松本幸四郎 - みる会図書館


検索対象: 邦楽の友 2016年7月号
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1. 邦楽の友 2016年7月号

後の文化十一年 ( 一八一四 ) 正月森田座ひくやらりゃうの袖の梅合すいな 曽我狂言の「草摺引き」は、父の仇で初演された「正札附根元草摺」の詞章ミのわのとりかねに合中なをりす である工藤祐経に巡り会った曽我五郎と比べると、「おせど引ケどもこりやる酒きげんツレ八ヱ、めんどうなと が思わず駆けだしたところ、小林の朝どうじゃ、朝比奈力はそれぎりか」のとっきとバし合もすそに取リつき 比奈がその鎧を掴んで引き留める、ところが共通している ( 但し、「正札附合ひきとめて喜八ならぬぞいなし いう有名な場面である。多くの曲があ根元草摺」では「引けども押せども」 ) 。やせぬ合さいわいにいのふとハ 「草摺物ーに共通する詞章と、それ合 ( 一・ウ ) 顔どれどんな顔男女八ヲ、 り、「草摺物」とも呼ばれる。 表紙の絵は、上から下を見下ろしてぞれ新しく創作した詞章の組み合わせこ ( 千八それやまアなんのかほじゃ いるのが五代目松本幸四郎 ( 鼻が高くで曲が作られているようである。全曲いな喜八まぶの男のきぬる、にち よと一トびき合すいつけたばこ 鼻高幸四郎と呼ばれた ) 扮する曽我三下りである。 ツレひくものハなに合はる 五郎時致、下から見上げているのが初『未翻刻長唄集』に翻刻がある たっそらのうすがすミ合くもの、 代市川男女蔵扮する小林の朝比奈であ と月にいな、くきりわらやうしのつ る。なお常磐津節「忍夜恋曲者 ( 将門 ) 」 ごひいきこんげんくさすり なひくおはらめといふてはこしに取リ一 を初演した四代目常磐津文字太夫は、御贔屓根元艸摺 ついてゑんや合 / ( 、合おせ この初代市川男女蔵の子である。 長唄の「草摺物」のうち現在でも演三下り八諺に合おにをあざむくりど引ケども ( ニ・オ ) こりやどふじゃ 奏される最も古い曲は、宝暦十二年きしどち楠に花さくごとくにて合幸四郎朝比奈カハそれぎりか男 ヱイヲ、はづかしやは ( 一七六一 l) 四月市村座初演「分身草よろひづきしてたっかゆミ八其あ女ム、 つかしこれじゃならぬとひやうしに らそひはくんしこく合さすが 摺引」で、今は荻江節に伝承されてい か、って引イてくりよ八恋ハいよ る。「分身草摺引」と本曲の詞章を比つるの丸かれとすおふのそでをなが べると、「ヲ、、こは、そりやまあなしめに合ひきとヾむれど合うのうき身をやっす神にちかひて酒の ミのまずたがひにあらそふ其有 んの顔じゃいな」と、最後の「貴賎上ごかばこそ合よもやぬけじの合 下おしなべて、感せぬ者こそなかりけ ( 一・オ ) かなめ石千八かたい心をやリ様合こ、んにまれなる勇力やと ハらかなさとのしょわけでびいて見きせん上下おしなべてミなかんせ れ」が共通している。 また同じく現行曲で、本曲から十年る合く・せっすがヾきつまごとをぬ者こそなかりけれ 〈考察〉

2. 邦楽の友 2016年7月号

二日替りの世話狂言で、これは後日「四 窰田キ 紅葉思深川」の中幕に上演されためり やすである。 【れ一 0 《 0 「身替りお俊」の物語で、表紙の絵 の右側、初代市川男女蔵扮する白藤源 太は江戸の力士で左手に煙草盆、右手 や↑え に煙管を持ち煙草を吸っている。左側 ル桝碧物 は初代松本米三扮する加賀屋お俊で、 手に持っているのは楊弓のようであ る。お俊について三田村鳶魚は、馬場 、ん人豊 文耕の随筆『江戸百化物』に「楊弓の ばけもの」として紹介された両国米沢 ( む 4 を・ ( 「かク多」新」 よこびすマれあ 6 の 町の楊弓場の女房おしゅんがモデルの 一人と推定している。 、と 6 ' くえ傘や 「身替りお俊ーの筋は、花川戸の芸 みハくい 者お俊が旧主園生の前を助けるため、 力士白藤源太に恋を仕掛け、相愛の井 筒屋伝兵衛との縁を切り、心を察した 源太の手にかかって身替りとなる、と い、つもの むうりゑわ なお『歌舞伎年表』では、白藤源太 ひのゆ処あひろ 役を松本幸四郎 ( 五代目 ) としている。 ののハとら 同名のめりやすが安永四年正月中村 込のムもひのゆみ 座で演奏されている。 ひょくもん五瓶述 三下りひとすじのながれによどむ 合こ、ろのちりの合っもり /. 、、 て文車や合文のかづ / \ 通ふ神 いのる御げんとやるせなき ( 一・オ ) 思ひそめてき四つ葉合ひょくの もんのかんさしにむすぶこよりのまち びとのくべきょひなりあい・つの手く だ月にしのぶもこひのやみ 第回田邉尚雄賞 4 月 3 日、東洋音楽学会第 7 回通常 理事会において時田アリソン氏に田邉 尚雄賞が授与されることが決定した。 授賞式は東洋音楽学会第回大会 1 日目のⅡ月 5 日、 4 時分より放送大 学東京文京学習センタ 1 多目的講義室 1 にて行われる ニュース

3. 邦楽の友 2016年7月号

〈御贔屓根元艸摺〉 初演 ゅ者の第男姿 石あは小文化元年 ( 一八 0 四 ) 一月市村座 , おのあ 29 ザ《梅桜松曽我 ( はなきようだいあいお 春おそ いそが ) 》第一番目五立目大詰 ①早稲田大学演劇博物館 参ての》ての ( イ・ 11 ・三 2 ・ 33 ) 半紙本一冊 囘全二丁半 ( 表紙半丁・本文二丁 ) 六行 〈備考〉 寒々亂 0 ( ふ 「狂言作者並木五瓶、福森久助」「ふ 梅桜松曽我 ( はなきゃうだいあい おひそが ) / 第一ばん目五建目大り附市山七十郎、」「上下」 ( 表紙 ) 。 詰 / 市村座 / 御贔屓根元艸摺 ( ご ごひいきこんげんくさずり 春 4 う ひいきこんげんくさずり ) 御贔屓根元艸摺 ( ごひいきこんげ んくさずり ) ⑥「艸摺壱」「艸摺一一了」 ⑦板元 / 福地茂兵衛 / ふき屋町 / 冨 士屋小十郎 / 山本重五郎 ⑨曽我の五郎時致 / 松本幸四郎、小 林の朝比奈 / 市川男女蔵 ⑩長唄冨士田千蔵、岡安喜三郎、 和歌山仙吉、福田新吾、冨士田 千介、岡安喜八、三弦錦屋惣治、 杵屋勝五郎、錦屋金蔵、杵屋巳太一 郎、鳥羽屋三五郎、杵屋弥左吉、絽 ふへ住田又七、ふへ住田清一 七、小っゞミ西川新十郎、小 っゞミ小泉長治郎、大っゞミ 堅田喜惣次、大っゞミ小西平次 良、たいこ坂田重兵衛、たいこ 小西重蔵、 鳥居清忠画

4. 邦楽の友 2016年7月号

まは田スて 5 ①鈴木俊幸氏蔵 全一丁半 ( 表紙半丁・本文一丁 ) 糸のくおき 梅桜松曽我 ( はなきゃうだいあい おひそが ) / 二日目第二ばん め / 四紅葉思恋深川 ( よっもミぢ おもひのふかがわ ) / 中幕 / 市村 座 / めりやす比翼紋 ( ひょくも ひょくもん 「比よく紋壱了」 ⑦板元 / 福地茂兵衛 / ふき屋町 / 冨 士屋小十郎 / 山本重五郎 ⑨白藤源太 / 市川男女蔵、かがやお しゅん / 松本よね三 ⑩長唄冨士田千蔵、三弦錦屋惣治、 杵屋勝五郎 ) 公〈めりやす比翼紋〉 〈備考〉 初演 「狂言作者並木五瓶、福森久助 , ( 表 文化元年 ( 一八 0 四 ) ニ月市村座 紙 ) 。「五瓶述」 ( 内題下 ) 。 《四紅葉思恋深川 ( よっもみじおもい のふかがわ ) 》中幕 〈考察〉 文化元年市村座曽我狂言の一一番目は 久十叮応

5. 邦楽の友 2016年7月号

のことなら何でもご相談下さい。 ◇私達スタッフがお手伝いします。 ◇テープから採譜して文化譜又は五線譜を作ります。 ◇お手持ちのどんな楽譜でも文化譜に直します。 ◇プライベイトに譜本をお作りになりたい方、ご相談下さい。 ◇お電話下されば、詳細についてご返事します。 日本伝統芸能研究所代表東山晋士 〒 125-0053 東京都葛飾区鎌倉 3 ー 12 ー 1 ー 1009 T E L 03 ー 5693 ー 0192 台本作家ぐる一ぶ『作者邑』 邦楽が学校教育に導入され、一般社会への普及の窓口を開いています。 これを機会に伝統芸能をグローバリーに広めようと結成された台本作家 ぐる一ぶ『作者邑 ( さくしやむら ) 』は邦楽・舞踊・歌舞伎・新劇・商業演劇・ 大衆芸能ーとあらゆる台本の注文に応じて得意な分野の作家が執筆する ーというグループです。執筆料はご相談に応じます。 台本作家ぐる一ぶ『作者邑』代表・笹井邦平 sasai sakushamura@yahoo. CO. jp http://www.geocities.jp/sasai_sakushamura/ 事務局 131 -0063 東京都墨田区京島 3 -34-7 -501 笹井方 TEL ・ FAX 03-3618-1997 三味線・付属品・張替 一 - 第かっ 歌舞伎座・国立劇場御用 能楽長唄用太鼓・小鼓 ー詳細カタログご進呈いたします。 東京都荒川区東尾久六ーニ六ー四 電話〇三ー三八九ニー六三六三 shamisen live house Chito-Shan http://www.shamisen-katoh.com 創業文久元年 登宮本卯之助商店 http: 〃 www.miyamoto-unosuke. CO. JP 西浅草店・ 11 1 訓 35 台東区西浅草 2-1-1 猷 03 ) 3844-2141 代 本社・ 11 1 -0032 台東区浅草 6-1-15 猷 03 ) 3873-4155 代 ー 56 ー

6. 邦楽の友 2016年7月号

杵屋勝四郎、今藤政貴、杵屋秀子ほか。のフェスタルバラード」ほか。 ◎ 090 ーっ 0097 ー 17000 ◎ 050 ーっ 0 イ 005 ー 4094 日琵琶五人会文楽小ホ 1 ル 1 日・ 2 日じよぎ上野広小路亭 9 日日本音楽の光彩Ⅱ 2 時・ 4 千百円 国立小劇場日長唄絵合せ 3 時・ 3 千円 2 日清元わだち会文楽小ホ 1 ル 9 日しんばち会 1 時・ 1 万円 神田新八 六本木シンフォニ 1 サロン 3 日小唄民謡西派西寿会四十周年及 日春日慈善会文楽小ホール 8 1 日和楽器をやってみよう び西邦満佐師籍五十年記念祝賀会 1 時・ 2 千円 紀尾井小ホ 1 ル Ⅱ時・一万円ホテル東日本字都宮 日花鳥風月ー風 1 時半・ 2 千円紀尾井小ホ 1 ル 9 5 日長唄協会夏季定期演奏会 1 日若宮三千代 三越劇場一 浅草公会堂四階 Ⅱ時半・ 4 千円 国立小劇場日三櫻会 ◎ 03 ー 3542 ー 6564 日女流義太夫お江戸日本橋亭一 日 ZEN 周年記念 5 日杵屋勝国をきく会 6 時半・ 5 千円紀尾井小ホ 1 ル演奏会 日第回箏三絃尺八鑑賞会 7 時・ 4 千 5 百円紀尾井小ホ 1 ル 2 時・無料浅草公会堂 4 階和室 5 日中村明一虚無僧尺八の世界 7 時・ 4 千 5 百円大手町ホ 1 ル山勢松韻 ( 箏 ) 田中奈央一 ( 三絃 ) 善邦楽グル】ブ〈綾〉田中康盟。「梅が枝 養寺惠介 ( 尺八 ) 山登松和 ( 箏・三絃 ) 「初夏の印象」「そら」「蒼月の曲ー「東 5 日・ 6 日ビクター小唄まつり 「秋篠寺」「ほととぎす」「六玉川」 獅子」五十川真子 ( 山田 ) 杉浦充 ( 生 三越劇場 田 ) 田中康盟。「東獅子」は山田流の 形で山田と生田が演奏する。 日第回箏衛門 ◎ 0 っ 0 ーっ 086 、 6 ーっ 0084 7 時半・ 3 千 5 百円 7 日五代目勝松の会「都と鄙」 6 時・ 6 千円 三越劇場すみだトリフォニーホール小ホ 1 ル 3 2 日四十騎会創立周年記念コンサ 杵屋勝松主催、長唄、端唄、民謡の会。「赤の彩り」「二つの群の為に」「三つート「萌芽」 7 月の演奏会情報

7. 邦楽の友 2016年7月号

・申込書が本学担当係に到着した順にンパス 2016 も併せて実施します。 0 転居のお知らせ 申し込みに関する問い合せ先は前記 参加登録手続きを行います。 藤本草氏 ( 受付完了の連絡はメ 1 ル若しくは 藤本昭子師 で行います。申込書にご記入いた。 5 1 月 1 日 ( 土 ) たいたメ 1 ルアドレス又はに送福井県音楽コンクール 1 【 0 ワ 3 ー 000 っ 0 信します。 ) 目黒区碑文谷 3 ー川ー 申込み後 1 週間以上経っても受付完了邦楽部門 の連絡がない場合は、下記までお問い 応募締切【 2016 年 7 月日 ( 金 ) 03 ー 3716 ー 6716 0 っ 0 ーっ 0 「 / 16 ー 2110 期日厳守 / 但し当日消印有効 合せください。 ・抽選は行いません。先着順でお申し対象【小学校低学年 ( 1 ・ 2 ・ 3 年 ) の部 ■杵屋勝国をきく会 小学校高学年 ( 2 ・ 5 ・ 6 年 ) の部 込みを受け付け、予定受付数 ( 20 0 中学校の部 人 ) を超えた場合は、キャンセル待ち 7 月 5 日 ( 火 ) 6 時半開演 高等学校の部 の受付になります。 ( キャンセル待ち となった申込者にはその旨ご連絡いた日時【予選 / 2016 年 8 月日 ( 土 ) 5 千円紀尾井小ホー 本選 / 2016 年川月日 ( 土 ) します。 ) 1 モニ 1 ホ澤村藤十郎 ( ゲスト ) 、葛西聖司 ( 司 会場【福井県立音楽堂・ ( 1 ) メ 1 ル送信先 会 ) 、杵屋勝四郎、杵屋利光、今藤政 1 ルふくい ( 福井市今市町 ) hougaku.setumeikai@gmail.com 貴、杵屋巳之助、杵屋利次郎、杵屋勝 ( 邦楽科説明会申込専用アドレス ) 四寿 ( 唄 ) 、杵屋勝国、杵屋裕光、杵 ( 2 ) 郵送先【台東区上野公園肥ー 8 予選】六段の調べの指定一部分 屋勝国毅、杵屋勝十朗、杵屋勝国悠 ( 三 東京藝術大学音楽学部教務係 ( 邦楽科本選【自由曲 ( 演奏時間指定あり ) 審査委員【坂下典子・沢井比河流・高味線 ) 、杵屋勝正雄 ( 上調子 ) 、杵屋勝 説明会申込 ) 宛 眞規、杵屋勝理恵、杵屋勝あやめ ( 唄 ) 、 橋雅抄・深海さとみ・宮本真子 送信先 0 っ 0 ー 5685 ー「 / 「イ 84 問い合わせ】福井県音楽コンク 1 ル運杵屋勝くに緒、杵屋勝壽、杵屋勝くに 光 ( 三味線 ) 、杵屋東成、松永忠次郎、 7 月日 ( 土 ) 、幻日 ( 日 ) は上野キャ営委員会事務局 今藤政貴、杵屋巳之助、杵屋利次郎 ンパスで音楽学部全体のオ 1 プンキャ 0776 ー 66 ー 5517

8. 邦楽の友 2016年7月号

叟りしおうⅢ 新譜 案内 hougaku-17 生田流箏曲 創明音楽会 昭和三十年七月一日第三種郵便物認可 00 ・ 叟のしおうⅢ 土第画 創明音楽会 小野正志 17 邦・楽の亠・第六二巻第七三三号 -program- 1 秋風の曲 2 荼音頭 みだれ 4 残月 18 ' 25 " 14 ' 3@" 8 ' 37 " 20 '@4 " ・坂本真由美高橋和子多田ことえ 創明音楽会 tel 03-3728-5925 fax 03-549 & 7661 E-mail:somei@kxb.biglobe.ne.jp 問い合わせ小野正志 株邦楽の友社 tel 03-5451-3068 fax 03-5451-3069 E-mail:info@hougaku.co.jp 4 9 1 0 0 8 0 1 7 0 7 6 9 0 0 7 5 0 雑誌 0801 7-07

9. 邦楽の友 2016年7月号

しならぬ合一トつよぎツレせ けた玩具で、手に持ったり、またいだ点は異なる。 なむけかねしはるげしき八うれしめ りして遊ぶ。正月を寿ぐ門付芸としてなお「春駒ーは「はるごま」で、「は も行われた。 るこま」ではない。『未刊翻刻長唄集』でたの日の出まばゆき金ふくりんの 合くらはなしぢのあぶミにあをり に翻刻かある 「春駒ーを扱った現行曲としては、 合たづなかいくり合しっとん / ( 、 本曲より十三年前に初演された「対面 ムロ・り・うぐちぎり・ ) の・り・まハしく 花春駒」 ( 寛政三年 ( 一七九一 ) 正月 はるごまついのうっしゑ るり / ー、くるイ、 / ( 、と ( ニ・オ ) く 中村座初演 ) があるが、詞章の内容な春駒対写絵 るまにあらぬわのりのひやうし合 どに本曲との関連がみられる。 歌い出しは、「対面花春駒」も本曲三下り八めでたや / ( 、はるのはじめのくつわのおとハりん / \ がら / \ りん か・ら / \ ムロはいと、つイ、はい / ー、、 も「めでたやめでたや、春のはじめのはるごまなんぞは合ゅめに見てさ 春駒なんぞは、夢に見てさへよいとやヘよいやと申ス / 、ヲ、それ / ( 、よ / ( 、此間ひやうし八いろもかハら いさくら木や合むすびてほしき 申す。よいとや申す。ヲ、それそれ」 ぬときは木にゑだをつらねてちとせ一 ふるみどりも今ハ名にたかき合松 で始まる。最後は、「対面花春駒」は「麗あだざかりふたりつれたるそのよい 曽我 ( にぎわいそが ) の対面と、うた中をよそに見てさへよいとや申ス / ー、曽我のたいめんとうたひはやしてまひ一 い囃して祝しける」、本曲は「松曽我 ( あそもはる ( 一・オ ) ごまは万歳らくおさむ いおいそが ) の対面と、うたい囃してのまびなれや合さてせいやうのそ 舞納む」である。「麗曽我」は「対面らいろも合こまにかず見る合 花春駒」の芝居の大名題「春世界花麗な、くさはこれじんじつの合せ 曽我」から、「松曽我」は本曲の大名ちゑなり 題「梅桜松曽我」からそれぞれ取って千八かたいやくそくいつわりの合 いる ないてまっ夜をふ合り合す なお「対面花春駒は現在全曲本調て、合っもるうらみを雪のかほ 子で演奏され、「本調子」と記載のあ合っいとけやすきしたひもを喜 る後年の稽古本が残っているが、本正八びんとすねたる ( 一・ウ ) はらたち にそのいひわけをすミのおれきのは 本には冒頭に「三下りとあり、この

10. 邦楽の友 2016年7月号

萩原本家の出身で数え四歳で失明、伊した。 勢の大松検校について盲人社会に入「昭和四十一年、九歳になり長唄を り、明治四年、勾当の位を得て萩岡姓十四世杵屋六左衛門師門下の杵屋六梅 を名のりました。谷中にある墓所の裏代先生に師事しました。」 には、徳川、松平、伊達といった大大父の知り合いの長唄の先生から、芸 名の名が刻まれ、明治維新までは、諸養子にというお話も頂き、漠然とでし 侯妻女の箏曲教授だった様です。 たが、長唄の唄方になりたいと思って 「三世山勢松韻師に師事、師の没後、いました。 萩岡松韻を名のり、東京盲ー学校 ( 現・「昭和四十五年、中学に入学、会の 三輪たけし筑波大学付属盲学校 ) に勤め、いわゆ下浚いの折、初世の時代からのお弟 る盲学校派の総帥として、久本玄智、子さんから、『もっと真面目に修行し 「昭和五十三年、父・三世萩岡松韻斎藤松声、山川園松、宮下秀冽といって下さい。あなた様がこのままでは、 は四十九歳の若さで急逝、当時藝大生た箏曲家を育てました。」 目の見えない初世が苦労して築かれ、 だった私は、以来夢中で過ごして参り 二世萩岡松韻は、藝大ピアノ科に進代々大切に継いできた宗家が、お父様一 ました。」 学しましたが、在学中箏曲界に戻り、の代で途絶え、全国の門弟達が行き場 「現在は、東京藝術大学邦楽科教授五線譜の知識を生かし、初世の校閲をを失ってしまいます。あまりにも無責 として、次代演奏家の育成のみならす、得て、山田流に伝わる古曲、廃曲を採任です。』と、訴えられました。」 若い世代に向けて、国内外への啓蒙普譜、保存、その表記法は、諸家の譜面流石に箏曲修行を覚悟し、中能島欣 表記に影響を与えました。 及活動を展開しています。」 一、慶子ご夫妻に師事しました。 本誌シリ 1 ズ聴き書き・第四十五回「昭和三十七年、数え六歳六月六日、 「楽器は満足に弾けず、『松風』、『竹 ゲスト、山田流箏曲萩岡派宗家・四世祖父・一一世萩岡松韻に歌の手ほどきを生島』、『寿くらべ』を慶子先生の箏で 萩岡松韻師の語る来し方です。 受け、初舞台を踏みました。」 歌い、それを聴かれた欣一先生が三絃 「昭和三十二年、山田流箏曲の家の歌は好きでしたが、女性が多数を占を付けて下さいました。」 長男として生まれました。」 め、若い男性の少ない箏曲の世界が好欣一先生は教鞭をとっていた藝大 初世萩岡松韻は、江戸末期の武家、きになれず、稽古から逃げ回っていまで、「萩岡の坊やは、独吟で『松風』 聴き書き・邦楽の星 ( 萩岡松韻師