つん と、乗客の降車後の転倒である点に特徴作用により移動 ( エンジンをかけ発進か 「運行起因性」に関して があるところ、第一審と控訴審の「運行ら停車まで ) せしめることとする。 次に「運行によって」の意義につき、 起因事故」の解釈・判断枠組みに相違が②走行装置説は、当該装置を自動車に少数説は、運行「に依って」と解して、 あり、それが判決が分かれた理由でもあ設置されている操行、制動、機関その他因果関係ではなく「運行に際し」事故発 ろ る。 走行に関連する装置 ( ハンドル、プレ 1 生していればよく、運行と事故との間にひ そこで、「運行」ならびに「運行起因キなどを含む ) であると解し、「運行」時間的・場所的接着関係があればよいと 事故 , の意義に関する学説・判例の論議とは走行装置の本来の用法に従い操縦すしている。そして「因って」と解し、運 を概観した上、第一審と控訴審判決を比ることで、自走による走行は不要として行と事故発生との間に事実的因果関係が いる 較検討することとしたい。 あれば足りるとする説と、相当因果関係 ③固有装置説は、さらに範囲を広め、 ( いやしくもそうした行為があれば経験 当該装置を自動車固有の装置と解する見則上そうした結果を生ずるであろうと認 学説 解である。具体的には、走行装置のみなめられる関係 ) が必要であるとする相当 「運行」に関して らず、自動車の構造上設置されている装因果関係説があり、通説は相当因果関係 人身傷害補償条項の「運行起因事故」置のほか、特殊自動車の固有装置 ( クレ説に立っている。 とは、自賠法 3 条と同義である ( 注 1 ) と ーン車のクレ 1 ンなど ) 、トラックの側 通説における近時の議論 解し、そして、自賠法 2 条 2 項は、「こ板・後板等の当該自動車の固有装置の全 の法律で『運行』とは、人又は物を運送部または一部をその目的に従って操作ま通説は、「運行」の解釈につき固有装 するとしないとにかかわらす、自動車をたは使用することをいうとしている。現置説、「によって」の解釈につき相当因 当該装置の用い方に従い用いることをい在の通説である。 果関係説を採用しているが、固有装置説 う」と定める においてもその適用範囲は広狭分かれて ④車庫から車庫説 ( 車庫出入説 ) は、 この「運行」の概念については、周知当該装置を固有装置の総合物で自動車自 いる ( 注 2 、 3 ) 。近時の議論は、①固有装 のとおり、自賠法上も①原動機説、②走体と解し、車庫から出て車庫に戻るまで置の範囲 ( 外延 ) 、② 「運行」とは当該 行装置説、③固有装置説、④車自体説まのすべての走行及び駐停車を運行として装置を「操作 , することか、「使用」で いる たは車庫出入説、⑤危険性説等の諸説が 足りると解するかである。③さらに、運 展開されてきた。 ⑤危険性説は、運行とは、自動車を通行概念が一定の広がりをみせている状況 ①原動機説は、当該装置を原動機装置常の走行に匹敵するような危険性をもっ において、「運行起因性」の判断に「危 と解し、「運行」とは自動車を原動機の状態に置く行為としている。 険性説」の考え方を導入することの是非
保 険判例研究 である。 て使用するものとしている。 3 例 この問題に関し、以下の二つの見解が そして、③相当因果関係の判断につい 提唱されている。第一の見解は、同条項て、前掲第一の見解は、「相当因果関係本件判例と類似する「駐車中の荷積 の文言解釈から固有装置説を堅持しっとは、社会通念上、自動車に内在する危み・荷降ろし中の事故」「駐車中の事故」 つ、自賠法の法趣旨から、危険性説の視険が、それを顕在化しうる行為によっ「降車中の事故」を中心に、自動車事故 の類型ごとに整理し、裁判所の考え方を 点を加味して、固有装置の範囲を画するて、現に顕在化したと言えるか ( 注 6 ) ー としている。また、前掲第二の見解「固検討することとしたい。 見解である ( 注 4 ) 。すなわち、自賠法は、 自動車という危険物を支配するものに実有装置説のうち最広義説をとり、危険性 荷積み・荷降ろし中の事故 質的な無過失責任を負わせるとともに、説のいう危険性の有無は、相当因果関係 自賠責保険、政府保障事業によりその危の判断の際に有力な判断基準とする。 ①【自賠責保険金請求事件】最判昭和 険を填補する手段により、自動車事故の運行があることを前提として、事故との年Ⅱ月日 ( 民集引巻 6 号 918 頁 ) クレ 1 ン車を走行停止状態において、 被害者を救済しようとした法趣旨から、相当因果関係の存否を判断する基準とし い固有装置とは、自動車固有の危険性をて機能させるべきと考える。 ( 注とクレーンで道路脇に転落した貨物自動車 の引き上げ作業中に、クレーンが上空の 内在している自動車固有装置であると解している。 いずれの見解においても、「自動車に高圧線にふれたため、クレーンのプーム し、②「運行」の「当該装置を用い方に から吊り下がっているワイヤ 1 を操作中 従い用いる」とは、行為主体を前提に、 内在する危険の発現又は増大した」こと その者が、自動車の固有の危険性を顕在を相当因果関係の存否のメルクマ 1 ルとの作業員の一人が感電死した事案で、運 化させうる行為であれば足り、操作に限するものであり、自動車の運行に関連し行起因性を肯定した。 定する必要はないとしている。第二の見て発生するさまざまなリスクから自動車この判決がこれまでの原動機説および 解は、保護範囲を限定する機能は、「運固有のリスクに絞りこみ、柔軟な妥当な走行装置説を排し、固有装置説を採用し たリーディングケースとされ、また「運 行によって」によって絞りをかけること 結論を導くものとして保険実務上も受け を前提に、自動車の固有装置一切即ち自入れやすい見解であると考える。これま行によって」の解釈について相当因果関 動車そのものが当該装置 ( 最広義説 ) とでの下級審判決の中にも、これら見解を係説をとったものと理解されている。 解し、固有装置の外延を外し、ほば無制採用したと思われる事例 ( 後掲④ 5 ⑥判②【自賠責保険金請求事件】最判昭和引 12 9 8 号 113 頁 ) の 年 6 月新日 ( 判時 約とする見解である ( 注 5 ) 。客観的外形例 ) が存在している。 木材運搬専用の普通貨物自動車である法 的に観察して当該自動車の本来の利用法 本件車両の側面に横付けしたフォ 1 クリ に従って、当該自動車をその機能に応じ
保 険判例研究 て負傷した事故で、「加害車の運行によら車庫説等「当該装置」を「当該自動車」 に従って操作、使用したことに起因する って新たに付加され、又は増大するに至と解する見解に立てば、路上に駐車中のものとは言い難く、・ : ドアから降車する った危険性に起因して発生したものとい 自動車も自賠法 3 条の「運行」に該当す際、自らの過失もあって、シ 1 トベルト うことはできず、一般の高所作業中の労ることとなる。これに対し、固有装置説に足を引っ掛けて転倒するという、自動 災事故となんら異なるところはない」と ( 狭義説・広義説 ) に立ったときには、車の運行とは直接のかかわりのない原因 して、運行起因性を否定。 自動車の駐車状態そのものが「運行」に によって発生したものというほかはな ④⑤⑥の判例は、、 しずれも貨物自動車当たるとはただちに解し得ない。そこ の荷台で作業中の作業員の転落事故であで、駐車中の自動車との事故における当⑨【搭傷保険金請求事件】最判平成年 る。荷台を固有装置として「使用」して該自動車の「運行」について、駐車状態 3 月 4 日 ( 自保 1963 号 1 頁 ) いたことから「運行中」と解するが、「運ではなく、駐車状態を導いた駐車行為を骨粗鬆症に罹患している歳の女性が 行起因性」については、荷台そのものが「運行」と捉えた上で、事故との相当因ディサ 1 ビス送迎車両からの降車の際、 危険を認めうる状況になく、荷台が転落果関係の問題とするのが、近時の有力説通常はセンターの職員が車両の床ステッ の原因力となっていないことから、貨物である ( 注 9 ) 。 プ ( 地上からセンチメ 1 トルの高さ ) 自動車が本来的に有する固有の危険の発 と地面の間に高さセンチメートルの踏 現または増大という視点からみて、相当 降車中の事故 み台を使用していたが、当日は自宅前の 因果関係がなく、「運行起因性」を否定⑧【自賠責保険金請求事件】静岡地下田平らなところに停車して、踏み台を使用 したものである。 支部判昭和年肥月幻日 ( 金商 804 号せず、職員が手を引いて床ステップから アスファルトの地面に着地したところ、 頁 ) 駐車中の事故 選挙応援演説のため、車両が停車後、右大腿骨頚部骨折の傷害を負った事案 ⑦【自賠責保険金請求事件】大阪高判昭急いで運転席後部の右ドアから降車しょで、運行起因性を否定。 和年 8 月日 ( 判時 1029 号爲頁 ) うとしたところ、運転者用の前座席のシ 、「センタ 1 職員による介助を受けて降 道路の交差点角で違法駐車した加害車 1 トベルトが後方の足元に伸びているの車しており、本件車両の危険が現実化し を追い越した後続車が、対向車 ( 被害車 ) に気づかず、これを右足に引っ掛けて車ないような一般的な措置がなされてお り、その結果、原告が着地の際につまず引 と正面衝突した事故について、停車と事外に転倒し受傷した事故で、運行起因性 故との間の相当因果関係を認め、「運行を否定。 いて転倒したり、足をくじいたり、足腰の 起因性ーを肯定。 「シ 1 トベルトが加害車両の固有装置でに想定外の強い衝撃を受けるなどの出来法 「運行」の意義について、前記車庫かあるといえるとしても、それをその目的事はなかった。そうすると、本件事故は、
保 険判例研究 から、相当因果関係が認められないと判 他の学説 ( 原動機説、走行装置説、危険も全く別のファクタ 1 であり、論理的に つながるものではない。、、 とのような事情示したものであり、判断枠組みとして明 性説 ) では、「走行中の事故」の理由づ けにより、運行中に該当すると解するこがあれば、その「運行」と路上での転倒快である。前掲の下級審判決④⑤⑥とも とができると思われる 事故との相当因果関係があるかについて平仄があうものと思料する は、何ら示されていない ( 注リ。駐停車しかし、第一審の判旨 1 は、あくまで と事故との時間的・場所的近接性を強調原告の予備的な主張に対してのものであ 「運行起因事故」の解釈 し、「運行中ーの事故であれば、すべてり、「降車直後の転倒」の態様等につい 控訴審判決は、「運行」の解釈と「運「運行起因事故、と解するのであれば、「にて具体的な事実認定を行ったものではな 、 0 そこで、控訴審の認定事実に第一審 行起因事故 - の解釈の区分けが必ずしも際して説ーや「事実的因果関係」を採用 の判断枠組みを当てはめて検討すること 明らかでなく判断枠組みが不明確であるしているようにも思われる。 これに対し、第一審は、判旨 1 で、 >< としたい。 ( 注リ。すなわち、「 : ・駐停車中の事故で 高裁判決判旨 2 ①によれば、同午後 9 あっても、その駐停車と事故との時間の予備的主張「降車後の転倒」に対して、 的・場所的近接性や、駐停車の目的、同「運行起因事故」であることを否定して時ころ、タクシ 1 は、らを降車させる ためにの自宅手前の路上で停車した。 いる。「降車後に路上で転倒するという 乗者の有無及び状況等を総合的に勘案し て、自動車の乗客が駐停車直後に遭遇し危険は、自動車の運行と関わりなく一般⑤同所付近の道路は、 >< 自宅方向にかけ た事故については、「自動車の運行に起的に存在する危険である。そして、本件て上り坂になっていて、道路の左端には において、タクシーが、他に駐車可能な約川センチメ 1 トルの段差があったこ 因する事故ーに該当する場合があると解 する。」と判示しているが、「運行」と「運場所がなく、転倒しやすい場所に停車しと、◎ >< は、タクシーの後部左側座に載 行起因事故ーを区別していない。その結て降車せざるを得なかったなど、自動車っていたため先に降車したが、降車後 1 果、本件事案の具体的な当てはめでは、 の運行に起因して転倒の危険性が付加又歩か 2 歩歩いたところで転倒したとあ 「タクシ 1 が目的地で乗客を降車させるは増大したと認められる事情も見当たらる。すると、が両足が路面に着地した ため停車する場合、運転手が座席のドアない。以上によれば、本件事故は、『自タイミング ( 降車行為の途中 ) で、道路 路面の段差に躓いて転倒したのであれ を開け、乗客が全員降車し終わってドア動車の運行に起因する事故』であるとい ば、危険が発現ないし増大したものとしタ うことはできない。」 を再び閉じるまでの間も、自動車の運行 の 第一審判決は、降車直後の転倒事故て、運行起因性が認められる。しかし、 中であるものと解するのが相当である」 律 としている は、運行によって発現または増大された「降車後 1 歩から 2 歩歩いたところで、法 「運行」と「運行起因事故」はそもそ危険性に起因して発生したものではない道路の段差に躓いて転倒した」とあるこ
とから、 >< は、既にタクシーの床フロアし降車終了した時点では、問題がなく、 「自動車の所有・使用・管理」である。「自動車の所有・ ーから足が離れ、は両足を道路面に着 1 2 歩歩いた後に転倒したのであれ使用・管理」は、一般に「運行起因事故」より広い概 2 念と理解されている。 地し、路上への歩行に移行し始めた状態ば、危険が発現または増大したとは言え 0 と判断できる。着地時点で既に身体のバず、単なる路上での転倒事故であり、よ ( 2 ) 坂本倫城「自賠法 3 条の「運行によ。て」をめば ランスを崩していたなどの特段の事情がって相当因果関係は否定されることか ぐる諸問題」 ( 判タ 724 号 ) 「固有装置説のいう当該ひ あれば格別、 >< の降車行為自体が終了しら、運行起因事故とは認定できないと判 自動車の装置という概念は、その内包、外延とも明確表 歩行に移行しておれば、通常タクシーの断する でなく広狭各説ありうる。最広義説 ( 自動車の固有装 運行の影響を脱していると解するのが合 置一切を含む ) をとると、車庫から車庫説に限りなく 近づき、ほほ同一の内容となる関係にある。駐車中の 理的である。したがって、降車後の転倒〔追記〕本稿脱稿後、植草桂子氏の論 自動車の積荷の積み下ろしゃ駐停車状態それ自体を運 は、単なる路上での転倒事故であり、運文「自賠法 3 条の『運行によって』概念 行起因事故ではないと思料する。 行とい、つことができるよ、つになる。」 について」 ( 早稲田法第巻第 3 号 2 016 年 6 月 ) に接した。自賠法 3 条が ( 3 ) 本稿において、固有装置説の狭義説、広義説、最 保護の対象すべき自動車固有の危険の内広義説を次のとおりとする。①狭義説とは、自動車の 3 私見 固有装置の全部または一部をその目的に従って操作す 容・範囲を事故類型別に分析的に検討さ 以上の検討により、私見は、控訴審判れている。本件判例については、降車着るとする説。②広義説とは、自動車の固有装置の範囲 に関し、トラックの荷台を固有装置まで広げて認める 決には反対であり、第一審判決を支持す地時に問題なく、数歩歩いた後に転倒し る。なぜならば、私は、基本的には、「運た場合は、「駐 ( 停 ) 関連危険」は顕在説。③最広義説とは、自動車の固有装置に制約を設け 行」概念につき固有装置説 ( 広義説 ) 、「運化したとは言えないとして、筆者と同じ ず、固有装置一切即ち自動車そのものが「当該装置」 に当たると解する説。 行起因事故 , について相当因果関係説の見解が示されている 立場を正当と考える。したがって、 >< の なお、本稿の見解は、筆者個人のもの ( 4 ) 古笛恵子「運行起因性」 ( 判タ 943 号頁 ) 、中 降車および料金精算を目的とした極短時であり、所属会社の解釈運営とは一切関村修輔「運行供用者責任」 ( 民事交通事故訴訟損害賠 間の停車であることから、前後の走行と係しない。 償額算定基準 2015 年版下巻頁 ) 連続性が認められ、時間的・場所的近接 ( 5 ) 坂本倫城・前掲 ( 注 2 ) ( 注 ) 性のある「駐停車行為」であるとして、 ( 6 ) 古笛恵子・前掲 ( 注 4 ) 「運行中」に該当すると解する。しかし ( 1 ) 「運行起因事故」の約款文言は、自損事故特約、搭 ( 7 ) 坂本倫城・前掲 ( 注 2 ) ながら、足元の悪く転倒しやすい場所に 乗者傷害保険を踏襲している。これに対し、自動車対 ( 8 ) 最高裁判例では、いわゆる平ボディーの荷台につ 駐停車したが、 >< は降車により両足着地人・対物賠償保険、無保険車傷害保険の約款文言は、 いては、まだ固有装置の認定事例はないが、下級審で
フトを用い、荷台上に積載していた原木トが 3 回目の荷降ろしのため本件車両に「本件事故当時、本件車両のエンジンは を荷台上から反対側面下の材木置き場に向かう途中であったなど前記事情があっ切られており、駐車位置は、待機場所で 突き落とした際、通りかかった 6 歳の子ても、本件事故は、本件車両を当該装置あったこと、したがって、本件車両のエ 供が原木の下敷きになって死亡した事故の用い方に従い用いることによって発生ンジンの振動によって転落したとか、駐 ろ で、貨物自動車の運行起因性を肯定。「右したものとはいえないと解するのが相当車していたことによって他の車両の通ひ 枕木が積載されている荷台は、本件車両である。」 行の妨害となって直ちに本件車両を移動 の固有の装置というに妨げなく、また、 以上①②③の判例から、最高裁は、運させる必要があって慌てて転落したなど 本件荷降ろし作業は、直接的には、フォ 行概念について、枕木付きの荷台の固有の事情は存在しないことから、・ : 本件事 1 クリフトを用いてされたものであるに装置性を是認している ( 注 8 ) ことから固故は、本件車両の運行によって生じたあ せよ、併せて右荷台をその目的に従って有装置説 ( 広義説 ) に立ち、装置の「操るいは増大された危険性に起因して発生 使用することによって行われたものとい 作」でなく「使用」で足りるとして、個々したものとは認められず、一般の高所作 うべきであるから、本件事故は、本件車の事案の具体的な事実関係を前提に、運業中の事故と何ら異なるところがないと 両を『当該装置の用い方に従い用いるこ 行との相当因果関係の有無を判断してい 言わなければならない。」 と』によって生じたものということがでると思われる。そして、下級審判例には、 ⑤【自賠責保険金請求事件】仙台高判平 きる。」 前述 2 ③で引用した学説のように、「相成材年 1 月日 ( 判時 1778 号頁 ) 普通貨物の荷台に積み込んだ畳の芯素 ③【自賠責保険金請求事件】最判昭和当因果関係」の判断のメルクマ 1 ルとし 年 6 月間日 ( 民集巻 5 号 414 号 ) て「危険の発現または増大」の視点で検材を工場内で荷降ろし作業中、作業員が 荷降ろし作業終了後直ちに出発する予討した判例がみられる 転落死した事故で、「自動車の荷台の使 定で、一般車両の通行する道路に木材運④【自損事故保険金請求事件】大阪地判用から通常予想されている危険が発現し 搬用の貨物 ( 枕木付き荷台を装着 ) を駐平成年 9 月間日 ( 交民巻 5 号 129 たものとはいうことはできない」とし 車させ、反対側の構内へ木材を搬入する 5 頁 ) て、運行起因性を否定。 ために、フォ 1 クリフトで荷降ろし作業貨物自動車の荷台に貨物を積載して目⑥【自損事故保険金請求事件】東京高判 中、構内から道路へ約 1 ・ 5 メ 1 トル突的地に向け出発した後、荷締めが緩んだ昭和年 3 月日 ( 判タ 644 号 200 き出たフォークに、道路を通過する車両のではないかと気になり、公道上に停車頁 ) が衝突しその運転手が負傷した事故で、 させ、荷締め直しの作業をしていたとこ貨物自動車の給油後のエア抜き作業を 貨物自動車の運行起因性を否定。 ろ、被害者が荷台から転落し死亡した事援助するため、荷台に上がった被害者が 「・ : 本件事故当時、本件フォ 1 クリフ故で、運行起因性を否定。 荷台から降りようとした際、足を滑らせ
消費生活コンサルタント、消費生活専門 請求の趣旨とその理由等 ) を審議議決 三適格消費者団体の行う差止 2 相談員のいずれかの資格を有し、 1 年以 し、差止請求の対象となる行為を行って 請求関係業務 上消費者相談の業務に従事した経験のあ いる事業者に対し、書面で申入れを行っ る者等 ) から意見の聴取をする機会を設差止請求制度に従って適格消費者団体ていく。 ろ ひ けなければならない旨が法定されてい が行う差止請求関係業務は、次のような の 律 る。実際に、消費者から提供された消費流れとなる。 3 差止請求訴訟にいたるプロセス法 者被害情報を分析し、被害の要因となっ ている事業者の不当な行為を特定して差 差止請求制度では、訴訟提起の前に書 消費者被害情報の収集 止請求の対象とし、その差止請求の趣 面での差止請求を行うことを適格消費者 旨・理由を申入れ書面として起案すると差止請求の対象となる事業者の不当な団体に義務づけている ( 消費者契約法れ いうプロセスにおいて、法律専門家及び行為を把握するために、消費者から被害条 ) 。この事前の差止請求 ( 以下「れ条 消費生活の専門家の主体的関与がなけれ情報の提供を受けている。その方法は、 請求」という。 ) を行った後 1 週間を経 ばこれらの業務は実施できない。そし電話や各団体のウエプサイトへの書き込過しなければ、差止請求訴訟を提起する て、これらの専門家の活動はそのほとんみ等による。消費者から提供を受けた情ことができない。さらに、多くの団体は、 どが無償で行われている。差止請求制度報のうち、差止請求の必要があると考え任意の取組として、れ条請求にいたる前 は、専門家の無償の協力により成り立づられる事案については、次の事案検討のに書面で裁判外の差止請求を当該事業者 ている制度と言える。 プロセスに移行していく。 に対し申し入れている。多くの事案は、 適格消費者団体は他の Zæo 法人と同 これらの訴訟前の差止請求の段階で、事 様、会費・寄附金、自主事業、委託事業、 業者の不当な行為の是正が約東され解決 差止請求の要否及び請求内容等 0 をしている 外部助成といった収入の柱をバランスよ の検討 く拡充していくことが課題となっている が、主要な業務である差止請求関係業務事案の検討のために、法律の専門家と 4 差止請求の結果の公表 では収入を得ることはできない。また、 消費生活の専門家が関与する専門委員会 事務局体制、組織体制についても差止請 が団体内に設置されており、専門委員会裁判外の申し入れの段階で不当な行為 求関係業務の実施にその多くをあててい で差止請求の対象となる行為の特定、請 が是正された場合でも、差止請求訴訟で ることから、財政基盤を総合的に強化し求の趣旨及び理由を検討する。そして、 和解又は判決によって不当な行為が行わ ていく手立てがなかなか打てない状況に理事会において、専門委員会から提案されなくなった場合でも、原則として適格 ある。 れる差止請求の内容 ( 対象となる行為、消費者団体は、事業者名も含め差止請求
特集消費者団体訴訟制度のこれから 適格消費者団体への期待と課題 ることが原則となっている の内容と結果を、自団体のウエプサイト は、公益性が高いものと一一一一口える。 一方、消費者被害が広範に早期に集ま で公表している。これは、差止請求の効 るのは、地方公共団体の消費生活相談の 果が、事業者が締結する今後の契約にし 四適格消費者団体への支援の 窓口である。この窓口に寄せられた苦 か及ばず、過去の事案については、被害 必要性 情・相談は、国民生活センターの管理す 者が実質的に差止請求の結果を活用し る全国消費生活情報ネットウークシステ て、みずから無効や取消を主張しなけれ 総論 ム ( — O-z ) に入力されている ば被害回復がはかれないためである。適 格消費者団体が差止請求を行う以前の被高い公益性を有する差止請求制度であが、その件数は 2015 年度には約万 害者も、差止請求の結果を活用できるよるが、この制度が効果的にかっ持続して 6 千件に上っている うに公表している ( 消費者契約法条 ) 。運営されるかどうかは、適格消費者団体全国の地方公共団体に寄せられる苦情 の活動にかかっている。適格消費者団体相談から、差止請求の端緒情報が得られ の活動が効率的にすすめられ、持続性をれば、大きな被害となりそうな事案を優 5 差止請求制度の高い公益性 有し発展していくためには、消費者行政先して差止請求の対象とするなど、消費 このように、適格消費者団体の行う差との連携、そして消費者行政による適格者被害防止の観点から効果的な取組がで きると考えられる。 止請求関係業務は、消費者契約法等の法消費者団体への支援が不可欠である 現状は、地方公共団体の消費生活相談 令に反する事業者の不当な行為を是正す 員の方々が、相談者の苦情・相談を聴い るものであり、将来に向けて消費者被害 2 情報面での連携、支援 て、差止請求の要否を検討したほうが良 の拡大防止をはかるものである。そし いと思われたケ 1 スについては、相談者 て、差止請求の結果を公表することで、 差止請求の検討の端緒となる消費者 に適格消費者団体を紹介する取組が、少 過去の被害者がみずから被害回復をはか被害情報 ることを支援する意味ももつ。また、適差止請求活動の出発点は、消費者からしずつ広がってきている。当機構への情 格消費者団体による差止請求の取組によの被害情報の提供である。消費者被害の報提供も、消費生活センターからの紹介 ワ」 0 CD り、事業者の悪質な行為が早期に消費市内容を聞き、その原因となっている事業が増えてきている さらに、今年 6 月にまとめられた「消 場から排除されることで消費市場の健全者の不当な行為について調査し、差止請 ( 法令を遵守し誠実に事業活動を行っ求の要否を検討することになる。このよ費者団体訴訟制度の実効的な運用に資すろ うに差止請求の検討の端緒となる消費者る支援の在り方に関する検討会」報告書の ている事業者と消費者の需要が結びつ 0 法 では、以下のように提言されている く ) もはかられることになる。このよう被害情報 ( 以下「端緒情報」という。 ) 「現在、国民生活センタ 1 において、引 に適格消費者団体の行う差止請求の取組は、適格消費者団体みずからが、入手す 0 0 0
あなたの欲しい情報をすぐお手元に ! 日本の 法科大学院の 多数が利用 リーガル充実のラインアップを誇る総合法律情報データベース リサーチなり、 TKG ーイプラー 企業法務・弁護士の皆様の実務に最適な情報をさらに充実 ! ー TKC ローライプラリーのコンテンツ構成ー 裁判結果による検索の追加や検索結果一覧における絞込 機能など、目的の判例を効率的に検索できる機能を搭載 しました。 L X / DB インターネット ( 判例 ) 明治 8 年の大審院判例から今日までの判例を網羅的に収 録した日本最大級のフルテキスト型データベースです。 最大収録・日々更新で最新情報をお届けします。 2015 年 8 月提供開始 ! 最高裁判所判例解説 Web 2015 年 8 月提供開始 ! 、 BL / 資料版商事法務 NEVV! NEW! 法曹関係者にとって必要不可欠、 重要な判例解説ついに提供開始 ! 「最高裁判所判例解説」 民事篇・刑事篇全 1 28 最高気所判房 巻に加え、「法曹時報」 第事第 の「最高裁判所判例解 法曹時報 説」に掲載された最新 解説 ( 発刊後 3 か月経過 後 ) も収録します。 刊行 : 法曹会 ビジネスロー分野の最新情報、 参考事例を収録 ! ビジネス関連の立法動向や 実務への影響等々の情報を 掲載しており、ビジネスロー を専門とする弁護士や企業 法務関係者などの多くの方 から要望が寄せられていた 「 NBL 」および「資料版商事 法務」を創刊号から収録しま す。 最新号送付サービスがついています。 刊行 : 商事法務 資料版竇事法務 NBL -249 - い 不載汝第物載物に第ける 脅ー画第宅物度の実宿 第まイ食澱ま改・に第う 事物第′・と第行・第の物を 最高載月所判例 . 民事第 募集中 ! = 全 50 コンテンツが利用可能な無料トライアル受付中 ! 今すぐお申し込みを ! お問い合わせ先 株式会社 TKC 東京本社リーガルデータベース営業本部 〒 162-8585 東京都新宿区揚場町 2-1 軽子坂 MN ビル 5F E-mail:lexcenter@tkc.co.jp フリーダイヤル : 0120-114-094 ( 土・日・祝日を除く 9 : 00 ~ 17 : 00 ) ⅣⅣⅣ . tkc. /稗刀aⅣ刀aⅣ〃b「aⅣ 4 9 1 0 0 8 0 2 9 1 2 6 6 0 0 8 0 0 雑誌 08029-12 Printed ⅲ Japan 2016
ーに登録された情報を整理の特定の行為が差止請求の対象となり得ない。適格消費者団体には、守秘義務が して、消費生活相談件数が急増傾向にあるのではないかと考えた場合、当該事業課せられており、団体自身も相応の検討 る事業者、商品・役務等に関して迅速に者の同種事案について、を経た事案を行政機関に提供しているこ 把握するために作成した指標に基づく情に登録されている情報 ( 件名、相談概要とを考えると、消費者行政機関がどのよば 報を定期的に、関係省庁や地方公共団体等 ) の提供を受けることができる ( 消費うに対処したかについて、公表された事ひ の消費生活センタ 1 等に提供している者契約法鬨条 ) 。 案でなくとも適格消費者団体にフィード律 ( 以下、この情報のことを「急増指標に この情報提供の申請は、これまで書面 バックされることが望ましいと考、んる。 基づく情報」という。 ) 。 で行うよう定められていたが、電子メー このことは、適格消費者団体にとって この急増指標に基づく情報は、消費生ルでも申請ができるように運用の見直しは、より積極的に消費者行政機関に情報 活相談が急増している事業者、商品・役 が行われている。申請方法が改善されれ提供する動機付けともなる。 務等を整理したものであり、差止請求及ば、申請から情報提供までの期間が短縮 び被害回復のための活動の端緒情報となされるので、速やかな事案の検討に資す 財政面での支援 り得るものである。 るものと思われる。 そこで、この急増指標に基づく情報 差止請求関係業務については、通例、 を、地方公共団体の理解を得つつ、利用 適格消費者団体から消費者行政機関その業務を通じてなんらかの収入が得ら できる業務の範囲や方法等を定めた秘密 への情報提供 れるものではない ( 差止請求訴訟の判決 保持に係る契約等を締結した上で、適格適格消費者団体が入手した端緒情報のに相手方事業者が従わず間接強制が認め 消費者団体及び特定適格消費者団体にもうち、差止請求制度によるよりも、行政られた時のみ、団体への収入が生まれ 提供し、差止請求及び被害回復に活用すの持っ権限 ( 特商法、景表法、消費者安る。 ) 。適格消費者団体の主な事業は差止 ることが適当と考えられる。」 全法等に基づく措置 ) による対応の方が請求関係業務であり、それ以外の事業で 急増指標に基づく情報が提供されるよ相応しいものもある。そのような事案に団体運営を支える程度の収入を確保する うになれば、被害の拡大防止の観点かついては、適格消費者団体から消費者行のは困難である。すでに「適格消費者団 ら、差止請求制度がより効果的に活用で政機関に対し情報提供を行う場合があ体の状況」の項目で記述したように、基 きるよ、つになるであろ、つ。 る。この情報提供については、消費者一本的には会費・寄附金で財政を支え、加 般からの情報提供と同様に扱われておえて専門家による無償の協力で差止請求 特定の事業者についての同種事案のり、消費者行政機関がどのように対処し関係業務が支えられている。 情報提供 たか、一般に公表されるケ 1 スでない限 それぞれの専門家は、消費者被害の拡 端緒情報を団体が入手し、ある事業者りは、団体としては把握することができ大防止の意義に共感し、活動に参加いた