特集消費者団体訴訟制度のこれから 適格消費者団体への期待と課題 だいているが、活動に参加する方の広がの役割とされてきた事業者の不当行為の ( 仮称 ) の設立を呼び掛けている。この りをつくり、若い世代にも参加してもら是正という作用の一端を、それを担うに基金は、「広く消費者の利益のために公 、つにめ矮」は、リ . ー ズナプルな範囲での交ふさわしいとして国が認定した適格消費益的な活動を行っている消費者団体の活 通費や謝金が準備できることが望まし者団体に差止請求権の行使という形で実動に対し、財政的に支援することによ い。また、差止請求書面の作成について質的に担わせる制度であると評価するこり、消費者被害の防止・救済と、公正か っ健全な市場の形成に寄与すること。」 も適切な報酬を支払えるようにしていきともできると考えられる。その意味で、 たい。そのような条件整備が進まなけれ適格消費者団体は、行政における執行をを目的とし、消費者・消費者団体・事業 ば、適格消費者団体の活動の持続的発展補完する重要な役割を果たすことにな者・事業者団体・公的機関などから寄附 は展望できないのではないか。 る。」と性格付けており、公的機関に基金を募り、次の事業を対象として助成を すでに述べたように、差止請求制度は金を設置するなどの財政支援の提案が行行うことを目指している ①消費者被害の拡大防止のために、適 非常に高い公益性を有しており、行政とわれている。 格消費者団体が行う不当な約款・不当 適格消費者団体が連携して、差止請求制 度の維持、発展を進める観点から、公的 な勧誘行為等の差止請求訴訟に係る助 4 民間基金の準備 成 財政支援についてあらためて検討を求め 適格消費者団体への財政面での公的支 ②消費者被害の回復・防止のために、 特定適格消費者団体が行う被害回復訴 因みに、消費者委員会の「消費者行政援の必要性は、差止請求制度がスタ 1 ト における新たな官民連携の在り方ワ 1 キする前から消費者団体からの意見だけで 訟 ( 消費者裁判手続特例法の行使 ) に なく、国会の附帯決議や消費者庁等設置係る貸付 ( 免除制度含む。 ) ング・グル 1 プ報告書 ( 平成年 8 月 ) 」 では、次のように保障行政という考え方法の附則でも述べられているところであ ③消費生活の専門家が関与する、法人 格を有する消費者団体が自主的に営む を紹介している。「保障行政とは、国やる。いくつかの具体的な検討も行われて 消費者相談事業に係る助成 地方公共団体が公益の実現を直接自らのきたが、公的財政支援は実現しないまま 手で行うのではなく、民間の主体が公益経過してきた。引き続き、公的財政支援 ④消費者団体による裁判外紛争解決手 のために活動する役割を担い、国や地方の実現を求めつつも、できるところから続 (<QX ・法務省認証 ) の運営に係 る助成 公共団体は、そのための枠組となる制度民間のカで、支援をする枠組みをつくろ 、ま ろ を設定したうえで、状況を観察して必要うという動きがある ひ な態様の関与を行う、といった行政のや全国の消費者団体のネットワ 1 ク組織まだ、設立準備の段階であり、基金設の り方を意味する。」そして、同報告書でである ( 一社 ) 全国消費者団体連絡会で立時から十分な支援が行えるほどの財源法 は差止請求制度について、「従来は行政は、法人消費者被害防止救済基金を確保できる見通しは立っていないか、
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者裁判手続特例法の概要 年 ) に「グループ訴権、 (l'action de 判決が介在する一一段階訴訟型及び中間的参両議院において法案の審議が行われ、 判決が介在しない一段階訴訟型を組み合同年月 4 日に参議院本会議において可 groupe) を消費法典 (C0de la consomma ・ わせた四類型の手続モデルが提示され決・成立した。 tion) に導入する法律が成立している。 なお、この「グループ訴権ーの制度は、 後述するとおり本法が採用する一一段階型更に、消費者委員会では、平成年川 一一制度の概要等 訴訟制度と類似した制度をその内容とし月から平成年 8 月にかけて、「集団的 ている 消費者被害救済制度専門調査会」 ( 座長・ 制度の枠組み こうした国内外の動向を受け、まず、伊藤眞早稲田大学客員教授 ) が開催さ 消費者裁判手続特例法では、新たな訴 内閣府において、平成年月から平成れ、前述のモデル案のうち、二段階訴訟 訟制度として、前述した二段階型の訴訟 幻年 8 月にかけて、「集団的消費者被害型のオプト・イン型の訴訟制度を新たに 回復制度等に関する研究会」 ( 座長・三創設すべきことを内容とした報告書が取制度を創設することを内容としている。 木浩一慶應義塾大学大学院教授 ) が開催りまとめられ、同月、当該報告書を踏ますなわち、訴訟手続を一一段階に分け、 され、主として国内外の関連する制度のえ制度の具体的な仕組みづくりを進める一段階目の手続において、消費者の利益 現状及び課題、消費者被害の回復のためことを求める「集団的消費者被害救済制を適切に代表することができる者として の新たな制度の創設を検討する上での理度の今後の検討に向けての意見」が消費内閣総理大臣の認定を受けた「特定適格 論的・実務的な課題等について検討及び者委員会より出された。 消費者団体ーが、事業者に対し、相当多 整理がされた。 その後、消費者庁において法制化のた数の消費者に共通する事実上及び法律上 続いて、消費者庁において、平成幻年めの作業が行われ、平成年月に「集の原因に基づき、個々の消費者の事情に Ⅱ月から平成年 8 月にかけて、「集団団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨よりその金銭の支払請求に理由がない場 的消費者被害救済制度研究会」 ( 座長・子」について、また、平成年 8 月に「集合を除いて金銭を支払う義務 ( 以下「共 三木浩一慶應義塾大学大学院教授 ) が開団的消費者被害回復に係る訴訟制度案 , 通義務」という。 ) を負うべきことの確 催され、消費者被害の回復のための新た について、それぞれ公表して意見募集を認を求める訴え ( 「共通義務確認の訴 な制度に関する論点の整理及び考えられ行うとともに、寄せられた意見を踏まえ」 ) を提起することができることとし、 る手続のモデル案が検討された。この手え、平成年 4 月四日に「消費者の財産事業者に共通義務が存することが確認さ引 続のモデル案としては、、 しわゆるオプ的被害の集団的な回復のための民事の裁れた場合には、二段階目の手続として、の ト・イン型及びオプト・アウト型につい 判手続の特例に関する法律案ーが閣議決「簡易確定手続」において、個々の消費法 て、それぞれ、共通争点に関する中間的定され国会に提出された。その後、衆・者から授権を受けた特定適格消費者団体
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者団体訴訟制度の企業活動への影響と対策 図 3 債権届出以降の手続の流れ 認否を争う旨の申出あり を 認 め る 異議の 申立てあり 異議の 申立てなし で 公 一三ロ 定 の 議 易 異 簡 簡易確定決定 全部を認める 認否、又は認 否がない 債権届出 認否を争う旨の申出なし 認否で確定 認否確定 ( 債権届出の全額で 確定 ) 和解も可能 法条 ) をしなければならない。 は認否をしなかった場合は、債権が確定 公表の方法については、インタ 1 ネッする。これに対し、事業者が届出債権の トや事業者の営業所で掲示する方法が条うち一部しか認めなかったり、全部否認 文上掲げられている。具体的な公表の方したりした場合は、債権届出団体 ( 特定 法については、消費者庁の「消費者裁判適格消費者団体 ) が事業者の認否を争、つ 手続特例法第条の規定に基づく相手方か否かの判断をすることになる。 による公表に関する留意事項について」 事業者が届出債権について認否をする を参考にすると良い。 際には、①対象消費者への該当性および 情報開示については、開示すべき文書②届出金額の 2 点を確認し、認否期間内 の範囲を特定するために不相当な費用又に適切な認否を書面で行うことになる は時間がかかるときには開示を拒むこと ( 特例法条 1 項、最高裁規則条 1 項 ) 。対象債権が不法行為に基づく損害 ができる ( 特例法条 1 項ただし書 ) 。 また、開示対象文書に対象消費者以外の賠償請求権である場合 ( 特例法 3 条 1 項 消費者の氏名等が文書中に記載されてお 5 号 ) など、事業者が支払うべき金額を り、かっ、対象消費者以外の消費者の氏容易に把握できない場合には、事業者は 名等を除外することが難しい場合には、債権届出団体 ( 特定適格消費者団体 ) に 除外せずに開示することも検討すること対し、届出債権に関する証拠書類の送付 になる ( 同条 2 項 ) 。なお、特例法条を求めることも考えられる ( 最高裁規則 による情報開示は、対象消費者以外の消条 ) 。 費者についての記載も含めて、個人情報なお、二段階目の手続で個々の届出債 保護法条 1 項 1 号の「法令に基づく場権者との間で和解をすることも可能であ 合」に該当し、同法には抵触しないことるから ( 特例法条 ) 、事業者としては、 2 になる ( 注 6 ) 。 事案に応じて、金額についての和解をす 2 ③債権届出 5 認否 5 認否を争う旨の申ることになろう。 ろ 出 ④簡易確定決定の審理 ひ 債権届出以降の手続については、図 3 前記の手続で確定しなかった場合にの に言載のとおりである は、裁判所が簡易確定決定をすることに法 事業者が届出債権を全部認めた場合又なる ( 特例法条 1 項 ) 。
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者裁判手続特例法の概要 認否を争う旨の申出の書面には、できる届出団体の氏名及び住所、相手方の氏名みなすこととしている ( 条 1 項 ) 。 限り、予想される争点や当該争点に関連及び住所、届出債権の原因等を記載事項 異議後の訴訟 としている ( 規則条 ) 。また、このよ する重要な事実等を記載するとともに、 簡易確定決定に対し適法な異議の申立 予想される争点について証拠となるべきうな届出消費者表の作成に資するよう、 文書の写しを添付し、これらの書面を事裁判所は、債権届出団体に対しては、届てがあったときは、債権届出に係る請求 業者に直送しなければならないこととし出債権を記載した一覧表の提出を、相手については、債権届出の時に、債権届出 ている ( 規則条 ) 。また、債権届出団方に対しては、届出債権の認否の内容を団体 ( 届出消費者が異議の申立てをした 体は、認否を争う旨の申出をするかどう記載した一覧表の提出を、それぞれ求めときは、その届出消費者 ) を原告として、 かを判断するために必要があるときにることができることとしている ( 規則簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの 提起があったものとみなすこととしてい は、事業者に対し、当該届出債権に関す条、条 ) 。 る ( 条 1 項前段 ) 。 る証拠書類の送付を求めることができる簡易確定決定 なお、異議後の訴訟においては民事訴 裁判所は、適法な認否を争う旨の申出 こととしている ( 規則四条 ) 。 があったときは、債権届出を却下する場訟法の規定が適用されることになるが、 国届出消費者表 合を除き、当事者双方を審尋して簡易確原告は訴えの変更 ( 届出消費者又は請求 裁判所書記官は、届出債権について、 額の変更を内容とするものを除く。 ) を 届出消費者表を作成しなければならない定決定をし ( 条 1 項・ 2 項 ) ( 注 8 ) 、 ( れ条 1 項 ) 。届出消費者表には、事業者届出債権の支払を命ずる簡易確定決定にすることができず ( 条 1 項 ) 、被告は による届出債権に対する認否の内容及びついては、裁判所は、必要があると認め反訴を提起することができないこととし 債権届出団体による届出債権に対する認るときは、仮執行宣言を付すことができている ( 同条 2 項 ) 。 ることとしている ( 同条 4 項 ) 。 否を争う旨の申出の有無が記載され ( 条 4 項、条 4 項 ) 、事業者が届出債権の異議の申立て 仮差押え の内容を全部認めたときや団体が認否を簡易確定決定に対しては、当事者及び ワ」 特定適格消費者団体は、当該特定適格 争う旨の申出をしないときには、届出消届出消費者は異議の申立てをすることが 0 つ」 消費者団体が取得する可能性のある債務 費者表の記載が確定判決と同一の効力をできることとしている ( 鬨条 1 項・ 名義に係る対象債権の実現を保全するたタ 有することとなる ( 肥条 5 項、町条 2 項 ) 。この異議の申立てがあったときは、 項 ) 。規則では、届出消費者表において、債権届出に係る請求については、当該債め、保全すべき権利に係る金銭の支払義の 債務名義として必要な事項が記載される権届出の時に、訴えの提起があったもの務について共通義務確認の訴えを提起す法 よう、届出消費者の氏名及び住所、債権とみなすとともに、債権届出書を訴状とることができる場合に限り、民事保全法
特集消費者団体訴訟制度のこれから 適格消費者団体への期待と課題 られているところから、効率的な取組が 決 ) 、理事のうち一人以上は弁護士で 六特定適格消費者団体への支 できると考えられる。 あること。 援 まずは、地方公共団体の消費生活相談 経理的基礎【被害回復関係業務を安 定的かっ継続的に行うに足りる財政基被害回復制度を効率的にかっ、持続的員の方々が、助言・あっせん等での解決 盤を有していること。当該団体の規に活用していくためには、差止請求制度が困難な事案や、相談者の事案は解決し 模、想定している訴訟の件数など業務の場合と同様、消費者行政と特定適格消たが、同じ事業者で同一の原因で被害が の内容、継続的なボランティアの参画費者団体の連携、そして消費者行政によ生じているケ 1 スが多いと考えられる事 案などについて、相談者に特定適格消費 状況、他の業務の収支状況 ( 他業からる支援が必要である。 者団体を紹介していただければと考えて 当該業務への収入補填の見込みなど ) いる。同様の取組は、前述したように、 等を勘案して適正であること。 端緒情報の効率的な収集 差止請求事案についてはすでに少しずつ 報酬・費用【被害回復関係業務に関 して支払を受ける報酬又は費用がある被害回復関係業務においても、その出広がってきており、被害回復制度の対象 場合には、これが消費者の利益の擁護発点は消費者からの被害情報の提供であとなりそうな事案についても敷衍される の見地から不当な報酬又は費用の額でる。消費者被害の内容を聞き、当該事業ことを期待したい。 ないこと。 者が同様の問題を発生させていないか調 その他【被害回復関係業務以外の業査し、当該事案が被害回復制度の対象と 2 情報提供支援 なる事案であるかどうか、原因の共通 務 ( 差止請求関係業務を含む。 ) を行 うことによって、被害回復関係業務の性、被害の多数性、共通義務が確認され特定適格消費者団体が端緒情報を入手 適正な遂行に支障を及ばすおそれがなれば個々の債権額は比較的容易に確定でしたのち、同一の事業者が同じ原因で、 いこと きるか ( 支配性 ) といった観点から、検多くの被害を生じさせていないかの検証 が必要になる。その際、参考となるのが 討する必要がある 消費者被害が広範に早期に集まるのーに入力されている消費生 特定適格消費者団体はこれらの要件を 満たし、前述した特定適格消費者団体には、地方公共団体の消費生活相談の窓口活相談情報である。消費者裁判手続特例 固有の業務である簡易確定手続に係る業であるので、全国の地方公共団体に寄せ法条では、に入力され 、ま 務をはじめとして、被害回復制度に係るられる苦情相談から端緒情報が得られれた情報を被害回復関係業務に必要な範囲ろ 業務を円滑に遂行することが求められば、大きな被害となりそうな事案を優先で特定適格消費者団体に提供できる規定の 法 る。 して検討することができ、制度の活用主がある。現状、情報提供される項目は、 体である特定適格消費者団体の原資も限受付年月、件名、事案概要と受付センタ
特集消費者団体訴訟制度のこれから 適格消費者団体への期待と課題 少ない場合や、相手方事業者が倒産するの内容にそって必要な予算措置及び立法も、制度の活用をすすめ、その成果をひ など回収が困難な場合には、その費用のが行われるよう、消費者庁には更なる努ろくお知らせすることに努め、そのこと 全額を受け取ることができなくなり、特力をお願いしたい。また、悪質事業者対を通じて、行政との連携強化、支援の実 定適格消費者団体に費用負担が生ずるこ策として仮差押えの対象物の特定を容易現をはかり消費者被害の拡大防止・回復 とになる につなげることが重要と考えている にするために、例えば捜査機関から特定 ( いそべ・こういち ) そのような団体側のリスクを考慮し適格消費者団体に対し情報提供ができる て、公的機関による貸付制度には一定のようにするといったことも検討が必要で 場合の返還猶予もしくは免除の措置が組はないかと考える。 み込まれることが望ましい。 七最後に 仮差押えの立担保 消費者庁では、「消費者団体訴訟制度消費者団体訴訟制度には差止請求制度 の実効的な運用に資する支援の在り方にと被害回復の制度があることをご紹介し 年 ( 平てきた。そして前者は適格消費者団体 関する検討会」を開催し、 2016 成年 ) 6 月にその検討会の報告書がと が、後者は特定適格消費者団体が、それ りまとめられた。この報告書では、特定ぞれ制度運営の担い手である。これらの 適格消費者団体が仮差押えの申立てを行制度の公益性を考え、これまでも様々な う場合に必要となる担保について、公的情報面、財政面での行政による公的支援 機関が第三者として立担保を行えるよ、つが検討、実施されてきたが、特に財政面 にする制度の整備が提言されている。悪の支援については、実現のハードルが高 いというのが実情である。団体として自 質な事業者に対し、仮差押えを行い早期 に資産を確保することは、被害回復のたら財政基盤を確立していく努力は必要で あるが、消費者団体訴訟制度を社会的要 めに重要である。 仮差押えの担保金を特定適格消費者団請に応えるように持続的に発展させてい 体自身が拠出することは、被害額が多額くためには、団体自身の努力では限界が に上る事案では困難な場合があると考えあることも事実である。消費者団体訴訟 られ、立担保の制度は、仮差押えを活用制度の公益性について、ひろく国民の皆 していくために必要である。前記報告書様の理解をいただけるよう、団体として 37 ・法律のひろば 2016.12
権 授 、カ 告 公 者 公 費 開 知 通報 届 権 続 債 手 の 団体事業者団体事業者団体裁判所 訴 合 集 簡易確定手続 図 二段階目の手続 目の手続」という。 事業者としては、まずは事案を分析ことになる。 し、特定適格消費者団体等が請求の根拠なお、事前交渉の段階での和解を検討 としている事実関係を確認したうえで、 するにあたっては、特定適格消費者団体 集合訴訟の場面ごとの対応 違法性の有無を検討する。検討の結果、 に秘匿条項が受け入れられず、和解内容 集合訴訟の提起前 確認できた事実関係を前提にすると違法の公表が条件とされる場合があることに ①特定適格消費者団体等からの事前交性はないとの判断になった場合には、特注意が必要である ( 注 3 ) 。 渉 定適格消費者団体等に積極的に説明して②特定適格消費者団体による仮差押え 消費者トラブルが起きた場合、何らの理解を得るよう努めることになる。ま集合訴訟において、特定適格消費者団 事前交渉なく集合訴訟が提起されるのでた、違法性の疑いを否定できない場合に体は仮差押命令の申立てをすることがで はなく、特定適格消費者団体から事実関は、事案の内容や規模、敗訴可能性やレきる ( 特例法条 1 項 ) 。仮差押命令発 係の確認の問い合わせがあったり、消費ピュテ 1 ションリスクなど様々な事情を令の要件として保全の必要性が要求され 者個人から個別訴訟の提起や裁判外での考慮しながら、和解や自主的な被害回復ることは、通常の仮差押えと変わらない 申入れ等がされたりする場合が多いと思 ( リコールなど ) 、指摘を受けた行為の中ため、経営状態の悪化など強制執行をす われる ( 注 2 ) 。 止など、事案に即した適切な対応を取るることができなくなるおそれや強制執行 団体 集合訴訟の提起 一段階目の手続 訴訟における審理 容認判決・ 棄却判決等・ 共通義務を 共通義務を 認める和解 認めない和解 終了 簡易確定手続開始の申立て 団 体 判簡易確定手続開始決定 所 官報公告 認否 認否を争う旨の申出 簡易確定決定 団体・ 事業者・消費者 異議の申立て 異議後の訴訟 訴訟における審理 判決等 法律のひろば 2016.12 ・ 42
又は電磁的方法により通知する ( 条 1 ( 簡易確定手続開始決定の主文、対象債条 ) 。 項 ) とともに、相当な方法により公告し権及び対象消費者の範囲、簡易確定手続なお、裁判所は、債権届出を却下する なければならないこと ( 条 1 項 ) とし申立団体の名称及び住所、届出期間及び場合を除き、遅滞なく届出書を相手方に ている 認否期間 ( 注 5 ) ) を公表しなければなら送達しなければならない ( 肪条 ) 。 ろ ひ 次に、相手方は、対象消費者の氏名及ないこととしている ( 条 ) 。 認否 の び住所等が記載された文書 ( 電磁的記録 相手方は、届出債権 ( 注 6 ) の内容につ を含む。 ) を所持する場合において、届 簡易確定手続 ( 債権届出以降 ) いて認否期間内に認否をしなければなら 出期間中に簡易確定手続申立団体の求め具体的な手続の流れは以下のとおりでない ( 肥条 1 項 ) 。認否期間内に認否が があるときは、開示すべき文書の範囲をあるが、相手方が認否をし、その認否をないときは、相手方において、届出債権 特定するために不相当な費用又は時間を争う旨の申出がない場合はその認否によの内容の全部を認めたものとみなす ( 同 要するときを除き、当該文書を当該簡易り、その認否を争う旨の申出がある場合条 2 項 ) とともに、届出債権の内容の全 確定手続申立団体に開示することを拒むは裁判所が決定 ( 簡易確定決定 ) をする部を認めたときは、当該届出債権の内容 ことができないこととしている ( 条 1 ことにより、簡易・迅速に事案の解決をは確定することとしている ( 同条 3 項 ) 。 項 ) 。これに関連して、簡易確定手続申することができるようにしている。なまた、規則では、事業者の認否は書面で 立団体は裁判所に対し情報開示命令 ( 相お、特別の定めがある場合を除き、簡易行わなければならず ( 規則条 1 項 ) 、 手方が情報開示義務を負い、簡易確定手確定手続については、その性質に反しな かっ、濫用的な否認を防止するため、否 続申立団体に開示しなければならない文い限り、民事訴訟法の規定を準用するこ 認する場合にはその理由を記載しなけれ 書について、その開示を相手方に命ずるととしている ( 条 ) 。 ばならないこととしている ( 同条 2 項 ) 。 旨の決定をいう。 ) の申立てをすること ⑦債権届出 認否を争う旨の申出 ができることとし、その手続等の規定を簡易確定手続申立団体は、対象消費者債権届出団体 ( 注 7 ) は、届出債権が確 置いている ( 四条 ) 。 の授権を得た上で、届出期間内に、債権定したときを除き、届出債権の認否に対 また、相手方は、簡易確定手続申立団届出をする簡易確定手続申立団体、相手し、認否期間の末日から一月の不変期間 体の求めがあるときは、遅滞なく、イン方及び届出消費者並びにこれらの法定代内に、裁判所に認否を争う旨の申出をす ターネットの利用、営業所その他の場所理人や、請求の趣旨及び原因等の所定のることができ ( 条 1 項 ) 、認否を争う において公衆に見やすいように掲示する事項を記載した届出書を裁判所に提出し旨の申出がないときは、届出債権の内容 方法その他これらに類する方法により、 て、対象債権について「債権届出」をすは届出債権の認否の内容により確定する 届出期間中、裁判所による官報公告事項る ( 条 1 項・ 2 項、訂条 1 項、規則 こととしている ( 町条 1 項 ) 。規則では、
月刊法律のひろば バックナンバーのご案内 法律のひろば 平成 28 年 1 1 月号 HOu をに、 UNOH Ⅲ 08A 製 0 れ 20 炻 VO 69 ー、 0- い 、ツルコクからの法第鋼支援ーいを題え 0 ゞを 渋村晴子・日下部員治 加藤新太郎・永石一郎・岡部純子 く座談会 > 現状と課題 日民事尋問における きようせい ◆特集◆民事尋問における現状と課題 ・ < 座談会 > 民事尋問における現状と課題 四 五 七 ・・・加藤新太郎・永石一郎・岡部純子・ 渋村晴子・日下部真治 はじめに 証人尋問・当事者本人尋問の現状 争点整理と民事尋問 陳述書の利用と民事尋問 民事尋問のスキル再考 むすびに代えて 民事尋問の展望 平成 28 年 10 月号・自殺予防対策ー自殺者減少社会の実現へ 平成 28 年 9 月号・刑事訴訟関連法の改正 平成 28 年 8 月号・会社法制をめぐる新たな潮流 平成 28 年 7 月号・セクシュアル・マイノリテイへの現状と課題解決に向けて 平成 28 年 6 月号・出入国管理・外国人との共生 平成 28 年 5 月号・個人情報の利活用と保護 平成 28 年 4 月号・発達障害支援の取組 平成 28 年 3 月号・震災から 5 年一現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 平成 28 年 2 月号・派遣法改正一労働者・企業への影響と今後の展望 平成 28 年 1 月号・性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 平成 27 年 12 月号・日本の知財戦略ー新しい活用に向けた法整備 平成 27 年 1 1 月号・刑事司法と国際協力ー第 13 回コングレス・第 24 回コミッションの成果と課題 編集後 = 民法の成年年齢引き下げの議論が進む 中、社会経験の乏しい 10 代の若者へ の消費者被害の拡大が懸念されている◆ 消費者の保護・救済のため、消費者関連 法の整備が進められているが、まずは被 害にあわないために、次に救済制度を迅 速に活用できるようにするための消費者 教育が必要と思われる。 ( ま ) △年も気がつけば 1 年を振り返る最後 の月◆リオ五輪に感動したのも東の 間、東京五輪問題は 4 年後の開催に不安 を抱かせた◆今年は台風の当たり年、相 次ぐ地震など自然災害の猛威はとどまる ところを知らない◆参院選、都知事選な ど選挙イヤーの締めくくりはアメリカの 「トランプ・ショック」◆隣国トップの スキャンダル、 TPP 問題など、まだま だ「師走」のごとき情勢だ。 は ) 法律のひろば 12 月号 ( 第 69 巻第 12 号 ) 平成 28 年 11 月 25 日印刷 平成 28 年 12 月 1 日発行 編集兼株弌社きようせい 発行所エム 〒 136 ー 8575 東京都江東区新木場 1 ー 18 ー 11 電話販売 03 ー 6892 ー 6666 広告 03 ー 6892 ー 6589 編集 03 ー 6892 ー 6520 フリーコール 0120 ー 953 ー 431 印刷所ぎようせいデジタル株 ◎ 2016 printed in Japan 振替 0019g0 ー 161 旧 SN0916 ー 9806 バックナンバー・購読のお申込み 本誌のバックナンバーや定期購読のお申込み は、以下で承っております。 フリーコール 0120 一 953 ー 431 Web サイト http : ″ gyosei. jp 毎月 1 日発売 / 定価 ( 本体 800 円 + 税 ) / 送料 78 円 年間購読料 10 , 368 円 ( 8 % 税込、送料込 ) ・当編集部では、誌面に関する皆様からのご意見、ご感想をお待ち しております。下記編集部のアドレスまでお願いいたします。 zasshi@gyosei. CO ・ jp 法律のひろば 2016.12 ・ 80
保険判 【控訴審】大阪高裁平成年 7 月日 判決・保険金支払請求控訴事件・一 部認容 一事実の概要 ( 出典【判タ 13 8 4 号 2 3 2 頁ー 2 3 5 頁、自保 18 8 0 号 3 ー 7 本件は、タクシ 1 から降車する際、転 頁 ) 倒して傷害を負ったと主張する歳の 【第一審】奈良地裁葛城支部平成年が、損保会社との間で締結した自動車 間月 8 日判決・保険金支払請求事損害保険契約の人身傷害補償条項に基づ 件・請求棄却 き、 >* に対し保険金の支払を請求したと ( 出典【自保 1880 号 3 ー 7 頁 ) ころ、が、本件はタクシーから降車後 なお、本件判決に対しては、被控訴に発生した転倒事故であり、「自動車の 人より上告および上告受理の申立が運行に起因する事故」ではないから、保 なされたが、 上告棄却及び上告不受険金支払いの対象とはならないと主張し 理がされ、確定した。 ( 最高裁平成て、これを争った事案である。 年 7 月川日決定 ) 第回 保険判例研究会 ドアが閉まるまでは、「運行」として、タクシー から降車直後の転倒は「運行に起因する事故」 として人身傷害保険の適用が認められた事例 藤野健仁 ( 出典【自保 1880 号 3 ー 7 頁 ) ( 三井住友海上火災保険株式会社 ) 保険契約の内容 間で締結されていた保険契約の内 容は、以下のとおりである。 種類家庭用総合自動車保険 (+< 保険期間平成Ⅱ年Ⅱ月 6 日から平 成年Ⅱ月 6 日 契約者および被保険者 の保険契約には人身傷害補償特約 が付されており、その内容は、自動 車の運行に起する事故、自動車運行 中の飛来中もしくは落下中の他物と の衝突、火災、爆発、又は自動車の 落下のいずれかに該当する急激かっ 偶然な外来の事故により、被保険者 が身体に傷害を被ることによって、 被保険者などが被る損害に対し、一 定の保険金を支払うことを主な内容 とするものであった ( 以下「本件特 約」という ) 。 事故状況 ろ ひ >< は、平成年 3 月日午後 9 時この ろ、妻と共に丙川三郎 ( 以下「丙川」と法 いう。 ) 運転のタクシー (m タクシー株