検討 - みる会図書館


検索対象: 法律のひろば 2015年6月号
33件見つかりました。

1. 法律のひろば 2015年6月号

ひろ ( ま ′成年肥月 2 日から同月日にかけて、期司法修で一斉に修習を受けることとなったため、設備・運営面で 、習生 1762 名に対する導入修習が行われた。導入も様々な対応が必要とされ、司法研修所事務当局の方々に 修習は、実務に即した分野別実務修習を実施すべく、司法はこうした面での下支えをしていただいた。各教官室で 修習生に対する導入的教育を更に充実させるため、期か は、導入修習に向けた教材等の準備を入念に行ったことは ら新たに実施されることとなったものである もとより、実質日にすぎない導入修習期間中は、次々と 導入修習は、民裁、刑裁、検察、民弁、刑弁の 5 科目にやってくる講義、起案講評、演習等の準備に追われなが ついて行われたが、このうち刑事系 3 科目では、」 刑事訴訟ら、その合間を縫って個別の修習生の質問に応じるなどし 手続等についての基本的な講義、即日起案とその講評が行 たため、各教官の業務は多忙を極めた。しかし、文字通り われたほか、」 刑事系 3 教官室合同のコラボ科目として、勾目を輝かせながら修習に取り組む修習生の意欲的な姿を目 留要件を具体的事例に即して検討する刑事基本問題研究、 の当たりにして、それまでの苦労が報われる思いがしたと 起訴状や検察官請求書証に基づき、検察官又は弁護人の立 いうのが、多くの教官に共通する感慨だったと思われる。 場で証明予定事実、類型証拠開示請求、予定主張等を検討また、導入修習は、同じ修習地の修習生同士があらかじめ する刑事共通演習基礎が行われた。これらは従来集合修習交流を深められることや、教官が修習生各人の資質や能力 で実施されていたカリキュラムの重要部分を導入修習に取を早期に把握してその後の指導に活かせるという点でも、 り込んだものであるが、導入修習独自の新たな取組もあっ有意義であった。 た。例えば、検察科目の捜査演習では、放火事件を題材と 昨年肥月に行われた導入修習が、実務修習開始に必要な 取 よした模擬事件記録を配付した上で、身柄事件の受理段階に基礎的事項を各修習生に身に付けさせるという実務修習へ おける基本的手続や捜査事項を検討したり、模擬取調べのの橋渡しの役割を果たすとともに、各修習生に自己のレベ 方を適宜視聴しながら、裏付け捜査を踏まえた取調べ ルや不足点に気付かせ、その後の修習で修得すべき目標を 斤の重要性や、刻々と変化する証拠関係に基づいて事案の真自覚させるという所期の目的をどの程度達成し得たのかは 相を解明するプロセスの解説を行った。これは、検察庁に 今後の検証を待って判断されることになるが、その判断材 の おける捜査実務修習を試行体験させるものであり、修習生料の一つは、現在実施されている分野別実務修習における からは、実務修習のイメージをあらかじめ持っことができ修習状況であろう。今後、各実務庁会から導入修習の成果 論ダたとおおむね好評であった。また、導入修習の終盤では裁についての御意見をうかがいながら、今後の導入修習の更 十守イ 判官や検察官の心構え、弁護士倫理等に関する講義も行わなる発展、充実に努めてまいりたい。 去 ( 司研 ) ひ司導入修習では、 1700 名を超える修習生が司法研修所 1 3 ・法律のひろば 2015.6

2. 法律のひろば 2015年6月号

本稿では、総花的な叙述に終始する結果 になることを避けるため、割販法の見直 しの基本的視点を中心に検討することと 2 したい。これは、割販法の見直しをめぐるろ の 審議が相対的には最も先行していて、具 律 法 体的方向性が相当程度明らかになってき 京都大学大学院法学研究科教授山本曲 ていることを考慮に入れたためでもある 法律による改正後の特定商取引に関する ま一はじめに 法律及び割賦販売法の施行の状況につい ニ 2 0 0 8 年改正法の内容 ここのところ、消費者法分野の重要なて検討を加え、必要があると認められる 割販法は 19 61 年に制定され、その ときは、その結果に基づいて所用の措置 の諸立法の改正ないし見直しの動きが、 わかに活況を呈している。すなわち、消を講ずるものとする」とされていたから後、度重なる改正を経て今日に至ってい 題 である。 費者契約法 ( 以下「消契法」という。 ) 、 る法律である。直近の改正である 200 これに対し、消契法の見直しの議論が 8 年改正法は、大規模なものであって、 特定商取引に関する法律 ( 以下「特商法」 ほば時期を同じくして行われているの大要、次の措置を内容とするものであっ という。 ) 、割賦販売法 ( 以下「割販法」 という。 ) につき、政府の審議会等のレは、偶然的事情によるところが大きい 費 ベルでの検討が急ピッチで進められてい ともあれ、消契法、とりわけ、同法の①指定商品・指定役務制を廃止し、原 、冫 るのである ( 注 1 ) 。 意思表示取消規定の改変は、特商法の意則全ての商品・役務を規制対象とする るこのうち、特商法と割販法の見直しの思表示取消規定の要否・内容に大きな影 ( 割販法 2 条。以下、割販法の条文は法 み検討が同時期に行われているのは、予定響を与えるものであるし、特商法と割販〇条として引用する。 ) 。②個別信用購入 あっせん ( 以下「個別クレジット」とい されていたところといってよい。両法と法も相互に関連の深い法律であるから、 うことがある。 ) 及び包括信用購入あっ も、 5 年ほど前に、東ね立法 ( 特定商取これら 3 法の見直しの検討が、ほば並行 引に関する法律及び割賦販売法の一部をして行われているのは、有意義なこととせん ( 以下「包括クレジット」というこ いえるであろ、つ とがある。 ) の定義を見直し、 2 か月以 改正する法律 ( 平成年 6 月日法律第 例 3 法に関して改正の検討対象となって上かっ 3 回以上の分割払いのクレジット 号 ) ) の形で大幅な改正が行われ、そ いる論点は多数に及ぶ。しかも、その中に契約に加えて、 2 か月超後の 1 回払い、 の附則 8 条 ( 以下、単に「附則 8 条」と いう。 ) により、「政府は、この法律の施は、それ単独で優に 1 本の論稿を要する 2 回払いも規制対象とする ( 法 2 条 3 、冫行後 5 年を経過した場合において、この大テーマも含まれている。このような中、項・ 4 項 ) 。③個別信用購入あっせん業 割賦販売法の見直しの方向性 の

3. 法律のひろば 2015年6月号

弱者を狙った悪質商法などによる消費者炻 消費者安全法改正の概要 一の被害は後を絶たない。また、認知症等高 齢者の消費者被害に関する相談が平成 年度に初めて 1 万件を超え過去最高とな引 るなど、今後更なる取組が求められる課の 律 法 消費者庁消費者教育・地方協力課題もある。 消費者庁としては、「どこに住んでい ても質の高い相談・救済を受けられる地 2 消費生活相談体制の充実・強化 一消費者安全法の改正の背景 域体制」を整備するため、平成年 1 月 に「地方消費者行政強化作戦」を定め、 消費者の安全・安心を確保するために 改正に至る背景 は、消費者にとって身近な地方公共団体地方消費者行政への支援を行うなどの取 地方公共団体における消費者行政の充における消費生活相談体制の整備を図る組を進めてきた。 実・強化は、消費者庁設立以来の課題でことが不可欠である。 あり、いわゆる消費者庁関連三法の国会 消費者庁の設立後、地方消費者行政の 3 改正法の検討経緯 審議の際には、消費者庁及び消費者委員体制整備は着実に進展し、平成年まで の 5 年間で消費生活センタ 1 が 262 か 地方公共団体における消費者政策のう 会設置法附則 4 項において、「政府は、 消費者庁関連三法の施行後 3 年以内に、 所増加、消費生活相談員が 5 4 5 人増員ち、消費生活相談等に関する体制整備に 消費生活センタ 1 ( 消費者安全法第間条され、それぞれ 763 か所、 3345 人っいては、消費者庁において、「消費生 となった。イ 第 3 項に規定する消費生活センターをい 也方で、小規模市町村を中心活相談員資格の法的位置付けの明確化等 に関する検討会」を設置して検討を行 う。 ) の法制上の位置付け並びにその適に、消費生活相談員の配置等をはじめと 平成年 8 月に報告書を取りまとめ 正な配置及び人員の確保、消費生活相談して相談体制の実質的な強化には課題が 員の待遇の改善その他の地方公共団体のある。 また、消費者被害の悪質化・巧妙化を 消費者政策の実施に対し国が行う支援の 全国の消費生活センタ 1 等の相談窓口 在り方について所要の法改正を含む全般に寄せられる消費生活相談の状況をみる背景に、消費生活相談体制のみならず、 的な検討を加え、必要な措置を講ずるもと、平成幻年度の約囲万件から、平成地域の関係機関等との連携による見守り 年度までは減少し続けていたものの、平ネットワークの構築を含めて、消費者被 のとする」とされていた。 害の防止に向けた地域社会全体の在り方 成年度には約万件に再び増加してい る。特に、高齢者や障害者などの社会的を検討するため、「消費者の安全・安心

4. 法律のひろば 2015年6月号

をいう。 ) があるものについてはそれを よ括弧内に記載することとする。 一一平成年 6 月改正法の概要 律 ( 監視指導態勢の強化等 ) 法 消費者庁表示対策課 事業者のコンプライアンス体制 号。以下「平成 % 年 6 月改正法」という。 ) 一はじめに の確立 が成立し、一部を除き同年月 1 日に施 ホテル等においてメニュー表示等の不行された。 平成 % 年 6 月改正法により、事業者 当表示が平成年秋以降に相次いで発覚さらに、平成 % 年 6 月改正法におい は、自己の供給する商品又は役務の取引 したが、このような事態は国内外の消費て、「 : : : 政府は、この法律の施行後 1 について、景品類の提供又は表示により 者の「日本の食」に対する信頼を揺るが年以内に、課徴金に係る制度の整備につ不当に顧客を誘引し、一般消費者による しかねないものと認識された。このよ、つ いて検討を加え、必要な措置を講ずるも自主的かっ合理的な選択を阻害すること な事態を踏まえ、政府に設置された食品のとする。」とされ、その検討等の結果、 のないよう、景品類の価額の最高額、総 表示等問題関係府省庁等会議でその発生同年Ⅱ月にも「不当景品類及び不当表示額その他の景品類の提供に関する事項及 原因や背景が検討され、事業者のコンプ防止法の一部を改正する法律」 ( 平成 % び商品又は役務の品質、規格その他の内 ライアンス意識の欠如、不当景品類及び年法律第 118 号。以下「平成年Ⅱ月容に係る表示に関する事項を適正に管理 改正法」という。 ) が成立し、景品表示するために必要な体制の整備その他の必 不当表示防止法 ( 昭和年法律第 13 4 号。以下「景品表示法」又は「法」とい法に課徴金制度が導入されることとなっ要な措置を講じなければならないことと された ( 法条 ( 7 条 ) 1 項 ) 。また、 う。 ) の趣旨・内容の不徹底及び行政のた。 監視指導態勢の問題という三つの問題が 以下では、消費者問題にも密接に関わ内閣総理大臣は、事業者が講ずべき景品 指摘された。そこで、事業者のコンプラる景品表示法の 2 度にわたる改正につい類の提供及び表示 ( 以下「表示等 , とい ィアンス体制の確立及び行政の監視指導て概要を述べる。なお、文中の条文につ う。 ) の管理上の措置に関して、その適 態勢の強化を図るため、平成年 6 月に いては平成年Ⅱ月改正法を反映したも切かっ有効な実施を図るために指針を定 不当景品類及び不当表示防止法等の一部のを基本とし、現行条文 ( 平成年 6 月めると規定され ( 同条 2 項 ) 、当該指針 を改正する等の法律 ( 平成年法律第改正法による改正後の景品表示法の条文 ( 「事業者が講ずべき景品類の提供及び表 景品表示法改正の概要

5. 法律のひろば 2015年6月号

スリーディングになり得るので、クレジ 六見直しの基本的方向 ットカード決済による契約件数全体の中 イシュアーと消費者との関係に係 での相談・苦情発生率を見ると、マンス 四で述べたオファス取引の一般化及び る規定については、引き続き、誘因 リークリア取引における相談・苦情発生加盟店業務を担う主体の多様化という事性・複雑性の観点から検討する一 率は、包括クレジットや個別クレジット実を踏まえて、「中間的な論点整理」は、 方、アクワイアラー等と加盟店との における発生率と比べて、大きく下回っ見直しの基本的方向性を次のようにまと取引に係る規定については誘因性・ めている。 ていることが分かる 複雑性とは異なる観点から適用範囲 また、「マンスリ 1 クリア取引に係る を検討することが必要である。 消費者相談・苦情」といわれるものの大 クレジットカード会員、加盟店及 部分を占めているのは、実は、出会い系 びクレジットカ 1 ド事業者の三者間 サイト、サクラサイト、アダルト情報サ取引を出発点として組み立てられて 七加盟店調査等の在り方 イト、プランド物バッグ等を対象とする きた現行の割賦販売法の構造を、イ シュア 1 についてはクレジットカ 1 販売契約等に係るトラブルに起因し、ク 四で述べたクレジット取引の構造変化 レジットカードが決済手段として用いら ド会員への与信枠供与等に係る規定や五で述べた消費者相談の動向を踏ま れているという内容のものである。 を、アクワイアラ 1 加盟店の調査・ え、加盟店調査等の在り方につきどのよ そして、販売契約等に関する相談の 3 是正を実質的に行える ( 注 5 ) うに考えるべきかは、今回の見直しの検 割以上が海外アクワイアラ 1 経由の取引 については加盟店の取引等に係る規討作業において、最も中心的なテーマと であるとされる。海外アクワイアラー経定を適用するという構造に改める方なっている。これは、義務の内容・義務 由の取引については、支払回数を指定す向で、具体化の検討を進めるべきで の主体・義務の適用範囲の各論点に、ア るという国内特有の商慣行が存在せず、 クワイアラ 1 や決済代行業者 ( の一部 ) ある。この構造の整理にあっては、 国内発行クレジットカ 1 ドの利用は、原実効性ある加盟店調査のため、イシ を割販法上にどう位置づけるかの基本構 則としてマンスリ 1 クリア取引となる。 ュア 1 からアクワイアラ 1 に相談苦想の問題が絡み、複雑な連立方程式を解 そのため、マンスリークリア決済の販売情情報を提供することについても検 くような作業となる。以下、この項では、 契約等でトラブル件数が増加する傾向が討することが必要である。 包括クレジットに関する苦情申立ての際 生ずることになる。 の加盟店調査等の義務に関する現行法の さらに、五で述べた消費者相談の動向規律を確認した上で、割販小委における の分析・評価をも踏まえて、次のように見直しの議論の内容を、クレジットカー も述べている。 ド取引の構造変化を背景とした割販法の 法律のひろば 2015.6 ・ 8

6. 法律のひろば 2015年6月号

商法改正中間試案の概要 を困難にする ( 最判昭和年 3 月日 ) が提案されている。 行っていきたいと考えている。 などと、かねて指摘されている。また、 さらに、船舶先取特権と船舶抵当権と 国際的には、三度にわたり船舶先取特権の優劣については、前記判例や条約など ( 注 ) に関する条約が成立しており、世界的なを参考に、①航海継続必要費用の船舶先 ( 1 ) ミ w. moj. g 。」 p 、 M 一 N ミ m 巨蕊ー。 0 . h 動向をも参考にする必要がある。 取特権 ( 商法 8 4 2 条 6 号 ) 及び②船舶 ( 2 ) http ミ w .shojihomu. 0 「 unsoho を h 商法部会では、このような観点から、 の運航により生じた物の損圭口に基づく債 ( 3 ) 各会議の議事内容並びに中間試案及びその補足 = 商法のみならず、国際海上物品運送法や権の船舶先取特権 ( 船主責任制限法 明は、 http ://www.moj.go.jp/shingil/shingikai-syoh hünl を参照。 船主責任制限法を含めて、船舶先取特権条 ) を船舶抵当権に劣後するものとすべ を生ずる債権の範囲及びその順位を中心 きかに関し、複数の案が提案されてい ( まつい・のぶかず / うの・なおき に、全般的な規律の見直しが検討される。 やました・かずや ) 中間試案では、まず、船舶の運航によ 五おわりに り生じた人身損害に基づく債権につい て、現行法の下では、制限債権に該当し て責任制限手続に服する場合に限って船法制審議会商法 ( 運送・海商関係 ) 部 舶先取特権が認められ、その順位も最下会では、本年 6 月以後、意見照会の手 位である点 ( 船主責任制限法条 ) を改においてお寄せいただいた御意見を踏ま め、制限債権か否かを問わずに船舶先取え、審議を再開する予定である。 特権を認めつつ、これを第 1 順位とする 運送・海商の分野は、荷主・旅客・運 ことが提案されている。 送人 ( 下請運送人を含む。 ) ・保険者等 また、船員の雇用契約債権の船舶先取の様々な利害関係人が存在している上、 特権 ( 商法 842 条 7 号 ) については、 国際的な規律の枠組み等もあり、極めて その被担保債権の範囲につき、下級審の複雑かっ専門的であるが、関係各位の御 メ一裁判例が分かれており、当該船舶への乗協力を得て、国際的な視野の下に、現代 物組みに関して生じた債権であることを要の取引実態に根付いた公正かつ効率的な 件とするか否かなどをめぐり、複数の案規範となるよう、法改正に向けた検討を 65 ・法律のひろば 2015.6

7. 法律のひろば 2015年6月号

商法改正中間試案の概要 送人に委託する事案において、無過失でである荷受人は、当該規律により運送契人が危険を負担していることが多く、 あっても荷送人としての責任を負うこと約上の権利を取得することがなく、荷送受人が権利を取得するように規律を改 は酷に過ぎるとの評価などを理由とする人の運送契約上の損害賠償請求権につきる必要性に疑問があるなどの意見があ ものである。 債権譲渡を受けた上でこれを行使しなけ たため、中間試案では、現行法の規律 また、中間試案では、乙案として、荷ればならない。しかし、特に、国際海上維持すべきとする案も併記されている。 この点については、陸上運送と国際、 送人は、この通知義務に違反したとき運送を中心に、国際商業会議所の定めた は、無過失であっても、運送人に対してインコタームズ 2010 の条件等上運送とで異なる規律とすると、特に 損害賠償責任を負うとする無過失責任に による輸入取引では、運送品が船舶上に者を組み合わせた複合運送において法 / よる案も提案されている。これは、国際置かれた時にその滅失の危険が買主に移関係が錯綜しかねず、物品運送につい 海上運送や航空運送における実務や世界転することとなり、それ以降、売主であの総則的規律としていずれかの案によ 的潮流と整合的であるとの評価などを理る荷送人は、運送人の責任を追及するイ ことが相当であるところ、今後、荷送 由とするものである。 ンセンテイプを有しないことから、前記 と荷受人との間の利害関係について、 この点については、物品運送についての債権譲渡にも応じようとせず、荷受人種運送の利用者にどのような取引形態、 の総則的規律の在り方と併せて、航空運において過大な負担があると指摘されてあるのか、どのような危険負担の在り が多いのか等の情報を広く収集した 送に関する特則などを設ける必要があるいる。そこで、中間試案では、商法 58 か等も含めて、引き続き検討するものと 3 条 1 項を改め、荷受人は、運送品が到で、引き続き検討するものとされて されている。 達地に達した場合のほか、運送品の全部る。 が滅失した場合も、荷送人の権利と同一 運送人の損害賠償責任の消滅 荷受人の権利 の権利を取得することとした上で、荷送 商法では、運送品の減失・損傷・延 商法 583 条 1 項では、船荷証券等が人の権利と荷受人の権利との調整に関す についての運送人の責任は、荷受人が、 発行されていない場合について、運送品る同法 582 条 2 項の趣旨を敷えんし、 が到達地に達した後は、荷受人は、運送荷受人が権利を行使したときは荷送人は送品を受け取った日 ( 全部滅失にあっ 契約により生じた荷送人の権利を取得す権利を行使し得ないこととする案が提案は、引渡しがされるべき日 ) から 1 年引 されている。 ると定めている。 短期消滅時効に服するとした上で、運、の 法 この規律に従うと、運送品の全部が滅これに対し、主として国内の陸上運送人に悪意があるときは、 5 年の商事消 失して到達地に到着しないときは、買主を念頭に置くと、運送品の到着まで荷送時効に服すると定めている。他方、国八

8. 法律のひろば 2015年6月号

ように整理した場合、現行法上、包括信ットの定義から「当該利用者が当該販売ットにおいては、典型的には、販売契約に 用購入あっせん業者に課せられている法業者から商品若しくは権利を購入する契等とクレジット契約は同一機会に締結さ℃ 条の 5 の 2 所定の義務は、イシュア 1 約を締結し、又は当該役務提供事業者かれ、手続的にも一体性が認められる。こ がアクワイアラ 1 等に苦情情報を通知ら役務の提供を受ける契約を締結した時のように、個別クレジット取引における ろ し、通知を受けたアクワイアラー等が原から 2 月を超えない範囲内においてあら販売契約等とクレジット契約は、、 しわゆの 律 因究明等の処理を行うという考え方に見かじめ定められた時期までに受領するこる「結合された契約」の範疇に属する。 法 直すべきことになる。 と」がそもそも除かれている ( 2 条 3 項後者においては、このような意味での また、このイシュア 1 の苦情通知義務 1 号 ) から、行為規制や民事ル 1 ル ( 支経済的一体性を語ることはできない。ク レジットカ 1 ド取引においては、イシュ を、マンスリークリア取引にも拡張して払拒絶の抗弁の規定も当然含まれる。 ) 割販法上、制度的に措置すべきか、マンが適用されない扱いとされている。 ア 1 とカード会員の間であらかじめ締結 スリークリア取引に関しては、事業者の される包括的な与信枠設定契約 ( 基本契 自主的取組 ( 前述のの拡充を含 約 ) がその本質であり、具体的な販売契 個別クレ ) ンツトとクレ ) ンツトカ む。 ) に期待すべきかが、検討されるべ 約等との結びつきは存在しないからであ ード取引の相違 き論点となる。 る。後日においてカード会員がクレジッ この問題を検討するに当たっては、クトカードを呈示する等して、個別に商品 レジット取引と称されるものの中にも、等を購入する場面では、基本契約で合意 八支払拒絶の抗弁制度のマン かなり性質の異なるものが含まれているされた契約条件に従って与信が履行され スリークリア取引への拡張 ? ことを踏まえる必要がある るのみであり、個別のカード利用場面で まず、基本的な区別として、個別クレ与信契約の締結を語り得るのかさえ、理 現行法の規律 ジットとクレジットカード取引の区別が論的には疑問の余地がある。販売業者等 法条の 4 、条の 5 は、包括クレジある。前者においては、個別の販売契約は与信枠設定契約の締結に関与すること ットにつき、購入者等に、いわゆる支払等に際して、当該販売契約等の代金を与はないから、手続的一体性も存在しな 拒絶の抗弁を認める規定を設けている。信することを目的として、個別にクレジ ちなみに、個別クレジットについても、 ット契約が締結される。この場合、販売もっとも、日本においては、歴史的に 法条の 3 の四に同旨の規定が置かれて契約等とクレジット契約は、法的には別分割払いのクレジットカ 1 ド取引が比較 いる 個の契約であるが、両契約の間には一方的広く行われ、その分野で消費者トラブ これに対し、 2 月払購入あっせん ( マがなければ他方もないという意味で経済ルが少なくなかったという事情もあっ ンスリ 1 クリア取引 ) には、包括クレジ的一体性が存在する。また、個別クレジて、分割払いのクレジットカード取引 ( 後

9. 法律のひろば 2015年6月号

い、つ利便性を見ると、クレジットカード 用されるものである。こうした制度をマ頁を通じて、信義則の適用上、例外的に が存在することにより販売等の取引が生ンスリークリア取引に拡張することに支払拒絶の抗弁や既払金返還請求が認め じているといえ、措置を検討すべきとい は、やはり慎重であるべきであろう。 られる場合についての判例の準則がある う意見もあった。今後、現行の包括信用 程度示されているか、マンスリ 1 クリア ろ 購入あっせんとの異同を整理し、同様の カ 1 ド取引に関する判例の準則は明らかの 5 支払拒絶の抗弁以外の解決手段 律 規定を措置すべきと評価できるのかとい になっていない。 法 う観点から、更なる検討が必要である」 支払拒絶の抗弁制度をマンスリークリ 下級審裁判例としては、東京地判平成 と述べた後、「他のキャッシュレス取引ア取引に拡張することが困難だとして幻年川月 2 日消費者法ニュ 1 ス号 21 との関係で、マンスリークリア取引の性も、クレジットカード取引においては、 1 頁があり、マンスリークリア取引に関 質が異なるといえるのかという視点を踏チャ 1 ジバックや売上キャンセル処理として、イシュアーはカ 1 ド会員からクレ まえ、取引間のバランスに考慮すること いった方法で、購入者の経済的損失の全 1 ムを受けた場合には、支払請求を停止 が必要である」と付言している。 部又は一部の回復が図られる ( 支払拒絶すべき法的義務はないものの、購入者と この付言部分が指摘するように、マンを超えて、既払金返還も認められる。 ) 加盟店との間のトラブルの有無や内容の スリ 1 クリアカードのキャッシュレス支ことか少なくない。これらの方法は、い 状況を確認調査する等して、むやみに購 払手段としての利便性を根拠として、支ずれも購入者等に訴訟上も貫くことがで入者が不利益を被ることのないよう協力 払拒絶の抗弁を認めるならば、デビット きる権利を与えるものではないが、いずすべき信義則上の義務を有すると判示 カード、 電子マネ 1 、プリペイドカードれも、購入者等からの苦情への対応場面し、事案において、イシュア 1 は、カ 1 等、その他のキャッシュレス決済にも同で事案の実情に即した解決をもたらすもド会員からの苦情の申出を受けて、アク 様のルール ( ないし返金ル 1 ル ) を認めのとして、実務上大きな役割を果たしてワイアラ 1 に対し、適切な調査依頼をす いる ないと一貫しないことになりかねず、そ べきであったが、これをしなかった債務 のような極論に与することは困難といわ また、民法上の信義則等の解釈として不履行があったとして、カ 1 ド会員から ざるを得ない。 も、原因関係において生じている事由をイシュアーに対する損害賠償請求の反訴 支払拒絶の抗弁は、販売契約等につきもって、カード会社からの請求を拒絶すを一部認容した ( 注 9 ) 。この裁判例で示 販売業者等に対して生じている事由に基ることができないかという論点は、別途された方向が、今後どのように裁判実務 づき、購入者等がカ 1 ド代金等の支払い考察に値する。 で展開していくかは、いまだ未知数であ を拒絶できるというルールで、問題の事個別クレジットに関しては、最判平成る ( 注四が、いずれにしても、マンスリ 由の内容や問題の事由が生じた経緯等を 2 年 2 月日判時 1354 号間頁や最判 ークリアカ 1 ド取引における個別的消費 原則として顧慮せずに、一刀両断的に適平成年川月日民集巻 7 号 3114 者保護は、支払拒絶の抗弁制度の導入に

10. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 割賦販売法の見直しの方向性 必要な措置をとるよう義務づけること、着目して、立替金交付者を加盟店調査等約関係に基づいて業務を行うことにな ⑥認定割賦販売協会が運営する、いわゆの義務の主体とする案 (< 案 ) が一時有ことを考えると、加盟店調査等の義務 る加盟店情報交換制度 (—Q>) には、 力化した。これは、決済代行業者の中に体は、一義的にはアクワイアラ 1 とす 販売業者等に係る利用者等の保護に欠けは、アクワイアラ 1 からの各加盟店へののが得策であるとする案が対案とし る行為に関する情報等 ( 会員が調査の結支払金を一括して受領し、それを各加盟提示された。この案では、決済代行 果、加盟店契約を解除した履歴等 ) が収店に配分する者がいるところ、そのよ、つ者のうち加盟店の調査等を行う能力のあ 載されているところ、加盟店業務会社な決済代行業者は加盟店との関係で実質る者をアクワイアラーが適切に活用でき も、認定割賦販売協会の会員と位置づけ的な影響力を有すると考えられ、間接的るように、決済代行業者に任意的な加盟 ることで、こうした情報を活用できるよな資金源となるアクワイアラ 1 よりも直店業務代行会社登録制を導入し、アク うにすること等である。 接的な支払者である立替金交付者に加盟ィアラ 1 が登録加盟店業務会社とほば一口 店の調査等を義務づけた方が、悪質加盟等の義務を負う登録加盟店業務代行会社 加盟店業務代行会社に関する規制店等の排除策としてより合理的なのではを使用する場合には、加盟店の調査等 , 四 2 で述べたように、近年、クレジッ ないかという理由に基づくものであっ ついて、アクワイアラ 1 の義務が軽減 トカード取引において新しいタイプの決た。この < 案は、加盟店に立替金を交付れることになる。 済事業者が果たす役割が増大していく中する者について登録義務を課し ( 未登録 < 案が、強行法規の導入と政府によ で、このようないわゆる決済代行業者に営業は禁止される。 ) 、加盟店調査等の義監督・法執行に頼る発想に立っている 対し加盟店調査等の義務を課するなど、務主体とするものであり、アクワイアラに対し、案の特色は、そのようなハ 制度面での措置を含めた対応を検討する 1 が直接の立替金交付者にならない場合 ドロー・アプロ 1 チに、優良な民間主 必要はないかが、 課題として意識されるには、アクワイアラ 1 は加盟店調査等ののインセンテイプを活用するアプロー よ、つになった。 義務を負わないことになる。 を組み合わせて問題に対処しようとす もっとも、これも四 2 で指摘したとお しかし、この < 案に対しては、国際プ点にある。 り、「決済代行業者」と呼ばれる者の中ランドのネットワークを介して行われる 割販小委の最近の審議においては、 には、極めて多様な業者が含まれておクレジットカード決済では、これらのネ本的に案が大方の支持を得、現在。 り、統一的な定義を設けることは困難でツトワークへの参加資格を有するアクワは、案を基軸に細目の検討が進めら ある。このような中、割販小委の審議でイアラ 1 が必ず介在する仕組みになってている は、決済代行業者を定義するというよりおり、新しいタイプの決済事業者が単独 は、決済代行業者の一部の者が果たしてでクレジットカード決済を取り扱うこと イシュアーの苦情通知義務 いる加盟店への立替金交付という機能に はできす、アクワイアラーとの提携・契加盟店調査等の義務の枠組みを以上 1 1 ・法律のひろば 2015.6