虚勢は張らないよね。ライヴだってニコニコでやってるし 培ってきたものを笑顔で必死にやることが良さなのかなって ンやってく感じて ( 笑 ) 。それをやってくうちにだんだんアルバ いて、弾きたいフレーズが弾けている」 の枠にあてはめて〈これはロックだけどこれは違う〉みたいな ムの全体像が見えてって、〈これはいいアルバムだぞ〉と」 日向「メロディとマッチするというか」 感じだったんてすよ。ても今はそういう枠とかどうてもいい 日向「シングル級の曲が集まってるアルバムだぞ、と」 ホリエ「だから〈ひなっちはこう来たのか ! 〉とかじゃなくて。 なって。いい曲を作るバンドとして素晴らしい。さっき 0 」が ナカヤマ「〈シーグラス〉もそうだったよね。これがシングルに 自然にやったものがちゃんとハマってる」 言ったけど、〈いい曲を書いてきちゃう〉っていうのがね。 決まったのも、僕らがシングルとして推したわけじゃなく、ス日向「意外性はいらないよねって」 ホリエ「言ってしまうと、これは日本人に向けて作っているア タッフという名の審査員が『今回のシングルは : : : ジャーンー みんなて自然にやったものが出来たアルバムだと。 ルバムてすね。昔って今よリはっきリ分かれていたじゃないて 〈シーグラス〉てす ! 』っていう」 日向「そうっすね」 すか。ロックバンドはロックバンドらしくあるというか、メ あくまてもアルバムの中の 1 曲だったと。 ヘンな感想を言いますと、ここまて自然にやれるんだった ジャーとインディーの隔たりとか」 ホリエ「〈シーグラス〉はわりと自然体て作った曲て。むしろ〈原ら加年前とかにこういうアルバム出しとけよって思いました。 インディーがカッコ良くてメジャーが売れ線、みたいな ? 色〉のほうがシングルを意識して作ってた曲て」 全員「ははははは ! 」 日向「そういうの、なくなっちゃったもんね」 ホリエ「若いバンドはそこの隔たリなんてなくて。みんな上を 日向「そうだったね」 そしたら当時もっと売れてたのに ( 笑 ) 。 「原色」はかなりエモいからね。 ナカヤマ「ても当時それて売れたリしたら、絶対パンドにひず狙ってるし、フェスに出れば一緒にアイドルも出ているし、リ スナーもそうてすよね。ストレイテナーとてんば組・・ー c u が ホリエ「〈シーグラス〉がテナーっぽくて、むしろ〈原色〉のほうみが出てきて、ここまて続いたのか ? っていう。今だから言え が新しい感じがしたんてすけど、スタッフからは真逆なことを ることだけど」 対パンした時もファンから〈嬉しい ! 〉って声があったリ。そん 言われて。〈シーグラス〉のほうが意表を突いていると」 ホリエ「そもそもあの頃の自分たちには、こういうアルバムは な中て〈ちゃんと洋楽をわかっている人に評価してもらいたい〉 日向「リリック的な面とかね」 作れないてすね。やつばり当時より今は成長したから出来るんとか言っている場合じゃないな、と。だから昔よリターゲット 大山「ても普通は出来ないと思うんてすよ。『こういうアルバムてあって。内面もそうだけどそれ以外の部分ても」 が広がっているんてす。虚勢を張るんじゃなく」 にしたい』ってホリエくんが言って、それをみんなて共有して、 日向「経験しましたよね、いろいろ」 日向「虚勢は張らないよね。ライヴだってニコニコてやってる そこに向かおうとしても、こんなにシングルっぽい曲は出てこ ホリエ「メロディの作リ方から、アレンジ、アンサンプルの作リ じゃないてすか。笑顔を絶やさず、ても全力て臨む。培ってきた ないというか。ても、書いてきちゃうんてすよ、この人は ( 笑 ) 」 方、展開の付け方とか、レコーディングのやり方。そういうすべものが僕らにはたくさんあって、それを笑顔て『よろしく ! 』っ ・ー・書いてきちゃう ( 笑 ) 。 ての経験があって、今こういうアルバムを作ることが出来るん て必死てやることが、今のテナーの良さなのかなって」 だと思います」 思うに、ホリエアッシっていう人柄の良さが真ん中にある 大山「それが凄いなって」 バンドだなって最近の曲を聴くにつけ : : : 恥ずかしいこと言っ 日向「だから今回アレンジ面においては、僕が長年培ってきた 日向「今だから説得力があるっていう」 ホリエ「もし年前に自分がこのアルバムを聴いても、きっと てるんだけど ( 笑 ) 。 プレイヤビリティと作曲家が提示する世界観が完全に一致しま したね。つまり僕のバックポーンが全部出せたアルバム。細か好きになると思うんてすね。てもやろうとはしなかったし、作全員「ははははは ! 」 いアプローチとか音色とか、何から何まて全部。これはもうゴー れなかったと思います」 ホリエ「これ以上言うと、樋口さんのロマンチックが出てきちゃ ル出来たと言ってもいいてしよう、みたいな」 うから ( 笑 ) 」 「 O < >- 0 0 < >- 」の時にも言ったけど、今はホリエく 日向「ロマンチストの部分が加速しちゃう ( 笑 ) 」 それって不思議じゃない ? 普通バンドってメンバー個々 んの根っこにあるものが素直に出てると思うんてすね。それが ハードロマンチッカー ( 笑ご やリたいことと、いい曲を完成させることってイコールになら今のストレイテナー。てもこれまてはそういう部分をここまてホリエ「 なかったリするんだけど。 うるさい ( 笑 ) 。ても昔はそういう自分を出そうとしなかっ 出そうとは思わなかったし、出せなかった。けど今のホリエく たてしょ ? んならそれが自然と出せるし、それを 4 人て共有することも出 日向「そうてすよね。ても僕の場合、逆てした」 やつばリメンバー同士て共有してるものがデカいのかな。 来る。そういうアルバムだなって。 ホリエ「作品に ? 」 そうじゃない自分だったリ、憧れの存在に近づこうとした 日向「凄く細かいところなんてす。なんとなくのニュアンスみ日向「あリがとうございます ! ( 笑 ) 」 たいなものて」 俺の中ては〈ロックバンド〉としてストレイテナーをどう ホリエ「出そうとしなかったというよリ、自分の頭の中てそう ホリエ「うまく言葉て説明出来ないけど、出したい音が出せて捉えるか、みたいなところがモヤモャしてた時期があって。そ 1 5 0
ことですよね。 「おまけに最初に言ったように、そこにあんまりを唱えない てくれるだろうな、って気持ちになるし ( 笑 ) 」 「そう。今まではキャラクターを作り上げようとしてたから。背 , ーー・変わりましたな ( 笑 ) 。 人たちだからね」 で、だんだんバンドの空気が悪くなっていく 「変わったというより、無理しなくなった。気持ちいいんです 伸びして、理想の自分像にどれだけ近づくことが出来るか、に よ。今回の曲もそうだけど、アコギ持って訥々と唄ってる感じ「否定は出来ない ( 笑 ) 。今は逆にそれを俺があんまり言わなく 必死だった」 なったから、戸惑ってんじゃないかなー ( 笑 ) 。でも今年はそう が〈自分らしいな〉と思うし、これなら誰にも負けないし、他の その理想ってどんなイメージがありましたか ? いう意味で、いろいろ変わっていく年じゃないかな、って気は 「なんだろうな。ずっと僕、自分よりも、自分が作る音楽の方人には出せないよな、とも思えるし。逆立ちしてもこれが俺、 が偉い、と思ってたんですよ。自分の影が見えない音楽の方が してるけど」 だから、結局、恨みようがないんですよ、良くも悪くも」 ーーー変わっていくというか、自分たちがもともと持ってたもの カッコいいと思ってた。何年か経って、誰かにふと思い出してーーー誰のせいにも出来ないしね。 に戻っていく感じがしますけどね。 もらうなら、光村龍哉ってミュージシャンがいたな、ってこと「何をやるにしても、胸を張ってやれるか否か、じゃないかなっ 「ああ、そうですね。どうしても経験を積んでい 、書く言葉 じゃなくて、誰が作ったか知らないけど思わず口ずさんでしま て。どんな人でも」 とかが洗練されていっちゃうんですよ。でも今はえてそこか う曲が、ニコであってほしかった。それは未だに変わってない ーー大事なのはそこですよね。 ら外れた、シンプルな歌詞にしようとしてて。こやって、 1 願いでもあるんだけど、ただ最近は、その音楽を作ってるのも、 「自分にしか唄えてないって信じるものって、売れて残るとか 一番最初に唄うのも、俺なんだって主張が」 売れなくて淘汰されるとか、そういうものは関係ないから。あ曲 1 曲シンプルな言葉で書いてくことで、今どここ向かおうと してるか、メンバーにちょっとずつ気づいていつもらえたら 前は理想ってものがすごくあった、と。音楽がひとり歩き とそうやってると、感動するものが増えるんですよ。この〈ス いいな、って思いもあるので」 して欲しい気持ちも含めて。 トラト〉も、なんでもない瞬間にテーマを思いついて。リキッ そうだね。 「そうですね。いろんな曲を書きたいし、書いてきたと思ってドルームでインターネットってバンドのライヴ観に行ったん 「あと今ツアー廻ってて思うんですけど、俺ら、すえロックバ ですけど、めちゃくちやオシャレで、気が利いてるんだけど、 るけど、僕はそれを、自分の好きな音楽が、今の日本に足りな ンドだな、って思う瞬間があるんですよ。もちろ俺の歌を軸 いじゃないか、だったら俺が聴かせなきや、っていう、おせっすごく感動したんですよ。何に感動したかっていうと、彼ら、 にしてってところもあるんだけど、そうやっていんなものを かい的な感じで書いてきたから ( 笑 ) 。だから背伸びするし、自全くスレてないんですよ。ジャズとかヒップホップとかやって 分っていう存在を差し置いて、音楽を作るところから始まってる人って、スレてて斜めに構えてる印象があるんだけど、こん脱ぎ捨てて、弱さやだらしなさや情けなさも露わ ) していく中 なスレてるように見られがちな音楽を、こんだけスレない感じで何が出てきたかって、ロックな瞬間なんですよ。そういう たっていうか」 で楽しそうにやってることにすごい感動しちゃって。〈音楽っ強さが否が応にも出てくる」 だからニコの初期の曲には、変態度の強いものがいつばい ロックな瞬間って、具体的にどんなもの ? あったわけですよね。 て純粋に向き合うものだよなー〉っと思ったし、〈そういう純粋 さを信じてる人たちがカッコいいよな〉って思ったら、この歌「やつばり、たぎる汗、みたいなところに居場所をじてしまう 「若者は背伸びしたがるんですよ ( 笑 ) 。誰も知らないこんな音 感覚っていうか ( 笑 ) 」 になったんです ( 笑 ) 」 楽を、誰もやったことのないアレンジで聴かせてやろう、って。 つまり自分はここなんだなっていう感覚にれるってこ その純粋さが「勇気も愛もないなんて」に出てるよね。 でも、自分の見てきたものや、感じてきたものの中から音楽が 「それに気づきかけたアルバムでしたからね。〈きっとこれでい 生まれていくんだから、そこで最初に感じたことを一番大事に 「なんかそういう時に、 4 人しか出せない説得力すごくある いんだよな〉って。それを今ツアーで確かめてて、この新曲に しなきゃな、って」 なるほどね。 から。何を言ってるわけじゃないけど、ワッとおさんが湧い つながっていく。アルバムで散々自分の中の純粋さみたいな てくれる瞬間。そうなるとやつばり自分たちの姿が間違って 「もうそれ以外に、曲を書く上でのモチベーションみたいなも ものと向き合ったからこそ出来たんです。あと今は、技術的に なかったんだなってわかるし、まっすぐ投げた球まっすぐ受 のがないしね。とにかく僕は、ギターを持って唄うことが定めカッコいいとか、ジャンル的にカッコいいとか、そういうこと け取ってもらえて、それをまっすぐ打ち返してもってるって だなって、腹がくくれたんですよ。だったらこの道をとことんではないものへのアンテナが自分の中で強くなってる気がし いう」 突き進んで、他の誰にも真似できないところに行きたいなっ それはこういう曲を書いたからですよ、ちゃと。 ーー今まであんなに頭でつかちだったのに ( 笑 ) 。 て、今一番強く思ってますね」 そうなるためには、自分を裸にして、正直に弱いところも「だから〈このカッコよさを俺が紹介しなくちゃ〉って思ってた「そういう姿勢でね、今ステージに立ててると、が出てきま だらしないところも全部出していくしかないねっていうわけわけじゃないですか。で、そういうのをやるには、自分たちにすね。もっと伝えたいって。でもそうするために、前は、もっと ですね。 そういうことをやった経験がないから、その技術を 1 からやらみんなにわかりやすい曲を書く、ってことだと思てたんだけ ど、そうじゃなくて、自分たちが背伸びしないでそのままの 「結局、自分たちにしか出来ないものって、そこにしかないんでなきゃいけないわけですよ」 姿で向き合えるかどうか、なんですよね」 だからメンバー 3 人にも負荷がかかると。 すよ。最近は、すごく面白い音楽に出会っても、まあ誰かがやっ 0 7 5
文 = 金光裕史 心を開いて、人と何かを生み出す喜びを改めて知った 1 9 歳 焚吐 ( タクト ) のストーリーは、いよいよここから始まっていく 前回のインタビューの際は、緊張・・・・・・と言 んです。同時に、大学に入ったことも大きかっ うか、心をまた周囲に開いてない、そんな感じ たと思います。たくさんの良い出会いが人間 がした。無理もない。いじめを受け、内向的に 関係を生んだんです。その気持ちを落とし込 みたくてくふたりの秒針〉の歌詞を書きました」 なり、高校時代は誰一人友だちが出来なかっ た、そんな 1 9 歳だ。ーっの質問に対して丁寧 良い出会い、という言葉が焚吐の口から出 に答えつつも、警戒心は最後までなくならな てくることに驚く。今までの彼は、その環境の かった。ところがほほ半年ぶりに会った彼は、 せいもあって、大海を知らなかったのだろう。 無器用そうなのは変わっていないが、時折、笑 外を向いて、自分から踏み出してみたら、同じ 熱量で、彼の思いを共有出来る人が多くいた みすら見せるようになっていた。 「音楽をやってても、今までずっと 1 人たった のだ。 「音楽や芸術でこういうことをやりたいって し、基本、弾き語りでやってきたんです。でも いう明確な目標を持った、自分と同じ志の方 今は、サポートの方とバンド形式でやること がすごく多いんです。今までは自分が誰より が多くなって。自分の描いていた理想が、ちゃ も熱量が多くて、目標もはっきりしてる自負 んと形になるんですよね。それを目の当たり があったんですけど、大学に入ったら、もしか にして、自分の音楽は自分だけで表現するわ したら自分は熱量で負けてるんじゃないか、 けじゃないんたなって自覚が、強く芽生えた って思うことが多くなったんですよね。自分 ような気がします。それをどんどん極めてい の高慢な部分が打ち砕かれたというか。それ きたい、という気持ちになりました。何か、自 はすこく良いきっかけになったと思います」 分と同じ熱量を人と共有することに、すっと そう、今まで彼が描いてきたのは、自分対世 憧れていた気がするんです。その喜びが今は 界の構図だったのだ。それがくふたりの秒針〉 あるんです」 は 1 対 1 になった。ラブソングという形で、人 だからちょっと、外に向かって心を開くこ 間関係の縮図にグッと踏み込んた。 とが出来たのだろう。そんな気持ちで音楽に 「いろんな経験をして、自分が勝手にかけてた 向かい合うようになった焚吐がリリースする ストッハーを外しちゃったんです。それを書 セカンド・シングルが「ふたりの秒針」である。 くことによって、他のところに踏み込んでい この歌詞もまた、今までの彼が避けてきたく人 けるんじゃないかな、って。タガが外れたとい との関わり〉というテーマに踏み込んだもの うか、良い意味で大胆になれたなと思います。 になった。 たた、ラブソングというスタイルでも、く愛で 「昨年くオールカテゴライズ〉をリリースして、 すべては解決できる〉って曲にはしたくなく その反響を自分なりに感じて、自分自身が進 て。愛は不完全だからこそ、その欠けた部分 化していかないといけない、と思ったんです に、自分じゃない人が入り込む余地があると よ。なのでくふたりの秒針〉は、自分が苦手と いうか。お互いの欠けたものが合致して、歯車 してきたラブソングと、ミディアムテンボの みたいに回りたして、最終的に命っていう大 バラードに、あえて挑戦してみようと思った きなものが動き出すんじゃないかな、って。み んなどこか欠けてるんですよ。でも、その一つ ーっが歯車になって、それが咬み合って、歯車 は回り出すんだな、って」 つまり、今まで止まっていた自分の何かが、 出会いによって動き出したということだ。 「そうなんです。今までどうしようもない日常 を送ってきたし、ダメたなと思うようなこと がいつばいあったんですけど、それを肯定出 来るようになったんです。高校時代、世界に自 分しかいないと思ってた時間はプロローグで しかなくて、これからいろんなことが始まっ てくるんだな、って、あの苦い過去を肯定出来 るように」 逆にカップリングの「てっぺん底辺」は、「オ ールカテゴライス」にあった、焚吐の中にずっ とある、拭えない部分を形にしている。 「くふたりの秒針〉にしかない良さもあるけど、 自分はこれたけじゃない、ってことを示した かったんですね。それに、完全に拭い去ってし まってはいけない部分って絶対あると思って いて。 1 0 代中盤の人間不信というか、自己肯 定が出来ない自分を、いまいちど出しておき たかった。でもそのまんまじゃなくて、信じて ないけどとりあえず踏み出してみる、そうい う気持ちですね。こういう感覚が自分の根っ こにはある、ということです」 小学校でいじめにあい、それを中学校でも 引きすり、高校になっても人とうまくコミュ ニケーションが取れなかった。だから人を信 じられなかった彼が、音楽できっかけを作り、 何かを見つけ、他人の中に自分を見つけ、過去 を肯定していく。そのストーリーはまた始ま ったはかりなのだ。 1 2 人の秒針 2 てっぺん底辺 3 ふたりの秒針 (TV-Edit) 2nd Single 2016.05.04 RELEASE 「ふたりの秒針」 常盤 0 一ッ〈一汀 1 2 人の秒針 2 てっぺん底辺 2 人の秒針」 MUS ℃ VIDEO 収録 DVD り第 をあ 初回限定盤 ( 名探偵コナン盤 ) 通常盤
を rhell 」 alls text by Kanemitsu Hirofumi photographs by Sasahara Kiyoaki 胸を張っているために 直に曲にした作品だった。誰もがそうだとうが、人前 に立っとどうしてもカッコつけようとする、身なりも 考えるし、弱い部分は必死で隠そうとす。それを出 すには勇気がいるが、今の彼らはそれをろうとして いるのだ。ツアーでの姿もまさにそうだっ」し、そして 5 月 3 日にリリースされる新曲「ストラトもその流れ を汲んだものだが、ではもっと素直に、正に語っても らおうと、今月は光村龍哉 ( ヴォーカル & ター ) のソ ロ・インタビューと、古村大介 ( ギター ) 、坂倉心悟 ( べー ス ) 、対馬祥太郎 ( ドラム ) の 3 人インタビーの 2 本立 て。普段光村に気を遣ってなかなか素直一本音を喋ら なしメン / , ヾーこ、光村欠席裁判を開廷する」とで、今こ そもっと正直になれ、というわけでとこと迫ってみた。 今のニコだからこそ言える話が満載。そて、バンドは ここからまた始まるんだなと、これから一期待が高ま る内容です。 0 7 3
みんなに支えられてる部分もあるのかな ? 感謝しなきゃいけないですね。うん、確かに シェイシェイ言うてます ( 笑 ) 木下理樹 interview 文 = 石井恵梨子 ようやくね、自分で作ったワルシャワ・レーベルからアートスクールとして てるから。 それぐらい僕はリスナーのこと信頼してるし、リスナーに向けて言葉を向け の一枚目を出せました。もちろん音響的にもっとやりたかったことはあるんだ ているんだけど、でも同時に自分から逃れられない。だから哀しいんです。そう けど、でも、今の環境でベストは尽くせたかな。 いう表現を続けてたら、もうくおかあさーん〉 ( 「 Julien 」 ) って唄うようになるん 今のメンバーで、もう一度テビュー・アルバムというか、まだ誰にも見せてい ですよ。ふはははは。ちょっとシリアスすぎて、あまりにも哀しいから、これぐ ない秘密の宝箱みたいな作品を作りたかった。 1 7 年前にひとりで作った らいのことを唄わなきや笑えなかった。 「 NORTHMA NEDR Ⅳ E 」をリメイクしたのも同じ理由。高校の頃に 4 トラ 本当に辛い時はお酒を呑みます。記憶をなくします。逃避しなきゃ息なんて ックで作ってた時はく自分は無敵だ ! 〉って思ってたし、ポロポロになりながら できないよ。北野武さんが「人間には痛点がある。それがないとして、すぐ逝け もくなんで俺はこれをやりたかったんだ ? 〉って考えたら、やつばりそういう部 るボタンがあるなら、当然押してるよ」って言ってましたけど、僕もそうだと思 分に立ち返りますよね。歌入れの時はさすがにちょっと恥ずかしかったけど う。みんなそうじゃないのかな ? 死にたい願望と常に闘ってますよ。死にた ・・でも変わらないねって言われるのは嫌じゃない。それはつまり、ピュアって ことでしょ ? あくまで表現においてはピュアでいたい。狙って作ってる音楽 い。でも生きたい。ギリギリの状態。 このままやってたら、もう狂うしかないって思う時もある。もちろん何も恐 なんて好きじゃないですし。 れないっていう気分もありますけど。どっちも本音ですよね。人間なんて不安 轟音じゃなく繊細な部分に寄せたのは、今のメンバーでやったことがないっ 定なものだし、どれが答えなんて言えないわけで。僕の中では矛盾がないし、そ ていうのもあるけど、クラシックを聴くようになったのがきっかけかも。なん こに中間はないんですよ。それこそ最近はクラシックか、あるいはグラインド か癒やされたかったんですよね。一番自分にハマるなと思ったのはシューベル コアしか聴いてなくて。中間はいらないです。あとビーチ・ポーイズの「ペット・ ト。彼の言葉でく哀しくなければ、それは音楽ではない〉っていうのがあって、そ サウンズ」も死ぬほど聴いてたかな。 れがすごく胸に響いたんです。 「ペット・サウンズ』を作って、そのあとブライアン・ウイルソンは狂っていく 同じことを自分も感じますし、あと僕にとって重要なのは、切なさ。少なくと も僕の定義はく切なくなければ、それはポップソングではない〉だから。曲作り ・・・。ション・フルシアンテもレッチリを辞めたあとにそういう時期があったし、 マイブラも「ラブレス」を出した後からずっと何も出せなくなってたし・・・・・・。僕 にも時間をかけたし、特に歌詞は今までに使ってなかった言葉を選んで。 はそういう表現者が好きなんでしようね。瀬戸際にいるような表現者。もちろ 数年の中でもすごく自信がありますね。 んくうわあ、しんどっ ! 〉って思うよ ( 笑 ) 。でもその苦しみがわかるっていうか。 過去形の言葉が多いのも、同じことです。でも、人は記憶があるから生きてい もちろん誰だって狂いたくはないですよ ? 狂うために音楽やってる人なん けるんだと思うんですよ。どんなに辛い時でもくあの時の一瞬の記憶〉がある。 ていないと思うけど、結果的に狂ってしまうっていうのは、うん・・・・・・わかる気 そしてそれは永遠なんですよね。だから切ないし、僕はそこに惹かれてしまう。 がする。 自分もそうやって生きてるなあと思う。 アートスクールが、それでも続いているのは・・ ・・たぶん、僕の書くメロディ やつばり大きいのは、音楽に出会った時。ほんと嬉しかった。遠くの国の知ら ない人が、なんで俺の気持ちをわかってくれるんだろうって。それは今でも忘 がいいから、みんな付いてきてくれてるんじゃないのかな。これで最高に才能 がなかったら、誰もついてきてくれないですよ。そういう理由じゃないのか れてないです。何十年経ってもね。たぶん死ぬまで忘れない。もしあの記憶がな な ? 僕にはわからないです。今のメンバーになってから安定してるように見 かったら僕は生きていなかったのかな。毎回インタビューで言ってますけど、 えるって言われるけど、そういう見せ方をしてるだけ。不安定な部分、緊張感が 本当に辛い環境にいる子に対してく笑われてもいいんだよ ? 〉くあなたはそのま ある部分はずっと変わらないと思う。 までいいんだよ〉って肯定してあげたい。その子が一瞬でもいいから楽になれ でも・・・・・・みんなに支えられてる部分もあるのかな ? 感謝しなきゃいけな ばいい。本当にそれだけ。それ以外の野心がないんだよ。それはレーベルとして いですね。うん、確かに。シェイシェイ言うてます ( 笑 ) 。 ダメなんだけど・・・・・・代表の僕には徹底的に野心がなくて・・・・・・周りの人たちに そうやって続けてきて、今は、替えの効かないバンドに、なんか、なれた気が 迷惑かけながらやってます。 します。今作は特にそう思う。今のメンバーでこういうこともできるんだよっ もちろんく誰かを助けたい ! 〉っていうのはエゴですよね。それを先にしちゃ て言いたい。もろん時間 - ががら - た - し : - し、ろーん一なーこ一とーがあっこ うと、たぶん押し付けがましい表現になっちゃう。だからまずは自分が慰めら つ その、替えが効かない位置に行けたかなって。で、まだまだ先はね、長いから。次 れたいものを作る。そしたら絶対に響く人には響くんじゃないのかな。だから、 はもしかしたらめちゃくちやノイジーなアルバムになるかもしれないし。そう 自分自身に向けているとも言えるのかな。でもそれは必ずアートスクールのフ やって未来の話ができるのも、嬉しいかな。 ァンに響くものだと信じてる。ファンの方って、自分自身の鏡のようだと思っ 1 2 1
i : 0 謝ママ 3 人だけでいるときぐらい甘えてもいいと思うし 言わずもがなお互いを助け合う。それって部活つほいなって めまぐるしい日々を過ごされてると思いますが 「え、そうですか ? 」 〈言った手前それはやらないと〉みたいな。自分で〈こうしよう〉 「そうですねえ」 「高嶺の花子さん」が出るとき初めて表紙で取材したじゃ と決めたことがあっても、それは人に言わなくてもやり通せば 人生的に今が一番忙しかったりしますか ? ないですか。あの時インタビューで寿くんが言ったことって覚 いいだけで。で、周りから『そういえば最近いいよね』みたいな えてる ? 「今が一番 : ・・ : や、もっと大変な時期がありましたね。それこそ こと言われたら〈よっしゃ ! 〉みたいな」 デビュー前なんて生活もしなきゃいけないから、バイトもやり 「なんて言ったんだろう ? 」 心の中でガッツポーズする、みたいな。 ながらツアーに出てたし。今は・ハンドに集中させてもらえる環 「そういうタイプなのかもしれないです」 「地元の本屋さんに行って、ここに自分たちが表紙の本が 境をいただけてるし、いろんなケアもしてもらえてますんで、置かれるのを想像して盛り上がった」って。 そうやって自分の中に積み重ねて来たものに支えられての スケジュールはハードですけど、昔に比べたらっていう」 ツアーであり、今回のシングルであり。 「そうでしたね ( 笑 ) 。たふんその時はイメージ出来なかったん それにしてもこれだけ多くの人前で、これだけ長いツアー ですよ。〈表紙ってどんな感じなんだろう ? 〉みたいな。でも今 「そうですね」 をやるっていうのは、かなり非日常的な体験をしてると思うん はあの頃より自信もついたし、〈やってやるぞ〉みたいな覚悟も 以前と比べて自分らしさが前に出てる作品だと思いません で、しんどかったりするのかなって。 あって。やつばり生半可な気持ちじやステージには上がれない 「普通のサラリーマンとは違う生活だけど、ツアーもある程度ので。僕らに期待している人たちがライヴを観に来るわけじゃ 「あ、それはすごく思いますね。やつばり今は自我もけっこう サイクルというかルーティンみたいなところがあるんで、近し ないですか。そういう人たちの期待はもちろんだし想像を超え出せるようになってるので。昔だと、例えばプロデューサーさ い部分はあるのかなって。毎週火曜は必ずラジオがあるし」 るものを見せたいし。それでちょっと腹を括れたのかなって思んのディレクションとか意見に忠実にやったり、なんかやるに ステージの上はどうですか ? それこそ超がつくほどの非 います」 してもちょっとだけ遊びを入れこむぐらいだったけど、今回の 日常の空間だと思うけど。 そこはミュージシャンとして大きな成長だったり変化だと曲はメンーとスタジオに入って『ここちょっとこういラこと 「ああ。でも、なんだろう : : : 確かに非日常ではあるんですけ 思うんだけど、自分自身が人として変わったっていう自覚はあやってみていい ? 』みたいな感じで元々あった形を壊してい と、もう夢心地みたいなものではないといラか昔はやつばり ります ? あるいは周りから「変わったね」と言われたり。 ところもあって」 自分が大きいステージに立ってるイメージって想像出来なか ーーー特にカップリングはリズム隊がけっこう暴れてるなって思 「どうだろう・ : ・ : でも、周りから『変わった』とも『変わらない』 いした。 ったんで、いざそこに立った瞬間から非日常が始まるんですけ とも言われないから、たふん変わってないのかもしれない ( 笑 ) 」 ど、今はもう景色が思い描けるというかドラムセットの前に 「あははは , ( 笑 ) 僕もこうやって話してる印象は、初めて会ったときか たふん今の気持ちとかやりたいことをちゃんと 座って、その前に 2 人がいて、さらに向こうにはお客さんがた ら変わってないですね。 表現出来るようになったのかもしれない。ドラムとかべースっ くさんいて。で、〈この曲ではこういう景色が見えるかな〉とか、 「依与吏さんがよく〈言霊〉っていう言葉を使うんですよ。自分て、歌と違って自分の感情とか気持ちって伝わりにくいと思う イメージがあるんです。それがあるから、言うほど非日常ではでなりたいものがあったらそれをどんどん言葉にすることで自んですね。歌はもうそのまま出るし伝わるじゃないですか。楽 ないというかステージ上がって〈うわ、こんなに人いる ! う 分を近づけようとしたり高めていくんですけど、僕はそういう 器だとなかなかそれが難しいんだけど、そ , フい , フことも少しは わ、こんな盛り上がってる ! わー ! 〉っていう感じではない タイプじゃないので。むしろ内に秘めちゃう」 出来るようになったのかなって思います」 ですね」 どうして秘めちゃうんですか ? もっと自分を主張したい ? ええと・・ : ・・寿くん、ものすごく成長しましたね。 「言葉にするとプレッシャーがかかるじゃないですか、自分に。 「すっと出していたいわけじゃなくて〈ここだけ俺にちょうだ 栗原寿
てみたら、やっと出来た感じがするねとか。昔と同ことをやっ 歌モノでキャッチーな部分、両方あるって強みじゃん ! とすら相手を思ってこそ、ってところが出てきましたね。みんな、こい つはここまではいけんじゃないか、ってところがあって。ここ ただけなのに、なんか全然違う。これを目指してたかなって」 思ってたから。でもバンドとして迷って、その答えを探して、 4 人で共感できるポイントを見つけて行ったら、背伸びしないで、 は頑張って欲しいからあえて言ってる、みたいな。前はむやみ古村「こないだツアーで、 2 、 3 曲入れ替えてやったんですけ ど。〈有言不実行成仏〉を久々にやってみたら、なんか、今までで そのままの姿を歌にしようってなった。その一体感はいいなとやたらに求められてたところもあったから」 いちばんファンキーだな、と思ったし ( 笑 ) 」 こんなこと出来ねえよ、ってことを振られて、悩みながら、 思えた。僕自身も、そういう中で変わったんです」 対馬「あの〈有言、〉に関しては、 3 ピースでやったが大きかっ 必死になることはなくなった、と。 ーーー光村くんにはどうあってほしかったの ? たけどね ( 笑 ) 」 対馬「いつだって俺は、まっすぐでいて欲しいと思ってましたよ。古村「前はつねに戦ってたからね」 坂倉「ああ、そうかもね ( 笑 ) 」 迷うときもあるけど、彼にやりたいことがあって、それに向かっ対馬「フルは大変だったよな。ドラムは叩くだけだけど、ギター 対馬「フルがいないときに、 3 人で頑張った曲。そアレンジも いい、って。伝わんなくてもい はみっちゃんの作ってくるメロディと繋がってるからな」 てまっすぐ進んでるなら、それで あってっていうのもあったんですけど。そこに多フルは人っ いじゃん、カッコいし 、ことやれてれば、って最初は思ってたし。古村「大変でしたね。突き詰めれば突き詰めるほど果てしない でも、伝わったときの気持ちよさだったり、メンバー 4 人がひと し。ギターとメロディの関係性っていくらでもあるから。どれてきた感じだったから」 がみっちゃんの求めてるものなのかわからなくて、ずいぶん背古村「かなり重要度を感じた」 つの思いでひとつのものを仕上げていくことに快感を憶えて」 対馬「でもそれやった時のフルが楽しそうなんでよ。そうい 、の定義が、自分の中で変わってったか伸びしてました、あの頃は」 坂倉「その、カッコいい 坂倉「今はバンドの方向性と、自分のやりたいものが、いい感うときに笑顔になる感じが、 4 人のつながりを感、るときです もしれないですね」 対馬「それはあると思う。すごい変わった。坂倉はステージ上でじでリンクしてると思うな。あとみっちゃんと俺らの関係も変ね ( 笑 ) 。安心するというか」 最後に聞きます。最初に、みっちゃんや 3 人がってた、こ わってきた」 コーラ一気飲みもしたし ( 笑 ) 」 うなりたいって理想と、いま居るところは違う感、はする ? よく言うけど、僕は、浦安で初めて取材をしたときに見た、 坂倉「あれ、しんどかったんだよな。でも完全にみんなの意見 みんなわいわい話しながら、いっしょに自転車で帰る姿が印象古村「表面的には違う感じがしますね。でも本質 , は近づいて を信じました ( 笑 ) 。俺はそんなイロモノでライヴやりたくない る気がします」 よって、当時は思ってたけど、それがライヴにいい効果を生むつ に残ってるわけですよ ( 笑 ) 。 対馬「表面的に ? 」 坂倉「そういうの変わんないよね」 てみんな言うなら、それをやろうって」 対馬「そういうのでも、みっちゃんのが変わったりするわ古村「他は大きく変わった部分あるけど、そういうところはね。古村「もともとは俺、やつばり〈、〉をとがったまま 演奏したかったし、〈ゲルニカ〉で何分やれるか、れでニャリ さっきも歩きながら、みっちゃんが俺に「ザ・デクライン見た けじゃん。そこから人間味が出てくるんだったら、いくらでも としていたかったですけど」 の ? 』って聞いてきたんだけど、それがどうこうじゃなくて、そ やればいいと思う」 の瞬間に醸しだす空気は変わんない。お互いが今、何に触れて、坂倉「わかるなあ」 でも今は、いろんな意味で変わってきて、光村くんがフロ どう感じてるのか。そういうところからのエネルギーで作る人古村「今、表面的には全然違うじゃん。でもどっち、求めてい ントマン然としてるというより、 4 人が並列に立ってやってる たのは、音をどう楽しんでるかだから。そういう味では近づ だから。そこは変わんないんだなっていう」 ように見えるけどね。 いてきたのかな」 一時期はすごくそのへんがギクシャクしてるような感じは 対馬「それはありますよ。みっちゃんの中でも、変化があったと いうか、あの人、自分のことをわかってるんですよ。だから背すごく受けてて。やつばり、バンドとして何かをやるっていう坂倉「今はやりがいみたいなのをすごく感じるよ。自分の役 自分みたいなものを、すごく背負ってた部分があるような気が割を果たせるというか」 負ってた荷物下ろしたんです。これは無理だ、自分じゃないっ て、認めざるを得なかったから。そうやって軽くして、そのぶんしてて。それをやろうとするから、むしろ 3 人に対しては、非常古村「楽しみ方が変わってきた。何度も言うけど、伸びする必 要がないから、全部出しきれるというか」 ストイックなところはとことん追求するようになって」 」 2 厳 1 レい A 」い - っカ 坂倉「さっき言ってた、カッコいいの定義が変わっきた、のが 古村「真相はわかんないけど、変わるべきなんだなっていう空古村「それが逆に大事だなと思ってるから、今」 大きいかな。それに近いと思うんですよね。自分も自分を受 気感は感じるし。あとは、やれることやれないこともわかって対馬「まあ、みんな大人になったってことなんですよ ( 笑 ) 。良く も悪くも。自分の理想と、そうではない現実っていうところで葛け人れたいというか、評価したい気持ちもあるか」 きたなと思って。やれることを、やれるぶんだけやる。やれない ことを背伸びするのはやめよう。やれることを背伸びしようみ藤したことが、いちばん大きいんじゃないかなとか思いますね」古村「そうだね。ありのままってなんなんだろうなって。さんざ ん追ってきたからね。気になっちゃうんだよね。らってなん 大人になって何か諦めるっていうよりは、大人になって、 たいな。いい意味で」 なんだろうって ( 笑 ) 」 昔あった自分たちの良さみたいなものに気づいていくって感じ ーーー自分の中で、前、背伸びしてやってたなって部分はどこに がしましたけどね。 ーーー背伸びさせようとしてた鬼の光村も変わったらね。 あったりします ? 古村「コーラ一気飲みとか ( 笑 ) 。でも今は、何を演るにしても、対馬「ああ、そうかも。年齢を重ねて、久々の曲をライプでやっ対馬「鬼なんてそんな ! 仏ですよ : : : 今は ( 笑 ) 」 0 7 7
全部そのま い自分が嫌になるというか 絞り出した言葉だからこそ、同じようにもがいてる人に響くも てるくらい。イントロも全部ロで言って、コード のになるわけで。 まで。あんなにできなかったこともこれまでなかったけど、こ 「たとえば、ゲス ( の極み乙女。 ) とインデイゴ ( ラエンド ) 、どっち んなに早くできたのもはじめてなくらい」 「だといいんですけどね : : : 本音で書いたなって感じはあるし。 もやってる絵音くん ( 註【川谷絵音 ) とかすごいじゃないですか」 そうですね。あれだけ曲を作れるのは才能だと思います とはいえ、やつばり自分のことあんまり信用できてないから、 それって作りこまれたものじゃない、ありのままってこと わかんないんですよ」 「うん。でも俺も・ハンド 2 個できるくらい曲書けるかもしれな ですよね。そういう曲で唄っている〈勝ち取りたんだあの わかんないとは ? いけど、やってないし : : : 昨日勢いで 3 曲くらい弾き語りみた 日見た夢を〉の、〈あの日見た夢〉っていうは具体的にどういう 「自分がどんだけできてんのかって死ぬ直前までわかんない気 いな曲作ったんですよ。やろうと思えばこうやってすぐできんものですか ? のに、やんないんだなあとか思って」 がしてて。最期振り返ってようやく、意外とまともだったなっ 「あの日見た夢は : : : 活躍してるロック・ハンドじないですか やったらしし て思えたらししナ 、、よ、みたいな。そこまでいかないと客観視でき 、、じゃないですか ! ( 笑 ) 。なんでやんないんでね、やつばり。もっと世に炸裂する・ハンドになりた、んですよー ないと思うんですよ」 でも自分は天才じゃないんで、まだまだそこにはなれてないか 「わかんないんですよ ! ときめいてないからかもしれないでら」 だから〈心の中あの日描いた / 未来の自分にまだなれない それだと天才じゃないと世に炸裂できないっことになり まま〉なわけですか すね、自分に対して。しよせん俺が作ったって、みたいに思って 「まさにここのフレーズが公園のペンチでようやく出てきたフ るから。自分で自分を奮い立たせることとかできないんですよ。 ません ? せ聴いてくれる人い 「でもね、この先やってたら、何かがうまくハマっ俺も渋みが レーズですよ ! 今の俺ってアリなのかなっていう。学生の頃こんなフォークっぽい曲作ったって、どう 出て天才になるかもしれない」 ないし、出す場所ないしなって」 の自分が今の俺を見たら、「すげー ! 』って言うと思ラんです。 弾き語りとかやればいいじゃないですか 憧れの職について、大好きだったスピッツに会えるくらいに 「そうなんですけどね : : : 今年 1 回くらいやろうと思ってるん「歯車みたいなのがハマる瞬間があると思うんでよ、きっと。 なって」 ですけど」 どっかで説得力が急に出たり、深みみたいなもの出てくるタ ーー夢叶えてるじゃないですか お ! やりましようよ ! 音楽と人のイベントで。 イミングがあるかもしれないから。だから今はま ) 未完成なん 「ところが今の自分はまったく満足してない。なんでだろうつ 「えつ、まじっすか ? 俺が弾き語りで出るとか面白すぎませ ですよ、自分が未熟児というか」 ていう。だからまだあの日描いた自分にはなれてないんですよ」 どうしてなんでしようね ん ? 絶対シラケますよギター 1 本でステージに立つなんて しいことじゃないですかまだ完成に向かっ進んでいけ るってことですよね 「うーん、毎日しやかりきに頑張れないじゃないですか〈今日怖いし。こっそり地元の駅でやりますよ」 しくらでもできるわけで。 でもそういう場を作ることは、 「いや良くないですよ。だってみんな完成するのがいんですも はこんぐらいでいいや〉っていう日も、ダメ人間なんで設けちゃ うんですよね。ほんとはそんな日ないはずなのに。で、そうす「やってみるべきなんですけどね、なんかダラダラしてるんでん、今。昨日コムアイ ( 水曜日のカンパネラ ) と対してきたん ですけど、完成してますもんね。すごい慰められちいましたよ」 ると落ち込んで来ちゃうんですよ、〈うわ 5 昨日ムダにしたなすよね、きっと」 だってもうあとは武井さん次第じゃないですか今回、フ 5 〉って」 幻歳女子に ーーー自分のせいじゃないですか ( 笑 ) 。 ガママでも笑われてもやるしかないって唄ってるんだから、「四歳とか歳とかでデビューする子とかも今いじゃないで やってみたほうがいいんじゃないですか すかロマンチックだなって思いますもん。それにらべて俺は 「損な性格してるんですよ」 「じゃあ、やります」 まだまだ完成できてなくて。だから俺も早く完成たいですよ」 それを損な性格といラのだろうか じゃあって ( 笑 ) 。 でもそういう未完成な人が〈まだ終わりたくよいやり遂 「頑張ってんのかよくわかんなくなるんですよね。俺、ごまかし りたいんですよね。自分が げたいよ〉って真っ直ぐ言葉にしてくれるから、け取った側 ごまかし頑張ってるふうにしてるだけかもって。期限とかは守「でもほんとにもう 1 っ音楽活動や も前を向けるんだと思いますよ どんぐらいできんのか試したい。チェコはチェコでイメージが るけど、そこで 10 0 点取れてんのかわかんないし。メン・ハー 「あら・・・・ : 恥ずかしい。ありがとうございます」 や周りが「いいね』とか言ってくれたら一瞬は嬉しいけど、でも確立しちゃったんで。それとは別の、自分にしかできない表現っ ていうのをやってみたいなって」 ーー次の作品はそうやって前に進んだものが見そうですね 一瞬だし」 今まさにレコーディング最中みたいですが うんうん。そういう気持ちって大事だと思います その嬉しさが長続きしない ? ピーな今の 「次はい、 しと思いますよ。トロピカルな感じ。ハ 「だってそれはもう完結してるから、完結したものはいいんで「ケッ叩かれないとやらないタイプなのかもしれないですね。 モードが出そうな、夏っぽい曲をいつばい作りまた。陽気だっ すよ。それよりも今日 1 曲も書いてないとか、昨日 1 曲も作っ 〈 0 E ・ 1 〉もドラゴンポールの話が たりセンチメンタルだったり。ほんといい作品によると思いま ないとできてない曲ってことなんで。この曲めっちゃ悩んだけ てないっていうことに対して落ち込んでくるんですよね」 もっとやりたいし、したいことがあるのに、それができな と、できたときは一瞬だったんですよ。ポイスメモに原型残っす。そこは自信持ってるので、待っててください」 0 8 5
光村龍哉 目 C-D ーーー今ツアー中ですがどんな手応えか教えて下さい 「まあ 3 人は、僕にも理解出来ないくらい〈どうあるべきか〉と作ったし、今ツアーを廻ってるんです」 「ここ 2 本くらいで、すごい良くなった感じがする。始まった頃 か〈どういうふうにしたら正しいのか、間違ってるのか〉ってーーー光村くん自身は楽しめてますか ? 「だいぶ変わったと思いますよ。ライヴの見せ方にしてもお客 は正直いろいろ間に合ってなかったんですよ。〈ストラト〉のレ ことを気にするんで」 さんとの向き合い方にしても、自分の歌心が変わったと思う」 コーディングもあったし。でも、いろいろあれやこれや飾り付 それは君がそうさせてきたんじゃないのか ( 笑 ) 。 どう変わったのか、具体的に知りたいですね。 「そんなことはないと思う : ・ : けどな ( 笑 ) 。まあ僕を含めて、 けをせず、純粋に楽しさを追求するツアーにしたかったから。 そうした時に、たぶん、今回のアルバムの裏に残したコンセプ元々めちゃくちや自信がある人たちじゃないから。常にコンプ「素直になってます。唄いたいことというか、自分が思ったこと レックスを抱えているんですよ。だからいろんな引き出しを開をまっすぐに出せてる。それがどう取られるかとか、ひねった トみたいなものが、お客さんにも見えてくるんじゃないかな、 ほうがいいんじゃないかとか、そういうことをあんまり考えて けて曲を作ってるわけで」 と思ってたから。勇気だとか愛だとかを全面に押し出さずに、 ない。そうしたら客席から、まっすぐな反応が返って来てる」 そうですね。今まで、これもこれもこれも、いろいろ引き どんだけ自分を生々しくさらけ出して見せれるかどうか、が大 事だった。この 2 本くらいで、ようやくちょっとさらけ : : : ぐ出しをあけてやってみた結果、自分がやりたかったのはどの引ーー、今までの自分はどうだったと思いますか ? き出しだったつけ ? みたいになってる。 「音楽である以前に、光村龍哉っていうキャラクターを知って らいまではきてるかな ( 笑 ) 」 「だからもう、その選択が正しいとか正しくないじゃなくて、寝もらうことに必死だったのかな。ようやく、自分の存在が音楽 ーーー自分たちがどれだけ楽しくやれるかどうか、ですよね。 になったような気がするというか」 ても起きてもこうなんだから、その中で自分が楽しめるかど 「そういうの、初めて追求してる気がするんですよ」 つまり、素の光村龍哉と音楽がイコールになってきたって うか、が大きなポイントなんじゃないかって話してアルバムを バンドはそういうところから始まるもんだが 文 = 金光裕史 撮影 = 笹原清明 伝えたいから、わかりやすい曲を書こうとしてたけど 自分たちが背伸びしないで向き合えるかどうか、なんですよね 0 7 4
でみ竑 ガだし んどそ 史陽 裕松 てなで つら生 文撮 シングルのレコーディングがようやく終わりました。ひとま「高円寺の喫茶店でお説教されて ( 笑 ) 」 ハードルの高い挑戦を受けた感じがして本人は何も考 どうにかこうにか始まったの、 8 月ですよ えてないと思うんですけど ( 笑 ) 。でも『これは出来ないよ、今井 す再始動した日が完結しましたね はい今、久しふりに何もしなくてもいい日か続いていて、嬉し 「でもその間もすっと創ってたんですよ : : : やつはり今 くーん』って言えないなって、僕の中でのプライドがあったんで 、ん、それはど , フい , フ ? ・ いような寂しいような、変な気持ちです でどういうものを出せばいいのかって、ちょっと考えすぎて 「やーと並行して曲作りしてるなら別 は、 3 年前、藤井さんが音楽活動を再開する際、 たんですよね」 そして今井さんから出てきたデモは、このシングルに象徴さ ですけど、そういうタイミングでもないとして動 やりたかった活動のひとつでした。今どんな思いですか ? いてるこの時期に出してきたということは、これを 年以上時間が経ってますけど、テクニカルな部分も含め、進化れるように、とてもメロディが立った、ポップなもので 出来た自負はあるんですよですからすごく満たされてました 「ですね。シングルの話をしちゃうと、この 2 曲、レコーディング でやりたいんだろう、と思ったし、逆にこの曲を僕がアレンジし たらどうなるのか、自分に対する挑戦でもあったんです」 昨日たまたまスケジュールを見返してたら、去年の 3 月から〈 の最後の最後に出てきたじゃないですか僕の知ってる今井くん どんな曲でもとして受け止めますよ、と 曲作り〉って書いてあるんですよ」 のヘースだと、そういう終わりかけにいつも何か出て来るから、 なのにどちらからもまったく曲が上かってこす アルバムに足りない分はきっと大丈夫だろうと思ってたんです「うん今井くんか書いてくる曲なら最終的にはプラスが人っ 「ひええええええ、今、その話を蒸し返しますか ( 笑 ) 」 ーて来て」 て、さらに意外な感じになったと思 , フし」 けど、さらに 2 曲追加で 予想外だったと ( 笑 ) 。 何でプラスを入れようと思ったんですか ? 3 月 4 月、 5 月と何も音沙汰がなくついに 6 月、痺れを切 らしましたからね 「最初のデモを聴いた時に、プラス入れよう、って直感的に思っ 「最初に聴いた時は〈 : : : これを僕にどう料理しろと ? 〉って思い intervie 、