供させる行為に係 る罪を、旧法の 3 条から 2 条に変えたものである。 旧法 3 条 1 項においては、「 ( 公衆等脅迫目的の犯罪 行為の実行のために ) 使用する目的で」、「 ( 資金を ) 収集した」との用語が用いられていたが、本改正によ り、客体に「役務」といった資金以外の利益が追加さ れたことから、それになじむものとして、「利用する」、 「提供させた」という用語とされた。 ( 5 ) 3 条 1 項は、旧法 2 条の資金提供罪と同様、一次 協力者によるテロ企図者に対する行為を処罰対象とす るものであり、本改正により、資金提供罪が 3 条 1 項 に移動したものである。 旧法 2 条 1 項の資金提供罪には、「情を知って」の 文言が付されていたが、 3 条 1 項では同文言が削除さ れている。これは、旧法 2 条 1 項における「情を知っ て」の意義が、「資金提供の相手方が公衆等脅迫目的 の犯罪行為を実行する意図を有していることを知っ て」という意義であり、同項における提供の相手方は、 公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとするテロ企 図者と解されていたところ、 3 条 1 項は、資金等の提 供の相手方について、「これ ( 公衆等脅迫目的の犯罪 行為 ) を実行しようとする者に対し」と明記されてお り、これに伴い、前記「情を知って」の内容も、故意 の内容として当然に要求されることとなったことか ら、同文言が削除されたものである。 ( いしわたり・みなお ) 法律のひろば 2015.4 ・ 20

8. 法律のひろば 2015年4月号

特集テロ資金・マネーローンダリングをめぐる法整備 テロ資金提供処罰法改正の概要 いことが重要である。 テロ資金提供処罰法改正の概要 我が国は、米国同時多発テロの翌年で ある平成Ⅱ年に旧法を制定し ( 注 1 ) 、公 ( 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための 衆等を脅迫する目的をもって行われる殺 資金等の提供等の処罰に関する法律 ) 人その他の一定の犯罪行為を「公衆等脅 前法務省刑事局付広島地方検察庁検事石渡聖名雄迫目的の犯罪行為。と定義し ( 旧法 1 条 ( 注 2 ) 。同条に改正はない。 ) 、その実行 り筆者の私見である。 を容易にする目的で公衆等脅迫目的の犯 一はじめに 罪行為 ( 以下「テロ行為」ということが 平成年Ⅱ月材日、第 187 回国会に ある。 ) を実行しようとする者 ( 以下「テ 一一法改正の経緯 おいて、「公衆等脅迫目的の犯罪行為の ロ企図者」ということがある。 ) に資金 ための資金の提供等の処罰に関する法律近年、テロの脅威は衰えることを知らを提供したいわゆる一次協力者及び資金 の一部を改正する法律」が成立し、同月ず、平成年 9 月の米国同時多発テロ以を収集したテロ企図者に対する処罰規定 幻日、平成 % 年法律第 113 号として公降も、世界各国で死傷者を出すテロ事件を設けた。 布され、同年月Ⅱ日に施行された。 が後を絶たない中、平成年 1 月にアル しかしながら、政府間の枠組みであっ 同法により、従前の題名である「公衆ジェリアにおいて、同年 4 月にはアメリ て各国にテロ対策の推進を求める 等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提カ合衆国 ( マサチューセッツ州 ) ボスト (FinanciaI Action Task Force 【金融 供等の処罰に関する法律ー ( 以下、改正ンにおいて、いずれも多数の死傷者を出活動作業部会 ) からは、平成年の対日 前の法律を「旧法」という。 ) が、「公衆す事件が発生したところである ( さら審査において、テロ資金供与の犯罪化を 等脅迫目的の犯罪行為のための資金等のに、本改正後ではあるが、本年 1 月末か求める特別勧告Ⅱ ( 注 3 ) について、 提供等の処罰に関する法律」に変更されら 2 月初旬にかけて、シリアにおいて、 ①旧法の「資金」の定義が限定的で、 邦人を被害者とするテロ事件が発生した 物質的支援の提供・収集が犯罪化され ていないこと 以下、法改正の経緯や概要について説ことは、記憶に新しいところである。 ) 。 明する。 非テロリストによるテロリストのた引 国際テロ組織は国境を越えて活動して ひ の めの資金の収集が犯罪化されていない なお、以下に記載する条数は、断りのおり、テロ行為等を抑止するためには、 律 法 ない限り、改正後の条数である。 国際社会が幅広い分野において緊密に協こと また、文中意見にわたる部分はもとよ調し、テロリストにテロの手段を与えな ③間接的な資金の提供・収集がカバ 1

9. 法律のひろば 2015年4月号

結社の自由の不必要な削減を避けるため制限の合憲性を、基礎制限の結果と表現めるために規制することができるという びったりと適合した手段 (closelydrawn して、その制限が 1000 ドルの基礎制のは、第 1 修正に全く異質なものであ means) を採用するときは、規制は合憲限の迂回を塞ぐ能力を持つかにかかってる。 として維持される ( 注 3 ) 。 いるとした。そして、迂回が、個人にお Buckley の迂回理論を受け入れるとし ろ ひ いて巨額の金銭を、特定の候補者に対しても、今日の候補者が多額の寄付金を、 Buckley は、 2 万 5 0 0 0 ドルの の 0< の総額制限について、次のように判て寄付する可能性が高い団体に、使途を総額制限に妨げられないで特定の寄付者法 から受け取ったことを追跡することは難 断した。① 2 万 5000 ドルの包括的上特定しない寄付をしたときに起り得ると 限は、個人が財政的援助によって自分自判断し、 2 万 5000 ドルの総額制限をしい。政府は、その可能性を支持するた 身を結合しようとする候補者及び委員会肯認した。 めのいくつかのシナリオを提案するが、 に、究極的な制限を課する。②しかし、 しかしながら、 Buckley は、本件の判それは、政府が総額制限が対価を求める 保護された政治活動に対するこの極めて断こ、 。いくつかのガイダンスを提供する寄付防止の利益を助長することの立証責 が、の下での総額制限の合憲性任を果たしていないことを示す。 中庸な抑制 (quite modest restraint) は、 個人による 10 0 0 ドルの寄付制限の迂 についての同判決の最終的な結論が、本これらのシナリオは、現行の選挙活動 回を塞ぐものとして働く。③その制限が 件を支配するとは考えない。 0 < 資金供与法に違反しているか、又は、現 なければ、政治委員会を使用することに は、異なった法的制度であり、それが課実とかけ離れている より、又は、候補者の政党に対して使途する総額制限は、特有の法的背景に対し 本総額制限は結社の自由の不必要な を特定した巨額の寄付を行うことによて機能する。 BuckIey 以後、法律の追加削減を避けるため、びったり適合するも り、巨額の金額の寄付を特定の候補者にと包括的な規制スキ 1 ムの導入により、 のでない。第 1 修正の文脈では適合性 行うことになる。④包括的な上限により法律上の安全保護措置は飛躍的に強化さ ( 印 ) が重要である。最高裁が厳格審査 課される制限は、合憲と判断した基礎制れた。我々は、選挙資金規制の発展におを適用しないときでも、適合性巨 ) を 限の付随物以上の何物でもない。⑤した ける異なった論点について、異なる法要求した。それは完全とは限らないが合 がって、合憲である。 律、異なる議論に対面している。 理的なものでなければならない。それ しかしながら、本件の総額規制に 選挙運動資金を規制する唯一の真正は、一つの最良の処置では必ずしもない は、政府により表明された目的とそれをな政府の利益は、「腐敗、又は腐敗の外が、その作用域はそれが資する利益と調 達成する手段の間に実質的な乖離があ観」を妨げることである。 和するものでなければならない。最少に り、本総額制限は、″びったり適合した Buckley で関連する枠組みを示したよ抑制的でなくても、求められる目的が実 手段の″テストさえ満足しない。 うに、我々の社会の、ある構成分子のス現されるよう、びったり適合する手段で Buckley は、 2 万 5000 ドルの総額ピーチを、他の構成分子の相対的声を高なければならない。

10. 法律のひろば 2015年4月号

ュ 1 ディリジェンスとは、本人特定事項 、。したがって、弁護士は知らないうちわち、本規程は、リスク・べ 1 ス・アプ の確認にとどまらす、顧客を実質的に支に依頼者の違法又は不正に関与させられローチの考え方によりマネー・ローンダ 配する者、事業者と行おうとする取引のる可能性がある。本規程に基づく依頼の リングのリスクを判断することを求めて 目的を確認し、また事業者と顧客との取目的の検討は、弁護士の業務がマネー・ いると考えられる。 ろ ひ の マネ 1 ・ロ 1 ンダリングのリスクは、 引関係を継続的に監視することを含む広ローンダリングに利用されるリスクに鑑 い概念である。犯収法は、職業専門家とみ、知らないうちにマネー・ロ 1 ンダリ事業者の業務内容によって大きく異な それ以外の者とで顧客デューディリジェ ングに巻き込まれることを防ぐべく、従 り、業務の性質が異なる他業種のリスク ンスの範囲を区別し、職業専門家には取前の行動規範を一歩進めたものと位置づ 管理が弁護士に役に立っとは限らない 引の目的や実質的支配者の確認を義務付けられる。 は、このような観点から、事業 けていない 犯収法は、職業専門家以外の事業者が者別にリスク・べ 1 ス・アプローチのガ これに対して、弁護士は、法律事務の取引の目的や実質的支配者を確認する方イダンスを策定し、公表している。弁護 依頼を受けようとするときは、依頼者の法を詳細に規定する。これに対して、本士向けのガイダンスは 2008 年川月 属性、依頼者との業務上の関係、依頼内規程は「慎重な検討」を求めるだけで、 日に公表された ( 注 9 ) 。弁護士が依頼の 容等に照らし、その依頼の目的が犯罪収その方法につき何ら定めていない。法律目的を検討する際に参考となる ( 注四。 益の移転に関わるものであるか否かにつ事務は金融機関の業務と比べて非定型的 は、事業者や取引の種類ごと いて慎重に検討しなければならない ( 本であるし、依頼者との信頼関係に基づい にマネー・ローンダリングの事例を収集 規程 6 条 1 項 ) 。法律事務に関連するこて行われることから、弁護士によるデュ し、分析している。弁護士がマネ 1 ・ロ となく、金員、有価証券その他の資産を 1 ディリジェンスは定型的な処理になじ ーンダリングのリスクにどの程度脆弱か 預かる場合も同様に、預託の目的が犯罪まない。イ 也方、「慎重な検討」のやり方を調査し、その結果を 2013 年 6 月「マ 収益の移転に関わるものであるか否かには各弁護士の完全な裁量に委ねられてい ネー・ローンダリング及びテロ資金供与 ついて慎重に検討しなければならないるというわけではない。本規程は「依頼に対する法律専門家の脆弱性について」 ( 本規程 8 条 1 項 ) 。 者の属性、依頼者との業務上の関係、依と題する報告書にて公表した ( 注リ。世 弁護士が依頼者の違法若しくは不正な頼内容」と着眼点を例示している。界か国において過去 5 年間に法律家が 行為に加担してはならないのは当然のこ e は、顧客デューディリジェンスにつ関与した 12 3 の事例が報告されてい とであるが ( 職務基本規程Ⅱ条 ) 、依頼き、リスク・べース・アプローチを要求る。日本から行政書士が関与した事例が 者が違法若しくは不正な行為をしていなしているところ、前記の着眼点はリスク 1 件報告されている。行政書士が、非対 いか積極的に審査する義務は存在しなを判断する際の要素となっている。すな面のインタ 1 ネットで多数の会社の設立