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検索対象: 法律のひろば 2015年9月号
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1. 法律のひろば 2015年9月号

が、臨検捜索に至るまで、出頭要求や立眼目であったが、個人情報保護法の縛りの規定による監護及び教育に必要な範囲川 入調査を実施しなければならないなど、 のかかる民間団体については対象とされ内」でのみ認められ、結局、子の利益に なかった。 手続に時間がかかりすぎるとの指摘もな 反する懲戒権の行使は認められないこと された。 同時に行われた児童福祉法改正におい が明らかになった。また、現存しない懲引 ひ の 面会通信の制限について、児童福祉法ては、児童相談所長が未成年後見人の選戒場に関する規定は削除された。 条の承認を得て同法条 1 項 3 号の措任申立てをした場合、選任に至るまで児親権制限制度の見直しは、最大の目玉法 置をとっている場合に加え、一時保護童相談所長が親権代行をする旨の規定が だったといえるだろう。親権を 2 年以内 や、親権者の意に反しないということで導入され ( 条の 8 第 2 項 ) 、立入調査に限り一時的に停止する親権停止制度を 措置がとられた場合にも実施できるよ、つ拒否罪の法定刑を罰金万円から万円新設 ( 834 条の 2 ) し、親権制限制度 にされた ( 肥条 ) 。また、児童福祉法 に引き上げる改正がなされた ( 礙条のの要件に関して子の利益の観点から見直 条の承認を得て措置がとられている場合 5 ) 。後者の結果、立入調査拒否罪につし、さらに親権制限の請求権者として子 に、都道府県知事が 6 か月を超えない期 いて刑事訴訟法 199 条 1 項ただし書のを新たに含ませた。 間を定めて、虐待をした保護者に対し、 制約 ( 法定刑が罰金万円以下の場合 一方、親権制限の受け皿として、未成 児童の住所若しくは居所、就学する学校は、住所不定等のときにしか逮捕できな年後見制度を見直して、複数後見人の選 その他の場所において児童の身辺につき いとするもの ) が適用されなくなった。任を可能とし ( 842 条の削除 ) 、さら まとったり、児童の住所若しくは居所、 に法人を未成年後見人に選任できるよう 就学する学校その他その通常所在する場 にした ( 8 4 0 条 3 項 ) 。 5 平成四年民法等改正 所の付近をはいかいすることを禁止する 児童福祉法の改正においては、一時保 制度が新設された ( 条の 4 。接近禁止平成年の第 177 回通常国会におい 護中及び児童福祉法条 1 項 3 号の措置 命令 ) 。 て、民法と児童福祉法が改正された ( 平中の児童相談所長や施設長等の権限を整 児童相談所や市町村の調査に関して、 成年法律第礙号 ) 。 理した ( 条の 2 、 貯条 ) 。一時保護に 地方公共団体の機関は児童相談所や市町民法については、身上監護権を定めるついては、司法審査を導入すべきだとい 村から情報提供を求められた場合、一定 820 条が改正され、親権を行う者は子う意見もあったが、児童相談所に過剰な の条件を満たせば情報提供を行うことがの利益のために子を監護教育することと負担を与え、かえって一時保護が滞るの できるものとされた ( 条の 3 ) 。地方された ( 傍点は筆者 ) 。従前から批判のではないかという疑問も出され、結局、 公共団体の機関が個人情報保護条例等に強かった懲戒権規定は、廃止には至らな 2 か月を超える場合は児童福祉審議会の かかわらず情報提供しやすくすることが かったものの、懲戒権行使は「 820 条意見を聴くこととされた ( 芻条 5 項 ) 。

2. 法律のひろば 2015年9月号

されている状況があるといった点が明示炻 されていないなど、必ずしもその意味内 容が明らかではなかったため、平成年 2 改正により民法 834 条の文言が上記の引 とおり改められ、規定の意味内容が明確の 最高裁判所事務総局家庭局第一一課長 石井芳明 化されたものである ( 注 3 ) 。なお、親権 最高裁判所事務総局家庭局付依田士ロ人喪失の原因がある場合でも、 2 年以内に その原因が消滅する見込みがあるときは 提として、現行の親権制限制度の概要に親権喪失の審判をすることができないた 一はじめに ついて簡単に確認しておきたい。 め ( 同条ただし書 ) 、このような場合に 本稿は、司法統計や最高裁判所事務総 は、親権停止の審判をすることになる ( 注 局家庭局で実施した実情調査の結果を参 親権喪失制度 照しながら、親権制度の見直し等を内容 とする民法等の一部を改正する法律 ( 平親権喪失制度とは、「父又は母による 2 親権停止制度 虐待又は悪意の遺棄があるときその他父 成年法律第礙号。以下、同法に基づく 改正を「平成年改正ーという。 ) が施又は母による親権の行使が著しく困難又親権停止制度とは、「父又は母による 行された平成年 4 月 1 日以降の状況をは不適当であることにより子の利益を著親権の行使が困難又は不適当であること 中心に、平成年末時点における親権制しく害するとき」 ( 民法 834 条本文 ) により子の利益を害するとき」 ( 民法 8 34 条の 2 第 1 項 ) に、子、その親族、 限事件 ( 注 1 ) の運用状況を紹介するものに、子、その親族、未成年後見人、未成 である。 年後見監督人又は検察官の請求により未成年後見人、未成年後見監督人又は検 なお、本稿中、意見にわたる部分は筆 ( 注 2 ) 、家庭裁判所において、その父又察官の請求により、家庭裁判所におい 者らの私見にすぎないことをあらかじめは母の親権を喪失させる審判をすることて、その父又は母の親権を一定期間停止 お断りしておく。 ができる制度である。 させる審判をすることができる制度であ 平成年改正前の民法 834 条は、親る。親権停止の期間については、「親権 権喪失の原因を、「親権を濫用し、又は停止の原因が消滅するまでに要すると見 一一親権制限制度の概要 著しく不行跡であるとき」と規定してい込まれる期間、子の心身の状態及び生活 親権制限事件の運用状況を紹介する前たが、この文言では子の利益が著しく害の状況その他一切の事情を考慮して、 2 親権制限事件の運用状況

3. 法律のひろば 2015年9月号

特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 親権制限事件の運用状況 年を超えない範囲内で」 ( 同条 2 項 ) 、家ことにより子の利益を害するとき」 ( 民件並びに各取消申立事件の合計数である 庭裁判所が定めることになっている。 法 835 条 ) に、子、その親族、未成年 ( 注 7 ) 。 これらの表や図から明らかなとおり、 平成年改正前には、身上監護権を含後見人、未成年後見監督人又は検察官の めた親権全部を制限する制度としては親請求により、家庭裁判所において、その平成年以降の親権制限事件及びこれら 権喪失制度しかなかったが、親権喪失制父又は母の財産管理権を喪失させる審判の各取消事件の新受総数は、平成年ま をすることができる制度である。 度には、①要件が厳格であることから、 での件数に比べ、大幅に増加している 比較的程度の軽い事案で必要な親権制限平成年改正前の民法 835 条は、管新受総数の内訳をみると、親権喪失の審 をすることができない、②効果が大きい理権喪失の原因を、「親権を行う父又は判申立事件の新受件数は毎年 110 件前 ことから、父母が改善の意欲を失い、親母が、管理が失当であったことによって後であり、平成年改正前と大きく変わ 権喪失後の親子の再統合に支障を来すおその子の財産を危うくしたときーとしてっていない一方で、平成年改正により それがある、③親権者が合理的な理由も いたが、子の利益を害する場合であれ創設された親権停止の審判申立事件の新 なく子に対する必要な治療に同意しなば、子の財産を危うくしなくても管理権授件数は平成年には 120 件、平成 い、いわゆる医療ネグレクトの事案等一喪失の審判をすることができるようにす年には 185 件、平成 % 年には 151 件 定期間親権を制限すれば足りる事案につるため、平成年改正により上記のとおであり、新受総数増加の要因となってい いて過剰な制限になるおそれがあるなど り民法 835 条が改正され、管理権喪失る。また、認容件数の総数も平成年以 の問題があり、これらが親権喪失の審判の原因が拡張されたものである ( 注 6 ) 。 降、親権停止の審判申立事件の新受件数 申立てをちゅうちよさせる原因にもなっ にあわせて増加している。このような事 ているとの指摘があった。こうした指摘 件数の動向からすると、平成年改正に 三親権制限事件の動向 を踏まえ、必要に応じて適切に親権を制 より創設された親権停止制度について 限できるようにするため、平成年改正表 1 は、平成年から平成年までのは、積極的に利用されていることがうか により親権停止制度が創設されたもので親権制限事件及びこれらの各取消申立事がわれる。 ある ( 注 5 ) 。 件の新受総数、既済総数及び終局区分 ) 」 と既済件数を示したものであり、図 1 四親権制限事件の処理の実情 ろ は、そのうち新受総数及び認容件数の推 3 管理権喪失制度 移をグラフで示したものである。内訳を最高裁判所事務総局家庭局においての 管理権喪失制度とは、「父又は母によ示していない平成年までの各数値は、 は、平成年 1 月から肥月までの 1 年間法 る管理権の行使が困難又は不適当である親権喪失及び管理権喪失の各審判申立事に全国の家庭裁判所で終局した親権制限レ

4. 法律のひろば 2015年9月号

特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 児童虐待の現状と虐待防止法制の展開 が開催され、「厚生労働省を中心に、実 平成年改正は、初めて民法に切り込 6 その他 む画期的なものであったが、 = = 効的な児童虐待防止対策の構築に向けた 課題も残っ た。懲戒権については、児童虐待防止の平成年 1 月 1 日から施行されている検討に着手するとともに、児童虐待防止 ための親権制度研究会においても法制審家事事件手続法 ( 以下「家事法」という。 ) 対策について関係省庁が連携して対策を 議会の児童虐待防止関連親権制度部会に は、児童虐待をめぐる裁判にもいくらか強化することー等の方向性が一小された。 おいても、積極的に存続に賛成する意見影響を及ほしている。申立書の写しの保これを受けて厚生労働省は、同年 9 月四 は見当たらなかったのであって、本来は護者への送付は、本来、家事法条 1 項日に社会保障審議会児童部会の下に児童 全面削除に踏み切ってもよかったのでは に照らせば、別表第一の事項に含まれる虐待防止対策のあり方に関する専門委員 ないかと思われる 児童福祉法条の事件においては不要で会 ( 以下「専門委員会」という。 ) を設 接近禁止命令の対象を拡大し、社会的あるはずだが、家事法の手続保障重視の置し、児童虐待防止対策のあり方につい 養護からの自立を助ける点についても、趣旨に鑑み、実務上は送付される運用とて議論を開始した。議論は、現在も続け 申立人や要件など具体的に詰めるに至らなっているようである ( 注 8 ) 。また、保られている ず、現行の面談強要禁止の仮処分等を活護者は利害関係参加をすることができ、 用できないかといった意見もあり、見送参加すると証拠を含む記録の閲覧権が認 四現状の評価 られた。しかし、現実に社会的養護からめられる ( 家事法条 7 項、町条 3 項 ) 。 巣立った子どもに接触を試みる虐待親も法律上の要件を満たせば、児童相談所長 親権制限制度と児童福祉法囲条 散見され ( 注 7 ) 、 一定の強制力を伴った は記録の一部非開示を求めることができ の利用状況 禁止制度の必要性は否定し難いように思るが、原則として申立書や証拠資料が開 われる。 示されるよ、つになったことは、単に裁判 児童福祉法条 1 項の申立件数は、平 さらに、予防接種や精神保健福祉法上上の手続に影響を及ばしただけではな成 8 年頃は年間件程度だったものが、 の医療保護入院、旅券の申請など、個別 く、普段の記録の仕方などにも影響を与その後、概ね右肩上がりに増えて、平成 年には 300 件に達した ( 平成 8 年比 論点については、それぞれの制度側の事えている で約 6 倍。最高裁判所調べ ) 。一見、順 情もあって、立法的な解決はかなわなか った。 調に伸びているようにも見えるが、全国引 7 その後の動き の児童相談所に寄せられる児童虐待相談の 法 平成年 8 月四日に、安倍政権の下、処理件数をみると、平成 8 年度は 410 児童虐待防止対策に関する副大臣等会議 2 件であったのが平成年度には 6 万 6

5. 法律のひろば 2015年9月号

から前記給付額を控除した額の限 ④さらに、一般疾病医療費制度提供者から受けた医療については申請に対して何らかの処分をする 適用を予定していないものであことなく本件各不受理通知を送付 については、政府は、一貫して、 度において一般疾病医療費を支給 、在外被爆者が国外の医療提供した行為は不相当であったもの するものとする旨を定めており 在外被爆者がその居住国の医療機 公的な医療保障制度の給付を受け関から受けた医療については支給者から医療を受けた場合においての、後に本件各却下処分をもって られない被爆者の自己負担金の部されないという解釈・運用をしても必要となる支給の適正性の確保原告らの申請に応答しているとい う経過からすると、国家賠償法上 いたことや在外被爆者に対しては手段や併給調整の規定が存在しな 分につき一般疾病医療費を支給す いことも併せて考慮すると、在外の違法があるとはいえない るという仕組みにより援護を実施被爆者援護法法条 1 項及び条 被告国の責任について、国の担 するものである 1 項は適用されないという解釈を被爆者が国外の医療機関から受け そのため、在外被爆者がその居前提に、平成年度以降、被爆者た医療については一般疾病医療費当公務員は、原告らの申請に関し の支給の対象外とする制度というて広島県知事に何らかの応答をし 住する各国の医療機関から医療を援護法上の認定疾病医療費及び一 月一三ロ 己ニのとお 受けた場合、各居住国における公般疾病医療費の支給に代わる援護べきである。また、このような認たわけではないし、前 被爆者援護法が定める一般疾 的な医療保障制度により給付を受施策として、在外被爆者に対する識は、本件改正附則 2 条 1 項を制 けることが想定されるが、被爆者在外被爆者保健医療助成事業を実定した立法者意思にも沿うものと病医療費支給制度からすると、原 告ら以外の申請に関して却下すべ 援護法条 1 項ただし書をはじめ施してきたことがそれぞれ認めら考えられる したがって、一般疾病医療費のきであると回答した行為について とする同法の規定には、在外被爆れる。こうした事実経過を踏まえ 者が国外の医療機関から医療を受て、平成年改正附則 2 条 1 項が支給を定める同法条 1 項の規定も違法とはいえない は、在外被爆者の国外で受けた医 けた場合において当該医療に要し定められていることを考慮する 療については、適用されないと解 た費用の額から、各居住国の公的と、同項は、被爆者援護法条 1 な医療保障制度により受けた給付項が、在外被爆者が国外で受けたするのが相当である。 額を控除することを定めた規定が医療に対しては適用されないこと ⑥以上から、在外被爆者が国外 ないため、在外被爆者が各居住国を前提として、在外被爆者に対しで受けた医療について一般疾病医 における公的な医療保障制度によて行う医療に要する費用の支給に療費の支給を申請した原告らの本 しすれも被爆者援護 ついて、被爆者援護法の枠外の事件各申請は、 ) り受けた給付の額は控除されない こととなる。そうすると、同法 業 ( 在外被爆者保健医療助成事業法条 1 項の要件を満たさないも 条 1 項に基づく支給を在外被爆者等 ) により支給をするための予算のであり、本件各申請を却下した に対して行うことは、公的な医療措置を講ずることを政府に求めた本件各却下処分は、適法である。 保障制度の給付を受けられない被ものと解するのが自然である。 爆者の自己負担部分についてのみ 前記①ないし④によれば、被四一国家賠償請求の成否 被告広島県の責任について、広 を支給するという一般疾病医療費爆者援護法条 1 項は、国内の医 の制度の構造には合致しないもの療提供制度を前提として制度設計島県知事が本件各却下処分を行っ になる されたものであって、国外の医療たことは適法であるし、原告らの 79 ・法律のひろば 2015.9

6. 法律のひろば 2015年9月号

= = 三 = = = = 一 = = = = = = = = = = = 一 = = 三 = = = = = = = = = = = = = = = = = 一の確保等国民健康保険事業の健全機関相互間の機能の分担及ひ業務当該療養の給付等の額の 10 0 0 ◆持続可能な医療保険制度を構築 な運営について中心的な役割を果の連携のための措置として厚生労分の 164 とすること ) 等を行う するための国民健康保険法等の一 たすものとする等の措置を講じて働省令で定める措置を講ずるものこととしている 部を改正する法律 いる 本法は原則として平成年 4 月 とすること ( 紹介状なしの大病院 ( 平成年法律第引号 ) 1 日から施行されるが②の、っち ②では、被用者保険等保険者に受診時の定額負担の導入を想 冖平成年 5 月四日公布 後期高齢者支援金の全面総報酬割 係る後期高齢者支援金の額の算定定 ) 、◎標準報酬月額について、 原則平成年 4 月 1 日施行〕 について、その額の全てを被用者 3 等級区分を追加し、その上限額の段階的導入部分・全国健康保険 【国民健康保険の財政基盤の安定 保険等保険者の標準報酬総額に応を 139 万円とするものとするこ協会に対する国庫補助率の安定化 化等】 については平成年 4 月 1 日か じたものとするとともに ( 現行は と ( 現行の上限額は 121 万円 ) ら、健康保険法に関する部分 ( 国 3 分の 1 総報酬割であるところ、 等の改正を行っている。 本法は、急速な少子高齢化等の平成年度は 2 分の 1 総報酬割、 ④では、都道府県が地域医療構庫補助に関する事項を除く。 ) 環境変化を背景として、持続可能平成年度は 3 分の 2 総報酬割、 想と整合的な目標 ( 医療費の水④のうち高齢者医療確保法に関す る部分については平成年 4 月 1 な社会保障制度の確立を図るため平成四年度は全面総報酬割と段階準・医療の効率的な提供の推進 ) の改革の推進に関する法律に基づ的に実施される。 ) 、高齢者医療へを計画の中に設定すること、保険日から、②のうち後期高齢者支援 く措置として、持続可能な医療保の拠出金負担の重い保険者の負担者が行う保健事業に、予防・健康金の全面総報酬割の段階的導入部 険制度を構築するため、①国民健を軽減する措置を拡充することとづくりに関する被保険者の自助努分以外の部分については、平成四 康保険をはじめとする医療保険制している。 力への支援を追加すること等の改年 4 月 1 日から施行される。 度の財政基盤の安定化、②後期高③では、⑦入院時食事療養費の正を行っている。 齢者支援金の全面総報酬割の導食事療養標準負担額について、平⑤では、患者の申出に基づき厚 入、③負担の公平化、④医療費適均的な家計における食費及び特定生労働大臣が定める高度の医療技 正化の推進、⑤患者申出療養の創介護保険施設等における食事の提術を用いた療養を保険外併用療養 設等に関する規定の整備を行うも供に要する平均的な費用の額を勘費の支給の対象とすることとして いる 案して厚生労働大臣が定める額と 「のである。 このほか、全国健康保険協会に ①では、国民健康保険への財政するものとすること、④特定機能 速支援の拡充を行うとともに、都道病院その他の病院であって厚生労対する国庫補助率の安定化 ( 同協 府県は当該都道府県内の市町村と働省令で定めるものは、患者の病会が管掌する健康保険の事業の執 ともに国民健康保険を行うものと状その他の患者の事情に応じた適行に要する費用のうち、被保険者 ろ ひし、安定的な財政運営、市町村の切な他の保険医療機関を当該患者に係る療養の給付等の額に対する に紹介することその他の保険医療国庫補助率について、当分の間、 「国民健康保険事業の効率的な実施 lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll 73 ・法律のひろば 2015.9

7. 法律のひろば 2015年9月号

表 8 認容事案における親権を喪失し、文は停止される親権者の属性 実父 実母 養父 養母 合計 6 20 3 29 ( 10.3 % ) ( 100 % ) ( 20.7 % ) ( 69.0 % ) 40 8 ( 100 % ) ( 67.5 % ) ( 12.5 % ) ( 20.0 % ) つん 親権喪失事件における認容事案件に 2 五終わりに 6 認容事案における審判を受ける おいては、実父 6 人 ・ 7 % ) 、実母 一 0 者となるべき者の属性 0 以上のとおり、親権制限事件の動向や 跚人 ( 的・ 0 % ) 、養父 3 人 ( 川 表 8 は、認容事案における審判を受けであった。また、親権停止事件における処理の実情を紹介してきた。今後も事件引 の動向等を注視していく必要はあるものの る者となるべき者の属性を示したもので認容事案鬨件においては、実父 8 人 ( ある。 0 % ) 、実母人 ( ・ 5 % ) 、養父 5 人の、親権制限制度は概ね順調に運用がさ法 ・ 5 % ) であった。 れていると評価できるように思われる 平成年改正の趣旨が十分に達成される よう、引き続き、家庭裁判所において、 7 審理期間 親権制限事件を含む個別の事件が適正・ 表 9 は、親権制限事件の審理期間を示迅速に解決されていくことが望まれよ したものである。 親権喪失事件においては、終局事案 1 ・ 8 % の 24 件のうち、 2 か月以内に四 ・ 9 % の事件が ( 1 ) 本稿において、親権制限事件とは、原則として、 事件が、 3 か月以内に 親権喪失、親権停止及び管理権喪失の各審判申立事件 終局した。 また、親権停止事件においては、終局を指すが、後記四においては、親権喪失及び親権停止 の各審判申立事件のみを指す。 事案 156 件のうち、 2 か月以内に・ ・ 4 % の ( 2 ) なお、児童福祉法条の 7 の規定により、児童相 0 % の事件が、 3 か月以内に 談所長にも親権喪失・親権停止・管理権喪失の各審判 事件が終局した。 について申立権が認められている。 親権喪失事件と親権停止事件のいずれ においても、概ね半数が 3 か月以内に終 ( 3 ) 飛澤知行編著『一問一答平成年民法等改正 児童虐待防止に向けた親権制度の見直し」 ( 商事法務、 局している状況に大きな変化はないが、 子の権利利益を擁護する観点からは、親平成年。以下「一問一答」という。 ) 頁参照。 権制限事件の適正・迅速な審理が強く求 ( 4 ) 一問一答頁、頁参照。なお、親権喪失の審判 の申立てがされた場合において、親権喪失の原因はな められていることはいうまでもない ( 注 いが、親権停止の原因があると判断したときには、家 0 一 親権喪失 親権停止 0 一 表 9 親権制限事件の審理期間 1 月超 2 月超 3 月超 4 月超 5 月超 6 月超合計 1 月以内 2 月以内 3 月以内 4 月以内 5 月以内 6 月以内 124 22 1 ( 12.1 % ) ( 17.7 % ) ( 16.1 % ) ( 0.8 % ) ( 7.3 % ) ( 12.1 % ) ( 33.9 % ) ( 100 % ) 156 33 35 7 ( 12.8 % ) ( 21.2 % ) ( 22.4 % ) ( 9.6 % ) ( 4.5 % ) ( 9.0 % ) ( 20.5 % ) ( 100 % ) 、 親権喪失 親権停止 ( 注 )

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図 5 親権制限制度と児童福祉法 28 条の申立件数 350 ・親権停止 ロ親権喪失 ■児童福祉法 28 条 数ではなく終局件数。また、平成年 4 ( 再 ) 出頭要求などのステップを踏まな口 月から施行されたため、平成年は 45 ければならないところ、臨検捜索の存在 肥月の数値。最高裁判所調べ ) 。親権停によって、そこに至る過程で解決するこ 止が大きく伸びており、活用され始めた とも少なくないから、臨検捜索の件数が引 と評することもできるが、 1 児童相談所僅かであることだけを取り上げて、無意の 当たり約 0 ・ 23 件しか請求していない味だと一一一一口うことはできないだろう。しか法 計算になる。また、児童福祉法条の申し、それにしても少なすぎるのではない 立件数が平成年に件ほど減少してい だろうか。年間 7 万件を優に超える虐待 るので、その一部が親権停止に流れたと件数に照らし、強制的に立ち入らざるを も考えられる。 得ないケースが 052 件しかないとは信 関連して、家庭裁判所は児童福祉法じ難い 条の承認審判をする際、相当と認めると 防止法の定める接近禁止命令について きは保護者に指導措置をとるべき旨を都 いまだ実施例に接していない。家事 道府県 ( 児童相談所 ) に勧告することが事件手続法 239 条に基づく審判前の保 できるとされている。この利用状況を見全処分 ( つきまとい・ ( いかいの禁止 ) ると、承認審判の概ね 川 5 % においても、平成年 4 月から平成年月まで 勧告がなされているにすぎない ( 最高裁の統計では、申立てが 3 件で、認容は僅 判所調べ ) 。 か 1 件となっている ( 最高裁判所調べ ) 。 8 0 7 件となり、実に新倍になってい 児童福祉法条の承認を得て施設等に措 る。それと比べると十分に機能している 置する場合、連れ戻し等のおそれがある 2 臨検捜索と接近禁止命令 のかどうか疑問が残る。 ときは、児童相談所は保護者に児童の住 次に、平成年改正後の親権喪失及び平成四年改正により導入された臨検捜所又は居所を開示しないこととされてい 親権停止の利用状況 ( 児童相談所長の請索については、平成年度が 2 件、平成るから、保護者が児童の所在を把握でき 求によるものに限る。 ) をみると、平成幻年度が 1 件、平成年度が 2 件、平成ず、そもそも接近等ができない事情があ 年は親権喪失が川件、親権停止が川 年度が 1 件、平成年度が 1 件、平成るのかもしれない。ただ、それを考慮し 件、平成年は親権喪失が 8 件、親権停年度が 0 件であった ( 厚生労働省調ても数字を見る限りはほとんど機能して いないと言ってよいであろう 止が町件となっている ( ただし、新受件べ ) 。臨検捜索に至るには立入調査や 300 250 200 150 H8 H9 HI 0 H 1 1 HI 2 HI 3 HI 4 H 15 HI 6 HI 7 HI 8 HI 9 H20 H21 H22 H23 H24 H25

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間、日本政策投資銀行は、民間に 者の利益の保護等を図るため、① よる成長資金の供給の促進を図る電気通信事業の登録の更新に関す ため、地域活性化や企業の競争力る制度の創設等、②電気通信役務 の強化に特に資する出資等を集中及び有料放送の役務の提供に関す " 尸的に実施し、平成年度末までに る契約の解除制度の創設等を行、つ ものである 全ての出資等について処分するよ 、一 00 」、 0 、 0 、 = 0 ・ 00000 、 0000 〔 000 う努めることとし、このために必①では、電気通信事業の登録に うものである 要な政府による出資等の措置を講ついて、第一種指定電気通信設備 ◆株式会社日本政策投資銀行法の ①では、改正前は、政府保有株ずることとしている 又は第一一種指定電気通信設備を設 一部を改正する法律 式について、市場の動向を踏まえ このほか、日本政策投資銀行置する電気通信事業者である法人 ( 平成羽年法律第号 ) つっその縮減を図り、平成年 4 は、当分の間、その業務を行うに が特定の者と合併をする場合等に 〔平成年 5 月日公布・公布日施行〕 月 1 日から起算しておおむね 5 年当たっては、他の事業者との間のあっては、その更新を要すること 【危機対応業務の責務、特定投資 後から 7 年後を目途として、その適正な競争関係を阻害することのとするとともに、第二種指定電気 業務の集中的実施等】 全部を処分するものとするとされないよう特に配慮しなければなら通信設備を設置する電気通信事業 ていたところ、改正後は、日本政ないこととする等の規定を整備す者であって総務大臣が指定するも 本法は、内外の金融秩序の混乱策投資銀行の目的の達成に与えるることとしている のに対して一定の行為を禁止する や大規模な災害等の危機時におけ 影響及び市場の動向を踏まえつつ 規定の緩和等の措置を講すること としている る必要な資金供給を確保するととその縮減を図り、できる限り早期 ◆電気通信事業法等の一部を改正 もに、地域活性化等につながる民にその全部を処分するものとする ②では、事業者は、総務大臣が する法律 間による成長資金の供給を促進すとしている。この点については、 指定する電気通信役務又は有料放 ( 平成羽年法律第号 ) ることが重要な課題であるとの認 完全民営化の方針は維持している 送の役務の提供に関する契約が成 〔平成年 5 月日公布・ 識の下、①日本政策投資銀行に係というのが政府見解である。 立したときは、遅滞なく書面を作 公布後 ] 年以内施行〕 る政府保有株式の処分、②日本政②では、当分の間、日本政策投 成し、利用者又は国内受信者に交 【電気通信事業登録更新制度の創 速策投資銀行の危機対応業務の責資銀行は危機対応業務を行う責務 付しなければならないこととする 設、初期契約解除制度の創設等】 ろ 務、③日本政策投資銀行による特を有することとし、その適確な実 とともに、利用者又は国内受信者 ひ の 定投資業務 ( 地域活性化や企業の施のための政府出資に係る期限の は、当該書面の受領日等から起算 ろ 律 法 ひ競争力強化に特に資する出資等 ) 延長等の措置を講ずることとして 本法は、電気通信事業の公正なして 8 日を経過するまでの間、書 いる 「の実施等に関する規定の整備を行 競争の促進、電気通信役務の利用面により当該契約の解除を行うこ月 ひろば法律速報 ( 第 189 回国会成立法律より )

10. 法律のひろば 2015年9月号

れる ( 注 4 ) 。 防止等の関する法律 ( 平成年法律第導に従わないときは都道府県知事の勧告 平成元年、全国児童相談所長会が、全号。防止法 ) が成立した。児童虐待に特ができるようにした ( Ⅱ条 ) 。虐待をし 国で少なくとも年間 2100 人の子ども 化した法律としては、戦前の児童虐待防た親がしばしば児童との面会を強要する たちが虐待を受けていることを示す調査止法以来であった。その意味で画期的な ことに鑑み、児童福祉法条の承認を得 結果を公表した ( 注 5 ) 。同じ年、日弁連法律であったが、内容面では多くは従前て同法条 1 項 3 号の措置がとられてい律 法 は親権の一時停止制度の創設などを提言の運用を法律に格上げしたものであつる場合に限ってではあるが、虐待親の面 した。平成 2 年には厚生労働省 ( 当時は 会通信を制限する規定を置いた ( 条 ) 。 厚生省 ) が全国の児童相談所に寄せられ防止法は、まず児童虐待が許されない 民間団体を含む関係機関相互の連携強 る児童虐待相談処理件数の統計を開始し行為であることを明記した。すなわち児 化を打ち出したことは ( 4 条 ) 、当時、 た。民間団体の動きも活発になり、平成童虐待の定義規定を置き ( 2 条 ) 、児童進みつつあった地方公共団体における虐 2 年には大阪で児童虐待防止協会が、翌虐待を禁止した上で ( 3 条 ) 、親権者の待防止ネットワークの設立を促進するこ ととなった。 平成 3 年には東京で子どもの虐待防止セ適切な親権行使を求めた ( Ⅱ条 ) 。 ンタ 1 が設立された。 次に、通告の促進に意を注いだ。児童防止法制定と同時に改正された児童福 そのような中、平成 9 年に児童福祉法福祉に職務上関係がある者に児童虐待の祉法 ( 平成年法律第号 ) においては、 が改正されたが ( 平成 9 年法律第号 ) 、 早期発見を呼びかけ ( 5 条 ) 、発見した資質を欠く者の抜け道と批判されていた 児童虐待に関してはほとんど盛り込まれら児童相談所などに通告するものとし児童福祉司の任用資格のうち「前各号に ず、虐待対策に関しては同年 6 月日に ( 6 条 ) 、通告を受けた機関は通告者を特準ずる者」を、「前各号に掲げる者と同 厚生省児童家庭局長が「児童虐待等に関定する情報を漏らしてはならないことと等以上の能力を有すると認められる者」 する児童福祉法の適切な運用について」して、発見者が安心して通告できるよ、つに改めた ( 条 ( 肥年当時Ⅱ条 ) ) 。また、 を発するにとどまった。もっとも、このに配慮した ( 7 条 ) 。もっとも、虐待を一時保護の期間を原則 2 か月としたが 通知の内容はその後の防止法の土台にな知りながら通告しなかった者に対する制 ( 芻条 3 項 ) 、同時に必要があれば延長で った。 裁や、誤通告に対する免責については、 きる旨が定められたため ( 同 4 項 ) 、実 導入すべきとの議論はあったものの見送務上大きな影響はなかった。 った。 2 児童虐待の防止等に関する法律 介入後の親指導に関しては、児童福祉 の制定 平成年法改正 法条 1 項 2 号の措置がとられた場合、 平成年、議員立法として児童虐待の保護者には指導を受ける義務があり、指防止法制定にもかかわらず、児童虐待