text by lshii Eriko photographs by U00k000 YO 、 himi 0 0 9 5
TU FUNK ALL STARS CON!CER-TU 2016.02.18 @Z epp カレーシアター六本木 音の仲間たち 全 1 3 公演にわたって開催された堂本剛のライヴ 「 TU FUNK ALL STARS CON!CER-TU 」。 や剛がく家族〉とまで呼ぶメンバーとリラックスした マインドで強靭なファンクグルーヴを響かせたその ライヴの様相は、なんとも楽しく、色っぽいものだっ た本格的にソロ活動スタートさせてから、今年で 10 年。堂本剛は幸福な音楽人生を過ごしている。 text by Miyake Shoichi 0 卍川 photographs by K0kei Kazumichi
今の田 G M A M A は、彼らの 1 0 年というキャリ アの中でも、最大級にお客さんのほうに向いてい る。何か大切なものを共有して繋がっているその 空気は、ライヴを観るとよくわかるが、他のバンド の会場では感じられない、密で濃いものになって いる。しかしそれは、彼らがお客さんの顔だけを見 ていたからではない。いつかなくなることを知って おり、お互いが感じている価値観を下げない存在 であろうと努力するからこそ、ライヴという一瞬へ の期待が高まるのだ。なあなあではなく、緊張感 の上にそれは成り立っている。ニュー・シングル 「 SPEC LS 」にもそれが感じられる。金井政人 ( ヴォーカル & ギター ) に聞いた、その始まり、儚さ、 そして永遠。 ドキドキさせてよ ' 、なムみ text by Kanemitsu HiÉofumiYre« photographs by SasaharaKiyoaki 0 8 9
クリーカイプ text by Kanemitsu Hirofumi photographs by Kusano Yoko hail 、 & make-up by Takakusagi Go 準新作の逆襲 尾崎世界観は変わらんなあ。粗大ゴミ回収 費用の 2500 円にブチ切れ、まだ予定もない のに、子供を持ったらどうなるのか、その期 待と不安を口にする。そんな小市民っぷりが 彼の表現の根っこにあるひとつであり、独特 な感性を培っているわけだが。それでも少し ずつ変わろうとしているところがある。 3 月 23 日にリリースされるシングル「破花」は、ゲスト ヴォーカルで参加してから懇意にしている加 藤隆志 ( 東京スカバラダイスオーケストラ ) が作業に参加し、彼からのアドバイスを取り 入れている。このままではいけない、という危 機感からくるものなのだろうが、同時にそれ は、変わるのではなく、もともとの自分にあっ た良さを再確認するものになった。お客さん との距離を考え、そこに受け入れられようと 音楽を作るのではなく、逃げずに自分を見つ めなおし、そこにある孤独や恥ずかしさを直 視することが、強い表現につながるんだとい うことを尾崎は思い出したのだ。 0 4 2
NICO Touches the Walls 長かった。ベストやアコースティック・アルバムを挟んで 3 年、 ようやく 6 枚目のオリジナル・アルバム『勇気も愛もないなん て』が完成した。収録曲の半分以上が既発ということからもわ かるが、これはこの 3 年間におけるバンドの足跡である。そして、 このタイトルのように情けない自分を、光村龍哉 ( ヴォーカル & ギター ) がようやく認めることが出来たことが大きい。収められた 新曲はどれも、周囲を引っ張っていこうとする強さなど微塵もな く、むしろ優柔不断でウジウジしてるし、自分の気持ちが全然伝 わらないことに苛立っている。しかしそれこそ、光村龍哉自身で あり、そういう気持ちを歌にできることが彼の強みなのだ。ロッ クンロール然としたカッコよさや、強さが欲しい訳じゃない。彼 の歌、ニコの曲から聴きたいのは、そこから感じる人間味なのだ。 このアルバムでようやく、本当にようやく、この男は吹っ切れる はずだ。こんな時代、勇気も愛もみつかんなくて、悩んでる人は いつばいいる。そんな心をつかむのは、同じような気持ちを知っ てる、お前の歌だけなんだ。 text by Kanemitsu Hirofumi photographs by Sasahara Kiyoaki 愛と勇気もないけれど
わたしのうた、みんなのうた text by Kanemitsu Hirofumi photographs by Fujiwara Erina 1 曲目の「ごめんね、恋心」から脱帽だ。 s H 旧 H A M 0 の サード・アルバム「 S Ⅲ SHAMO 3 」からは、ここまでこのバ ンドがどこからも影響を受けずに、独自の感覚を育んできた ことがよくわかる。そしてそれが本作で、大きく花開いている のだ。この成長は、宮崎朝子 ( ヴォーカル & ギター ) というソ ングライターの才能によるところが大きいが、ほとんど空想 で書いている、とデビュー当時からずっと言い続けている彼 女の歌詞は、徐々に変化を感じさせつつも、根本は頑固な までに変わらない。それは、彼女が女の子にく可愛さ〉を感じ るポイントが、ティーンエイジャーの女の子ならよくわかるく無 自覚な怖さ〉にあるからだと思う。恋は盲目とよく言うが、そ んな時にやらかしてしまう、自分では気づかない狂気。そん なことをさせてしまう、愛や恋の怖さ。純粋さの罪。彼女が S 印 S H A M 0 で唄っているのはそういうことじゃないだろう か。宮崎の語るく女の子の可愛さと恐怖〉について。 0 3 4
赤い公園 私をつなぐもの text by Higuchi Yasuyuki photographs by Shintsub0 Kenshu hair & rnake-upbyYoshidaTornoe やっとスッピンの彼女たちに出会えたような気 がする。 3 枚目となる赤い公園のフルアルバム 『純情ランドセル』を聴いてそう思った。「 K 0 Ⅸ凵 「 Canvas 」といった最新シングルを筆頭に あるのは痛々しいくらいにイノセントな心と 4 人の 奔放さだ。ピュアで汚れのないあの頃の自分。今ま でそれを出すことに躊躇いがあったけと、それを乗 り越えた自分がここにいる。本人に問いたたすまで もなく、ここにはコンポーサー津野米咲のそんなポ ジテイプな思いが溢れ返っている。もちろん他のメ ンバーも彼女のシフトチェンシにギャを合わせ、よ り自分自身をさらけ出すようになった。特にヴォー カル佐藤千明の歌にはそれが顕著だ。心のまま に、自分らしく、それでいて津野が綴ったメロデイや 言葉に優しく寄り添いながら唄っている。津野とい う高校時代の先輩と出会ったときに彼女が感じた 大切なこと。そのとき彼女に聴かされた歌の思い出 詳しくは佐藤によるインタビューを読んでもらいた いが、津野と佐藤の関係はバンドの在り方として 理想的であると思う。 0 8 3
ART- レコード会社と事務所を離れ、ただ独立するの ではない、デサイナーやカメラマンやライヴ制作のプ ロフェッショナルたちと新しいチームくワルシャワ・レーベ ル〉を立ち上げるという覚悟をもって、昨年 2 月のライヴ以降 活動休止に入っていたアートスクール。そこからちょうど一年となる 先月 1 3 日、同じくスタジオコーストのステージに彼らは立っていた。綺麗 で儚げで、同時に脆くて危うい、つまりは、「相変わらず」のライヴだった。感 動の復活劇というほど待たされた感覚はないし、そもそも何が変わったのかはま だ明確にはわからない。本人が MC で言っていたように「疎外感を抱いて生きている 人」のための音楽を、今にも倒れそうな姿で奏でる木下理樹がそこにいるのだった。当日 ◎◎し はニューアルバムが 5 月にリリースされることも発表されたが、披露された新曲も、打ち込みが 入っていたとはいえ、相変わらずアートスクールらしいとしか言えないもの。この復活ライヴにどん な意味があった、と騒ぐよりは、木下理樹の変わらなさをはっきりと確認できたと言いたい一夜。では、そ んな男がこれほど長く愛され、これほど無視できない存在であり続ける理由とは何なのか。強いのか弱いの かよくわからない男の覚悟とはいったい何なのか。ライヴの一週間後に会った彼は、とてもいい表情で「自分で あり続けなきやいけない」業の深さを語ってくれた。 text by lshii Eriko 愛される理由
夢、野心、仲間、友情、そして自立。 E 刈 LE に代表 される LDH 系のグループは、ヒップホップやソウル・ ミューシックにおける音楽性を軸としつつ、そんな日 本人の D N A が好むメンタリティをグループのテー マとしているところがある。く夢への挑戦〉を掲げた オーティションからスタートし、当時まだ 1 0 代のメン バーが多かった G E N E R ATI 0 N S f 「 0 m E 刈 L E T R 旧 E は、まさにそのテーマを具現化するためにス タートしたといっても過言ではない。しかし今回、 3 枚 目のアルバムとなる TS p E E D STE R] を聴くと、彼 らがそのようなレールを走りつつも、尊敬すべき大き な存在をリスペクトしているがゆえに、自分たちがど うあるべきか、どう進むべきか、強い自覚を持ってい ることがよくわかる。彼らはこの作品で覚醒し、自分 たちが敷いたレールで、夢に向かい始めたのだ。リー ダーの白濱亜嵐とヴォーカルの数原龍友に話を聞 いたが、 22 、 3 歳で、まだあどけなさすら残る顔つきに は、確かな決意が宿っている。 text by KanemitsuHirofumi photographs by Shimb0Yuki hair by Chika Kimura make-up by Kozaki 、 Shih0 - 歹 白濱 0 5 1
0 第◆ 〈並罪深さを抱きしめて 過去へのけじめ、そして未来への希望と不安。ざわざわとした感情が、 2 っ の作品を通して押し寄せてくる。銀杏が動き出すといつもこうだ。 ひとつは 3 月祐日にリリースされる、初の公式ライヴ映像作品『愛地獄 これはただただライヴの模様が映し出される。 2008 年の〈ー c-D ー z-(5 Z 0 0 LL W C-O }-—ー > —J 2 0 0 8 ー c u.J N 0 〉と、昨年 9 鷲月日に峯田和伸単独で出演した福島 0— -•n C-OOZ—O いわきでの ライヴ、さらに 2011 年 7 月、峯田、チン中村、安孫子真哉、村井守の 4 人では最後のライヴとなった〈スメルズ・ライク・ア・ヴァージン・ツアー〉の ファイナル、盛岡公演。これらをすべてノーカットで収録している。カメラの 数も少なく、特別なものはなにもない。合計 4 時間分。バンドの空気が 変わっていくのが生々しく感じられる映像 もうひとつは 4 月日にリリースされるシングル「生きたい」。「人間」 「光」と続く 3 部作のラスト。分材秒の激情。みすからを断罪し、そこか ら次へ進もうとする峯田和伸がここに居る。サポートメンバーを迎え、銀杏 OO>-N を再始動させようとする彼は、失ったもの、そして手に入れよう としているものに、何を思うのか text by Kanemitsu Hirofumi photographs by Takagi Ari 1 6 3