足や、立証が困難である場合が少なくなの生育歴が関係していたり、虐待親が家離婚事件や事件等で、夫婦のどちら 、 0 族、社会等から孤立してしまっており助かの代理人として関わる際に、子どもに そこで、 1994 年頃から弁護士が児 けが求められないといった社会的環境が対する親権者の虐待を知る機会も多い 童相談所に対して法的立場からサポ 1 ト関係していることが多い。虐待親として虐待者が相手方である場合もあるが、依タ を行うようになり、現在ではほとんどのは、虐待をしたくないけれど、自分自身頼者が虐待を行っていることを知る場合の 法 児童相談所で弁護士が法的な助言を行っでは虐待を止めることができないところもある。 ている。また、福岡を先駆けとして常勤まで追い詰められていることもあるので 虐待者が相手方である場合には、子ど の弁護士が配置されている自治体もあある。このような状況の中で、虐待が一一もの身柄が相手方にあれば、虐待通告を り、弁護士が児童相談所の実務の中で重度と行われないようにするためには、子行って子どもの安全を確保するととも 要な役割を担っていると言えよう。児童どもを虐待親から引き離したり、虐待親 に、親権の決定、面会交流の中で子ども 相談所に関わる弁護士の関わり方は様々を罰するといった子ども側からのサポー の福祉、子どもの安全が図れるよう注意 であるが、具体的には前述の児童福祉法トだけでなく、親側の環境整備等のサポする必要がある。ただし、虐待の主張は、 条の申立てや親権停止等の代理人、サ ートも必要不可欠である。 加害者に刑事責任が発生する場合もあ ポ 1 トを行うほか、ケ 1 スを検討する際また、虐待ケースに理解がある弁護士る、相手方に重大な不利益が生じる主張 が親側の代理人として関わることによであるため、主張するに当たっては、十 にも、家事、破産、刑事等児童福祉にと どまらない法律専門家としてアドバイスり、他の関係機関と連携しながら、残さ分な調査が必要である。 を行っている。 れた子どものケアについて法的側面から 虐待者が依頼者である場合もある。依 サポ 1 トを行うことが可能になり、子ど頼者が虐待を行ってしまっていることを もと親の再統合のための支援を行うこと 悩み、弁護士に打ち明ける場合もある 六親側の代理人、弁護人とし も容易になる。したがって、虐待親側に が、依頼者との打合せ等の中で、依頼者 て 代理人が付くことも虐待防止のために非 が自覚していない虐待に弁護士が気付く 子どもの虐待防止活動に従事するとい 常に有益なことなのである ( 注 7 ) 。 こともある。児童虐待は、虐待者が虐待 うことと、子どもを虐待した者の代理人 を行っていると自覚をし、自ら助けを求 となることは、一見矛盾した行動にも見 めることが、解決の第一歩となるため、 七離婚事件、 a > 事件等で直 える。しかしながら、親が子どもを虐待 弁護士が依頼者を説得し、自ら児童相談 面する児童虐待問題 するという行為に至る背景として、親自 所に相談するよう働きかけ、場合によっ 身が虐待を受けた経験があるといった親虐待に積極的に関わっていなくても、 ては児童相談所と依頼者を繋ぐ役割を担
特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 児童虐待問題に対する弁護士の取組 事情聴取を受けたり、証言を行うことで等、子どもが話しやすい環境で尋問がで理人として、あるいはその他の場面で虐 きるように求める。その他、加害者弁護待を受けた子どもに接していると、子ど 心的外傷を深めてしまう危険が大きく、 特別な配慮が必要である。この段階で子人との交渉の窓口になったり、被害者ともの帰住先に悩むことが少なくない。少 どもが告訴を行わないと決断することもしての意見陳述 ( 同法 292 条の 2 ) を年事件において保護観察処分となった後 少なくない。 行うかを検討したり、傍聴、資料の閲覧や、少年院出所後の帰住先がない場合、 捜査が開始されると、子どもに対する謄写を行ったりと、行うべきことは様々児童虐待を受けて自宅を飛び出したが行 事情聴取が行われる。子どもの年齢にもである。状況や制度を分かりやすく説明き先がない場合等、様々な場面で「明日 よるが、子どもが一人だけで、その日初し、子どもが納得できるように寄り添っ帰る家がない子ども」に出会うのである。 児童相談所長は、自宅に戻れば虐待が めて会った捜査官に、虐待のつらい経験ていく。 を話すことは非常に負担が大きい。そこ また、子どもにとって他に支援が必要行われる可能性がある子どもや、帰住先 かない子どもについて、「必要があると で、子どもに弁護士や児童相談所の児童であれば、児童相談所等と相談しなが 認めるときには、児童を一時保護所に む理士が立ち会ったり、取調べの場所ら、刑事事件とは別に、法的援助を行う や、捜査官の性別に配慮を求める等の交こともあり得る。子どもが虐待者と同居入所させたり、病院等の適当な第三者に 渉も被害者代理人として受任した弁護士しており、それが不適切であれば早急に委託したりして一時保護をすることがで が行う。性的虐待等の場合、虐待発覚後児童相談所に通告し、一時保護を求めるきる ( 児童福祉法芻条 ) 。そこで、虐待 こともあり得るし、子どもの学校や、虐を受けている子どもを発見した場合に に司法面接、事実確認面接といった、訓 練を受けた聞き取り者が被害を聞き取待親ではない親権者との交流について子は、弁護士は児童相談所に通告 ( 同法 る、特別な面接を行い、 面接結果をどもの代理人として活動することもあ条 ) し、一時保護をするよう求めるので ある。 や逐語訳で残している場合もある。そる。 ところが、歳以上の未成年者は、親 のような場合には、面接結果を事前に捜 権者の親権による制限を受ける一方で児 査官に渡し、重ねての聞き取りがなるべ 四子どもシェルターにおける く少なくて済むように配慮を求める 童福祉法上の「児童」に当たらず ( 児童 子ども担当弁護士 起訴後に証人尋問を求められた場合に 福祉法 4 条 1 項 ) 、児童相談所による一 ろ 時保護等の助けを得ることができない。 は、ビデオリンク方式での尋問 ( 刑事訴 ひ 子どものシェルターとは また、施設での共同生活になじめない子の 訟法 157 条の 4 ) や遮蔽措置 ( 同法 1 法 子どものシェルターのなりたち どもや、精神疾患を抱えている子ども、 58 条 ) を求めたり、弁護士や児童相談 所の担当者の付添 ( 同法 157 条の 2 ) 前述のように、少年付添人や被害者代妊娠中の子ども等は、一時保護 ( 同法芻
特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 児童虐待問題に対する弁護士の取組 子どもシェルターほると ( 新潟 ) 、子どもセンター帆 、つことか望ましい。しかしながら、依頼 八おわりに 希 ( 千葉 ) 、カリョン子どもセンター東京 ) 、子ども 者がそのような働きかけに応じなかった シェルターてんほ ( 神奈川 ) 、子どもセノターパオ ( 愛 場合には、弁護士は葛藤を抱える。児童虐待問題には、実に様々な機関が関わ 知 ) 、子どもセンターののさん ( 京都 ) 、子どもセンタ 虐待を受けたと思われる児童を発見したっており、各関係機関が協力して個別の ーるーも ( 和歌山 ) 、子どもシェルターモモ ( 岡山 ) 、 者は、児童相談所等に通告を行う義務がケースに関わり、また虐待防止のために ピピオ子どもセンター ( 広島 ) 、子どもシェルターこ あり ( 児童虐待防止法 6 条、児童福祉法働きかけを行っている。今まで見てきた こ ( 福岡 ) ( また、沖縄と大阪で子どもシェルターの 条 ) 、さらに、児童虐待防止法 5 条はとおり、児童相談所を中心とした虐待へ 設置準備中。 ) 「 : : : 弁護士その他児童の福祉に職務上の対応、虐待防止に、弁護士も様々な角 ( 5 ) 東京弁護士会編 ( 編集代表坪井節子 ) 「お芝居から 関係のある者は、児童虐待を発見しやす度から関わっている。現在も虐待問題へ い立場にあることを自覚し、児童虐待のの課題は山積しており、子どもの自立支生まれた子どもシェルター」 ( 明石書店、 2006 年 ) 早期発見に努めなければならない。」と援に関する問題をはじめとして関係機関参照。 規定する。一方で、弁護士には刑事上、 と協働しながら様々な新しい取組が行わ ( 6 ) 日本弁護士連合会子どもの権利委員会・前掲 ( 注 1 ) 頁 民事上の守秘義務がある。この点、児童れている。弁護士としてできることを積 さらに、ときには「十どもの ( 7 ) 日本弁護士連合会子どもの権利委員会・前掲 ( 注 虐待防止法 6 条 3 項は、「刑法の秘密漏極的に行い、 1 ) ワ】、 -0 一頁 示罪の規定その他の守秘義務に関する法シェルタ 1 等のように、弁護士としての ( ふじた・かおり ) 律の規定は、第 1 項の規定による通告を枠を越えて様々な虐待防止への働きかけ する義務の遵守を妨げるものと解釈してがなされることが期待される はならない。」とし、虐待通告を優先さ せる旨規定する。しかしながら、依頼者 ( 注 ) の反対を押し切って通告を行えば、虐待 ( 1 ) 日本弁護士連合会子どもの権利委員会編『子ども を打ち明けてくれた依頼者の信頼を裏切の虐待防止・法的実務マニュアル第 5 版」 ( 明石書 店、 2 012 年 ) 頁 ることになる場合もあるし、ただでさえ 追い詰められていることか多一い虐待者の ( 2 ) 法務総合研究所研究部報告 ( 2001 年 ) 味方がさらに減ってしま、つことになるた ( 3 ) 第二東京弁護士会子どもの権利に関する委員会編 め、弁護士は、最後の最後まで説得を試薪少年事件実務ガイド』 ( 現代人文社、 2007 年 ) み、虐待者の納得を得て通告を行、つこと ( 4 ) 全国の子どもシェルターは、次の通り。子どもシ エルターレラピリカ ( 北海道 ) 、ロージ 1 ベル ( 宮城 ) 、 か多い。 31 ・法律のひろば 2015.9
う、虐待を行ったとされる親側の代理人 として活動する等、児童虐待との関わり を 方は多岐にわたる。 ろ ひ の 律 2 児童虐待に関わる機関 法 藤田・戸田法律事務所弁護士藤田香織 児童虐待に関わる機関は弁護士だけで ( 同法 177 条 ) 、児童福祉法違反 ( 児童はない。児童虐待については、児童相談 一はじめに 福祉法条 1 項、条 1 項 6 号 ) 等の刑所がその対応の中核を担っている。児童 罰法規に抵触する場合がある。弁護士相談所長は、子どもを保護者の意思に反 弁護士から見える「児童虐待」 は、これらの罪の被害者代理人として被しても、一時的に保護者と引き離して保 弁護士は、依頼者 ( 又は相手方 ) のプ虐待者の代理人になることもあり得る護をすることができる ( 一時保護、児童 ライベートな部分について、様々な形でし、また、虐待者に対する、不法行為に福祉法芻条 ) 。一時保護は、児童相談所 触れることが多いため、家庭内の事情を基づく損害賠償請求等、民事上の責任追長が、裁判所の司法審査を得ることなく 垣間見ることが多く、児童虐待の発見者及を行う場合もある。 行うことができ、児童相談所長に非常に となることも多い。児童虐待について積さらに、一方当事者の代理人としての強い権限が与えられている。児童相談所 極的に事件を受任していない弁護士で枠を越えて、現在、弁護士は様々な形で、 には、調査権限 ( 児童福祉法Ⅱ条 1 項 2 も、少年事件の少年が虐待を受けた経験被虐待児のサポ 1 トを行っている。例え号ハ ) が与えられ、居宅への訪問を居住 があり、環境調整の中で虐待対応を行、つば、虐待を受けた子どもが身を寄せるこ権者である保護者が拒否した場合に児童 必要がある場合や、離婚事件の中で、親とができるシェルタ 1 を、弁護士が中心の安全を確認するために立入調査を行う 権を争う両親のどちらかが虐待を行ってとなって運営し、そのシェルタ 1 に入所権限 ( 児童虐待防止法 9 条 ) や、裁判所 いると主張する場合等、様々な形で児童した子どもの今後の自立を、弁護士がサの裁判官による許可状により、児童相談 虐待に関わることがあり得る。 ポ 1 トするといった活動も各地で行われ所の職員等に児童の住所若しくは居所を 臨検させ、又は児童を捜索させることが また、児童虐待は、暴行罪 ( 刑法 20 ている 8 条 ) 、傷害罪 ( 同法 204 条 ) 、保護責また、子どもの代理人としてだけではできる臨検・捜索の権限 ( 同法 9 条の 任者遺棄罪 ( 同法 218 条 ) あるいは強なく、児童虐待に関する中核機関である 3 ) が与えられている。 制わいせつ罪 ( 同法 176 条 ) 、強姦罪児童相談所に対し、法的サポートを行 これらの強い権限を有する児童相談所 児童虐待問題に対する 弁護士の取組
特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 児童虐待問題に対する弁護士の取組 は、児童虐待から子どもの安全を確保児と遭遇する機会が多く、援助を行う必ある。 虐待を受けた子どもは、最も信頼でき し、最終的には親子再統合や、子どもの要性に迫られる場面も多い。児童虐待の 自立を支援する。親子再統合、自立に至場面で弁護士が関わることは、今や珍しるはずの親との間に適切な愛着関係が築 けなかったため、愛着障害や感情コント くないのである るまでの間に、児童福祉施設に入所した 一方で、弁護士は法律のエキスパートロ 1 ルの障害を抱えることが多く、その り、里親に委託される子どもも多い。 ために、他人に対する攻撃的衝動を抑え 虐待を受けた子どもが自立するまでのではあるが、児童福祉やケ 1 スワ 1 クに ついては特別な訓練を受けているわけでられなくなることがある。また、被虐待 間には、児童相談所だけでなく、警察、 市区町村、保健所、病院、幼稚園、保育はない。したがって、弁護士ができるこ児は長期的に適切な養育環境を提供され 園、学校、民生委員、児童福祉施設、里との限界を探りながら、様々な関係機関てこなかったため、極端に自己評価が低 く、自殺企図や非行などの問題行動を起 親等、様々な援助機関が関わる。それぞと協働し、児童虐待に関わっていく必要 こすことが知られている ( 注 1 ) 。少年院 れがそれぞれの役割を果たしながら、相がある。本稿では、弁護士が具体的にど 互に補完し、子どもを援助するのである。のような形で児童虐待に関わり、子ども在院者に対する調査 ( 注 2 ) では、家族及 に寄り添っているか、また、今後どのよび家族以外の者双方から身体的暴力 ( 軽 うな関わりが期待されるかについて、考度 ) ( 重度 ) 、性的暴力 ( 軽度 ) ( 重度 ) 3 弁護士にできること 及び不適切な保護態度のいずれか一つで 察したい。 も受けた経験のある者は、全体の約間 % しかしながら、虐待を受けた子どもの であり、家族だけからこれら五つの類型 中には、必ずしも児童相談所の一時保護 ニ少年事件の付添人として のうち少なくとも一つ以上の加害行為を 所や、施設、里親で生活することに適し 受けた経験のある者は全体の約浦 % であ ていない子どももいる。また、歳以上 虐待の事実の発見 った。少年事件においては、少年が虐待 の未成年者は、児童福祉法上「児童 , で の被害者である可能性があることを念頭 児童虐待問題に積極的に取り組んでい はないため ( 児童福祉法 4 条 1 項 ) 、児 童相談所による強力な保護が受けられなる弁護士でなくても、少年事件で付添人に置いて活動する必要がある。 い。このように、通常のルートに乗らなとして付いた少年が被虐待児であったと ろ い被虐待児に対する援助を行うに際していう経験は少なくない。警察や調査官等 ひ 2 環境調整 の は、公の機関に属しない弁護士等が適しの調査によって判明することもあるし、 律 少年事件において、付添人は、要保護法 ているのである。 少年と接見を重ねるうちに、付添人に心 また、先述のとおり、弁護士は被虐待を許した少年が打ち明けてくれることも性を減少させるために、心身の成長発達
特集児童虐待の現状と回復への取組ー防止法施行 15 年を迎えて 児童虐待問題に対する弁護士の取組 ある。自宅に戻れる子どもは多くなく、 に乗る、自立のために生活保護受給手続は、原則として 0 歳から歳までの「児 子ども担当弁護士をはじめとするスタッのサポートを行う、アパート設定や自立童」 ( 児童福祉法 4 条 1 項 ) に関する相 フが子どもと相談し、様々な帰住先を探のための各種手続のサポ 1 ト、職場や学談を受け、援助活動を行う専門的行政機 すことになる ( 注 5 ) 。 関である。児童相談所には、子どもの安 校との交渉を行う等、活動の幅は広い。 そのほか、子どもに付き添って新しい家全を確保するために、保護者や子ども自 で使用するための家具を買いに行った身の意に反して一時的に子どもの身柄を 2 子ども担当弁護士の活動 り、病院に付き添うといったサポ 1 トを保護する一時保護 ( 児童福祉法芻条 ) 、 保護者等の居住場所に立ち入ることがで てんほでは、てんほのスタッフの他行うケ 1 スもある。 に、通常 1 人の子どもにつき 2 名の「子なお、子ども担当弁護士に対する費用きる立入調査 ( 児童福祉法四条、児童虐 ども担当弁護士」が子どものサポートに は、少年付添人が子ども担当弁護士にな待防止法 9 条 ) 、裁判所の許可状を得て 付く。子ども担当弁護士は、親権者とのる等のケースを除き、日本弁護士連合会行う臨検・捜索 ( 児童虐待防止法 9 条の 3 ) 等の強制的な権限が与えられてい 交渉や調整等、子どもの代理人として法が全額財源負担して日本司法支援センタ 1 に業務を委託している「子どもに対する。また、児童相談所は、施設入所に親 的問題の解決に当たるだけでなく、てん ほのスタッフや関係機関と協力しながる法律援助事業ーにより支払われること権者が反対の意思を表示した場合に、家 ら、子どもの自立や今後の生活の準備をが多い。しかしながら、子ども虐待事案庭裁判所に親権者の同意に代わる承認を サポートする。 においては、日本司法支援センターから得て施設入所措置をとることもできる 親権者や保護者に対しては、事案によの援助はなく、金銭的な支援の整備が十 ( 児童福祉法条 ) 。この承認審判の申立 って、子どもの気持ちを伝え関係を調整分であるとは言えない。今後、子どもが権や、親権喪失・停止審判の申立権 ( 児 する。ときには、親権者からの親権侵害弁護士費用を負担しなければならないと童虐待防止法Ⅱ条 5 項、児童福祉法芻条 いったことは避けられなければならなの 7 ) も、児童相談所が有する ( 注 6 ) 。 の主張に対し、民法、刑法上の緊急避難 しかし、前述の各種手続は、親権を制 を根拠として子どもの保護を正当化し、 子どもを守ることもある。また、虐待に 限する強力な手段であることが多く、一 時保護等に対する親権者の反発は多いた よる被害について、親権停止の申立てや 五児童相談所の嘱託弁護士と 刑事告訴、慰謝料請求、扶養料請求や養 め、運用に当たっては、要件を充足してタ して いるか、行政法上の適正な手続を踏んでの 親との離縁などの法的手続をとることも 法 ある。 いるか等、細心の注意を要する。また、 児童虐待問題への対応の、中心を担、つ さらに、子どもの将来についての相談機関が児童相談所である。児童相談所家庭裁判所への各種申立ても、要件の充四
条 ) や施設入所が困難であり、援助を受のシェルターの開設が続き、現在は全国の鍵を渡され、退所するまで自分で自分 つん けることが難しい。さらに、原則としてにもの子どもシェルタ 1 が存在するの部屋を管理することになる。食事は、 ( 注 4 ) 。シェルターによって入居者の傾スタッフがシェルターの台所で子どもに 一時保護所からは通学や通勤ができない 合わせて調理したものを、スタッフやボタ ため、通学、通勤をするために児童相談向は様々であるが、例えば、子どもシェ ルターてんほでは、 2 0 0 7 年 4 月の開ランティアと一緒にとるなどして、入居の 所の援助を受けられない子どももいる。 このような子どもたちを保護するため設から、 2014 年 2 月までの利用者中の子どもが安心できる環境に置かれる法 よう配慮している。子どもの安全が確保 に、どのような子どもであっても、子どは、人。うち、男子が間人、女子が できる場合には、ケースによって、学校 もの悩みを受け止めて相談に乗ることが人と、女子が多い。また、年齢は歳 ( に行ったり、アルバイトをすることもあ でき、福祉的な支援の中で子どもの生活人 ) が最も多く、次いで歳 ( 間人 ) 、 を安全に守りながら、法的、医療的支援間歳 ( 8 人 ) 、四歳 ( 7 人 ) となっている。 シェルタ 1 は、あくまで緊急避難的に を提供できるという総合的な子どもの支る。 居場所を提供し、子どもが新たな一歩を 援センタ 1 を作りたいというニ 1 ズが、 踏み出すことができるように手助けをす 子どものシェルターでの生活 東京弁護士会の弁護士を中心に高まっ シェルタ 1 によって、様々な運営がさる場所であるため、長期間の滞在を予定 た。このような子どものためのシェルタ ーがあったらという架空の物語を、東京れ、受け入れられる子どもの生活も様々していない。滞在が長引いてしまう場合 弁護士会の子どもの権利委員会が 200 であるが、本稿では、神奈川の、子どももあるが、子どもたちは、通常、 2 か月 シェルターてんほ ( 以下「てんほ」とい 程度で新たな居住場所を探し、自立して 2 年にお芝居にして上演し、これをきっ かけに 2004 年に「カリョン子どものう。 ) での活動を主に紹介することとす る。 「カリョン子どもの家」の 2 0 0 4 年 家」というシェルタ 1 が設立された。 から 2009 年までの統計によれば、約 子どものシェルターは、その性質上、 新 % の子どもたちが 2 か月以内に次の帰 子どものシェルターの現状 場所は非公開となっており、外観からは 子どもシェルタ 1 「カリョン子どものシェルターであるとは分からない。ま住先を見つけて退所しているが、精神的 た、てんほでは、それまで虐待等で安心な課題を抱えており、入院先が見つから 家」が設立されると、これに引き続き、 ない、就業先が見つからない等の理由で できる生活空間をもてなかった子どもも 2007 年には愛知に「パオ」、神奈川 に「てんほ」が、 2009 年には岡山に多いため、安心して生活できるよう、個入居が長引く子どもも多い。子どもの帰 「モモ」がそれぞれ子どもシェルタ 1 と室で生活できる環境を整えている。入所住先としては、親、親戚が % 、自立援 して開設された。その後も続々と子どもの定員は 4 名で、入所の際に自分の部屋助ホ 1 ムが訂 % 、児童養護施設が川 % で
平成ニ十七年九月一日発行 ( 毎月一回一日発行 ) 昭和ニ十四年一一月四日第三種郵便物認可 あなたの欲しい情報をすぐお手元に ! 日本の 法科大学院の 多数が利用 充実のラインアップを誇る総合法律情報テータベース リーガル リサーチなり、 すロ→イプラリー 企業法務・弁護士の皆様の実務に最適な情報をさらに充実 ! ー TKC ローライプラリーのコンテンツ構成ー 裁判結果による検索の追加や検索結果一覧における絞込 機能など、目的の判例を効率的に検索できる機能を搭載 しました。 L X / DB インターネット ( 判例 ) 明治 8 年の大審院判例から今日までの判例を網羅的に収 録した日本最大級のフルテキスト型データベースです。 最大収録・日々更新で最新情報をお届けします。 ろば九月号 ( 第六十八巻第九号 ) 2015 年 8 月提供開始予定 ! 最高裁判所判例解説 Web 2015 年 8 月提供開始予定 ! 、 BL / 資料版商事法務 NEW! NEW! 法曹関係者にとって必要不可欠、 重要な判例解説ついに提供開始 ! 「最高裁判所判例解説』 民事篇・刑事篇全 1 28 最高爿所判犲 巻に加え、「法曹時報」 用事第 の「最高裁判所判例解 説」に掲載された最新。法曹時報 解説 ( 発刊後 3 か月経過 後 ) も収録します。 刊行 : 法曹会 ビジネスロー分野の最新情報、 参考事例を収録 ! ビジネス関連の立法動向や 実務への影響等々の情報を 掲載しており、ビジネスロー を専門とする弁護士や企業 法務関係者などの多くの方 から要望が寄せられていた 「 NBL 』および「資料版商事 法務』を創刊号から収録しま す。 最新号送付サ - ビスがついています。 刊行 : 商事法務 ′商事法務 NBL ~ 1049 - ぃ 不載法・反府事載剛 : おける 脅ー嬲物局瀬決物度の実物 第年社毯正にう R 事再の・・を滝ー・行を・の物ま 最高所判月 事量 募集中、全 50 コンテンツが利用可能な無料トライアル受付中 ! 今すぐお申し込みを ! お問い合わせ先 株式会社 TKC 東京本社リーガルデータベース営業本部 〒 162-8585 東京都新宿区揚場町 2-1 軽子坂 MN ビル 5F E-mail:lexcenter@tkc.co.jp フリーダイヤル : 0120-114-094 ( 土・日・祝日を除く 9 : 00 ~ 17 : 00 ) ⅣⅣⅣ . tkc. ・Ⅳ lawlibra 4 9 1 0 0 8 0 2 9 0 9 5 5 0 0 8 0 0 雑誌 08029 ー 09 Printed in Japan 2015 ゴ耳
法律のひろば 平成 27 年 9 月 1 日発行 ( 毎月 1 回 1 日発行 ) 昭和 2 イ年 2 月イ日第 3 種郵便物認可 H 〇 URITSU N 〇 HIR 〇 BA Sep. 2015 VOL68 / NO. 9 児童虐待の現状と虐待防止法制の展開 / 磯谷文明 親権制限事件の運用状況 / 石井芳明・依田吉人 児童虐待問題に対する弁護士の取組 / 藤田香織 虐待を受けた子どもの状況と子どもへの支援 / 藤田恭介 家族の回復に向けた取組 / 川﨑二三彦 虐待防止・早期発見のための取組 ー困難を抱える親への支援 / 中板育美 = 児童虐待の現状と回復 ( の取組 ー防止法施行物年を迎え 新連載 商事法判例研究第 1 回東京商事法研究会 準共有株式について権利行使者の指定・通知を欠いてなされた議決権行使と 会社法 106 条たたし書の会社の同意 / 中村信男 立文聿館 160928319 きようせい
月刊法律のひろば 2015 VOL68 No. 9 September ◆特集◆ 児童虐待の現状と回復への取組 ー防止法施行 15 年を迎えて ー児童虐待の現状と虐待防止法制の展開 / 磯谷文明 4 ー親権制限事件の運用状況 / 石井芳明・依田吉人 16 ー児童虐待問題に対する弁護士の取組 / 藤田香織 24 ー虐待を受けた子どもの状況と子どもへの支援 / 藤田恭介 32 一家族の回復に向けた取組 / 川﨑ニ三彦 41 ー虐待防止・早期発見のための取組 ー困難を抱える親への支援 / 中板育美 47 ◆連載◆ 商事法判例研究第 1 回一一東京商事法研究会 準共有株式について権利行使者の指定・通知を欠いてなされた議決権行使と会社法 106 条ただし書の会社の同意 / 中村信男 53 保険判例研究第 33 回一一一保険判例研究会 自動車保険 ( 人身傷害保険 ) 契約に基づき、死亡被保険者の遺言執行者である原告に っき本件訴えの当事者適格を認めることはできないとされた事例 / 大塚英明 63 ザ・税務訴訟 相続税対策と名義預金 / 林仲宣 ひろば時論 / 2 ー取調べの録音・録画の拡充 ■登記所備付地図作成作業の更なる推進 ・ひろば法律速報 / 71 ・訟務情報 / 76 ・次号予告 / 15 74 弊社新刊図書・雑誌のご案内・・・・・ h p : //gyosei. jp 装丁 /Kaz