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検索対象: 法律のひろば 2016年3月号
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1. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 災害復興、防災・減災におけるジェンダー 付を原則としている被災者支援におい 委員間名のうち女 援を積極的に行い、 六これからの課題 て、被災補償を含め現金給付が可能とな は 4 名 ( 5 ・ 71 % ) 、役職者 ( 委員長、 る。そのためには世帯主要件を撤廃し被東日本大震災から 5 年経ち最も大切な副委員長 ) 名中女性は 2 名 ( 災者に公平に支給される仕組みとすべきのは、防災・復興に関する法律リテラシ % ) である。原発事故にかかる過重な であり、その点からも個人単位の全国共 1 の向上で、「復興ハンドブック」の作災者負担を軽減するための「やさしい原 通被災者台帳の導入が求められる ( 注成とそれらを学ぶ機会の制度化と考え発事故損害賠償申立書」は女性弁護士が る。日本弁護士連合会 ( 以下「日弁連」作成している ( 注間 ) 。先に紹介した「東 という。 ) 相談業務においても、「震災復京都震災復興検討会議」では、有識者 興関連法令」の相談は最も多い ( 注リ。 名のうち女性は 5 名で 2 名は大学の防災 3 男女共同参画社会と被災者台帳 相談の統計は件数と内容のみ公開されて研究者、 1 名は労働分野の研究者、 1 名 被災者台帳については、 2013 年 6 いるが、ジェンダ 1 の主流化を進めるは民間の防災関係者、 1 名は弁護士であ 月の災害対策基本法改正によって、台帳と、今後の災害に備えて女性・男性、年る。このように法律関係者には様々な形 の作成とそれに係る個人情報を利用でき齢等、属性に即した法支援制度の確立、 で支援が求められている ( 注リ。 る旨明記された。阪神・淡路大震災時に事前復興を実現できる 被災者は男性、女性、子ども、高齢者、 「第 4 次男女共同参画基本計画」には、 障がい者、外国人と多様である。だから 西宮市が構築した「被災者支援システ ム」は汎用システムとして進化 司法分野において検察官、裁判官、弁護こそ、弁護士をはじめとする専門家、自 し、全国に無償で公開・提供されてい 士の女性の活躍、ロールモデルとなる女治体職員においては一層の男女共同参画 る。 2016 年 2 月現在 983 の地方自性法曹による教育の重要性が指摘されての実現が切に望まれる。 治体が災害時に運用可能となるインスト いる。 2015 年の日弁連所属弁護士は 1 ルキ 1 の発行を受けている。このシス男性が 2 万 9 7 9 7 名、女性が 6 618 ( 注 ) テムは当初、個人で情報登録した上で世名 ( ・ 2 % ) である。確実に女性の数 ( 1 ) 辻村みよ子「『人権としての平和』と生存権ー憲法 の先駆性から震災復興を考える」「 GEMC journal グ 帯単位ごとにまとめられていたが、 2 0 は増えているが、 5 人に 4 人は男性であ ロ 1 バル時代の男女共同参画と多文化共生』東北大学 12 年にシステムが見直され、個人単位る ( 注 ) 。日弁連は「日本弁護士連合会 00 7 号 ( 2 012 年 ) での運用が可能となった。これによって男女共同参画推進基本計画」を策定して いて、第 2 次計画では、日弁連の活動や ( 2 ) 林春男「災害弱者のための災害対応システム」都ろ 個々人の状況に応じた長期の支援対応が の 市政策別号 ( 期待できるようになった。 具体的事件の処理を通じて社会における 律 ( 3 ) 大沢真理・堂本暁子・山地久美子編「「災害・復興法 男女共同参画の推進に寄与するとある。 災害復興支援委員会は現地での被災者支 Ⅱシンポジウム 5 災害・復興に 2 と男女共同参画」 6 ・

2. 法律のひろば 2016年3月号

央大学大学院公共政策研究科などで、「災 る関直レの総 に個人の生活再建や産業・事業の再生の ス す水で 地の ン っ ) 害復興法学」という講座を開設し、防災・ 場面にそれが顕著であった。これらの課 粋現、比さ住で 振実ら産靱居ル般工 をが生強間べ全 復興教育を展開している。公共政策の実 題は、特に弁護士の無料法律相談を通じ ジ 」住な総る人レ ダ居て内すびる候レ 現には、①生の事実の把握、②課題の発 て顕在化され、克服へと向けて制度改 ろ ン間あ国対及ゅ気 ひ に、り 地性 工人をの 正、法改正、新規立法などが行われた。 見 ( 現行法での対応の限界の発見 ) 、③ の ンび点界害都あ個鋼 及焦世災た 立法事実 ( 政策や法改正の根拠となる社 法制度の変遷と改善によって社会システ 、してるる 0 一に 田都護し応施つじす 会的事実 ) の存在と証明、④政策形成過 ムや国民生活の基盤整備をする活動は、 2 な保減適実沿講対 の能の計 程への関与、などのアプローチが不可欠 まさに、「法的強靭性」 ( リ 1 ガル・レジ め可々に 和入策害 対災 た続人幅緩導 リエンス ) の構築と表現できる。日本に の持る大のを一。急然 発であを動画う緊自 である。それは、害や危機管理の法政 に数変計行のや 策とて同様である来るべき巨大災害に おける災害後の法改正や制度運用改善の 計ト場者候び組をめ害 旨ン立災気及枠施た災 備えて、東日本大震災後の政策実現の軌 軌跡が、災害対策における国際的な叡智 、策災実る連 工な被 可 リ弱ゃ。率政防とす関 となり得るのではないか ( 注 5 ) 。 跡は確実に教訓として残さなければなら 続ジ脆者す効的台定減候 持レび死ら源合仙策軽気 ないと考える。特に、弁護士は、「社会 及る減資総、のを る靱層ょに、すせ理響てる 秩序の維持及び法律制度の改善に努力し す強困に幅含指さ管影いす 一一一災害派遣弁護士の基盤整備 革っ貧害大包目加クのお なければならない」 ( 弁護士法 1 条 2 項 ) 、を増スそに強 変か、災を こ丿ひ々を を全にの失こ という使命を追っていることからも、災 界安でど損でス幅害及国力 災害後の情報整理提供機能と立 でまな済まン大災動の応 世 害復興の政策実現には、弁護士こそ関与 的年害経年工をな変て適 数的候べび の摂災的リ 法事実集約機能 すべきと考えられる。 々包連接ジ件合気す及 災害直後の弁護士の無料法律相談活動 商示 5 には、「パニック防止機能 [ ( 被災地にお 目 目 表 4 法的強靭性 ( リーガル・レジリ いて冷静さと法秩序を取り戻す機能 ) 、 エンス ) の構築 ある。「災害に対する強靭さ ( レジリエ「精神的支援機能」 ( カウンセリング機 2015 年 9 月日の第間回国連総会 ンス ) を目指す」「自然災害に対する強能 ) 、「紛争予防・解決機能」 ( 弁護士が において、「我々の世界を変革する〕持靭性 ( レジリエンス ) 及び適応力を強化繰り返す法律相談の内容が被災地で一つ 続可能な開発のための 2030 アジェンする」など、災害に対する「強靭性」 ( 注の指針となり当事者間で紛争の自主解決 4 ) か明記されている が促進する機能 ) 、「情報整理提供機能」 ダ」が採択された。表 2 は、アジェンダ ( 注 3 ) の中から、災害や防災に関する記東日本大震災後に、既存の法制度では ( 生活再建や復興に関する情報を整理・ 述のある表題や小項目を抜粋したもので克服できない大きな課題が露呈した。特取捨選択して被災者にオ 1 ダ 1 メイドで 0

3. 法律のひろば 2016年3月号

の重要性に鑑みると、このような 期に定めて子の身分関係の法的安後 6 か月程度経たないと懐胎の有ることは困難になったといわざる 立法目的には合理性を認めること定を図る仕組みが設けられた趣旨 無を確定することが困難であり を得ない ができる 加えて、我が国においては、社 に鑑みれば、父性の推定の重複を父子関係を確定するための医療や そうすると、次に、本件規定避けるため前記の 100 日につい 科学技術も未発達であった状況の会状況及び経済状況の変化に伴い 月ニ = ロ が立法目的との関連において蔔 て一律に女性の再婚を制約するこ下において、再婚後に前夫の子が婚姻及び家族の実態が変化し、特 の趣旨にかなう合理性を有すると とは、婚姻及び家族に関する事項生まれる可能性をできるだけ少な に平成期に入った後においては、 評価できるものであるか否かが問 について国会に認められる合理的 くして家庭の不和を避けるという晩婚化が進む一方で、離婚件数及 題となる。 な立法裁量の範囲を超えるもので観点や、再婚後に生まれる子の父び再婚件数が増加するなど、再婚 ア民法 7 7 2 条 2 項は、「婚姻 はなく、前記立法目的との関連に子関係が争われる事態を減らすこ をすることについての制約をでき の成立の日から 200 日を経過しおいて合理性を有するものという とによって、父性の判定を誤り血る限り少なくするという要請が高 た後又は婚姻の解消若しくは取消 ことができるから、本件規定のう統に混乱が生ずることを避けると まっている事情も認めることがで しの日から 300 日以内に生まれち 100 日の再婚禁止期間を設け いう観点から、再婚禁止期間を厳きる。 た子は、婚姻中に懐胎したものと る部分は、憲法条 1 項にも、憲密に父性の推定が重複することを そして、婚姻をするについての 推定する。」と規定して、出産の法条 2 項にも違反するものでは回避するための期間に限定せず、 自由が憲法条 1 項の規定の趣旨 一定の期間の幅を設けようとした 時期から逆算して懐胎の時期を推ない に照らし十分尊重されるべきもの 定し、その結果婚姻中に懐胎した イこれに対し、本件規定のうち ものであったことがうかがわれであることや妻が婚姻前から懐胎 ものと推定される子について、同 100 日を超えて再婚禁止期間を る。このような旧民法起草時におしていた子を産むことは再婚の場 条 1 項が「妻が婚姻中に懐胎した 100 日超過ける諸事情に鑑みると、再婚禁止合に限られないことをも考慮すれ 設ける部分 ( 以下「 ば、再婚の場合に限って、前夫の 子は、夫の子と推定する。」と規部分」という。 ) については、民期間を 6 か月と定めたことが不合 定している。そうすると、女性の法 772 条の定める父性の推定の理であったとは言い難く、このこ子が生まれる可能性をできるだけ 再婚後に生まれる子については、 重複を回避するために必要な期間 とは、再婚禁止期間の規定が旧民少なくして家庭の不和を避けると とい一つことはできない 計算上 100 日の再婚禁止期間を 法から現行の民法に引き継がれた いう観点や、婚姻後に生まれる子 設けることによって、父性の推定 昭和年法律第 222 号による 後においても同様であるが、そのの父子関係が争われる事態を減ら の重複が回避されることになる。 後、医療や科学技術が発達した今すことによって、父性の判定を誤 改正前の民法 ( 以下「旧民法」と 夫婦間の子が嫡出子となること り血統に混乱が生ずることを避け いう。 ) 7 6 7 条 1 項において再日においては、前記のような各観 は婚姻による重要な効果であると 婚禁止期間が 6 か月と定められた点から、再婚禁止期間を厳密に父るという観点から、厳密に父性の ころ、嫡出子について出産の時期ことの根拠について、旧民法起草性の推定が重複することを回避す推定が重複することを回避するた るための期間に限定せず、一定のめの期間を超えて婚姻を禁止する を起点とする明確で画一的な基準時の立案担当者の説明等からする から父性を推定し、父子関係を早と、その当時は、専門家でも懐胎期間の幅を設けることを正当化す期間を設けることを正当化するこ 法律のひろば 2016.3 ・ 78

4. 法律のひろば 2016年3月号

商事法判例研究 ため、 >•< を再任しない理由とはならない が取締役に再任されなかったことによっち最終のものに関する定時株主総会の終 というべきであること、〔 3 〕についてて被った損害額は、につき 1440 万結時へと短縮する旨の定款変更決議を行 も、通勤手当を理由なく受給した期間や円 ( 8 万円 x カ月分 ) 、につき 70 ったときは、任期途中にある取締役の任 その総額については明らかではなく、取 8 万円 ( 四万 5000 円 x カ月分 ) で期が当該定款変更の影響を受け、取締役 締役としての適格性を欠くというほどにあると認められる。なお、 >< らは、上記退任の効果が生じるのかどうか、がまず 悪質な行為であったことを認めるには足各損害賠償金に対する遅延損害金の利率第一に問題となる ( 争点 1 ) 。 りないことから、「会社の上記主張にとして商事法定利率年 6 分の割合を主張第二に、当該定款変更が取締役退任の は理由がない。」「以上によれば、 >< らをしているが、上記損害賠償請求権は商行効果を生じさせるとしても、それが定款 取締役として再任しなかったことにつき為によって生じた債権とはいえないか変更を内容とするものであれ株主総会決 正当な理由があるという会社の主張はら、その利率は民法所定の年 5 分の割合議によるものであることから、取締役の いずれも採用できず、その他にこれを認 によるべきである。」 意思に基づかない任期途中の退任に正当 めるに足りる証拠はない。」 理由が認められない以上、株主総会決議 「そこで、らが被った損害について による正当理由なき任期満了前の取締役 検討する」と、「 >< らは、らが取締役 解任の場合における会社の損害賠償責任 三研究 を退任した日の翌日である平成年 1 月 を定めた会社法 339 条 2 項が類推適用 幻日から本件定款変更前の本来の任期の され、退任取締役が会社に対し地位喪失 本件の問題点と本判決の意義 終期である平成年 6 月末日までの間の の補償を請求できるのかどうかが、問題 得べかりし取締役報酬相当額が損害とな本件は、公開会社でない株式会社 ( 以となる ( 争点 2 ) 。争点 2 については、 る旨主張する」が、「平成年 1 月から下「非公開会社」という。 ) が定款の定解任の場合と同様、会社が残存任期に対 平成年 6 月までの 5 年 5 カ月以上ものめをもって取締役の任期を、選任後川年応する取締役報酬額の全部につき賠償責 長期間にわたって、会社の経営状況や以内に終了する事業年度のうち最終のも任を負うのかどうか、すなわち会社の要 らの取締役の職務内容に変化がまったのに関する定時株主総会の終結時まで伸賠償額の範囲も併せ問題となる。 くないとは考えがたく、らが平成年長している場合において、役員間におい このうち、争点 1 については、「会社 6 月までの間に上記の月額報酬を受領して意見対立がある中で、株主総会におい法の施行に伴う商業登記事務の取扱い。 続けることができたと推認することは困て、支配株主でもある代表取締役と対立ついて」と題する通達 ( 注 1 ) があり、本ろ 難であって、その損害額の算定期間は、 関係にあった取締役を解任する旨の決議判決は同通達に従った取扱いとなる旨をの 法 らが退任した日の翌日から 2 年間に限ではなく、取締役の任期を上記川年から判示している。この点はほば異論がない 定することが相当である」から、「 >< ら選任後 1 年以内に終了する事業年度のうものと考えられるが ( 注 2 ) 、その旨を判

5. 法律のひろば 2016年3月号

示した公表裁判例が見当たらないだけらの会社取締役退任の日の翌日から本る事業年度のうち最終のものに関する定 に、争点 1 について判断を示した本判決件定款変更前の >< らの会社取締役とし時株主総会の終結時まで伸長することが は注目に値する。 ての任期満了日までとする余地はないの認められている ( 会社法 332 条 2 項 ) 。 ば これに対し、争点 2 は、これまでほと かという問題や、あるいは、本判決が判問題は、定款の定めにより取締役の任期 ろ ひ んど論じられたことのない問題点であ示するように、本件における >< らの得べを川年に伸長した非公開会社において、 の る。本判決は、その問題の解決策としてかりし利益の内容を、正当理由のない不定款を変更して取締役の任期を短縮する法 会社法 339 条 2 項の類推適用を認めた再任により喪失した取締役報酬額に相当旨の定款変更のための株主総会決議が有 上で、取締役解任決議ではなく取締役のすると解するのであれば、本件定款変更効に成立した場合に、変更前の定款規定 任期を短縮する株主総会決議により取締により会社の取締役の任期は 1 年に短に基づく現任取締役の任期が当該定款変 役が退任する事案である点を考慮して縮されているのであるから、 >A 会社の要更の影響を受け、当該定款変更後の短い か、不再任に正当理由が認められない場賠償額の算定期間もこれに合わせて退任任期に変更されることになるのかどう 合には、再任の否定によって生じた退任日の翌日から 1 年間に限られると解すべか、である。 この点につき、会社法制定・施行前の 取締役の損害を会社が賠償すべきであるきではないのかという問題が残されてい 実務では、定款変更による役員の任期伸 とする判断を示すとともに、その損害額るように思われる。 これらの点を勘案すると、本判決が争長の場合に、その効果は、特別の事情の の算定期間として退任日の翌日から 2 年 間に限定される旨を判示する。争点 2 に点 2 について会社法 339 条 2 項の類推ない限り、当然に在任中の役員にも及ぶ 関する本判決の判示も、裁判例として初適用を認めたことには賛成できるが、と解され、登記実務上もそのような取扱 いが行われていた ( 注 3 ) 。同様の取扱い めての判断であると思われ、定款変更に会社の要賠償額の算定期間を 2 年間と判 は会社法の下でも行われると解されてお よる任期短縮による取締役退任のケース示した部分は、疑問なしとせず、俄かに り ( 注 4 ) 、その点に異論は見られない。 への会社法 339 条 2 項の射程拡張を認賛成することができない。 めた点に大きな意義が認められる。 この取扱いは、任期短縮の定款変更の場 合も同様であると解されており、当該定 しかし、争点 2 に関しては、会社の要 2 定款変更による取締役の任期短縮 款変更の効力発生時点において現に在任 賠償額の算定期間がなぜ退任日から 2 年 と在任中の取締役の任期への影響 している取締役の任期も連動して短縮さ 間に限定されるのか、その法的根拠が本 判決では明らかにされていない。しか 非公開会社にあっては、監査等委員会れ、当該定款変更の効力発生日に変更後 も、本判決が会社法 339 条 2 項の類推設置会社及び指名委員会等設置会社であの任期が満了している取締役はその日に 適用を認めるのであれば、会社の要賠るものを除き、定款の定めをもって、取退任することになると解されている ( 注 償額の算定期間を本件定款変更による締役の任期を、選任後川年以内に終了す 5 ) 。したがって、本判決が、本件定款

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特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 大震災 5 年一現場が問いかける復興の課題 の中で、移転か残留かといった対立が持られる大規模公園も、その管理に多大な目標通りに進まなければ、その原因の分 ち込まれ、コミュニティの人間関係がズ労力を必要としよう。人口が激しく減る析を踏まえて、今までの取組を改めなけ タズタになっているところもある。 中で、大規模開発に突っ走ることは、大ればならない。原因を究明して、今日の きなリスクを伴う。陸前高田市などで、 課題については軌道修正や方向転換を、 阪神・淡路大震災を上回る区画整理事業明日の課題については体制整備や制度 4 将来への負債 が進められているが、その区画が計画通善をはかるのである。 復興の最大の問題点は、過大な復興事り埋まる保証はない。本来なら利用者が 業を維持管理するコスト負担に、被災自支払うべき下水道料などを、自治体が抱 構想の壁 治体と被災者が押しつぶされかねない、 え込むことになってしまう。復興災害を ということである。阪神・淡路大震災の招かないように、 こうした巨大開発リス現在の困難の原因を明らかにして、 復興でも、大量の公営住宅の建設や大規クに備える必要がある。 善の方向を探ることにしたい。復興を 模な商業施設の再開発は、大きな負債を将来に負債を残しかねないということ げている壁としては、構想の壁、戦略 自治体に押し付ける結果となっている。 では、持続的な地域経済の発展につなが壁、資源の壁、法制の壁などがある ところで、東日本大震災では、建設費なる産業の開発が不十分だということも、 想の壁は、復興のビジョンが、復興の どのイニシャルコストを国が負担すると 問題である。被災地の持っ資源を活用し念や被災の現実、さらには時代の動向 いうこともあって、復興事業の大規模化た産業が育たなければ、グロ 1 バル社会反映したものになっておらず、社会の がはかられている。それは、被災地のニの下での地域の発展は期待できないから革につながるものになっていない、被 ーズに積極的に応えるという面もあるである。今のまま推移すると、巨大開発者に希望を与えるものになっていない、 が、小さな自治体にその維持管理の多大のツケと産業不在のツケを後世に押し付地域の発展につながるものになってい ける結果になってしまう。 ということである。多くの人が被 な力を押し付けるという面も持 0 てい る 地を離れてゆくのは、提起されている 時間の経過とともに公営住宅は空き家 想に期待が持てないからである。復興 四復興を妨げている要因 だらけになるおそれがある。高台やかさ 実現したとしても、生活がとても不便こ 上げ区画には雑草が生い茂ることも危惧 他の施策の実践でもそうだが、命にか なってしまう、自然や歴史と切り離さ ろ ひ される。となると、その維持管理費用をかわる減災対策や危機管理では、 Plan ・ てしまう、生きがいのある仕事が得ら の 律 自治体が抱え込むことになってしまう。 Do ・ Check ・ Action を繰り返すないと、多くの被災者は感じている。 法 市街地に作られる商業ビル、沿岸部に作 < サイクルが欠かせない。減災や復興が それには、十分な議論のないままに「

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ル・ニ 1 ズは、「 5 不動産賃貸借 ( 借家 ) 」 ( 主に賃貸借契約当事者間の賃料・退 去・修繕をめぐる紛争 ) 、「 9 住宅・車・ 船等のロ 1 ン、リ ース」 ( 主に被災によ り支払困難となった所謂二重ローン問 題 ) 、「震災関連法令」 ( 主に生活再建 のための行政給付情報や認定 ) 、「間遺 言・相続」 ( 主に死者・行方不明者のご 家族からの相談 ) が多くなっている。あ らゆるリーガル・ニーズが一度に噴出し 0 ていることが分かる ス済険令金資族続害題人係事等他外ぞ 等一返保法税融親相被 国関刑故の以れ 市資 連 3 な 事そ災そ 訃者働外社 爿流借借係 新離遺費労 9 会 2 所震は 知知の貸貸関・ 5 6 2 分 1 一 / 2 生活再建と復興への対応実績を 減減等賃賃隣防 気 株産産相予 県権権 動動缶 知るー復興政策への弁護士の寄与 預不不責排 城有有 所所 4 5 物害 回 作妨 不船 無料法律相談のデ 1 タ・べ 1 ス化は、 単に被災者の声を記録するだけではな く、地域ごとや時間経過によるリーガ にとって、生活再建や事業再生に少しで内容 ( 震災から約 1 年間のデ 1 タの累ル・ニ 1 ズの違いも浮き彫りにした。ま も役立つ情報の提供は不可欠であった。 計。なお、 1 件の相談を最大三つの類型た、被災者の困難をエピソードだけでは 弁護士は、無料法律相談活動を通じて、 に分類しており、合計は 100 % を超えなく、確固たる件数や数字として視覚化 情報整理提供を実施した。日弁連は、弁る。 ) である。気仙沼市は、当時人口約した。これらは、復興に資する様々な法 護士による無料法律相談の結果を一元的 7 万 3500 人のうち「 1 ・ 9 % 」の方々制度提言の根拠資料となり、災害復興や に集約し、発災後 1 年余りの間に 4 万 3 が死亡又は行方不明となった。災害によ防災・減災に関する多くの法制度が誕生 するに至る。表 1 は、弁護士の関与した ・ 0 % 」に及ぶ。 96 件の相談事例をデ 1 タ・べ 1 ス化しる建物全半壊率が「 た ( 注 1 ) 。 発災時の持ち家率は県下の「市」の中で法改正等のうち主なものをまとめたもの 例えば、図 1 は、被災当時の住所地が は「 ・ 4 % 」と高い。このような被災である ( 注 2 ) 。 宮城県気仙沼であった被災者の法律相談状況を反映してか、気仙沼市のリ 1 ガ東日本大震災直後に応急的に対応する 40.0 20.0 10.8 13.5

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特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 災害時要配慮者への支援と課題 のが「公助の限界」であった。 いないのは、単に避難所に避難できたらに合わせた柔軟な対応が求められると一 そうすると、共助や自助によるある程それで支援が終わりではないことを強調ろであり、災害時要配慮者への配慮Ⅱ特 度の補完が余儀なくされるわけで、地域したいがためである。 別基準の活用といっても過言ではない。 をはじめとした、専門家・支援団体・ポ むしろ、特別基準の活用がなされない一 ランティアによる支援が期待される領域 災害救助法の活用 とによる、脆弱性を帯びた災害時要配 である。ただし、共助や自助を強調しす災害救助法が発動される支援領域にお者の「災害関連死」の発生を防がなけ ぎることによって、国や自治体が本来行 いては、災害時要配慮者への配慮が強くばならない。そのためには、平常時か うべき支援が後退することがないよう求められる。代表的な救助メ = = 1 としの災害救助法に対する知識の共有か不 に、適切な役割分担がなされなければなて、避難所・仮設住宅の供与、食品・飲欠となる。 らない。公助と共助・自助間の「役割の料水の提供、生活必需品の給与・貸与が 「東日本大震災における震災関連死こ 押し付け合い」が起こらないようにしなあり、災害救助法は、災害直後における関する報告 ( 平成年 8 月幻日 ) 」に ければならない。避難支援の場面におい被災者の生存を確保するための法律であると、災害関連死のうちの約 3 割が避 ては地域による共助が注目されるところるといえる。また、法制度上、災害時要所等における生活の肉体・精神的疲労こ であるが、市町村による「問題の丸投げ」配慮者を対象とした福祉避難所・福祉仮よるものであった。このような事態を になっては駄目で、地域による共助を支設住宅が設けられることになっている けて「避難所における良好な生活環境の 援するという意味での公助も重要であ救助の程度、方法及び内容について確保に向けた指針 ( 平成年 8 月 ) 」 る。公助ー共助ー自助をバランスよく配 は、内閣総理大臣が定める「災害救助法策定されている。そこでは、要配慮者こ 置していくという意味での「支援ガバナによる救助の程度、方法及び期間並びに対する支援について言及がなされている ンス」の展開が求められる。ただし公助実費弁償の基準 ( 平成年川月 1 日内閣 地区防災計画 ー共助ー自助間の役割分担については、府告示第 228 号 ) 」があり、「一般基準 , 明確なコンセンサスが存在しているわけと呼ばれている。この一般基準によって 2013 年の災対法改正によって「地 ではない。 は救助の適切な実施が困難な場合には、 区防災計画」の規定が設けられた。災、 支援の方法であるが、①災害前の対都道府県知事は、内閣総理大臣に協議法条 3 項によると、地区防災計画と 応、②災害発生時・直後の対応、③避難し、その同意を得た上で、救助の程度、 は、市町村の一定地区内にいる居住者及引 後の対応といったフェ 1 ズごとに吟味し方法及び期間を定めることができるよ、つび事業者 ( 地区居住者等 ) が共同して行の ていく必要がある ( 注 2 ) 。本稿の題目が になっている。これを「特別基準」という う防災訓練、防災活動に必要な物資及び法 「支援」であって「避難支援」となって災害時には、災害時要配慮者のニーズ資材の備蓄、災害時における地区居住者

9. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 法律家としての支援ー法制度の改善への取組 く叫ばれていたにもかかわらず、実際にるべき点が多い。ところが、改正後に発それが災害列島たる日本の現状である。 は、個人情報保護の過剰反応や、法規定生した災害ではうまく活用されていな法律家がこれと無関係であるはずがな の無理解、硬直的な行政運用等もあっ 、。平成年川月の伊豆大島での大規模 い。法制度の改善に向けて取り組む必 て、避難者・被災者の情報を適切に開示な土砂災害では、町による避難勧告の遅性はいささかも減じられていない。 せず、また、未だに個々の避難者の実情れが発生し、改正法で新設された災害情前述のほかにも、法律家の関与によ を行政が把握できていないという状況を報の即時伝達のスキームが機能しなかって改善された法制度はいくつかある。 もたらした。東日本大震災でも高齢者・た。平成年 9 月の鬼怒川決壊による大発事故の損害賠償請求権の消滅時効に いて、損害が生じたときから川年間に 障害者の死亡率が高率となっているの規模浸水被害では、避難所の運営が劣悪 は、個人情報取扱いに関する失政が一因で、大量に発生した在宅被災者に対して長する「東日本大震災における原子力 といっても過言ではない。日弁連では、早期に食事供与を打ち切るなど、改正災電所の事故により生じた原子力損害に 本人同意を絶対視する行政運用を改める害対策基本法で新設された被災者保護、る早期かっ確実な賠償を実現するため べきことを強く求め、平成年川月には在宅被災者対応の規定が機能しなかっ措置及び当該原子力損害に係る賠償請、 「災害時における要援護者の個人情報提た。たとえ制度改善がなされたとして権の消滅時効等の特例に関する法律」 ( ) 供・共有に関するガイドライン」を策定も、それで終わりではない。これを周知成年 ) は、重要な権利保障の制度で った。 し、第一に同意なく要援護者情報を名簿徹底し、現実に活かすためにはフォロー 前述の被災ロ 1 ン減免制度は、災害、 化する方法の提示、第二に提供を行う際が必要で、法律家としてその作業に関わ の要件の明確化、第三に前提となる概念る可能性が強く示唆されている。 助法が適用される今後の災害にも利用ゞ できる「自然災害による被災者の債務 の整理を行い、支援団体、研究者等の協 力を得て、全国にその周知を図った。災 理に関するガイドライン」 ( 平成年 ) 六未解決の法制度課題 害対策基本法の平成年改正は、避難行 に衣替えし、恒久制度化されることに 動要支援者の概念確立、安否確認等の本 5 年目を迎えたが、これで集中復興期った。いずれも弁護士の働き掛けによ ものである。 人同意不要ケ 1 スを明示列挙し、被災者間を終え次の段階に進めるような状況に 台帳など復興期における個人情報の活用なっているとはとても思えない。津波被 一方で、平成年に成立した「東京 ろ のスタイルを提案するなど、画期的な制災地の復興は道半ばであるし、原発事故カ原子力事故により被災した子どもを ひ の 度改善が行われた。 の被害地は未だ将来を見通すことさえでじめとする住民等の生活を守り支える ' 律 このように災害対策基本法の改正は、 きない。一方で、首都直下地震や、南海めの被災者の生活支援等に関する施策法 中央目線の他の法律と異なり、参考にな トラフ連動地震が刻一刻と迫っている。推進に関する法律」は、理念法として

10. 法律のひろば 2016年3月号

商事法判例研究 変更により >< らの任期が当然に短縮さ① >•< らが、会社取締役就任前に行われして >< らの会社に対する損害賠償請求 れ、本件定款変更の効力発生時に会社た定款変更により川年に伸長された任期権を認める本判決のアプロ 1 チは、基本 の取締役の退任の効果が生じると判示しを前提に同社取締役に選任されているこ的に支持されてよいと考えられる。 たことは、妥当であろう。 と、②故 < の保有していた会社株式を 他方、第二に、本判決は、取締役の任 承継したかららも同社の経営に関与期を短縮する旨の定款変更により現任の する者として同社株式を取得し、同社の取締役が当初の任期の途中で退任するこ 取締役の任期を短縮する定款変更 株主となったことで、合計で 600 株のととなる場合において、当該退任取締役 と会社法 339 条 2 項の類推適用の 同社株式を有することとなったとの間の不再任に正当理由があるときは、会社 可否 で同社の経営管理の方法等について株主法 339 条 2 項の趣旨が当てはまらず、 会社法 339 条 2 項の類推適用間契約と見ることもできる暗黙の合意が同規定の射程が及ばないと判示するが、 の可否 成立していると見ることができること、 こうした判断枠組みは妥当か。このよう それでは、定款変更による取締役の任③しかし、 < の死亡後と >•< らとの間にに不再任の正当理由の有無により会社法 期短縮により当該定款変更前の当初の任おいて会社の経営を巡る対立が生じる 339 条 2 項の類推適用の否定・肯定を 期の満了前に取締役を退任させられること、が >< らに対し取締役の辞任を求め分ける本判決のアプロ 1 チの法的当否 は、会社の要賠償額の算定期間の定め方 ととなった者に、地位喪失に対する法的ていること、及び、④その要請がらに とも関連するだけに、検討を要する問題 補償を与えるべきであろうか。本判決よって拒否されると、その翌月に会社 は、取締役の任期を短縮する旨の定款変において本件定款変更が行われ、 * らにであろう。 少なくとも、本件のように、非公開会 更が行われた場合は、それが当然に、当っいて取締役退任の処理を行っているこ 該定款変更後の任期によれば任期満了と とから、本件定款変更による取締役の任社において取締役の任期を定款の定めに なっている現任の取締役の退任事由とな期短縮は、 >< らに対する事実上の取締役より法律上の原則期間よりも伸長してい ると解する一方で、当該定款変更により解任措置であると考えることができるでる場合には、経営者同士が当該定款規定 当初の任期の満了前に退任させられる取あろう。そうだとすれば、本件定款変更を前提とした株主間契約により相互の地 締役については、株主総会決議による正による取締役の任期短縮の結果として取位を保証し合うとともに、契約に違反し 当理由のない解任の場合と同様に会社に締役を当初予定されていた任期の満了前た場合の賠償額の予定まで取り決めたに 対する損害賠償請求を認めることで、そに自己の意思に反して退任させられ、取等しいと解されている ( 注 6 ) 。また、非一ろ の法的保護を図る旨を判示する。 締役として再任されなかった >< らについ 公開会社においてこの種の定款規定によの 第一に、これを本件事案に即した妥当ても、会社法 339 条 2 項の趣旨が当てり取締役の任期を延長することは、そう法 な紛争処理という観点から検討すると、 はまると解し、同規定の類推適用を肯定することで取締役の地位を安定させるこ