記立法目的を達成するために再婚取消しの日から 6 か月の再婚禁止 禁止期間を具体的にどの程度の期期間を定めており、これによっ 間とするかは、前記立法目的と女て、再婚をする際の要件に関し男 性の再婚の自由との調整を図りつ性と女性とを区別しているから、 つ、内外における社会的環境の変このような区別をすることが事柄 化等をも踏まえて立法府においての性質に応じた合理的な根拠に基 議論して決定されるべき問題であづくものと認められない場合に り、これを 6 か月とした本件規定は、本件規定は憲法条 1 項に違 か直ちに合理的関連性を欠いた過反することになる。 ◎損害賠償請求上告事告人 ( 国 ) に対し、国家賠償法 1 喇な制約であるということもでき 本件においては、本件規定が再 件 ( 再婚禁止期間違憲条 1 項に基づき損害賠償を求めた 事案である。 ないことから、本件立法不作為婚をする際の要件に関し男女の区 国家賠償請求事件 ) は、国家賠償法 1 条 1 項の適用別をしていることにつき、そのよ ( 最高裁大法廷 うな区別をすることの立法目的に 一第一審及び控訴審の判断 上、違法の評価を受けるものでは 平成年月日判決 ) 合理的な根拠があり、かっ、その 第一審 ( 岡山地裁平成年月ない。 区別の具体的内容が前記の立法目 衵日判決 ) は、本件規定による区 ニ本判決の要旨 的との関連において合理性を有す 本件は、女性について 6 か月の別が憲法条 1 項及び条 2 項に 再婚禁止期間を定める民法 733 違反しないと解する余地も十分に 本判決は、要旨次のように判示るものであるかどうかという観点 から憲法適合性の審査を行うのが 条 1 項の規定 ( 以下「本件規定」あるから、本件立法不作為は、国して、上告人の上告を棄却した。 相当である 本件規定の憲法適合性 という。 ) があるために、前婚の家賠償法上違法ではない旨判示し 憲法条 1 項は、事柄の性質 解消から再婚するまでに 6 か月のて、上告人の請求を棄却した。 ②まず、本件規定の立法目的 経過を待たなければならず、この は、女性の再婚後に生まれた子に 控訴審 ( 広島高裁岡山支部平成に応じた合理的な根拠に基づくも ことにより精神的損害を被ったと 年 4 月日判決 ) は、要旨次ののでない限り、法的な差別的取扱っき父性の推定の重複を回避し、 いを禁止する趣旨のものであるともって父子関係をめぐる紛争の発 する上告人 ( 原告、控訴人。以下ように判示して、上告人の控訴を 解すべきであるところ ( 最高裁昭生を未然に防ぐことにあると解す 「上告人」という。 ) が、本件規定棄却した。 は憲法曰条 1 項及び条 2 項に違 本件規定の趣旨は、父性の推定和年 5 月日大法廷判決・民集るのが相当であり ( 最高裁平成 7 年月 5 日第三小法廷判決・裁判 反すると主張し、本件規定を改廃の重複を回避し、父子関係をめぐ 巻 4 号 676 頁、最高裁昭和 する立法措置を執らなかった立法る紛争の発生を未然に防ぐことに年 4 月 4 日大法廷判決・刑集巻集民事 177 号 243 頁 ( 以下「平 成 7 年判決」という。 ) 参照。 ) 、 3 号 265 頁等 ) 、本件規定は、 不作為 ( 以下「本件立法不作為」あると解され、その立法目的には という。 ) の違法を理由に、被上合理性があると認められる上、前女性についてのみ前婚の解消又は父子関係が早期に明確となること 公攵力主月 一三ロマイ 77 ・法律のひろば 2016.3
英米法研究 ビア特別区及びグアムで同性婚が認めら②テネシ 1 州事件【 Tanco ほか対テネ①合衆国憲法第Ⅱ修正により、 れていた。 2 名の同性の者に対する婚姻ライセンス シー州知事】 原告らは、第 6 巡回区管轄区域内の ljpe DeKoe と Thomas Kostura は、恋 ( 婚姻障害事由がなく、挙式を許可する 各州の材組の同性カップル及び同性パ に落ちた。 DeKoe は、 2011 年にア旨の当局が発行する書面 ) の付与を要す トナ 1 が死亡した男性 2 名であり、本件フガニスタンに派兵されることになり、 るか ( ミシガン、ケンタッキ 1 事件 ) 。 ではこれら各州法の規定の合憲性を問題ニュ 1 ヨーク州で正式に婚姻した。 De ・②合衆国憲法第Ⅱ修正により、ヨよ Koe は 1 年後にテネシ 1 ーに帰還した とする事件が併合審理されていた。 州外で適法に婚姻ライセンスを付与さ ) 本件においては、同性婚を認めない各が、その婚姻関係が認められなかった。 れ、挙行された 2 名の同性の者の婚姻を一 州法の規定について、一審はいずれも違③ミシガン州事件【 DeBoe 「ほか対ミ認めることを要するか ( オハイオ、テネ一 シー、ケンタッキ 1 事件 ) 。 憲としていたが、控訴審は 2 対 1 の評決シガン州知事】 で合憲とした。 いずれも看護師の三 DeBoer と 4 州の事件のうち次の①から③までの Jayne Rowse は、 2007 年に挙式の上 事案については、本判決中にも事実関係永続的な関係に入り、その後 3 人の養子三多数意見 ( ケネ一アイ裁判 が言及されている。 を迎えたが、ミシガン州法は異性婚の夫 が執筆。ギンズバーグ、ブ一 ①オハイオ州事件 (Obergefell ほか対婦か単身者しか養子縁組ができないとしイアー、ソトマイヨール及。 ていた。両名は、養子縁組した方が亡く オハイオ州健康局長 (Hodges) 】 ケイガン各裁判官が同調 ) なる等した場合に他方が養親になれない James Obergefell と John Arthur は、 年以上前に恋に落ち、一緒に生活を始という不安定な状況からの救済を求めて めたが、 2011 年にと己 lur か不治の提訴した。 婚姻の意義とその歴史的変遷 病 ( 筋委縮性側索硬化症 ) と診断された。④ケンタッキ 1 州事件【 Bourke ほか 婚姻は、何千年もの間、諸文明を通。 二人は婚姻を決意し、同性婚が認められ対ケンタッキ 1 州知事】 ているメリ 1 ランド羽に一丁き、ホルティ カナダのオンタリオ州で正式に婚姻して存在してきた。 孔子の教えでは、「婚姻は、政府の モア空港の滑走路上の飛行機内で正式にた 2 名の男性 (Bourke と DeLeon) その 婚姻した。 A 洋 hur はその 3 か月後に死他の者が他の法域でされた婚姻関係を認礎に横たわるもの」である ( 「礼記」 ) 。 亡したが、 オハイオ州は、 Obergefell をめないケンタッキー州法の規定を争う訴キケロは、「社会の最初のつながりよろ 婚姻であり、次は子ども、そして家族、の 死亡証明書上に配偶者として表示しなか訟である。 法 最高裁は、次の 2 点を本件の争点とある。」とする。 った。 Obergefe = がその旨の表示を求め して指定した。 しかし、婚姻の歴史は、法と社会の て提訴した。
商事法判例研究 員等を解任された者が会社法 339 条 2 正当理由のない不再任のケースでは再任任期が伸長されていることを、解任され 項に基づき会社に対し賠償を請求するこされれば得られたはずの取締役報酬の額た取締役等が会社に対し請求することの とができる「損害」の範囲については、 が退任取締役の損害であると解するのでできる損害賠償請求額の減額要素として 判例上、同規定の趣旨から、役員等が解あれば、本件においては、本件定款変更考慮することは適切でないとされている 任されなければ在任中及び任期満了時に後の会社定款規定に定める 1 年を算定 ( 注リ。こうした解釈を踏まえると、本 得られた利益の額であると解されており期間とすべきであるのに、本判決が会社件事案のように定款変更による取締役任 ( 注リ、学説にもこの点に異論はない ( 注法に定める原則的な取締役の任期 ( 2 期の短縮を原因とする取締役の中途退任 については、正当理由のない限り、会社 リ。したがって、これを本件事案に当年 ) を要賠償額の算定期間とするのは、 てはめれば、らに対し会社が賠償す何故か本判決は、本件定款変更によるは残存任期をもとに算定される退任取、 べき額は、らが本件定款変更前の間年取締役任期の 1 年への短縮それ自体を不役の得べかりし利益 ( 残存任期中及び の取締役の任期を本件定款変更により短当と考えるため、会社の要賠償額の算期満了時に得られたであろう取締役報 縮させられ会社取締役を退任させられ定根拠を取締役の任期の原則的な期間で等の額 ) を退任取締役に対し賠償する たことにより失った利益となり、本件定ある 2 年に求めたものと見ることもできのとされるべきであったと解される 款変更による >< らの取締役退任の日の翌る。そうだとすれば、 >< らの損害を取締したがって、争点 2 に関しては、本コ 日である平成年 1 月幻日から当初の任役再任により得べかりし利益の喪失と提決は法令の解釈を誤った部分を含むも 期の満了日 ( 平成年 6 月末日 ) までのえる本判決のロジックと整合するが、仮と言わざるを得ず、会社の要賠償額の ~ に本判決がそのような理解に立つのであ囲に関する上記判旨には賛成することゞ 間の取締役報酬額となるはずである。 これに対し、本判決は、本件が株主総れば、本件定款変更による取締役任期のできない。 1 年への短縮そのことに対する法的評価 会決議による正当理由なき解任のケ 1 ス ではなく株主総会決議による定款変更をを示す必要があったであろう。 4 本判決の射程 第二に、前述のように、非公開会社が 通じた任期短縮による取締役退任のケー 本件は、非公開会社が機関設計の変 スであるためか、不再任に係る正当理由定款の定めをもって、取締役の任期を川 の存否を問題とする立場から、正当理由年を上限として伸長する場合は、経営者や公開会社化 ( 株式譲渡制限の廃止 ) がない場合は少なくとも定款による任期同士が当該定款規定を前提とした株主間経ることなく、単に取締役任期のみを一 ろ 伸長がない場合の任期相当分の取締役報契約により相互の地位を保証し合うとと縮したケ 1 スである上に、らとと ひ の もに、契約に違反した場合の賠償額の予間の対立が背景にある事案であること、 酬の喪失をもってらの損害とする。 律 ら、事実上の解任事例として、会社法法 しかし、第一に、取締役不再任に係る定まで取り決めたに等しいと解されてい ること ( 注リから、定款により取締役の 39 条 2 項の類推適用を認めることが 正当理由の有無を問題とする立場から、
商事法判例研究 取締役の任期を取締役の選任後川年以内役であるとの主張を前提に平成年 2 月した損害賠償金の支払を求める請求を、 に終了する事業年度のうち最終のものに から平成年 6 月までの未払取締役報酬せ行っているが、紙幅の都合もあり、こ 関する定時株主総会の終結時から、取締とこれに対する遅延損害金の支払等を求れらは割愛する。 役の選任後 1 年以内に終了する事業年度めた。第二に、 >< らは、予備的請求とし のうち最終のものに関する定時株主総会て、本件定款変更によりらが >* 会社取 の終結時へと短縮する定款変更 ( 以下「本締役から退任させられたことにつき、会 件定款変更」という。 ) の決議を行い、 社法 339 条 2 項の類推適用により、平 同日付で >< らが会社の取締役から退任成年 1 月幻日から本来の任期の満了日 本件定款変更による >< らの会 したとして扱った上で、 >< らを同社取締である平成年 6 月末日までの得べかり 取締役退任の有無 役として再任せず、らに代わる新たなし取締役報酬相当額として >< につき 39 取締役 2 名を別途選任した。 2 0 一カ円、につ 019 2 7 万 3 3 3 3 「らが現在もなお会社の取締役の そこで、 >< らが、第一に、主位的請求円の損害賠償金とこれに対する遅延損害地位にあるといえるか否かは、取締役の として、 >< らの会社取締役の任期は平金の支払等を求めた。これに対し、会任期を短縮する旨の本件定款変更によっ 成年開催予定の同社定時株主総会の終社は、本件株主総会が物理的に開催されてらが会社の取締役から当然に退 結時 ( 早くても平成年 6 月末日 ) までていないため、本件取締役選任決議が不することになるかに関わるところ、取、 であったところ、取締役の任期途中にお存在であることを理由に、 >< らの会社 役の任期途中において、その任期を短 する旨の定款変更がなされた場合、その いて、その任期を短縮する定款変更が行取締役の地位そのものを争っているが、 われたとしても、当該取締役の承諾がな本判決は、上記認定事実から < 入院中の変更後の定款は在任中の取締役に対して い限り、既に成立している会社と取締役病院の病室内において発行済株式の全部当然に適用されると解することが相当で との間の委任契約関係を当然に変更するを有していた株主 < 及びの出席のもとあり、その変更後の任期によれば、すで 効力を有しないというべきであり、 >< ら本件株主総会が開催され、本件取締役選に取締役の任期が満了している者につい が取締役の任期変更に承諾したことはな任決議が行われたことを認め、会社のては、上記定款変更の効力発生時におい いから、らは本件定款変更によっても主張を退けている。 て取締役から当然に退任すると解するこ 会社の取締役から退任することはな なお、 >< らは、会社に対し、 >< に係とが相当である。 けだし、上記の定款変更は、取締役のろ 、依然、同社の取締役の地位を有するる会社使用人としての役職降格処分の の というべきであると主張し、らの会無効と従前の役職に基づく労働契約上の解任と同様の効果を発生させるもので 律 るところ、取締役はいつでも株主総会の法 社取締役の地位の確認と同社取締役退任権利を有する地位にあることの確認や、 登記の抹消登記手続、及び、会社取締当該役職降格に伴う減給の無効を理由と決議によって解任することができるとさ
とは困難であり、他にこれを正当員の立法過程における行動が個々 7 号 1512 頁、最高裁平成年明白であったということは困難で 9 月日大法廷判決・民集巻 7 ある 化し得る根拠を見いだすこともでの国民に対して負う職務上の法的 したがって、本件立法不作為 きないことからすれば、本件規定義務に違反したかどうかの問題で号 2087 頁参照。 ) 。 のうち 100 日超過部分は合理性あり、立法の内容の違憲性の問題 しかしながら、再婚禁止期間を は、憲法上保障され又は保護され を欠いた過剰な制約を課すものと とは区別されるべきものであると廃止し又は短縮しない国会の立法ている権利利益を合理的な理由な なっているというべきである。そころ、前記行動についての評価は不作為が国家賠償法 1 条 1 項の適く制約するものとして憲法の規定 うすると本件規定のうち 100 日原則として国民の政治的判断に委用上違法の評価を受けるかが争わに違反することが明白であるにも 超過部分は、遅くとも上告人が前 ねられるべき事柄であって、仮にれた事案において平成 7 年判決かかわらず国会が正当な理由なく 婚を解消した日から 100 日を経当該立法の内容が憲法の規定に違は、国会が民法 733 条を改廃し長期にわたって改廃等の立法措置 過した時点までには、婚姻及び家反するものであるとしても、そのなかったことにつき直ちにその立を怠っていたものと評価すること 族に関する事項について国会に認ゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が違法となる例外的な場はできず、国家賠償法 1 条 1 項の 合に当たると解する余地のないこ適用上違法の評価を受けるもので められる合理的な立法裁量の範囲法不作為が直ちに国家賠償法 1 条 はないというべきである とは明らかであるとの判断を示し 1 項の適用上違法の評価を受ける を超えるものとして、その立法目 的との関連において合理性を欠くものではない。もっとも、法律のており、これを受けた国会議員と しては、本件規定を改廃するか否 ものになっていたと解される。 規定が憲法上保障され又は保護さ ウ以上の次第で、本件規定のうれている権利利益を合理的な理由かについては、平成 7 年の時点に なく制約するものとして憲法の規おいて、基本的に立法政策に委ね ち 100 日超過部分が憲法四条 2 るのが相当であるとする司法判断 項にいう両性の本質的平等に立脚定に違反するものであることが明 が示されたと受け止めたとしても したものでなくなっていたことも白であるにもかかわらず、国会が 明らかであり、前記当時にお、 正当な理由なく長期にわたってそやむを得ないところ、その後も、 て、同部分は、憲法条 1 項に違の改廃等の立法措置を怠る場合な本件規定のうち 100 日超過部分 どにおいては、国会議員の立法過については違憲の問題が生ずると 反するとともに、憲法条 2 項に 程における行動が前記職務上の法の司法判断がされてこなかった状 も違反するに至っていたというべ きである。 的義務に違反したものとして、例況の下において、我が国における ト勺こ、その立法不作為は、国家医療や科学技術の発達及び社会状 2 本件立法不作為の国家賠償法タ白 , 賠償法 1 条 1 項の規定の適用上違況の変化等に伴い、本件規定のう 上の違法性の有無 ち 100 日超過部分が憲法条 1 国会議員の立法行為又は立法不法の評価を受けることがあるとい 項及び条 2 項に違反するものと 作為が国家賠償法 1 条 1 項の適用うべきである ( 最高裁昭和年ⅱ 上違法となるかどうかは、国会議月幻日第一小法廷判決・民集巻なっていたことが、国会にとって 79 ・法律のひろば 2016.3
商事法判例研究 変更により >< らの任期が当然に短縮さ① >•< らが、会社取締役就任前に行われして >< らの会社に対する損害賠償請求 れ、本件定款変更の効力発生時に会社た定款変更により川年に伸長された任期権を認める本判決のアプロ 1 チは、基本 の取締役の退任の効果が生じると判示しを前提に同社取締役に選任されているこ的に支持されてよいと考えられる。 たことは、妥当であろう。 と、②故 < の保有していた会社株式を 他方、第二に、本判決は、取締役の任 承継したかららも同社の経営に関与期を短縮する旨の定款変更により現任の する者として同社株式を取得し、同社の取締役が当初の任期の途中で退任するこ 取締役の任期を短縮する定款変更 株主となったことで、合計で 600 株のととなる場合において、当該退任取締役 と会社法 339 条 2 項の類推適用の 同社株式を有することとなったとの間の不再任に正当理由があるときは、会社 可否 で同社の経営管理の方法等について株主法 339 条 2 項の趣旨が当てはまらず、 会社法 339 条 2 項の類推適用間契約と見ることもできる暗黙の合意が同規定の射程が及ばないと判示するが、 の可否 成立していると見ることができること、 こうした判断枠組みは妥当か。このよう それでは、定款変更による取締役の任③しかし、 < の死亡後と >•< らとの間にに不再任の正当理由の有無により会社法 期短縮により当該定款変更前の当初の任おいて会社の経営を巡る対立が生じる 339 条 2 項の類推適用の否定・肯定を 期の満了前に取締役を退任させられること、が >< らに対し取締役の辞任を求め分ける本判決のアプロ 1 チの法的当否 は、会社の要賠償額の算定期間の定め方 ととなった者に、地位喪失に対する法的ていること、及び、④その要請がらに とも関連するだけに、検討を要する問題 補償を与えるべきであろうか。本判決よって拒否されると、その翌月に会社 は、取締役の任期を短縮する旨の定款変において本件定款変更が行われ、 * らにであろう。 少なくとも、本件のように、非公開会 更が行われた場合は、それが当然に、当っいて取締役退任の処理を行っているこ 該定款変更後の任期によれば任期満了と とから、本件定款変更による取締役の任社において取締役の任期を定款の定めに なっている現任の取締役の退任事由とな期短縮は、 >< らに対する事実上の取締役より法律上の原則期間よりも伸長してい ると解する一方で、当該定款変更により解任措置であると考えることができるでる場合には、経営者同士が当該定款規定 当初の任期の満了前に退任させられる取あろう。そうだとすれば、本件定款変更を前提とした株主間契約により相互の地 締役については、株主総会決議による正による取締役の任期短縮の結果として取位を保証し合うとともに、契約に違反し 当理由のない解任の場合と同様に会社に締役を当初予定されていた任期の満了前た場合の賠償額の予定まで取り決めたに 対する損害賠償請求を認めることで、そに自己の意思に反して退任させられ、取等しいと解されている ( 注 6 ) 。また、非一ろ の法的保護を図る旨を判示する。 締役として再任されなかった >< らについ 公開会社においてこの種の定款規定によの 第一に、これを本件事案に即した妥当ても、会社法 339 条 2 項の趣旨が当てり取締役の任期を延長することは、そう法 な紛争処理という観点から検討すると、 はまると解し、同規定の類推適用を肯定することで取締役の地位を安定させるこ
示した公表裁判例が見当たらないだけらの会社取締役退任の日の翌日から本る事業年度のうち最終のものに関する定 に、争点 1 について判断を示した本判決件定款変更前の >< らの会社取締役とし時株主総会の終結時まで伸長することが は注目に値する。 ての任期満了日までとする余地はないの認められている ( 会社法 332 条 2 項 ) 。 ば これに対し、争点 2 は、これまでほと かという問題や、あるいは、本判決が判問題は、定款の定めにより取締役の任期 ろ ひ んど論じられたことのない問題点であ示するように、本件における >< らの得べを川年に伸長した非公開会社において、 の る。本判決は、その問題の解決策としてかりし利益の内容を、正当理由のない不定款を変更して取締役の任期を短縮する法 会社法 339 条 2 項の類推適用を認めた再任により喪失した取締役報酬額に相当旨の定款変更のための株主総会決議が有 上で、取締役解任決議ではなく取締役のすると解するのであれば、本件定款変更効に成立した場合に、変更前の定款規定 任期を短縮する株主総会決議により取締により会社の取締役の任期は 1 年に短に基づく現任取締役の任期が当該定款変 役が退任する事案である点を考慮して縮されているのであるから、 >A 会社の要更の影響を受け、当該定款変更後の短い か、不再任に正当理由が認められない場賠償額の算定期間もこれに合わせて退任任期に変更されることになるのかどう 合には、再任の否定によって生じた退任日の翌日から 1 年間に限られると解すべか、である。 この点につき、会社法制定・施行前の 取締役の損害を会社が賠償すべきであるきではないのかという問題が残されてい 実務では、定款変更による役員の任期伸 とする判断を示すとともに、その損害額るように思われる。 これらの点を勘案すると、本判決が争長の場合に、その効果は、特別の事情の の算定期間として退任日の翌日から 2 年 間に限定される旨を判示する。争点 2 に点 2 について会社法 339 条 2 項の類推ない限り、当然に在任中の役員にも及ぶ 関する本判決の判示も、裁判例として初適用を認めたことには賛成できるが、と解され、登記実務上もそのような取扱 いが行われていた ( 注 3 ) 。同様の取扱い めての判断であると思われ、定款変更に会社の要賠償額の算定期間を 2 年間と判 は会社法の下でも行われると解されてお よる任期短縮による取締役退任のケース示した部分は、疑問なしとせず、俄かに り ( 注 4 ) 、その点に異論は見られない。 への会社法 339 条 2 項の射程拡張を認賛成することができない。 めた点に大きな意義が認められる。 この取扱いは、任期短縮の定款変更の場 合も同様であると解されており、当該定 しかし、争点 2 に関しては、会社の要 2 定款変更による取締役の任期短縮 款変更の効力発生時点において現に在任 賠償額の算定期間がなぜ退任日から 2 年 と在任中の取締役の任期への影響 している取締役の任期も連動して短縮さ 間に限定されるのか、その法的根拠が本 判決では明らかにされていない。しか 非公開会社にあっては、監査等委員会れ、当該定款変更の効力発生日に変更後 も、本判決が会社法 339 条 2 項の類推設置会社及び指名委員会等設置会社であの任期が満了している取締役はその日に 適用を認めるのであれば、会社の要賠るものを除き、定款の定めをもって、取退任することになると解されている ( 注 償額の算定期間を本件定款変更による締役の任期を、選任後川年以内に終了す 5 ) 。したがって、本判決が、本件定款
英米法研究 るこのような問題について、 9 人の裁判するようなことをしてはならないとい、つ多数意見は、同性婚を認めない州法の しすれもケネディ裁判官が執筆し規定は、デュ 1 ・プロセス条項 ( 第Ⅱ修 官が 5 対 4 の僅差で結論を出し、ひとたのは、 : び決定されたことについては、これが合たごミ e ま e 判決及びまミ判決の多正 ) に違反し、かっ、平等保護条項 ( 同 修正 ) にも違反するとした ( そのシナジ 衆国の在り方として通用していくのであ数意見において既に達成されていたこと 地位について国民が寄せる信頼の強さがを同性間だけのものとすることを禁止す見は、この結論を導くに当たって、特定 るところまで推し進めたわけである。ケの合憲性審査基準を定立し、それに当て 理解されよう。 ネディ裁判官は、ゞミ、ま e 判決の多数はめて検討を加えるという手法をとって 意見において、同判決の判断は同性愛者いないように思える。すなわち、多数意 多数意見と反対意見の差異 が求める関係について政府が公的な認知見は、今回、「同性の者との婚姻を制、 をすべきかどうかの問題を含まないとしするのは基本権の侵害であるからその合 裁判所と議会の役割 前記の各意見から明らかなように多数ていたが、これに対してスカリア裁判官憲性を厳格な基準で判断する、又は性、 意見と反対意見の間にはそのよって立つは、同多数意見からすると同性愛者の力指向による差別は厳格な審査に服すると 基盤に根本的な差異があるように思われップルに婚姻の便益を否定することを正して、州の側にやむにやまれぬ利益の立 る。 当化できなくなると批判していた。ケネ証を求め、これができていないとして」 すなわち、本件の問題、つまりは同性ディ裁判官は、結局本件の結論をゞ乍憲とする、若しくは平等に扱わないこと についての正当な目的とこれを達成する 婚を認めるか否かを最終的に決めるの、 e e 判決からの必然的な流れであるか は、裁判所 ( 多数意見 ) か、あるいは議のように位置付けているのであり、スカ手段との合理的関連性をみる」という リア裁判官にしてみれば、懸念していた法で判断しているようには読めない。 会 ( 反対意見 ) かということである して、この点は、反対意見からも厳し とおりになったとい、つことであろ、つ 多数意見は、議会の多数派によっては 批判されているところである 保護されない少数者の権利を保護し、性これに対して、反対意見は、本件の問 一方では、反対意見の側も、判断を、 的指向による差別を是正するには、裁判題に結論を下すのは裁判所ではなく、議 所が違憲審査権を行使すべきであると考会であるということで一致している。選げて州議会に委ねるべきとしているだし えるのである。同性愛者が自己の愛する挙で選ばれたわけでない少数の裁判官がであり、「議会の広範な立法裁量を前日 者と心身ともに親密な関係を築くことに決めるのではなく、民主主義の過程 ( プにして、合理性の基準を適用して立法ろ の 量の逸脱があったか否かを審査する」 対する障害を取り除き、これに州が婚姻ロセス ) によって決めるべきであるとい 律 法 いう一般的なアプローチをとってはいオ という法的効果を伴う制度への参入までうのである。 、。立法裁量の逸脱があったかどうか ②合憲性審査基準 認めた場合には、連邦政府がこれを制約
商事法判例研究 ため、 >•< を再任しない理由とはならない が取締役に再任されなかったことによっち最終のものに関する定時株主総会の終 というべきであること、〔 3 〕についてて被った損害額は、につき 1440 万結時へと短縮する旨の定款変更決議を行 も、通勤手当を理由なく受給した期間や円 ( 8 万円 x カ月分 ) 、につき 70 ったときは、任期途中にある取締役の任 その総額については明らかではなく、取 8 万円 ( 四万 5000 円 x カ月分 ) で期が当該定款変更の影響を受け、取締役 締役としての適格性を欠くというほどにあると認められる。なお、 >< らは、上記退任の効果が生じるのかどうか、がまず 悪質な行為であったことを認めるには足各損害賠償金に対する遅延損害金の利率第一に問題となる ( 争点 1 ) 。 りないことから、「会社の上記主張にとして商事法定利率年 6 分の割合を主張第二に、当該定款変更が取締役退任の は理由がない。」「以上によれば、 >< らをしているが、上記損害賠償請求権は商行効果を生じさせるとしても、それが定款 取締役として再任しなかったことにつき為によって生じた債権とはいえないか変更を内容とするものであれ株主総会決 正当な理由があるという会社の主張はら、その利率は民法所定の年 5 分の割合議によるものであることから、取締役の いずれも採用できず、その他にこれを認 によるべきである。」 意思に基づかない任期途中の退任に正当 めるに足りる証拠はない。」 理由が認められない以上、株主総会決議 「そこで、らが被った損害について による正当理由なき任期満了前の取締役 検討する」と、「 >< らは、らが取締役 解任の場合における会社の損害賠償責任 三研究 を退任した日の翌日である平成年 1 月 を定めた会社法 339 条 2 項が類推適用 幻日から本件定款変更前の本来の任期の され、退任取締役が会社に対し地位喪失 本件の問題点と本判決の意義 終期である平成年 6 月末日までの間の の補償を請求できるのかどうかが、問題 得べかりし取締役報酬相当額が損害とな本件は、公開会社でない株式会社 ( 以となる ( 争点 2 ) 。争点 2 については、 る旨主張する」が、「平成年 1 月から下「非公開会社」という。 ) が定款の定解任の場合と同様、会社が残存任期に対 平成年 6 月までの 5 年 5 カ月以上ものめをもって取締役の任期を、選任後川年応する取締役報酬額の全部につき賠償責 長期間にわたって、会社の経営状況や以内に終了する事業年度のうち最終のも任を負うのかどうか、すなわち会社の要 らの取締役の職務内容に変化がまったのに関する定時株主総会の終結時まで伸賠償額の範囲も併せ問題となる。 くないとは考えがたく、らが平成年長している場合において、役員間におい このうち、争点 1 については、「会社 6 月までの間に上記の月額報酬を受領して意見対立がある中で、株主総会におい法の施行に伴う商業登記事務の取扱い。 続けることができたと推認することは困て、支配株主でもある代表取締役と対立ついて」と題する通達 ( 注 1 ) があり、本ろ 難であって、その損害額の算定期間は、 関係にあった取締役を解任する旨の決議判決は同通達に従った取扱いとなる旨をの 法 らが退任した日の翌日から 2 年間に限ではなく、取締役の任期を上記川年から判示している。この点はほば異論がない 定することが相当である」から、「 >< ら選任後 1 年以内に終了する事業年度のうものと考えられるが ( 注 2 ) 、その旨を判
会明 テネシ 1 の各州 ) の判決に対するサーシ 法島 これまで、同性婚を認めない州法の規 ろ ひ 合衆国最高裁判所は、 2015 年 6 月定について、第 4 ( メリ 1 ランド、ノー の 念 己官 0 ニ = ロ 日、 5 対 4 の評決で、婚姻の要件を異スカロライナ、サウスカロライナ、ヴァ法 2 国 ジニア ) 、第 7 ( ィリノイ、インディ 岡調一性のカップルに限り、同性婚を認めない 4 衆 州法 ( 州憲法を含む。 ) の規定は合衆国アナ、ウイスコンシン ) 、第 9 ( アラス 5 上 2 所一憲法のデュー・プロセス条項 ( 第Ⅱ修力、アリゾナ、カリフォルニア、ハワイ、 決 判 正 ) 及び平等保護条項 ( 同修正 ) に違反アイダホ、モンタナ、ネヴァダ、オレゴ と判 5 高すると判断した。 ン、ワシントン ) 、第川 ( コロラド、カ 究 本判決は、合衆国の国論を 2 分する争ンサス、ニュ 1 メキシコ、オクラホマ、 規雕 点について巡回区により判例が分かれるユタ、ワイオミング ) 各巡回区控訴裁判 回年 状況になっていたものを統一したもので所で違憲判決が出されていたが、いずれ 法刀去 ある。 0 も最高裁からサーシオレイライが許可さ 本判決に至る同性愛ないし同性婚に関れずに確定していた。したがってこれら 米朴祐 い高 5 する最高裁判例の流れとしては、本判決の巡回区控訴裁判所の管轄区域内の州で 英 と同じくケネディ裁判官が多数意見を執は同性婚を認めないことが合衆国憲法に 筆した 2 0 0 3 年のゞ、 e ミ e 判決 ( 注違反することか判例となっていた。この め衆 い合 1 ) 、 2013 年のぎミ判決 ( 注 2 ) がような控訴裁判所判決が続くことで、結 ある。 果的に米国全土で同性婚が許容されるこ を とになることも予想されたが、 2014 氏日 合憲とする本件の原判決が出されるに至 0 ニ事案 同 高裁もサーシオレイライを採り上げざる 本件は、第 6 巡回区控訴裁判所 ( オを得ない状況になったものと思われる。 ハイオ州シンシナティに所在。管轄は、 なお、本判決前に ( 州並びにコロン 一はじめに