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検索対象: 法律のひろば 2015年6月号
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1. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 景品表示法に基づく差止訴訟判決 研究会は、その活動のために独自に人 ような「クロレラ研究会」の名称を用い 3 当事者の主張 費というものを支出しておらず、団体 た本件チラシの配布につき、本件チラシ はサン・クロレラ社による本件商品の広各争点に対する当事者の主張の概要はしての会計管理や税務申告を行っていオ 、 0 告にほかならず、本件チラシに掲載され以下のとおりである。 たクロレラやウコギの薬効に関する記載 ウクロレラ研究会に資料請求すると、 は景表法上の優良誤認表示もしくは消費 争点① ( 本件チラシの配布主体 ) クロレラ研究会作成名義の資料が送付さ れてくるだけでなく、サン・クロレラ社 者契約法上の不実告知に該当するものと①の主張 して、景表法川条ないし消費者契約法 以下のような点から、本件チラシの配のカタログや注文書が送られてくる仕組 条に基づき本件チラシの配布の差止及び布主体として記載されているクロレラ研みとなっている。 優良誤認表示であることの周知措置を求究会はサン・クロレラ社の会社組織の一②サン・クロレラ社の主張 本件チラシは、クロレラ研究会が配 めて京都地裁に提訴した ( 以下「本件」部にすぎず、本件チラシの配布主体は、 したものであり、サン・クロレラ社が A い、つ。 ) 。 実質的にサン・クロレラ社である。 アクロレラ研究会の京都本部はサン・布したものではない。なぜなら、クロ クロレラ社本店所在地にあるほか、クロ ラ研究会は、サン・クロレラ社とは独 ~ 、 本件の争点 レラ研究会の会長はサン・クロレラ社取した組織であり、個人情報も独立して 本件において争点となったのは、①本締役の一人であり、かっ、サン・クロレ理していること、消費者がクロレラ研 会に資料請求しても、クロレラ研究会ゞ 件チラシの配布主体はサン・クロレラ社 ラ社の従業員は全てクロレラ研究会の会 資料請求者の承諾を得ることなく個人 か、それともクロレラ研究会という独立員となっている。 した組織か、②本件チラシは本件商品のイクロレラ研究会からサン・クロレラ報をサン・クロレラ社に提供すること 内容を表示するものであるといえるか、 社に事務所使用料の支払はなされておらないし、サン・クロレラ社のカタログ ③本件チラシの配布は優良誤認表示 ( 景ず、本件チラシに表示されたクロレラ研送付することもないからである。 表法間条 1 号 ) 又は不実告知 ( 消費者契究会の電話番号の回線契約者もサン・ク 争点② ( 本件チラシはサン・クロ ロレラ社であって、電話料金も全てサ 約法 4 条 1 項 1 号 ) に該当するか、とい ラ社の商品の内容を表示するものと、 う点である。本稿では、このうち景表法ン・クロレラ社が負担している。さら ろ えるか ) にかかる争点のみを取り上げることとしに、サン・クロレラ社は、本件チラシの ひ の 作成配布費用だけでなく、クロレラ研究① EOOZ の主張 律 法 以下のような一連の流れからすると、 会によるクロレラ等の広報活動に要する 費用を全て負担しているほか、クロレラ本件チラシにおけるクロレラやウコギ

2. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 景品表示法に基づく差止訴訟判決 り、原告において、クロレラやウコギの 争点② ( 本件チラシはサン・クロレう仕組みがある場合には」規制対象とな 効能効果が存在しないことを科学的に立 ラ社の商品の内容を表示するものとい ると判示した。 証するのでなければ、本件チラシが優良 えるか ) 誤表示に該当するとは認められない。 本判決は、①営利法人による新聞折込 争点③ ( 本件チラシの配布は優良誤 イ原告は前記立証を行っておらず、まチラシの配布は、通常、その商品の販売 認表示 ( 景表法間条 1 号 ) となるか ) た、サン・クロレラ社が本件商品の製造促進を目的とするものであると考えられ本判決は、医薬品としての承認を受し 販売につき薬事法条 1 項の承認を得てること、②本件チラシには、クロレラ研ていない商品であるにもかかわらず医、 いないとしても、それだけでは優良誤認究会が推奨するものを服用したことによ 品的な効能を表示することにつき、「 表示には該当しない り慢性的疾患が改善したとの記載があが国では、薬事法が制定された昭和 り、同研究会が推奨する商品の購入を強以降、医薬品は厳格に規制され、国に く誘導するものであること、③同研究会る厳格な審査を経て承認を得なければリ 本判決の判旨 が購入を推奨するのは、本件商品だけで造販売することができず、承認を受け あるから、本件チラシに興味を持って同 いない医薬品は医薬品的な効能効果を 争点① ( 本件チラシの配布主体 ) 本判決は、 EOOZ が主張したサン・ 研究会と接触した顧客は、本件商品の購示することが刑罰をもって禁止されて クロレラ社とクロレラ研究会との間の関入を勧誘されることからすると、本件チたのであるから、①医薬品的な効能効 係に関する事実関係を認定した上で、ク ラシは本件商品に関する「表示」と認めを表示する商品があれば、当該商品が ) 該効能効果を有することについて国の ロレラ研究会は、サン・クロレラ社からられると判示した。 独立して存立しているものとは考え難い また、本件チラシには本件商品の商品格な審査を経た医薬品であり、②通常 名の記載がないとのサン・クロレラ社の事業者であれば、商品を受けた医薬品 と判示した。むしろ、クロレラ研究会は、 サン・クロレラ社の商品の宣伝広告を行主張に対しては、商品を購入させるためない商品について医薬品的な効能効果 う同社の組織の一部門にすぎないと認定の不当な誘導を社会から排除し、一般消表示して販売しないであろうという社ム し、結論として、本件チラシの配布主体費者の適正な商品又は役務の選択を確保通念が形成されている」ところ、「医、 は、サン・クロレラ社であると判示しするという景表法の目的からすると、商品として承認がされていない商品につ、 品名の記載がないとの一事をもって規制て、医薬品的な効能効果が表示されて、 ろ る場合、当該表示は、一般消費者に対し、 対象から外すことは妥当ではなく、商品 ひ 名を表示しない広告であっても「多数の当該商品があたかも国により厳格に審の 法 消費者が当該広告で行われた不当な説明され承認を受けて製造販売されている に誘導されて特定の商品購入に至るとい薬品であるとの誤認を引き起こすおそ

3. 法律のひろば 2015年6月号

いでいる。平成年の司法制度改革審議報告書が取りまとめられた ( 注 2 ) 。 に専門的かっ技術的な事項が相当含ま 会意見書でも、「基本的な法令は、可能 ているとして、新たに商法 ( 運送・海 な限り分かりやすく、一般にも参照が容 関係 ) 部会を設置し、同部会で調査審一 = 三法制審議会における を行うことが決定された。 易で、予測可能性が高く、内外の社会経 経過 商法部会では、同年 4 月日開催の第 済情勢に即した適切なものとすべきであ ロ会議において、山下友信・東京大学 る」旨の指摘がされている。商事取引法このような経緯を経て、平成年 2 月 1 ロ の分野についてみても、平成四年に電子 7 日開催の法制審議会第 171 回会議に大学院法学政治学研究科教授 ( 当時 ) 。 記録債権法が、平成年に保険法が制定おいて、法務大臣から、法制審議会に対部会長に指名された。同会議におい は、商法部会では物品運送及び海商の され、同年に国際物品売買契約に関するし、商法 ( 運送・海商関係 ) 等の改正に 国際連合条約の締結が国会で承認される関する諮問第四号がされた。その諮問事野を中心的に検討し、旅客運送の分野 , など、現代の社会経済情勢を踏まえた制項は、「商法制定以来の社会・経済情勢ついては、同部会のもとに旅客運送分科 度の導入や見直しが行われてきたが、この変化への対応、荷主、運送人その他の会を設置し、旅客運送の関係者を招致し のような背景の下では、商法 ( 運送・海運送関係者間の合理的な利害の調整、海つつ調査審議を行うことが了承された。 その後、商法部会は、おおむね月 1 商関係 ) の規定を現代化して、法規範の商法制に関する世界的な動向への対応等 透明性を高め、あるいは諸外国からも理の観点から、商法等のうち運送・海商関の頻度で会議を開催し、また、旅客運、 解を容易にするなどの必要があることは係を中心とした規定の見直しを行う必要分科会は、商法部会において主要な論 明らかであろ、つ。 があると思われるので、その要綱を示さの一読を終えた平成年川月以降に会 = = そこで、商法の現代化に向けた基礎的れたい。」というものである。同会議にを開催し、これらを踏まえて、平成 な検討として、平成年度には研究者においては、運送・海商という分野が経済 3 月Ⅱ日開催の商法部会第Ⅱ回会議に、 いて、全体を統合して中間試案の取りま より諸外国の運送法制等の調査研究が行の基盤であり、その競争力の維持のため われ、平成年度には運送に関する業界にルールの予見可能性を高めるべく、早とめがされた。中間試案については、一 構造や実務の実態等について調査研究業期に法改正を実現すべきであるとの意見年 4 月 1 日から 5 月日まで意見照会 務が実施された ( 注 1 ) 。さらに、平成 や、この分野は国民生活に深く関わるの手続が行われたが、その際、事務当局、引 多 - 年 8 月から平成年Ⅱ月にかけて、研究で、運送業者、保険会社、荷主、旅行業ある法務省民事局参事官室により、中の - 一者及び実務家の参加する運送法制研究会者、一般旅客などの多様な利害を調整す試案の趣旨等を補足的に説明する文書。法 べきであるとの意見が出された後、高度作成され、公表されている ( 注 3 ) 。 において論点の洗い出しがされ、詳細な 商法改正中間試案の概要

4. 法律のひろば 2015年6月号

特集 を勧誘した場合と判断できるからである、まさに適合 性原則違反の取引について、法律が解除権を認めたも のと解釈できる、と指摘される ( 「消費者取引と法ー 津谷裕貴弁護士追悼論文集」 ( 民事法研究会、 201 1 年 ) 400 頁 ) 。 ( Ⅱ ) 宮坂昌利「最高裁判所判例解説」曹時巻 1 号 2 ( リ判例集未搭載。国民生活審議会消費者政策部会 第 7 回消費者契約法評価検討委員会 ( 平成四年 6 月 日開催 ) 配布資料 ( リ宮下修一「適合性原則と民事責任 ( ・・ 2 ( 完 ) 」国 民生活研究巻 1 号 15 四頁、 2 号 5 頁 ( 201 2 年 ) では、適合性原則は、当事者間の「交渉カ格差」 及び「情報カ格差」の存在を前提とするものであるか ら、従来の投資取引という枠組みを超えて、少なくと もそうした格差の存在する消費者法の分野では一般ル ール化することが可能であり、現段階では、消費者契 約法に規定するのがもっとも妥当であるとされる。ま た、その際の判断基準として、①当事者の知識・経験・ 年齢を考慮した「理解力」と、②当事者の経済状況・ 契約目的・契約意向を考慮した「必要性」を挙げてい る。 (ä) 平成年 7 月日経済産業省 ( ) 平成年 7 月 7 日経済産業省 ( 間 ) オランダ民法「ある者が窮乏、依存性、軽率さ、 異常な精神状態又は経験不足などの特別な状況にあり そのために契約を締結するよう勧誘されていること を、相手方が知り、または、知ることができ、かっそ 利益を得たとき のような状況に応じて契約を推し進めた場合には、そ ( 司法研修所編『現代型民事紛争に関する実証的研お 0 の相手方は状況を濫用したものとして、その者は契約 究ー現代型契約紛争①消費者紛争」 ( 法曹会、 20 CV 、ま を取り消すことができる」 11 年 ) 頁以下 ろ ひ ( リ一方当事者において不利な状況が存し、これを他 ( 幻 ) 消費者法ニュース号 199 頁 の 律 法 方当事者が知り、または知り得ることができる事情に ( 宮下・前掲 ( 注リ参照。 あるにもかかわらず、一方当事者のこのような状況に つけ込んで利得を図ろうとする行為は、正義、公平に 反するとして、一方当事者は契約を取り消すことがで きる。「非良心性」には、契約締結過程において選択 を自由を侵害したか ( 手続的良心性 ) と契約内容が一 方的に不利なものか ( 実質的非良心性 ) があり、双方 の相関関係で「非良心性」が判断される。 ( 毬 ) 強迫に当たらない場合であっても、不当な圧力に よる取引がされたときは、当事者間に特別な信頼関係 があることと強い立場の当事者から弱い立場の当事者 に対する不当な説得があることを要件に、一方当事者 は契約を取り消すことができる。 ( 四 ) 次の双方の事情が存在したときに、契約を取り消 すことができる その当事者が相手方に従属し、若しくは相手方と 信頼関係にあり、経済的に困窮し、若しくは緊急の 必要に迫られ、又は思慮がなく、無知であり、無経 験であり、若しくは交渉技術に欠けていたとき 相手方がこの事情を知り、又は知ることができ、 かっ、当該契約の状況と目的の下で、箸しく不公正 な方法でその当事者の状況につけ込み、又は過大な ( せと・かずひろ )

5. 法律のひろば 2015年6月号

一一本判決の概要 CD 景品表示法に基づく差止訴訟判決 【 0 ( 注 4 ) 適格消費者団体により景品表示法川条に基づく差止を 事案の概要 ろ 請求がなされ、新聞折込チラシの配布の差止め等が 被告サン・クロレラ販売株式会社 ( 以 律 認められた事例 ( 京都地判平成年 1 月幻日 ) 法 下「サン・クロレラ社」という。 ) は、 中本総合法律事務所弁護士大高友一不特定多数の消費者に対し、クロレラ (O ・・ (æ) やウコギ ( イソフラキシ 御池総合法律事務所弁護士志部淳之介 ジン ) を含有する商品 ( 以下「本件商品」 示を現に行い又は行うおそれがあるときという。 ) を販売している会社であると 一はじめに は、当該事業者に対し、当該行為の停止ころ、「日本クロレラ療法研究会」 ( 以下 多数の消費者に急速に拡大する被害を若しくは予防又は当該行為が優良誤認表「クロレラ研究会」という。 ) の名称を用 もたらす不当表示については、従前から示又は有利誤認表示である旨の周知そのいて、クロレラやウコギの薬効を宣伝す 不当景品類及び不当表示防止法 ( 以下「景他の措置を採ることを裁判所に請求できるともに、クロレラ研究会の推奨するク ロレラ等を摂取するよう勧める新聞折込 表法ーという。 ) によって禁じられ、違ることとされた ( 景表法川条 ) 。 反行為については行政機関による措置平成年 1 月幻日、京都を中心に活動広告を定期的に配布していた ( 以下「本 ( 措置命令等 ) がなされていた。それにする適格消費者団体である京都消費者契件チラシ」という。 ) 。その本件チラシの 内容は、大要、クロレラやウコギを摂取 もかかわらず、事業者による不当表示は約ネットワ 1 ク ( 以下「」とい 減少することはなく、規制強化の必要性う。 ) によって我が国で初めて提起されすることで、腰部脊柱管狭窄症や肺気 た景表法川条に基づく不当表示の差止請腫、自律神経失調症・高血圧等の症状が が議論されていた。 こうした議論を受け、平成幻年 4 月 1 求訴訟につき、京都地方裁判所において改善したという体験談が多数掲載されて の請求を全面的に認容する判決いるというものであるが、本件チラシを 日より、行政機関による措置に加えて、 不特定かっ多数の消費者の利益を代表す ( 以下「本判決」という。 ) が言い渡され見た消費者がクロレラ研究会に資料請求 る「適格消費者団体」 ( 消費者契約法 2 た ( 注 1 ) 。本稿は、本判決の概要を紹介や問い合わせ等を行うと、サン・クロレ ラ社の本件商品のカタログが送付された 条 4 項 ) に景表法に基づく不当表示の差するとともに、本判決の意義・評価につ り、本件商品の購入を推奨されたりする き検討を加えるものである ( 注 2 ) 。 止請求の権限が付与された。すなわち、 という仕組みとなっていた。 事業者が、不特定かっ多数の一般消費者 0 0 Z は、平成 % 年 1 月日、この に対して、優良誤認表示及び有利誤認表 ( 注 3 )

6. 法律のひろば 2015年6月号

<LO 判 現代行政法入門第 3 版 ニ六 00 円 曽和俊文・山田洋・亘理格著 行政法の全体像を 1 冊で ! 判 ニ六 0 〇円 政去第 3 版 充実した内容・ 稲葉馨・人見剛・村上裕章・前田雅子著 信頼のおける解説。行政不服審査法の全面改正を機に改訂。 〔有斐閣選書〕 ニ一〇〇円 よくわかる税法入門第 9 版 三木義一編著対話形式による解説、税法の入門書の決定版。 〔有斐閣選書〕 一 = 一 0 〇円 よくわかる法人税法入門第 2 版 三木義一編著 / 藤本純也・安井栄ニ著好評の入門書。 町 <()O 判 保 Q 離婚判例カイド第 3 版 三一〇〇円 ニ宮周平・榊原富士子著重要な判例を幅広く紹介する。 区 <LO 判 千 ケースブック労働法第 4 版 四〇〇〇円 一荒木尚志・奥田香子・島田陽一・土田道夫・中窪裕也・ 水町勇一郎・村中孝史・森戸英幸著労契法などの法改正対応。 <LO 判 労働法の世界第ⅱ版 三四 00 円 一橳中窪裕也・野田進著 日々変化する労働法の実像に迫る。 格 価 <LO 判 知的財産法判例集第 2 版 三五 00 円 知的 閣大渕哲也・茶園成樹・平嶋竜太・蘆立順美・横山久芳著 財産法の全分野をフォロー。平成年・年特許法改正に対応。 <LO 〔判 三八〇〇円 有企業統治の法と経済 田中亘・中林真幸編◎比較制度分析の視点で見るガバナンス 日本の経験を駆使したコーポレート・ガバナンス研究の最前線。 ◎図書目録送呈 私の刑法研究 西原春夫著〔聞き手〕井田良・佐伯仁志・高橋則夫 四六上製 / 272 頁 / 3000 円 す 刑法研究者としての生き方を通して「人生は大事なことほど偶 き 0 抜 x 然で決まる」という原理を探り出す。人はいかに生きるべきか について数々の貴重な示唆と教訓を得ることのできる回顧録。 修復的正義の諸相 4 細井洋子先生古稀祝賀 っ LO 0 西村春夫・高橋則夫編著 <0 上製 / 368 頁 / 円 修復的正義・修復的司法研究に関する現在までの到達点を示す。 鶴和 田 = = ロ 裁判員裁判の臨床的研究 <I-O 上製 / 396 頁 / 8000 円 林弘正著 宿℃ 新 実際に傍聴し、裁判員裁判に内在する諸問題を分析・考察する。 都 刑事実体法研究者による臨床的研究書。 京 一デュ 1 言セスと合衆国最高裁Ⅵ 0 ー刑事免責、実体的デュー・プロセスー < 5 上製 / 3 5 4 頁 / 7 0 0 0 円 小早川義則著 主要な合衆国最高裁判例の憲法解釈に即して、わが国の最新の 動向もふまえて、その意味・内容を具体的に解明する。 堂被害者学研究第号 < 5 並製 / 16 4 頁 / 18 0 0 円 文日本被害者学会編 〔巻頭 = = ロ〕小柳武「被害者の視点を取り入れた教育」〔基調講演〕諸 成 澤英道「被害者学の過去、現在、未来」〔論説〕呉柏蒼「台湾におけ る犯罪被害者補償制度の特徴と近年の改革」 / 中村真利子「被害者の供 述の許容性」 / 渡辺暁彦「いじめ防止対策推進法の成立と今後の課題」 〔シンポジウム〕犯罪被害者への経済的支援〕冨田信穗「シンポジウ ムの趣旨」 / 滝澤依子「犯罪被害給付制度の運用について」 / 武内大徳 「犯罪被害者に対する経済的支援の展望」 / 奥村正雄「犯罪被害給付制 度の現状と課題」 / 滝沢誠「犯給制度と社会保障制度との関係につい

7. 法律のひろば 2015年6月号

薬効についての記載は、実質的にはサア景表法の優良誤認表示は、その要件 争点③ ( 本件チラシの配布は優良誤 において、ある商品表示と比較すべき対認表示 ( 景表法加条 1 号 ) となるか ) ン・クロレラ社の本件商品の内容を表示 したものである。 象として「実際のもの」だけでなく、「他①の主張 ア本件チラシでは、一見、「クロレラ」 の事業者に係るもの」を挙げているかアサン・クロレラ社は本件商品を販売 ろ 「ウコギ」という一般的な原材料の表示ら、「表示」において対象商品が他社のする目的で本件チラシを作成したのであの がされているだけであるが、この原材料商品等と識別できる程度に特定されている以上、その記載内容が事実であること の名称は被告商品である「サン・クロレる必要がある。本件チラシは、サン・クを直ちに証明できて然るべきであるか ラ < 」「サン・ウコギ」の商品名と類似ロレラ社の本件商品の商品名を表示するら、原告において、積極的な立証をしな している ものではなく、単にクロレラ等の効用をくても、サン・クロレラ社が本件チラシ イ本件チラシでは、サン・クロレラ社紹介するものにすぎないから、他社の商の内容を証明するに足りる証拠を提示で きない場合には、優良誤認表示をしたも の独自技術とされている細胞壁破砕技術品等と識別できる程度の特定はされてい のと事実上推定されるべき。 を用いた細胞壁破砕クロレラを紹介してない。 いる ィまた、本件チラシの内容自体につい イ「表示」が一般消費者にどのような ウサン・クロレラ社は、クロレラを用認識を与えるかの判断に際しては、本件ても、承認を受けた医薬品でなければ表 いた商品を販売する会社として知名度のチラシから看取できる情報のみを基礎に示することが許されないものであるとこ 高い会社であるから、本件チラシを見たすべきである。「クロレラ」という原材ろ、本件チラシによる表示は、本件商品 一般消費者は、本件チラシをサン・クロ料名を商品名に付けることは一般的であがそのような承認を受けていない商品で レラ社の本件商品のチラシであると認識るし、「細胞壁破砕クロレラ」を謳ったあるにもかかわらず、これを受けている かのように誤認させるものであるから、 する。 商品は、サン・クロレラ社商品以外にも 工本件チラシに従ってクロレラ研究会複数存在しているから、これらの表示を優良誤認表示に該当する。 に資料請求すると、サン・クロレラ社のもって、一般消費者が、サン・クロレラウさらに、本件チラシは、特定保健用 本件商品のカタログや申込書等が送付さ社の商品のチラシであると認識するとは食品にかかる特別用途表示の許可を得る ことなく、本件チラシにおいて特定の保 れ、それに基づきサン・クロレラ社の本考え難い ウクロレラ研究会に資料請求しても、険目的が期待できる旨の表示をしている 件商品の購入を申し込める。 クロレラ研究会が、資料請求者の承諾をのであるから、優良誤認表示に該当す ②サン・クロレラ社の主張 以下のような点から、本件チラシは、 得ることなく、サン・クロレラ社商ロ叩のる。 ②サン・クロレラ社の主張 同社の本件商品を表示したものとはいえカタログを送付することはない。 ア優良誤認表示の立証責任は原告にあ

8. 法律のひろば 2015年6月号

ひろ ( ま ′成年肥月 2 日から同月日にかけて、期司法修で一斉に修習を受けることとなったため、設備・運営面で 、習生 1762 名に対する導入修習が行われた。導入も様々な対応が必要とされ、司法研修所事務当局の方々に 修習は、実務に即した分野別実務修習を実施すべく、司法はこうした面での下支えをしていただいた。各教官室で 修習生に対する導入的教育を更に充実させるため、期か は、導入修習に向けた教材等の準備を入念に行ったことは ら新たに実施されることとなったものである もとより、実質日にすぎない導入修習期間中は、次々と 導入修習は、民裁、刑裁、検察、民弁、刑弁の 5 科目にやってくる講義、起案講評、演習等の準備に追われなが ついて行われたが、このうち刑事系 3 科目では、」 刑事訴訟ら、その合間を縫って個別の修習生の質問に応じるなどし 手続等についての基本的な講義、即日起案とその講評が行 たため、各教官の業務は多忙を極めた。しかし、文字通り われたほか、」 刑事系 3 教官室合同のコラボ科目として、勾目を輝かせながら修習に取り組む修習生の意欲的な姿を目 留要件を具体的事例に即して検討する刑事基本問題研究、 の当たりにして、それまでの苦労が報われる思いがしたと 起訴状や検察官請求書証に基づき、検察官又は弁護人の立 いうのが、多くの教官に共通する感慨だったと思われる。 場で証明予定事実、類型証拠開示請求、予定主張等を検討また、導入修習は、同じ修習地の修習生同士があらかじめ する刑事共通演習基礎が行われた。これらは従来集合修習交流を深められることや、教官が修習生各人の資質や能力 で実施されていたカリキュラムの重要部分を導入修習に取を早期に把握してその後の指導に活かせるという点でも、 り込んだものであるが、導入修習独自の新たな取組もあっ有意義であった。 た。例えば、検察科目の捜査演習では、放火事件を題材と 昨年肥月に行われた導入修習が、実務修習開始に必要な 取 よした模擬事件記録を配付した上で、身柄事件の受理段階に基礎的事項を各修習生に身に付けさせるという実務修習へ おける基本的手続や捜査事項を検討したり、模擬取調べのの橋渡しの役割を果たすとともに、各修習生に自己のレベ 方を適宜視聴しながら、裏付け捜査を踏まえた取調べ ルや不足点に気付かせ、その後の修習で修得すべき目標を 斤の重要性や、刻々と変化する証拠関係に基づいて事案の真自覚させるという所期の目的をどの程度達成し得たのかは 相を解明するプロセスの解説を行った。これは、検察庁に 今後の検証を待って判断されることになるが、その判断材 の おける捜査実務修習を試行体験させるものであり、修習生料の一つは、現在実施されている分野別実務修習における からは、実務修習のイメージをあらかじめ持っことができ修習状況であろう。今後、各実務庁会から導入修習の成果 論ダたとおおむね好評であった。また、導入修習の終盤では裁についての御意見をうかがいながら、今後の導入修習の更 十守イ 判官や検察官の心構え、弁護士倫理等に関する講義も行わなる発展、充実に努めてまいりたい。 去 ( 司研 ) ひ司導入修習では、 1700 名を超える修習生が司法研修所 1 3 ・法律のひろば 2015.6

9. 法律のひろば 2015年6月号

り 読み切 海上保険 成立要件をはじめとして、商法の規律に案と、商法に前記条約と同様の規律を設 は、共同海損の実務と異なる箇所が相当けるべきとの案とが提案されている。ま海上保険については、かねて、損害保 にみられる。 た、前記②に関し、物損に限っては、商険法制研究会 ( 会長・鈴木竹雄東京大学 中間試案では、基本的に、商法にヨ 1 法に前記条約と同様の短期消滅時効の規名誉教授 ) 作成の「海上保険契約法改正引 ク・アントワ 1 プ規則の基本的な規定と律を設けることが提案されているが、人試案理由書 年確定版」や、平 法 同様の規律を設けることが提案されてい 損については、被害者保護の観点から短成年月に海上保険法制研究会 ( 座 る。 期消滅時効の規律を設けず、民法の規律長・落合誠一中央大学法科大学院教授 ) に従うべきであるとされた。 が取りまとめた「わが国の海上保険法制 船舶の衝突 のあり方について」と題する報告書にお 2 以上の船舶が衝突した場合につい 海難救助 いて、様々な改正提案がされている。 て、我が国は、 1910 年の「船舶ノ衝海難救助については、 1910 年に条 中間試案では、基本的にこれらの提案 突ニ付テノ規定ノ統一ニ関スル条約 [ を約が成立した後、 1989 年には環境保を参考にしつつ、①保険契約者の告知義 批准しており、①双方過失による衝突の護等の観点を加えた新条約が成立してい務の内容に関し、保険法所定の質問応答 場合の積荷等の損害賠償責任についてるが、我が国は前者を批准したのみであ義務ではなく、その特例として、自ら危 は、各船主は、共同不法行為として不真り、また、商法の規律には、これらの条険に関する重要な事項について事実の告 正連帯債務を負うのではなく、その負担約と異なる箇所が相当にみられる。 知をする義務 ( 自発的申告義務 ) を定め、 部分に限りそれぞれ責任を負うこと、②中間試案では、基本的に、商法にこれ②実務上用いられていない保険委付に関 衝突によって生じた債権は、人損と物損らの条約と同様の規律を設けることが提する規律を削除するなど、現在の海上保 の別を問わず、事故発生日から 2 年の短案されており、例えば、海洋汚染の防止険実務に沿った見直しを行う方向で、提 期消滅時効に服すること等の規律が適用又は軽減のための措置を促進するという案がされている。 されているが、全ての利害関係人が我が観点から、海難事故に際して海洋汚染を 船舶先取特権 国に属する場合に適用されるべき民商法もたらす船舶の救助をした場合には、救 助者は、船舶所有者に対し、少なくとも 船舶先取特権については、公示なくし の規律は、これと異なっている。 中間試案では、前記①に関し、各船主合理的に必要となる費用の補瞋を求め得て船舶抵当権に優先するため、これを広 く認めることは船舶抵当権者の利益を害 が積荷所有者に対し不真正連帯債務を負るものとされている。 し、ひいて船舶所有者が金融を得ること うという民商法の規律を維持すべきとの

10. 法律のひろば 2015年6月号

の判断枠組み あって、終日石綿粉じんに曝露しめられ、その頃、我が国において、 被告らに、 < の重大な健康被害発 ある物質が人体に有害な影響をていたものではなく、その期間も石綿肺に罹患するに至らない水準生につき、予見義務ないし予見可 及ばす場合において、重大な健康 5 年ないし 6 年にとどまり、しかの石綿粉じんへの曝露によっても 能性かあったとは認められない 被害の発生につき国又は当該物質も最後の 1 、 2 年は週 2 、 3 回程中皮腫に罹患するとの医学的知見 ( 仮に石綿肺を引き起こすような ろ ひ を取り扱っている企業に過失ない 度であったこと、医学的所見とし か確立したということができる。 高濃度曝露を防止する義務を被告 の 律 し安全配慮義務違反を認める前提ても、低濃度曝露でも発生し得る また、肺がんに関する医学的知見らに課したとしても、 < が従事し 法 となる予見義務ないし予見可能性胸膜プラークを発症していたのみの確立時期については、 ー—IO のていた作業の具体的内容や期間を があるというためには、当該物質で、石綿肺は発症していなかった報告書及びー <cr-o の研究書が発含む < の石綿曝露状況に照らせ が重大な健康被害を発生させると ことから、その石綿曝露水準は、 表された 1972 ( 昭和 ) 年な ば、これによって < の肺がん発症 いう医学的知見が確立しているこ石綿肺を発症するに至らない程度 いし 1973 ( 昭和 ) 年頃、石を回避できたと認めるに足りる証 とを要するというべきである ( こであったことは明らかであるとい 綿が肺かん起因性を有するという拠はない。 ) 。 こにいう医学的知見の確立とは、 したがって、その余について判 うことができ、このことからすれ医学的知見は確立したが、石綿肺 当該知見が提唱された後、検証のは、被告らに < の肺がん発症につを引き起こさないような低濃度曝断するまでもなく、被告らに < の 過程を経て同分野の専門家の間でき予見義務ないし予見可能性が認露によっても肺がんが引き起こさ肺がん発症に対する過失ないし安 当該知見の存在についておおむねめられるためには、 < 曝露期間当れるか否かについては、当該時点全配慮義務違反があったと認める コンセンサスが得られた時点をい 時、石綿肺を発症するに至らない においても、未だ知見が確立してことはできない。 いなかったとい一つことかできる。 程度の石綿粉じんへの曝露であっ ニ cn について また、ある人体に有害な物質に ても重大な健康被害が発生すると 相被告及び被告国の責任 は、昭和年 2 月から平成 9 ついて、ある曝露水準により重大の医学的知見が確立していたこと 石綿肺を発症するに至らない程 な健康被害が発生することにつきを要するというべきである。 度の水準の石綿粉じんへの曝露で年 9 月までの約年間、おおむね 予見義務ないし予見可能性がある 石綿関連疾患に関する医学的あっても重大な健康被害が発生す溶接工として溶接作業等に従事し というためには、その健康被害の 知見の確立時期 るとの医学的知見は、 1973 ( 昭てきたことは認められるものの、 種別は問わないにせよ、当該水準 中皮腫に関する医学的知見の確和 ) 年頃までは確立していなか 昭和年に訴外会社で勤務を開始 19 7 ( 昭 った ( 石綿に起因する肺がん、中するまでは、具体的な作業内容や の曝露により何らかの重大な健康立時期については、 被害が発生するとの医学的知見が 和 ) 年のー <CO の研究書によ皮腫以外の疾患についても、その石綿粉じんへの曝露状況は不明で 頃までに同様の医学的知見が確立あるというほかなく、訴外会社に 確立していることを要するという って、石綿肺を発症するに至らな べきである。 い低濃度の石綿曝露によっても中していたと認めるに足りる証拠はおいても、耐熱服等から石綿粉じ ない。 ) のであるから、 < 曝露期んが一定程度飛散していたことは < は、運転手として本件工場や皮腫を発症する可能性があること 推認されるものの、耐火ポードの 保税倉庫に出入りしていたのみでが国際的にも認められたことが認 間 ( 昭和年から昭和貶年 ) 当時、 0 0