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検索対象: 法律のひろば 2016年3月号
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1. 法律のひろば 2016年3月号

る。原発事故被害は、騒音被害や悪臭被ずであるが、それでも和解案に応じない し、法の支配でもって解決しなければな 害のように、誰にとってもほほ同じよう事案が出てきている。原子力損害の賠償らない事件であるにも関わらす、その溢 な被害をもたらすような被害類型ではな に関する法律 ( 以下「原賠法」という。 ) れるニ 1 ズに対応できていないと感じ 、 0 放射性物質に対する捉え方も人によでは、和解仲介機能しかなく、裁定機能る。このままでは、弁護士等の法律家へ引 って異なる。特に低線量放射性物質の影 かないことから ( 注 5 ) 、東電側があくまの信頼、司法への信頼が失われてしまうの 法 響については、定説もなく、人の主観をで応じなければ、紛争は解決しない。現とまでの危機感を持っている。 通じて危険性が判断される。被害感情も在、集団の申立事案は岐路に立た 人によって大きく異なる。同じ地域であされているといってよい。 4 被害者と弁護士を結びつける っても、各家族のライフスタイルや収 「中間項」の必要性 入、事業者であれば、その事業内容や、 3 社会のあらゆる側面に「紛争の 従前の業績も実に様々であるから、損害 司法過疎地において法律事務所の敷居 火種」 はいまだに高い。弁護士等法律家への「橋 を均一化して捉えることは難しい。本 来、集団 ( 原子力損害賠償紛争解原発事故は、周辺地域社会のあらゆる渡し」が必要である。原子力損害賠償・ 決センタ 1 への集団申立て ) や集団訴訟側面に「紛争の火種」をもたらしたと感廃炉等支援機構の法律相談業務が一定の ではなく、個別の家庭や個別の事業者ごじる。原発事故後の法的ニ 1 ズは、東電成果を上げているのは、橋渡しをしてく とに、別途のや別途の訴訟を展開に対する賠償請求にとどまらない。皮肉れる職員の方々が、仮設住宅回りなどを 二コ、、 ノイー するのが理想であろう。しかし、司法過なことに、賠償金が新たな紛争の火種と 被害者と積極的にコミュニケーシ 疎地では、弁護士の数も限られており、 なり、「二次被害」ともいえる状況が生ョンを取り、法律相談に誘導する地道な 個別的対応には限界がある。さらに、集じている。例えば、賠償金をめぐり、遺努力があるからである。法律相談に導く 団の申立事案では、浪江町の集団産分割事件や成年後見事件等が増加傾向「中間項」となってくれる人や機関が重 ( 注 3 ) に代表されるように、和解にある。既に 6 兆円にも迫る賠償金か、要である。行政機関の相談がいつも予約 案が出ても、東電側がそれに応じないと被害者や被害企業に支払われており ( 注で一杯なのは、無料であることもさるこ 6 ) 、多数の賠償金をめぐる様々な金銭とながら、行政機関の窓口は住民にとっ いう事態も発生している 本来、東電側は、「 5 つのお約東」やトラブルが生じている。そればかりではて気軽な場所であり、行政機関が「中間 「 3 つの誓い」 ( 注 4 ) などとして、原子力ない。復興政策による人と金銭の流れ項ーとなってくれているからである。今 が、新たな紛争や法的ニ 1 ズを生じさせ後、被災自治体と法律家との連携がより 損害賠償紛争解決センタ 1 の仲介委員が 提示する和解案を尊重する義務があるはている。本来、弁護士等の法律家が活躍一層重要となってくる。

2. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 法律家としての支援ー法制度の改善への取組 震災でも指摘され、平成肥年には国会にめの給付金に対する差押禁止の法律も手ら被災事業者に対する被災債務を買い 議員提出法案として提出されたこともあ当てされた ( 「災害弔慰金の支給等に関り、そして、同機関が債権者として被く . り、実は既存の立法課題であった。それする法律及び被災者生活再建支援法の一事業者の債務を減免・猶予するとと がきちんと手当てされずに放置されてい 部を改正する法律」、「東日本大震災関連に、新たなファイナンスを実施して再 たところ、東日本大震災を契機に立法措義援金に係る差押禁止等に関する法を支援するという仕組みである。もう一 置されたのである。 律」 ) 。これまで手薄であった私法分野に つは、個人被災者向けの対策である「 同じように既存の課題を解決した立法おける有効な保護措置だったといえる 人債務者の私的整理に関するガイドラ がいくつかある。被災者の当面の資金需特に大きなインパクトが感じられたのン」 ( 通称「被災ロ 1 ン減免制度」 ) 。こ 要に応えるための災害援護資金貸付の制 は二重ローンに係る制度改善である。二れは立法措置ではなく、金融庁が立ち 度があるが、平成年 5 月に制定された重ロ 1 ンとは、災害発生前から抱えてい げた任意の債務整理の仕組みであるが、 「東日本大震災に対処するための特別のた債務が残存したまま、新たな債務を負このシステムを実施・運営するために訊 財政援助及び助成に関する法律ーによ担することをいうが ( 日本の基本的法制けられた個人版私的整理ガイドライン り、従来は借入れに当たって、保証人をはリコースロ 1 ン型であるから、例えば営委員会が主導し、登録専門家 ( 主に 立てるとともに、年 3 % の利息が課さ住宅ロ 1 ンで担保物件である住宅が滅失護士 ) が関与して支援することにより、 れ、かっ、免除事由が極めて限定的だっしても被担保債権はそのまま残存するこ破産手続等の法的手続を経ずに、被災 たところ、今回は、保証人不要で年 1 とになり、二重ローンのごとき事態が発に破産と同等の債務減免の効果をもたら 5 % 、あるいは保証人を立てれば無利生してしまう。 ) 、まずは被災した既存債すというものである。雲仙から年越し 息、免除要件も弾力的なものに改正され務を何らかの方法で減免できないかとい の課題に一つの回答が出されたことにな た。被災者にとっては現実的にとても助う問題意識が、平成 3 年の雲仙普賢岳噴る。 かる制度改善である。これは、阪神・淡火災害を発端に、長く提唱され続けてき 路大震災で災害援護貸付の利用者の滞納た命題であった。 三法律家の果たした役割 が大量に発生し、市町村が多額の不良債東日本大震災では、一一つの措置がなさ 権を管理することになって社会問題化しれた。一つは、事業者向けの対策として弁護士や研究者等の法律家にとっての ろ ていた震災課題を踏まえたものであっ 立法された平成年Ⅱ月公布の「株式会「法制度改善」とは、平時においては、 社東日本大震災事業者再生支援機構法」具体的な事件を通じて浮かび上がった立の 平成年 8 月には、弔慰金や支援金、 である。これは、同法に基づく事業者支法命題について、判例や学説を丁寧に検法 義援金などの被災者の生活再建支援のた援機関を立ち上げ、同機関が金融機関か討して、求められるニーズに応えつつ法

3. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 法律家としての支援ー震災後 5 年の被災地の現状と法的ニーズ 内の住民の中では、今のところ少数であのみならず、スリ 1 マイル島原発事故 5 「原発城下町」における裁判の る。 メキシコ湾原油漏れ事故の事故処理など 難しさ を参考に、比較法的にも研究され、新た 「原発城下町」特有の問題として、東 な大量被害の解決のための法制度が構築 6 大量被害の解決手段の欠如 電に「一定の恩恵」を感じていた人が相 されることを期待したい。 当数を占める中で、本格的な訴訟を展開集団による申立てが各地で行わ することに難しさを感じる。もともと原れている。しかし、被害者の救済のため 三金銭では補境できない絶、 発立地地域は、「冬は出稼ぎに行くしか に、このような方法が闘い方として理想 的損害 ない町 , であった。ところが、原発の導的とは思っていない。集団申立ての場 入により当該地域は一変した。今考えれ合、どうしても被害者に共通する損害 ( 精原発事故による強制避難は金銭では、 ば「一炊の夢」であったが、過去鬨年間、 神的損害など ) のみを抽出して申立てをして補瞋できない大切なもの ( 生命・ 出稼ぎに行かなくても、都会と同じだけ 行う必要がある。しかし、前述のとおり、 体・人生設計・環境・地域コミュニテ の給与を出してくれる存在が東電であっ原発事故の被害の現れ方は、各家庭、各など ) を徹底的に破壊し、それは日々、 た。事故前は「東電は神様だ」と話して事業者によって実に様々である。本来な避難者の基本的人権を侵害している。 いる事業者や住民もいた。親戚・知人にらば、各家庭や各事業者それぞれに担当 強制避難中、避難弱者 ( 高齢者など ) は、必ずと言っていいほど、東電の関係弁護士 ( ファミリーロイヤ 1 ) が就き、 は次々に命を落としてきた。被災 3 県 ( 山 者がおり、その関連企業で働く者も多か被害の実情をしつかりと聞き取り、分厚手・宮城・福島 ) の中で、福島県だけゞ った。 い陳述書を作り、個別にや訴訟の関連死数が直接死を上回っているのは、 今回の事故で強制避難することとなっ申立てをするのが理想であろう。しか 強制避難と避難生活の長期化、避難生、 た住民は、大きな被害を被っているが、 し、司法過疎地ではそれは無理なことで による日常生活の不活性化に原因が こちらから「闘いましよ、つ」といっても、 ある。日本には、クラス・アクションのる。原発事故の場合、「震災関連死」オ 「親戚に迷惑がかかるといけないから : ような法制度は存在しない。原発被害のどと呼ぶべきではなく、直截に「原発 ・ : 」と躊躇してしまう相談者もいる。東ような大量被害処理をどのように迅速・故原因死」とでも呼ぶべきであろう。 電の「絶対安全 , との説明に「裏切られ公正・的確に処理するかは、立法措置を避難者の日常生活は阻害され続けてい引 た」との思いはあっても、一定程度の賠含め、今後の大きな課題である。福島原る。ストレス、怒り、諦め、絶望などのの 償が補償された中で、訴訟を提起し本格発事故を契機に、大量の被害をどのよ、つ心労が重なり、心身の健康を害している法 的に闘おうとする住民は、特に避難区域に処理するかについて、今回の事故処理人も数多く存在する。一一間しかない仮凱一引

4. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 大震災 5 年一現場が問いかける復興の課題 の復興まちづくり協議会に継承され、そ 4 法制の壁 明日の課題 の復興まちづくり協議会が役割を終えた 法制の壁は、復興にかかわる既存の法南海トラフ地震や首都直下地震などの後には減災まちづくり協議会に転換する 制が、被災の実態に合っていないという巨大災害に備えるためには、東日本大震という「まちづくりサイクル」を確立し ことである。前例のない事態を引き起こ災の復興で明らかになった問題点を事前たい システムでは、法制と体制という二つ す災害の進化には、既存の制度では対応に解消しておく必要がある。事前の備え のシステムを事前に整備することが欠、 しきれないという、災害関連法制度が宿や構えということで、復興に欠かせない 命的に持っ限界がある。つまり、既存のビジョンとプロセスとシステムを、東日せない。法制では、阪神・淡路大震災や 法制で対応できないことがしばしば起き本大震災に学んで作っておかなければな東日本大震災で顕在化した法制の不備を 解消することが課題である。ここでは、 るので、「後だしジャンケン」という誹らない。 ビジョンについては、災害が起きてか災害救助法と災害対策基本法の県と市既 りを覚悟して新たな制度的枠組みを作る か、既存の制度を弾力的に運用して実態らでは遅いので、事前に目指すべき地域村の権限と責任のねじれを解消する一 に合わせる努力をするしかないのであ像を地域で議論しておき、その実現のたと、また不完全な災害復興法の充実強 る。 めに日ごろから取り組んでおかないとなをはかることが求められよう。前者の 今回の震災では、集団移転や危険地域らない。そのときに、人口減少時代ある題では、法成立の時代背景から災害救 指定などにおいて、既存の制度を杓子定 いは地球環境時代における社会の方向性法では県に権限を与え、災害対策基本、 規というか、誤って運用しているためをしつかり確認しておく必要がある。そでは市町村に責任を課しているが、防 は自治の原点という視点から、市町村 ~ に、復興事業が大幅に遅れて被災者に苦こでは、自律分散社会、環境共生社会、 痛を強要する結果になっている。復興の持続発展社会といった地域像を視野に入十分な権限を与える方向で改善する必 がある 本来の目標や被災者支援の原点に立ち戻れておきたい。 プロセスでは、まちづくりにおける協そのほか、被災者生活再建支援法が って、制度の形や運用の在り方を考えな ければならない 働連携や合意形成の習熟に努めておく必宅再建の支援に特化していて、生業再 要がある。防災面では地区防災計画の作を含む生活全般を支援するものになっ ろ いないことなど、個別の法律を見ても 成と実践を皆で進めること、まちづくり ひ 五明日と今日の課題の解決 面では行政、コミュニティ、企業、 Zæ十分なところが多々存在している。防いの 以上の問題点の考察を踏まえて、最後 O の協働による取組を進めることが欠か集団促進移転事業も、もともとは不便法 せない。減災まちづくり協議会が災害後山間部から便利な市街地部に移転する一 にこれからの課題を整理しておこう。

5. 法律のひろば 2016年3月号

とを前提にしており、東日本大震災のよで被災地の復興にかかわっていこうとすの展望が見えてくるはずである。 うな便利な市街地から不便な高台に移転る人々がいる限り、絶望していてはいけ ところで、震災 5 年は大きな節目であ することを前提にしていない。その結ない。 る。私は、復興をリセットする「再復興 果、商業施設の移転が認められないとい これからの復興を考えるとき、希望の元年」だと考えている。内外の専門家の引 う問題がある。そこで、こうした法制上光が四つある。その一つは、今の被災地カも借りて客観的で自省的で全面的な検の 法 の不備や問題点の改善をはかることが求にあって素晴らしい復興を遂げつつある証をしなければならないと思っている められる。同時に、新たな事態に弾力的先進事例とその教訓である。行政と住民批判も恐れずタブ 1 も回避せず、被災者 に対応できるよう、運用上の配慮も必要が相互信頼のもとに協働する、コミュニ全てが参加し議論をして、希望を共有で となってくる。 ティの維持と再生を大切にする、地域のきる復興計画を作り直すのである。その 体制の問題では、復興災害対策本部の資源を生かした産業の創造に努める、中中から、大学等の教育研究機関の集積を 構成や機能の充実をはかること、行政と学生や高校生を核にしたまちづくりを進はかる、ジオッ 1 リズム、震災ッ 1 リズ 被災者の仲介や調整をはかる中間支援組めるといった、教訓に学ぶことが欠かせム、帰郷ツーリズムの拠点を作るといっ 織を設置すること、建築士や弁護士など ない。二つ目は、復興の支援に内外からたアイディアも出てこよう。 の職能を持った専門家が復興に組織的に駆けつけてくれた支援者とのネットワ 1 その次の復興計画が定まるまで、住宅 関われる仕組みを作ることなどが課題と クである。そのネットワークを軸とした再建や生活再建は急ぎつつも、防潮堤の なる。ここでは、行政、コミュニティ、 多元的なまちづくりを進め、交流人口の建設やかさ上げなどの大規模事業は凍結 したい。絶望を希望に変えるためには、 企業、のパートナ 1 シップによる積極的な受入れによる活性化を目指す。 協働の正四面体を作ることが鍵となる。 地方創生や観光復興を協働事業として実思い切った軌道修正が欠かせないから 践することも考えられよう。三つ目は、 だ。東北の被災地の今日の課題を解決せ 被災地がもともと持っている素晴らしいすして、明日の課題の解決はありえな 2 今日の課題 自然と文化である。被災地自身がその素 い。今一度、東北の被災地のために何が 今日の課題については、その解決方向晴らしさを再評価しつつ、それを生かしできるかを、社会全体で考えなければな を容易に見いだせないということで、後たツ 1 リズムや観光を基幹産業として再らない。 ( むろさき・よしてる ) 回しになってしまった。巨大な防潮堤の構築することである。最後の四つ目は、 建設や大規模なかさ上げ工事を見ると、被災と復興で呼び覚まされた被災者の故 まちづくりの専門家である私でさえ言葉郷に対する熱い思いである。その熱い思 を失ってしまう。とはいえ、そこに住ん いを持ち寄って知恵を出し合えば、未来

6. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 法律家としての支援ー震災後 5 年の被災地の現状と法的ニーズ 法律家としての支援 その司法過疎地において、ひとたび 発事故が発生すれば、多くの法的ニ 1 ー震災後 5 年の被災地の現状と法的ニーズ言 は生ずるものの、被害救済に対応でき だけの弁護士等の法律家が足りないとい 福島県弁護士会弁護士渡辺淑彦う事態となる。初期段階で、加害者が 意に賠償金を支払う段階までなら法律 そうすると、わずかな距離の違いで、 は不要である。しかし、今、 5 年を経て、 一はじめに 賠償金の支払額に大きな格差が生じ、避まさにこの地で見られているように、 原発事故による被害を賠償という観点難者同士や、避難者とその受入れ住民間害者側の一方的判断で、営業損害や就。 から見ると、避難指示区域 ( 帰還困難区に、 見えない心の分断や軋轢が生じるこ不能損害などの継続的な賠償が打ち切 域・居住制限区域、避難指示解除準備区ととなり、「二次被害」ともいえる状況れようとしている。今こそ、法律家が 域 ) の住民や事業者に対しては、東京電を生じさせているのである。 極的に活動し、被害救済のために闘う が来ている。ところが、現地で、その カ株式会社 ( 以下「東電」という。 ) は、 「それなりの賠償」を任意に支払ってき うな活動をする弁護士等の法律家が足 ニ原発事故と司法アクセス たのに対し、それら以外の住民 ( 旧緊急 ない。それは被害者を泣き寝入りさせ 時避難準備区域の住民や自主的避難等対 ことに等しい。どんなに立派な法律が 原発立地地域 = 司法過疎地 象区域の住民、その他の福島県を中心と っても、法律を使う人 ( 法律家 ) がいオ する住民 ) に対しては極めて低額かゼロ 原発の立地地域は、ほほ間違いなく司ければ、それは画餅にすぎない。司法、。 のままの状態が続き、事業者に対して法過疎地域でもある ( 注 1 ) 。原子炉の設疎とは、平等に適用されるはずの法 , は、次々に営業損害に対する賠償の打ち置のための適地条件を定めた「原子炉立が、その地には空洞のように存在しな、 切り策が進められている状況にある。 地審査指針」 ( 注 2 ) には、原発を立地すことを意味するのである。 そもそも政府の避難指示区域区分と、 るための条件として周辺地域が「低人口 ろ 損害賠償の発生の範囲とが一致するはず地帯」であることが規定されている。原 ひ 個別性の高い損害の現れ方と の もないが、東電 ( その背後の政府 ) は、発立地地域が、司法アクセスという意味 律 の解決の難しさ 法 避難指示区域区分ごとに賠償金額に差をでも不十分な「司法過疎地」でもあるこ 設け、その例外をほば認めようとしない。 とは、いわば必然の結論であるかもしれ原発事故の損害の現れ方は様々で四

7. 法律のひろば 2016年3月号

特集震災から 5 年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 災害復興、防災・減災におけるジェンダー 的対応、地域防災の現状、「男女共同参給与、政治・意思決定機関参画の低さが復興計画策定委員会には女性 0 名の委員 画の視点からの防災・復興の取組指影響しているためである。日本の衆議院会が九つある。 % を超えている委員会 針」、法律、通知、統計や様々な取組、議員における女性の割合は 9 ・ 5 % 、参は「 0 」で、全ての委員数合計の 75 情報が掲載されている。一方で、復興庁議院では新 ・ 7 % ( 2 015 年 ) と低い。 1 名のうち、女性は名であり、平均Ⅱ 男女共同参画班の復興庁審議官と主査は これらの統計をみると女性は災害対応の 2 % 、川人に 1 人であった。 2012 年の設置当初から内閣府男女共主体として復興にも関わっていないので復興計画策定委員会をみる際に重要な 同参画局の併任人事である。 6 年目の復はないか ( 注 6 ) 。 のは、その構成員の男女比率である。委 興の新たなステージに際し、男女共同参 員選任は専門性に影響されるが、東日本 画の一層の推進を図るためには、男女共 大震災では工学系委員は男性が多く、数 復興計画策定への女性の参画 同参画局からの復興庁専任者が求められ 性が少ない。経済・産業復興の専門家も る。政策調査官は公募採用で、被災者、 復興計画策定の目的は生活再建、産業男性が多い。女性委員は民生委員をは。 被災地支援の経験者等多彩である。そのの回復、雇用の創出、地域振興等を含め、 めとする福祉関係や女性団体関係者が 人材を活かすことはもちろん、復興・防地域全体の復興の在り方を明確化し、住 、。大規模災害復興法では、復興計画 , 災に法律に詳しい人材も欠かせない。さ民、市町村、都道府県、国それぞれの理記載する復興整備事業として、市街地 らには、復興庁男女共同参画班として一解と協力を得て効果的な復興事業の推進発事業、土地改良事業、漁港漁場整備 定の予算を得て、女性基金の設立や女性を図ることである。 業、住宅施設等を含むⅡの事業があり、 のための法律相談、被災地主体のワーク 2013 年に大規模災害からの復興に Ⅱ条に定められる協議会の構成員は、 ショップ、起業支援等の積極的支援が求関する法律 ( 以下「大規模災害復興法」治体の長のほかは国土交通大臣、農林 められる ( 注 5 ) 。 という。 ) が制定され、都道府県、被災産大臣、環境大臣、事業者、施設管理者、 市町村による復興計画の策定 ( 川条 ) 、学識経験者と定められている。先述の 復興計画及びその実施に関し必要な事項おり、女性はボランティアをはじめと 三政策決定過程への女性参画 について協議する「復興協議会」 ( Ⅱ条 ) る福祉的な役割が求められる傾向が の工夫 が法定化された。東日本大震災後に制定る。近年、建築、都市計画に女性の活 ワ」 0 1 LO 年世界経済フォーラムのジェされたため、復興計画策定にかかる協議は広がっており、災害前から様々な女 ろ ンダー・ギャップ指数 ( ゴ】 e Global 会の具体的な形はいまだ分からない。東の人材を確保しておくことが求めら ひ Gender Gap Report) において、日本は日本大震災では、内閣府男女共同参画局る。例えば、東京都は「東京都震災復盟の ワ 3 0 1 ワ 3 101 位である。健康、寿命、教育の高の『男女共同参画白書』 ( 年検討会議」 ( 座長【中林一樹 ) を事前 , 法 さにも関わらず、経済活動の参加機会と月 ) の調査結果をみると、被災市町の設置しており、 5 名の女性委員を含む

8. 法律のひろば 2016年3月号

設する ①個人情報保護法の改正内容 定 ) の届出、公表等の厳格化、利めるところにより、定期的に、当 ◎農業委員会をサポートするた は、次のとおりである 用目的の変更を可能とする規定の該特定個人情報ファイルに記録さ め、都道府県段階及び全国段階⑦個人情報の定義の明確化 ( 身整備、取り扱う個人情報が 500 れた特定個人情報の取扱いの状況 に、農業委員会ネットワーク機構体的特徴等が該当 ) 及び要配慮個 0 人以下の小規模取扱事業者への について個人情報保護委員会によ ろ ひ を指定する。 人情報 ( いわゆる機微情報 ) に関対応等を行う。 る検査を受けるものとする。 の ④ 6 次産業化等を通じた経営発する規定の整備を行う。 ②番号利用法の改正は、金融分 また、特定個人情報ファイルを律 展を促進するため、農業生産法人④適切な規律の下で個人情報等野、医療等分野等における利用範保有する地方公共団体及び地方独 要件 ( 議決権要件、役員の農作業の有用性を確保するため、匿名加囲を拡充するものであり、預貯金立行政法人は、個人情報保護委員 従事要件 ) の見直しを行う。 工情報に関する加工方法や取扱い 口座への付番、特定健診・保健指会規則で定めるところにより、定 等の規定の整備、個人情報保護指導に関する事務における利用、予期的に、個人情報保護委員会に対 針の作成、届出、公表等の規定の防接種に関する事務における接種 して当該特定個人情報ファイルに ◆個人情報の保護に関する法律及整備を行う。 履歴の連携等を可能にするもので記録された特定個人情報の取扱い び行政手続における特定の個人を ◎個人情報の保護を強化するたある。 の状況について報告するものとす 識別するための番号の利用等に関 る め、トレーサビリティの確保 ( 第③なお、参議院における修正に する法律の一部を改正する法律 三者提供に係る確認及び記録の作 より、次の事項が追加された。 ◎個人番号利用事務等実施者 ( 平成年法律第号 ) 成義務 ) 及び不正な利益を図る目⑦行政機関の長等は、特定個人は、個人情報保護委員会規則で定 冖平成年 9 月 9 日公布・ 的による個人情報データベース等情報ファイルを保有し、又は保有めるところにより、特定個人情報 原則公布後 2 年以内施行〕 提供罪の新設を行う。 しようとするときは、特定個人情ファイルに記録された特定個人情 【個人情報の保護と有用性の確保 〇個人情報保護委員会を新設報ファイルを取り扱う事務に従事報の漏えいその他の特定個人情報 に関する制度改正、マイナンバ し、現行の主務大臣の権限を一元する者に対して、政令で定めるとの安全の確保に係る重大な事態が の利用の推進に係る制度改正】 化する ころにより、特定個人情報の適正生じたときは、個人情報保護委員 ①個人情報の取扱いのグロ 1 な取扱いを確保するために必要な 会に報告するものとする 本法は、個人情報の保護を図り ル化を図るため、国境を越えた適サイバ 1 セキュリティの確保に関①個人情報保護委員会は、特定 つつ、 ーソナルデータの利活用用と外国執行当局への情報提供にする事項等に関する研修を行うも個人情報の保護を図るため、内閣 を促進することによる新産業・新関する規定の整備及び外国にあるのとする サイバーセキュリテイセンターと サ 1 ビスの創出と国民の安全・安第三者への個人デ 1 タの提供に関④特定個人情報ファイルを保有情報を共有すること等により相互 心の向上の実現及びマイナンバ する規定の整備を行う。 する行政機関、独立行政法人等及に連携を図りながら協力するもの の利用事務拡充のために所要の改⑩以上のほか、本人同意を得なび地方公共団体情報システム機構とする 正を行うものである い第三者提供 ( オプトアウト規は、個人情報保護委員会規則で定①日本年金機構は、番号利用法

9. 法律のひろば 2016年3月号

復興が日本を変える ー東日本大震災 行政・企業・ NPO の未来のかたち 日復い編著】岡本全勝 ( 復興庁事務次官 ) 本興 【著】藤沢烈←般社団法人代表理事 ) 青和 p 光昌 ( 日本財団ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダー ) 四六判・定価 ( 本体 2 , OOO 円十税 ) 事務次官による書き下ろし ! 東北 3 県に学ぶまち・ひと・しごとづくり 災からの復旧・復興の過程で生まれた、「企業」 政」の新しい役割や手法、三者の連携について、 ] 介。 ! 興物語にとどまらず、これからの地域づくりに ち・ひと・しごとづくりのヒントとなる書。 ハ」事態に遭遇した際の組織運営の秘訣も公開。 岡本全勝↓を燾 修沢烈 現役事務次官書き下ろし ! 東北 3 県に学ぶ まち・ひと・しことづくり ! サ二第まん : トものハス きようにい リ TEL : 0120-953-431 [ 平日 9 ~ 17 時 ] 0 第きようせい - FAX : 0120-953-495 [ 24 時問受付 ] http : //gyosei.jp [ オンライン販売 ] 〒 136-8575 東京都江東区新木場 1 ー 18 ー 11 ご注文・お問合せ・ 資料請求は右記まで

10. 法律のひろば 2016年3月号

英米法研究 ビア特別区及びグアムで同性婚が認めら②テネシ 1 州事件【 Tanco ほか対テネ①合衆国憲法第Ⅱ修正により、 れていた。 2 名の同性の者に対する婚姻ライセンス シー州知事】 原告らは、第 6 巡回区管轄区域内の ljpe DeKoe と Thomas Kostura は、恋 ( 婚姻障害事由がなく、挙式を許可する 各州の材組の同性カップル及び同性パ に落ちた。 DeKoe は、 2011 年にア旨の当局が発行する書面 ) の付与を要す トナ 1 が死亡した男性 2 名であり、本件フガニスタンに派兵されることになり、 るか ( ミシガン、ケンタッキ 1 事件 ) 。 ではこれら各州法の規定の合憲性を問題ニュ 1 ヨーク州で正式に婚姻した。 De ・②合衆国憲法第Ⅱ修正により、ヨよ Koe は 1 年後にテネシ 1 ーに帰還した とする事件が併合審理されていた。 州外で適法に婚姻ライセンスを付与さ ) 本件においては、同性婚を認めない各が、その婚姻関係が認められなかった。 れ、挙行された 2 名の同性の者の婚姻を一 州法の規定について、一審はいずれも違③ミシガン州事件【 DeBoe 「ほか対ミ認めることを要するか ( オハイオ、テネ一 シー、ケンタッキ 1 事件 ) 。 憲としていたが、控訴審は 2 対 1 の評決シガン州知事】 で合憲とした。 いずれも看護師の三 DeBoer と 4 州の事件のうち次の①から③までの Jayne Rowse は、 2007 年に挙式の上 事案については、本判決中にも事実関係永続的な関係に入り、その後 3 人の養子三多数意見 ( ケネ一アイ裁判 が言及されている。 を迎えたが、ミシガン州法は異性婚の夫 が執筆。ギンズバーグ、ブ一 ①オハイオ州事件 (Obergefell ほか対婦か単身者しか養子縁組ができないとしイアー、ソトマイヨール及。 ていた。両名は、養子縁組した方が亡く オハイオ州健康局長 (Hodges) 】 ケイガン各裁判官が同調 ) なる等した場合に他方が養親になれない James Obergefell と John Arthur は、 年以上前に恋に落ち、一緒に生活を始という不安定な状況からの救済を求めて めたが、 2011 年にと己 lur か不治の提訴した。 婚姻の意義とその歴史的変遷 病 ( 筋委縮性側索硬化症 ) と診断された。④ケンタッキ 1 州事件【 Bourke ほか 婚姻は、何千年もの間、諸文明を通。 二人は婚姻を決意し、同性婚が認められ対ケンタッキ 1 州知事】 ているメリ 1 ランド羽に一丁き、ホルティ カナダのオンタリオ州で正式に婚姻して存在してきた。 孔子の教えでは、「婚姻は、政府の モア空港の滑走路上の飛行機内で正式にた 2 名の男性 (Bourke と DeLeon) その 婚姻した。 A 洋 hur はその 3 か月後に死他の者が他の法域でされた婚姻関係を認礎に横たわるもの」である ( 「礼記」 ) 。 亡したが、 オハイオ州は、 Obergefell をめないケンタッキー州法の規定を争う訴キケロは、「社会の最初のつながりよろ 婚姻であり、次は子ども、そして家族、の 死亡証明書上に配偶者として表示しなか訟である。 法 最高裁は、次の 2 点を本件の争点とある。」とする。 った。 Obergefe = がその旨の表示を求め して指定した。 しかし、婚姻の歴史は、法と社会の て提訴した。