適格消費者団体 - みる会図書館


検索対象: 法律のひろば 2015年6月号
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1. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 高齢者の消費者被害と民事訴訟 書き込み、カレンダーへの書き込みな 消費者被害一般にいえることであるが、難性である。 被害回復の可能性との関係である。もう裁判は認定した事実に法律を当てはめど、重要な手がかりとなるものがあちら 一つは、高齢者本人が騙されたと思ってる作業であるから、まず、主張する事実こちらに散在しているので、注意深く集 いない場合に、高齢者本人にそのことをを特定する必要がある。しかし、高齢者めることになる。 このようにして集めた資料を基に 伝えるかどうか、である。被害の大きさの詐欺的被害案件では、この事実の特定 にもよるが、騙されたと分かることで受に難渋することが少なくない。 て、記憶との整合性を図り、事実を確宀 けるストレスを考えると、余生との関係被害 ( 損失発生 ) の確定、契約に至っしていくことになる。しかし、最大の で、「知らぬが仏」ということもある。 た経緯と理由 ( 動機 ) 、契約相手の特定方は、後述するように、この高齢者に一 さらに、高齢者本人が被害に遭ったこも不可欠である。高齢者は手持ち現金かの契約は必要だったのか、という世間 とを承知していても、訴訟まで提起するら支払をすることが少なくなく、その場一般常識からの判断であろう。 ことの可否も判断することになる。本人合には、領収証がなければ被害額の確定 からの事情聴取、法廷で証言する場合のも難しい。契約の相手が不明な場合もあ 3 意思無能力を理由とする契約 る。 事前打合せや証言することそのものは、 無効 高齢者にとって大きな負担となる。被害契約に至った経緯や理由・動機は、主 意思無能力の判断の困難性 の大きさと被害回復の可能性、そのため張の根幹であるが、その再現に苦労する 判例・学説上、意思無能力者の意思 の手間と時間などを勘案して、事件を受 ことは多い。人の記億は、結構、いしカ 任するか、受任するとして手続をどうす減である。時間の経過は記憶を曖味にす示は、無効とされる ( 注 7 ) 。したがって、 るのか、交渉までか、訴訟までするのかるし、記憶した内容が、自分に都合良く当該契約時に意思能力がなかったこと 立証できれば、高齢者は、契約の無効 を判断することになる。 変容されてしまう。さらに、歳とともに エピソードを思いだしにくくなることは主張できる。 しかし、高齢者の被害は、前述のよ、 避けられない。そうすると、契約当時、 事案の把握の困難性 ( 記憶力・ 業者からどのような説明を受けたのかにに潜在化しやすく、被害が判明する 再現力の衰え ) は、契約後相当期間が経過してからで ついて正確に思い出すことができない。 高齢者被害に向き合う場合、消費者事また、伝達力が袞えれば、上手に伝えるることが少なくない。そうすると、当タ の 高齢者は、現在は意思能力がないとし 件一般に生じる障害のほか、高齢者被害ことが困難となる。 律 法 そこで、証拠の収集となるが、折り込も、契約当時は意思能力があったかも 特有の障害の存在を承知しておく必要が ある。その最大の障害が事案の把握の困み広告の裏面のメモ、封書や契約書へのれない。実際に訴訟では、契約相手の引

2. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 割賦販売法の見直しの方向性 にはリボ払いも ) についても、支払拒絶数等あらゆる点から見てクレジットカ 1 であろう ( ポーナス一括払いの取扱 の抗弁が認められている。これは、これド取引の圧倒的中心を占めているマンスは、支払繰延べの長期性のゆえに、一話 らの取引の複雑性や誘因性をもって説明リ 1 クリア取引にまで及ばして、原則に払いにもかかわらず、割販法の適用が認 されてきたけれども、ここで重要なのはしてしまうべきなのかである められた例外であるということが、忘 誘因性の方であろう ( 複雑性は書面交付 マンスリ 1 クリア取引に、割販法の各られてはならないであろう。 ) 。 義務やクーリング・オフ等の規律との関種行為規制・民事ル 1 ルが適用されない 係で意味を持つであろう。 ) 。つまり、支ものとされてきたのは、やはり誘因性の 4 割販小委での議論 払いの一定以上長期の繰延べがあるから観点から説明することができる ( 注 7 ) 。 ワ】 0 0 8 こそ、問題の販売契約等を結んだという 2 か月を超えない程度の支払繰延べで 年改正時の基本問題小委の報 関係が定型的に認められるから、「結合は、それがあるがゆえに販売契約等を締告書においては、「翌月払い ( マンス された契約」には該当しないけれども、結したという関係が定型的にあるとはい ークリア ) については、現金払い等と此 なお、例外的に、支払拒絶の抗弁を認めえず、支払いの長期繰り延べによる誘因較して消費者に対する誘引性が大きく分 るという法政策判断がされているものと性が認められない。実際に、大多数のカ割払いと同様の誘引性があるとは考えい 見ることができよ、つ。 ード会員においても、マンスリークリアれないことから、割賦販売法の適用対象 とはしない」と述べられていた。 2008 年の改正は、支払拒絶の抗弁取引は、現金払いの代替手段として意識 制度を、 2 か月を超える一括払い ( いわされていると思われ、包括クレジットと このたびの割販小委の「中間的な論点 ゆる、ポーナス一括払い ) の場合にも拡はこの点において区別される ( 注 8 ) 。 整理」では、その段階までの審議の内容 張した。ぐ ホ 1 ナス一括払いにおいても、 また、マンスリ 1 クリア取引におけるを踏まえ、「抗弁の接続をはじめとした 分割・リボ払い並みの消費者苦情が存在 2 か月を超えない支払繰延べは、イシュ消費者とイシュアーの契約に係る規定に ついては、大半の消費者が低コストで、 していたということもあるが、本質的にア 1 により当該カード会員に対価なしに は、 2 か月超の支払繰延べがあるからこ 認められており、この点でも、低額とはマンスリ 1 クリア取引でのクレジットカ そ、問題の販売契約を結んだという関係 いえない手数料等との引き換えに支払猶 1 ド利用とい、つサ 1 ビスを受けているこ と、デビットカ 1 ドやプリペイドカ 1 ド が、この場合にも定型的に認められると予を得る分割・リポ払いのカード会員と 判断されたものと見ることができる。 区別される。もっとも、ボーナス一括払等の他のキャッシュレス取引とのバラン いにおいても、手数料なしに支払繰延べスを考慮した検討が必要であることを日ろ が認められているから、現在では、手数まえ、誘因性・複雑性の観点から、措の 3 マンスリークリア取引の性質 法 料の有無ではなく、支払繰延べの長期性に慎重な意見が多か 0 た。一方、 問題は、この例外を、取引高・利用件の点が重要な区別指標ということになる引 をはじめ、現金なしに支払いが可能

3. 法律のひろば 2015年6月号

者から、契約当時、当該高齢者に十分説ら、平成年時点において女性に意思能無能力があるかどうかは、問題となる 明をして理解してもらい、自らの意思で力がないと認めるには、これを認めるに個々の法律行為ごとにその難易、重大性 契約をした、と主張される。これに対し足りる合理的な立証が必要である。」と なども考慮して、行為の結果を正しく認 ては、医師の診断書で、契約当時に判断して、医師の診断にもかかわらず、・ 5 年識できていたかどうかということを中心タ 力がないことが立証できればよいが、契前からの意思無能力を認めず、 1 年前に に判断されるべきものである。」「社会通の 約当時の医師の診断書がない場合が多同じ商品を 3 着購入したことを理由に、 念上、自己の利益を守るための弁護士へ法 、 0 その時期から意思無能力を認めたにとどの訴訟委任契約の意味を理解すること 東京地裁平成年 4 月日判決 ( 消費まった。 は、自己がそれ相当の経済的な負担を伴 者法ニュ 1 ス号 311 頁 ) は、まさに、 このように、意思無能力の立証は容易う本件各連帯保証契約及び本件根抵当権 このような場合の立証の難しさを示してではないが、かかりつけ医の診断書、障設定契約の意味を理解することよりも容 いる 害者手帳、療養手帳、日常生活について易であると解され、原告には、本件記録 事案は、平成年 1 月 3 日から平成 の家族や親族、知人、民生委員、駐在所上 ( 鑑定の結果 ) 、訴訟委任契約の締結 年 7 月 1 日までの間に、プティックにおの警察官、福祉事務所職員、ケアマネ 1 に当たり訴訟能力を有していたと認めら いて、多数回にわたり、婦人服等 280 ジャ 1 等々の証言を求めることになる。 れるが、このことをもって、本件各連帯 点 ( 総額約 1100 万円 ) を購入した女 保証契約及び本件根抵当権設定契約の締 性 ( 平成年 1 月当時歳、独身、一人 意思能力の有無は事案ごとの判断結についても、その効果意思を有してい 暮らし。以下「女性」という。 ) が、平意思能力とは、自己の行為の結果を判 たとすることはできない。」として、被 成年 8 月当時、アルッハイマー型認知断できる精神能力である。したがって、 害を回復するために弁護士と委任契約を 症、その発症は 5 年前と推定されるとい その有無は、問題とされる法律行為の種締結するのに必要な程度の意思能力と、 う診断を受けたものであるが、裁判所類、特に行為の複雑性や重大性の程度に原因となった契約締結をする意思能力と は、「平成年 8 月時点において、女性よって異なるから、個別事案ごとに判断は、自すから差があるとしている。 が意思能力を喪失していたといえる。しされなければならない。 また、後述する適合原則違反に関する かし、このことから、 ( 5 年前である ) 東京地裁平成年 9 月四日判決 ( 判タ平成年最高裁判決が「具体的な商品特 平成年時点において女性の意思能力が 1203 号 173 頁 ) は、「意思能力と性を踏まえて、これとの相関関係におい なかったとい、つことにはならない。アル は、自分の行為の結果を正しく認識し、 て」取引の適合性を判断すると判示して ッハイマ 1 型認知症は時間の経過と共に これに基づいて正しく意思決定をする精いることも、同様であろう。 知的機能障害が進行するものであるか神能力を有すると解すべきであり、意思 したがって、意思能力の有無について

4. 法律のひろば 2015年6月号

い、つ利便性を見ると、クレジットカード 用されるものである。こうした制度をマ頁を通じて、信義則の適用上、例外的に が存在することにより販売等の取引が生ンスリークリア取引に拡張することに支払拒絶の抗弁や既払金返還請求が認め じているといえ、措置を検討すべきとい は、やはり慎重であるべきであろう。 られる場合についての判例の準則がある う意見もあった。今後、現行の包括信用 程度示されているか、マンスリ 1 クリア ろ 購入あっせんとの異同を整理し、同様の カ 1 ド取引に関する判例の準則は明らかの 5 支払拒絶の抗弁以外の解決手段 律 規定を措置すべきと評価できるのかとい になっていない。 法 う観点から、更なる検討が必要である」 支払拒絶の抗弁制度をマンスリークリ 下級審裁判例としては、東京地判平成 と述べた後、「他のキャッシュレス取引ア取引に拡張することが困難だとして幻年川月 2 日消費者法ニュ 1 ス号 21 との関係で、マンスリークリア取引の性も、クレジットカード取引においては、 1 頁があり、マンスリークリア取引に関 質が異なるといえるのかという視点を踏チャ 1 ジバックや売上キャンセル処理として、イシュアーはカ 1 ド会員からクレ まえ、取引間のバランスに考慮すること いった方法で、購入者の経済的損失の全 1 ムを受けた場合には、支払請求を停止 が必要である」と付言している。 部又は一部の回復が図られる ( 支払拒絶すべき法的義務はないものの、購入者と この付言部分が指摘するように、マンを超えて、既払金返還も認められる。 ) 加盟店との間のトラブルの有無や内容の スリ 1 クリアカードのキャッシュレス支ことか少なくない。これらの方法は、い 状況を確認調査する等して、むやみに購 払手段としての利便性を根拠として、支ずれも購入者等に訴訟上も貫くことがで入者が不利益を被ることのないよう協力 払拒絶の抗弁を認めるならば、デビット きる権利を与えるものではないが、いずすべき信義則上の義務を有すると判示 カード、 電子マネ 1 、プリペイドカードれも、購入者等からの苦情への対応場面し、事案において、イシュア 1 は、カ 1 等、その他のキャッシュレス決済にも同で事案の実情に即した解決をもたらすもド会員からの苦情の申出を受けて、アク 様のルール ( ないし返金ル 1 ル ) を認めのとして、実務上大きな役割を果たしてワイアラ 1 に対し、適切な調査依頼をす いる ないと一貫しないことになりかねず、そ べきであったが、これをしなかった債務 のような極論に与することは困難といわ また、民法上の信義則等の解釈として不履行があったとして、カ 1 ド会員から ざるを得ない。 も、原因関係において生じている事由をイシュアーに対する損害賠償請求の反訴 支払拒絶の抗弁は、販売契約等につきもって、カード会社からの請求を拒絶すを一部認容した ( 注 9 ) 。この裁判例で示 販売業者等に対して生じている事由に基ることができないかという論点は、別途された方向が、今後どのように裁判実務 づき、購入者等がカ 1 ド代金等の支払い考察に値する。 で展開していくかは、いまだ未知数であ を拒絶できるというルールで、問題の事個別クレジットに関しては、最判平成る ( 注四が、いずれにしても、マンスリ 由の内容や問題の事由が生じた経緯等を 2 年 2 月日判時 1354 号間頁や最判 ークリアカ 1 ド取引における個別的消費 原則として顧慮せずに、一刀両断的に適平成年川月日民集巻 7 号 3114 者保護は、支払拒絶の抗弁制度の導入に

5. 法律のひろば 2015年6月号

ており ( ただし、前記二 3 参照。 ) 、同法 により義務付けられた必要な措置を事業 者が講じることで不当表示等が防止され ることが期待される。また、行政による 監視指導態勢の強化が図られたことか ら、消費者庁は、関係行政機関と連携を 図りながら、景品表示法の厳正かっ迅速 な執行に努めてまいりたい。 平成年Ⅱ月改正法に関しては、施行 ( 公布の日 ( 平成 % 年Ⅱ月日 ) から起 算して 1 年 6 月を超えない範囲内におい て政令で定める日 ) に向けて政令・内閣 府令・ガイドラインの策定等必要な準備 を進めているところである。課徴金制度 の導入によって不当表示への抑止力が高 まり、一般消費者の自主的かっ合理的な 選択がより一層確保されることが期待さ れる。 ( 1 ) http く /www.c目.go.jミ representa ま n 、 141210 premiums_3.pdf ( 2 ) http ://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/ sisinqa. h日1ー ( 注 ) つん 次ーを告 ろ ひ の ■特集■空き家問題 律 ー対策と活用方法を考える法 * 空き家をめぐる現状と課題 ハ林秀樹 * 空き家をめぐる法整備 ー空き家対策特別措置法の概要 ・ : 中本充 * 空き家問題と自治体 ーこれまでとこれから : : : 榎本好二 * 自治体の空き家対策 ー空き家バンクの活用 : : : 霜垣慎治 * 法律家の視点からみる空き家問題 小澤英明 * 不動産業界における空き家対策と 有効利用 : ・ ・ : 周藤利一 ほか連載など

6. 法律のひろば 2015年6月号

薬効についての記載は、実質的にはサア景表法の優良誤認表示は、その要件 争点③ ( 本件チラシの配布は優良誤 において、ある商品表示と比較すべき対認表示 ( 景表法加条 1 号 ) となるか ) ン・クロレラ社の本件商品の内容を表示 したものである。 象として「実際のもの」だけでなく、「他①の主張 ア本件チラシでは、一見、「クロレラ」 の事業者に係るもの」を挙げているかアサン・クロレラ社は本件商品を販売 ろ 「ウコギ」という一般的な原材料の表示ら、「表示」において対象商品が他社のする目的で本件チラシを作成したのであの がされているだけであるが、この原材料商品等と識別できる程度に特定されている以上、その記載内容が事実であること の名称は被告商品である「サン・クロレる必要がある。本件チラシは、サン・クを直ちに証明できて然るべきであるか ラ < 」「サン・ウコギ」の商品名と類似ロレラ社の本件商品の商品名を表示するら、原告において、積極的な立証をしな している ものではなく、単にクロレラ等の効用をくても、サン・クロレラ社が本件チラシ イ本件チラシでは、サン・クロレラ社紹介するものにすぎないから、他社の商の内容を証明するに足りる証拠を提示で きない場合には、優良誤認表示をしたも の独自技術とされている細胞壁破砕技術品等と識別できる程度の特定はされてい のと事実上推定されるべき。 を用いた細胞壁破砕クロレラを紹介してない。 いる ィまた、本件チラシの内容自体につい イ「表示」が一般消費者にどのような ウサン・クロレラ社は、クロレラを用認識を与えるかの判断に際しては、本件ても、承認を受けた医薬品でなければ表 いた商品を販売する会社として知名度のチラシから看取できる情報のみを基礎に示することが許されないものであるとこ 高い会社であるから、本件チラシを見たすべきである。「クロレラ」という原材ろ、本件チラシによる表示は、本件商品 一般消費者は、本件チラシをサン・クロ料名を商品名に付けることは一般的であがそのような承認を受けていない商品で レラ社の本件商品のチラシであると認識るし、「細胞壁破砕クロレラ」を謳ったあるにもかかわらず、これを受けている かのように誤認させるものであるから、 する。 商品は、サン・クロレラ社商品以外にも 工本件チラシに従ってクロレラ研究会複数存在しているから、これらの表示を優良誤認表示に該当する。 に資料請求すると、サン・クロレラ社のもって、一般消費者が、サン・クロレラウさらに、本件チラシは、特定保健用 本件商品のカタログや申込書等が送付さ社の商品のチラシであると認識するとは食品にかかる特別用途表示の許可を得る ことなく、本件チラシにおいて特定の保 れ、それに基づきサン・クロレラ社の本考え難い ウクロレラ研究会に資料請求しても、険目的が期待できる旨の表示をしている 件商品の購入を申し込める。 クロレラ研究会が、資料請求者の承諾をのであるから、優良誤認表示に該当す ②サン・クロレラ社の主張 以下のような点から、本件チラシは、 得ることなく、サン・クロレラ社商ロ叩のる。 ②サン・クロレラ社の主張 同社の本件商品を表示したものとはいえカタログを送付することはない。 ア優良誤認表示の立証責任は原告にあ

7. 法律のひろば 2015年6月号

課徴金対象期間は、課徴金対象行為を 告したときは、法 8 条 1 項により算定し鮖 4 規模基準 1 セント相当額を減 した期間 ( 当該課徴金対象行為をやめた た課徴金額からパ 日から① 6 月を経過する日、又は、②一 法 8 条 1 項により算定した課徴金額が額する ( 法 9 条本文 ) 。ただし、当該報 般消費者による自主的かっ合理的な選択 150 万円未満であるときは、課徴金の告が、当該課徴金対象行為についての調引 を阻害するおそれを解消するための措置納付を命じることができない ( 同項ただ査があったことにより、当該課徴金対象の をとった日、のいずれか早い日までの間し書の後半部 ) 。 行為について課徴金納付命令があるべき法 なお、課徴金対象期間における課徴金ことを予知してされたときは、減額しな に、当該課徴金対象行為に係る商品又は 役務の取引をしたときは、課徴金対象行対象行為に係る商品又は役務の政令の定 ( 同条ただし書 ) 。 為をやめてから最後に当該取引をした日める方法により算定した売上額に 3 パー までの期間を加えた期間 ) である。当該セントを乗じた金額 7 法 8 条 1 項によ 7 返金措置の実施による課徴金額 期間が 3 年を超えるときは、当該期間のり算定した課徴金額 ) が 150 万円以上 の減額等 末日から遡って 3 年間となる ( 法 8 条 2 である場合、自主申告や返金措置による 項 ) 。 課徴金額の減額の結果、減額後の金額が事業者は、課徴金対象期間において当 150 万円未満になったとしても、当該該商品又は役務の取引を行った一般消費 金額の課徴金の納付を命じることとな者 ( 政令で定めるところにより特定され 3 主観的要素 る。 ているもの ) のうち申出をした者に対 し、当該申出者の購入額 ( 政令に定める 事業者が、課徴金対象行為をした期間 方法により算定 ) の 3 パ 1 セント以上の を通じて、自ら行った表示が不当表示で 5 除斥期間 あること ( 法 8 条 1 項 1 号又は 2 号に該 額の金銭を交付する措置 ( 返金措置 ) を 当すること ) を知らず、かっ、知らない 課徴金対象行為をやめた日から 5 年を実施しようとするときは、内閣府令で定 ことについて相当の注意を怠った者でな経過したときは、課徴金の納付を命ずるめるところにより、所定の事項を記載し た上でその返金措置に関する計画 ( 以下 いと認められるときは、課徴金の納付をことができない ( 法条 7 項 ) 。 「実施予定返金措置計画」という。 ) を作 命ずることができない ( 法 8 条 1 項ただ 成し ( 実施予定返金措置計画には計画提 し書の前半部 ) 。 6 自主申告による課徴金額の減額 出前に実施した返金措置も記載できる 事業者が、課徴金対象行為に該当する ( 法間条 3 項 ) 。 ) 、内閣総理大臣 ( 消費者 事実を内閣府令で定めるところにより報庁長官 ) の認定を受けることができる ( 同

8. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 「ねずみ講」に係る法的論点 も、同様に考えられる。 会員主導型において下位会員が自ら不当利得返還請求 ( ) 杉本・前掲 ( 注Ⅱ ) 頁が「会員はリクルートに をするのと実質的には大差ないとも言える。本件最判 ) 難波・前掲 ( 注頁 成功しなければ出捐金の分だけ「損害』を受けるが、 の原審は、この点も不法原因給付の該当性の根拠とし ( さいとう・まさひろ ) 成功すれば「出捐金以上の収入』を受けられるという ている。なお、前掲 ( 注 5 ) のとおり、不法行為につ 三者択こ状況に立たされ、それ故に事実上リクル いてはこれ以上踏み込まない ( 四 ) この認定事実を、顧客の「誘引」行為の態様とし ート活動に駆り立てられる、という関係が組織構造上 認められ」ることが無限連鎖講該当性の要素としてい て見れば、配当金は特定利益に該当し、社の会員は るのが参考になる。 この利益が受けられるとして商品の販売者を誘引し、 ( ) 前掲・齋藤 ( 注 7 ) 現代消費者 3 号 122 頁、圓 これらの者に特定負担に該当する出資金の出捐をさせ 山茂夫「〔第 3 版〕詳解特定商取引法の理論と実務』 ( 民 ているので「連鎖販売取引」にも該当する。 事法研究会、 2014 年 ) 431 頁。 ( 破産管財人が提起した別件訴訟の控訴審判決 ( 東 ( 不法行為の要件たる違法性は、被害者の権利又は 京高判平成年 5 月訂日金法 1981 号 101 頁】控 法律上保護された利益を侵害することであるから、法 訴審で確定 ) は、不法原因給付を否定し上位会員に対 する不当利得返遠請求を認めており、高裁レベルでは 律行為を無効とする根拠が専ら「良俗」にある場合な どは、被害者の具体的な権利利益の保護を目的として 判断が分かれていた。なお、弁護士の偏見かもしれな 法律行為が違法・無効とされるものではないので、「良 いが、本件のような事案で判断が分かれるのは、「儲 俗」違反であるだけでは、直ちに不法行為上の違法性 け話」の事案には生理的に反感を抱いていると思われ が認められることにはならないからである。無連法違 る裁判官と、このような事案でもそのような感覚は余 り持たない裁判官があり、これらの考え方や感覚の相 反の場合も、同法の保護法益はどちらかと言うと社会 的法益保護に重点が置かれていると解されるので、無 違がかなり影響しているようにも思える。 限連鎖講の加入者から上位者に対する不法行為に基づ ( 引 ) 「新注釈民法」「前注 ( 708 ) 」 く損害賠償請求でも、この点が議論になる。なお、こ ロ知平・土田哲也執筆 ) 参照。 の点を含め、無限連鎖講と共通するマルチ商法に関す ( ) 最判昭和年 9 月日民集Ⅱ巻Ⅱ号 2209 頁、 同昭和年 3 月 8 日民集巻 3 号 500 頁 る不法行為法上の論点については、窪田・前掲 ( 注間 ) が詳しい分析をしている。 ( ) この点は、難波譲治「公序良俗と不法原因給付」 199 4 年 ) 頁、川角由和「民法 7 ( ) 会主導型であっても破産管財人が請求する場合 法時巻 4 号 ( 0- 00 ・ 7 0 4 条・ 7 0 5 条・ 7 0 8 条」「民法典の は、破産配当を通じて下位会員に戻されるのだから、 6 91 頁 ( 谷 百年Ⅲ」有斐閣 ( 1998 年 ) 532 頁以下。 47 ・法律のひろば 2015.6

9. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 「ねずみ講」に係る法的論点 旨や性質等に関する破産法上の論点、詐害行為取消 する不当利得返還請求は不法原因給付に 債権者代位権との関係や下位会員が上位会員に対し 該当しないと判一小してもよいよ、つに思わ ( 1 ) 多段階的で系統化された組織構造をもった取引を 不法行為に基づく損害賠償請求をする場合の違法性 れるが、本件最判は、無限連鎖講の破産勧誘し、その取引に参加して新たな参加者を獲得すれ ば、多額の経済的利益の配当が受けられるとして活動 評価や過失相殺、損益相殺など多岐にわたる論点も 事案における管財人からの請求を一律に する組織をこのように呼ぶことにする。 る。しかし、これらの論点については紙幅の都合も 不法原因給付には該当しないとせず、前 り、本稿では踏み込まない 述のとおり、信義則により抗弁主張を制 ( 2 ) 通信販売業のオ 1 ナ 1 となって下位のオ 1 ナ 1 を 獲得すれば高額の「コミッション」が得られるとして ( 6 ) 経済革命倶楽部ßæo) 、オレンジ共済、八葉 限するという構成をとっている。 いた 1 社 ( 以下【社 ) の事案 ル 1 プやエル・アンド・ジー ( »-ä & ) などがあるが、 本件最判がこのような構成をとったの いずれもマルチ商法の手法を活用したものである。一 に関する京都地判平成四年 9 月四日 ( 平成絽年 ( わ ) は、注 5 で指摘したような多岐にわたる 第 1233 号【判例集未登載 ) と、健康食品を購入し れらの事件は「マルチ商法型出資勧誘トラブル」と呼 論点における論理の齟齬や評価矛盾など れている (http ://www.kokusen.g0jミPdfZnー2008080 が生じるのを回避し、結論の妥当性を確て会員になり、新たな会員を獲得して自分でも商品を ー2. pdf) 。 保するため事案ごとの事情を踏まえて柔「リピ 1 ト」購入すると「積立年金型ポーナス」が支 払われるとする共済組織を装ったライフ・アップ社の ( 7 ) これは自転車操業的な詐欺組織 ( ポンジ 1 スキ 軟に判断すべきであるとの考慮が働いて 事案に関する東京地判平成年 3 月四日 ( 判例集未登 ム ) でもあるが、概念上は「ポンジースキ 1 ム」と「 いると考えられる。 限連鎖講」は異なる ( 齋藤雅弘「ねすみ講、投資・ 載 ) である。 殖詐欺、マルチ商法ー破綻必定型スキ 1 ムの消費者 ( 3 ) 判例集の掲載判決としては、人工宝石の販売に藉 五おわりに ロした「・ ()n プログラム」と称する組織の主宰者ら 害 ( 上 ) ( 下 ) 」現代消費者 2 号 129 頁、同 3 号 12 頁 ( 2009 年 ) 参照。 ) 。 現在、内閣府消費者委員会の特定商取を無連法違反とした最判昭和年肥月肥日 ( 刑集巻 8 号 5 4 7 頁 ) とその控訴審 ( 判時 110 5 号 15 4 ( 8 ) 改正経緯と内容は増山壽一「無限連鎖講の防止 , 引法専門調査会において、特商法の改正 関する法律の一部改正」号貶頁参照。 頁 ) 及び一審 ( 判タ 4 8 0 号 171 頁 ) 、同様の人工 か議論されているが、本稿で述べたよう 宝石の取引に係る松山地判昭和年 6 月日 ( 判タ 4 ( 9 ) ベルギーダイヤモンド社の幹部が不起訴処分と なピラミッド型の連鎖販売 ( 取引 ) 業の ったのが代表例である ( 法セ 378 号 5 頁「事件と法」 80 号 174 頁 ) 、大阪地判昭和年 2 月 ( 判タ 5 違法性を踏まえると、特商法においても 「不安を残した不起訴処分・ベルギーダイヤモンド 26 号 254 頁 ) 、大阪高判昭和年川月日 ( 判タ 無連法で賄い切れない形態の連鎖販売 件」〔 19 8 6 年〕参照。 ) 。 号頁 ) くらいである。 ( 取引 ) 業、例えば多段階構造が入れ替 わる形態のものなどの禁止も含めた規制 ( 4 ) クインアッシュ社 ( 以下【社 ) に関する最判平 ( 四判決の分析については多数の文献がある。さし 8 一 1100 ワ】【 0 一頁 成年川月日民集巻号 たり松本恒雄「紹介型マルチ商法の違法性について」 の整備が検討されることを期待する。 中川淳先生還暦記念「民事責任の現代的課題」 ( 1 ( 5 ) 本件最判には破産管財人の法的地位、否認権の趣 ( 注 ) 45 ・法律のひろば 2015.6

10. 法律のひろば 2015年6月号

逸失利益など不法行為がなければ将来得定の仕組みを確保することも重要であ行為の時から年 5 分の割合による遅延損 R られたはずの利益に係る損害についてり、その仕組みの内容については、不確害金の請求ができるとする判例理論自体 も、不法行為の時に発生したものとして実な将来見通しによる人身損害についてが、事柄の本質的性質に起因するもので その額を算定することになるが、そのよの損害賠償額の全体のバランスをも見据はなく、いわば公平等の観点からの判断引 うな損害に関し、例えば、不法行為がな えた合理的かっ妥当なものとすることが に基づく擬制によるものである。この中の 法 ければ被害者が川年後にどの程度の収入求められるように思われる。 で、逸失利益等の消極損害と同性質であ があり、生活費として具体的にどの程度そして、確かに、逸失利益は、通常はる損害を瞋補する遺族補償年金について の支出があるのかなどを具体的に主張立中間利息を控除して不法行為の時におけ は、その給付の意義等に鑑みると、不法 証することは困難である。このようなこる現価として算定されているものであ行為の後一定期間が経過した後に支給さ とから、その損害額の算定については、 り、このような逸失利益について、遺族れても、当該支給がされるまでの間の遅 本判決も説示するとおり、不確実、不確補償年金が支給されるまでの間の遅延損延損害金の請求はできないと考えたから 定な要素に関する蓋然性に基づく将来予害金の請求ができないとなると、被害者といって、決して不合理であったり、相 測や擬制の下に行わざるを得ない には不利であると感じさせることになる当性を欠くものであったりしないと思わ しかしながら、そのような将来予測やようにも思われるが、他方では、遅延損れる。 そして、遺族補償年金は、労働者の死 擬制に関して具体的な認定を行うことが害金について、例えば弁護士費用のよう 困難であるからといって、事案ごとに全に現実には不法行為の時に支出している亡による遺族の被扶養利益の喪失の瞋補 く異なる将来予測や擬制の下で損害額をものではない損害についても不法行為のを目的とする保険給付であり、遺族の被 算定することは、公平の見地からして疑時に発生したものとして請求することが扶養利益の喪失が現実化する都度ないし 問が生じ、裁判に対する信頼を損ない、 できる ( 最三小判昭和年 9 月 6 日・民現実化するのに対応して、その支給を行 うことを制度上予定しているものと解さ また、被害者の迅速かっ適正な救済にも集巻 7 号 901 頁 ) など被害者に有利 反する結果となろう。そのため、人身損な取扱いが許容されている損害費目もあれ、制度の趣旨に沿った支給がされる限 り、その支給分については当該遺族に被 害についての損害賠償については、事案るところである。 このようなことを考慮すると、そもそ扶養利益の喪失が生じなかったとみるこ ごとの法的安定性を維持しつつ公平かっ 迅速に損害賠償額を算定し、もって、裁も遅延損害金に関し、不法行為の時に損とが相当なものといえる。 判に対する信頼を確保するとともに被害害賠償債務が発生し、何らの催告を要す以上のような人身損害についての損害 者の迅速かっ適正な救済を図るための一ることなく遅滞に陥るものとして、不法賠償に関する損害の算定の在り方と遺族