特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者契約法改正の概要 図消費者契約法の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 6 ] 号 ) 消費者と事業者との間の情報・交渉力の格差に鑑み、契約の取消しと契約条項の無効等を規定 2 . 契約条項の無効 1 . 契約の取消し く現行規定 > く現行規定 > 消費者の利益を不当に害する条項は、無効 事業者の以下の行為により契約を締結した場合、消費 ①事業者の損害賠償責任を免除する条項 者は取消しが可能 ①不実告知 ( 重要事項 [ = 契約の目的物に関する事項 ] が対象 ) ②消費者の支払う損害賠償額の予定条項 ③消費者の利益を一方的に害する条項 ( 「一般条項」 ) ②断定的判断の提供 ③不利益事実の不告知 【 10 条】①民法、商法等の任意規定の適用による場 ④不退去 / 退去妨害 合と比べ消費者の権利を制限する条項であって、 ②信義則に反して消費者の利益を害するものは無効 く課題 > く改正内容 > く課題 > 高齢者の判断能力の 業者の債務 消費者の解除権を一切、 低下等につけ込んで、 不履行等の場合 認めない条項の存在 大量に商品を購入さ でも、消費者の ( →欠陥製品であっても せる被害事案 解除権を放棄 残金を支払い続ける ) させる条項 ( 例 : 「いかなる場合で ( 無効とする条項 契約の目的物に関し も解除できません」 ) ない事項についての 不実告知による被害 法 10 条の①は明文の規 事案 ( 例 : 床下にシロア 定だけではなく、一般 例示を追加 リがおり、家が倒壊 ) 的な法理等も含むとす る最高裁の判決 取消権の行使期間を ( ※ ) 消費者の不作為をもって意思 経過した被害事案 表示をしたものとみなす条項 〇このほか、「民法の規定による」という文言を削除 〇このほか、取消しの効果についても規定 0 施行期日は、公布日から起算して 1 年を経過した日 ( 平成 0 このほか、消費者団体訴訟制度 ( 差止請求 ) に関する規定が 29 年 6 月 3 日 ) 置かれている く改正内容 > 過量な内容の 契約の取消し 新たな取消事由 重要事項の 範囲の拡大 使期間の伸長 ( 短期を 6 か月→ 年伸 0 任意規定には、法律の明文の規定のみな らず一般的な法理等も含まれると解され ているが ( 賃貸借契約の更新料条項の有 効性に関する最判平成年 7 月新日民集 頁 ) 、この点は改正前 6 巻 5 号 2 2 6 9 の法川条の文言上必ずしも明らかではな かった。そこで、最高裁判例の趣旨を明 らかにするとともに、紛争を予防する等 の観点から、第一要件に該当する条項の 例として、「消費者の不作為をもって当 該消費者が新たな消費者契約の申込み又 はその承諾の意思表示をしたものとみな す条項」を挙げることとした。この条項 に該当するものとしては、例えば、①通 信販売で掃除機 1 台を購入したところ、 当該掃除機が届けられた際に健康食品の サンプルが同封されており、当該掃除機 の購入契約には、継続購入が不要である 旨の電話を消費者がしない限り、今後、 当該健康食品を 1 か月に 1 回の頻度で継 続的に購入する契約を締結したものとみ CV なす旨の条項が含まれていた場合におけ ( 0 0 2 る当該条項や、②一定の期間が定められ 、ま ている雑誌の定期購読契約において、当引 該期間が終了しても連絡がない限り、当の 該契約は更新されるという条項が考えら法 れる。もっとも、この条項は、あくまで
つ、消費者被害ができる限り救済される除されたため他の法律に規定されるよう 認めず、消費者を契約に拘東し続ける条鮖 になった。また、事業者の損害賠償責任項は、消費者が既に支払った代金の返還 よう、短期の取消権の行使期間を「追認 をすることができる時から 1 年間」に伸を免除することの不当性は、その責任がを受けられず、又は、未払い代金の支払 長することとした。 民法の規定に基づくかどうかという法形義務を免れることができないことになる ろ ひ なお、専門調査会の審議を経て行われ式で異なるものではない。これらの点を点で、不当性が高い。そこで、改正法は、 の た消費者委員会の答申において、長期の踏まえると、法 8 条 1 項 3 号及び 4 号の契約当事者の予見可能性を高める等の観法 取消権の行使期間については、資料保管規律の対象を「民法の規定による」不法点から、債務不履行や瑕疵担保責任に基 といった事業者の負担も大きくなると見行為責任に限定すべきではないと考えらづく解除権を放棄させる条項を無効とす 込まれることを踏まえ、現時点では、変れることから、「民法の規定による」とる規定を設けることとした。 更しないことが適当であるとされているいう文言を削除することとした。 なお、改正民法の規律を踏まえ、同法 が施行された時点で、本条の規定も、債 ことから、短期の取消権の行使期間のみ を伸長したものである。 務不履行か瑕疵担保責任かを区別するこ 6 消費者の解除権を放棄させる条 となく、事業者の債務不履行に基づく消 項に関する規律 ( 法 8 条の 2 ) 費者の解除権を放棄させる条項を無効と 5 事業者の損害賠償責任を免除す 改正前の法の下では、消費者契約の条するものに改正されることになる。 る条項に関する規律 ( 法 8 条 1 項が無効になるかどうかは、法 8 条 ( 事 項 3 号・ 4 号 ) 業者の損害賠償の責任を免除する条項 ) 7 法間条第一要件に該当する条項 改正前の法 8 条 1 項 3 号及び 4 号は、 及び法 9 条 ( 消費者が支払う損害賠償の の例示 「当該事業者の不法行為により消費者に額を予定する条項等 ) に該当するものを 生じた損害を賠償する『民法の規定によ除き、消費者の利益を一方的に害する条改正前の法川条は、「公の秩序に関し る』責任」の全部又は一部を免除する条項を規律する法川条によって判断されてない規定」 ( 任意規定 ) の適用による場 項について、一定の要件を満たす場合に 合に比べ、消費者の権利を制限し又は消 は無効としていた。 しかし、「契約後のキャンセルは一切費者の義務を加重する条項で ( 第一要 しかし、代表者の行為による法人の不できません」という条項のように、事業件 ) 、民法 1 条 2 項の基本原則 ( 信義則 ) 法行為責任について、法の立法当時は民者が債務を履行しない場合や、事業者の に反して消費者の利益を一方的に害する 法条 1 項等に規定が設けられていたも給付に瑕疵があり契約の目的を達するこもの ( 第一一要件 ) を無効としていた。 のの、その後の民法改正により同条が削とができない場合でも、消費者に解除を最高裁判例によれば、第一要件にいう
権 授 、カ 告 公 者 公 費 開 知 通報 届 権 続 債 手 の 団体事業者団体事業者団体裁判所 訴 合 集 簡易確定手続 図 二段階目の手続 目の手続」という。 事業者としては、まずは事案を分析ことになる。 し、特定適格消費者団体等が請求の根拠なお、事前交渉の段階での和解を検討 としている事実関係を確認したうえで、 するにあたっては、特定適格消費者団体 集合訴訟の場面ごとの対応 違法性の有無を検討する。検討の結果、 に秘匿条項が受け入れられず、和解内容 集合訴訟の提起前 確認できた事実関係を前提にすると違法の公表が条件とされる場合があることに ①特定適格消費者団体等からの事前交性はないとの判断になった場合には、特注意が必要である ( 注 3 ) 。 渉 定適格消費者団体等に積極的に説明して②特定適格消費者団体による仮差押え 消費者トラブルが起きた場合、何らの理解を得るよう努めることになる。ま集合訴訟において、特定適格消費者団 事前交渉なく集合訴訟が提起されるのでた、違法性の疑いを否定できない場合に体は仮差押命令の申立てをすることがで はなく、特定適格消費者団体から事実関は、事案の内容や規模、敗訴可能性やレきる ( 特例法条 1 項 ) 。仮差押命令発 係の確認の問い合わせがあったり、消費ピュテ 1 ションリスクなど様々な事情を令の要件として保全の必要性が要求され 者個人から個別訴訟の提起や裁判外での考慮しながら、和解や自主的な被害回復ることは、通常の仮差押えと変わらない 申入れ等がされたりする場合が多いと思 ( リコールなど ) 、指摘を受けた行為の中ため、経営状態の悪化など強制執行をす われる ( 注 2 ) 。 止など、事案に即した適切な対応を取るることができなくなるおそれや強制執行 団体 集合訴訟の提起 一段階目の手続 訴訟における審理 容認判決・ 棄却判決等・ 共通義務を 共通義務を 認める和解 認めない和解 終了 簡易確定手続開始の申立て 団 体 判簡易確定手続開始決定 所 官報公告 認否 認否を争う旨の申出 簡易確定決定 団体・ 事業者・消費者 異議の申立て 異議後の訴訟 訴訟における審理 判決等 法律のひろば 2016.12 ・ 42
者の範囲」が特定されているかどうかが体が知りながら、又は容易に知り得たに な和解方法は現実的には受け入れにくい 問題となり、特定されていない場合に もかかわらず、特段の根拠なくあえて訴との意見もある ( 注。 は、多数性、共通性および支配性の要件えを提起する場合である。 を満たしていない可能性が高い。そこ この点、不当な目的でみだりに訴えの ③ニ段階目の手続 で、まずは、「対象消費者の範囲」が客提起等を行うことを禁止する規定 ( 特例①簡易確定手続開始の申立てから簡易ひ 律 観的に特定されているかを検討すること法条 2 項 ) は、訴訟手続に関する規定確定手続開始決定まで 法 になる ではないことから、事業者としては、禁 一段階目の手続が、特定適格消費者団 実体法に関する主張 止事項に違反する濫訴の提起や訴訟活動体の勝訴や共通義務を認める旨の和解の 一段階目の手続でも、共通義務に関すが行われた場合には、監督官庁である消成立によって終了した場合、特定適格消 る範囲では、事実認定および法適用がな費者庁に対して、是正措置を求めること費者団体の申立てにより、一一段階目の手 されるため、事業者は、一段階目の手続などが考えられる。 続が開始される。 において事実の有無や実体法の解釈を争③一段階目の手続における和解 事業者としては、一段階目の手続の終 うことになる。例えば、消費者との契約 一段階目の手続においても和解は可能了後、二段階目の手続の開始までに、 1 条項が消費者契約法川条に抵触しないこである ( 特例法川条 ) 。一段階目の手続人当たりの支払金額や支払総額の算定を とや、同法 9 条の「平均的な損害」につ における和解は、個々の消費者との間の検討するとともに、簡易確定手続開始の いて主張立証する 金銭支払義務についての和解ではなく、 申立てを避けるため、自主的な被害回復 濫訴に関する主張 共通義務という集合訴訟制度に特有の義の実施も検討することになろう。 特例法では、特定適格消費者団体が不務 ( 訴訟上の概念 ) の存否についての和②消費者を募る手続 当な目的でみだりに訴えの提起等を行、つ解となる。そのため、訴訟上の和解とし簡易確定手続開始決定がされた場合、 ことが禁止されている ( 特例法門条 2 て可能な事項は、通常の訴訟よりも限ら裁判所は、公告をする ( 特例法条 ) 。 項、ガイドライン ( 注 4 ) ) 。具体的には、 れ、柔軟性に欠ける点があることは否定また、簡易確定手続申立団体 ( 特定適格 ①消費者の利益の擁護を図る目的がないできない。和解をするかどうか、どのよ消費者団体 ) は、知れている対象消費者 場合 ( 例えば、自己又は特定の事業者をうな和解をするかについて慎重に検討すに対して個別に通知するとともに、公告 利するために、共通義務確認の訴えを提る必要がある する ( 特例法条、条 ) 。 起する場合 ) 、②当該共通義務確認の訴また、集合訴訟の手続内ではなく、集さらに、事業者も、簡易確定手続申立 えが、却下若しくは棄却されることが明合訴訟外で和解をして、集合訴訟を取り団体 ( 特定適格消費者団体 ) からの求め らかなとき、又はこれが容易に見込まれ下げるという方法の和解も考えられるがあるときは、公表 ( 特例法条 ) およ るときであり、かっ、特定適格消費者団 ( ただし、消費者団体からは、このようび対象消費者に関する情報の開示 ( 特例
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者団体訴訟制度の企業活動への影響と対策 絡を受け、必要に応じてリコールできる法に基づく損害賠償の請求については対 1 日以降に締結した契約等については返 金対応をし、それより前の契約等につい ようにしておくこと ( 消費者の被害を回象外となっている ( 注 7 ) 。 ては返金対応をしないという方針は取り 復し、金銭請求権を消滅させることにな づらい ( 注四。そのため、消費者への返 る。また、あえて訴訟が提起されれば濫 四結びに代えて 金は、集合訴訟が適用される範囲よりも 訴となることになる。 ) が有益である。 今後、事業者は、差止請求制度と集合広く、平成年川月 1 日より前に締結し 訴訟制度の両方を見据えた対応が求めらた契約等についても検討が必要となる場 金融 金融関係企業についても、約款を使用れることになるが、実務への影響は小さ合が想定される このように、集合訴訟制度は、それ自 するなど多数の消費者を契約の相手方とくない。例えば、適格消費者団体であっ する場合は、集合訴訟を提起され得るこて、特定適格消費者団体にもなっている体は裁判手続の特例という位置づけでは 消費者団体から ( 注 8 ) 、事業者が定めるあるものの、差止請求制度と相まって、 とに注意する必要がある。 また、金融関係企業が集合訴訟で受け解約違約金条項が消費者契約法 9 条の裁判外においても、それなりの影響を与 得る請求としては、不実告知 ( 消費者契「平均的な損害」を超えるとして、そのえることが想定される。集合訴訟制度が 約法 4 条 1 項 1 号 ) や断定的判断の提供使用の差止めを求められた場合、事業者開始して暫くは、特定適格消費者団体の ( 同項 2 号 ) に代表されるような詐欺的としては、当該条項の使用を差止めるべ数も限られ、また、訴訟提起に伴う特定 な勧誘行為による損害賠償請求などが考きか否かに加え、当該条項に基づいて過適格消費者団体の負担などから、実際に えられる。もっとも、このような請求に去に消費者から支払を受けた解約違約金集合訴訟まで発展する件数自体はさほど ついては、事業者と消費者との契約締結のうち「平均的な損害」を超える部分の多くはないと予想されるものの、事業者 としては、こうした集合訴訟を背景にし 時の状況など個別の事情を考慮しなけれ返金をすべきか否かも検討することにな ばならず、共通性や支配性の要件を満たる。こうした場合における消費者への返た事実上の影響も見過ごせない。 すかど、つかが問題となる。 金対応は、集合訴訟制度の開始前から検以上のような影響も踏まえると、事業 事業者としては、特定適格消費者団体討すべき論点ではあったものの、平成者においては、今後、消費者契約法をは からの問い合わせや請求の内容を吟味し年間月 1 日以降に締結した契約等に関しじめとする消費者法に違反しない約款等 て検討する必要がある ては特定適格消費者団体が集合訴訟を提の策定がこれまで以上に重要となるし、 なお、不法行為に基づく損害賠償請求起して請求できるようになり、請求金額約款や勧誘マニュアルなどに関連するトろ ラブルが起きた場合の初動対応の重要性の ( 特例法 3 条 1 項 5 号 ) については、民の増加も予想されることから ( 注 9 ) 、よ 法 もより一層高まることになる。 法上のものに限られ、金融商品取引法、り慎重な検討が求められることになる。 さらに、近年は、などを介して 金融商品販売法および保険業法など特別この点、事業者としては、平成年川月
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者団体訴訟制度の企業活動への影響と対策 図 1 差止請求の件数と割合 ( 注 1 ) 根拠法令 特商法、 1 3 不当条項規制 8 条 1 項 1 号、 14 8 条 1 項 2 号、 7 8 条 1 項 3 号、 8 条 1 項 4 号、 5 8 条 1 項 5 号、 3 不当勧誘規制 4 条 3 項 2 号、 1 4 条 3 項 1 号、 0 景品表示法、 24 一たよ 間中に中途解約した場合に一定額の違約 三集合訴訟制度が事業者に与 て 金を払う等 ) を有効とした事案 ( 大阪高 っ える影響と対策 わ 判平成年肥月 7 日判時 2176 号芻 変 は 5 平成年肥月に消費者の財産的被害の 頁、平成年 3 月四日判時 2219 号 向 頁、平成年 7 月Ⅱ日 DI ー Law 登載 ) が集団的な回復のための民事の裁判手続の 条後 ある。 特例に関する法律 ( 以下「特例法ーとい 9 の そ う。 ) が成立し、平成年 6 月に消費者 また、消費者契約法川条についても、 る 賃借人がマンションを退去した場合に支の財産的被害の集団的な回復のための民 で払う定額補修分担金条項を無効とした事事の裁判手続の特例に関する規則 ( 以下 純案 ( 大阪高判平成年 3 月日判例集未「最高裁規則、という。 ) が制定され、平 れ 登載 ) があるのに対し、有料老人ホーム成年間月 1 日から集合訴訟制度が始ま 示 を中途解約した場合の入居一時金を返還った。これにより、特定適格消費者団体 、月 が、同日以降に締結された契約等に関し しない合意について、消費者の権利を制 号 3 限し、義務を加重するものでないとしてて、多数の消費者の金銭請求をまとめて 条成 有効とした事案 ( 福岡高判平成年 7 月裁判で請求することが可能となった。差 4 平 日金判 1477 号菊頁 ) があり判断は止請求制度の導入により事業者は消費者 集 問題に対する意識が強くなってはいる 分かれている。 求 適格消費者団体による差止請求がなさが、集合訴訟制度の導入により、今後は 止 れたとしても請求が否定される場合があさらなる対応や、法的な分析・検討が重 差 度 るものの、適格消費者団体がそのような要になってくるものと思われる 訟 以下、集合訴訟の場面ごとに、想定さ ケースで差止請求をするのは、消費者が 訴 体 皀れる事業者の対応を検討するとともに、 当該条項について不満を抱いている可ム月 2 団 0 事業分野ごとのリスクポイントについて 者性が青同いからとい、んよ、つ 消る事業者としては、差止請求を回避する述べる。 庁ら ために、契約内容を法に則ったものにすなお、集合訴訟制度の手続は図 2 のとろ 者え 費考 るだけでなく、その内容を分かりやすいおり 2 段階に分かれているが、共通義務の 表現で記載しておくことは、トラブル防確認に関する手続を「一段階目の手続」、法 典 出 個別の消費者の債権確定手続を「二段階 止の観点から有益といえよう。 一三ロ
も第一要件に該当する条項を例示したもうべきとされている論点については、消 のであるから、改正前の法川条と同様費者委員会において更なる検討が行われ ( 3 ) 法が消費者契約全般に適用されるものであること に、第二要件にも該当して初めて当該条るものとされている。また、国会の附帯を踏まえ、規律の内容を具体的かっ明確にすべきであ 項は無効と判断されることとなる。 決議においても、政府に対し、当該論点るという観点から、必要性の具体的な内容として「当ば について、所要の検討を行った上で、そ該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益につひ 律 いての損害又は危険を回避するために通常必要である の結果を踏まえて、改正法の成立後 3 年 法 8 新たな差止請求の対象 ( 法 と判断される事情」と規定している。 以内に必要な措置を講じることが明記さ 条 ) れている 今般の改正法で新たに意思表示の取消今後の検討課題とされた論点について 事由とされた勧誘行為 ( 法 4 条 4 項 ) 、 は、これらの点を踏まえ検討されるもの 無効とされた契約条項 ( 法 8 条の 2 ) に と考えられる。なお、消費者委員会は、 ついても、法に基づく差止請求 ( いわゆ平成年 9 月 7 日に専門調査会の審議を る消費者団体訴訟制度 ) の対象とされ再開しており、消費者庁も、専門調査会 る。 の審議が充実したものとなるように、弓 き続き協力していく。 四おわりに 改正法は、原則として、公布の日 ( 平 ( 1 ) 「同種」か否かは、当該消費者契約の目的となる ものの種類、性質、用途等に照らして、別の種類のも 成年 6 月 3 日 ) から起算して 1 年を経 のとして並行して給付を受けることが通常行われてい 過した日である平成四年 6 月 3 日に施行 るかどうかによって判断されるものと考えられる。 される ( 附則 1 条 ) 。消費者庁では、今 後も改正法の内容を消費者、事業者、消 ( 2 ) 過量であることは一般的・平均的な消費者を基準 とした規範的な評価であるところ、これを「知ってい 費生活相談員等に周知していくことで、 た」というのは、その評価の基礎となる事実の認識が 消費者被害の救済を適切に図ってまいり あったことを指す。したがって、事業者が、基礎とな る事実は全て認識した上でその評価を誤ったとして なお、消費者委員会の答申において、 も、過量であることを知らなかったことにはならな 今後の検討課題として引き続き検討を行 ( 注 )
特集消費者団体訴訟制度のこれから 消費者契約法改正の概要 例では、仮に事業者による勧誘がなされ状況のほか、たまたま友人や親戚が家にでは過量なものであったとしても、事業 た事例であったとしても、そのを発遊びに来るとか、お世話になった近所の者がそれを知りながら勧誘をしたわけで 売したアイドルのファンである消費者が知人にお礼の品を配る目的がある等の一はないから、取消しは認められないと考 えられる。 購入するような場合には、握手券が付い時的な生活の状況も含まれる。 ているという商品の内容や、そのアイド④消費者の認識は、例えば、普段は一 ルのファンであるという消費者の生活の人暮らしで他人が家に来ることはない消 2 不実告知における「重要事項」 状況を考慮すれば、過量な内容の消費者費者が、翌日友人が川人自宅に遊びに来 ( 法 4 条 5 項 ) 契約には当たらないと判断されることもる予定があるという認識の下で、それに 多いと考えられる。 見合った分量の食材を購入したが、実際法は、「重要事項」について不実告知 なお、前記① 5 ④の要素については次に友人が遊びに来るのは 1 か月後であっ ( 法 4 条 1 項 1 号 ) 又は不利益事実の不 のように考えられる。 たという場合、当該消費者には、友人が告知 ( 同条 2 項 ) があった場合には、消 ①消費者契約の目的となるものの内容川人自宅に遊びに来るという一時的な生費者は意思表示を取り消すことができる として、例えば、生鮮食品のようにすぐ活の状況が翌日のものであるという認識旨を定めている。この「重要事項ーの列 に消費しないと無価値になってしま、つも があったのであるから、これを考慮に入挙事由として、改正前の法は、「物品、 の、布団のように一人の消費者が通常必れた上で、当該消費者にとっての通常の権利、役務その他の当該消費者契約の目 的となるもの [ の「質、用途その他の内 要とする量が限られているものである場分量等が判断される 合等には、当該消費者にとっての通常の 当該消費者契約が過量な内容の消費者容」 ( 改正前の法 4 条 4 項 1 号 ) 及び「対 分量等が少なくなるため、結果的に過量契約に該当した場合であっても、事業者価その他の取引条件 , ( 同項 2 号 ) を定 性が認められやすい。 がその勧誘をするに際して、当該消費者めていた。 ところが、真実に反して「溝が大きく ②取引条件として、例えば、通常は、 契約が過量な内容の消費者契約に該当す すり減ってこのまま走ると危ない、タイ 一つ 100 円の物品と比較すれば一つ川 ることを「知っていた」 ( 注 2 ) ことが、 万円の物品の方が、当該消費者にとって本項の規定が適用されるための要件となャ交換が必要である。」と告げて新しい タイヤを購入させたという被害事例のよ の通常の分量等は少なくなり、過量性はる。したがって、例えば、スー 認められやすい。 ケットに来た一人暮らしの消費者が、大うに、事業者が消費者に対して、その消タ ③消費者の生活の状況には、当該消費量の商品を自らレジに持参し、店員とは費者が消費者契約を締結する必要性を基の 者の世帯構成人数、職業、交友関係、趣特に話をすることなくそれらを買って行礎付ける事実について不実を告げた結法 味・嗜好、消費性向等の日常的な生活のった場合には、仮に当該消費者との関係果、当該消費者が当該事実の誤認によりお
事体のの , 大 し、企業の側もより消費者問題を意識す和 係括 理等度等拡が る傾向が強くなったといえる。なお、こ 2 き管艮 制イ象反 入る す等権金強対違 れまでの差止請求件数は、裁判外のもの 購 , す つな る示行徴のの法 一一差止請求制度が事 問等関 を含めると 3 0 0 件を超えている ( 図ば 係俵執蘇行求同 ろ 訪務に 執青 業者に与える影響と ひ ( 義示 割正へ正 てた の 正付表 , 対策 正被改事改正差つれ 事案の類型別に見ると、消費者契約法律 一改交の設 改産月知月改伴さ 年面品創 年に ~ 一カ 年財 6 県 平成年の消費者契約法の 9 条 1 項および同法川条の事案だけで 2 政四書食の 年府年 8 よ 2 こ定追 行成や ( 度 成置道 改正により、一定の消費者団 00 件を超えており、同法 9 条 1 項の「平 平制定制 法規制な 体 ( 適格消費者団体 ) による均的な損害」や、同法川条該当性が多く 引の法的 措化法弘者琺 取為示元 安事政一 k 務示取費釿求差止請求制度が新たに導入さ争われていることが分かる 商行表一 者者行表義 , 表 , 商消。情 れた ( 平成四年 6 月開始 ) 。 消費者契約法 9 条 1 項については、冠 定誘品っ 費費の品の与品設定格鋿止 特勧食か 消肖へ景制付景創特適 ( 差その後、差止請求の対象が拡婚葬祭互助会事業を営む事業者と消費者 ・し案・ 充され、現在では、 4 つの法との間の互助契約や積立契約を中途解約 係消売 、冫契の に取販 ( 量求 律 ( 消費者契約法、不当景品した場合に、払戻金から所定の手数料を 入約誘 加過註明 購契勧 追、止 類及び不当表示防止法、特定差し引く条項を無効とした事案 ( 大阪高 一三ロ 象て差 商取引に関する法律、食品表判平成年 1 月日判時 2187 号 訪過電 , 等の伴が 示法 ) に基づく様々な行為が頁 ) や、大学受験予備校を営む事業者と 正等正正入定求に為 正丿改入改改導制請正行 差止請求の対象とされてい在学契約を締結した消費者 ( 在学生 ) が 改」年導年年の法止改る し例差年な る。また、適格消費者団体の中途解約した場合に一定期間の授業料を 定民成フ成成消特の囲とた 数も、増加しており、平成返還しないという条項を無効とした事案 平オ平平取続体成象れ 法グ法 , 法約手団平対さ 年Ⅱ月川日現在で団体にな がある ( 大分地判平成 % 年 4 月Ⅱ日判時 新引ン約等引契判者法の加 な取リ契入取量裁費約し追 っている。差止請求制度の導 2234 号四頁 ) 。 主商一者導商過者消契消に の定ク費の定の費格者取象 入によって、個々の消費者だ 他方、挙式や披露宴を実施している事 後特る消し特へ消適費約対 けではなく、消費者団体が事業者と消費者との間で締結した挙式披露 設 庁の 効る 業者との間で消費者問題を争宴実施契約を中途解約した場合のキャン 者ル 実す うことができるようになったセル料条項を有効とした事案 ( 大阪高判 レ ル強み ため、これまで表面化しづら平成年 1 月四日 DI ー Law 登載 ) や、携 体更 一を組 ル性仕 実変 かった消費者問題が表面化帯電話の 2 年縛り契約 ( 2 年間の契約期 = = 恥したい。
が債権の届出をし、債権の存否及び内容うにする観点から、まず、一段階目の手お、この「相当多数」の要件については、 について、事業者の認否又は裁判所によ続 ( 共通義務確認訴訟 ) において、個々共通義務確認訴訟の訴状において、「対 る決定 ( 「簡易確定決定」 ) により確定さの消費者の利益を代表することができる象消費者の数の見込み」を記載し、その せ、簡易確定決定に対して異議がある場適切な者に手続を追行させ、共通する原根拠資料を添付しなければならないこと ろ 合には、更に「異議後の訴訟」において因により事業者が金銭の支払義務を負、つとしている ( 「消費者の財産的被害の集 確定させるというものである。 か否かの判断を先行して確定させた後団的な回復のための民事の裁判手続の特 に、消費者が、自己の請求権についての例に関する規則ー平成年最高裁判所規 このような二段階型の訴訟制度とした のは、以下のような考慮に基づく。 審理・判断を求めて二段階目の手続 ( 対則第 5 号。以下「規則」という。 ) 。 次に、「消費者に共通する事実上及び すなわち、現状の消費者被害において象債権の確定手続 ) に加入することがで は、事業者が消費者に画一的な商品や役きる二段階型の訴訟制度を設けることと法律上の原因」とは、個々の消費者の事 業者に対する請求を基礎付ける事実関係 務を提供することを内容とする事業活動したものである。 がその主要部分において共通であり、か を反復継続的に行うことに伴い、共通の つ、その基本的な法的根拠が共通である 事実上及び法律上の原因に基づく同種の 2 一段階目の手続 ことをいい、例えば、事業者が相当多数 被害が多数の消費者に拡散的に発生する の消費者との間で締結する契約で使用し 共通義務確認の訴え という特性がある。また、事業者が金銭 の支払義務を負うべきこととなる共通の⑦訴訟要件 ( 「多数性」「共通性」「支ている契約条項が無効であることにより 不当利得返還請求義務を負う場合や、事 事実上及び法律上の原因の存在を消費者配性」の要件 ) が明らかにすることに困難が伴う場合が 「共通義務確認の訴え」は、「相当多業者が相当多数の消費者に対して不法行 多い反面、このような共通の原因により数の」 ( 多数性 ) 、「消費者に共通する事為をしたことにより損害賠償義務を負う 事業者が金銭の支払義務を負うことが確実上及び法律上の原因」 ( 共通性 ) に基場合等において、それらの義務を負うべ 認されれば、個々の消費者ごとに判断すづき金銭を支払う義務を負うべきことのきことを確認することが該当する。 また、裁判所は、共通義務確認の訴え べき個別の事項は比較的判断が容易であ確認を求めることとしている ( 2 条 4 り、かっ、消費者ごとに大差がないこと号 ) 。ここで「相当多数」とは、消費者に係る請求を認容する判決をしたとして 被害の特徴や訴訟の効率性の観点を踏まも、事案の性質、当該判決を前提とする か多いという特性もある こうした特性を踏まえ、被害があってえ裁判所において判断されることとなる簡易確定手続において予想される主張及 も回復をあきらめ、いわゆる「泣き寝入が、一般的な事案では数十人程度であれび立証の内容その他の事情を考慮して、 り」に陥ってしまう状態が解消されるよば本制度の対象になると考えられる。な当該簡易確定手続において対象債権の存