特集成年後見制度 成年後見関係事件の概況と家庭裁判所における運用の実情 ( 図 2 ) 、近年このような傾向に変化は見 増加してきており、平成年の申立件数約 8 割が後見開始の申立てとなってい は約 3 万 4800 件となるなど、近年はる。なお、任意後見監督人選任事件につられない 年間 3 万 5000 件弱という高い水準でいても、後見開始事件等と比較して件数次に、成年後見制度の利用者数につい 推移している ( 注 5 ) 。 は多くないものの、任意後見契約締結のて見ると、後見等開始事件の申立件数の 内訳を見ると、申立て全体に占める後登記件数の増加に伴って、増加をしてき増加に伴い、制度の利用者は累積的に増 見開始事件の割合は約四 ・ 1 % 、保佐開ているが、平成年の任意後見契約締結加しており、平成年月末日時点の制 13 3 5 人となってい 始事件の割合は約Ⅱ・ 6 % 、補助開始のの登記件数が 1 万 704 件であるのに対度利用者数は四万 割合は約 3 ・ 9 % 、任意後見監督人選任して、同年における任意後見監督人選任る ( 図 3 ) 。その内訳は、後見が万 2 6 81 人 ( 約四・ 8 % ) 、保佐が 2 万 7 事件の割合は約 2 ・ 3 % であり、全体のの選任件数は 716 件に止まっており 件 0 づのる 基査あ 単 報情と 年実こ 計のる 数統局じ 件権庭生 任人家が 局正 選 人務総訂 督訟務同 事異 後民判り 意の裁よ 省高に 務最理 法 、整 数 は計 件 は値集 記 値数の 約数の後 契の数今 見数件 後件任り 意記選あ 任登人で 口約督数 契。監概 見る見く 後あ後づ 意で意基 任値任に 数果 図 1 後見等開始事件の申立件数の推移 ( 単位 . 件 ) 4 切 000 34 , 782 35 第 000 30 , 000 25 第 000 27 ′ 521 0 20 第 000 15 第 000 1 000 5 ′ 000 5 ′ 085 1.3 816 0 平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成平成 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年 ■後見ロ保佐■補助・任意後見 ※ 1 数値は、最高裁判所事務総局家庭局の実情調査の結果に基づく概数であり、今 後の集計整理により、異同訂正が生じることがある ( 図 3 ~ 10 、図 1 2 、 14 も同 じ ) 。 ※ 2 各年の件数は、それぞれ 1 月から 12 月までに申立てのあった件数である。ただ し、平成 1 2 年は、 4 月から 12 月までに申立てのあった件数である。 図 2 任意後見契約締結の登記件数と任意後見監督人選任件数の推移 10 ′ 000 8 ′ 000 6 ′ 000 4 ′ 000 2 ′ 000 0 8289 平成 23 年 547 9 ′ 091 平成 24 年 588 921 平成 25 年 598 9 フ 91 平成 26 年 637 10 フ 04 平成 27 年 716 ロ 0 15 ・法律のひろば 2017.2
が約 700 万人に上ると推計されている理の態勢の工夫、改善に取り組んでいく後見人等から定期的に報告を受け、その ことに加えて ( 注 8 ) 、成年後見制度利用必要があると考えている。 事務に不正行為その他成年後見人等がそ 促進法が施行されたことに伴い、 政府に の適格性を欠くような事情がないかどう おいて制度の利用促進に向けた施策が進 かを確認する運用が行われている。平成 三後見等監督事件の概況と不 められていくことを踏まえると、今後の 年の後見等監督処分事件の事件数は約 正防止対策 制度利用者数については、更に増加して 川万 9000 件であるが、報酬付与の当 いくものと予想される 否等について検討する過程において成年 後見等監督事件の概況 ( 図ⅱ このような社会状況の中、累積的に増 後見人等の事務が適切に行われているか 加を続ける事件に適正かっ迅速に対応で どうかの審査を行うことから実質的に後 きるよう、家庭裁判所は、今後も事務処全国の各家庭裁判所においては、成年見等監督と同様の機能を有している報酬 図ⅱ後見等監督処分事件数と報酬付与事件数の推移 ( 単位 . 件 ) 25 切 000 210 ′ 340 20 000 170 ′ 078 150 ′ 000 0 100 ′ 000 5 切 000 0 平成 23 年平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 ■報酬付与事件 34.098 45 , 091 58 , 918 76.420 101 ′ 088 ロ後見等監督処分 40.475 43 ′ 448 81 ′ 995 93 , 658 109252 ※司法統計に基づく数値である。 図 ] 2 不正報告件数と被害額の推移 ( 単位 : 件 ) 不正報告件数 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 平成 23 年平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 ロ専門職以外 305 606 648 809 484 ■専門職 6 37 ( 単位 : 億円 ) 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 平成 23 年平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 ロ専門職以外 32.1 28.6 51.1 45.0 44.0 ■専門職 3.1 0.9 ※各年の 1 月から 12 月までの間に、家庭裁判所が不正事例に対する一連の対 応を終えたとして報告された数値であり、不正行為そのものが当該期間中に 行われたものとは限られない。 法律のひろば 2017.2 ・ 20 831 662 624 521 311 4 8 被害額 約 44 億 9000 万円 、 56 7000 万 48 億 1000 万円 約 33 億 4000 万円 約 29 億 7000 万円
特集成年後見制度 成年後見関係事件の概況と家庭裁判所における運用の実情 図 9 成年後見人等と本人との関係別割合の推移 っとして定められており ( 同法Ⅱ条 8 周囲に本人を支えることのできる親族がなどが考えられる。 いない高齢者が増えている ( 注 6 ) こと また、市民後見人 ( 注 7 ) の選任件数に号 ) 、市町村による養成等が更に進めら や、後述するように成年後見人等の不正ついては、老人福祉法の改正により、市れると、これに伴って選任数も更に増加 防止が強く求められるようになっている民後見人の育成・活用についての市町村することが見込まれる。 ことから、本人の財産管理が複雑・困難の努力義務が規定された平成年以降、 である事案や法的知見が必要な事案につ 一貫して増加している ( 図川 ) 。成年後 5 まとめ いては、公平中立な第三者であって専門見制度利用促進法においては、地域にお 後見等開始事件の概況は以上のとおり いて成年後見人等となる人材を確保する 的な知見と高い職業倫理を有する専門職 を選任する運用が定着してきていること ための措置を講ずることも基本方針の一であるが、平成年には認知症有病者数 年 成 平 年 成 平 年 成 平 年 4 成 平 2 0 つな 年 ろ ひ 法 ( 単位 : % ) 80.0 68. 5 70.0 60. 6 60.0 50.0 - 親族 ー 3 職種 ーその他 40.0 30.0 29. 9 27.0 20.0 10.0 0 平成 20 年平成 21 年平成 22 年平成 23 年平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 ※ 1 親族とは、配偶者、親、子、兄弟姉妹を含む四親等内の親族をいう。 ※ 2 3 職種とは、弁護士、司法書士及び社会福祉士をいう。 ※ 3 後見開始、保佐開始及び補助開始事件の終局事件を対象としている。 図 10 市民後見人の選任件数の推移 ( 単位 . 件 ) 250 224 213 200 167 150 118 9 100 0
月刊法律のひろば ノヾックナンバーのご案内 法律のひろば 日再犯の現状と対策のいま ーー平成 28 年版犯罪白書を読む 平年版犯白書を読んで ールーティン部分を中心に・高橋制夫 ー物 - 分を中心に / 岩井子 再入率の分析と今後の - / 高橋哲 高受用者に対する再犯防止のための第正処遇等について / 松村第 - 平成 29 年 1 月号 ー ( , u 紀時リ NO 日幟 ( 市 A 」 on. 1 ア VOI マ 0 ′物 0 ー 勢国主物第法と産を的活・の物外′物・ 第 * 研第′ 4 国記ま英 * 法物会 第物事犯者に対する再犯防止策 / 野坂明ま ◆特集◆再犯の現状と対策のいま ー平成 28 年版犯罪白書を読む ■再入率の分析と今後の課題 ■近年の犯罪情勢と各種犯罪者の動向 ー特集部分を中心に ールーティン部分を中心に ■平成 28 年版犯罪白書を読んで ・高齢受刑者に対する再犯防止のための矯正処遇等に ■薬物事犯者に対する再犯防止策 ・・・高橋則夫 ・・・岩井宜子 ・・・冨田寛 ・・・高橋哲 ついて ・・・松村憲一 ・・・野坂明宏 平成 28 年 12 月号・消費者団体訴訟制度のこれから 平成 28 年 11 月号・民事尋問における現状と課題 平成 28 年 10 月号・自殺予防対策ー自殺者減少社会の実現へ 平成 28 年 9 月号・刑事訴訟関連法の改正 平成 28 年 8 月号・会社法制をめぐる新たな潮流 平成 28 年 7 月号・セクシュアル・マイノリテイへの現状と課題解決に向けて 平成 28 年 6 月号・出入国管理・外国人との共生 平成 28 年 5 月号・個人情報の利活用と保護 平成 28 年 4 月号・発達障害支援の取組 平成 28 年 3 月号・震災から 5 年一現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言 平成 28 年 2 月号・派遣法改正一労働者・企業への影響と今後の展望 平成 28 年 1 月号・性犯罪者の実態と再犯防止ー平成 27 年版犯罪白書を読む 編集後 = 己 「迷」大統領か、後者でないことを祈る ◆歴史に残る「名」大統領か、それとも スマンが、政治の世界で結果を残せるか 途多難だ◆常に結果を出してきたビジネ 分裂が解消されないまま、その船出は前 に舵をきった◆米国内で支持・不支持の リカ第一主義」を連呼し、保護主義政策 統領に就任したトランプ氏◆「アメ 大方の予想を覆し、アメリカ第 45 代大 ばかりだ は ) 成年後見というと、高齢者の財産を守 るための制度というイメージが強 い。しかし若い利用者にとっては、財産 をうまく使って長い人生を充実して生き ていくためのサポートであり、成年後見 人は、それぞれの事情や希望にそったき め細かい配慮を必要とする重要な職務だ ◆後見人による不正のニュースが相次ぐ 中、防止対策が議論されているが、今後 に注目していきたい ( ま ) 法律のひろば 2 月号 ( 第 70 巻第 2 号 ) 平成 29 年 1 月 25 日印刷 平成 29 年 2 月 1 日発行 噐髜株式会社きようゼい 〒 136 ー 8575 東京都江東区新木場 1 ー 18-11 電話販売 03 ー 6892 ー 6666 広告 03 ー 6892 ー 6589 編集 03 ー 6892 ー 6520 フリーコール 0120 ー 953 ー 431 印刷所ぎようせいデジタル株 ⑥ 2017 printed in Japan 振替 00190 ー 0 -161 旧 SN0916 ー 9806 バックナンバー・購読のお申込み 本誌のバックナンバーや定期購読のお申込み は、以下で承っております。 フリーコール 0120 ー 953 ー 431 Web サイト https : //gyosei. jp 毎月 1 日発売 / 定価 ( 本体 800 円 + 税 ) / 送料 78 円 年間購読料 10 , 368 円 ( 8 % 税込、送料込 ) ー = ・当編集部では、誌面に関する皆様からのご意見、ご感想をお待ち しております。下記編集部のアドレスまでお願いいたします。 zasshi@gyosei. CO. jp 法律のひろば 2017.2 ・ 80
でいるところであり、一定の 2 成果も現れ始めている状況に ある。他方、成年後見制度利 用促進法に基づいて設置され ろ た「成年後見制度利用促進委の 員会」での議論の中では、利法 用者の立場からすれば、自ら ジ の財産が横領されるといった メ 移 不正を防止することはもちろ イ 推 の の んのこと、自らの財産が自ら み 者 用 組 のためにきちんと活用される 仕 の の こと、すなわち、自らの財産 託 託 が自らの意思を尊重して利 援 援 用・処分される必要があるも 支 支 度財 度 人。 数数 のの、そういった成年後見制 制 別人計人 見 年累度の趣旨に則った運用が必ず 後 しもなされていないのではな 図 図 いかとの指摘もあったところ 行する指示書が必要となるため、他の関みを管理すれば足りることから財産管理である。成年後見人は身上配慮義務 ( 民 係者から見ても分かりやすく適正で安全の負担が軽減されることも利用者数が増法 858 条 ) を負い、本人の意思に加え、 心身の状態や生活状況に配慮して代理権 な財産の管理が可能となる。平成年 2 加している要因と考えられる。 月から平成年肥月までの後見制度支援 の行使をすべきこととされており、本人 の意思を尊重すべき立場にあるのは第一 信託の累計利用者数は 9 9 6 5 人であ 四おわりに 次的には成年後見人といえるが、このよ り、近年、その利用者数は大幅に増加し ている ( 図リ。これは後見制度支援信以上のとおり、家庭裁判所では、成年うな観点から家庭裁判所の運用について 託が、専門職の活用と並び不正を未然に後見関係事件の安定的な運用に努めると検討すべき点はないのか、「成年後見制 防止するために非常に有効な仕組みであともに、成年後見人等による不正を防止度利用促進委員会」での議論を契機に、 ることに加えて、後見人が少額の財産のするため、適切な後見等監督に取り組ん改めて在るべき運用について検討してい 託銀ーが理 払戻しや解約等 には家庭裁判所 の発行する 指示書が必要 信託財産 貯金等 10000 8000 6000 4000 平成 27.1 ~ 平成 24.2 ~ 平成 25.1 ~ 平成 26.1 ~ 平成 24.12 平成 25.12 平成 26.12 平成 27.12 98 6563 2000 0 2764 9965 3402 638 8
◆発達障害者支援法の一部を改正 する法律 ( 平成年法律第号 ) 〔平成年 6 月 3 日公布・公布後 3 月以 内〔平成年 8 月 ] 日〕施行〕 【発達障害者の支援の一層の充実】 物、制度、慣行、観念その他一切他の必要な支援に努めなければな ◆障害者の日常生活及び社会生活・ らない。 のものとする を総合的に支援するための法律及 ③発達障害者の支援は、全ての⑧事業主は、発達障害者の雇用 び児童福祉法の一部を改正する法 に関し、能力を正当に評価し、適 発達障害者が社会参加の機会が確 ろ 律 ひ 保され、地域社会において他の切な雇用の機会を確保するととも の ( 平成囲年法律第号 ) 律 に、個々の特性に応じた適正な雇 人々と共生することを妨げられな 法 〔平成年 6 月 3 日公布・ いこと等を旨として行われなけれ用管理を行うことにより雇用の安 原則平成年 4 月 ] 日施行〕 ばならない 定を図るよう努めなければならな 【障害者の望む地域生活の支援、 、 0 本法は、障害者を巡る国内外の④国及び地方公共団体は、発達 障害児支援の一一ーズの多様化への 動向 ( 障害者権利条約の署名・批障害者及び関係者からの各種の相⑨国及び地方公共団体は、発達 きめ細かな対応、サービスの質の 准 ) や発達障害者支援法の施行状談に総合的に応ずることができる障害者が司法手続において権利を 確保・向上に向けた環境整備】 況等に鑑み、発達障害者の支援のようにするため、関係機関及び民円滑に行使できるようにするた 一層の充実を図るため、所要の措間団体相互の有機的連携の下に必め、個々の特性に応じた意思疎通 本法は、①障害者が自ら望む地 置を講ずるものである。主な内容要な相談体制の整備を行うものとの手段の確保のための配慮その他 域生活を営むことができるよう、 の適切な配慮をするものとする。 する は次のとおりである。 ①法律の目的に、切れ目なく発⑤市町村は、児童に発達障害の⑩都道府県は、発達障害者の支「生活」と「就労」に対する支援 達障害者の支援を行うことが特に疑いがある場合には、当該児童の援の体制の整備を図るため、発達の一層の充実や高齢障害者による 重要であることに鑑み、障害者基保護者に対し、継続的な相談、情障害者及び関係者等により構成さ介護保険サービスの円滑な利用を 本法の基本的な理念にのっとり、 報の提供及び助言を行うよう努めれる発達障害者支援地域協議会を促進するための見直しを行うとと 置くことができる もに、②障害児支援のニーズの多 全ての国民が共生する社会の実現るものとする。 様化にきめ細かく対応するための に資することを規定する。 ⑥国及び地方公共団体は可能な 支援の拡充を図るほか、③サービ ②「発達障害者」の定義を、発限り発達障害児が発達障害児でな スの質の確保・向上を図るための い児童と共に教育を受けられるよ 達障害がある者であって発達障害 環境整備等を行うものである。主 及び社会的障壁により日常生活又う配慮しつつ、個別の教育支援計 な内容は次のとおりである。 は社会生活に制限を受けるものと画等の作成の推進等の支援体制の ①⑦施設入所支援や共同生活 する。また、「社会的障壁」の定整備その他必要な措置を講じるも 援助を利用していた者等を対象と 義を、発達障害がある者にとってのとする。 して、定期的な巡回訪問や随時の 日常生活又は社会生活を営む上で⑦国及び都道府県は、発達障害 対応により、円滑な地域生活に向 障壁となるような社会における事者が就労の定着のための支援その
特集成年後見制度 司法書士からみた課題 が活かされているのか、③第三者 ( 専門 成年後見実務の課題② 0 職 ) 後見人の執務上の問題点は何か、と いう視点から、主に法定後見制度につい 司法書士からみた課題 て、制度利用の現状を把握し、制度発展 「成年後見制度改善に向けての提言—法定後見業務に携わる執 のために何が障害となり、どのような改 務現場から—」の検証 ( 公的支援体制の構築・充実を目指して ) 善が必要なのかを検討し、当法人の会員 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート専務理事 西川旺ロ之である司法書士に広く意見照会を行い、 法定後見業務に携わる実践者の立場から 受け、また、平成年以降は専門職後見意見を取りまとめたものである。 一はじめに 人の中では最も多く成年後見人等に就任制度改善提言は、公表されたものの、 平成肥年 4 月、新成年後見制度は、自していることから、生活保護受給者をは結果的にはどこにも誰にも正式には採り 己決定権の尊重とノーマライゼ 1 ションじめとする資力の乏しい人や身寄りのな上げられることなく放置された格好にな を基本理念として、成年後見人等の財産い人の後見事務等を数多く経験した。そっていたところ、今般、成年後見制度の の管理に身上配慮義務を課し、認知症高のことにより、多くの司法書士が、新し利用の促進に関する法律が制定・施行さ 齢者、知的障害者、精神障害者等の判断い制度の下でも、依然として関連法の整れ、内閣府において成年後見制度を利用 能力の不十分な人の権利の擁護のための備は十分に行われておらず、また関係機しやすいものとした上でその利用の促進 を図るべく、成年後見制度の利用の促進 制度として生まれ変わった。新しい制度関の運用も新制度に対応していないとい に関して政府が総合的かつ計画的に講す の下では、市町村長に後見等の開始の審う現実に直面することとなった。 判の申立てが認められ、身寄りのない人そのような多くの司法書士の経験かべき施策が検討されており、いわば、公 にも制度利用の道が開かれ、時を同じくら、新成年後見制度施行から 5 年半が経表後十余年を経てようやく実際に活かさ して介護保険制度、その後支援費制度が過した時点である平成年川月、当法人れる場面が到来したといえる そこで本稿では、当法人が平成年川 は、「成年後見制度改善に向けての提言 施行され、福祉行政は措置から契約へと 大きく転換し、資力の乏しい人も成年後 5 法定後見業務に携わる執務現場から月 1 日に公表した制度改善提言の内容を 見制度の利用を必要とするようになっ 5 」 ( 以下「制度改善提言」という。 ) を振り返りながら、内閣府成年後見制度委 、ま 取りまとめて公表した。制度改善提言員会における議論も踏まえ、十余年経過ろ そして、当法人の会員である司法書士は、①成年後見制度が制度利用を必要と後の現在においても依然として課題であの り続けている問題点を中心に、司法書士法 は、裁判所提出書類作成業務を行う過程する市民に利用しやすいものになってい 等において成年後見制度の利用の相談をるのか、②制度の運用において法の理念の目から現在の成年後見制度の現状を整
特集成年後見制度 司法書士からみた課題 原則に委ねるのではなく、国や地方公共害の有無・程度に少なからぬ格差があ改善提言を公表した後、平成四年 2 月に は、日本司法書士会連合会と共同で「任 団体の行政指導を徹底することによってり、いつでも誰でも気軽に利用できる制 度になっていないこと等を指摘し、その意後見制度の改善提言と司法書士の任意 解決すべき問題であると位置付けて、 題の解決を図るべきであると主張してい改善を求めている。そして、経済的弱者後見執務に対する提案 , を公表している る。 への支援体制の強化という観点のほか、 ( https 【 / 、 www. legal¯ support. or. ぎ、 このように、身元引受の問題は、制度制度の担い手不足を解消する必要性の観 act)0 改善提言の公表当時から成年後見制度の点から、「親族による後見が期待できな成年後見制度の利用の促進が議論され 利用者にとって非常に大きな改善の課題い事案にあっては、介護保険や支援費のている今、改めて多くの人に当法人の制 であると認識されていたにもかかわら支給対象として『専門職後見人による成度改善提言 (https ://www.legal-support. ず、その後何ら根本的な解決策が検討さ年後見制度』の利用を認め、本人が生活 or.j notice/deta ミ en ( 、 169 ) 及び「任 れることもなく曖味な実務慣行が続けら保護対象者である場合は、『成年後見人意後見制度の改善提言と司法書士の任意 後見執務に対する提案」を検証していた れ、そのことが原因の一つとなって、昨に対する報酬扶助』を生活保護費におい だき、日本の成年後見制度の進むべき途 年、公益財団法人日本ライフ協会の破綻てなすべきである。また、本人の資力が という形で高齢者、障害者等の消費者被乏しくとも専門職後見人の利用ができるを考える機会を持っていただければ幸い よう、『成年後見制度基金』を創設するである。 害を顕在化させる結果につながってしま ったことは、周知のとおりである 等、国の責任による専門職後見人に対す る報酬助成制度を構築すべきである」と ( 注 ) なお、医療行為の同意については、当法人は、更 に、制度改善提言後の平成年 5 月日に、「医療行 して、「『成年後見人等報酬助成制度』の 四その他の課題ー成年後見人 為における本人の意思決定支援と代行決定に関する報 創設」を提言している。 等に対する報酬の助成等 告及び法整備の提言」を取りまとめ公表しているの で、この提言も参照していただければ幸いである 前記のとおり、制度改善提言は「公的 五最後に (https 】 //www.legal—support.or.ぎ/akamon—regal 支援体制の充実」を成年後見制度の最大 support/static/page/main/pdf/act/index—pdf10—02. の課題と位置付けていたが、そのほかに 紙幅の都合上、ここで全てを紹介する pdf) 。 も、例えば、身寄りのない人、資産や収ことはできないが、制度改善提言におい ( にしかわ・ひろゆき ) ろ 入が乏しい人等、本当の意味で制度を必て言及されている課題の多くは、現在も の 要としている人が制度の利用にまでたど依然として成年後見制度の課題であり続 律 法 り着けないケースが非常に多いこと、地けているものが少なくない。また、当法 域によって利用に至るまでの手続上の障人では、法定後見制度を対象とした制度
執行をきめ細かく監督することは到底困€ ている市民後見人にほかならない。市民 家庭裁判所の後見人選任の方針 難である。しかるに、そのような状況の 後見人が地域の資源を活用して展開する このような活動こそ、「地域後見」と称その第一の要因は、家庭裁判所が後見下で、親族後見による横領の原因が家庭 するにふさわしい。そして、このような人を選任する方針として、本人が一定額裁判所の後見人選任・監督上の過失にあタ るとして、国に損害賠償を命する裁判例の 「地域後見」を実現していくことが我が以上の金融資産を有している場合には、 国の成年後見制度にとって必須のものだ親族を後見人に選任することを避けるとが現れるに至った。対策に苦慮した家庭法 いう方向を採ることを決断したとみられ裁判所が採ったのが、本人に一定額以上 というコンセンサスが形成されたこと の金融資産 ( 巷間 100q 万円程度と噂 が、平成肥年からスタートした成年後見ることである。 この傾向は、平成年頃から明らかにされているが、地域差もあるようで、必 制度の今日までの到達点ということがで すしもはっきりしない。 ) がある場合に きる。 なっている。すなわち、新制度がスター トした平成年には % を占めていた親は、その親族を後見人に選任しないとい 族後見人の割合は、その後緩やかな減少う直截的な方法であり、それが平成年 三「市民後見人」の明日 ・ 6 % に達した以降の前記の数字となって現れているの を続け、平成年には 月一三ロ リ己二で述べたように、市民後見人が、それ以降、平成年には % を、平である。 は、その登用数はまだ低い水準にとどま成年には % をそれぞれ割り込み、平前記の親族後見人の減少分をカバーし ( しまのところ弁護士、司法 っているものの、身上監護を中心とする成年には遂に % を割って四・ 9 % まているのよ、、 書士、社会福祉士などの専門職である。 「地域後見」の担い手として、その役割で落ち込んだ。平成年までの減少は、 が認知され、制度内における地位を確か親族自体が高齢化していること、独居のしかしながら、これらの専門職者の数は なものとしつつある。のみならず、この高齢者が増加したことなどによる、いわ簡単に増やすことはできないし、現在、 制度の将来を展望するときは、市民後見ゆる自然減とみられるが、平成年以降既に専門職者の数が不足している過疎地 人はその活動の場を大いに拡大していくの急激な減少をもたらした原因は、近域 ( 加えて、特に後見ニーズの高い地域 ) 可能性を秘めている。このことは、少な時、後見人に選任された親族による本人においては、専門職の団体が家庭裁判所 の選任依頼に対応できない状況にあると くとも現段階において、次の四つの要因の財産の使い込み事件が頻発しており、 その被害総額が毎年数十億円にも達しても聞く。いずれにしても、近未来に想定 から導くことができる。 いることにある。まさに由々しき事態でされる制度利用者の圧倒的な増加に対し あるが、現在の家庭裁判所の人員体制でては、専門職に依存するだけでは到底足 は、毎年増加し続ける親族後見人の職務りない。
や成年後見制度の利用の促進に関する施から、努力義務として規定している ( 策について必要な関係行政機関相互の調条及び条 ) 。 整等の事務をつかさどる ( 条 ) 。内閣 府には、有識者で構成される成年後見制 ( 注 ) 度利用促進 - 委員会も置くこととしている ( 1 ) 成年後見関係事件 ( 成年後見・保佐・補助・任意 13 3 5 人となってい 後見 ) の利用者は、合計で四万 信条 1 項 ) 。 なお、成年後見制度利用促進会議等る ( 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の は、利用促進法の施行から 2 年以内の政概況ー平成年 1 月 5 肥月ー」Ⅱ頁 ) 令で定める日に廃止するとともに、新た ( 2 ) 厚生労働省の推計によると、知的障害者 ( 歳以 に関係行政機関で組織する成年後見制度上 ) は約万人 ( 平成年現在 ) 、精神障害者 ( 歳 利用促進会議等を設け、庶務は厚生労働以上 ) は約 3 。 1 万人 ( 平成年現在 ) となっている ( 平成年版障害者白書芻頁 ) 。認知症の人の将来推計 省において処理するとしている ( 附則 1 については、「「認知症施策推進総合戦略 5 認知症高齢 条ただし書、附則 3 条及び附則 5 条 ) 。 者等にやさしい地域づくりに向けて ( 新オレンジプラ これらの会議等は既に活動を開始して いる。成年後見制度利用促進委員会の下ン ) 』 ( 概要 ) 」 ( 認知症施策推進関係閣僚会合 ( 平成 年 1 月日開催 ) 資料 1 ) 9 頁。 には、「利用促進策ワーキング・グルー プ「不正防止対策ワ 1 キング・グルー プ」が設置され ( 平成四年 1 月現在 ) 、 成年後見制度利用促進基本計画の案の作 成に当たって盛り込むべき事項等につい て検討が行われている ( 注 6 ) 。 8 地方公共団体の講ずる措置 成年後見制度の利用の促進には、地方 公共団体の取組が必要不可欠であること ( 3 ) 本文は参議院ホームページ (http ://www.sangnn.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi Z190 、 363 ー 040503 も df ) に掲載されている。 ( 4 ) 後見開始、保佐開始及び補助開始のうち認容で終 局した事件において、親族以外の第三者が成年後見人 等 ( 成年後見人、保佐人及び補助人 ) に選任されたも のは、全体の約間 % となっている ( 前掲 ( 注 1 ) 9 頁 ) 。 ( 5 ) 平成年月末日時点において成年後見の利用者 が、約万 2600 人、保佐の利用者は約 2 万 760 0 人、補助の利用者は約 8700 人 ( 前掲 ( 注 1 ) ( 6 ) 成年後見制度利用促進会議等の議事録等について 2 7 は、内閣府ホームページ「成年後見制度利用促進」 (http ://www.cao.go.jp/seinenkouken/index.html) にろ の 掲載されている 律 法 ( たかやま・よしひろ ) 頁 ) 。