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検索対象: 法律のひろば 2016年1月号
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1. 法律のひろば 2016年1月号

く。 ) について、被害者と被疑 6 8 数者の関係別構成比の推移 ( 最近 降年間 ) を見ると、強姦、強制 推年 わいせつ共に、被害者が「親族」 及び「面識あり」の割合が上昇の 傾向にあり、平成年は 7 年と法 比べて、強姦では・ 元行挙 制わいせつでは四 ・ 7 は上昇し 法検 ている ( 図 3 。本白書の 6 ー 2 ー 成分 を平成年の強姦、強制わいせ つにおける被害者の年齢層別構 。歳知 。机成比において、未成年者の割合 る殀 一三 ・ 5 % 、女子を よ公は、強姦では鬨 訊っ被害者とする強制わいせつでは 統以 ⅱ挙統せ の年 的・ 2 % 、男子を被害者とする ~ な 0 庁わ ・ 0 % であ 察制た強制わいせつでは 1 警強し 0 和 示る。 1 0 和 1 つ」 昭 1 2 認知件数・検挙件数・検挙人員 認知件数・検挙件数・検挙人員 検察・裁判 間 ) の推移を見ると、歳代、歳代のはⅡ人から 215 人に増加した。 平成年の起訴率は、強姦・ 2 % 、 割合が、一貫して約 556 割を占めてい 強姦、強制わいせつの認知件数の発生強制わいせつ菊・ 8 % であった。同年の るが、少年の割合は低下傾向にあり、平場所は、強姦では、住宅の割合が約 5 割起訴猶予率は、強姦間・ 4 % 、強制わい 成年は、昭和年と比べると、強姦でであるが、強制わいせつでは、屋外の割せつ 9 ・ 9 % と、一般刑法犯全体の起訴 は 2 分の 1 以下、強制わいせつでは約 3 合が 5 割を超えている。 猶予率 ( ・ 6 % ) と比べて顕著に低い。 分の 1 であった。一方、平成年の高齢強姦、強制わいせつの検挙件数 ( 捜査平成年の強姦、強制わいせつの科刑 者の検挙人員は、昭和礙年と比べて、強の結果、犯罪が成立しないこと又は訴訟状況を見ると、執行猶予率は、通常第一 姦では 3 人から人に、強制わいせつで条件を欠くことが確認された事件を除審における終局処理人員総数 ( 図 1 強姦認知件数・検挙件数・検挙人員・検挙率の推移 ( 昭和 21 年 ~ 平成 26 年 ) 100 88.0 ( 千人 ) ( 千件 ) 検挙率 検挙件数 認知件数 1 , 250 1 , 100 919 検挙人員 ( 千人 ) ( 千件 ) 検挙率 認知件数 4 , 300 2 , 602 20 検挙件数 図 ) 。

2. 法律のひろば 2016年1月号

ろ ひ の 律 法 として、①捜査実務修習では、①検事の実際の取調べの様 法研修所では、平成年肥月、第期司法修習生に 一口 対する導入修習を実施した。導入修習は、修習生に子を録音・録画したを修習生に視聴させ、検察の取 知識や能力の不足を気付かせ、自学自修を促すことに加組状況を理解させた例、②目撃者役の修習生に検察事務官 え、分野別実務修習への橋渡しが目的とされ、その概要を犯人役とする犯行を目撃させ、これを見ていない他の修 は、本誌平成年 6 月号のひろば時論で紹介したところで習生に目撃者役の修習生の取調べをさせるなどして、事実 ある。そこで、本稿では、司法修習生指導担当検事協議会聴取能力の涵養を図った例等がある。なお、修習させる事 等における同修習生を迎え入れた各検察庁の反応を紹介す件は、進行中の事件が原則であるが、事実認定上、法律適 るとともに、各庁で実施している分野別実務修習を充実さ用上の問題点の多い確定事件記録の検討を行わせることに より、問題点の把握及び解決能力を身に付けさせることも せるための工夫例を紹介することとしたい。 の まず、導入修習に対する各庁の反応として、各庁から有用であり、例えば、送致段階の記録を検討させて、模擬 は、これまで実施していた講義を減らすなどしてより早期の弁解録取手続を実施したり、勾留の要否を検討させるな 攵彡 に捜査公判実務修習を開始することができた、事案の全体ど、より実践的な指導を行った例もある。②公判実務修習 攵カ像の把握ができている修習生が多く、事件処理も円滑に進では、検察官がどのような準備をして公判に臨んでいるの んだとの声が聞かれ、導入修習が検察実務修習への橋渡しか、当該訴訟活動の意図・目的がどこにあったのか等を正 確に理解させるため、刑事裁判実務修習とは異なった観点 として有効に機能しているとの意見が大勢であった。 実 次に、各庁の工夫例として、検察においては、平成年からの指導が必要であり、具体的には、①裁判員裁判のリ び ーサルに立ち会わせ、冒頭陳述や論告について意見を述 3 月、「検察における分野別実務修習のガイドラインにつ 及 いて」が発出されており、これによると、①捜査実務修習べさせた例、②控訴審査に同席させ、控訴の要否及びその について、少なくとも 3 件の具体的な事件の捜査実務修習具体的な理由について意見を述べさせた例等がある 果 以上の取組の成果については、期司法修習の結果を踏 を行わせるように努め、指導内容として、事案の真相解明 成 のための捜査方針の検討、捜査の体験、終局処分の在り方まえて検討する必要があるが、修習を充実させることは、 の の検討等を行わせること、②公判実務修習について、少なプロフェッションとしての法曹を確保するために必要不可 くとも 1 件の具体的な事件の公判実務修習を行わせ、指導欠であることから、司法研修所では、各庁からの意見を踏 論攵彡内容として、証拠整理・証拠開示、裁判所提出書面の起まえ、より発展・充実した導入修習の実施を目指してい 十イ る 案、公判準備への立会い等を行わせることとされている ( 司研 ) その具体的な内容については、各庁とも、従来から各種 ろ導 0 工夫をして〔るが、ガイドライ、一に基づく更なる工夫例

3. 法律のひろば 2016年1月号

特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書の概要 について、統計資料に基づき概観し、分 ′′析した。 発生状況及び処理状況 検挙 法務総合研究所研究部総括研究官橋本洋「十 強姦の認知件数は、昭和年に戦後最 再犯状況等を分析し、年版犯罪白書多の 6857 件を記録した後、減少傾向 一はじめに にあったが、′ 平成 9 年から増加傾向を示 で、重大な犯罪の一つとして強姦を取り 平成年版犯罪白書 ( 以下「本白書 , 上げ、動向分析と出所受刑者を対象としし、年には 2472 件となった。その 後は減少傾向にあり、年は、 1250 という。 ) は、「性犯罪者の実態と再犯防た川年間の再犯状況等を分析した。 止。と題する特集を組んだ。特集テーマ本白書では、前記総合対策の要請を受件であった。同年の検挙件数、検挙人員 も前年より減少した ( 図 1 。本白書の 6 け、性犯罪の動向分析を行うとともに、 に性犯罪を取り上げたのは、性犯罪が、 国民が身近に不安を感じる社会的関心の性犯罪者を類型化し、類型ごとの特性、 強制わいせつの認知件数は、昭和年 高い犯罪の一つである ( 注 1 ) ことに加前科、再犯の内容等を見ることを通し え、平成年 7 月に犯罪対策閣僚会議がて、性犯罪者に対する指導や支援の在りから礙年までなだらかな減少傾向にあっ たところ、年以降は増加傾向にあり、 決定した「再犯防止に向けた総合対策」方を検討することや、性犯罪再犯につな 特に平成Ⅱ年から急増し、年に最多の において、「性犯罪者に対する指導及びがる要因を探る試みなどを行った。 支援」が再犯防止の重点施策として掲げ本稿では、特集部分の第 2 章 ( 性犯罪 1 万四件を記録した。その後、幻年まで られている ( 注 2 ) ことから、性犯罪者のの動向 ) 及び第 4 章 ( 特別調査 ) の概要を減少し続けた後、年から増加傾向にあ ったものの、年は前年より減少し、 7 実態や再犯状況を分析し、性犯罪者によ紹介する。なお、本稿中、意見や評価に 400 件であった。昭和れ年以降長期的 る再犯を防止するための対策について検わたる部分は筆者の個人的見解である。 に見れば増加傾向を示している。平成 討することは、再犯防止の充実を図ると 年の検挙件数、検挙人員は、いずれも昭 いう観点から有意義であると考えたこと 一一性犯罪の動向 による 和れ年以降で最多であった ( 図 2 。本白ろ の 性犯罪に関しては、平成年版犯罪白本白書の第 6 編第 2 章では、検挙から書の 6 ー 2 ー 1 ー 2 図 ) 。 律 法 書で、動向分析のほか、性犯罪の受刑者更生保護に至る各段階における性犯罪強姦、強制わいせつの検挙人員につい と保護観察対象者を中心にその実態及び ( 主として強姦、強制わいせつ ) の動向て、犯行時の年齢層別構成比 ( 最近年お 性犯罪者の実態と再犯防止 ー平成年版犯罪白書の概要 2 1 1 図 ) 。

4. 法律のひろば 2016年1月号

り、いずれも過去川年を経て、 4 分の 3 も表れている。平成幻年には 3 0 8 7 人ない空間 ( 治療施設や自助グループ施に ほどに減少している。これら暴力団関係にまで増加した数字が、平成年には 1 設 ) や、社会内処遇にかける時間の必要 者の検挙人員も、減少傾向にあるが、昔 813 人という状況であるが、なお撲滅性を痛感する。薬物情報もあり、ストレ ながらの賭博関係や薬物事犯、恐喝事件できたとは言い難い。それどころか、指スも高く、誘惑も生じる社会内でこそ、 ろ に占める暴力団関係者の比率は低くはな定薬物に化学構造を似せて製造され、同薬物離脱指導の効果も上昇するものであの 律 法 4 ・ 1 % 、覚せ様の薬理作用を有するドラッグが蔓延しろう。 ( 賭博・ 8 % 、恐喝 4 ハ 1 プなどの吸引による深刻な事件 い剤取締法・ 3 % など ) 。しかも、平て、 成年から暴力団対立抗争事件が頻発しが発生すると、一挙に社会問題化した。 5 高齢犯罪者 ており、平成 % 年には件が記録されていわゆる「危険ドラッグ」への対策は、 いる。山口組の分裂騒動が抗争事件を激薬事法から新たな「医薬品医療機器等高齢犯罪者の問題は、年々高まってい 法ーの整備・施行 ( 平成 % 年月 ) へとる。一般刑法犯検挙人員の推移を見て 化させる状況にあることが懸念される。 も、歳以上の高齢犯罪者群が他の 矯正においては、暴力団関係者の入所進展したこととも相まって、危険ドラッ 受刑者は、平成年を頂点に ( 4612 グに関する犯罪の検挙人員は、急増して代、代、鬨代、浦代を抜いて、トップ いる に躍り出た ( 4 万 7 2 5 2 人 ) 。この 人 ) 減少している ( 平成年には 175 1 人 ) 。そこでは、 500 人を超える暴薬物乱用者への処理・処遇を見ると、年の間に、 4 倍ほどの増加を示したこと ( 覚せい剤取締法違反・ になる。殺人、強盗、暴行、傷害、窃盗 力団関係者に暴力団離脱指導が行われて起訴率は高く など主要な罪名ごとに見ても、その増加 いるものの、その成果はなかなか見えに 4 % ) 、覚せい剤事犯者の入所受刑者は、 平成川年代以降 6 0 0 0 人から 7 0 0 0 傾向がはっきりと分かる。もっとも、検 人の間に定着している ( 平成 % 年には 6 察段階における起訴猶予の処理は、他の 016 人 ) 。入所受刑者総数に占める比世代に比較して高い ( 窃盗では、全世代 4 薬物犯罪者 率も ・ 5 % と高率である。またその再で贏・ 0 % に対し、 ・ 5 % である。 ) 。 覚せい剤取締法違反検挙人員の推移を入者率は、著しく高い ( 男子間・ 3 % 、高齢ゆえの配慮か、再犯の危険性が低い 見ると、平成川年前後の 2 万人ほどの数女子・ 3 % ) 。行刑施設では、薬物離とする判断からか、比較的温和な対応を 字から平成幻年には 1 万 1873 人に減脱指導がほとんどの該当者に講じられるしているものと思われる。しかしそれで も、刑務所に入所する高齢者は、ますま 少し、その後もほば横ばい傾向にある ( 平にしても、懲役受刑者であることから、 成年には 1 万 1148 人 ) 。しかし覚刑務作業に拘東される。徹底した薬物回す増加している。平成 3 年版犯罪白書 が、高齢化社会の到来に際し、「高齢化 せい剤は、まだなお蔓延している。この避のための技法を修得することを含めた 社会と犯罪」と題する特集を編んで、こ 点は、大麻取締法違反検挙人員の推移に薬物離脱教育は期待できず、刑務所では

5. 法律のひろば 2016年1月号

特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 平成 27 年版犯罪白書を読んで一性犯罪者の実態と再犯防止 の減少の中での謙抑的刑事司法運用の流が著しく高く、半数以上を少年が占めた含めた警察政策全体の中でのウェートの れが生じるのは、ある意味で当然といえ時期すらあった。昭和の時代の犯罪の増置き方の、微妙な変化が生じる可能性は よ、つ 加は、少年犯罪の増加によってもたらさある 幵れたといっても、あながち的外れではな なお、白書の「認知件数の減少は、リ 、。警察の少年犯罪への体制・組織も、 法犯の過半数を占める窃盗の認知件数が ニ「性犯罪再犯防止」という 大幅に減少し始めたことに伴っている」それに応じて変化してきた。ところが、 特集の位置づけ という表現も、間違ってはいないが、誤検挙人員中の少年の割合は、平成年に 一立口に は、 2 割を切ったのである。今後これ以平成年に犯罪対策閣僚会議が策定し 解を招く面がないわけではない。 た「再犯防止に向けた総合対策」におい 例外のあるものの、刑法犯全体が減少し上の減少は考えにくいかもしれないが、 たのである。殺人罪の認知も 790 件 ( 平この程度の割合であるとすると、予算をて、再犯防止のための重点施策として性 犯罪者に対する施策が掲げられた。具体 成Ⅱ年 ) から 274 件 ( 平成年 ) に簡 的には、個々の性犯罪者再犯リスクを適 % 減少し、強盗罪 ( 含強盗致死傷罪 ) も、 切に把握し、刑務所等収容中から出所等 18 2 7 件 ( 平成年 ) から 7 9 9 件 ( 平 後まで一貫性のある性犯罪者処遇プログ 成年 ) に % 減少したのである。強姦 ラム等により効果的な指導や支援を実施 罪も 2 4 7 2 件 ( 平成年 ) から 12 5 し、特に、小児を対象とした性犯罪者、 0 件 ( 平成年 ) に半減した。 性犯罪又は性犯罪と密接な関連を有する この犯罪の統計上の減少傾向は、ほば 員 他の犯罪を累行する者等、性犯罪リスク 同様な形で少年犯罪についてもみられ人 挙 の高い刑務所出所者等に対して新たな再 る。刑法犯検挙人員をみると、少年の場 検 り 犯防止対策を検討することを要請してい 合、 17 4 8 ( 平成年 ) から、 6 7 0 ・ 当 る。これは、平成新年Ⅱ月に発生し国民 ( 平成年 ) と約 3 分の 1 になった。 人 に大きな動揺を与えた、いわゆる奈良県 そして、同時期の成人の検挙人員の減少昉 ロ 女児誘拐殺人事件を契機として、年に が、 % 未満であるという点を考慮する 人 法務省矯正局と保護局が共同して性犯罪 と、最近の犯罪の減少の主役は少年であ 法 者処遇プログラム研究会を立ち上げ、ろ るとすらいえよう ( 図 2 ) 。 年度から性犯罪再犯防止指導を特別改善の そして、犯罪検挙者の中での少年の割般 指導の一つとして実施してきたことを受法 合も、著しく減少してきている。治安の 0 和 けたものである。 悪化が叫ばれた時期は、少年犯罪の割合 こ 2000 H15 1748 1500 1000 少年 ーー←ー - 成人 670.8 500 229

6. 法律のひろば 2016年1月号

平成年版犯罪白書で、性犯罪の発生において、矯正及び更生保護の段階にお 状況等動向分析を踏まえ、性犯罪の受刑 ける性犯罪者の再犯防止のために実施さ 者と保護観察対象者を中心にその実態及れている各種取租、諸外国における地域 び再犯状況等を分析し、平成年版犯罪社会での取組が紹介されている。 白書で、強姦を取り上げ、動向分析と出第 4 章においては、本企画のために行 所受刑者を対象とした川年間の再犯状況われた「特別調査」の結果の概要を紹介 等を分析した。その上で、それらを通しし、平成年版犯罪白書を踏まえて対象 て、性犯罪の受刑者の実態や再犯状況等者を類型化し、それらの特性、前科や再 についてある程度明らかにできたが、今 犯の内容等を分析することによって、性 年度は、前述の「再犯防止に向けた総合犯罪者の実態と、性犯罪再犯と関連する 対策」を意識し、性犯罪者の再犯防止対要因についても検討している 策の在り方の検討に資する資料を提供す るために、性犯罪者の特性、前科や再犯 三強姦罪の犯罪発生状況 の内容等について総合的に見ることで、 性犯罪者の実態をより一層明らかにする本特集の検討の前に、昭和年代から とともに、再犯と関連のある要因を探索の性犯罪の発生状況を、確認的に振り返 することが必要かっ有益であるとして企 っておく。その際まず強調すべきなの 強姦罪の場合、とりわけ少年が犯した 画されたと説明されている は、強姦罪は窃盗等と比較して認知件数件数の減少が著しい。 昭和鬨年代まで 具体的には、白書第 6 編において、「性の減少が著しいという点である。昭和 は、成人と少年の割合がほば等しかった 犯罪者の実態と再犯防止」と題し、性犯年代から鬨年代にかけて、毎年 6000 のが、現在は、少年が検挙される割合は 罪の動向、性犯罪者に対する再犯防止の件を超えていた認知件数 ( 昭和年は 6 成人の新 % 程度なのである ( 図 4 ) 。 取組の現状を紹介するとともに、性犯罪 858 件であった。 ) が、現在は、その それに対して、強制わいせつ罪は、第 についての再犯防止対策の前提となる性 5 分の 1 となった ( 平成年は 1250 二次大戦後の流れでみると、最近になっ 犯罪者の実態把握に資する基礎資料を提件。白書 211 頁参照。 ) ( 図 3 ) 。白書て増加した犯罪類型の代表例であり、強 供する。 219 頁も明らかにしているとおり、被姦罪と罪質が著しく異なるともいえる ます、第 2 章において、警察・検察、害発生率も減少してきている。その意味 ( 図 5 ) 。今後は、強制わいせつ罪を意識 裁判、矯正、更生保護の各段階におけるで、犯罪抑止のために対策が特に必要なした犯罪抑止政策、さらには刑事政策が 性犯罪の動向等を分析・紹介し、第 3 章犯罪類型ではないともいえるのである。要請されているといえよう。 数 件 知 一三 罪 姦 強 0 昭和 25 関平成 2 7 12 17 陸 法律のひろば 2016.1 ・ 18

7. 法律のひろば 2016年1月号

特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 平成 27 年版犯罪白書を読んで一性犯罪者の実態と再犯防止 、 0 その際に最も重要なのは、近時の強制 電車等での犯行も、強姦にはみられ姦罪は、三でみたように、他の多くの犯 罪と異なり、昭和年代から鬨年代に現 わいせつ罪の件数の増加をもたらしたのないものである ( 図 7 、 8 ) 。 は、少年でなく、成人であるということ 在の 5 倍以上の認知件数が報告され、平 成年をピークとする犯罪多発期に若干 である ( 図 6 ) 。その点に留意した政策 四強姦罪の刑事司法上の取扱 の増加は認められるものの、全体として 展開が期待される。 いの最近の変化 みれば、犯罪は減少傾向にある。そのよ 強姦は、被害者と面識がない場合が % 程度だが、 強制わいせつは 7 割を超 一で確認した最近の犯罪の著しい減少うな中で、最近の判例には、顕著な傾向 す。被害者の年齢は強制わいせつ罪の方の中で、日本の刑事司法は、全体としてがみられるのである。 例えば、大阪地判平成間年川月 1 日 ( 判 が若く、犯罪発生場所は、住宅内が最もみると「謙抑的運用」が目立つ。その中 多い強姦罪に比し、強制わいせつ罪は、 で、強姦罪に関する裁判所の判断は異な時 1882 号 159 頁 ) は、複数の強姦 道路・公園・空き地での犯行が最も多る傾向を示しているように思われる。強や強姦未遂行為が認定された事案に関 図 4 強姦罪検挙人員 ( 人 ) 5000 4000 成人検挙人員 ー→ー少年検挙人員 3000 2000 1000 0 昭和 30 35 40 45 50 55 60 平成 2 図 5 強制わいせつ罪認知件数 ( 件 ) 12000 12 1 7 22 10000 8000 6000 4000 2000 0 昭和 30 35 40 45 50 55 60 平成 2 図 6 強制わいせつ罪検挙人員 12 1 7 22 ( 人 ) 2500 2000 成人検挙人員 -- 今 -- ・少年検挙人員 1500 0 昭和 41 61 平成 3 っ 0 2 8 ( 0 8 CD LO 5 46 19 ・法律のひろば 2016.1

8. 法律のひろば 2016年1月号

特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 平成 27 年版犯罪白書を読んで一ルーティン部分に関して 局処理は平成年で川万 7479 人であ状況にあることも、気にかかる点である。 ことで、外国人の一般刑法犯検挙者数は り、このうち業過等保護事件が ( その多 急速に減少している。ただし件数は少な くは自動車運転過失致死傷であるが危険 いながら傷害・暴行事件は漸増している 五各種犯罪者の動向と処遇 運転致死傷を含む。 ) 1 万 9445 人と記 ことに注意しておかねばならない。ま 録されている。その家裁の処理を見るに、 た、特別法犯の来日外国人送致件数も同 再犯・再非行 審判不開始・ 3 % 、不処分・ 9 % が 様に減少している ( その大部分は入管法 大半を占めるものの、保護観察がⅡ・ 犯罪動向は一般に減少傾向にあるとこ 違反 ) 。ただし、平成年から増加に転 % となっている。また、道路交通法違反ろだが、見逃せないのが再犯者率の増加じている点は注意を要する。 1 万 9041 人においては、保護観察のである。平成間年当時は % 台であった 指標の入所受刑者も平成新年をピー 処分を受けた少年は・ 8 % にのばる。 ・ 1 % にまで上昇クに ( 1600 人を超えていた。 ) 減少 のが、平成年には町 これらの少年には社会内での保護的・教した。再入所者率にいたっては、 ・ 3 しており、平成年には 4 2 3 人へと 4 育的処遇が用意され対応されることにな % となっており、女子の再入所者率も急分の 1 ほどに縮小した。もっとも外国人 ・ 9 % ) 。 3 度以上の入入所受刑者は 840 人である。外国人固 る。少年法の対象とならずに検察による増している ( 処分に委ねられた場合、現在の保護的・所者にあっては、その・ 3 % の者が 2 有の文化や宗教への配慮が必要であり、 教育的対応は後退することになるのであ年以内に再入所している。入所度数が増言語の問題からも処遇に難しさもある ろうか。この点を踏まえた上で年齢引下えるにつれ、就労状況は悪くなり ( 3 度が、川年ほど前に比べて落ち着きを取り げと、現在の年長少年層の教育的対応にの者で・ 5 % が無職 ) 、居住状況も、 戻しているように田 5 われる。これまでと ついて検討を深めなければならない 3 度の者で・ 3 % が住居不定となって同様の配慮が望まれるが、社会復帰を促 さらに少年院入院者の保護環境は、劣いる す配慮と取組は、、 しっそう重要になる 悪である。それゆえに少年院に収容され さらに、少年の再非行者率も高まって特に外国人非行少年については、社会適 たともいえるのであろうが、実父母がそいる。一般刑法犯で検挙された少年のう応指導とともに職業指導などを重視し ろっている数字は低い ( 男子芻・ 2 % 、 ち・ 9 % の者が再非行少年である。再て、保護観察につながる緊密な対応が必 女子・ 9 % ) 。出院時の引受人が実父犯・再非行の防止に向けた対策を具体的要である。 母である比率も著しく低い ( 男子跚 に講じる必要性は、ますます高まっている。 % 、女子・ 8 % ) 。家庭環境がいかに 3 暴力団犯罪者 重要であるかを思い知らされる数字であ 2 外国人犯罪者 る。なお近年は、短期処遇の比率が低くな 平成 % 年の暴力団構成員は 2 万 230 っており、長期処遇が間 ・ 3 % を占める特に来日外国人による窃盗が減少した 0 人、準構成員は 3 万 12 0 0 人であ 1 1 ・法律のひろば 2016.1

9. 法律のひろば 2016年1月号

2 なった痴漢事犯者の再犯率の高さ等の結親族のもとや更生保護施設等 ) の者と比用していただきたい。 果も踏まえて、よりその問題性に焦点をべて・ 7 は高かった。生活環境の調整 0 当てた指導の実施方法等について検討すに当たっては、早い時期から、対象者を ( 注 ) ( 1 ) 内閣府が平成幻年に実施した「治安に関する特別 ることが望まれる。 取り巻く家族の状況等を見極めながら、 ろ 世論調査」によると、「自分や身近な人が被害に遭うかひ 受入体制を整備し、仮釈放につなげるこ の もしれないと不安になる犯罪」として、「痴漢や強制わ律 性犯罪者特有の問題性に対する効果と、社会における監督者の指導力を高め 法 いせつなどの性的犯罪」を挙げた者の割合は、平成年 的な処遇 ること、更には、継続的かっ長期的に、 の・ 2 % から、平成年には 1 3 ・ 3 % に上昇した。 平成年度から導入されている処遇プ対象者やその監督者に対して支援を行う ( 2 ) 性犯罪者について、個々の再犯リスクを適切に把 ログラムによる指導が必要な者に対してことができる機関や団体等につなげるこ 握し、刑務所等収容中から出所等後まで一貫性のある できるだけ幅広く実施することと、処遇となどが重要である。さらに、就労先の 処遇プログラム等により、効果的な指導や支援を実施 することが求められている プログラムの効果を上げるための一方策確保から就職後の職場定着までの過程に ( 3 ) 再犯者とは、前に道路交通法違反を除く犯罪によ である指導者の技術のより一層の向上がおける支援や指導も必要である。 り検挙されたことがあり、再び検挙された者をいい、 望まれる。 再犯者率とは、検挙人員に占める再犯者の人員の比率 」い、つ 四おわりに ③総合的な働き掛けの重要性 ( 4 ) 有前科者とは、道路交通法違反を除く犯罪による 今回の特別調査を通して、性犯罪者に 今回の特別調査では、性犯罪者の実態 前科を有する者をいい、有前科者率とは、成人による は、性犯罪のみを繰り返す傾向がある者を明らかにするために、基本的属性、前 一般刑法犯検挙人員に占める有前科者の人員の比率を もいれば、性犯罪以外の犯罪に及んでい 科のみならず、執行猶予者は 5 年、出所 し、つ る者もいることが明らかになった。そこ 受刑者は平均約 3 年を再犯可能期間とし ( 5 ) 再入者率とは、入所受刑者人員に占める再入者の 人員の比率をいう。 で、性非行・性犯罪に特有な問題性に対て、その間における再犯の有無、再犯の ( 6 ) 再犯可能期間とは、再犯が可能であった期間をい する働き掛けだけでなく、非行・犯罪一内容等についても調査分析した。出所受 い、出所受刑者については、調査対象事件の裁判確定 般に対する働き掛けも必要である。ま刑者について、再犯可能期間を十分に確 から 5 年経過時点までの期間から、刑事施設における た、強姦、強制わいせつの満期釈放者の保できなかったなどの限界はあったもの 受刑期間を減じた日数をいう。 帰住先を見ると、共に約 4 割の者が、適の、性犯罪者の多様な特性や問題性につ ( 7 ) 双方受講群 ( 仮釈放者 ) 、双方非受講群 ( 仮釈放者 ) 当な帰住先がない「その他」である。さ いてある程度明らかにすることができた 及び双方非受講群 ( 満期釈放者 ) の各群に属する個々 らに、特別調査において、満期釈放者のと考える。なお、誌面の都合上、本白書 の対象者には、処遇プログラム受講の有無以外にも再 帰住先別の再犯率を見ると、「その他」 の内容の一部にとどまったため、性犯罪 犯と関連する要因においてそもそも差異がある可能性 を排除できない。 の者は、帰住先が「親族等」 ( 帰住先が者の理解の一助として、本白書を是非活 ( はしもと・よ、つこ )

10. 法律のひろば 2016年1月号

者数の減少は、顕著とまではいえず、 3 に対する暴行・傷害・殺人は、過去間年る問題への関心が高まるにつれ、刑事司 万人台を維持している。特に女子の死傷変わらず深刻な状況にある。強姦は、常法の改革は推進されてきた。警察の連絡 者数は、この川年間でも 1 万 3000 人に間人前後の女子児童が被害者となって制度 ( 平成 8 年 ) や検察の通知制度 ( 平 あたりから 1 万 1500 人前後への変動いるし、強制わいせつも 1000 人ほど成Ⅱ年 ) が整備された後、平成肥年は、 ろ はあるものの、平成四年以降はほとんどの女子児童の被害があることが分かる 犯罪被害者保護法が制定されて、被害者の 変化のない状況である。女子の重傷者数歳未満の性被害が、児童の成長に深刻の裁判傍聴に配慮がなされ、公判記録の法 にあっては、例年 800 人から 900 人な影響を与えることを思えば、被害防止閲覧・謄写が認められたこと、少年法の の幅で増減しているし、女子の軽傷者数への取組が急務であることは明らかであ第一次改正が審判結果の通知や審判記録 も 1 万人前後をくり返している。つまりろう。 の閲覧・謄写を規定化したことなど、被 身体犯においては、弓、 し立場の女子被害 あわせて、児童虐待の被害を見るに、 害者の時代の幕開けともいうべき初歩的 が変わらず継続しているのであり、それ厚労省発表による児童相談所への相談通な改革の始まりであった。今ではそれ は子どもに対する被害においても同様で告件数の増加はよく知られているが、警は、遠い昔のようにも思われる。 ある。 察庁統計が例年発表する被害状況は、犯 平成四年の被害者参加制度や、被害者 白書では、被害者と加害者との関係に罪としての検挙事案であるだけに、し 、つ特定事項の秘匿、損害賠償命令の申立て 目を向けて、犯罪被害の多くが、加害者そう深刻である。この深刻な事態は着実などは、」 刑事司法の在り方を大きく変え との親密な関係又は面識のある関係におに増加しており、平成年の検挙人員でるものとなった。新たに制定された「更 いて生じていることが示されている。例は、殺人芻人、傷害 341 人、暴行 16 生保護法」は、仮釈放に際し、被害者か えば殺人では、その・ 3 % が親族関係 0 人、強姦四人、強制わいせつ人を確ら意見を聴取する制度を整備した。また にあるし、 ・ 7 % に面識のある関係が認できる。刑事事件となった身体的虐待被害者の心情を保護観察中の加害者に伝 確認できる。傷害では、親族関係幻 と性的虐待である。その被害者と加害者達する仕組みも整備された。またその前 % 、面識のある関係が ・ 3 % なのであとの関係を見るに、養父・継父の場合も から、被害者の求めに応じ、矯正におけ る。強姦の場合でも、親族関係が 5 ・ 8 あるが、実の父親が最も多い。実の母親る受刑者の処遇状況や釈放情報などを通 % であり、面識のある関係が菊・ も同様に多い。 知することも行われている。刑事司法 認められる。被害防止の手立てを講じる は、被害者を中心に回り出した観すらあ 上で、参考とすべき数字である。 る。しかし、社会復帰を目標とする犯罪 2 刑事司法における被害者への配 子どもも犯罪被害に遭いやすい状況に 者処遇や、公正な裁判の重要さを思う ある。歳未満の一般刑法犯被害者がま と、被害者視点だけを追求することに とめられているが、歳未満の女子児童被害者の声に耳を傾け、被害者の抱えは、、 しささかの危、つさがともなってく