ということができるから、一般イ法定の不開示情報該当性 ていたとは考え難い 行われていた秘密取扱者適格性確 的・類型的にみて、当該情報が開の政府の政策判断が適切に行わ不開示情報④の文書の性格や認制度において我が国がどのよう 示された場合に、我が国の安全がれるためには、諸外国との間での己 言載されているものと推認される な調査を行っているかか具体的に 害されるおそれがある。 相互の信頼関係に基づいた情報交内容に鑑みると、同文書は当初か 明らかとなる結果、それを基にし ろ ひ 国不開示情報③を開示して、外換を進めることが重要であると考ら公開が予定されていなかった文て他国機関等から対抗・妨害措置 の 律 国等から収集した情報に対する我えられるところ、在外公館の担当書であるということができる上、 か講じられるおそれがあることは 法 明らかである。 が国の評価を公にすることは、当者が相手国の担当者から聴取した在外公館の担当者が聴取した事項 該情報を提供した外国等との信頼率直な意見をそのままの形で公開は一般に秘密を保持すべき性格の国また、不開示情報⑤の一部に 関係を害することは明らかであした場合には、在外公館の担当者ものであると考えられることによは、秘密保全法制に関する内閣情 、また、例示された事項につい が調査した事項の秘密保持に関すれば、本件決定の際に、情報公開報調査室と防衛省の協議の概要が ての我が国の方針が明らかになる る他国等からの信頼を失い、同担法に基づく開示の可否について、 記載されているものと推認するこ ことにより、当該外国との交渉上当者による情報収集活動に支障が不開示情報④に記載された情報を とができるところ、当該部分には 不利益を被るおそれもあるという出るおそれがあることは明らかで聴取した担当官等に確認していな 特定秘密保護法の下で実施される ことができ、このことは、記載さある。特に、各国の秘密保護制度 いことをもって、情報公開法 5 条適性評価制度と内閣情報調査室及 れている内容が例示であることに につき担当官が問題があると考え 3 号所定の「相当の理由」を欠くび防衛省が実施している現行の秘 よって左右されるものではない。 ている点などが記載されている部ものであるとまでいうことはでき密取扱者適格性確認制度とを比較 ④不開示情報④ ( 判決書におけ分は、それを公にすることによない した発言か記載されているものと る不開示部分 8 ) 当該国からの信頼を失うおそ 不開示情報⑤ ( 判決書におけ 推認することができるから、これ 、 1 一、 4 れがある ア不開示情報の内容 る不開示部分 9 2 及らの部分が公にされると、政府全 不開示情報④には、諸外国の秘 国相手国の制度を所管する担当 び ) 体の情報保全態勢・能力等が推察 密保護制度に関して、①聴取した者が同国の秘密保護法制についてア不開示情報の内容 されるなどして、各行政機関の職 相手国担当官の経験に基づく実例 問題があるものと考えていること 不開示情報⑤には、本件決定の員から不正に情報を入手しようと 等の公にされていない情報や、②が公になることにより、同制度の時点で現に行われていた秘密取扱する他国機関等による情報収集活 聴取した相手国担当官が自国の制性格上、当該相手国において政治者適格性確認制度の具体的な内容動を容易ならしめ、我が国の情報 度についての問題点を指摘し、我上・社会上の混乱を引き起こすおか記載されているものと認められ保全対策に対する妨害行為や、現 が国が新たに制度を設計する際に それがあることは明らかであるかる 行の対策内容に応じた攻撃手法の 留意すべきであると考える事項が ら、不開示情報④について、我が イ法定の不開示情報該当性 実行等情報漏洩の危険性を高める 記載されているものと推認するこ国の国内で公開されることを聴取の不開示情報⑤が公にされるこ事態を招き、我が国の安全が害さ とかできる 先の担当者が暗黙のうちに了解し とにより、本件決定の時点で現にれるおそれがある
国不開示情報②は、我が国の安 は、いずれも、情報公開法 5 条 3 る外交機密の内容が漏洩する危険に基づいて機密性情報の指定等を することの要否についての判断と全保障に係る事務をつかさどる外 が高まる。 号所定の不開示情報に該当すると いうことができるから、本件各不国我が国では、外交機密の具体は、その目的や性格を異にするも務省が我が国の主権の維持及び安 のであるから、機密性 3 情報の指全保障についての概念を整理する 開示情報の情報公開法 5 条 6 号所的な項目に基づき、他国等におい ために作成した文書の中に記載さ 定の不開示情報該当性について判て情報収集活動や収集した情報の定等がされていないからといっ その結果を踏まえて、そのことから直ちに情報公開れているものであるから、これら 断するまでもなく、本件決定のう分析等を行い、 ち本件各不開示情報を不開示として他国等との交渉を行っているも法 5 条 3 号所定の不開示情報に該の情報が公にされた場合には、我 が国が直面している懸案事項のう のと考えられるところ、外交機密当しないことを示す事情であると た部分は適法である。 はいえない ( 他の不開示情報におち、我が国の政府がどの問題を重 2 本件各不開示情報の内容及びの具体的な項目を公にした場合に 視しており、これらの課題に対し いても同様の判断が示されてい は、他国等から我が国の情報収集 その適否に係る裁判所の判断 てどのような方針を有しているか 不開示情報① ( 判決書におけ活動に対する対抗措置が講じられる。 ) 。 か明らかになるところ、これらの 不開示情報② ( 判決書におけ るなどして、他国等との交渉上、 る不開示部分 1 ないし 3 ) 事項が既に報道で明らかになって る不開示部分 4 及び 6 ) 不利益を被るおそれがある。 ア不開示情報の内容 いるとは考え難、 当該外交機密の具体的な項目ア不開示情報の内容 不開示情報①には、我が国の外 不開示情報③ ( 判決書におけ 不開示情報②には、我が国が現 交機密の具体的な項目が記載されは、特定秘密保護法案の法案化作 る不開示部分 5 及び 7 ているものと推認することができ業の過程において、日本国の安全在抱えている外交上の懸案事項に る 保障に係る事務をつかさどる外務ついての我が国政府の位置付けやア不開示情報の内容 不開示情報③には、国際約束に 省の職員が明らかにしたものであその個別・具体的な事案の名称等 イ法定の不開示情報該当性 が記載されているものと推認する基づき外国政府又は国際機関から るから、このような性格の情報を の我が国の外交機密の具体的な ことができる。 受領した情報であって、外務省に 項目を公にした場合、我が国の政公にすることは、我が国の政府に おいて、特定秘密保護法案におい イ法定の不開示情報該当性 府がどのような情報が外交機密でおいて、我が国の安全保障上、ど の不開示情報②が開示された場て特定秘密の対象に含ませるべき あると考え、それに対して情報保のよ・うな外交機密の項目を重視し 全措置を講じているのかという我ているかを明らかにするものであ合、我が国の安全保障や外交上のであると考えられる事項について って、我が国の安全を害するおそ懸案事項が明らかになり、その結の例示及びそれに対する安全保障 が国の安全保障に関する事項を外 国の情報機関等に明らかにする結れや他国等との交渉上不利益を被果、これらの問題に直接・間接に上の評価等が記載されているもの と推認することができる 関わる外国等に対して無用な不信 果となり、ト タ国の情報機関等によるおそれがある。 国情報公開法に基づく開示請求感や疑念を抱かせて信頼関係を損イ法定の不開示情報該当性 る情報収集活動がこれらの情報を の不開示情報③は、我が国の安 有する組織や担当者に対して集中の対象となった行政文書の開示のない、ひいては、我が国の安全が 全保障の確保に関する情報である 可否についての判断と、統一基準損なわれるおそれがある。 的に行われ、我が国が保有してい 77 ・法律のひろば 2016.1
うに命ぜられた債務者がそのいずれの態てしまっており、司法の場で、何らかののものも総合判断の考慮要素になるとす 度をとるかにつき自由な選択権を有する解決の筋道をつけるしかないのではなかる ( 注四 ) 。 ということに帰着する。いずれを選択しろうかそして、による本件確定判決しかしながら、基準時前に存在したが 5 認識されていなかった事実が基準時後にば ても、一方の命令には従っているのであに対する請求異議の訴えが、そのような 認識されるに至った場合、そこには何らひ るから、それに関しては間接強制の対象手段として多少なりとも役に立つように かの経緯・契機があるはずである。そし律 にならないのは当然であるし、他方の命思われる ( 注リ。 令に関しても、それに従うべく期待可能もっとも、本件確定判決に対する請求て、その経緯・契機は常に基準時後に存 なことは全て尽くしたのであるから間接異議訴訟につき、既に佐賀地判平成年在するから、この見解のように言ったの 月日判時 2264 号新頁は、環境アでは、その時々の事情の総合判断により 強制の対象にならなくともやむを得ない と考えれば、このような結論で何ら差しセスメントよって明らかになった事実関結論が下されるべき問題に関しては、前 支えないように思われる。しかし、司法係は本件確定判決の口頭弁論終結時に客記のような場合に既判力の遮断効は常に の判断が示されているのに自由な選択権観的には存在していた事実であるからそ働かないことになってしまう ( 注跚 ) 。 があるというのでは何か違和感を感じなの主張は既判力によって遮断されるとし論、この見解は、このようなことを認め いでもない。その場合には、後から示さて、その事実を考慮せずに請求棄却判決るところに真意を有するのではなく、誰 も環境アセスメントの手続を経なければ れた判断を優先し、これのみが間接強制を下している ( 現在、控訴中 ) 。 これに対しては、開門の当否は、現在当該事実を認識し得なかったことに着目 の対象になり得るとすべきであろうか ( 注。どう解すべきかは残された問題の状況の総合的判断 ( 開門を認めることしているのであろう。そうであれば、後 としておく。 による得失、認めないことによる得失の発後遺症事例などに関して言われている 現時点での総合的判断 ) によって判断さように、前訴での主張に期待可能性のな れるから、基準時前の事情と基準時後のかった事実には既判力の遮断効は及ばな 4 請求異議事由とその主張方法 いとの理論を認め ( 注邑、その適用とし 事情の総合判断により開門が相当と認め ①②決定のように考えるにせよ、私られるのであれば、基準時前の事情も既て、対策工事なしに開門すると各種の重 見のように考えるにせよ、諫早湾干拓地判力によって遮断されると考えるべきで大な被害が生ずるとの事実を請求異議事 由として認めてはどうであろうか ( 注 潮受堤防の本件各排水門の開放の可否をはないとの趣旨の指摘がある。そして、 めぐる紛争は解決しない。そこで、①②この見解は、ある事実が環境アセスメン 前記事実が請求異議事由となるとし 決定よ、リ、、 男途全体的に紛争を解決するトの手続を経て明らかになったというこ とは新事実であるから、総合判断の考慮た場合、次に、その主張は必ず請求異議 ための十分な努力が期待されるとしてい るが、政治的ないし行政的解決はもはや要素となるので、それと併せて基準時前訴訟による必要があるか、間接強制決定 不可能なほど本件紛争はこじれにこじれに存在した当該の明らかになった事実そのための手続においても可能かが問題と
平成年版犯罪白書で、性犯罪の発生において、矯正及び更生保護の段階にお 状況等動向分析を踏まえ、性犯罪の受刑 ける性犯罪者の再犯防止のために実施さ 者と保護観察対象者を中心にその実態及れている各種取租、諸外国における地域 び再犯状況等を分析し、平成年版犯罪社会での取組が紹介されている。 白書で、強姦を取り上げ、動向分析と出第 4 章においては、本企画のために行 所受刑者を対象とした川年間の再犯状況われた「特別調査」の結果の概要を紹介 等を分析した。その上で、それらを通しし、平成年版犯罪白書を踏まえて対象 て、性犯罪の受刑者の実態や再犯状況等者を類型化し、それらの特性、前科や再 についてある程度明らかにできたが、今 犯の内容等を分析することによって、性 年度は、前述の「再犯防止に向けた総合犯罪者の実態と、性犯罪再犯と関連する 対策」を意識し、性犯罪者の再犯防止対要因についても検討している 策の在り方の検討に資する資料を提供す るために、性犯罪者の特性、前科や再犯 三強姦罪の犯罪発生状況 の内容等について総合的に見ることで、 性犯罪者の実態をより一層明らかにする本特集の検討の前に、昭和年代から とともに、再犯と関連のある要因を探索の性犯罪の発生状況を、確認的に振り返 することが必要かっ有益であるとして企 っておく。その際まず強調すべきなの 強姦罪の場合、とりわけ少年が犯した 画されたと説明されている は、強姦罪は窃盗等と比較して認知件数件数の減少が著しい。 昭和鬨年代まで 具体的には、白書第 6 編において、「性の減少が著しいという点である。昭和 は、成人と少年の割合がほば等しかった 犯罪者の実態と再犯防止」と題し、性犯年代から鬨年代にかけて、毎年 6000 のが、現在は、少年が検挙される割合は 罪の動向、性犯罪者に対する再犯防止の件を超えていた認知件数 ( 昭和年は 6 成人の新 % 程度なのである ( 図 4 ) 。 取組の現状を紹介するとともに、性犯罪 858 件であった。 ) が、現在は、その それに対して、強制わいせつ罪は、第 についての再犯防止対策の前提となる性 5 分の 1 となった ( 平成年は 1250 二次大戦後の流れでみると、最近になっ 犯罪者の実態把握に資する基礎資料を提件。白書 211 頁参照。 ) ( 図 3 ) 。白書て増加した犯罪類型の代表例であり、強 供する。 219 頁も明らかにしているとおり、被姦罪と罪質が著しく異なるともいえる ます、第 2 章において、警察・検察、害発生率も減少してきている。その意味 ( 図 5 ) 。今後は、強制わいせつ罪を意識 裁判、矯正、更生保護の各段階におけるで、犯罪抑止のために対策が特に必要なした犯罪抑止政策、さらには刑事政策が 性犯罪の動向等を分析・紹介し、第 3 章犯罪類型ではないともいえるのである。要請されているといえよう。 数 件 知 一三 罪 姦 強 0 昭和 25 関平成 2 7 12 17 陸 法律のひろば 2016.1 ・ 18
不開示情報⑥ ( 判決書におけ ⑦不開示情報⑦ ( 判決書におけ上の事項に対する我が国の考え方 か明らかになり、当該明らかとな る不開示立ロ分 1 る不開示部分ー 1 ) 、 5 0 、貶及ひ 1 ) った考え方等との関係で、当該不 ア不開示情報の内容 ア不開示情報の内容 不開示情報⑥には、防衛省にお 不開示情報⑦には、情報保全に開示部分に記載されている他国等 ける「防衛秘密」が含まれる情報ついての他国との意見交換に関すとの信頼関係が損なわれるおそれ る我が国の方針・問題意識が記載がある。 の入手経路・伝達経路等の運用に されているものと推認することが 関し、現に存在する情報入手・伝 できる 達の経路が個別に取り上げられ、 当該経路に係る運用の実情が具体イ法定の不開示情報該当性 に言載されているものと推認す 不開示情報⑦が公にされること ることかできる。 により、当該国との相互の信頼に イ法定の不開示情報該当性 基づき保たれている正常な関係に 不開示情報⑥が公にされること支障を及ばすおそれがある により、防衛秘密の個別の伝達経 ⑧不開示情報⑧ ( 判決書におけ 路等に接近するなどして防衛省の る不開示部分 ) 職員から不正に防衛秘密の情報をア不開示情報の内容 入手しようとする他国機関等によ 不開示情報⑧には、情報保護協 定等によって他国から提供される る情報収集活動を容易ならしめ、 我が国の情報保全対策に対する妨情報のうち、我が国の特定秘密に 該当し得ると考えられる事項につ 害行為や現行の対策内容に応じた いて、特定の国名を挙げた上での 攻撃手法の実行等、情報漏洩の危 険性を高める事態を招くととも現実的に想定し得る事態の例示 に、我が国の安全保障に関する防や、これらについての我が国政府 衛秘密が含まれる情報を入手するの安全保障上の評価が記載されて いるものと推認することができ 際に他国機関等による妨害行為等 る。 が行われ、これらの情報を他国か ら入手することが困難になるな イ法定の不開示情報該当性 ど、我が国の安全が害されるおそ 不開示情報⑧が公にされること れがある により、個別・具体的な安全保障 79 ・法律のひろば 2016.1
2 なった痴漢事犯者の再犯率の高さ等の結親族のもとや更生保護施設等 ) の者と比用していただきたい。 果も踏まえて、よりその問題性に焦点をべて・ 7 は高かった。生活環境の調整 0 当てた指導の実施方法等について検討すに当たっては、早い時期から、対象者を ( 注 ) ( 1 ) 内閣府が平成幻年に実施した「治安に関する特別 ることが望まれる。 取り巻く家族の状況等を見極めながら、 ろ 世論調査」によると、「自分や身近な人が被害に遭うかひ 受入体制を整備し、仮釈放につなげるこ の もしれないと不安になる犯罪」として、「痴漢や強制わ律 性犯罪者特有の問題性に対する効果と、社会における監督者の指導力を高め 法 いせつなどの性的犯罪」を挙げた者の割合は、平成年 的な処遇 ること、更には、継続的かっ長期的に、 の・ 2 % から、平成年には 1 3 ・ 3 % に上昇した。 平成年度から導入されている処遇プ対象者やその監督者に対して支援を行う ( 2 ) 性犯罪者について、個々の再犯リスクを適切に把 ログラムによる指導が必要な者に対してことができる機関や団体等につなげるこ 握し、刑務所等収容中から出所等後まで一貫性のある できるだけ幅広く実施することと、処遇となどが重要である。さらに、就労先の 処遇プログラム等により、効果的な指導や支援を実施 することが求められている プログラムの効果を上げるための一方策確保から就職後の職場定着までの過程に ( 3 ) 再犯者とは、前に道路交通法違反を除く犯罪によ である指導者の技術のより一層の向上がおける支援や指導も必要である。 り検挙されたことがあり、再び検挙された者をいい、 望まれる。 再犯者率とは、検挙人員に占める再犯者の人員の比率 」い、つ 四おわりに ③総合的な働き掛けの重要性 ( 4 ) 有前科者とは、道路交通法違反を除く犯罪による 今回の特別調査を通して、性犯罪者に 今回の特別調査では、性犯罪者の実態 前科を有する者をいい、有前科者率とは、成人による は、性犯罪のみを繰り返す傾向がある者を明らかにするために、基本的属性、前 一般刑法犯検挙人員に占める有前科者の人員の比率を もいれば、性犯罪以外の犯罪に及んでい 科のみならず、執行猶予者は 5 年、出所 し、つ る者もいることが明らかになった。そこ 受刑者は平均約 3 年を再犯可能期間とし ( 5 ) 再入者率とは、入所受刑者人員に占める再入者の 人員の比率をいう。 で、性非行・性犯罪に特有な問題性に対て、その間における再犯の有無、再犯の ( 6 ) 再犯可能期間とは、再犯が可能であった期間をい する働き掛けだけでなく、非行・犯罪一内容等についても調査分析した。出所受 い、出所受刑者については、調査対象事件の裁判確定 般に対する働き掛けも必要である。ま刑者について、再犯可能期間を十分に確 から 5 年経過時点までの期間から、刑事施設における た、強姦、強制わいせつの満期釈放者の保できなかったなどの限界はあったもの 受刑期間を減じた日数をいう。 帰住先を見ると、共に約 4 割の者が、適の、性犯罪者の多様な特性や問題性につ ( 7 ) 双方受講群 ( 仮釈放者 ) 、双方非受講群 ( 仮釈放者 ) 当な帰住先がない「その他」である。さ いてある程度明らかにすることができた 及び双方非受講群 ( 満期釈放者 ) の各群に属する個々 らに、特別調査において、満期釈放者のと考える。なお、誌面の都合上、本白書 の対象者には、処遇プログラム受講の有無以外にも再 帰住先別の再犯率を見ると、「その他」 の内容の一部にとどまったため、性犯罪 犯と関連する要因においてそもそも差異がある可能性 を排除できない。 の者は、帰住先が「親族等」 ( 帰住先が者の理解の一助として、本白書を是非活 ( はしもと・よ、つこ )
特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書の概要 に未婚であること」に該当する者が、該釈放者 ) 」という。 ) 、②刑事施設及び保や問題性を基に、本白書において述べた 当しない者と比べて性犯罪再犯率が高か護観察所のいずれにおいてもプログラム対策の概要を紹介する。 った。また、執行猶予者では、「初回のを受講していない者のうち、仮釈放で出 初期対応の重要性 性非行・性犯罪時の年齢が四歳以下であ所した者 ( 以下「双方非受講群 ( 仮釈放 ること」、出所受刑者では、「犯行時に無者 ) 」という。 ) 、③刑事施設及び保護観ア少年、若年者、初入者 今回の特別調査の対象者が初めて性非 職であること」、「公然わいせつによる前察所のいずれにおいてもプログラムを受 科のあること」、「犯行時に執行猶予中等講していない者のうち、満期釈放で出所行・性犯罪に及んだ年齢を見ると、四歳 であることに該当する者が、該当しなした者 ( 以下「双方非受講群 ( 満期釈放以下の者の割合は約 5 割であった。特に い者と比べて性犯罪再犯率が高かった。者 ) 」という。 ) を設定し、再犯率を比較複数回の性犯罪前科のある者では、その 一方、執行猶予者、出所受刑者の両方した。出所受刑者のうち、双方受講群 ( 仮割合が約 7 割を占める。また、少年によ 人、双方非受講群 ( 仮る強制わいせつの検挙人員が増加傾向に において、該当する数が少数であること釈放者 ) は 120 もあり、「被害者に男児を含むこと」、「被釈放者 ) は人、双方非受講群 ( 満期釈あることや強制わいせつの少年の 3 割強 害者に歳未満の者を含むこと」につい放者 ) は 247 人であった。 1095 日が保護観察に付されることなどを踏ま ては、性犯罪再犯との明確な関連は認め経過 ( 調査終了 ) 時点において、再犯状え、少年の保護観察対象者に対しても、 られなかった。 況を見ると、双方受講群は 120 人中川処遇プログラムの知見や技法を活用する 人、双方非受講群 ( 仮釈放者 ) は人中ことが望まれる イ痴漢事犯者 人、双方非受講群 ( 満期釈放者 ) は 2 処遇プログラムの受講と再犯状況 痴漢行為により懲役刑の実刑に処せら 47 人中人がいずれかの罪名の再犯に 出所受刑者について、法務省矯正局か ら提供を受けた刑事施設における性犯罪及んでいた。性犯罪の再犯状況を見るれた者の大多数は、それまでに複数回の 再犯防止指導の実施結果と法務省保護局と、双方受講群は 120 人中 6 人、双方罰金、執行猶予の処分を受けているにも から提供を受けた保護観察所における性非受講群 ( 仮釈放者 ) は人中川人、双かかわらず痴漢行為を繰り返しているこ 犯罪者処遇プログラムのうちのコア・プ方非受講群 ( 満期釈放者 ) は 247 人中とが明らかになった。また、平成年に、 法務省矯正局が公表した「刑事施設にお ログラムの実施結果を基に、処遇プログ人であった ( 注 7 ) 。 ける性犯罪者処遇プログラム受講者の再 ラムの受講の有無及び再犯状況について 犯等に関する分析」の中で、痴漢事犯者ろ 分析した。処遇プログラムの受講の有 4 性犯罪者に対する再犯防止策 に対する処遇プログラムは、明確な効果の 及び出所事由に着目し、三つの群、①刑 法 今回の動向調査及び特別調査の結果かを確認するまでには至らなかったことが 事施設及び保護観察所の双方のプログラ ムを受講した者 ( 以下「双方受講群 ( 仮ら明らかになった性犯罪者の多様な特性言及された。今回の調査からも明らかに
り、窃盗や覚せい剤取締法違反ほど高くした。加えて、性犯罪前科のある者に着行時 ( 調査対象事件中の性犯罪の犯行時鮖 ないものの、殺人や強盗よりは高い。ま目して、性犯罪前科に係る事件の概要及をいい、 ; 調査対象事件に複数の性犯罪が 複数ある場合には最初の性犯罪の犯行時をい た、強姦、強制わいせつ共に、出所受刑び裁判内容等に関する調査を行い、 者総数と比べると、満期釈放者及び仮釈回の性犯罪を行った者の特徴を明らかに う。なお、犯行時が不明である場合には、 ろ 放者のいずれにおいても、 5 年以内累積した。 検挙時をいう。以下同じ。 ) の年齢層別の 再入率及び川年以内累積再入率は低い。 なお、特別調査で取り扱った性犯罪と人員を見ると、四歳以下が 6 3 3 人 強姦、強制わいせつ共に、保護観察終は、強姦 ( 強姦致死傷、準強姦、準強姦 ( 肪 5 歳が 569 人 ( 引 り、 0 了時に無職であった者は、有職であった致死傷、集団強姦、集団強姦致死傷、集 8 グ ) 4 ・、・ 4 ~ 成か 2 9 7 5 ・、・ 6 ~ 戚か 225 者と比べて、取消・再処分率は高い。 団準強姦及び集団準強姦致死傷を含 % ) 、 人 ( む。 ) 、強制わいせつ ( 強制わいせつ致死歳以上が人 ( 3 ・ 7 % ) であった。 傷、準強制わいせつ及び準強制わいせつまた少年は鬨人であった。全対象者の平 三特別調査 5 歳であり、最年少は新 致死傷を含む。 ) 、わいせつ目的略取誘均年齢は・ 法務総合研究所においては、性犯罪者拐、強盗強姦 ( 強盗強姦致死を含む。 ) 歳、最高齢は新歳であった。 の実態や再犯状況等を明らかにし、性犯及び都道府県のいわゆる迷惑防止条例でイ調査対象事件の概要 罪者に対する効果的な指導及び支援の在禁止されている痴漢、盗撮等 ( 以下「条⑦罪名 、「性犯罪者」 り方の検討に役立てるため、性犯罪を含例違反」という。 ) をいし 全対象者について、調査対象事件中の む事件で懲役刑の有罪判決を受け、平成とは、確定判決の罪名に性犯罪が含まれ性犯罪 ( 複数の異なる性犯罪の罪名が認 年 7 月 1 日から幻年 6 月日までに裁る者をいう。また、「性非行」は、これ定されている場合、そのうち法定刑の最 に準ずる。 も重いものに計上している。 ) の罪名別 判が確定した者 ( 以下「全対象者ーとい う。 ) を対象として特別調査を行った上 人員を見ると、強制わいせつ ( わいせつ で、それらの者の調査対象事件 ( 裁判が 目的略取誘拐を含む。以下同じ。 ) が 8 全対象者調査及び受刑者調査の 確定した事件をいう。以下同じ。 ) 中の 56 人 ( 町 ・ 8 % ) 、強姦 ( 強盗強姦を 結果 性犯罪の罪名、被害者の年齢等に着目し 含む。以下同じ。 ) が 5 4 2 人 ( 全対象者調査 % ) 、条例違反が 3 9 3 人 ( 幻 た類型化を行い、 類型ごとの分析を通し であった。なお、強盗強姦は人 ( 3 てその特徴を見た。さらに、裁判確定かア基本的属性 ら 5 年が経過した時点における再犯の有全対象者 1791 人の、っち、男子か 1 5 % ) 、わいせつ目的略取誘拐は 9 人 7 8 8 人 ( 四・ 8 % ) 、女子が 3 人 ( 0 ( 0 ・ 5 % ) であった。 無及び再犯の内容等に関する調査を行、つ 裁判内容 とともに、再犯に関連する要因等を分析 2 % ) であった。全対象者について、犯
<LO 判 行政去 、冫三八 0 〇円 送 録髙木光著 初学者むけに、基本事項を説明。行政救済法を中 目 、いに、行政組織法と行政作用法の関連事項にしばって叙述する 書 図 <ID 判 一七〇〇円 新基本民法 6 不法行為編 大村敦志著◎法定債権の法事務管理・不当利得・不法行為を 扱う。「救済 ( あるいは責任 ) の法」としての再構成を試みる。 <LO 判 、冫四 00 〇円 刑事訴訟去 酒巻匡著法学教室連載「刑事手続法を学ぶ」に大幅加筆。 刑事手続諸制度の趣旨・目的と、法解釈論の筋道を丁寧に解説。 <IO 判 四〇 00 円 独占禁止法概説第 5 版 根岸哲・舟田正之著独禁法の運用実態を明らかにするオー ソドックスな概説書。審判制度廃止にかかる平成年改正対応。 〔別冊ジュリスト〕 ニ八 0 〇円 民事訴訟法判例百選第 5 版 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編民事訴訟法の理解に不可欠 な最重要判例を精選、簡潔・的確に解説した決定版。 〔ジュリストブックス〕 & 番号法 一ニ〇〇円 格水町雅子著立案担当者が、導入の意義、個 & 一 ~ 緬の人番号が利用される事務、個人番号を利用す 、「る際の規制等の疑問に & < 方式で答える。 閣 斐番号法の逐条解説 = 九 マ宇賀克也著 国・地方公共団体や企業、国民 全体に大きな影響をあたえる個人番号。番号一を一一 法を、情報法研究の第一人者が正確に解説。 〒 101 51 東京都千代田区神田神保町 2-17 / TeI:03-3265-6811 http://www.yuh i kaku. co. jp/ 出片内 ◆最新刊 ( 0 法人・制度体・国家 < 5 上製 / 4 5 8 頁 / 9 0 0 0 円 時本義昭著 す 前著『国民主権と法人理論』で扱ったカレ・ド・マルべールの対 去」 0 極に位置するオーリウの法理論と法的国家論を法人理論により 抜 >< 税分析。フランス第三共和制下憲法理論のもう一つの側面を抽出。 二元的犯罪論序説 0 刑事事実認定の基本問題 <LO 上製 / 574 頁 / 4500 円 新 c 木谷明編著 都 「取調べの全面可視化」制度の導入により従来の手法が大きく変 京 容すると予想される現在、第一線の刑事裁判実務家が刑事事実 認定の重要問題を鋭く論じる。法曹を志す人々にも最適の一冊。 0 創生期のアメリカ少年司法 ・ c-D ・タネンハウス原著石川正興監訳 <LO 並製 / 264 頁 / 3950 円 社会は、どのようにすれば、悪に手を染めた若者を公平で、人 道的で、かっ正義に適っていると一瞥して分かるやり方で取り 扱うことができるのか。世界初の少年裁判所の歴史を紐解く。 文◆好評書 成刑事法ジャ 1 ナル第背 並製 / 168 頁 / 2000 円 〔特集・性犯罪規定の比較法的研究〕仲道祐樹・イギリスの性犯罪規 定 / 樋口亮介・アメリカの性犯罪規定 / 和田俊憲・カナダの性犯罪規 定 / 佐藤陽子・ドイツの性犯罪規定 / 深町晋也・スイスの性犯罪規定 / 金塚彩乃・フランスの性犯罪規定 / 嶋矢貴之・旧刑法期の性犯罪規 定 / 刑事比較法研究グループ・比較法からみた日本の性犯罪規定 四六上製 / 118 頁 / 2500 円 鈴木茂嗣著 犯罪論における性質論と認識論の峻別を体系的に位置づけ、刑 法学と刑事訴訟法学の役割分担を明らかにする。著者年来の主 張である「二元的犯罪論」の骨子を示そうとするもの。
ほか、②事件で問題とされているのは作効力の相対性を指摘するのは、⑤⑥決定条件とせずに開門を命じたのであろう。 為債務ではなく不作為債務であって、そと同様である。また、①②決定は、執行ところが、その後の平成年 8 月幻日に の性質上自己の意思のみで履行すること裁判所の立場 ( 実体的な問題に関する判公表された環境アセスメントの結果によ 5 が可能な債務であるという。抗告審の⑥断権限 ) にも言及した上で、法律上の要り、対策工事を実施しないで開門する ろ 決定も、同趣旨の理由を述べている。 件が満たされていれば間接強制決定をすと、農業、漁業だけでなく、地域住民のひ 最高裁の①決定は、の負う債務はべきとしているが、これは、執行裁判所生命・身体・財産に重大な影響が生ずる律 それ自体性質上その意思のみで履行でき として間接強制の基礎となる判決・決定ことが明らかになった。すなわち、これ るものであり、そのことは仮処分決定のの当初からの当否の判断をしないだけで により、開門を求める権利は従来の対策 存在によって左右されないとし、③決定なく、その後に判明した事情や生じた事工事を条件としないものからそれを条件 とは異なって、なお一定の措置をとる余実を含めて実体上の法律状態の判断をしとしたものへと変化した ( 又は、そもそ 地があるなどとい、つことには一言及してい 直すこともしないということも示唆しても前者は存在せず後者のみが存在すると ない。これが何を意味しているかについ いるように見える ( ただし、断言はでき い、つことか判明した ) とい、つべきことに ては後述のような理解もあり得るが、②ない。 ) 。 なった。これは請求異議事由となる可能 決定が不作為債務であれば当然に債務者 性のある事情であるが、請求異議事由は の意思のみで履行できる債務に該当する 間接強制の手続では考慮しないとすれ 各裁判所の判断の検討 としているように見えることや、①事件 ば、対策工事に地元関係者の協力・同意 における第一審以来の議論の流れからす ①事件の事案においては、終始、対が得られないことは、本件確定判決に表 ると、最高裁は、間接強制によって実現策工事が問題になっているが、それが有示された対策工事を条件としない開門を されるべき債務の性質が仮処分決定の存する意味は途中で大きく変化しているよ求める権利の間接強制には関係がない。 在以外の何らかの事情によって左右されうに見える。すなわち、本件確定判決のこの限度で、①決定の結論には賛成する たり、変化する余地があるということは 段階では、本件潮受堤防の果たしていることができる ( 注四。 なく、債務者の意思のみで履行できるか洪水時の防災機能及び排水不良の改善機これに対し、本件仮処分があっても、 否かの判断は債務の抽象的な性質のみに 能等を代替するための工事であるとされ対策工事を条件としない開門を求める権 よって決定されるべきものであり、債務ており、これがあれば、防災上やむを得 利の存在・態様に変化はないから、請求 名義外の当該事案の具体的事情などは関ないとして本件各排水門を閉じなければ異議ではなく、本原則の適用が問題とさ 係ないという立場に立っているように見ならない場合が少なくて済む ( いわば、 れなければならない ( 注リ。そして、先 える。要するに、①②決定は④決定の立ないよりあった方がよい ) という程度の に述べたように、一般論として、本原則 場に同調しているのであろう。 ものと認識されていたようである。それの適用の基準は債務者において第三者の これに対し、①②決定が判決や決定の故にこそ、本件確定判決は、対策工事を協力等を得るために期待できることを全