適格消費者団体 - みる会図書館


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1. 法律のひろば 2015年6月号

項 ) 。 数の一般消費者に対して優良誤認表示や 適格消費者団体への情報提供・ 都道府県知事の権限強化については、 有利誤認表示を現に行い又は行うおそれ 関係者相互の連携の確保 以下のような事情を踏まえ、法改正に至 がある旨の情報を提供することができる ったものである。 こととされた。 ろ 適格消費者団体への情報提供 ( 法 ①かねてより複数の地方公共団体から条 ( 間条 ) 2 項及び 3 項関係 ) これにより差止請求をする権利を行使の 措置命令権限等の付与が要望されてき従前より法条 ( 川条 ) において、消するため多くの情報を必要とする適格消法 たところ、平成年肥月には全国知事費者契約法 2 条 4 項に規定する適格消費費者団体に必要な情報がより集まること 会からの要望書が消費者庁へ出された者団体は、事業者が、不特定かっ多数ので、適格消費者団体の機能が高められ、 こと 一般消費者に対して優良誤認表示や有利かっ、表示の差止めによって不当表示の ②消費者委員会からも都道府県知事へ誤認表示を現に行い又は行うおそれがあ被害者となり得る個々の消費者の直接・ の措置命令権限等の付与について積極るときは、当該事業者に対し、当該行為間接の利益につながることが期待され 的な検討を求められてきたこと の停止等を請求 ( 以下「差止請求」といる ③一般消費者に対して表示等を行う事う。 ) することができることとされてい この規定に合わせて、情報提供を受け 業者は全国各地に多数存在していると た。しかし、差止請求をする権利を行使た適格消費者団体は、当該情報を、差止 ころ、都道府県知事の監視指導体制をするためには差止請求の対象となる表示請求をする権利の適切な行使の用に供す 強化することにより各地域の不当表示の情報が不可欠であるところ、その情報る目的以外のために利用し、又は提供し 等に厳正に対処することができるようが適格消費者団体には容易には集まらてはならないこととされ ( 法条 ( 川条 ) にすることは、行政の効率を向上さず、そのような情報が集まらなければ差 3 項 ) 、これに違反した適格消費者団体 せ、全体的な執行力強化に有効である止請求の活用も困難とならざるを得な は万円以下の過料に処することとされ と考えられたこと 、。そこで、平成 % 年 6 月改正法により、 た ( 法れ条 ( 幻条 ) ) 。これは同項の規定 なお、これに半い、 に基づき取得した情報が、例えば、集め 都道府県知事の指同法条 ( 川条 ) 2 項を追加し、平成 示に関する調査権限 ( 平成年 6 月改正年 6 月に改正された消費者安全法Ⅱ条のた事例をまとめた書籍の出版、販売や入 前の法 9 条 2 項 ) 、指示権限 ( 平成年 7 第 1 項に規定する消費生活協力団体又手した連絡先へのダイレクトメ 1 ルの送 6 月改正前の法 7 条 ) 及び措置請求権限は消費生活協力員は、適格消費者団体が付などの目的で、みだりに利用されるこ ( 平成年 6 月改正前の法 8 条 ) に係る差止請求をする権利を適切に行使するた とを防止するため、目的外利用を禁止 規定は削除された。 めに必要な限度において、当該適格消費し、違反に対して過料に処すこととした 者団体に対し、事業者が、不特定かっ多ものである。

2. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 消費者安全法改正の概要 確保のための『地域体制の在り方』に関年内閣府令第号。以下「規則」という。 ) て一定水準 ( 質 ) の確保を図った。 する意見交換会」を開催し、平成年 7 条において、三つの資格付与団体と資①試験科目、試験の実施細目等の法定 月に報告書が取りまとめられた。この報格の名称が固有名詞で定められているの 、試験委員の要件 ( 法川条の 3 第 3 告書をもとに、「どこに住んでいても質みで ( 以下「現行 3 資格」という ( 注 ) 。 ) 、 項、 5 項、Ⅱ条のⅡ第 1 項 2 号等 ) の高い相談・救済を受けられる地域体資格付与の条件や手続は、資格付与団体②登録試験機関による試験業務の信頁 制」を全国的に整備するために、消費者の裁量に委ねられていた。 性を確保するための措置の実施 ( 法 1 安全法の改正法案が作成された。 改正後の消費者安全法 ( 平成幻年法律条のリ 第号。以下「法」という。 ) では、消③登録試験機関が作成する試験業務規 費生活相談員という職とその職務内容を 程の認可制 ( 法Ⅱ条の西 ニ改正消費者安全法の概要 明言するとともに ( 法川条 1 項 1 号、 2 ④適合命令 ( 法Ⅱ条の、改善命令 項 1 号、 3 項 ) 、その任用要件として、 ( 法Ⅱ条の幻 ) 及びこれに登録試験機 改正法の概要 消費生活相談員資格試験に合格した者又関が従わない場合等の登録取消し ( 法 高齢者を中心に消費者被害が深刻化すはこれと同等以上の専門的な知識及び技 Ⅱ条の等 る中にあって、消費者被害を防止するた術を有すると都道府県知事若しくは市町他方で、登録試験機関制とし、複数の め、改正法では、①地方公共団体におけ 村長が認める者でなければならないこと機関が試験を実施できるようにすること る消費生活相談体制の充実・強化、②地を定めた ( 法川条の 3 第 1 項 ) 。あわせで、試験合格者の人数 ( 量 ) 及び人材の 域の見守りネットワークの構築をはじめて、消費生活相談員資格試験による資格多様性の確保にも配慮した。 とする地域社会全体での対応力の強化の付与の条件や手続について規定を置いた 二つの柱を定めている。以下、それぞれ ( 法Ⅱ条の 9 以下 ) 。 消費生活相談等の事務に従事する人 の内容について解説する。 材に対する研修等 登録試験機関制 消費生活を取り巻く環境が日々変化す 消費生活相談員資格試験 ( 以下「試験」る中で、消費生活相談員には常にスキル 2 消費生活相談員の資格整備等 という。 ) は、登録試験機関が試験を実アップが求められる。そこで、消費生活 職と資格付与条件・手続の法定化施する ( 法川条の 3 第 1 項、Ⅱ条のⅡ第相談員について、知識及び技術の向上に 改正前の消費者安全法では、「消費生 1 項。登録試験機関制 ) 。 係る努力義務が定められた ( 法川条の 3 ろ ひ の 活相談員」という職の名称は明記されて改正法では、試験の合格が消費生活相第 2 項 ) 。 律 いなかった。また、その資格については、 消費生活相談員及び消費者行政担当職法 談員の任用要件になるので、次のような 改正前の消費者安全法施行規則 ( 平成幻規定を設けることで、試験合格者につい 員に対する研修は、都道府県及び市町村

3. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 消費者安全法改正の概要 内閣府令で定める基準では、①消費者的な方法として、改正法は、広域連携に者安全確保地域協議会 ( 以下「協議会」 の権利の尊重及び自立の支援に資するよ当たっての市町村間の調整 ( 法 8 条 3 という。 ) を組織することができる。協 う、受託事務を公正かつ中立に実施でき項 ) と指定消費生活相談員 ( 法川条の 4 ) 議会を組織する国及び地方公共団体の機 るものであって、特定非営利活動法人又の二つの規定を新たに設けた。 関は、病院、教育機関、後述する消費 は一般社団法人若しくは一般財団法人そ 活協力団体又は消費生活協力員その他 の他都道府県知事 ( 市町村長 ) が適当と 関係者を構成員として加えることができ 5 地域体制の構築 認めた者、②委託を受ける事務を円滑か る ( 法Ⅱ条の 3 ) 。 つ効果的に実施するために、関係機関と 地域体制を構築する必要性 地方消費者行政ガイドラインでは、構 の連携体制を確保、③委託を受ける事務改正法では、「消費生活相談体制の充成員の例として、地域包括支援セン を的確に実施するに足りる知識及び技実・強化」とともに、消費者被害の防止 、民生委員・児童委員、警察、弁護士、 術、④委託を受けた事務を統括管理するに向けた地域社会全体での取組を進める商店街・コンビニエンスストア等の事 者を配置することを、委託する場合の要ことも柱の一つとしている 者等を示している。 件としている ( 規則 7 条 ) 。 高齢者等の深刻化する消費者被害に対②協議会の活動 さらに、改正消費者安全法の施行に係応するためには、被害に遭った高齢者等協議会は、必要な情報を交換すると る地方消費者行政ガイドラインにおい が消 費生活相談を利用したときに適切に もに、消費者安全の確保のための取組 , て、委託の際の基準及び留意点等を定め対応するだけでは、必ずしも十分とはい 関する協議を行い、 協議会の構成員は、 えなし彳 、。一丁政を含む地域が一体となって協議の結果に基づき、消費生活上特に 地域体制を構築し、高齢者等の消費者被慮を要する消費者と適当な接触を保ち、 害に遭いやすい人を見守るなどの取組をその状況を見守ることその他の必要な 4 都道府県の役割の明確化 行うことで、消費者被害の予防・救済を組を行う ( 法Ⅱ条の 4 第 1 項、 2 項 ) 。 改正前の消費者安全法では、都道府県図ることが重要である。 協議会の庶務は、協議会を構成する の事務として「市町村に対する技術的援 方公共団体において処理する ( 法Ⅱ条 助」を定めていたが、改正法は「市町村 消費者安全確保地域協議会 4 第 4 項 ) 。改正法に定めるもののほか、 に対する必要な助言、協力、情報の提供①協議会の設置・構成員 協議会の組織及び運営に関し必要な事 その他の援助 , と改めることで、援助の 国及び地方公共団体の機関は、当該地は、協議会が定める ( 法Ⅱ条の 6 ) 。 具体的な内容を定めた ( 法 8 条 1 項 1 方公共団体の区域における消費者安全の③情報の保護と活用 号 ) 。 確保のための取組を効果的かっ円滑に行協議会は、必要があると認めると 都道府県の市町村に対する援助の具体うため、関係機関により構成される消費は、協議会の構成員に対し、消費生活 19 ・法律のひろば 2015.6

4. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 景品表示法に基づく差止訴訟判決 ットワ 1 クの訴訟代理人として本件に関与した。本 条 2 項 ) が設けられ、実質的な立証責任ではないかとも推測されるところであ のうち意見にわたる部分については筆者らの個人的 が表示を行った事業者に課せられているる。 ところである。このようなことからすれ このよ、つな側面のある行政処分と比較解であり、京都消費者契約ネットワ 1 クを含め筆者 ば、景表法上の差止請求権を実効化するしてみると、適格消費者団体による差止以外の団体等の意見を示すものではない。 ためには、が本件において主張請求には、裁判所の確定的な判断がなさ ( 3 ) 本判決の判決文全文は、最高裁判所から入 可能である (http ://www.courts・go.jp/app/hanrei-jp するように、表示を行った者において表れて初めて効果が生じるものであること 示内容の合理性に関する十分な根拠を示から、行政処分とは異なって結果的に誤 833 一 08 、 833 ー h 目「 e ぎ df) せないような場合には、優良誤認表示でった処分となってしまうことを恐れず ( 4 ) いずれも本判決の認定による。 あることの事実上の推定などの活用が積に、問題があるのではないかと考えられ ( 5 ) 景表法の差止請求権の母体となった消費者契約、 る商品等の「表示」について積極的に裁の差止請求権については、個々の適格消費者団体に 極的に考えられるべきであろう ( 注 6 ) 。 判所の判断を求めることができる面があして政策的に実体権として付与されたものとされて る ( 消費者庁企画課編「逐条解説消費者契約法 ( 第 るものとい、んよ、つ。 四まとめ 適格消費者団体には消費者庁等の行政版 ) 』 ( 商事法務、 2 。 13 年 ) 頁、 343 頁等 ) 。 ( 6 ) 消費者契約法 9 条 1 号にいう「平均的損害」に 本判決は、適格消費者団体に景表法上機関と異なって強制的な調査権限がない き、いわゆる学納金訴訟最高裁判決 ( 最判平成絽年 ため、景表法上の差止請求権が付与され の差止請求権を認めた意義が最大限に活 月日、民集 222 号 359 頁 ) において、最高裁は、 てもそれほど活用できないのではないか かされた事例といえる。 損害賠償の予定額が「平均的損害」を超えることに 本件チラシのような広告のやり方につとの懸念も考えられるところであった。 き、無効を主張する消費者側に立証責任があるとし いては、昭和年の国会で取り上げられこの意味で、最終的な結論もさることな つも、事実上の推定を働かせる余地があるとして るなど ( 注 7 ) 、一一十数年前から問題視すがら、本判決は景表法の差止請求権には る声があったものの、景表法による行政行政処分とは違った役割があることを改る。この理は、この場面においても該当しよう。 めて確認させる意義があったとい、つこと ( 7 ) 第 109 回国会衆議院社会労働委員会会議録第 処分はなされてこなかった。 号 ( 昭和年 7 月日 ) 頁以下 確かに、行政処分は効果が即時に生じができるのではないだろうか ( おおたか・ともかす るため、本件のように商品に関する「表 しぶ・じゅんのすけ ) 示」であるかどうかについて多少なりと ( 注 ) ( 1 ) なお、本判決に対しては被告より控訴がなされて も議論の余地があり、事後の取消訴訟に おり、平成年 5 月日現在、大阪高裁に係属中であ おいて処分が取り消されるおそれがない る。 とはいえない案件については、行政とし ても処分を下しにくい側面があったため ( 2 ) 筆者らは、本判決の原告である京都消費者契約ネ 55 ・法律のひろば 2015.6

5. 法律のひろば 2015年6月号

特集法と判例からみる消費者問題のいま 消費者安全法改正の概要 者 , と定めていた点を踏まえ、現行 3 資 6 その他の改正事項 三施行に向けて 格を保有する者が改正法に円滑に移行で 消費者教育の推進の明記 きるようにするため、改正法の附則にお 消費者庁では、改正法の施行に向け 消費者安全法の制定後、消費者教育の いて経過措置を定めた。 て、本年 3 月に改正法に係る内閣府令及 推進に関する法律 ( 平成年法律第礙 不当景品類及び不当表示防止法等の一びガイドラインを公布・公表した。今後 号 ) が制定されたことを受けて、国及び部を改正する等の法律の一部の施行に伴は、関係政令の制定準備を行うことと ている 地方公共団体の責務に係る規定におけるう経過措置に関する内閣府令 2 条では、 「啓発活動、広報活動、消費生活に関す経過措置を具体化し、景表法等改正等法改正法では地方消費者行政に関す る教育活動その他の活動。という文言附則 3 条 1 項に基づき合格者とみなされ様々な制度を設けたが、実際に制度を機 を、「消費者教育を推進し、及び広報活る者について、地方公共団体における消皀 ム目させるためには関係者の努力が不可 動その他の活動を行うこと」という文言費生活相談の事務又はそれに準ずる事務である。消費者庁としては、より良い制 に改めた ( 法 4 条 6 項 ) 。 に 1 年以上従事した経験を有する者を要度の運用に向けて尽力してまいりたい。 件とすることを定めた。 ( 注 ) ①独立行政法人国民生活センタ 1 が付与する消 財政上の措置 生活専門相談員の資格、②一般財団法人日本産業協ム 消費者安全の確保に関する施策の実施 施行期日 が付与する消費生活アドバイザーの資格、③一般財、 は国及び地方公共団体の責務とされてい 改正された消費者安全法の施行期日 ることを踏まえ ( 法 4 条 1 項 ) 、この責は、原則として、改正法の公布の日 ( 平法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタ、 トの資格 務を果たすため、消費者安全の確保に関成年 6 月日 ) から 2 年を超えない範 する施策実施のために必要な財政上の措囲内において政令で定める日である ( 景 置等を、国及び地方公共団体の努力義務表法等改正等法附則 1 条 2 号 ) 。 として定めた ( 法条 ) 。 ただし、指定消費生活相談員に係る規 定 ( 法川条の 4 ) については、改正法施 行後に実施される試験に合格した者の中 7 附則 から都道府県知事が相応しい人を指定で 経過措置 きるようにするため、改正法の公布の日 改正前の消費者安全法では、規則 7 条から 5 年を超えない範囲内において政令 において現行 3 資格を有する者を「相談で定める日とされている ( 景表法等改正 について専門的な知識及び経験を有する等法附則 1 条 3 号 ) 。 21 ・法律のひろば 2015.6

6. 法律のひろば 2015年6月号

④いわゆる「雇止め」の見直しその他の の努力義務として、消費生活相談等の事 3 消費生活相談の運営体制 適切な人材及び処遇の確保に必要な措 務に従事する人材の確保及び資質の向上 ( 法Ⅱ条 ) に含まれている。しかし、研 消費生活センターに関する条例の整置、⑤職員に対する研修機会の確保、⑥ ば 情報の適切な管理を盛り込んでいる ( 規 修の重要性に鑑み、都道府県及び市町村備 ろ ひ 「どこに住んでいても質の高い相談・則 8 条 ) 。 の を支援するため、国及び独立行政法人国 また、市町村には消費生活センターを 民生活センターが都道府県及び市町村に救済を受けることができる地域体制」を 対して行う援助として、消費生活相談等実現するためには、消費生活センタ 1 の設置する努力義務が定められているが の事務に従事する人材に対する研修を明組織及び運営等についても全国的に整備 ( 法間条 2 項 ) 、改正法は、消費生活セン する必要がある。 ターを設置していない市町村について、 記した ( 法 9 条 ) 。 消費生活相談員を配置する努力義務を定 そこで、改正法では、都道府県及び消 消費生活相談等の事務に従事する職費生活センタ 1 を設置する市町村は、①めた ( 同条 3 項 ) 。 消費生活センタ 1 の組織及び運営に関す 員等の秘密保持義務 委託する場合における受託者の基準 多くの消費生活相談員は特別職の公務る事項及び②消費生活相談等の事務の実 員であるため、地方公務員法 ( 昭和年施により得られた情報の安全管理に関す改正法は、地方公共団体が消費生活相 法律第 261 号 ) 上の秘密保持義務が及る事項等について、内閣府令で定める基談等の事務を委託する場合には、その事 ばない。また、改正法によって、消費生準を参酌し、条例を定めるものとした ( 法務を適切に実施することができるものと して内閣府令で定める基準に適合する者 活相談により得られた情報を他の地方公 川条の 2 ) 。 共団体に提供することが可能となったこ本年 3 月日に公布された内閣府令第に委託しなければならないものとした とから ( 法Ⅱ条の 2 第 2 項 ) 、消費生活号による改正後の消費者安全法施行規 ( 法 8 条の 2 第 1 項、 2 項 ) 。 消費生活相談等の事務を委託するかど 相談における情報の安全管理をより一層則でこの基準を定めており、①消費生活 うか、及び委託する場合の受託者は、本 センタ 1 の名称、住所、相談日時の公示、 確実にする必要がある そこで、消費生活相談等の事務に従事②消費生活センタ 1 長及び事務を行うた来、地域の実情を考慮して各地方公共団 する職員 ( 消費生活相談員を含む。 ) やめに必要な職員の配置、③消費生活相談体において判断すべき事項である。もっ 消費生活相談等の事務を委託した場合に員資格試験合格者 ( 不当景品類及び不当とも、委託した場合であっても質の担保 おける受託者等について、秘密保持義務表示防止法等の一部を改正する等の法律された消費生活相談を受けることができ ( 平成年法律第れ号。以下「景表法等るようにするため、受託者について、地 を課すとともに ( 法 8 条 4 項、 8 条の 2 第 3 項 ) 、同義務に違反した者に対する改正等法」という。 ) 附則 3 条に基づき域の実情によらず最低限求められる基準 を定めることとしたものである 合格者とみなされる者を含む。 ) の配置、 罰則を定めた ( 法条 ) 。

7. 法律のひろば 2015年6月号

であるとの誤認」を引き起こすおそれが等の選択」を確保するという景表法の観ることも考えれば、むしろ適切といえる第 あるから、実際に当該商品が表示された点からは、本件商品に標榜されたとおり面もあるのではないかと考えられる。控 効能を有するかを問うまでもなく、優良の効能・効果がある以上、何ら問題がな訴審以降の判断が待たれよう。 誤認表示に該当するものとした。 いという考え方も十分に成り立ち得ると ろ しかしながら、改正薬事法 ( 以下「薬思われるのである。 優良誤認表示であることの主張立証の 律 機法」という。 ) において「承認を得た本判決は、おそらくこの点を考慮した 責任 法 医薬品」以外の医薬品が効能・効果を標のであろうが、薬事法 ( 当時 ) が昭和肪 本判決は、実際に本件商品に表示され 榜することを禁止しているのは医薬品の年に制定されてから、医薬品に関する一た効能を有するかどうかを問題としなか 「品質、有効性及び安全性の確保並びに定の社会通念が形成されているものと判ったため、景表法の差止請求において優 これらの使用による保健衛生上の危害の示した。すなわち、薬事法の制定によっ良誤認表示であることの主張立証責任が 発生及び拡大の防止のため」 ( 薬機法 1 て、いわば「医薬品的な効能・効果を標原告と被告のどちらにあるかについて 条 ) であって、「一般消費者による自主榜しているのであれば、そのような効は、判断を下さなかった。 的かっ合理的な商品等の選択」を確保す ・効果につき国から承認を得ているこ 景表法上の差止請求権は適格消費者団 るためではない。そうすると、医薬品と と」に対する一定の社会の信頼が形成さ体に対して民事上の実体権として付与さ しての承認を受けていないにもかかわられているというのである。そうすると、 れたものと考えられるところであり ( 注 ず、医薬品的な効能効果があると表示し「承認された医薬品」ではないのに医薬 5 ) 、民事訴訟における一般的な主張立 た場合には、実際に当該商品が表示され品的な効能・効果があると表示すること証責任の分配の考え方に従えば、当該表 た効能を有するかを問うまでもなく優良は、 かかる社会の信頼に反するものであ示が不当表示であるとして差止めを求め 誤認表示に該当するとした本判決の考え って「一般消費者による自主的かっ合理る適格消費者団体において主張立証責任 方には、景表法の観点からは、やや飛躍的な商品等の選択」を阻害するものと考を負うべきものと考えるのが自然ではあ る。 があるとの考え方もあり得よう。 え得ることになる。 例えば、仮に、本件商品が本件チラシ このように見ていくと、実際に当該商しかしながら、不当表示の中でも優良 において標榜された効能・効果を有する品が表示された効能を有するかを問うま誤認表示については、契約条件の問題で ことが科学的に証明されたものとする。 でもなく優良誤認表示に該当するとしたある有利誤認表示とは異なり、表示内容 薬機法の観点からは、本件商品が国によ本判決の考え方は、景表法の観点からもの合理性に関する裏付け資料は事業者の る厳格な審査を受けていない以上、なお一つの論理として十分にあり得るものでみが有していることが多く、一定の強制 問題があるといい得るであろうが、「一あって、「承認された医薬品」に対する的な調査権限のある行政が行う措置命令 般消費者による自主的かっ合理的な商品社会の信頼が安全性も含めてのものであにおいてすら不実証広告規制 ( 景表法 4

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一一本判決の概要 CD 景品表示法に基づく差止訴訟判決 【 0 ( 注 4 ) 適格消費者団体により景品表示法川条に基づく差止を 事案の概要 ろ 請求がなされ、新聞折込チラシの配布の差止め等が 被告サン・クロレラ販売株式会社 ( 以 律 認められた事例 ( 京都地判平成年 1 月幻日 ) 法 下「サン・クロレラ社」という。 ) は、 中本総合法律事務所弁護士大高友一不特定多数の消費者に対し、クロレラ (O ・・ (æ) やウコギ ( イソフラキシ 御池総合法律事務所弁護士志部淳之介 ジン ) を含有する商品 ( 以下「本件商品」 示を現に行い又は行うおそれがあるときという。 ) を販売している会社であると 一はじめに は、当該事業者に対し、当該行為の停止ころ、「日本クロレラ療法研究会」 ( 以下 多数の消費者に急速に拡大する被害を若しくは予防又は当該行為が優良誤認表「クロレラ研究会」という。 ) の名称を用 もたらす不当表示については、従前から示又は有利誤認表示である旨の周知そのいて、クロレラやウコギの薬効を宣伝す 不当景品類及び不当表示防止法 ( 以下「景他の措置を採ることを裁判所に請求できるともに、クロレラ研究会の推奨するク ロレラ等を摂取するよう勧める新聞折込 表法ーという。 ) によって禁じられ、違ることとされた ( 景表法川条 ) 。 反行為については行政機関による措置平成年 1 月幻日、京都を中心に活動広告を定期的に配布していた ( 以下「本 ( 措置命令等 ) がなされていた。それにする適格消費者団体である京都消費者契件チラシ」という。 ) 。その本件チラシの 内容は、大要、クロレラやウコギを摂取 もかかわらず、事業者による不当表示は約ネットワ 1 ク ( 以下「」とい 減少することはなく、規制強化の必要性う。 ) によって我が国で初めて提起されすることで、腰部脊柱管狭窄症や肺気 た景表法川条に基づく不当表示の差止請腫、自律神経失調症・高血圧等の症状が が議論されていた。 こうした議論を受け、平成幻年 4 月 1 求訴訟につき、京都地方裁判所において改善したという体験談が多数掲載されて の請求を全面的に認容する判決いるというものであるが、本件チラシを 日より、行政機関による措置に加えて、 不特定かっ多数の消費者の利益を代表す ( 以下「本判決」という。 ) が言い渡され見た消費者がクロレラ研究会に資料請求 る「適格消費者団体」 ( 消費者契約法 2 た ( 注 1 ) 。本稿は、本判決の概要を紹介や問い合わせ等を行うと、サン・クロレ ラ社の本件商品のカタログが送付された 条 4 項 ) に景表法に基づく不当表示の差するとともに、本判決の意義・評価につ り、本件商品の購入を推奨されたりする き検討を加えるものである ( 注 2 ) 。 止請求の権限が付与された。すなわち、 という仕組みとなっていた。 事業者が、不特定かっ多数の一般消費者 0 0 Z は、平成 % 年 1 月日、この に対して、優良誤認表示及び有利誤認表 ( 注 3 )

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弱者を狙った悪質商法などによる消費者炻 消費者安全法改正の概要 一の被害は後を絶たない。また、認知症等高 齢者の消費者被害に関する相談が平成 年度に初めて 1 万件を超え過去最高とな引 るなど、今後更なる取組が求められる課の 律 法 消費者庁消費者教育・地方協力課題もある。 消費者庁としては、「どこに住んでい ても質の高い相談・救済を受けられる地 2 消費生活相談体制の充実・強化 一消費者安全法の改正の背景 域体制」を整備するため、平成年 1 月 に「地方消費者行政強化作戦」を定め、 消費者の安全・安心を確保するために 改正に至る背景 は、消費者にとって身近な地方公共団体地方消費者行政への支援を行うなどの取 地方公共団体における消費者行政の充における消費生活相談体制の整備を図る組を進めてきた。 実・強化は、消費者庁設立以来の課題でことが不可欠である。 あり、いわゆる消費者庁関連三法の国会 消費者庁の設立後、地方消費者行政の 3 改正法の検討経緯 審議の際には、消費者庁及び消費者委員体制整備は着実に進展し、平成年まで の 5 年間で消費生活センタ 1 が 262 か 地方公共団体における消費者政策のう 会設置法附則 4 項において、「政府は、 消費者庁関連三法の施行後 3 年以内に、 所増加、消費生活相談員が 5 4 5 人増員ち、消費生活相談等に関する体制整備に 消費生活センタ 1 ( 消費者安全法第間条され、それぞれ 763 か所、 3345 人っいては、消費者庁において、「消費生 となった。イ 第 3 項に規定する消費生活センターをい 也方で、小規模市町村を中心活相談員資格の法的位置付けの明確化等 に関する検討会」を設置して検討を行 う。 ) の法制上の位置付け並びにその適に、消費生活相談員の配置等をはじめと 平成年 8 月に報告書を取りまとめ 正な配置及び人員の確保、消費生活相談して相談体制の実質的な強化には課題が 員の待遇の改善その他の地方公共団体のある。 また、消費者被害の悪質化・巧妙化を 消費者政策の実施に対し国が行う支援の 全国の消費生活センタ 1 等の相談窓口 在り方について所要の法改正を含む全般に寄せられる消費生活相談の状況をみる背景に、消費生活相談体制のみならず、 的な検討を加え、必要な措置を講ずるもと、平成幻年度の約囲万件から、平成地域の関係機関等との連携による見守り 年度までは減少し続けていたものの、平ネットワークの構築を含めて、消費者被 のとする」とされていた。 害の防止に向けた地域社会全体の在り方 成年度には約万件に再び増加してい る。特に、高齢者や障害者などの社会的を検討するため、「消費者の安全・安心

10. 法律のひろば 2015年6月号

る。 結論 があるから、優良誤認表示にあたると認 めるのが相当である」と判示した。 本判決は、以上のとおり判示して、サ ところが、本件チラシには、本件商ロ叩 そして、本件チラシ中の、慢性病の症ン・クロレラ社が本件チラシを配布するの商品名そのものは記載されていない 状が改善したとの体験談を記載した部分ことにより、本件商品の内容について優また、本件チラシの配布主体も名義上は ろ は医薬品的な効能効果があると表示する良誤認表示を行ったものとし、原告本件商品の供給者であるサン・クロレラの ものとした上で、本件チラシの記載内容 OZ の請求をいずれも認容した。 社ではないことから、本件チラシは、一法 は、医薬品としての承認を受けていない 見すると、商品の供給者とは全く無関係 本件商品につき、医薬品的な効能効果が の団体が、本件商品の主原料であるクロ 三本判決の意義・評価 あると表示するものであり、一般の消費 レラ等の効能等を一般大衆に啓蒙してい 者に対し、本件商品が「あたかも国によ本判決は、適格消費者団体に付与されるにすぎないようにも考えられる。 この点に関して、本判決は、本件チラ り厳格に審査され承認を受けて製造販売た景表法上の差止請求権に関する初めて されている医薬品であるとの誤認」を引の裁判例という意味で歴史的な意義を有シは本件商品の供給者であるサン・クロ き起こすおそれがあるから、このようなするものではあるが、そのような歴史的レラ社自身が配布したものであることを 表示は、商品の宣伝広告として社会一般な意義にとどまらず景表法に関する裁判前提として認定した上で、「本件チラシ に許容される誇張の限度を大きく越える例としてもいくつかの興味深い論点を提に関心を抱いた顧客が必然的に本件商品 の購入を勧誘されるという仕組みを自ら ものとして、結論として優良誤認表示に供しているように思われる。 該当すると判示した。 構築していた」という表示外の事情を考 慮して、本件チラシが本件商品の「表示」 また、優良誤認表示に該当するという 商品名を明示しない広告の「表 に該当するとの結論を導き出している。 には原告による効果効能が存在しないと 示」該当性 の科学的立証が必要であるとのサン・ク 本判決の判断枠組みの評価 ロレラ社の主張に対しては、本件商品が 本判決の判断枠組み このような表示外の事情も考慮して本 医薬品としての承認を受けていない以景表法 2 条 4 項は、同法の規制対象と 上、医薬品的な効能効果の有無にかかわなる「表示」につき、「顧客を誘引する件チラシを「表示」に該当するとした本 らず、一般消費者をして国による厳格な ための手段として、事業者が自己の供給判決の判断の枠組みをどのように評価す 審査を経ているがごとき誤認を発生させする商品又は役務の内容又は取引条件そべきであろうか もちろん、景表法による広告表示規制 るおそれがあり、商品選択に不当な影響の他これらの取引に関する事項について を与えるとして、商品の効果効能の有無行う広告その他の表示であって、内閣総の目的は、一般消費者による自主的かっ を問題とする必要はない旨判示した。 理大臣が指定するものをいう」と定義す合理的な選択を阻害するおそれのある行