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検索対象: 全訳古語例解辞典 小学館
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1. 全訳古語例解辞典 小学館

はし・がかり【橋懸 ( 掛 ) かり】〔名〕能舞台で、楽屋から「さて今度はおー・を釣らねばなりますまい」〈狂言・釣針〉と思っているだうつよ。 舞台〈の通路にな 0 ている廊下。舞台向か 0 て左に斜めに訳それでは今度は下女を釣らなければなりますまい。匯主② ( 転じて ) 浅はかなこと。上品でないこと。例「けしからす 声高に、 。ー・・に色めかしきさまなどは見え給はましかば、い 功渡され、屋根・欄干があって、橋のような形をしている。人ノ家ノ下女ナノテ「おはした」トイッタ。 力はし・がき【端書き】〔名〕手紙などの端に、本文とは別にはした・な・し【端なし】〔形ク〕 ( 「なし」は、程度がはなはみじうとも、え思 @ し立たじを」〈狭衣・ = 〉訳もしも聞き よ書き添える言葉。追って書き。追伸。「なほなほ書き」とも。だしい意の接尾語 ) ①どっちつかずで、中途半端である。まにくいほど声が高く、品がなく色つばい様子などが見られな 例「御 , ー・はいかなることにかありけむと、思ふ給へ出 (') でた、しつくりしない。不釣り合いである。例「思ほえず古里さったならば、 ( 姫君が ) たとえどんなにお美しくとも、 ( 入内 むに、ものしかんべければ」〈蜻蛉・中・天禄一一年〉訳お手 ( ) に、いとー ! くてありければ、心地こ ) 惑ひにけり」などを ) 思い立たれることは 紙の端にお書きのことはどんなことだったろうかと、思い出そ〈伊勢・一〉訳思いがけず ( さびれた ) 昔の京 (= 奈良 ) に、とてもあるまいに。 一するのも、いやになりそうですので。「ものしかんべけれ ( 姉妹は ) 大変不似合いなほど ( に優雅 ) でいたので、 ( 男は・じとみ【半蔀】〔名〕蔀 の一種。下半分を固定し、 ' は ) 夢中になってしまった。 ば」ハ、「ものしかるべければ」ノ撥音便形。 はじーかみ【椒・薑】〔名〕①植物の名。サンショウの古い呼② ( いたたまれないほどに ) 具合が悪い。体裁が悪い。きまり上半分を外側へ釣り上げられ が悪い。例「ーー・きもの、異 ( し人を呼ぶに、われぞとてさるようにしたもの。しとみ し出 ( い ) でたる」〈枕草子・はしたなきもの〉訳きまりが悪いはじとみーぐるま【半蔀車】 / ②植物の名。ショウガの別名。 ( 季・秋 ) 。例「あれはー、 と申して、いかにもからき物にて候ふ」〈狂言・酢薑〉訳あものは、他人を呼んでいるのに、私ですかと言って出て行く〔名〕網代車の一種。物 見窓に半蔀をつけたもので、 時。 れはハジカミといいまして、とてもからい物でございます。 はしき。ゃーし【愛しきやし】〔連語〕 ( 上代語。形容① ( 相手にきまり悪い思いをさせるつに ) 無愛想である。そ摂政・関白・大臣・大将・高 詞「はし」の連体形 + 間投助詞「や」 + 間投助詞「し」 ) あっけない。例「うち過ぎなまほしけれど、あまりーー・くやと思僧・上﨟う女房などが用いる。 あ、いとおしい。ああ、なっかしい。ああ、かわいそうだ。例ひ返して」〈源氏・紅葉賀〉訳 ( 光源氏は女が誘うのを断はし , ひめ【橋姫】〔名〕橋を守る女神。特に、宇治橋 「いや高に山も越え来 ( き ) ぬー・我が妻の児 ( こ ) が夏草の思って ) そこを通り過きたかったが、 ( それでは、女に ) あまりに (= 京都府宇治市 ) の女神。転じて、宇治に住む女性をも いう。例「中絶えむ物ならなくにーーの片敷く袖 3 や夜 ひ萎 ( れ ) えて嘆くらむ角 (\) の里見む靡 (9 けこの山」〈万無愛想かと思い直して。 ④程度がはなはだしい。激しい。例「雨風 , ー・くて、帰る半 (#) にぬらさむ」〈源氏・総角〉訳夫婦の仲は絶えるよう 葉・ = ・一一一〈長歌〉訳いよいよ高く山も越えて来てしまった。 ああ、いとしい、我が妻が思いしおれて嘆いているであろう、に及ばで」〈宇治拾遺・一・三〉訳雨風が激しくて、帰ることなものではないのに、宇治にいるあなたは片方だけ敷くひとり 寝の袖を夜中に涙でぬらすことだうつか。京ニ帰ル匂宮 その角の里を見たい。平らになれ、この山よ。「児」ハ妻ができすに。 ノ羇ガ、宇治ニ置イテ行ク中ノ君ニ贈ノタ歌。 ・ ) ①きまりの悪い思 はしたーな・む〔他マ下一一〕 ~ : % ヲ指ス愛称。「夏草の」ハ「しなゅ」ノ枕詞。 考「はしけやし」「はしきよし」などの形もある。「はしけやいをさせる。恥をかかせる。例「我をば位なしとて・ー・むる要点古来、橋姫に関する伝説は種々あり、いま宇治橋 なりけり」〈源氏・少女〉訳私のことを位が低いといってみの西のたもとにある橋姫社はその霊をまつるという。『源氏 し」が最も古く、「はしきよし」が新しく用例も多い じめな思いをせるのだな。六位テアル、タ霧ノ嘆キ。物語』では宇治の大君黜い・中の君を指している。 はしきーよーし【愛しきよし】【連語〕はしきやし ②きまり悪く思うほどにきびしくとがめる。たしなめる。例はしーぶね【端舟】〔名〕はしけ。小舟。例「 , ーを編みて はしーことば【端詞】〔名〕詩歌の前におき、その由来など ・めさし橋となして、御在所の ) に通ひき」〈常陸風土記・行方 を書きしるすことば。はしがき。詞書ば。「端の詞 ( ) 」と「ひとへに知らぬ人ならば、「あなもの狂ほし』と、 放たむにもやすかるべきを」〈源氏・宿木〉訳全然知らない郡〉訳小舟を並べてつないで橋の代わりにして、 ( 倭建命 も。 ことの ) 御座所へ ( 食事を運びに ) 通った。 はした【端】〔名・形動ナリ〕①どっちつかずで落ち着かないこ人ならば、「ああばかばかしい」と、たしなめて突き放すようなける め・め・む・むる・ ) ( 「はじま はじ・む【始む・初む】〔他マ下一一〕 ~ むれ・めよ と。中途はんば。例「皇子 ) は立つー、居 ( る ) るもことも容易であうつけれど。 。ーにて居給へり」〈竹取・蓬葉の玉の枝〉訳 ( うそが露見はしーちか【端近】〔名・形動ナリ〕①家の中で、外部に近る」の他動詞形 ) ①新しく事を起こす。開始する。始める。 いところ。また、そこにい 0 ま。例「いと , ー・なりつる有様例「御修法 ( ) どもーー・むべきことのたまふ」〈源氏・総 して、くらもちの ) 皇子は立つのも落ち着かす、座っているの む を、かつは軽々しと思ふらむかし」〈源氏・若菜・上〉訳角〉訳数々の御修法を開始するようにとお言いつけにな もきまりが悪いという様子で座っていらっしやった。 ( 女一一一の宮が ) かなり外から姿が透けて見えるような所にいたる。 は②数がそろわないこと。はんば。 3 召使いの女。下女。「はしため」「はしたもの」とも。例様子を、 ( 柏木は恋しく思いながら ) 一方では軽率なこと②第一とする。はじめとする。例「親をー・・めて何とも知 六四七 はじとみ

2. 全訳古語例解辞典 小学館

うち【打ち】〔接頭〕 ( 動詞「打つ」の連用形から ) 動詞の上② ( 「うち」は接頭語 ) びったりと調和する。つりあう。かな「なかなかなることをーー・でて、いかに思 @ すらむ」〈源氏・ ちに付いて、動詞の意味を強めたり種々の意を添えたりする。う。例「御装束 ( ) のことなども、目安くしなし給はす、藤袴〉訳言わずもがなのことを打ち明けて、どうお思いであ 単に語調を整えるためだけのものもある。①すっかり。ばった世にあやしうーー・はぬさまにのみむづかり給ふを」〈源氏・真ろうか。 木柱〉訳ご装束のことなども、感じよく整えることもなさらうちーいで【打ち出で】〔名〕 ( 「うちで」とも ) ①金属を打ち り。「ーー曇る」「ーー絶ゅ」など。 す、はなはだ珍妙で不揃いだと不平をおっしやるので。 のばして作り出したもの。例「枕上 ( ら ) ドーの太刀置 ② ふと。「ーーおらく」など。 ーー言ふ」など。 〔他ハ四〕 ( 双六や碁を ) 互いに打つ。例「主 ( ) のきたり」〈今昔・ = 五・四〉訳枕元には打って作った ( ばかりの 3 ちょっと。少し。「ーー見る」「ーー聞く」「 もとにして、同じゃうなりける侍 ( ) と双六をーー・ひけり」新しい ) 太刀を置いていた。 ・勢いよく。「ーー出づ」「ーー入る」など。 0 うち【氏プ〔名〕①家の系統を示し、他と区別する名。〈今昔・一六・三七〉訳主人の家で、 ( 自分と ) 同じくらいの身② ( 「打ち出での衣」の略 ) 寝殿や、牛車の簾呼の下 などから、女房の衣の裾や袖を装飾的に外にはみ出させ 「大伴諸」「物部」「中臣」など。例「虚言 ( ) も祖分であった侍と双六を打ち合った。 す・〉① ( 「うたもの。「いだしぎぬ」とも。例「藤壺 ( ) の上の御局 ( ) @ の名断つな大伴の , ーと名に負へるますらをの伴 ( し」うちーいだ・す【打ち出だす】〔他サ四〕せせ 〈万葉・ = 0 ・四四六五長歌〉訳かりそめにも先祖の名を絶やすち」は接頭語 ) 衣の裾や袖を少し出す。出だし衣をすにつぶとえもいはぬー、どもわざとなくこほれ出 ( い ) でて」〈大 る。 鏡・師輔〉訳藤壺の上の局にすき間もなく言い表しようも な、大伴の氏を名に持っ勇敢な男達よ。 なく美しい ( 女房達の ) 出だし衣がさりげなく ( 御簾の下 ② ( 「うち」は接頭語 ) ( 詩歌などを ) 声に出して吟ずる。 ②家の名。名字。例「貧道 ( ) 元来ーーもなく、名も 3 打ち鍛えて作り上げる。例「三年が内に雌雄兊ゅ ) の一一から ) こほれ出て。 あらす」〈椿説弓張月・続一一六〉訳私はもともと名字もなく、 剣奓ー・せり」〈太平記・一一一一・五〉訳三年の内に雄雌一一振うちーい・ふ【打ち言ふ】ウィ〔他ハ四〕 ~ 2 ) ( 「うち」 名前もありません。 は接頭語 ) なにげなく口に出す。ちょっと言う。例「ものな 宇治の ) 地名〕京都府宇治市一帯。宇治川が流れ、りの剣を打ち鍛えて作り上けた。 どーー・ひたるけはひなど、むべこそはと、めざましう見給ふ」 : イ ~ で・で・づ・づる・ ) 【打ち出づ】ズ 平安貴族の別荘地、行楽の地であった。「源氏物語あ うちーい・づ 〔自ダ下一一〕 ( 「うち」は接頭語 ) ①外へ〈源氏・藤裏葉〉訳 ( 明石の上が ) 物など言う時の物腰な 宇治十帖の舞台であり、『平家物語』の橋合戦や宇治川 出る。現れる。例「田子 ( 9 の浦ゅーー・でて見れば真白どを、 ( 紫の上は ) もっともだと、目をみはる思いでごらんにな 先陣で知られる。歌枕。 翁し ) にぞ富士の高嶺 ( ) に雪は降りける」〈万葉・一一・る。注紫ノ上ガ、夫ノ光源氏ノ愛人デアル明石ノ上ヲ初 うちーあ・ぐ【打ち上ぐ】〔他ガ下一一〕・ や楽器を打って歌い騒ぐ。酒宴を催す。例「何となく鬼ど三一◇訳田子の浦 (= 静岡県庵原郡由比仁・蒲原アメテ見タ時ノ感慨。 もが ・げたる拍子の、よげに聞こえければ」〈宇治拾遺・タリノ海岸 ) を通って ( 見晴らしの ) 良い所に出て見ると、うちーい・る【うち入る】〔他ラ下二〕矗磊・ ( 「うち」は接頭語 ) 入れる。収納する。例「かたへなる硯 一・三〉訳何となく鬼どもが歌い騒いでいる拍子が、調子よ真っ白に富士の高峰に雪が降り積もっていることだ。 り ) に、文をおし巻きー・れて」〈蜻蛉・上・天暦八年〉 さそうに聞こえたので。 ②出発する。出陣する。例「伊賀・伊勢両国の住人ら、 ( 「うち」は接頭語 ) 上にあげる。高く持ち上ける。例近江 ( ) 国へーー・でたりけれは」〈平家・一 0 ・三日平氏〉訳そばにある硯箱に、手紙を巻いて入れて。 訳伊賀 (= 三重県北西部 ) ・伊勢 (= 三重県中央部 ) 両② ( 財産を ) つぎこむ。入れあげる。例「ばくちの、負け極 「大納言殿・三位の中将、一一所 ( と ) して簾 ( ) ( じまりて、残りなくーー・れむとせむに会ひては、打つべから げ」〈枕草子・関白殿、一一月二十一日に〉訳大納言と国の住人らが近江国 (= 滋賀県 ) へ出陣したので。 日〔他ダ下一一〕①打って火や音を出す。打ち鳴らす。例す」〈徒然草・一 = 六〉訳はくち打ちで、負けがこんで、 ( 手元 三位の中将の、お二方で簾を上げ。 ( 「うち」は接頭語 ) ( 声を ) 張り上ける。例「折しも法「弁 (l) の少将、拍子ーー・でて忍びやかに歌ふ声、鈴虫にに残った物を ) 残さす勝負につきこもうとするような者に出 皇、御経 ( き ) をー・・げ、ー・け遊ばされける」〈平家・三・紛 ) ひたり」〈源氏・篝火〉訳弁の少将が、拍子を打っ会った時は、 ( その者とばくちを ) 打ってはならない。勝 法皇被流〉訳ちょうど法皇は、声を張り上げ張り上げおて小声で歌う声は、鈴虫と聞きまちがうほどの美声だった。負ガ逆転シ、相手ガ勝チ続ケル時ガ来ティルトイウ。 ② ( 「うち」は接頭語 ) ちょっと出す。出だし衣をする。例うちーうち【内内】〔名〕① ( 家などの ) 内側。内部。例 経を読んでおられた。 「女房、色々に萌黄 ( れえ ) の二重文 ( ~ ) の表着 ( 黯 ) 、 卩ーのしつらひには、いふべくもあらぬ綾織物 ( 巴に絵を うちーあ・ふ【打ち合ふ】 ~ オ・ 2 ・ ) 〔自ハ四〕 ち 互いに打つ。張り合う。対抗する。例「思ふ敵 ( 2 た ) と寄葡萄染 ( ) の二重文の唐衣 ( ) などーー・でたり」〈栄かきて」〈竹取・竜の首の玉〉訳屋内の装飾には、言葉で り合ひーー・ひて死なむこの身の」〈謡曲・鉢木〉これはと花・根合はせ〉訳女房は、様々な色に薄緑色の一一重文の言い表せないほどの豪華な綾織物に絵を描いて。 表向きでないこと。うちわ。また、心の内部。心中。例 う思うような敵に近寄って打ち合って討ち死にするつもりのこ上着や薄紫の一一重文の唐衣などを外に出していた。 には、所も置き聞こえさせ給はざりしぞかし」〈大鏡・ の身が。 ( 「うち」は接頭語 ) 口に出す。声を出して吟する。例「ーー ② 3 ① ① 日 3 目 ②

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る。アスナロという名も「明日はヒノキになろう」から来たと 教えで、一切が不生不滅、すなわち空であるという真理をの。垣根、天井、牛車の屋形などに用いる。 3 網代車」の略。例「ー・は走らせたる」〈枕草子・檳榔いう。 と「阿字」が表すということ。 あすま【東・吾妻】〔名〕↓あづま もあし・もと【足下・足許・足元】〔名〕①足で立っているあ毛は〉網代車は走らせているのがいい。 たり。また、足の下の部分。例「ー・どものゆゅしけなるが、あじろ , き【網代木】〔名〕 ( 「あじろき」とも ) 「あじろ①」をあせ【吾兄】〔代名〕 ( 「あそ」とも ) 男子を親しんで呼ぶ語。 あ いと多く持ちたるも」〈狭衣・一〉訳ひざから下が ( 泥で ) ひど取り付ける杭 ( 季・冬 ) 例「もののふの八十宇治川 ( 「尾張 ( ) に直 ) に向かへる尾津 ( の崎なる一つ松 どのーーにいさよふ波の行くへ知らすも」〈万葉・三・ = 六四〉訳ーーを」〈古事記・中・景行〉訳尾張国 (= 愛知県 ) の方に く汚れている男達が、 ( 菖蒲を ) 沢山持っている様子も。 足つき。足の運びよう。歩き方。例「懸想人 ( う ) の、宇治川の網代木のまわりで漂いとどまっている波の、行方まっすぐに向いている、尾津の岬 2 さにある一本松よ、あなた よ。囲コノ場合、強調ノ間投助詞「を」ヲ伴ッテ「あせを」 いと物げなきーーを見つけられて侍らむ時、からくもあるべきもわからないことだ。柿本人麻呂ノ歌。「もののふの」ハ かな」〈源氏・タ顔〉訳恋をしている者が、ひどくみすほらし「八十宇治」ノ枕詞。例「朝ほらけ宇治の川霧絶え絶えデ、「はやしことば」ニナッティル。 い歩き方 (= 馬一一乗ラナイ徒歩姿 ) を ( 相手に ) 見つけられてにあらはれわたる瀬々@ のーー」〈千載・冬〉訳夜明け方あせ【何故】〔副〕 ( 上代東国方言 ) なせ。どうして。例「上 になり、あたりが白んでくると、宇治川の川面いわに立ちこめ野 ( 。 ) 安蘇山 ( ) つづら野を広み延 ( は ) ひにしものを しまいましたような時は、きっとつらいことでしようよ。 ー。か絶えせむ」〈万葉・一四・三四三四〉訳私の思いは、上野 ①こく身近な所。すぐそば。身近。例「一一百五十文 ) た朝霧がとぎれとぎれになって、その絶え間から、瀬々のそこ ーーにかかる事を、今まで知らぬことの残念と」ここにかけた網代木が次々と現れ始めた。「百人一首』の安蘇山のツル草が、野が広いままに這はい延びたように 手取りして、 延び広がったものなのに、それがど 〈西鶴・日本永代蔵・三・一〉訳二五〇文まるまる儲て、所収、藤原定頼夥ノ作。 身近にこんな ( うまい ) 事 (= 儲ケロ ) があったのを、これまであじろーぐるま【網代車】〔名〕車体の屋根や両わきを「あうして絶えたりしましようか。 気づかなか「たのが残念だと。囲「文」ハ江戸時代、穴アじろ②」で作った牛車。大臣・納言・大将などの高官はあせ , くら【校倉】〔名〕 ( 「あせ」は 組み合わす意 ) 古代の建築様式 略式用、四位・五位・中将などでは常用とした。 キ銅銭一枚ノ単位。 る・ ) 浅くなる。例「山の一つ。三角形の木材を井の字 蘆屋し ) 【地名〕現在の兵庫県芦屋市。『万葉集』のあ・す【浅す】〔自サ下二〕 は裂け海はーー・せなむ世なりとも君にふた心我があらめや形に積み上げて、壁にした倉。湿 菟原処女の伝説で知られる。「芦の屋」とも。 も」〈金槐集・雑〉訳たとえ山が崩れ海が浅くなってしまう気を防ぐための構造。奈良時代 あじゃり【阿闍梨】〔名〕↓あざり あしゆら【阿修羅】〔名〕 ( 仏教語。「あすら」とも ) もと古ような世であ「ても (= ドンナコトガアロウトモ ) 、天皇に背くに流行、東大寺正倉院などが有 名。 代インドの神、後に悪神鬼神となる。仏法を尊びながらも心を私が持っことなどあるものでしようか。 闘争を好み、常に帝釈天と戦「ているとされる。↓し明日香・飛鳥 ( 響 ) 【地名〕現在の奈良県高市翳郡明日あぜち【按察・按察使】〔名〕上 ゆら例「ーー、怒れるかたちをいたして」〈宇津保・俊香村一帯。耳成山の南、畝火山の東にあたり、飛代、地方行政の巡視・監督を行 鳥川がその中央を流れる。推古朝以後平城京へ遷のるまった官職。七一九年 ( 養老三 ) 蔭〉訳阿修羅は、怒った表情をして。 あしら・ふ「。〔他ハ四〕 . ~ ・ ) ( 「あへしらふ」またはでの百一一十年間皇居が造営された。仏教もここから広めらに設置された。平安時代以後は 「あひしらふ」の変化した形 ) ①待遇する。応対する。例れ、法興寺・橘寺をはじめ古寺が多い。「飛ぶ鳥の明日陸奥叩出羽冖 (= 東北地方 ) のみ を残し、他は大・中・少納言の兼背、 , ー 「この後どれが見えたりとも、この通りにーー・はうと存する」香」という枕詞から「飛鳥」の字をあてることもある。 〈狂言・長刀会釈〉訳この後誰がいらっしやっても、この通飛鳥川 ( 響か ) ワガ〔川名〕奈良県高市郡明日香村一職で、名目だけのものとなった。 帯のほほ中央を流れる川。下って大和川に合流する。あそーこ【彼処】〔代名〕 ( 「あしこ」とも ) 指示代名詞。遠 りに応対しょ一 ? 」思います。 昔、流れが変わりやすく、淵や瀬が定まらないので、世の称。あの所。例「ー・に追ひかけここに追ひつめ、馬よりと ② ( 景物・料理などで ) 取り合わせる。配合する。 って引き落とし」〈平家・一・殿下乗合〉訳 ( 敵を ) あちらに あーじろ【網代】〔名〕 ( 「あみしろ」の変化した形 ) ①冬、氷中の移り変わり、つまり無常にたとえるのに用いられた。 魚å(= 鮎ノ稚魚 ) などを捕るのに用いる漁具。宇治川のあす・は・ひのき【翌檜】。〔名〕アスナロの別名。例追いかけこちらに追いつめ、馬から引きすり落とし。 、この世に近くも見え聞こえす」〈枕草子・花の木ならあそば・す【遊ばす】 ) 〔他サ四〕① ( 詩歌・管 す網代が有名。 ( 季・冬 ) 例「すさまじきもの。昼ほゆる犬、「ーー 春の。ー・」〈枕草子・すさまじきもの〉訳興ざめなもの。昼ぬは〉訳アスナロは、このあたりでは近くに見たことも聞いた弦などに関して ) 「詠ずる」「歌う」「演奏する」なとの意味を そ 尊敬していう。例卩ー・すよりなっかしきさまなるは、いづこ こともない。 間ほえる犬、春まで残っている網代。 あ ②檜 2 。・竹などの薄い板を、斜め、または縦横に編んだも参考ヒノキに似た常緑高木、深山の日陰の湿地に生えのか侍 @ らむ」〈源氏・明石〉訳 ( あなた様が ) お弾きにな ② あぜくら ( 正倉院 )

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するのも ( 面白いものだ ) 。 のりーと【祝詞】〔名〕神を祭り、神に祈る際に、祭主が神 〈古今・秋上・ = 四◇訳 ( この付近は ) 里も荒れていて、家の ら主人も年老いてしまった住まいなのだなあ。庭も垣根も一・法の灯火 ( ) ( 「法灯 ( ) 」の訓読 ) 仏前にともす灯に告げ申す言葉。反復・対句などを多用して、荘重な文 明。また、仏法をたとえていう語。例「願はくはしばし闇体で書かれている。「延喜式ぎ」に一一十七編、「台記」 の面に秋の野原となっていることだ。 のら【野良】〔名〕①なまけること。怠慢。また、なまけ者。路 ( ) にやすらひてかかけやせましーー」〈新古今・釈教・に一編収められている。 一九三 = 〉訳何とかして自分は、もっしばらくこの迷いにとざのりーもの【乗り物】〔名〕牛・馬・車など、乗用に用いる 例「無体気 ( ) にて、人ーと思ふにゃあらん」〈仮名・ 仁勢物語・下〉訳 ( その男は ) 無茶な性格であって、他人された浮世にとどま「て、法灯をかかげて人々を救い出し物の総称。特に、平安時代では牛車・輿い、近世では たいと思う。 駕籠など。例「康頼入道がむかへにもーーありけれども、 がなまけ者と思うのであうつ。 は・ ) 悪口をそれには乗らで」〈平家・三・少将都帰〉訳康頼入道をお ②遊びに身をもちくすすこと。放蕩。また、その人。放蕩のりーあ・ふ【罵り合ふ】 ~ 〔自ハ四〕 ~ ふ ・ひい迎えする乗り物もあったのだが、 ( 康頼は ) それには乗らす 者。例「のんこに髪結 ( ゅ ) うてーーらしい、達衆 (%) 自慢言い合う。ののしり合う。例「下 C) ざまの人は、 といひそな男」〈近松・心中天の網島・上〉訳 ( 見物人のさかひて、あさましく恐ろし」〈徒然草・一芸〉訳 ( 酔うと ) ( 少将成経の車に乗って都に向かった ) 。 中に ) のんこ (= 鬢′ヲ細ク、髷ヲ高ク結ッタ伊達好ミノ下賤の者は、ののしり合い喧嘩んをし、見苦しくてぞっのり・ゆみ【賭弓】〔名〕①品物を賭かけて弓を競うこと。 ② ( 「賭弓の節 ( 巴」の略 ) 平安時代の宮中行事の一つ。 髪型 ) に髪を結っていかにも放蕩者らしく、伊達男を気どとする。 った男 ( がいた ) 。 のりーいち【乗り一】〔名〕馬などの乗り心地がいちばんよい陰暦正月十八日に、弓場殿で左・右の近衛府・兵衛 のら・す【宣らす・告らす】〔連語〕 ( 上代語。動詞「のこと。最も乗り心地がよいこと。例「これはーーの馬で候府の舎人達が弓の技を競い合うのを、天皇がご覧にな る」の未然形 + 尊敬の助動詞「す」 ) 仰せられる。おっしゃふ」〈平家・四・競〉訳これは乗り心地のいちばんよい馬でり、賞品を下賜した行事。例「よく射るよし聞こえありて、 ーーっかうまつるに、めでたく射ければ」 召し出 ( い ) だされて、 る。例「石木 ( 鱧 ) より生 ( な ) り出 ( で ) し人か汝 ( な ) が名 ( 夜間の外出には便利で ) す。 ・さね」〈万葉・五・〈 00 長歌〉訳 ( 家族を大切にしないのりーかけ【乗り掛け・乗り懸け】〔名〕江戸時代、宿〈宇治拾遺・一五・四〉 ( 門部の府生といロ人 人は ) 石や木から生まれてきた人なのか。お前の名をおっしゃ駅の駄馬に荷物一一十貫↑七五キログラム ) を左右に振りは ) 弓を上手に射るという評判が立って、宮中に召し出さ 分けて付け、その上に蒲団をしいて人を乗せて運ぶこと。れて、賭弓の射手としてお仕えしたが、みごとに射たので ( 天 皇のおほめにあすかった ) 。 のり【法】〔名〕①模範。手本。例「民 ) を使ふに、時また、その馬。乗り掛け馬。 を以 ( も ) てするは、古 ( いに ) への良きーーなり」〈日本書紀・のり・かへ【乗り換へ・乗り替へカ〔名〕①途中で乗の・る【乗る・載る】〔自ラ四〕翕 2 ) ①乗り物などに乗 推古・十二年〉人民を使うのに、使うべき時に使うのり換えるための予備の乗り物。特に、馬をいう。例「そのる。 ②つきものがつく。乗り移る。例「我に十禅師権現 ( 竸 は、昔からの良い手本である。「十七条憲法」ノ第十後、畠山、・ー・に乗って月上がる」〈平家・卆宇治川 六条。 先陣〉訳 ( 馬を射られて ) その後は、畠山重忠は、乗り換ん了ー・りゐさせ給へり」〈平家・ = ・一行阿闍梨之沙汰〉 訳私に十禅師権現が乗り移られた。「十禅師権現」 ②規則。法律。法令。例「人を苦しめ「ーを犯さしめえの馬に乗って ( 宇治川の対岸に ) 上がった。 、日吉山王七社権現ノ一ッテ、地蔵菩薩ノ化 ②軍陣で、特に大将の乗り換え用の馬を預かる役の侍。 て、それを罪なはむこと、不便 ( ) のわざなり」〈徒然草・ 一四 = 〉訳 ( 政治をしつかり行わないで ) 人民を苦しめ、法律のり・くち【乗り口】〔名〕馬の引き方の一種。馬丁当な身。 を犯させてそれを罰しようとするのは、かわいそうなことであどが、差し縄 (= 馬ノロニ付ケテ引ク縄 ) を取ること。一説①勢いづく。調子にのる。例「源氏の兵者 ( ) ども、勝 つに る。 に、手綱を引くことともいう。もろくち② ・つて」〈平家・一一・弓流〉訳源氏の兵士達は、勝 れ・れ・る・るる ちいくさに勢いづき。 るれ・れよ 3 仏の教え。仏法。例「仏の、いとうるはしき心にて説きのりーこば・る【乗り溢る】〔自ラ下一一〕 ~ おき給へる御ー・も、方便といふことありて」〈源氏・蛍〉訳乗り物に大勢が乗って、着物の端が外にはみ出る。例 0 おだてに乗る。だまされる。例「ばっと乗すれば、ふはと ・れて」〈枕草子・心ゆくもの〉訳 ・り」〈近松・女殺油地獄・上〉訳ばあっと ( 派手に ) お 仏の、端正荘厳な心で説きおきなされた教えにも、 ( 説くた「物見のかへさに、 めの ) 方法とか手段ということがあり ( 相手によって説き方に ( 行列などの ) 見物の帰り道に、 ( 女房達が ) 大勢牛車だてると、ふわっとだまされて。 3 ( 「載る」と表記する ) 書物などに書き記される。掲載され に乗って着物の袖などがはみ出ていて。 違いがあるものだ ) 。 法の師 ( し ) ( 「法師」の訓読 ) 僧。例「・・ーの世のことわ②乗り物からあふれるほど多く乗る。例「車にーー・れてやる。例「朗詠の詩にもー・・つた物で【」ざる」〈狂言・岡太 り説き聞かせむ所の心地するも」〈源氏・帚木〉訳法師り寄せて見れば」〈宇治拾遺・一一・◇訳牛車にあふれる夫〉訳 ( わらび餅は ) 「和漢朗詠集あ漢詩にも書き記さ れている物でございます。 が世間の道理を説き聞かせようとする場所にいる心地が夭勢乗って近づけて見ると。 る の

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五五六 愛うを一身に受けたため ) 朝夕の天皇の御用をつとめるこだその上に確かな事があるーー」〈浄・仮名手本忠臣蔵・六〉②美しく輝く。照りはえる。例「雨降れば笠取山 ( 黯凸の もみち葉はゆきかふ人の袖さへぞーー・る」〈古今・秋下・ ととにつけても、お妃達の嫉妬れつ心をかきたてるばかりで。訳まだその上に確かな事があるのだよ。 一一奎〉訳笠取山 (= 京都府宇治市ニアル ) の紅葉は、 ( それ も②逆接の仮定条件を示す。 : ・ても。 : ・としても。例「年てよ〔完了の助動詞「つ」の命令形】↓っ ( 助動 ) 月 ( ) 経 ( 、 ) ても、つゆ忘るるにはあらねど」〈徒然草・てら【寺】〔名〕①寺院。例「ーーに久しくこもりたる」〈枕が美しいばかりでなく ) そこを行き来する人の袖までも照り輝 いているよ。「雨降れば」ハ「笠取山」ノ枕詞。 三 0 〉訳年月はたっても、 ( 亡くなった人のことを ) 少しも忘草子・たゆまるるもの〉訳寺に長い間こもっていることは ( 心 がゆるむものだ ) 。 でーゐ【出居】名〕 ( 「いでゐ」とも ) 客を通す部屋。客間。 れるわけではないけれども。 3 逆接の確定条件を示す。 : ・けれども。 : ・のに。例「夜② ( 比叡山の延暦寺いを「山」というのに対して ) 特に、例「「客人 ( ) の御ーにさぶら 9 と、しつらひ騒けば」 の御殿のと ) に入らせ給ひても、まどろませ給ふことかたし」三井寺 (= 園城寺芻しをいう。例「宮は宇治ーとの〈源氏・東屋〉訳「客人のお部屋、お供の部屋 ( を早く ) 」 〈源氏・桐壺〉訳 ( 帝は ) 御寝所んにお入りになるけれど間にて、六度まで御落馬ありけり」〈平家・四・橋合戦〉訳と、大慌てで仕度するので。 も、 ( 桐壺更衣との死別の悲しみで ) うつ 0 つつらなさ宮 (= 以仁王翳じは宇治と三井寺との間で、乗っている馬てん【天】〔名〕①空。大空。 ② ( 中国古代の思想で ) 天地万物を支配する神。造物 から六回もお落ちになった。 ることもむすかしい。 3 「寺子屋」の略。例「一人一本ーをあぐれば、またかな主。例「罪重くて、ーーの眼 ( 3 な ) 恐ろしく思ひ給へらるる 参考②の用法は、中世以降、接続助詞「とも」に代わっ しくなって」〈西鶴・西鶴織留・一・ = 〉訳一人また一人とことを」〈源氏・薄雲〉訳 ( 実の父である光源氏を臣下に て広く用いられるつになり、現在に及んでいる。 てーもと【手許・手元】〔名〕①手の届くあたり。手近。例寺子屋をやめて行くので、 ( 実入りが少なくなり ) 再び貧しおくことは冷泉帝にとって ) 罪が重くて、神の眼が恐ろし く思われますことを。 「わが , ーをよく見て、ここなる聖目 ( ) をすぐに弾 (3) けくなって。 3 ( 中国古代の思想で ) 自然の道理。自然の法則。天 ば、立てたる石必す当たる」〈徒然草・一七一〉訳自分の手てらう【衒う】〔動〕↓てらふ 近をよく見て、そこの筋目をまっすぐに弾くと、 ( 碁盤のすみてらこーや【寺子屋】〔名〕江戸時代、特にその中期以後命。例「ただこれーーにして、汝磊ん ) が性翁 ) の拙 ( 鰾 ) き に ) 立てた石は ( 向こう側にある石に ) 必すあたる。「聖普及した、庶民の子供のための教育機関。初期には僧侶を泣け」〈芭蕉・野ざらし紀行 ) 訳ただこれは天命であっ が寺の中で開いたが、後には浪人・医師なども自宅に子て、お前の持って生まれた身の不運を泣け。匯富士川ノ 目」トハ、碁盤ノ目ノ上ニ記シタ九ッノ黒イ点ノコト。 物を持って握る部分。例「熊手 ( ) の柄を、ーより供を集めて教えるようになった。主に、読み・書き・算盤ホトリノ捨テ子ヲ見夕、芭蕉ノ言葉。 ④ ( 仏教語 ) 六道の一つ。人間界の上にあり、六道のうち 一一尺ばかり置きてっと切り」〈平治・中・一〉訳熊手の柄など、実用的な学問の基礎を授けた。 ふ・ ) 誇りに思って人に最も理想的で清浄な想像上の世界。天上界。例「その を、握る部分から一一尺 (= 約六〇センチ ) ほどへだててばっとてら・ふ【衒ふ】〔他ハ四〕窟〕 2 ーーにも生まれ、極楽にも参り」〈宇治 示す。ひけらかす。誇示する。例「山辺 ( ) の小島子功徳 ( ) によりて、 切り。 ( ) ゅゑに人ー : ふ馬の八匹 ( ) は惜しけくもなし」〈日拾遺・〈・四〉訳その善行によって、 ( 死後 ) 天上界にも生ま 3 腕まえ。技量。手並み。 てーや【連語〕 ( 接続助詞「て」 + 疑問の係助詞「や」 ) : ・本書紀・雄略・十三年〉訳山辺の地の小島子 (= 女性ノれかわり、極楽にも行って。 ⑤ ( 仏教語 ) 天上界に住み仏教を守護する神。「帝釈天 して・ : か。例「下紅葉 ( も ) かっ散る山のタ時雨 ( し ) 名 ) のためには、人が自慢する良馬の八頭ぐらいは惜しいと れく」・なン」 0 ぬれーーひとり鹿兊 ) の鳴くらむ」〈新古今・秋下・四一毛〉訳も思わない。囲原文ハ「涅羅賦」トアリ、「ねらふ」ト読ム てん【点】〔名〕①漢文を訓読するためにつける傍訓や返り 下葉の紅葉が一方から散っている、山のタ時雨にぬれて、説モアル。 てらーほふし【寺法師】 % 〔名〕 ( 「てら」は三井寺のこ点などの総称。訓点。 鹿がひとり ( 妻を慕って ) 鳴いているのだうつか。 ②漢字の字画のうち、一点で一小すもの。また、画をもいう。 日 ( 接続助詞「て」 + 終助詞「や」 ) 他に対して願望する意と ) 三井寺の僧徒。三井寺の法師。①やまほふし を表す。 : ・してください。例「駕籠の ) の衆瓮 ) 早う連れまてらーゐ【寺井】れ〔名〕寺にある井戸。例「もののふの八十例「横の一子ーに竪 @ の一 , ーを添へては、王といふ字な しーー」〈近松・博多小女郎波枕・下〉駕籠の衆 (= 駕少女 ( 翳を ) らが汲 ( く ) みまがふーーの上の堅香子 ( ) のり」〈太平記・一〈・◇訳横の三画に縦の一画を加えると、 籠カキ ) ( 私は先に行きますがあの人も ) 早くお連れ申して下花」〈万葉・一九・四一四三〉訳多くの少女達が入り乱れて水を王という字である。 さい。「まし」ハ「まうし ( 申 ) 」ノ変化シタ形デ、謙譲汲んでいる寺の井戸のほとりに咲いているカタカゴ (= カタク 3 和歌・連歌・俳諧などで、すぐれた作品につけるしる リ ) の花よ。 し。また、評価。例「こころみのーーを乞 ( こ ) ひける時、この る〕 2 ・ ) ①太陽・月が光を発す句を長翁や ) をかけたり」〈去来抄・先師評〉訳 ( 出来具 て目 ( 終助詞「て」 + 終助詞「や」。近世の用法 ) 感動をこめて・る【照る】〔自ラ四〕 ~ 。 合はつかと ) 試しに評価をもとめた時、 ( 許六が ) この句に 相手を軽くおさえるつな意を表す。・ : な。・ : だよ。例「まる。照る。 ②

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種類語 九一八 左の表にあげたほかに、上代特有の助詞どして次のものがある。格助詞Ⅱっ・な ( 連体格 ) 、ゆ・ゆり・よ ( 起点・ 、王女助詞一見表手段・方法 ) 係助詞Ⅱなも ( 「なむ」に同じ ) 副助詞Ⅱい ( 強調 ) 終助詞Ⅱなも ( 「なむ」に同じ ) 、な・ね・しか・ もが ( 願望 ) 間投助詞Ⅱ ( 詠嘆 ) 用例 主な接続 主な意味用法 体言、体言に準ずる語ー連体格 ( ノ ) 良秀がよぢり不動 ( 宇治拾遺 ) 2 主格 ( が・ノ ) 雀の子を、大君 0 。 ) が逃がしつる ( 源氏 ) 3 同格 ( デ ) いどやむごどなき際 ( じにはあらぬ力、すぐれて時めき給ふありけり ( 源氏 ) 4 体言に準ずる ( ノモノ・ノコト ) 柿本人麻呂かなり ( 古今 ) 体言、体言に準ずる語ー連体格 ( ノ ) 木の花は ( 枕草子 ) 2 主格 ( ガ・ノ ) 雪の降りたるは ( 枕草子 ) 文す 3 同格 ( デ ) 都の人の、ゆゅしげなるは、睡りていども見ず ( 徒然 ) そを 4 比喩 ( ノョウニ ) わが袖は潮干 ( % ) に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし ( 千載 ) 5 体言に準ずる ( ノモノ・ノコト ) いかなれば四条大納言のはめてたく兼久がは悪かるべきぞ ( 宇治拾遺 ) て 体言、体言に準ずる語連体格①動作の対象 ①鼻をおしひらめて、顔をさし人れて ( 徒然 ) っ挌を句 ②動作の起点 ②ここを立ちなむこども ( 更級 ) ③経過する場所・時間 ( ヲ通ッテ ) ③沼島し ) どいふ所を過ぎて ( 土佐 ) 語る るす 体言、体言に準する語連用格①時間・場所 ①朝ごどタごどに見る竹の中におはするにて知りぬ ( 竹取 ) ず対 句 ( 目的・強調の場合②動作の対象③目的 ( ノタメニ ) ②水こ入りぬ ( 徒然 ) に節には連用形 ) ④原因・理由 ( ニョッテ ) ③住むべき国求め . レどて行きけり ( 伊勢 ) れ文 ⑤変化の桔果⑥比較の基準⑥昼の明かさにも過ぎて光りわたり ( 竹取 ) その ⑦強調 ⑦ただ開 ( あ ) きに開きぬ ( 竹取 ) 言の へ体言 連用格方向 からすの寝どころへ行くどて ( 枕草子 ) 体節 体言、連体形、体言に連用格①動作の相手・共同者①惟光 ( ) の朝臣 ( 2 そ ) とのぞき給へば ( 源氏 ) 準ずる語句 ( 引用の場②変化の結果③比喩 ②古き境 ( じはすかれて田となりぬ ( 徒然 ) と 合は文の形のもの ) ④基準⑤引用⑥目的 ⑤いかで見ばやど思ひつつ ( 更級 ) ⑦強調⑧並列 ⑧そのあるじと住みかど無常を争ふさま ( 方丈記 ) 連用格 ①あかっきより雨降れば ( 土佐 ) 体言、体言に準ずる語①動作・時間の起点 ( カラ ) 明けぬカら船をひきつつのばれども ( 土佐 ) ②経過する場所 ( ヲ通ッテ ) ②妹 ( じに逢はむど直道 ( ) から我は来つれど ( 万葉 ) ③比較の基準④手段・方法④ただひどり徒歩 ( しよりてけ ( 徒然 ) 格助詞 よ カ

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にぎやかである。 〈源氏・若紫〉訳 ( 私のことを ) 世間話の種として、人は後 が普通で、「来 ( こ ) よ」の形が一般化したのは中世にな ってからである。 ようーがん【容顔】〔名〕顔つき。顔かたち。例「巴 ( ) 世に語り伝えることだろうか、比べようもなくつらくはかない は、色白く髪長く、ーーまことにすぐれたり」〈平家・九・木私の身を永遠に覚めない夢 (= 死ヌコト ) にしてしまっても。 義理ノ子デアル光源氏トノ許サレヌ仲ニ苦悩スル藤壺 曽最期〉訳巴御前は、色が白く髪が長くて、容貌 よい【宵】〔名〕よひ ノ歌。 よーいち【世一】〔名〕世の中で一番すぐれていること。天下が特にすぐれていた。 一。例「いけすきといふーーの馬には乗ったりけり」〈平家・ようーさり【夜さり】〔名〕 ( 「よさり」とも ) 夜になる頃。宵横川 ( ) カ【地名〕京都 。また、今夜。例「ーーものせむに、いかならむ」〈蜻蛉・府と滋賀県との境界にそ一 九・宇治川先陣〉いけすきという天下一の名馬に乗って いた ( ので ) 。 中・天禄二年〉訳今夜 ( あなたの家へ ) 行こうと思うのだびえる比叡山連峰の北端 の地。比叡山延暦寺の よう【用】〔名〕①必要。入用。費用。例「何か。こと一」とが、ぎつでしよう。 根本中堂から北へ約三キ しーにも侍らす」〈源氏・宿木〉訳っして ( 急ぐことがようじよう【横笛】〔名〕↓ゃうでう ありましようか ) 。たいしたことに使うのではございません。ようーじん【用心】〔名・自サ変〕心を用いること。気を配るロの所にあり、慈覚大 ② 用事。用途。例「ーーありて行きたりとも、そのこと果てこと。注意すること。特に、仏道の修行に志す者が注意す師円仁はここに横川中 なばとく帰るべし」〈徒然草・一 (t)0 〉訳用事があって ( 人のべきこと。例「人間常住の思ひに住して、仮にも無常を観堂といわれる首楞厳院 家へ ) 行った時でも、その用事が終わったらすぐに帰るのがよずることなかれ、これ第一 ? ーなり」〈徒然草・ = 一セ〉訳んや根本如法塔を建立 ( 富を身につけようと思うなら ) 人間界のことは永久に不変した。如法塔 ( 北塔 ) は、 ① ( 形式名詞として ) : ・のため。例「何のーーに、心もなであるという考えを変えないで、かりにもこの世は無常のもの東塔・西塔とともに比叡 う、遠からぬ門ß) を高くたたくらむ」〈枕草子・里にまかでであると観念することがあってはならない、これが第一の心が山三塔と称された。その後、浄土宗を伝えた源信 (= 恵信 まえである。 兮僧都 ) もここに住んだが、彼は「源氏物語』の宇治十帖 たるに〉何のために、考えもなく、 ( 建物から ) 遠くもない 門を大げさにたたいているのだろう。 ようーせーずーは【能うせずは】〔連語〕 ( 「よくせすは」のに出てくる「横川の僧都」のモデルとされている。 0 ( 「体 (!) 」 (= 事物ノ本体 ) に対して ) 事物の作用。はた変化した形 ) よくしないと。悪くすると。もしかすると。例 よき【斧】〔名〕小形のおの。手おの。例「・ー・返し取らせて らき。「ゆう」とも。 「坊にも、ーーこの皇子 (fi) の居給ふべきなめりと、一の皇ければ、うれしと思ひけり」〈宇治拾遺・一一一・◇訳 ( 山の番 子の女御 ( ) は思し疑へり」〈源氏・桐壺〉訳東宮にも、人は取り上けた ) 斧を返し与えたので、 ( 木こりは ) うれしく よう【様】〔名・接尾〕ゃう よう【良う】〔副〕 ( 「よく」のウ音便 ) 「よく」に同じ。例「こ悪くすると ( 桐壺更衣に生まれた ) この皇子 (= 光源思った。 の女、いとーー化粧翁さ ) じて」〈伊勢・ = 三〉訳この女は、た氏 ) が ( 将来 ) おなりになるようだと、第一皇子の ( 母である ) よぎ・る【過ぎる】〔自ラ四〕 ~ 2 ) ( 古くは「よきる」 ) 通り過ぎる。通過する。例「ー・・りおはしましける由、ただ いそう念入りにお化粧をして。 女御は疑っておられる。 ようーどう【用途・用度】〔名〕 ( 「ようど」「ようとう」「よう今なむ人申すに」〈源氏・若紫〉訳 ( 光源氏が ) お通り過 よう・ : 【要・ : 】えう : ・ と」とも ) 必要な費用。例「車の力を報ふほかには、さらにぎになられたとのことを、たった今人が申すので。 よう・ : 【陽・ : ・養・ : ・揚・ : 】ゃう・ : くれ・きょ ・〉避ける。よける。 ようーい【用意】〔名・自サ変〕①気を配ること。注意するこ他のー・いらす」〈方丈記・方丈〉訳 ( 引っ越しの荷物をよ・く【避く】〔他カ上一一〕「 と。心づかい。配慮。「用心」とも。例「代々の国の司運んでくれる ) 車カに礼をするほかには、まったく他の費例「吹く風に誂 ( ) へつくるものならばこの一本 ( ) は ・きよと言はまし」〈古今・春下・究〉吹く風に注文 G か ) など、ーー殊 ( 」 ) にして、さる心ばへ見すなれど」〈源用はいらない。 をつけられるのなら、桜が美しく咲くこの木一本だけは避け 氏・若紫〉訳代々の国司↑国ノ長官 ) などが、特別な心ようやく【漸く】〔副〕↓ゃうやく よと言うところだが。 遣いをして、そういう気持ち明石ノ入道ノ娘ノ婿ニナリようよう【漸う】〔副〕↓ゃうやう タイ気持チ ) を見せるようだが。 当 ) 日に同じ。例「秋風に誘はれ渡る よか〔接尾〕 ( 擬態語などに付いて ) 性質・状態を表すナリ活日〔他カ四〕 ②前もって準備をすること。したく。例「さるーー・したりけ用形容動詞語幹を作る。「すくーー」「なよ・ー・」「ふくーー」かりがねはもの思ふ人の宿奓ー・かなむ」〈後撰・秋下〉 秋風に誘われて渡ってくる雁 2 の物悲しい鳴き声は、物思 れば、鵜飼 0 ひ、数を尽くしてひと川浮きてさわぐ」〈蜻など。 よ蛉・中・天禄一一年〉訳そういう準備をしていたので、 ( 宇治よ・がたり【世語り】〔名〕世間の語りぐさ。世間話。例いに沈む人の家をよけてほしい。 川の ) 鵜飼いが、あるだけ全部川いつばいに浮かんでたいへん「ーーに人や伝へむ類 ({ ぐ ) なくうき身生めぬ夢になしても」参考上二段活用が普通。平安時代以降四段活用が 八四九 横川中堂

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二七六 ぐる争いによって、人 (= 六条御息所 ) のお気持ちが くるーくる〔副〕①事がなめらかに進むさま。すらすら。例そうなようす。 る「男も女もーーとやすらかに読みたるこそ、あれがやうにいつの②困っているようす。例「・ー・・なるもの、夜泣きといふわざすっかり動揺してしまったのを、あの左大臣家ではそれほどの 世にあらむとおほゆれ」〈枕草子・うらやましけなるもの〉訳する稚児の乳母 ( 2 の ) 」〈枕草子・苦しげなるもの〉訳大事だともお気づきにならなかった。「車争ひ」ハ、従者 る ( 経を ) 男でも女でもすらすらとたやすく読んでいるのを見る困っている奄つに見えるもの、 ( それは ) 夜泣きということをす間デ行ワレルコトガ多イガ、ソレガ主人間ノ対立ニ発展シ タリ、主人間ノ日頃ノ確執ガ争イヲ助長シタリスルコトモ る赤子を世話しているうば。 と、いつになったらあんなふうになれるのだろうと思われる。 アル。 物が回転したり、巻きついたりするさま。くるくる。ぐるぐ る。例「前なる鉢、にはかにこまつぶりの【」とくーーとくるべ考『枕草子』の「苦しげなるもの」では②の例に続くるま・やどり【車宿り】〔名〕①寝殿造りの邸宅で、牛 けて、愛人を一一人持ってその両方から嫉妬れっされる車を入れておく建物。車庫。中門の外、総門の内にあ きて」〈今昔・一九・ = 〉訳前にあった鉢が、突然こまのように る。 男、しぶとい物の怪けに取り組んでいる祈禳師、や くるくると回転して。 きもちやきの男に愛されている女、権力家に仕えて羽 ②外出などの際、一時的に車を止めて置く所。 【苦し】〔形シク〕①心身に苦痛が感じられる。 くる・し く・ ) ( 「くるべく」とも ) 【転め つらい。苦しい。例「翁 ( ) 心地 ( ) 悪振りのいい人、いつもいらだっている人なとを列挙してくるーめ・く〔自力四〕 ~ 3 ・けけ いる。いすれも本人は困っていても、他人にはユーモラ く】①回転する。くるくる回る。例「鉢こまつぶりのやうに ( あ ) しくーー・しき時も、この子を見ればーー・しき事もやみ ・きて」〈宇治拾遺・一一一・一 = 〉訳鉢はこまのようにくるく ぬ」〈竹取・かぐや姫の生ひ立ち〉訳竹取の翁は気分が悪スに感じられる光景である。 る回って。 くつらい時も、この子 ( ⅱカグャ姫 ) を見るとつらい事も収まっ ・ ) ① ( 神霊や物の怪け ②動揺して騒ぐ。あわてふためく。例「この男、さぐりて、 てしまった。 くる・ふ【狂ふ】〔自ハ四〕 2 気をつかって苦しむ。心配である。例「人や見つけむとなどがとりついて ) 神がかりのようになったり、気が変になったあやしみーー・くに」〈宇治拾遺・九・一〉訳この男は、探り求 ・しきを、女はさも思ひたらず」〈源氏・紅葉賀〉訳 ( 源りする。例「そぞろ神の物につきて心をーー・はせ」〈奥の細めて、あわてふためくと。 日【眩く】めくるめく 典侍 : という老女と話しているのを ) だれかに見つけられは道・出発まで〉訳なんとなく人を誘い出す神が ( 私の心に ) くるわ【郭・廓・曲輪】〔名〕①城や砦の周囲に、土や石 しないかと ( 光源氏は ) 心配なのに、女はそんなに気にしていとりついて物狂おしくさせ。 精神が異常な状態になる。正気を失う。例「あひ見てで築いた囲い。また、その囲いの中の地域。 3 いやな感じである。見苦しい。例「心のままならす作りなは幾日 ( 讐 ) も経 ( 〈 ) ぬをここだくもーー・ひにーー・ひ思ほゅ② ( 一定の地域を限り、周囲を囲ってあったことから ) 遊 せるは、見る目もー・・しくいとわびし」〈徒然草・一 0 〉訳るかも」〈万葉・四・芸一〉訳 ( あなたと ) 逢あってから幾日もた里。遊廓。例「目離 ( 2 ) れぬ花のー・は、いっ 0 かりの ( 植え込みの草木まで ) 自然のままでなく作り立ててあるのっていないのに、こんなにもひどくひたすら狂おしく ( あなたのこ春のことくにぎはひ」〈東海道中膝栗毛人・上〉訳誰も見 飽きない華やかな遊廓 (= 大坂新町 ) は、いつも盛りの春の とが ) 思われることです。 は、見た目もいやで全くやりきれない。 ④困難である。むずかしい。例「いと多かる御髪 ( いぐ ) なれ① ( 気が狂ったように ) あばれる。気違いじみた行動をする。ように賑わっていて。 ば、とみにもえ干しやらす、起き居給へるもーー・し」〈源氏・例「馬をいたくあふりければ、馬ー・・ひて落ちぬ」〈宇治拾①範囲。領域。例「発句 ( 3 。 ) は題のー・を飛び出 (') で 東屋〉訳 ( 中の君は ) 大変多いおぐしなので、 ( 洗髪後は ) 遺・一三・ = 〉訳馬をひどくあおったので、馬が狂ったようにあて作すべし」〈去来抄・修行〉訳発句 ( を作るに ) はテーマ の範囲から飛び出したところに題材を求めて作るべきだ。 急には乾かしきれす、 ( それまでは ) 起きてお座りになることもばれて落馬した。 できない。 くるほ・し【狂ほし】〔形シク〕 ( 「くる ( 狂 ) ふ」の形容詞くれ〔代名〕不定称。「なに」と併用して、不定・不明の人や 物を指す。また、不特定の物として人や物を婉曲きにい 3 ( 多く打消しを伴って ) 都合が悪い。差し支えがある。化した形 ) ↓ものぐるほし 例「その人ならばー・・しかるまじ。入れ申せ」〈平家・七・忠くるま【車】〔名〕乗り物としての車。平安時代、単に「車」うのに用いる。誰々。なにがし。「くれがし」とも。例「なにの 親王 9 、 ーーの源氏など数へ給ひて」〈源氏・少女〉 度都落〉訳その人ならば差し支えあるまい。お入れ申し上といえば、牛車を指すのが普通。 くるまーあらそひ【車争ひ】ソ〔名〕祭見物の時など ( 琵琶の名手は ) 何々の親王、誰々の源氏などとお数えに れ 、。なって。 ぐる・し【苦し】〔接尾シク型〕 ( 動詞の連用形に付いて形に、牛車を立てて見物する場所をめぐって起こす争し ・ : しにくい。 : ・できな賀茂祭の時のものが有名。例「はかなかりし所の , ーに、くれーがた【暮れ方】〔名〕↓くれつかた① れ容詞を作る ) : ・するのがむすかしい。 人の御心の動きにけるを、かの殿にはさまでも思 @ し寄らくれーぐれ〔副〕【暗暗】 ( 古くは「くれくれ」。多く「と」を い。「聞きーー・し」「くらべーー・・し」「見 , ー・・し」など。 くるしーげ【苦しげ】〔形動ナリ〕 ( 「げ」は接尾語 ) ①苦しざりけり」〈源氏・葵〉訳ちょっとした牛車の置き場所をめ伴う ) ①心が暗いさま。思案に沈んで。悲しみにくれて。例 ② ②

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わづらふ 八八六 は ) 大変恐ろしいとお思いになって、ぶるぶる震えていらつ出した言葉。恨み言。ぐち。例「いられがましきーーどもを 薬も医者もいらないことだ。 ・ ) 、〔自ハ四〕①苦しやる。タ霧ト密会シティル所ニ父親ガ帰宅シタノデア書き集め給へる御文 ( ) を御覧じつけて」〈源氏・胡蝶〉 【煩ふ】 8 2 羅 わづら・ふ 訳 ( 玉鬘かを思いこがれて ) いらいらしている恨み言をいろ しむ。思い悩む。苦労する。例「大殿ル。 ( 髪の毛などが ) ほっれたりちちれたりして、ほさほさになる。いろ書いていらっしやるお手紙を ( 光源氏は ) お見つけになっ ( ) には御 @ 物 ( 凸の怪 ( け ) いたう起こりて、いみじう ・ひ給ふ」〈源氏・葵〉訳大殿 (= 葵ノ上 ) には人にちちれ乱れる。例「髪なども、我がにはあらねばにや、ところて。 どころーー・き散りほひて」〈枕草子・かへる年の一一月二十日【詫び事・詫び言】①謝ること。謝罪。また、その気持 取りつく悪霊がひどく起こって、ずいぶんお苦しみなさる。 ちを表す言葉。 病気になる。病む。また、そうして苦しむ。例「御 ( ±) 目日よ日〉訳髪なんかも、 ( 添え髪を使って ) 自分のではない 辞退すること。また、その言葉。例「たびたびにーーは、 ② ・ひ給ひて、耐へがたう悩み給ふ」〈源氏・明石〉訳せいだろうか、あちこちほさほさに乱れて。 さわざわと動く。ざわめく。例「下﨟 (äら ) の物見むと人も知るこの道の習ひ」〈仮名・竹斎・上〉訳 ( 恋のさそい ( 朱雀帝は ) 目をおわずらいになって、耐えがたいほどお苦① しがあっても ) 何度も辞退することは、誰もが知っているこの道 ・き騒ぎ笑ふこと限りなし」〈落窪・ = 〉訳身分の卑し、 しみになる。 煩わしい思いをする。面倒な手間をかける。例「川のこ者達が見物しようとさわめき騒いで笑うことはこの上ないほ (= 恋愛 ) の常道であって。 【侘びし】〔形シク〕①気抜けしてしまう。がっ なたなれば、舟などもー・・・はで、御馬にてなりけり」〈源氏・どである。 わび・し かりする。興ざめである。例「「おはしまさざり 橋姫〉訳宇治川のこちら側なので、舟などといった面倒なわに【鰐】〔名〕動物の名。サメ類の古名。転じて、人をねら う恐ろしい人間のたとえ。例「いやはしに伏せりし , ー・、我けり」もしは、「御物忌の ) みとて取り入れず」と言ひて持て 手間をかけす、馬で ( おいでになったの ) だった。 〔補動ハ四〕 ( 動詞の連用形に付いて ) : ・しかねる、 : ・す ( あ ) を捕らへて悉 ( ) に我が衣服 ( ) を剥 ( は ) ぎき」〈古帰りたる、い牛ー・しくすさまじ」〈枕草子・すさまじきもの〉 るのに苦しむ、の意を表す。例「中将、言ひーー・ひて帰り事記・上・大国主神〉訳いちばん端に横たわっていたワニザ訳 ( 手紙の返事を待ちこがれている時に ) 「いらっしゃいませ んでした」または、「物忌みだということで受け取りません」と にければ」〈源氏・手習〉訳中将は、 ( 浮舟がつれないのメが、私を捕らんて残らす皆私の衣服を剥ぎ取りました。 で恋心を ) 言い出しかねて帰ってしまったので。 わーぬし【我主・吾主・和主】〔代名〕人称代名詞。対言って ( 使者が手紙を ) 持って帰ったのは、大変がっかりし わーどの【我殿・吾殿・和殿】〔代名〕人称代名詞。対称。対等以下の相手を、いくらか親しみの気持ちをこめてて不快である。 称。同等以下の相手を、親しみをこめて呼ぶ語。あなた。呼ぶ語。例「・ - ーのためには益ß) あらじ」〈今昔・ = 七・四 0 〉②困ったことである。弱ったことである。例「「や、な起こし 奉りそ。幼き人は寝入り給ひにけり』とい奎円のしければ、あ あんた。例「ー・は残りとどまって、後の証人に立て」〈平訳おまえさんのためには役に立たないだろう。 よーー・しと思ひて」〈宇治拾遺・一・一 = 〉訳 ( 今度呼ばれた 家・九・一一度之懸〉訳お前さんはこの世に残って、後日のわび【侘び】〔名〕①わびしく思うこと。思い沈むこと。また、オ 思いわすらうこと。例「今は吾 ( わ ) はー・・ぞしにける息の緒ら返事しっと、寝たふりをしていると ) 「これ、お起こし申す ( 私が最初に敵陣に入ったことの ) 証人になってくれ。 わな【罠・羂】〔名〕①鳥獣をおびき寄せて捕らえるしかけ。 ( を ) に思ひし君をゆるさく思へば」〈万葉・四・六四四〉訳私はな。幼い人は眠「てしまわれたのだ」という声がしたので、 ( 稚 例「宇陀翁 ) の高城 ( ) に鴫 ( れ ) ー・張る」〈古事記・もっすっかり気力が抜けてしまった、命がけで思っていたあな児は ) ああ困ったと思って。 つらく苦しい。やりきれない。例「やうやう暑くさへなり 3 中・神武〉訳宇陀 (= 奈良県宇陀郡 ) の山の狩り場に鴫たを手放すことを思一 )0 ② ( 中世以降の用法 ) 茶道・俳諧などで、閑寂・質素のて、まことにーー・しくて」〈枕草子・うらやましげなるもの〉 を捕るための罠をしかける。 例「とかく茶は・ - ーが主 0 訳 ( 京都の伏見神社に参詣する際、坂の途中で午前 紐いの巻き終えた先を輪状にしたもの。例「経文などの中にあるしみじみとした趣。」 紐 ( じを結 ( ゅ ) ふに、上下 ( ) よりたすきにちがへて、一一筋でこざります」〈黄表紙・高漫斉行脚日記・上〉訳なにせ十時頃になり ) その上だんだん暑くまでなって、本当につらく てやりきれない気持ちになって。 の中より、 , ーの頭 ( ) を横さまに引き出 ( い ) だすことは、茶道は侘びが中心でございます。 ・せつない。悲しい。 例「我が父 ) の作りたる麦の花の 常のことなり」〈徒然草・ = 0 ◇訳経文 ( の巻物 ) などの紐わびーうた【侘び歌】〔名〕わびしい心をつたった歌。悲嘆の 0 を結ぶ際に、上下か - ~ すきがけに交差させて、一一本の紐の気持ちを詠んだ歌。例「ーーなど書きておこすれども、かひ散りて、実の入らざらん思ふがーー・しき」〈宇治拾遺・一・ 中から、わなの頭を横の方へ引き出すことは、通常のことでなしと思へと」〈竹取・貴公子たちの求婚〉訳苦しい心の一三〉訳 ( 風のために ) 私の父が耕作している麦の花が散っ ある。 中を詠んだ歌などを ( かぐや姫のもとへ ) 書いてよこすけれどて、実がっかないのを思うとそれが悲しいのです。 ( 耐えがたいほどに ) 心細い。頼りない。例「山里は秋こ く・ ) ① ( 身体や手足も、その効果がないと思うのだが。 びわなな・く【戦慄く】〔自力四〕【 なとが ) ぶるぶる震える。震え動く。震動する。例「いと恐わびーこと〔名〕 ( 「わびごと」とも ) ■【侘び事・侘び言】思そことにーー・しけれ鹿 @ の鳴く音 ( ね ) に目生 0 ましつつ」 わ ろしとおほして、 ・き給ふ」〈源氏・少女〉訳 ( 雲居雁い悩むこと。つらく思「て嘆くこと。また、その気持ちを口に〈古今・秋上・ = 一四〉訳 ( 都と違って ) 山里は、秋が格別耐 ② 3 ② ②

10. 全訳古語例解辞典 小学館

た・ ) ( 「だ例「ー・・ず、扇の要際 ( め ) 一寸ばかりおいて、ひいふっと遺・一一・◇訳今度は、私は殺されてしまうだろう。神様・ あやにくーだ・つ【生憎だっ】〔自タ四〕 ~ っ つつ」は接尾語 ) 強引に人を困らせる態度をとる。わがままにぞ射切ったる」〈平家・一一・那須与一〉訳ねらいたがわす、仏様お助け下さい。 だ振る舞う。例「あなたこなたに住む人の子の四つ五つなる ( 那須与一齡砌の放「た矢は ) 扇の要の際から一寸 (= 約あやまり【誤り】〔名〕 ( 動詞「あやまる」の連用形の名詞 三センチ ) ばかり離れた所を、びゆっと射切った。 化 ) ①判断や行為が正当でないこと。間違い。過失。例 ・ちて物取り散らし損 ( ) ふを」〈枕草子・人ばへ するもの〉訳 ( 近所の ) あちらこちらに住む人の子達で四つあやまち【過ち】〔名・自サ変〕 ( 動詞「あやまっ」の連用形「「にな』といふはー・なり」〈徒然草・一五九〉訳 ( 「みなむすび」 あ五つぐらいの ( 年頃なの ) は、勝手放題に振る舞って物を取の名詞化 ) ↓あやまり要点①間違「た事をして悪い結果という語の「みな」を ) 「にな」というのは間違いである。 ( 「心」「心地」と関連して用いられて ) 正気でなくなるこ を生じること。やりそこない。失敗。例「軒長 ( 餾 ) ばかりに り散らかしてこわしたりするのを。 ・ ) ( 「がなりて、「ーー・すな。心して降りよと言葉をかけ侍りしを」と。狂気。例「この人を思すゆかりの、御心地のーーにこそ あやふーが・る【危ふがる】〔自ラ四〕 2 る」は接尾語 ) 不安に思う気持ちを外に表す。あぶながる。〈徒然草・一 0 九〉訳軒の高さぐらいになって、「失敗をするはありけれ」〈源氏・蜻蛉〉訳 ( 匂宮翡朝が ) この人 (= 浮 舟 ) をお思いになられるための、お気持ちの錯乱であったのだ 例「例の心弱さは、一つ橋 , ー・・りて帰り来たりけむもののな。気をつけて降りろ」と言葉をかけましたので。 ゃうにわびしく覚ゅ」〈源氏・手習〉訳 ( 浮舟の ) いつもの気②責任を問われるような行為。過失。落ち度。特に、不った。 弱な心は、一本橋をこわがって ( 渡らすに ) 戻って来た人の道徳な異性関係。例「 , ー・して、見む人のかたくななる 名をも立てつべきものなり」〈源氏・帚木〉訳 ( 浮気心を持要点「あやまち」と「あやまり」の違いは、「あやまち」は ようにやるせない心持ちになる。 っていそうな女は ) 間違いを起こして、夫が間抜けだという ( 不正・軽率なやりかたが招いた ) 悪い結果、「あやま あやふ・し【危ふし】〔形ク〕①危険である。あやうい。 り」は ( そういう結果に至るような ) 不正な判断に比重 あぶない。 例「いとーー・く見えしほどは言ふこともなくて」評判までも立ててしまうに違いない。 が置かれるという点で、差異が認められる。「あやまち」 〈徒然草・一 0 九〉訳 ( 高くて ) 本当に危険に思われたうちは 3 負傷。けが。例「左兵衛尉 ( ゑ ) 長谷部信連 じが候ふぞ。近う寄ってーー・すな」〈平家・四・信連〉訳左は「失敗」、「あやまり」は「間違い」にあたるといえよう。 ( 下にいる名高い木のほりは ) 何一つ言葉もかけないで。 気がかりである。心配である。例「さもや染 ( し ) みつかむ兵衛尉長谷部信連がおるぞ。近くへ寄ってけがをするな。 ・ ) 〔自ラ四〕①事実や道理な あやま・る【誤る】 2 とーー・く思ひ給へり」〈源氏・末摘花〉訳そのまま ( 光源注信連自身ノ言葉。「寄らば斬きるぞ」ノ意。 っ・ ) ①失敗すどからはすれる。まちがえる。例「達人の人を見る眼 ( 3 な ) 氏の鼻に紅が ) 染まり付くだろうかと ( 若紫は ) 心配にお思あやま・つ【過っ・誤っ】〔他タ四〕姦て る。し損じる。例「ー・・つては則ち改むるに憚 ( ) ることは、少しも , ー・る所あるべからす」〈徒然草・一九四〉訳人生 いである。 ①確かでない。あてにならない。例「平らかに帰り上 ( らなかれと申すこと候へば」〈太平記・ = 五・四〉訳失敗をしたらを達観した人の人間を見通す眼力は、少しもまちがう所の ん事もまことにーー・き有様どもにて」〈平家・五・富士川〉即座に改めることに遠慮してはいけないということがございまあるはすがない。 ② ( 多く「心 ( 心地 ) あやまる」の形で ) 心が乱れる。気分が 訳 ( 平家の軍勢は ) 無事に帰京する事も本当にあてにならすから。 ②間違える。見間違う。勘違いする。例「み吉野の山辺悪くなる。例「今朝 @ の雪に心地ーー・りて、いと悩まし ない様子であって。 ・ ) 気がかりに思に咲ける桜花雪かとのみぞーー・たれける」〈古今・春上・く侍れば」〈源氏・若菜・上〉訳今朝の雪で気分が悪くな あやぶ・む【危ぶむ】〔他マ四〕奩 : う。不安に思う。あぶながる。例「宇治橋の長き契りは朽六 0 〉訳吉野山のふもとに咲いている桜の花は ( みごとな満って、ひて苦しゅう【」ざいますので。 日〔他ラ四〕①約束などを破る。そむく。例「昔、男、契 ちせじを , ー・む方に心さわぐな」〈源氏・浮舟〉訳宇治橋開で ) 、雪なのかし - ? 」どうしても見間違えられてしまった。 が長いように末長い ( あなたと私との ) 縁は朽ち絶えることは 3 悪い行いをする。あやまちを犯す。例「忍び忍びに、御 ( れること , ー・れる人に」〈伊勢・一 = = 〉訳昔、男が、 門 ( 擎 ) の御女翁 ) を 0 へ , ー・ち給ひて」〈源氏・須磨〉訳 ( 夫婦になる ) 約束を破った女に。 あるまいから、危ないと思って心配することはないのです。 ② だまし取る。【」まかす。例「根性に魔がさいて、大分 日〔他マ下一一〕宀むれ め・め・響むる・ ) 危ない状態にする。危険な目 ( 光源氏は ) 人目を忍んで、天皇のご夫人 ( と決められてい ( ) 人の金をーー・り」〈近松・冥途の飛脚・下〉訳心に にあわせる。危うくする。例「身をーー・めて砕けやすきこと、る人、朧月夜語じに対してまでもあやまちを犯しなさって。 珠 ( 凸を走らしむるに似たり」〈徒然草・一七一一〉訳我が身を 0 約束などをたがえる。そむく。例「故大納言の遺言魔がさして、大分他人の金をごまかし。 ご±) ーー・たす」〈源氏・桐壺〉訳亡くなった大納言の遺 3 ( 判断を誤って ) 身心をそこない失う。例「妻 ( め ) 、慳 る危険にさらして破滅しやすいことは、ちょうど珠を強くころが ( ゅ 言にそむかないで。 貪 ( ) なるが故に心をーー・り」〈今昔・ = ・三五〉訳妻わは、 すのに似ている。 ああやまた・す【過たず】〔連語〕 ( 動詞「あやまっ」の未然⑤人体や物などに害を加える。そこなう。傷つける。例「こけちであるために正常な心を失「て。 る・ ) ① ( 「誤る」の変化 形 + 打消しの助動詞「す」 ) ねらいたがわす。まちがいなく。のたびは、我は , ー・たれなんす。神仏助け給へ」〈宇治拾あやま・る【謝る】〔自ラ四〕 ~ れれ ② ②