保 険判例研究 共済契約のみならず、他にも数社との間ことは、一般の取引通念からもあり得な 1 控訴審における当事者の補足的 いものであったといえる で保険契約を締結していたが、他の保険 主張 会社はいずれも本件事故に基づく保険金 それにもかかわらず、控訴人は < が暴 を支払っている 争点① ( 公序良俗違反 ) 力団員であること及び当該暴力団が現に ア控訴人 (*) の主張 他の暴力団と抗争中であったことを知ら 抗争が激化している暴力団に所属して 争点② ( 錯誤無効 ) ずに本件各共済契約を締結したのである いた暴力団員を加入者とする本件各共済ア控訴人 (*) の主張 から、本件各共済契約に係る控訴人の意 契約は、公益的目的を有し、低コストで控訴人が提供する共済事業は極めて公思表示には要素の錯誤があり無効であ 保障を提供している控訴人の共済事業に益性・公共性が強く、抗争を行っているる。 対して、抗争による負傷・死亡を原因と暴力団に所属している者の加入は前提とイ被控訴人 >< らの主張 する経済的不利益を転嫁することを許すしていない。また、上記共済事業の仕組本件各共済契約の当初の締結に当たっ ものであり、 < の実際の加入の経緯からもみからは、自ら抗争を行っている暴力団て、控訴人が加入者に対して反社会的勢 そのような目的が推認されるのであるかに所属して、生命を危険にさらすような力でないことの申告を求めるなどの何ら ら、本件各共済契約は公序良俗に反する。者の加入を許せば、共済金の支払いが通かの調査を行った事実はなく、その後も イ被控訴人 >< らの主張 常予定されているものよりも多額となっ契約の更新に特段の手続を要せずに自動 近時我が国において、政府や業界団体てしまい、制度自体が存続できなくな更新されてきたものである。控訴人が本 等で反社会的勢力との関係を遮断する取る。さらに、共済事業の加入申込者が非件各共済契約締結の際、 < に対して明示 組がされているが、これは主として反社常に多いことから、控訴人は、個々の加的にであれ黙示的にであれ < が暴力団員 会的勢力への資金提供等利益供与を行わ入者が抗争を現に行っている暴力団に所でないことを意思表一小の動機として表示 ない、また、反社会的勢力の活動を助長属しているか否かを逐一確認することはしていたとの事実は存在せす、控訴人の したり、その運営に資することになる取客観的に不可能であった。加えて、本件意思表示に要素の錯誤があるとの主張は 引を行わないことを内容とするものであ各共済契約が締結された当時、反社会的失当である。 り、個々の構成員をその社会生活及び日勢力との関係を排除していくことが、コ 控訴人は、加入者が反社会的勢力に属 常生活に必要な契約関係から排除するこ ンプライアンスや企業防衛の観点から必しているか否かについての調査は客観的 とまで求めているものではない。 要であるとの認識は広く社会に浸透してに不可能であると主張するが、本件各共ろ ヾ、 - 日の 本件各共済契約は、主に子供の将来を いたのであり、本件各共済契約締結まで済契約の締結の経緯からは、控訴人力カ 律 考えて加入したものであり、暴力団の組の社会の流れからすると、控訴人が暴力入時に加入希望者の社会的地位や職業等法 織や活動とは無関係である。 < は本件各団員を加入者として共済契約を締結するを全く問題としていなかったから、控訴
た、有効な犯罪者処遇の実施について いられている再犯予測尺度を基に我が国るタイミングを計ることとしている は、再犯リスク (Risk) ・処遇によってで作成された尺度を使用する。該当した 改善可能な犯因性ニ 1 ズ (Need) ・対者は非該当の者に比べて将来的な再犯確 3 内容 象者に適した処遇方法の選択 (Respon- 率が高いと科学的に実証されている項目 ろ sivity) の 3 点を踏まえて処遇をすべき群で構成されており、過去の刑罰歴や被当該プログラムは、認知行動療法の理の (XZX の原則 ) とする国際的知見 ( 注 4 ) 害者の年齢・性別といった内容がある。 論を基礎としている ( 注 5 ) 。当該プログ法 があり、当該プログラムの対象者選定手「性犯罪につながる問題性の内容や程 ラムの目標は、受講者に、性犯罪につな 続及び処遇計画の策定は、この原則に基度」については、カナダ連邦矯正局におがる自己の問題性を認識させ、その改善 づき行われる いて用いられている調査を基に我が国でを図り、再犯しないための具体的方策を 具体的な手続は、スクリーニング及び作成された調査方法に従って、対人関係習得させることである。その実現のため 性犯罪者調査の 2 段階に分けられる。スの持ち方や自己統制力などに関する面接に、心理教育 ( 必要な情報の提供・教 クリーニングは、刑が確定した全ての受を行い、 処遇の目標とすべき問題性の内育 ) 、グループワーク ( 2 名の実施担当 刑者に対して行うものであり、犯罪の内容や程度について調査する。「受講を困者に対して 8 名の受講者を標準とした小 容、常習性の有無及び性犯罪につながる難又は不適当とする事情の有無」につい 集団で特定のテーマについて話し合 問題性の有無等を調査項目としている。 ては、身体的・精神的問題又は日本語能 う ) 、宿題 ( グループワ 1 クの実施時間 スクリ 1 ニングにより、精密な調査が必カ・知的能力、動機付けの程度等の観点外に居室等で取り組む課題 ) 、個別面接 要と認められる者を絞り込んだ上で、調から判断する。これらの三つの視点か ( 各受講者の必要性に応じて補助的に実 査センターにおける性犯罪者調査を行ら、当該プログラムの受講及び受講する施 ) といった方法による指導を行う。当 プログラムの種類を判断し、受講施設や該プログラムには、基本となる三つの種 性犯罪者調査は、「再犯のリスク (X 受講時期について総合的に検討した上で類 ( 高密度・中密度・低密度 ) を設けて の原則の「 sk 」に当たる。 ) 」「性処遇計画を策定する。 おり、 1 回当たり約 100 分で以下の頻 犯罪につながる問題性の内容や程度 ( 同 なお、当該プログラムの受講対象者と度・期間を標準として実施している 原則の「 Need 」に当たる。 ) 」「受講を困判定された者にとっては、当該プログラ①高密度【全回、週 2 回 8 か月 難又は不適当とする事情の有無 ( 同原則ムの受講は受刑上の義務である。受講に②中密度【全回、週 2 回 6 か月 の「 Responsivity 」に当たる。 ) 」の三つ拒否的な対象者については、受講の義務③低密度【全回、週 1 回 3 か月 の視点から行われる専門的調査である。 のほか、受講による本人にとっての利益受講対象者は、前述の性犯罪者調査の 「再犯のリスク」の調査は、カナダにおなどを説明し、また、一度拒否しても継結果に基づき、再犯のリスクが高い者か いて開発され、その他の国においても用続的に働き掛け、動機付けが相応に高まら順に高密度・中密度・低密度に振り分
分析に当たっては、刑事施設内におけ その対象は、「本件処分の罪名又は非④快楽追求型性犯罪 ( 常習的な痴漢 る受刑者の選定であったり、保護観察所行名に、相手方の意思を無視して行う性等 ) における保護観察期間の長短等様々な要的行為が含まれる者 ( 強姦・準強姦、強⑤性倒錯的性犯罪 ( 下着盗、のぞき・ 、ま 制わいせつ・準強制わいせつ等 ) 」及び盗撮等 ) 因の影響を考慮する必要はあるものの、 ろ 性犯罪者処遇プログラムが、その再犯抑「本件処分の罪名又は非行名のいかんに これらの類型は、前記の犯罪白書におの かかわらず、犯罪・非行の原因・動機が いて示された、小児わいせつ ( 共犯 ) 型法 止に寄与していることが推定される。 性的欲求に基づく者 ( 下着盗、性器露出、等極めて少数の類型を除いた各類型と比 住居侵入等 ) ーである。 べてみると、①は「小児強姦型」及び「小 三保護観察における性犯罪等 児わいせつ型」に、②は「集団強姦型ー 対象者の処遇 類型別処遇におけるタイプ分け に、③は「単独強姦型」「強制わいせつ 保護観察における性犯罪等対象者の処類型別処遇においては、性犯罪等対象型 , に、④は「痴漢型」に、⑤は「盗撮 遇においても、他の対象者と同様、個々者の大まかな特徴の理解に資するため型」に対応しているように見える。 犯罪白書は、罪名、被害者年齢、共犯 のケ 1 スに応じた個別処遇が原則であるに、次のタイプを提示している。これら は、犯罪白書における類型と異なるが、 の有無等、いわば犯罪の外形的側面から が、蓄積された専門的知見に基づいて開 発された「性犯罪等対象者に対する類型個々の対象者が持っ性犯罪傾向や性格特類型化しているのに対し、保護観察にお 別処遇」及び「性犯罪者処遇プログラム」徴、問題点等を把握し、保護観察処遇のける類型別処遇は、処遇方針を策定する 処遇方針を策定するに当たって有効であに当たって、経験的知見から類型化を図 に沿って、展開されている る ったものであるが、パラレルに対応して ①内向的な少年等による性非行 ( 同年いるのは興味深い 性犯罪等対象者に対する類型別 齢集団との人間関係作りに困難を感じ 処遇 る少年等による抵抗力のない幼児・児 2 性犯罪者処遇プログラム 童へのわいせつ行為等 ) 概要と対象 概要と対象 更生保護においては、保護観察の実効②不良集団による性非行 ( 仲間と一緒 にいることにより気が大きくなって歯保護観察所の行う性犯罪者処遇プログ 性を高めるため、対象者の問題性や特性 ラムは、更生保護法に定める専門的処遇 を、その犯罪・非行の態様等によって類止めが利かなくなった集団強姦 ) 型化して理解し、各類型ごとに共通する③女性蔑視観による攻撃的性犯罪 ( 暴プログラムの一つであり ( 注 3 ) 、「性犯 力的・反社会的な性格を持っ対象者に罪等対象者」類型に認定された仮釈放中 問題性等に焦点を当てた「類型別処遇」 及び保護観察付執行猶予中の男子を対象 よる性的な攻撃 ) を行っている ( 注 2 ) 。
特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 刑事施設における性犯罪再犯防止指導 ②テキスト及びワークプック改訂 人への相談を考えていたものの、メンテめの中核的要素は、当該プログラムの内 ナンス受講時に < とは疎遠となっていた容を介した実施担当者と受講者のやり取本科で使用している教材については、 場合、より現実的で実効性のある他の方りにあり、受講者の特性やグループの状カナダ連邦矯正局で作成されたものを基 法を検討する必要がある。 況に応じて効果的なやり取りを展開するに作成されていたところ、その主たる構 また、仮釈放に伴う保護観察の対象と高い専門性が実施担当者には求められ成要素を損なわない形で、文化や法体制 の違いを踏まえた教材の改訂が平成年 なる受講者にとっては、社会内処遇に近る なお、刑事施設及び保護観察所が個々度になされている。 接した時期に行う施設内処遇であるた め、その円滑な導入に配慮して実施する。 の対象者に一貫性のある指導を行うた 準備プログラム め、相互の性犯罪者処遇プログラムの実 カナダ連矯正局において、処遇に対 前記が当該プログラムで扱う内容だ施結果等を引き継ぎ、実効性の向上を図 する動機付けを向上させるため導入と準 が、実施担当者が当該プログラムを通しっている 備を目的として実際されている「予科プ て目指しているものは、前記内容に関す ログラム」をモデルとして策定され、平 る知識付与にとどまらず、前記の内容を 4 導入後の充実化の取組 成年度から導入されている。また、犯 受講者自身に引き付けて考えさせ、出所 冒頭でも述べたとおり、当該プログラ罪者処遇の研究分野において、本人自身 彳に再犯しないための個別具体的方策を 身に付けさせることである。また、当該ムの基本構造については、平成年度のが納得でき、犯罪行動の減少にもつなが プログラムは、導入時に主なモデルとし導入時からおおむね維持されているものるより良い生き方を形成するための資源 たカナダ連邦矯正局と同様、成人学習のの、より効果的な実施を目指した充実化の提供を重要視する「 G00d Lives M0del 理論を重要視している。成人学習の理論の取組もプログラムの実施と並行して行 ( グッド・ライブズ・モデルこの理論が 発展してきた ( 注 6 ) ことを受け、準備プ とは、成人は子どもと学習様式が異なわれている。 ログラム及び次に挙げる集中プログラム り、講義形式で必要事項を順に教示され の開発作業においては、同理論を参考に 調整プログラム るよりも本人が主体的に必要性や実効性 を感じながら学んだ方が効率的に学習す知的能力に制約のある対象者が再犯防している。当該プログラムが再犯しない ための具体的方策の習得を目標としてい るという理論である。そのため、実施担止のための知識、技能等を効果的に習得 当者は、当該プログラムの内容や他の受できるよう、本科の内容について、イラることは既に述べたが、ともすると犯罪ろ 講者の発言等を利用して、受講者本人がスト等の視覚情報を効果的に盛り込み理行動につながる要因を避けようとするのの 主体的に考えることを促す。このよう解しやすくしたものであり、平成年度みの方策に偏りがちであり、そういった法 方策は長続きしにくく実効性の観点から から導入されている に、当該プログラムが効果を発揮するた
在しない 人の上記主張も失当である。 が抗争を現に行っている暴力団に所属し ているか否かを逐一確認することは客観 的に不可能であったこと、本件各共済契 争点③ ( 私闘免責 ) 2 控訴審の判断ー当事者の補足的 約が締結された当時、反社会的勢力との ア控訴人 (*) の主張 ろ 主張に対する判断 関係を排除していくことが必要であるとの ①本件事件については、近くにいた男 の認識が広く社会に浸透していたこと等 争点① ( 公序良俗違反 ) 性がもめるような声か聞こえたと 110 番通報をしていることや、現場で男 2 人控訴人は、暴力団員を加入者とする本から、控訴人が暴力団員を加入者として がもみ合いになっているのが目撃された件各共済契約は、控訴人の共済事業に対共済契約を締結することは、一般の取引 という報道がされており、 < が一定の攻して、抗争による負傷・死亡を原因とす通念からもあり得ず、控訴人が < が暴力 撃防御を行っていたことが推認されるこる経済的不利益を転嫁することを許すも団員であること及び当該暴力団が現に他 と、②捜査機関も本件を抗争事件の一環のであり、 < の実際の加入の経緯からもの暴力団と抗争中であったことを知らず としてとらえていること、③暴力団関係そのような目的が推認されるのであるかに本件各共済契約を締結したから、本件 者の間で購読されている雑誌でも、本事ら、本件各共済契約は公序良俗に反する各共済契約に係る控訴人の意思表示には 要素の錯誤があり無効であると主張する 件と分かる事件が抗争事件の一環としてと主張する。 しかしながら、本件各共済契約が締結 しかし、仮に < が暴力団員であるとし 紹介されていること、④ < が刺殺される 直前の約 1 か月間に会と会との間のても、これまで共済掛金の支払いを継続された当時、控訴人において反社会的勢 抗争の一環とみられる事件が 7 件も発生して行っていたものであるし、共済金受力との関係を排除していくことが必要で し、本事件に続く 5 か月の間にも同様の取人も暴力団やその関係者ではなく、 < あるとの認識を有していたとしても、原 抗争とみられる事件が 7 件発生しているの子であり、何ら暴力団を援助、助長す判決が指摘するとおり、控訴人は < に対 ことを総合すると、本件事件は暴力団同るものではなく、経済的不利益を控訴人して反社会的勢力でないことの申告を求 めた形跡はなく、暴力団排除条項も設け 士の抗争としてが関与して発生したもに転嫁するものということはできない。 ていないし、当時上記申告を求めること のであり、 < の犯罪行為に準ずるものと控訴人の主張は採用できない。 自体何ら困難とはいえない。そうする して「私闘」に当たるというべきである。 と、暴力団組合員が本件各共済契約を締 争点② ( 錯誤無効 ) イ被控訴人 >< らの主張 << は、家族と一緒に食事に出かけよ、つ控訴人は、抗争を行っている暴力団に結することが控訴人にとって望ましくな いということができても、それを超え としていたところ、突然何者かに襲われ所属している者の加入は前提としていな て、一方的に刺殺されたものであり、決いこと、共済事業の加入申込者が非常にて、控訴人が < に対して、明示的にも黙 闘などの犯罪行為に準ずる闘争行為は存多いことから、控訴人は、個々の加入者示的にも < が暴力団員ではないことを意
判所は、当該行政文書に同号に規型的にみて、当該情報が同号に掲のために行われるものであり、公必要であり、「おそれ」の程度も げる国の安全等の確保に関するもにすることによりその適正な遂行単なる確率的な可能性ではなく、 定する不開示情報が記録されてい に支障を及ばすおそれがある情報法的保護に値する蓋然性が要求さ るか否かについての行政機関の長のに当たるものであることを推認 の第一次的な判断を尊重し、そのするに足りる事情を立証する責任については、不開示とすることにれ、さらに、これら「支障」や「お 判断が合理的なものとして許容さ を負うものと解される。そして、 合理的な理由があると考えられたそれ」の程度については、開示に よって支障を及ばすおそれがある れる範囲内であるかどうかを審理被告がした前記の立証により、当からであると解される。そして、 とされる事務又は事業の性質を踏 判断すべきであって、同号に該当該情報が開示された場合に、不開このような不開示事由に該当しな い限り、原則として行政機関の長まえた判断を行う必要があるとい する旨の行政機関の長の判断が社示の理由とされた、我が国の安全 うべきである。 会通念上合理的なものとして許容が害されるおそれや、他国等とのに行政文書の開示を義務付けてい るという同法の構造や、同号の不 信頼関係が損なわれるおそれなど ④そこで、以上の見地から、情 される限度を超えるものであると 認められる場合に限り、裁量権のがあることが一般的・類型的にみ開示事由を定めた趣旨に照らす報公開法 5 条 3 号又は 6 号所定の 範囲の逸脱又はその濫用があったて肯定されるような場合には、同と、同号所定の不開示事由がある各不開示情報に該当することを理 ものとして違法になると解するの号に基づき開示をしない旨の処分として文書を不開示にした場合に由として本件各不開示情報を開示 は、このような不開示処分をした しなかった本件決定における内閣 を争う原告において、当該処分に が相当である。 もっとも、一般に、国の安全やっき行政機関の長の裁量権の範囲行政機関の長の所属する行政主体情報官の判断の適否について検討 他国等との交渉等に関する正確かの逸脱又はその濫用があったことである国 ( 被告 ) が、当該行政文する。 っ詳細な情報は専ら行政機関の長を基礎付ける具体的事実について書には同号所定の不開示事由があ ること、すなわち、当該行政文書ニ本件各不開示情報を不開示と の側に属しており、開示請求をす証明することを要するというべき したことが適法か否か る者及び処分の適否につき判断すである。 には「国の機関 ( 中略 ) が行う事 結論 る裁判所は、処分に係る行政文書 ③次に、情報公開法 5 条 6 号務又は事業に関する情報であっ 後記 2 で述べるとおり、本件各 又はその部分に記録されている内は、「国の機関 ( 中略 ) が行う事て、公にすることにより、 ( 中略 ) 容等を直接には把握することがで務又は事業に関する情報であっ当該事務又は事業の性質上、当該不開示情報について、これを公に て、公にすることにより、 ( 中略 ) 事務又は事業の適正な遂行に支障することにより、情報公開法 5 条 きないことによれば、被生口におし 3 号所定のおそれがあると内閣情 を及ばすおそれがあるもの」か記 て、事案に応じ、当該処分に係る当該事務又は事業の性質上、当該 報官が判断したことをもって、そ 行政文書又はその部分に記録され事務又は事業の適正な遂行に支障録されていることを主張立証する ている情報に係る事柄、当該情報を及ばすおそれがあるもの」を不必要があるものと解することが相の裁量権の範囲から逸脱し、又は 開示情報とする旨を定めていると当である。加えて、ここにいう「支これを濫用したということはでき の性質、当該処分をするに当たっ て前提とした事実関係その他の当ころ、その趣旨は、国の機関等が障」の程度は、名目的なものでは したがって、本件不開示情報 該処分当時の状況等、一般的・類行う事務又は事業は、公共の利益足りず実質的なものであることが 法律のひろば 2016.1 ・ 76
保 険判例研究 う属性は 3 号に該当するとの見解がある 9 名ということになり、コンマ 1 % に満相手方の同意の必要性を指摘している点 ( 注四。なお、生命保険協会も暴排条項たない数値ということになる。このようを踏まえると、暴排条項導入前約款につ いて、暴力団員という理由のみで重大事 を保険法条 3 号の具体化と位置付けてに属性の全体数からみれば非常に少ない いる。この見解に従えば、暴排条項導入割合であるにもかかわらず、特に暴力団由解除することを、監督指針が求めてい 前約款においても、契約者等が暴力団員員は保険金の不正請求に関与する蓋然性るとまではいえないだろう。さらに、具 であることが判明すれば、保険法条 3 が高いとみなすのは無理があるのではな体的な事情を考慮することなく、暴力団 号を遡及適用することより、重大事由解いか ( 過去に不正請求を行った者など保員という属性を解除事由とする見解に対 除が可能というのが論理的帰結となる。険金詐欺を行うおそれの高い属性は他にしては、何か特定の集団に属していると いう事実だけで解除できるとするのは、 も考えられるし、統計的に犯罪傾向の高 もっとも、暴排条項導入前の契約につい ては、実際に裁判となった場合には、暴い属性という意味でいえば、前科者など解除権の濫用に繋がるおそれがあるとい 力団員という属性だけでは解除の有効性他の属性も考えられる。 ) 。また、政府指う問題がある ( 注 ) 。例えば、他の反社 が認められないリスクがあるとし、他の針や監督指針を契約存続の困難性の理由会的勢力である総会屋や社会運動標ばう 事情 ( 本件契約締結前・締結後・保険事の一つに挙げているが、政府指針等公表ゴロ、暴力団には属していないが暴力行 故時等の不自然な行動や諸事実など ) を前までは暴力団という属性が判明しても為を繰り返すいわゆる半グレ集団、及び 収集し、解除は慎重に対応すべきとの指保険契約を解除までしてこなかったので反社会的な宗教団体に属している事実 あり ( 注リ、暴力団の性質が政府指針等も、暴力団と同程度に①信頼関係破壊、 摘もなされている ( 注リ。 思うに、暴力団員が不正請求に関与すの前後で変更がないことを前提とするは契約存続の困難性があるともいえそう と、保険金殺人や保険金詐欺などのよ、つであり、その場合、これらの属性がある る蓋然性が高いというには、暴力団員と いう集団が一般人に比べて保険金詐欺等に普遍的に保険契約の契約存続の困難なという事実のみで解除できるということ になりかねない。以上を踏まえると、あ を行う可能性が高いことが統計上裏付け事情とまではいえなのではないか。な られていなければならないと考えられお、監督指針の改正を担当した金融庁担えて暴力団員という属性を保険法療条 3 る。前記の「肥・ 9 % 」は、過去 3 年間当官の解説によれば、暴排条項について号でいう重大事由と位置付ける必要はな 「相手方の同意がない限り既存契約へ導いと考えられる。 保険金詐欺で検挙された者名のうち そこで、どのように考えるかである 名 ( ・ 9 % ) が暴力団関係者であった入することはできないことは民法の原則 という意味である ( 注リ。つまり、保険である。また、約款理論によっても、こが、暴力団は、「暴力、威力と詐欺的手ろ 金詐欺で検挙された者は、全国に 5 万 3 のような不利益変更を一方的に行うこと法を駆使して経済的利益を追求する集団の 法 500 人いる暴力団員 ( 平成年末時を根拠付けるにはなお問題が残ると思わ又は個人である『反社会的勢力』」の一 っと位置づけられるが、法律上、団体と 点【警察庁発表 ( 注リ ) のうち、年間約れる ( 注」として、暴排条項の導入に
特集性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 平成 27 年版犯罪白書を読んで一ルーティン部分に関して もたれてきた。そこに裁判所が継続的に にもなるのである。 れからの刑務作業の在り方や、医療問 関わることで、司法的な制御機能も確保 題、帰住地や身元の引受けの調整、さら される。こうした仕組みがもっと早く整 には仮釈放後の保護観察の在り方など、 6 精神障害のある犯罪者 備されるべきであったと思われるが、今 刑事司法に多くの影響をもたらすことに 精神障害者等 ( 精神障害者及びその疑なお課題も多い。指定病院の設置状況 なるとする見識を示したが、四半世紀前 いのある者 ) による一般刑法犯の検挙人は、国立施設、県立施設であり、未 の入所受刑者は、歳以上でさえ 895 人 ( 3 ・ 9 % ) にすぎなかった。平成員は、平成年で 3834 人、検挙人員設置の自治体もなお存在する。対象者の 問題も現状でよいわけではない。運用か 年には、歳以上の高齢入所受刑者が 2 総数に占める割合は 1 ・ 5 % である。「心 2 8 3 人 ( 1 ・ 4 % ) となっている。女神喪失者等医療観察法」が施行された平ら川年を経過して、対象者のリスク評価 の実績など検討する必要性もあろう。精 ・ 4 % ) で成年には、その数は 2 411 人 ( 0 子にあっては、 347 人 ( 1 かな ある。男女ともに窃盗が最も多い罪名で 6 % ) であったので、この川年の間に増神障害のある犯罪者への対応には、 加した状況にある。特に、殺人に占めるりの時間と労力を必要とすることが理解 あるが、特に女子の場合の・ 9 % は、 ・ 8 % 、放火は・ 4 % と比較されなければならないであろう。さらに 割合は 際立っている。数は少ないが ( 全体の 1 5 % ) 、道交法違反や自動車運転過失致的高率である。精神障害のある犯罪者へ一一一一〔えば、入所受刑者や少年院入院者の中 に精神障害を有する者が多数存在する点 死傷等の交通犯罪受刑者も含まれているの刑事政策的関心が消失しない理由はこ 点も、高齢社会を迎えた特有の現象としこにもある。また心神喪失又は耗弱にてにも目を向けるべきである ( 平成年に 不起訴になった者は 589 人いる。このは、入所受刑者の・ 2 % 、少年院入院 て、気にかかるところである。 うち約半数の重大事件 ( 放火、殺人を含者のⅡ・ 7 % ) 。矯正医療の問題は喫緊 高齢受刑者への矯正処遇の在り方は、 む。 ) については、医療観察審判の申立の課題であるが、精神医療の問題もここ 平成 3 年版犯罪白書が懸念したように、 多くの課題を突き付けられている。人道てが行われるが、そのほかは、精神保健に含まれる 的見地からすれば、刑の執行とはいえ医福祉法条によって県知事に通報し、措 療と福祉をより重視した対応が望まれる置入院となるケースをはじめ、福祉的医 六犯罪被害者 ことは言うまでもない。施設内における療的対応につながっている 養護的処遇や社会復帰を確実なものにす医療観察入院では、複数の医師、看護 統計上の犯罪被害 ろ るための特別調整や地域生活定着支援セ師等による個別的治療プログラムが実施 ひ 犯罪統計と同様に、一般刑法犯の被害の ンターの役割をいっそう強めていかねばされ、地域社会への復帰を前提に退院後 ならない。それが、再犯防止を確かなもも訪問指導や社会復帰調整官による指導統計も減少傾向を示している。しかし生法 のにするという合理的要請を満たすことと支援を通じ、再犯防止の効果に期待が命・身体に被害をもたらした事件の被害
保 険判例研究 い、ことを理由に私闘免責を否定した。 求めていないこと等の事実から、共済組結しないことと、表意者であるが暴力 本約款に規定された私闘免責は、平成 合であるは、明示的にも黙示的にも < 団員と共済契約を締結しないこととは別 が暴力団員ではないことを意思表示の動であり、として何らかの形で暴力団員年改正前商法 680 条 1 項 1 号 ( 通説 機として表示していないから、錯誤無効と共済契約を締結しないことを相手方ででは任意規定とみなされていた。 ) が、 は認められないとする。なお、原審では、 ある >< に示していない以上、動機の表示被保険者が決闘その他の犯罪又は死刑の があったとは認められない。したがっ執行により死亡した場合を免責事由と規 動機の表示の事実が認められないという 定していたことを、共済の約款に規定し 理由に加え、暴力団関係者との間で共済て、動機の錯誤についての判例理論を前 契約を締結しないことが当然の前提であ提とすれば、本判決の結論は妥当であたものである。同改正前商法規定の趣旨 は、生命保険があるために、被保険者が ったとの事実が認められないとして要素る 安心して犯罪に走ることを防止する公益 の錯誤性も否定している。 的な見地や、犯罪による保険金支払を認 本件はいわゆる動機の錯誤であるが、 4 私闘免責 ( 争点③ ) めると保険の倫理性や公序良俗に反する 判例上、動機が表示され相手方がこれを 知っているときはその動機は意思表示の本判決は、「原判決が認定する本件事ことにあるとされる ( 注 6 ) 。ちなみに、 内容となり、錯誤を主張できる ( 大判大件当時の状況からすれば、決闘などの犯生命保険があることから被保険者が犯罪 正 6 年 2 月日、最判昭和四年Ⅱ月罪行為に準ずる闘争行為とまではいうこ行為に走ることは考え難く、犯罪に対す 日 ) 。この点、は、共済事業者としてとができ」ないとし、原判決以上の理由る制裁は被保険者本人に科されるべきこ 個々の加入者に暴力団であることを逐一を付加していない。そこで、原判決の理とで遺族等の保険金受取人が不利益を受 確認することは客観的に不可能であった由を検討するに、① < の刺殺は会と対ける立場にはないこと、保険者の免責規 定は任意規定であることからあえて法定 立する会からの攻撃の可能性が高いこ が、反社会的勢力との関係を排除してい ることが広く社会に浸透していたのであとは否定しないものの、会と会の対する必要はないこと等の理由から、保険 立抗争との関連性については、警察によ法においては免責事由から削除されてい り、本件各共済契約が締結された当時、 共済事業者が暴力団員を加入者として共る捜査が進められているにとどまり、刑る ( 注 7 ) 。 原判決の理由 2 において、物理的な加 済契約を締結することは一般の取引通念事裁判等により確定的に判断されている 害行為は認定されなかった。では、物理 ものではなく、関連性を断定できない、 からはあり得ないものであったとして、 黙示的には暴力団員と共済契約を締結し ① < が刺殺した者に対して何らかの加害的な意味での闘争行為を行っていなかつろ たとしても、 < の所属する暴力団が対立の ないことが表示されていたと主張してい 行為を行っていた事実を認め得るものは るようにも思える。しかしながら、一般見当たらず、 << と刺殺した者との間で現抗争にあったという事実により「決闘な法 どの犯罪行為に準ずる闘争行為」により の取引通念では暴力団員と共済契約を締に闘争行為が行われていたと評価できな
しての存在は違法とされていない極めてを保険法条 3 号の具体化と位置付けな たことが強く疑われる。 < の属する暴力 R 特異な団体である。結社の自由を踏まえければ、暴排条項は保険法条で定めら団が対立抗争に入ったことで < の死の危 ると、暴力団といえどもその団体の存在れた解除事由を超えた解除事由を認める険が高まったとして、旧商法 656 条・ を否定することは難しいが、今般の政府特約で契約者に不利なものとなってしま 683 条の「保険契約者の責めに帰すべ ろ 指針では、取引の相手方となる企業に暴 、片面的強行規定違反として無効 ( 保き事由により著しく危険が増加した」との 力団との取引をさせないことにより、暴険法簡条 2 号 ) になるとの指摘があり得して契約は当然失効する、又は旧商法 6 力団の存在を撲滅しようとしている。つる。この点、ある約款の規定が保険法の 57 条の「保険契約者の責めに帰すべか まり、政府指針前は、私人間の契約であ片面的強行規定に実質的に反するか否からざる事由により著しく危険が増加し る以上、あくまで私的自治の範囲内で契は、当該片面的強行規定の趣旨及び射程 た」として、契約者から危険の増加につ 約締結の可否を判断できた保険契約が、 範囲、当該約款の規定の目的、要件及び いての通知を怠ったとして、契約は失効 政府指針以降は、私的自治 ( 契約自由の効果等を総合的に勘案して判断されるしたといえないか 原則 ) が制限され、特段の理由 ( 例えば、 ( 注リ。確かに、保険法条の重大事由 まず、本件の危険の増加が、契約者の 自動車保険における対人賠償責任保険の解除の規定と暴排条項は、解除という効責めに帰すべき事由によるものか否かで ような被害者保護のために必要がある場果は同じであるが、重大事由解除が主にある。この点、 < は対立抗争が発生した 合 ) がない限り、企業は暴力団との契約モラルリスク排除を目的とする規定であ後も自ら暴力団幹部の地位にとどまって を行えないことになったと整理することるのに対して、暴排条項は暴力団を社会 いたというの不作為が危険を増加させ ができる。このような企業に課された契から根絶するという政策的な目的のためたとして、契約者自らの責めに帰すべき 約締結の自由の制限については、政府指の規定であり、また、射程範囲及び要件事由による危険の増加であるとする考え 針や監督指針によりある程度公表されても異なる。これらを踏まえれば、暴排条方がある ( 注リ。しかしながら、 < の死 はいるものの、法律により制限が課され項は重大事由解除の特約ではないとみなの危険が増加したのは、直接的には対立 ているものでないため、同制限を契約のし、片面的強行規定性に反しないと解す抗争が発生したからであり、当該対立抗 相手方に主張するには、相手方と合意することも可能と考えられる。 争が発生したことにつき < の関与が証明 る必要、つまり暴排条項を締結する必要 されない限りは、契約者の責めに帰すべ があると考えらえる。暴排条項導入前約 き事由によるとはいえないと考えるのが 6 危険の著しい増加 款の契約については、暴力団であるとい 素直であろう。 う属性のみを理由に解除することはでき本判決では明確には認定されていない では、対立抗争が発生したことが「著 ないと考えるべきはないか。 が、 < は平成年 7 月頃の会と会のしく危険が増加した」場合といえるか このような考えに対しては、暴排条項分裂に端を発する対立抗争により死亡しここに「著しい危険の増加」とは、保険