て・ ) 思って 〉相手もの〉訳 ( 頼もしいものは ) 気分などがすぐれない時、誠実ないひーはな・つ【言ひ放っ】イイ〔他タ四〕・ちっ いひーっ・く【言ひ付く】イイ、〔自力四〕姦・ に言いかける。言い寄る。また、言いかけて、親しい間柄に恋人が慰めの言葉をかけてくれること。 いる事をはっきりと言う。ずけずけ言う。例「人の言ふほど 日〔自マ四〕 ~ い . 舛 ) 話をすることで心が慰められる。話しの事、けやけく否 ) びがたくてよろづえーー・たす、心弱くこ つなる。例「その武蔵 ( ) なむ、後 ( 巴は返り事はして、 ・きにける」〈大和・一 0 三〉訳その武蔵の守の娘は、後て気が晴れる。例「をかしき事も、世のはかなき事も、うらとうけしつ」〈徒然草・一四一〉訳 ( 京都の人間は ) 他人の言 には ( 色好みで有名な平定文に ) 返事はしたので、 ( 一一なくー・・まむこそうれしかるべきに」〈徒然草・一 = 〉訳面白うようなことを、きつばりと断りにくくて万事はっきり言うこ いと思う事も、ちょっとした世間話も、気がねなくあれこれとができす、気弱く承諾してしまう。 人は ) いい仲になってしまった。 る・ ) ①ことづける。頼む。託す。語り気が晴れるようなことこそうれしいであろうに。 いひーはや・す【言ひ囃す】イイ〔他サ四〕 日〔他カ下一一〕侖 % 燾 例「かの人のー・・けしこと」〈源氏・手習〉訳あの人が頼いひ・な・す【言ひ為す】イイ〔他サ四〕一れ・ ) ①意識いづくようにほめそやす。おだてる。例「『さあるにより、難き んでいったこと。 的に・ : のように言う。あえてそう言う。例「あるにも過きて世とは、定めかねたるぞや』とーー・し給ふ」〈源氏・帚木〉 ②告げ口をする。例「人に恥ちがましきこと。ー・けたり」人は物をーー・すに」〈徒然草・七三〉訳事実よりも大げさに訳「そんなわけですから、 ( 理想的な妻など ) 見付けにくい世 の中だと思って、 ( 妻を ) 決めかねているのですよ」と ( 相手の 〈枕草子・弘徽殿とは〉訳人に ( 私の ) 恥になるようなこと人は物事を『ロうものであるのに。 意識的にそうであるかのように言う。言いまぎらわす。言意見に合わせたことを一一 = ロって ) おだてなさる。 を告けロした。 ① いつくろう。例「なま恐ろしと思へる気色 ( 鰓 ) を見て、異②噂になるように盛んに言う。言いふらす。例「古郷翁 いつも言う。言い慣れる。また、取りざたする。例「ここ もとに ・けたる言種 ( ) ・物の名など」〈徒然草・七◇事 ( ま ) にーー・して」〈更級・大納言殿の姫君〉訳うす気い ) の辺 ( 3 ) りは干戈 ( ) みちみちて、泝鹿 ( ) の巷 ( ) 味悪く思っている ( 私の ) 様子を ( 姉は ) 見て、別の話題にとなりし由 C) をーー・す」〈雨月・浅茅が宿〉訳故郷のあ 訳このあたりで言いなれている文句や物の名などを。 言いまきらわして。 たりは ( 軍兵の ) 干・戈 3 などで満ち満ちて、まったくの戦場 タ〔他ハ下二〕宀へ ふる・ふれ・ いひーった・ふ【言ひ伝ふ】 る・れ・れ = 一口 ・ ) 話してそになってしまったという噂を言いふらす。注「添鹿の巷」 、よ ) ①人から人へ、言い伝える。語り伝える。例「『この御いひーな・る【言ひ成る】鬻〔自ラ四〕 ~ ? りる 中国ノ故事ニョリ「戦場」ノコト。 時より』と、末の人のーー・ふべき例を添へむ」〈源氏・絵のように言う結果となる。話の成り行きでそうなる。例「はハ、 め・め・む・むる・ むれ・めよ 合〉訳「この御世から ( 始まった ) 」と、後世の人が語り伝かなきこと言ひ言ひの果てに、我も人も悪しうー・・りて」いひーひろ・む【言ひ広む】イイ〔他マ下一一〕 ~ えるにちがいない ( 新しい ) 例を加えることになろう。 〈蜻蛉・上・康保三年〉訳つまらない事を言い合ったあげく言って多くの人々に知らせる。言いふらす。例「今様 ( ) ②ある人の意向を他の人へロ伝えに伝える。伝言する。に、私もあの人 (= 夫ノ兼家聳 ) も気ますくなるようなことまのことどもの珍しきー・・め、もてなすこそ、又うけられね」 〈徒然草・七◇訳さまざまの当世風の珍しい事を言いふら 例「幼き人のかかることーー・ふるは、いみじく忌 (') むなるもで言ってしまう結果となって。 れ・れ・る・るる・ るれ・れよ し、もてはやすのは、これもまた理解できないことだ。 のを」〈源氏・帚木〉訳子供がこういう事 (= 恋心ヲ訴エルいひーな・る【言ひ馴る】イイ〔他ラ下一一〕 ~ 言うことになれている。言いなれる。 るれ . れよ・るる・〉声 コト ) の取り次ぎをするのは、 ( 世間では ) たいへんきらうとい いひーふ・る【言ひ触る】イイ〔他ラ下一 I){ れ ②言い寄って親しみなれる。例「言 ( 」 ) 多くーー・れたらむをかけて人間的接触をはかる。言葉をかける。また、相談を うことなのに。光源氏ノ恋心ヲ空蝉ニ伝工ョウトシタ 弟ノ小君 2 ギヲ、空蝉ガ叱ッティル場面。 方にぞなびかむかし」〈源氏・末摘花〉訳 ( 末摘花は ) 一一一口葉もちかける。例「けにくき顔には、も ? ー・れにくきものな 数多く言い寄りくどいた方になびくことになるだろうよ。 り」〈大鏡・道長・下〉訳愛想のない顔 ( をした人 ) には、な いひーとち・む【言ひ閉ぢむ】鬻ト〔他マ下二〕〕 る・ ) すんとなく声をかけにくいものである。 めよ ) 言い切る。断言する。例「ーー・めつることは、さてこそいひーは・つ【言ひ果っ】鬻〔自タ下二〕 あらめ」〈枕草子・御かたがた、君たち〉訳いったん言い切っかり言いつくす。言い終わる。例「はやりかなるロ一」はさいひ・ぶん【言ひ分】鬻〔名〕①言いたてたいこと。主張。 ったことは、そのまま押し通すのがよい。 に、えーー・て給はで」〈源氏・若菜・下〉訳勢いに乗って転じて、不平。不満。例「愚僧 ( 癶そ ) に咎 ( しはあるまい、 ーーがあらば、御亭主におしゃれ」〈狂言・呂蓮〉訳愚僧に いひーとほ・る【言ひ通る】ト〔自ラ四〕〕 2 ・ 2 ・ ) 筋の ( 一言ってのける ) 口調の強さに、 ( 言いたい事も ) 最後までお 罪はないでしよう、不満があれば、ご亭主におっしやってくだ 通った話をする。すらすらと話す。例「世のすき者にて、もっしゃれずに。 さい。匿「愚僧」ハ僧ガ自分ヲ呼プ語。 のよくーー・れるを」〈源氏・帚木〉訳世間に評判の通人いひーはづかし・む【言ひ辱む】纓〔他マ下二〕 ~ ん で、理屈の通った話をする人を。 何かを言って恥すかしい思い奓せる。からかう。例②言いがかりをつけること。口論。ロけんか。例「今のさき 「いときなき子をすかし、おどし、 むる・むれ・ ・めて興することあり」に掛乞④け ) ひとーーいたされまして、首しめて死なれまして【」 ひいひ・なぐさ・む【言ひ慰む】イイ〔他マ下一一〕 ~ め・ めよ ) 慰めの言葉をかける。例「心地などのむつかしきころ、〈徒然草・一 = 九〉訳幼い子をだましたり、こわがらせたり、何ざる」〈西鶴・世間胸算用・五・三〉訳今さっき掛け売りの まことまことしき思ひ人のーー・めたる」〈枕草子・たのもしきか言ってからかったりして面白がることがある。 代金を取りに来た人と口論奓月まして、首をくくって死な ② 八四
夜話した事の残りを女の耳に言い含めて。 玉鬘〉訳わすらわしい冗談を言いかけなさるのが、めんどういひーかは・す【言ひ交はす】カ〔他サ四〕 ~ さ・ で。 する・すれ・ 互いに物を言い合う。言葉を交わす。語り合う。例「ここ すいひーおこ・す【言ひおこす】イイ〔自サ下二〕 ~ せ せよ〉相手から自分の方へ手紙や伝言をよこす。言ってよこ ② ( 「言ひがかる」とも ) 言いがかりをつける。からむ。例「『まもとに言ひつけたる言種 ( ) ・物の名など、心得たるどち、 お す。例「文も『久しく聞こえさせねば』などばかり , ー・・せたんまる一年この銀 ( ) を遊ばして置きたる利銀を、きっと母片端ーー・し、目見合はせ笑ひなどして」〈徒然草・セ◇訳 ひ る、いとうれし」〈徒然草・一七 0 〉訳手紙も「久しくおたより屋翁も ) からすまし給へ』とー・・り」〈西鶴・世間胸算用・このあたりで言いなれている文句や物の名などを、よくわかっ 差し上げておりませんので」などぐらいに言ってよこしたのは、 一・四〉訳「まるまる一年この銀を遊ばせておいた ( 期間に付ている仲間同士が、その一部分だけを言い合って、目を見 とてもうれしいものだ。 く ) 利息を、必ず母屋から ( 離れに隠居している私に ) 返済合わせ笑ったりして。 す・ ) 人しなさい」と一言いがかりをつけ。注母屋ノ鼠ガ銀ヲ引イテ②手紙・歌などをやりとりする。例「物の折、もしは人と いひーおと・す【言ひ落とす】イイ〔他サ四〕せせ を悪く言う。けなす。「言い消つ」とも。例「『むせばげにこ行ッテシマッタノデ、ソノ責任ヲ取ルョウ、母屋ニ住ム息子 ・したる歌の聞こえて、打ち聞きなどに書き入れらるる」 ニ、隠居ノ老母ガ言イガカリヲッケタ場面。 そ見ゅめれ』などーー・す」〈源氏・竹河〉訳「お心がせまそう 〈枕草子・うれしきもの〉訳 ( うれしいのは ) 何かの折に ( 詠ん ナ・け・く・くる・ くれ・けよ に見える」などとけなす。 いひーか・く【言ひ掛く】イイ〔他カ下二〕 ~ ー ) 言だ歌 ) 、もしくは人と贈りかわした歌が世間に広まって、打 すい . れ【葉を掛ける。話し掛ける。例「『大納言殿に知らせ奉ち聞き (= 覚工書 ) などに書きとめられること。 いひーおほ・す【言ひ果す】オ〔他サ下二〕 ~ せせす せよ ) すべてを表現しきる。言いつくす。例「去来いはく『糸 ( 驍 ) らばや』とーー・くれば」〈更級・大納言殿の姫君〉訳 3 言葉で約束する。口約束をする。例「いったん出家沙 桜の十分に咲きたる形容、能 ( よ ) 5 ー・せたるに侍らすや』「大納言殿にお知らせ申し上げたいわ」と話しかけると。 ・いたことを、変するといふことが有るものか」〈狂 先師いはく『ー・・せて何か有る』」〈去来抄・先師評〉訳いひーかけ【言ひ掛け】イイ〔名〕①修辞法の一つ。一語に 言・宗論〉訳一度僧侶がロに出して約束をしたことを、 去来が言うことには「 ( この句は ) 糸桜が十分に咲いている一一つの言い方を重ねる。掛詞こ。例「冬草のかれ ( 枯れ・変えるということがあるものか。 様子を、よく言いつくしているのではないでしようか」先師離れ ) にし人はおとづれもせす」〈古今・冬・三三◇ ( 訳冬草いひ・がひ【飯匙】〔名〕飯を器に盛るしやくし。しやも (= 芭蕉 ) が言うことには「言いつくしたとて何になるのだ」と。が枯れるのと同様に、離かれてしまった人は、便りもくれなじ。例「手つからーー取りて、笥子 ( 3 ) の器物 ( は ) に盛 注蕉門俳諧ニオイテハ、句ハ対象ノスペテヲ表現シックス い ) の「かれ」の類。主に和歌・連歌・俳諧などの韻文に用いりけるを見て」〈伊勢・ = 三〉訳 ( 女が ) 自分の手でしやもじを ョリモ、表現ヲ五、六分ニオサエテ対象ヲ暗示的ニ詠ミ、られるが、謡曲・浄瑠璃うにも用いられる。 取って、 ( 飯を ) うつわに盛っていたのを見て。 言外ノ余情ヲ楽シムコトヲ、ヨシトシタ。 ②無実の罪を押しつけたり、難くせをつけること。言いがかいひがひーな・し【言ひ甲斐なし】ガ〔形ク〕↓いふか くる・くれ・ り。例「この徳兵衛が、ーーしたるでさらになし」〈近松・曽ひなし いひーおもむ・く【言ひ趣く】鬻〔他カ下二〕 ~ け す〕〉言って けよ ) 言って相手をこちらの意向に従わせる。説得する。例根崎心中・上〉訳この徳兵衛が、言いがかりをつけたのでいひ・くた・す【言ひ腐す】イイ〔他サ四〕 ~ さ はさらさらない。 ・けて侍り。今宵 ( ) ぞよく侍るべき」〈堤中納言・ 人の気持ちを腐らせる。けちをつける。けなす。例「この頃 め・め・む・むる・ むれ・めよ 花桜をる少将〉訳説得いたしました。今夜こそ ( 女との逢いひ・かた・む【言ひ固む】イイ〔他マ下一一〕 ~ ) 紅葉をーー・さむは、竜田姫の思はむこともあるを」〈源氏・ 瀬讐は ) うまくいくでしよう。 言葉にして固く約束する。例「『もしかく起請 ( ) して少女〉訳今頃 (= 秋 ) に紅葉をけなすようなのは、竜田姫の 〔自ハ後、青常 ( 計 ) の君と呼びたらん者をは : : : あがひせん』と思わくもありましようから。注「竜田姫」ハ秋ノ女神。ソノ いひーかかづら・ふ【言ひかかづらふ】 四〕 ~ 2 ・ ) ①あれこれ言ってまとい付く。言い寄る。例 ・めて起請 ( ) して後」〈宇治拾遺・一一・一〉訳「もしこ怒リヲ買ウョウニナルカラ、トイウコト。 「この人はかうてもやまで、とかくー : ひ出でむも、煩はしううして誓いを立てた後、青常の君と呼んだような者にはいひーくん・ず【言ひ屈ず】イイ〔他サ変〕を % ・ー・ ) し 聞き苦しかるべうよろづに思 (#) す」〈源氏・タ霧〉訳この ・ : 罰として償いをさせよう」と固く約束をして誓いを立てよげて身体をがつくり折りながら言う。がっかりして言う。 人 (= タ霧 ) はこのままでは引きさがらないで、あれこれと言い て後。匯変ワッタ容貌霧テ、顔色ガ青イコトカラ「青常の例「『昨日 (% の ) までさばかりあらむものの、夜の程に消えぬ 寄って来るだろうことも、やっかいで聞き苦しいことだろうと君」ト呼バレテイタ男ノ話。 らむこと』とーー・すれば」〈枕草子・職の御曹司におはします ( 落葉の宮は ) あれこれお考えになる。 いひ・かな・ふ【言ひ叶ふ】〔他ハ下一一〕 ~ お ( 畆〕頃、西の廂にて〉訳「昨日まであれほど確かであった雪の山 言いにくく思う。言いわず 0 つ。 〈よ ) 思い通りに表現する。上手に言い表す。例「この【」ろなのに、夜のうちに消えてしまっているということは」と言って の歌は、一節 ( ) をかしくーー・ヘたりと見ゆるはあれど」がっかりしていると。 いひ・かか・る【言ひ掛かる】「イ〔自ラ四〕勗 ・〉①人の あれこれ言って、かかわりを持とうとする。言い寄る。例「う〈徒然草・一四〉訳この頃の歌は、どこか一点味わい深くういひ・け・つ【言ひ消っ】鬻〔他タ四〕 ~ るさき戯言 ( と , ぶ ) ーー・り給ふを、わづらはしきに」〈源氏・まく表現していると思われるものはあるが。 言葉を打ち消す。否定する。例「わざとはなくてーー・つさ こ ①
あり」〈平家・五・物怪之沙汰〉訳厳島の大明神が平家のす」とあれこれとりざたしているのは。勢力ノアル人ノ婿ト草・ = = ◇訳別席の中から「これこれでしようか」と外へ向か ナリナガラ、ソノ娘ヲ捨テテシマッタ男ガ蔵人ニ任官シタって言ったので、 ( 人々は ) たいそう感心いたしました。コ ぬ味方をなさったというのには、その由来がある。 コノ「局」ハ、聴聞ウノ部屋ノ意。道眼上人ガ説法中 れいは , れ・ぬ【言はれぬ】【連語〕 ( 動詞「言ふ」の未コトヲアレコレト噂シ合ウノテアル。 ②ロ出しして世話をする。ロ出しする。例「かの遺言「八災」ヲ忘レテ弟子ニ聞イタガワカラナカッタノニ、別席カ 然形「言は」 + 可能の助動詞「る」の未然形「れ」 + 打消し の助動詞「ず」の連体形「ぬ」 ) ① ( 言うことのできないの意か ( ) はたがヘじと思ひ給へて、ただかくーー・ひ侍るなり」ラ答工ガアッテ人々ガ感心シタ、トイウ話。 ②心の中にあるものを口に出して言う。言う。例「あさまし ら ) 道理に合わない。無理な。例「国王の仰 ( せ言 2 ) 〈源氏・タ霧〉訳あの遺言には背くまいと思いまして、ただ きことまで、問はず語りにー : す」〈徒然草・一皂〉訳あき ただこのように余計な口出しをするのでこざいます。 を、まさに、世に住み給はむ人の承り給はでありなむや。 せせ・す〕れはてた事まで、聞かれもしないのに ( 自分から ) 言う。 ことなし給ひそ」〈竹取・帝の求婚〉訳国王のご命令を、いひーあは・す【言ひ合はす】ア〔他サ下一一〕 ~ すい・すれ せよ ) ①共感をもって話し合う。語り合う。例「なほ同じ程 3 言い始める。言いだす。例「灸治 ( ) あまた所になりぬ どうして、この世に住んでおられる人がお受けしないでおられ にて、ひとっ心に、をかしき事もにくき事もさまざまにー : せれば、神事に穢翁 ) れありといふ事、近く人のー・・せるな ましようか。道理に合わないことをなさってはいけません。 ② ( 室町時代以降の用法 ) する必要のない。無用な。例つべき人、必す一人二人、あまたも誘 @ はまほし」〈忱草り」〈徒然草・一岩〉お灸を据えた所が多くなってしま 「耆婆の ) でもいかぬ死病、ーー気骨 ( ) 折らるる」〈近子・正月に寺にこもりたるは〉訳やはり同じくらいの身分うと、祭神の行事にけがれがあるということは、近年人が言 松・女殺油地獄・中〉訳名医耆婆でも治せない死病に、で、気が合って、おもしろい事も気にいらない事もいろいろ語い出したのである。 で・で・づ・づる・ ) 、い 無用な気苦労をなさることだ。囲「耆婆」ハ、釈迦ヤノ時り合うことのできるような人を、必す一人二人、 ( または ) たいひ・い・づ【言ひ出づ】碧〔他ダ下一一〕 ~ づれ・でよ の中にあるものを口に出して言う。口に出す。例「同じ古 くさんでも誘いたいものだ。 代ノインドノ名医。 いはーろ【家ろ】〔名〕 ( 「いは」は「家 (i ) 」の上代東国方②相談する。例「この月ごろ思ひ立ちて、これかれにも言 ( ) といひながら、知らぬ人やはある。ただここもとに覚え ・でられぬはいかにぞや」〈枕草子・殿などのおは ・すれば」〈蜻蛉・下・天禄三年〉訳この数か月そんなながら、 言。「ろ」は接尾語 ) 家。すまい。例「我がーーに行かも人 もが草枕旅は苦しと告げやらまくも」〈万葉・ = 0 ・四四 0 六〉訳気 (= 息子ニ嫁ヲモラウ気 ) になって、あの人この人にも相談しまさで後〉訳同じ古歌とはいいながら、 ( こんな歌を ) 知ら ない人がいるだうつか。すぐここのあたりまで思い浮かんでいな 私の家に行く人がいればなあ、旅はつらいものだと告げにやりすると。 たい。 あらかじめ話し合って取り決める。申し合わせる。例がら、ロに出せないのはどうしたことかしら。 防人ノ歌。 「『明日 (2) また来て見むに、おどして走らせて笑はむ』と参考「言ひ出だす②」と同じだが、平安時代では「言ひ出 いはんーや【況や】〔副〕↓いはむや ・せて」〈宇治拾遺・ = ・一 = 〉訳「明日また来てのぞくだづ」の方が圧倒的に多い。 いひ【家】〔名〕 ( 上代東国方言 ) 「いへ」に同じ。例「わろ 旅は旅と思 ( 巴ほギーにして子持 ( め ) ち痩 ( や ) すらむ我がうつから、おどかして逃げ走らせて笑おう」と申し合わせて。いひ・いひ・て【言ひ言ひて】イ【連語 ) ( 動詞「言ふ」 の連用形「言ひ」を重ね、それに接続助詞「て」を付けたも 妻 ( み ) かなしも」〈万葉・ = 0 ・四三四一 II> 訳自分の旅は、どうせいひーあらは・す【言ひ表す】引〔他サ四〕 ~ れ〕せ 旅はつらいものと思ってあきらめるが、家にあって子供をかか ( 心のうちを ) 言ってしまう。白状する。例「さまざまの好きの ) 繰り返し言って。あれこれと言って。お互いに言葉を交 え、 ( 男手もなく仕事に追われて ) 痩せているであろう妻がい事ども、かたみに隈 ( しなくーー・し給ふ」〈源氏・葵〉訳わし続けて。例「ー・、つひに本意 (E) のことくあひにけり」 ( 光源氏と頭中将鰡ゆとは ) さまざまの色事のいくつかを、〈伊勢・一三〉訳たがいに ( 恋心を歌で ) 言い交わし続けて、 としいことよ。囲防人ノ歌。 ( この男女は ) かねてからの望み通りに結婚したのだった。 いひ【飯】材〔名〕米を蒸してこしらえためし。ごはん。例「家お互いに隠すところなく白状なさる。 れ・れ・る・るる・ るれ・れよ ②言葉で表現する。言い表す。例「いかにして , ー・さむ法いひーい・る【言ひ入る】イイ〔他ラ下一一ニ にあれば笥 ( け ) に盛るーーを草枕旅にしあれば椎 @ の葉に 盛る」〈万葉・ = ・一四 = 〉訳家にいる時はいつも食器に盛るこ ( 巴の道とにもかくにも違 ) ふ言の葉」〈新千載・釈教〉外から屋内などに向かって言う。また、屋内に向かって案 はんを、 ( 今は ) 旅の途中なので椎の葉に盛ることだ。囲反訳どのようにして言葉で表現しよう、仏法の教えを、どう内を申し入れる。例「人多く行き訪 ( ) ふ中に、聖法師 表現してもびったりと合わない言葉であるよ。仏法ノ教 ( じの交じりて「ー・・れたたずみたるこそ」〈徒然草・契〉 逆罪テ紀州へ連行サレル途中デノ有間皇子 3 「ノ歌。 工ヲ言葉テ伝工ョウトシテ、ソノ深サ尊サヲ表現テキナイモ訳人がたくさん訪問する中に、修行僧が交じって、案内を いひーあっか・ふ【言ひ扱ふ】〔他ハ四〕窟・ 乞こうて ( 門口に ) たたすんでいるのは。 る①人の事をあれこれ言う。うるさく言う。例「「あさましう、ドカシサヲイウ。 よくわかるように言って聞かせる。言い含める。例「さし かかる仲らひにはいかで、とこそ人は思ひたれ』などーー・ふは」いひーいだ・す【言ひ出だす】〔他サ四〕 ~ れ ひ 〈枕草子・いみじうしたてて婿とりたるに〉訳「意外だ、 ( 舅屋内などから外に向かって言う。例「局 ( ) の内より『こ寄りて、夜言ひつる事の名残 ( ) 女の耳にー・・れて」〈枕 し 3 と ) あんな間柄なのにどうしてだろう、と誰でも思っていまれこれに ? とー・・したれば、いみじく感じ侍りき」〈徒然草子・あかっきに帰らむ人は〉 ( 女の ) そばに寄って、昨 八一 3
めて口にする。言い出す。また、異性に初めて言い寄る。 ま、みやびかによしと聞き給ふ」〈源氏・松風〉訳 ( 明石の言い方を心得ている。 上の母が ) ことさらにではなくて ( 自分の育ちのよさを ) 否定言ひ知ら・す① ( 良い意味でも悪い意味でも ) 何とも表例「『ざはれ、さまでなくともーー・めてむことドとて、かたう 現できないほど程度がはなはだしい。例「外 ( と ) の方 ( 2 ) あらがひっ」〈枕草子・職の御曹司におはします頃、西の廂 らする様子を、 ( 光源氏は ) 上品で優雅だとお聞きになる。 を見出だし給へる傍目 ( は ) 、ーー・ずなまめかしう見ゅ」にて〉訳「えい、ままよ、それほどまでではなくても言い出して ②発言を途中でやめる。言いさす。例「『はつるる糸は』と ひ 末はーー・ちて」〈源氏・椎本〉訳「ほっれた糸は」とその続〈源氏・賢木〉訳外の方をながめやっていらっしやる ( 藤しまった事は」と思って、頑固に言い争いをしてしまった。 いひーた・つ【言ひ立っ】鬻〔自タ四〕・ ) 評判 壺の ) 横顔は、言いようもなく優美に見える。 きは言いさして。 取るに足りない。つまらない。例「九重 ( ) の御殿のが立つ。噂になる。例「いかにして死ぬるやらんと、心も 悪く言う。非難する。例「をこにも見え人にもーー・た 3 ・ぬ民のすみかまで」〈枕草子・節は五得ざりけるほどに、『この岩のある故ぞ』と , ー・・ちにけり」〈宇 れ、禍 ( 讐 ) ひをも招くは、ただ、この慢心なり」〈徒然草・上をはじめて、 月に〉訳宮中の御殿にての上をはじめとして、言うにも足治拾遺・ = ・三〉訳どうして死ぬのだろうかと、わけもわからな 一六七〉訳愚かにも見え人からも非難され、災難までも招く いでいるうちに、「この岩があるためだぞ」と評判が立った。 りない一般民衆の住まいまで。 のは、ただただ、このうぬばれた心である。 1 ・ ) 一注比叡山非イニ竜ガロヲ開ケタョウナ岩ガアリ、僧達ガ多 いひーけらーく【言ひけらく】イイ【連語〕 ( 動詞「言ふ」いひ・しろ・ふ【一一一口ひしろふ】シ〔他ハ四〕 の連用形「言ひ」十助動詞「けり」の古い未然形「けら」十 ( 「しろふ」は、互いに・ : する、の意 ) ①互いに話す。語り合数死ンダトイウ話ニョル。 る・ ) 特に取り上げて言い立てる。 う。例「「いたうこそ困 ( しじにたれ』『あはれ紅葉をたかむ人日〔他タ下一一〕 ~ 蘒・ 準体助詞「く」 ) 言ったことには。例「親王 (fi) のーー 「 : : : 』と言ひければ詠める」〈古今・羇旅・四一〈詞書〉訳もがな』『験 ( あらむ僧達、祈り試みられよ』なギー・ひて」強調する。例「着給へる物どもをさヘー : つるも、物言ひ 〈徒然草芸四〉訳「ひどくくたびれてしまった」「ああ紅葉をたさがなきゃうなれど」〈源氏・末摘花〉訳お召しになっている 親王が言ったことには、「 : ・ : 」と言ったので詠んだ。 くような人がいればよいのになあ」「効験あらたかな僧達、試着物のことまであれこれ言い立てるのも、意地が悪いようだ いひーこしら・ふ【言ひ拵ふ】衫〔他ハ下一一〕念・ けれど。 ふふる・ ) 言って気持ちを落ち着かせる。なだめる。例「果てみにお祈りなさい」など言い合って。 ふれ・ヘよ ・〉口に いひーちぎ・る【言ひ契る】鬻〔他ラ四〕 2 ・ヘて」〈源氏・若菜・下〉訳②互いに議論をたたかわせる。言い争う。例「とかくーー 果ては腹立つを、よろづにーー あげくのはてには腹を立てるのを、あれこれ言ってなだめて。 ひて、この御文翁 ) はひき隠し給ひつれば」〈源氏・タ霧〉出して誓う。口約束をする。例「唐 ( ) にてーー・りし児 いひーごと【言ひ事】イイ〔名〕①話の材料。話の種。話訳 ( 雲居雁は夫のタ霧と ) あれこれと言い合ったあけを問はずとて」〈宇治拾遺・一四・四〉訳唐で言い交わし 約束した子を ( 父親が ) 尋ねないといって。 題。例「興じ奉りて、そのころのー、にこそし侍りしか」〈大く、このお手紙はひき隠しておしまいになったので。 て・て・つ・つる・ つれ・てよ ) ①いひーちら・す【言ひ散らす】材イ〔他サ四〕・れ ) 鏡・伊尹〉訳おもしろく思い申し上げて、その当時の話のいひーす・つ【言ひ捨っ】イイ〔他タ下一一〕 ~ 返事を期待せず言いつばなしにする。言い捨てる。例「『翁考えなしに言いまくる。わめきちらす。例「いよいよ腹立ち 種にしたものです。 ②言い争い。口論。例「腹悪 ( あ ) しく由なきー、、ただ許 ( 鰭 ) いたう酔 ( ゑ ) ひすすみて無礼 ( 2 ら ) なれば、まかり入りて、まがまがしきことなどをーー・し給ふ」〈源氏・真木柱〉 しおはしませ」〈謡曲・景清〉訳心がひねくれていて道理のぬ』とーー・てて入り給ひぬ」〈源氏・藤裏葉〉訳「私のよう訳いよいよ腹を立てて、いまわしいことなどをわめき散らして な老人はひどく酔いすぎて失礼だから、ご免こうむるとしよいらっしやる。 通らぬ物言い、どうかお許しくださいませ。 あちこちとしゃべり回る。言いふらす。例「「いみじくなむ いひーさ・す【言ひ止す】鬻〔他サ四〕 ~ れ ) 発言をう」と言い捨てて ( 奥へ ) おはいりになった。 途中でやめる。言いさす。例「心もなきこと啓してけりと思②何の気なしに言う。無造作に言う。例「昔の人は、ただ才 &) ある』と、殿上人などにーー・して」〈紫式部・日本紀 いかに、ー・てたる言種 ( ) も、皆いみじく聞こゆるにや」の御局〉訳「とっても学問があるんですってさ」と、殿上人 ひて、くはしくもその程の事をばーー・しつ」〈源氏・手習〉 訳思慮のないことを ( 中宮様に ) 申し上げてしまったと思っ〈徒然草・一四〉訳昔の人は、ただどんなに無造作に言ったなどに言いふらして。 文句でも、 ( 当世では ) みんなすばらしく聞こえるのであろういひーっか・ふ【言ひ使ふ】写〔他ハ四〕 ~ は・ て、詳しくはその頃の事情を話しきらずにやめてしまった。 いつけて仕事をせる。召し使う。例「この人、国に必ずし る・ ) か。匯昔ノ歌ノ言葉ヲホメティル場面。 いひーさだ・む【言ひ定む】イイ〔他マ下二〕 % ・ さ・し〕す・ ) ( 「そす」もーー・ふ者にもあらざなり」〈土佐・十二月二十三日〉訳 ふ口頭で言って取り決める。話し合って決める。例「ー : めいひーそ・す【言ひ過す】〔他サ四〕 ~ す・せせ カ たるやうに、すみやかに酒・くだもの取りにやりて、このことあは度を過こす意の接尾語 ) 度を越して言う。言い過ごす。この人は、国司の官庁で必ずしも召し使っている者でもない っ がへ」〈宇治拾遺・一一・一〉訳取り決めたように、すぐに酒や例「我猛 ( ) くー・・し侍るに」〈源氏・帚木〉訳調子にようだ。注「ざなり」ハ打消シノ助動詞「す」ノ連体形「ざ ひ る」ノ撥音便形「ざん」ニ、推定・伝聞ノ助動詞「なり」ガ付 酒のさかなを取り寄せて、この罪を償え。 乗ってしゃべりすぎますと。 め・め・む・むる むれ・めよ ・ ) 初イタ「ざんなり」ノ「ん」ガ表記サレナイ形。 る・ ) 適切ないひーそ・む【言ひ初む】イイ〔他マ下一 l){ いひーし・る【言ひ知る】イイ〔他ラ四〕れれ ② ② 八三
いふ れました。 い続ける。いつも言う。例「女は「男を捨ててはいづちか行①とりたてて問題にする。区別する。例「ぬばたまの夜昼と 畆〕かむ』とのみーー・りけるを」〈大和・一四◇訳女は「 ( 夫の ) あ ・はす思ふにし我が身は痩 ( や ) せぬ」〈万葉・四・七 = 三長 ふいひーまが・ふ【言ひ紛ふ】〔他ハ下二〕 ~ お ( カ 〈よ ) とりちがえて言う。言い違える。例「賀茂の岩本・橋なたを捨ててはどこへ行くことができましようか」とばかり言い歌〉訳夜昼という区別なく心配しているうちに、私の体は やせてしまった。 本は、業平 ( ) ・実方 ( ) なり。人の常にーー・ヘ侍 @ 続けてきたが。 ひ れば」〈徒然草・六七〉訳上賀茂神社の ( 末社の ) 岩本社・ ( 異性に ) 言い寄り続ける。求婚し続ける。例「何の入①事物・状況を指定する。・ : である。・ : というわけである。 橋本社 ( の祭神 ) は、 ( 在原 ) 業平・ ( 藤原 ) 実方である。道 ( 緊 ) とかやいふ者の娘かたちよしと聞きて、人あま窄ー ・ : という状態でいる。例「秋の夜 ( よ ) も名のみなりけり逢 人々がいつも ( 一一社の祭神を ) とりちがえて言いますので。 りけれども」〈徒然草・四 0 〉訳某の入道とかいう者の娘 ( あ ) ふとー・・ヘば事ぞともなく明けぬものを」〈古今・恋三・ イイマギ 〔他サ四〕が美貌であるということを聞いて、多くの人が求婚し続け六三五〉訳 ( 長いといわれる ) 秋の夜も名前だけだった (= 短カ いひーまぎらは・す【言ひ紛らはす】ラワス ) ①話の中心をはずしてこまかす。言いまぎらす。たということだが。 ッタ ) なあ。 ( 恋人と ) 逢っていると、これということもなく (= アッケナク ) 明けてしまったものだから。 例「異事 ( ま ) にーー・し給ひっ」〈源氏・薄雲〉訳他の事いひーわ・ぶ【言ひ侘ぶ】イイ〔他バ上一一〕 % ・ぶる・ ) 言 に言いまぎらしておしまいになった。 いにくくて困る。言いかねる。例「そそのかせど、娘はさらに言はむ方 ( 2 ) 無 ( な ) ・し芻何とも言いようがない。こ 聞かす。 の上ない。 例「ーー・くむくつけけなるもの来て、食ひかか ②話の邪魔をする。まきらかす。 ・びて入道 ( 斃 ) ぞ書く」〈源氏・明石〉 らむとしき」〈竹取・蓬莱の玉の枝〉訳なんとも言いよう いひーみた・る【言ひ乱る】イイ〔他ラ四〕窟〕響 2 ・ ) あれこ訳 ( 早く光源氏への返事を書くように ) せきたてるけれと、 れロ出しして、相手の心を乱す。余計な口出しをする。例娘はどうしても言うことを聞かない。・ ・ : 説得に困り果てて もなく恐ろしそうなものが来て、 ( 私に ) 食いかかろうとし た。 「かばかりにしそめつるをーー・るも、ものし」〈源氏・手習〉入道が ( 代わりに ) 書く。 すイワン 口に出して言う方法。言いよう。例 訳 ( すでに ) ここまで手順を進めてしまったこと (= 浮舟ノ出、 【言ふ〔自ハ四〕 2 ) ① ( 意思を ) 言葉言はむ術 (0 スペ 家 ) を口出しして ( 浮舟の決心を ) 乱すのも、不愉快だ。 で伝える。言う。話す。例「よき人のよしとよく 「ーーせむ術知らす極まりて貴 ( ) きものは酒に しあるらし」〈万葉・三・三四 = 〉訳何とも言いようもしようも いひーや・る【言ひ遣る】イイ〔他ラ四〕〕 2 ) 手紙や見てよしとーー・ひし吉野よく見よよき人よく見」〈万葉・一・ ないほど極めて貴いものは酒であるらしい。大伴旅人 使いの者を通して相手に伝える。言い送る。例「かへでの毛〉訳 ( 昔の ) すぐれた人がよい所であると、よく見てよいと もみちのいとおもしろきを折りて、女のもとに道よりーー・る」言った吉野を、よく見なさい。 ( 今の ) 立派な人よ、よく見 ノ「酒を讚ほむる歌」ノ中ノ一首。「酒にし」ノ「し」ハ強 〈伊勢・ = 0 〉訳楓貰の紅葉いみがたいそう美しいのを折って、なさい。最後ノ「見」ハ「見よ」ノ意。 調ノ副助詞。 女の所に ( 旅の ) 途中から ( 歌を詠んでそれに添えて ) 言い送②名付ける。称する。呼ぶ。例「いと大きなる川あり、それ言ふもおろか・なり ( 「おろかなり」は不十分であ る。 るの意 ) いくら言っても言い尽くせない。言うまでもない。 を隅田川とーー・ふ」〈伊勢・九〉訳たいそう大きな川があ るれ・〉①物をり、それを隅田川と呼ぶ。 例「博士の才 (?€) あるは、いとめでたしとーー・なり」〈枕 いひーよ・る【言ひ寄る】イイ〔自ラ四〕 ~ ら 言いながら近寄る。例「「ここなる物取り侍らむ』などーー 3 世間で評判している。うわさする。例「法師の、ある人草子・めでたきもの〉訳博士で学識がある人は、とてもす ばらしいのは言うまでもない。 りて」〈枕草子・正月一日は〉訳「ここにある物を取りましの御 ( % ) 験者ん ) 仕 0 うまつりけるほどに、とかく世の よう」などと言いながら近寄り。 中にー・・ふことありければ」〈大和・四 = 〉訳法師が、ある言へばえこイエバ ーエ = ( 和歌用語。「えに」は、動詞「得 ( う ) 」 ② ( 異性に ) 言葉をかけて親しみ近づく。求愛する。例「は ( 女性の ) 方の祈師としてお仕え申し上げているうち の未然形「え」に打消しの助動詞「ず」の古い連用形 かなきついでに、 ・りて侍りしを」〈源氏・帚木〉訳ふとに、とかく ( 二人の関係を ) 世の中でうわさすることがあった 「に」の付いたもの ) 口に出して言おうとすれば、とても言い ので。 した機会に、言い寄ったのですが。 表せす。言うに言われす。例「ー・言はねば胸に騒がれて 3 申し入れる。頼み込む。例「長恨歌といふ文を物語に ④ ( 詩歌を ) 詠む。吟する。また、作る。例「唐歌 ( ) 声心一つに嘆くころかな」〈伊勢・三四〉訳口に出して言お うとすると言うことができないで、言わないとこれまた胸の 書きてある所あんなりと聞くに、いみじくゆかしけれど、え上けて , ー・・ひけり」〈土佐・十二月二十六日〉訳 ( 送別 ・らぬに」〈更級・大納言殿の姫君〉訳長恨歌というの宴で人々は ) 漢詩を声をあけて吟じた。 中は思い乱れて、私一人の心の中だけで思い嘆いている 漢詩を物語風に書いて持っている人があるそうだと聞いて、 今日この頃ですよ。 3 ( 男女間で ) 言い寄る。求婚する。また、情を交わす。 なんとかして読みたいと思ったけれども、ロに出してはとても例「いとねむごろにーー・ひける人に、「今宵 ( ) 会はむ』と言へばおろか・なり「言ふもおろかなり」に同じ。 頼めないでいたが。 契りたりけるに」〈伊勢・ = 四〉訳たいへん心をこめて言い寄例「行くへも知らすちりちり別れ給ふ、あるは御髪 C ぐ ) おろしなど、すべてーー・にいみじ」〈蜻蛉・中・安和一一年〉 った人 (= 男 ) に、「今夜会いましょ , ? と約束したところ。 いひーわた・る【言ひ渡る】イイ〔自ラ四〕 ~ ら 八五 ① ②
事事に千載 : ・ : 三 = 一一ことごと ( 事事 ) この雪の万葉 : : ・公一一一やまたちばな坂越えて万葉 : ・ ・ : 五 0 一たのも 索こと放さけば万葉 ・ : 一一三一こと副このタベ万葉 : ・ ・ : = 一岩さかしら ・ : 五 = 五ちり ( 散 ) 賢しらに枕草子・ : ・三 = 三ことしげし日この世にし万葉 : ・ ・ : 三 = 一四こむよ咲き初そめし古今・ ・ : 岩一そむ ( 初 ) 絢言繁凝き万葉 : 有今年行く万葉 : : 一九〈かた ( 肩 ) ②この世には万葉 : : 人岩よ ( 世 ) ①先立たぬ古今・ : ・ : 公一六やちたび ・ : 三一一三ことだまこの夜らは万葉 : ・ : 五三 0 月立 ( っ①埼玉の万葉 : ・ : 四六〈そね 歌言霊の万葉 : ・ : ・九 0 四をやまだこの岡に万葉 : : 一 00 うかねらふ咲きぬやと千載・ : ・ : 四一一四しをる ( 枝折 ) ② 和言出しは万葉 : 言問はぬ木すら妹いと兄せ万葉・ : : ・四四五すら①恋こひしけば万葉・ ・ : 三〈六しけ①防人飃に万葉 : ・ : 一一七五さわぎ 言問はぬ木にはありとも万葉・ : 一一三四こととふ①恋ひ死しなむ万葉・ ・ : 一一三 0 こひしぬ防人に万葉 : ・・一一一五一さきもり 琴取れば万葉・ : ・ : = 九 0 けだしく②恋すてふ ( 壬生忠見 ) 百人一首 咲く花の万葉・ : ・ : 〈一五ももしきの ことならば古今 : ・ ・ : 三 = 四ことならば ・ : 四九四たっ ( 立 ) 日回②咲く花も万葉 : ・ : 一究おくて 言」に出、でて言はぬばかりぞ古今 恋するに万葉 : ・ : 四会たづ ・ : 三九七しにかへる①桜田へ万葉・ : : ・七七一一みなせがは日恋すれば古今・ : : 人一四ものゆゑ①桜散る古今 : ・ ・ : 一一三七きえがて 言に出でて言はばゅゅしみ万葉 恋せじと古今 : ・ ・ : 契七みたらしがは桜花咲きにけらしな古今・ : ・ : = 一六かひ ( 峡 ) ・ : 一一三 0 こと ( 言 ) ①恋こひ侘わびて源氏 : ・ : 五六九とて ・ : 一一一三 0 こひわぶ桜花散らば散らなむ古今 : ・ 言にいへば万葉 : : ・五 0 九たやすし①恋ふといふは万葉 : : 一一一三えも①桜花散り交かひ曇れ古今 : ・五一言ちりかひくもる 事も無く万葉 : ・ : 一三六おいなみこほろぎの万葉 : ・ : 〈六 0 よろこぶ酒の名を万葉 : ・ ・ : 一会おほす ( 負 ) 来ぬ人を待っとはなくて新古今 駒とめて袖っち払ふ新古今 笹いが葉の万葉・ ・ : 茜四ます ( 勝 ) ・ : 七哭まつよひ : 一九一かげ日 ( 陰 ) ②ささ波の大山守諸は万葉・ ・ : 四 0 五しめ客① 来ぬ人をまつほの浦の ( 藤原定家 ) 百人一首 駒止めてなほ水飼はむ新古今 : ・七七 0 みづかふささなみの国っ御神の万葉 : ・三 0 かなし : ・合一一もしほ駒並なめて古今・ ・ : 三 = 三こま ( 駒 ) ②ささなみの志賀津の海人は万葉 来ぬまでも新古今・ : ・ : 七四九までも②子持山ち万葉 : ・ : 一一実かづき ( 潜 ) ・ : = 四あど この秋は ( 芭蕉 ) : ・ : 三五六さして①ささなみの志賀の大曲黯万葉 : : : 一六一おほわだ ・ : 契七とし客 3 隠いり江に伊勢・ この川に古今 : ・ : 公一九ゆきげ ( 雪消 ) 隠処の万葉 : ・ : 五七三とほす①ささなみの志賀の唐崎万葉 此この木戸や ( 其角 ) ・ : 七一一一冬 (i) の月 0 隠いり沼ぬの万葉 : ・ : 三三五こもりぬの : 一発おほみやびと この頃の万葉・ : ・••IIIOII こがす ・ : 公一七やど①声はせで源氏 : ・ ・ : 三五三さざなみ ①小波の波越す畔に万葉 このころは万葉 : ・ : 九 0 一をち②今宵 : よ来」む古今・ ・ : 合一一もこそ②ささなみの比良山風の万葉 この里に古今・ : ・ : 七三六まがひ児こらが家道万葉・ ・ : 七五 0 まどほし : 一三 0 かへる ( 返 ) 目② この時雨万葉 : ・ ・ : 五 0 九ため②児らが名に万葉・ : ・ : 一一一吾一さざなみや ・ : 一九 0 かけ ( 掛 ) ①小波や新古今・ : このたびは ( 菅原道真 ) 百人一首 懲こりずまに古今・ ・ : 三三六こりずまに笹の葉は万葉・ : 三六九さや副 ・ : 〈たむけやまこれがまあ ( 一茶 ) : : : 五四 0 終 0 の住 ( す ) み処 ( か ) 細辞れ波浮きて流るる万葉 : ・三五四さざれなみ ・ : 五皂たまばここれはこれは ( 貞室 ) この程は新古今・ : : ・会三吉野山 ( の ) さざれ波寄する文をば土佐 : : : : ・三六あや 木の間より移ろふ月の万葉 此や此この ( 蝉丸 ) 百人一首 ・ : = = = かみさぶ 挿しながら源氏・ : ・ : 四九三たちもとほる ・ : 三五六さしぬき : ・三一宅此 (Z) や此 ( こ ) の指貫誂を ( 蕪村 ) : ・ : 三五九さすたけの 木の間より漏もり来くる月の古今 : : : 〈一七もりく 刺さす竹の万葉 : ・ 【さ】 この道や ( 芭蕉 ) ・ さすらふる新古今 : : 三一一海人 @ の苫屋範ま ) 木の下の金槐 : ・ : 会一よごろ苞莢鷺に万葉 : ・ : 一おほとる五月来こば古今 : ・ この山の万葉・ : ・ : 六会はつはっさえわたる源氏 : ・ ・••lll?() さやけし②五月待っ花橘蜑の古今 : ・六五七はなたちばな ・ : 〈一九や問投日①⑨ : ・六六一一ばや剏
起きたる声に鳴きたるこそ、昼の目にたがひてをかしけれ」こーてふ【来てふ】【連語〕 ( 「こ」はカ変動詞「来 ( く ) 」て、解由 ) など取りて」〈土佐・十二月二十一日〉訳お み〈枕草子・夜烏どものゐて〉訳 ( 夜ガラス達が木にとまり ) の命令形、「てふ」は「と言ふ」の変化した形 ) 来いと言う。きまりの ( 国司としての ) 事務引き継ぎをすべてし終わって、 落ちそうになってあわてて、枝から枝へ飛び移って、寝ばけた例「月夜良し夜良しと人に告げやらばこてふに似たり待解由状じなどを受け取って。「解由状」トハ、事務引 声で鳴いているのこそ、昼間見た感じと違っておもしろい たずしもあらす」〈古今・恋四・六九 = 〉訳月が美しい、良い夜キ継ギガ完了シタコトヲ、後任者ガ証明スル文書。 3 行事。祭礼や儀式。例「ー・果つる日、夜ふけぬほどに こーっづみ【小鼓】〔名〕小さいつづみ。右肩に乗せ、左手だとあの人に言ってやったら、 ( なんだかこちらに ) いらっしゃい ものして」〈蜻蛉・中・天禄元年〉訳 ( 大嘗会れの ) 行事 で音色を変える「調べ緒 ( を ) 」を調節しながら、右手で打と言っているのに似ている。 ( 私は本当は ) 待っていないとい が終わる日、夜が更けない頃に ( 兼家が ) 訪れてきて。 つ。能楽・長唄などに用いる。例「殿上に名を得たるうわけでもない。 ーーの上手にて候ふなれ」〈義経記・六・七〉訳宮中で名声 【言】〔名〕 ( 「事」と同源という ) ①口に出していう①事情。事のなりゆき。いきさつ。一部始終。 こと ① ( 形式名詞的用法。活用語の連体形をうけて ) 動作・ を得た小鼓の達人だということで一 J ざいます。 こと。例「ーーに出でて言ははゆゅしみ朝顔のほには 考現在普通に「つづみ」と呼ばれているもの。「大鼓 ( 咲き出ぬ恋もするかも」〈万葉・一 0 ・ = = 七五〉訳口に出して作用・存在・状態などを表す名詞句を作る。 : ・すること。 言ったらいけないものだから、朝顔のように人目につくように例「この川の絶ゆるーーなく」〈万葉・一・三六長歌〉訳 ( 吉 み ) 」は「大皮 ( ) 」とも呼はれる。 こっーにく【骨肉】〔名〕親子・兄弟など血族関係にある ( 咲き出たり ) しないで、心の中であなたを恋い偲んでいるの野宮は ) この ( 吉野の ) 川のようにいつまでも絶えることなく。 ですよ。 ( 文末に用いて ) 断定を強め、また、感動の意を添える。 者。肉親。 ・ : ことよ。・ : ことだなあ。例「異様 ( ) なる・ー・。まことに こっーばふ【骨法】 % 〔名〕①礼儀やしきたりについての要②ことば。言語。例「楫 ( 取りはうったへにわれ歌のやう 領。礼儀作法。例「礼儀ーーわきまへたる者一人 ( ) もなるーー言ふとにもあらす」〈土佐・一一月五日〉訳船頭はこさる事やは侍る」〈枕草子・五月の御精進のほど〉訳ふし なし」〈平家・一・殿下乗合〉訳礼儀作法を心得た者は一とさらに自分で歌のようなことばを言おうと思っているわけできなことだなあ。ほんとうにそんな事があるでしようか。 もない。 人もいない。 ②芸能などで、それを極める奥義。神髄。 3 うわさ。評判。例「波のむたなびく玉藻 ( いま ) の片思 ( も ) 要点「一一一」と「事」とは、語源的には同一の語といわ こ・て【小手・籠手】〔名〕①ひじと手首の間の部分。例ひに我 ( あ ) が思ふ人のー・の繁けく」〈万葉・一 = ・三皂◇訳れ、言葉として口に出すことによって、事を認識した 「高手ーーに禁 ( いま ) めて六波羅へぞ渡しける」〈太平記・波とともに ( 片方に ) なびく玉藻のような片思いに私が恋し古代人の考え方がうかがわれる。上代・平安時代の 「こと」の用例には、「言」「事」の意味が十分に分化し 六・六〉訳 ( 降参した兵達を後ろ手に ) 腕の上下を厳重に縛く思っている人のうわさがたくさん立っことだ。 り上げて ( 平清盛のいる ) 六波羅へ渡した。 和歌。また、詩文の章句。例「『 : : : 花をし見れば物ておらす、どちらの意にも解せるようなものが見られる。 鎧 2 ろの付属品の一つ。腕をおおう袋状の防具。布地に思 ( いの ) ひもなし」といふーーを、「君をし見れば』と書きなした 革・鉄片をつけて鎖でつなミ腕を保護する。 る」〈枕草子・清涼殿の〉訳「・ : ・ : 花を見ると、何の物思事ともせ・す何とも思わない。問題にしない。「物ともせ こーでい【健児】〔名〕 ( 「こんでい」の変化した形 ) 役所で下いもない」という ( 「古今集の ) 和歌 ( の一句 ) を、「君を見す」とも。例「家の人どもに物をだに言はむとて、言ひか かれどもーー・す」〈竹取・貴公子たちの求婚〉訳 ( 竹取 働きする者。下僕。例「木曽、牛飼ひとはえ言はで、『やると」と書き換えてあるのを。 の翁鰭の ) 家の召使い達にせめて一言だけでも言おうとし れ子牛ーー、やれ子牛ーー」といひければ、車をやれといふと 【事】〔名〕 ( 「言と同源という ) ① ( 世間や人の こと 身の上に起こる、種々の ) ことがら。できごと。例て、話しかけるけれども ( 相手は ) 問題にもしない。 心得て、五、六町こそあがかせたれ」〈平家・〈・猫間〉訳 事にもあら・ず何程のことでもない。たいしたことでな 木曽義仲は、牛飼いとは言えなくて、「やれ子牛こでい、や「近き年一 J ろ、ーーにふれて聞き見るに」〈源氏・タ霧〉訳 、。例「わがためにはーー・ねど、あのつらき人のあながちに れ子牛こでい」と言ったので、牛飼いは牛車をやれ (= 走一フ近年、種々の事柄につけて聞いたり見たりしていると。 セロ ) と言ったのだと合点して、五、六町ほど走らせた。②重大な事態。一大事。事故。事件。例「わが背子世をつつむも、さすがにいとほしければ」〈源氏・空蠅〉訳 自分にとってはどれほどのことでもないけれど、あの自分に 田舎者デ無作法ナ木曽義仲ハ、牛車ノ乗リ方ヲ知ラナカ ( 3 ) は物な思ほし・ーーしあらば火にも水にもわれ無けなくに」 〈万葉・四・五 0 六〉訳いとしいあなたは心配なさらないでくださ対して冷淡な人↑空蝉 ) が ( 自分との浮名が立って ) い。何か一大事がありましたら、火の中だろうと水の中だろむやみに世をはばかるのも、やはり気の毒なので。 五条 」で ) 〔地名〕京都市内を東西に走る通りの一つ。 何かの事が終わる。物事の決着が 事終 ( を ) は・る① また、その通りに沿う一帯。平安京の大路の一つで、北かうと、私がいるのですから。 つく。例「そのたびの議定 ( 嬲 )- ー・らで退散しぬ」〈仮 ら五番めの通り。現在の五条通りは、後世五条大橋を移 3 人の行い。しわざ。 こ 築してからの称で、平安京の六条坊門大路にあたる。 0 仕事。任務。また、政務。例「例のーーども皆し終へ名・伊曽保・下・一七〉訳その時の評定 3 は決着がっか こ ② 0 ①
こ こ ないまま散会してしまった。 ものだ。船が河口を通って岸に着くように、一一人が結ばれよ人の話は慎むべきでしようよ。 と②息をひきとる。死ぬ。例「念仏四、五返 ( 9 唱へ、つうとする時に遠ざけるようなことがあってよいものだろうか。 日【事忌み】不吉な行いを忌み慎むこと。例「ーーもえし ひに ・つて候ふ」〈謡曲・隅田川〉訳南無阿弥陀仏要点「こと ( 異 ) 」とは別語。「如 ( じし」はこの「こと」に形給はぬ気色なり」〈源氏・初音〉訳 ( 光源氏は、悲しみの と四、五回唱えて、ついに息が絶えてしまいました。 容詞を作る接尾語「し」の付いたものが濁音化したもの。 あまり元日に泣くという ) 不吉な行いを忌み慎むことがおで こと【琴】〔名〕①琴箏謇琵琶 2 ・和琴・大和琴と・ごと【如】【助動詞「一」とし」の語幹〕【比況】①「ことし」のきにならない様子である。 新羅琴凸ぎなどの弦楽器の総称。例「楽所翁く ) 遠くてお連用形「一」とく」に相当し、連用修飾語を作る。 : ・のようこと・うけ【言承け】〔名〕言葉だけの承諾。口先の返事。 ばっかなければ、御前に御ーーども召す」〈源氏・少女〉訳に。例「霞 ( ) 立っ春の初めを今日のごと見むと思へば例「都の人はー・のみよくて、実 ()t こ ) なし」〈徒然草・一四一〉 奏楽所が遠くて調べがはっきりと聞こえないので、 ( 冷泉楽しとぞ思 ( も ) ふ」〈万葉・一一 0 ・四三 00 〉訳霞の立っ春の初訳都の人は口先の返事はかりよくて、誠実味がない。 帝は ) 御前にぜに弦楽器をお取り寄せになる。 くれ・けよ ・〉物事が め ( の景色 ) を今日のように ( 毎年 ) 見るだろうと思うと、楽ことーか・く【事欠く】〔自力下二〕 ~ ー 十三弦の「箏」。現代の「こと」。 しいと思う。例「飛ぶがごと走りて、まうで来たる童 ( 艸。 ) 不足する。ないために不自由する。例「なきにーー・けぬゃう 〔形動ナリ〕【異】普通と違っているようす。別でかな」〈宇治拾遺・ = ・五〉訳飛ぶように走って、参上して来をはからひて過ぐる、最上のやうにてあるなり」〈徒然草・ こと ある。例「衣 (å) 着せつる人は、心ーー ・になるなりた子であることよ。 れ◇訳何がなくても不自由しないように心がけて過ごすの といふ」〈竹取・かぐや姫の昇天〉訳天の羽衣を着せられた ②「一 J とし」の終止形「【」とし」に相当し、述語を作る。・ : のが、 ( 出家した人の ) 最上のやり方であるのだ。 人は、心が別のもの (= 天人ノ心 ) になるそうだといいます。 ようだ。例「逢 ( あ ) ふことは玉の緒 ( を ) ばかり名の立つは吉ことーかた【異方・他方】〔名〕別の方面。ほかの方。例 日【殊】特別である。格別すぐれている。例「心ーー・ なる野の川のたぎつ瀬のごと」〈古今・恋三・六七三〉訳逢うこと「内侍 (±い ) の車などのいと騒がしければ、ーーの道より帰れ 物の音 ( ね ) をかき鳴らし、はかなく聞こえ出 ( い ) づる言 ( しのはほんの少しばかりの間、 ( それなのに ) その評判が立つのはは」〈枕草子・祭のかへさ〉訳内侍の牛車などが大変 葉も人よりは・ー・ ・なりしけはひかたちの」〈源氏・桐壺〉訳吉野の川の激しい流れの音のようだ。 騒々しいものだから、いつもと違う方の道を通って帰ると。 格別にすはらしい音色で琴を奏し、ちょっと口にしてお耳に考上代では「【」とく」「【」とし」の形と並行して用いられたことーがら【言柄】〔名〕言葉のおもむき。言葉っき。言いま 入れる言葉も他の方々よりは格別すぐれていた ( 亡き桐壺が、平安時代では「ごとく」「ごとし」は漢文訓読系の文章わし。例「今の世の人の詠みぬべき、ーとは見えす」〈徒然 更衣の ) ようすや顔が。 で用いられ、和文では「ごと」が主に用いられた。 草・一四〉訳 ( 下手だと言われる紀貫之の和歌も ) 当世の歌 ごと【毎】〔接尾〕 ( 名詞・動詞に付いて ) その一つ一つすべ人のうたいこなせる一一 = ロ葉の趣とは思えない。 要点はいい方に普通と違っているということで、 て。いずれも。そうするたび、などの意を添える。例「もののことーがら【事柄】〔名〕①そのことの有様。ことのあらわれ。 結局は日に含まれるものであり、実際の用例では、日あはれは秋こそまされと、人ーーに言ふめれど」〈徒然草・例「去んぬる四月十七日、十万余騎にて都を立ちしーー 、言 I の判別のむすかしいものもある。 一九〉訳情趣の深さは秋がいちばんだと、だれもかれもが言うは、なに面 ( 3 も ) を向かふべしとも見えざりしに」〈平家・七・ 2 連用形「ことに」は副詞「ことに」とまぎらわしい っだが。 実盛〉訳去る四月十七日、 ( 平家の軍勢 ) 十万騎ほどで 「・ : のようすに」「・ : のさまで」の意味があったり、述語ことーあげ【言挙げ】〔名〕自分の思うことを言葉に出して都を出陣したその威勢では、誰も正面きって立ち向かうこ として用いられるのが形容動詞で、次のように単に下はっきり一言うこと。例「葦原 ( ) の瑞穂 ( ) の国は神とができるとは見えなかったが。 の用言を修飾するのは副詞である。例「山里は秋こ ( じながらーーせぬ国しかれともー・ぞ我がする」〈万葉・一三・ ② ( 「骨柄 ( 嬲 ) 」の変化した形 ) 体格。転じて、人柄。 そことにわびしけれ鹿瓮 ) の鳴く音 ( ね ) に目をさましつ 一三吾一長歌〉訳葦原の瑞穂の国↑日本 ) は神のみ心のまま人品豊。例「髪のかかり、姿、ーー、誠にあてに美しく、こ つ」〈古今・秋上・ = 一四〉訳山里は他の季節より秋が に、 ( 人は ) 言葉に出して主張をしない国である。しかし、の世の人とも見え給はす」〈平家・一 = ・六代〉訳髪の垂れ 格別に心細い。鹿が鳴く声に、 ( 夜何度も ) 目をさま ( その禁じられた ) 言いたてを私がすることよ。 かかり具合、容姿、人品、実に気品があって端麗で、この して。 要点上代においては、「ことあけ」はタブーとされ、あえてそ世の人ともお見えなさいません。平維盛ノ嫡男六代 れを犯すのは、重大な時に限られた。 ノコト。平家嫡流中ノ嫡流テアル。 こと〔副〕 ( 「ーー ・ : ば」の形で仮定表現の中に用いて ) 同じことーいみ〔名〕【言忌み】不吉な言葉を忌み慎むこと。ことーき【異木】〔名〕ほかの木。例「 , ーどもと等しう言ふ : ( するなら ) 。っせ・ : ( なら ) 。例「ーー放 ( さ ) けば沖ゅ放例「尽きせぬ御物語なども、今日は。ーすべくや」〈源氏・べきにもあらす」〈枕草子・木の花は〉 ( 桐 : の木は特別 けなむ港より辺 ( 〈 ) 付かふ時に放くべきものか」〈万葉・セ・早蕨〉訳 ( 故大君黜いの思い出など ) 口にすれば尽きることで ) ほかの木な J 同列に論じてよいものではない。 一四 0 = 〉訳同じ遠ざけるなら沖にいるうちから遠ざけてほしい のないあれこれの思い出話も、 ( 前途を祝する ) 今日は亡きごとき【如き】【助動詞「ごとし」の連体形〕ごとし ②
七八六 てもかくても、今はいふかひなき宿世谷く ) なりければ、 むしんーれんが【無心連歌】〔名〕滑稽をねらいとしたしに言う意 ( 仮想・婉曲き ) を表す。 : ・としたら ( その ) 。 ・ : のような。例「さる所へまからむずるも、いみじくも侍ら に心づきなくて止 ( や ) みなむ」〈源氏・帚木〉訳 ( 光源氏連歌。↑うしんれんが ) ( 草や苔が ) はえず」〈竹取・かぐや姫の昇天〉訳そのような所 (= 月世界 ) へ やに ) どう思われようとも、 ( 人妻である ) 今はどうしようもないむ・す【生す・産す】〔自サ四〕 ~ 畔 我が身の運命なのだから、無神経で気にくわない ( 女だと思る。生じる。生まれる。例「岩に苔・ー・してさびたる所なり行くようなことも、 ( 私、かぐや姫には ) うれしいことではこざ ければ、住ままほしうぞ思 ($) し召す」〈平家・灌頂・大原いません。 しわれた ) ままで押し通そう。注空蝉ノ決心。 ん②風流心のないこと。情趣をわきまえず無風流であること。入〉訳 ( 寂光院は ) 岩に苔がはえて古びた趣がある所 し 要点平安時代に、推量の助動詞「む」に格助詞 例「人の遊びせむ所には、草刈笛吹くばかりの心どもにて、だったので、 ( 建礼門院はここに ) 住みたいとお思いになる。 「と」とサ変動詞「す」の付いた「むとす」から変化して成 ・〉①のどに異 むいと , ー・にて侍り」〈宇津保・国譲・上〉訳人々が音楽をむ・す【噎す・咽す】〔自サ下一一〕・する 楽しんでいるような場では、 ( 私の子供などは ) せいぜい草刈物がつまって咳せきこむ。むせる。例「管中に平蛛 ( ) 立した語。「む」よりも語調が強い。平安時代ではもっ ばら会話文に用いられ、俗語的な言葉とされていたよ 笛を吹く程度のたしなみでして、大層無風流でこざいます。のありけるが、喉 @ に飲み入れられにけり。ーー・せてはっき うで、『枕草子」の批判は有名である。 日〔名〕「無心連歌」の略。例「有心 ( 鮠 )- ーとて、うるはまどひける程に」〈古今著聞集・管絃歌舞〉訳笛の中に 例「何事を言ひても、『その事させむとす』『言はむ しき連歌と狂句とをませませにせられしことも常に侍り」〈筑平蜘蛛がいたが、喉に飲みこまれてしまった。むせて吐きもど とす」「何とせむとす』といふ「と』文字を失ひて、ただ 波問答〉訳 ( 後鳥羽院の頃から ) 有心無心といって、整して苦しんでいるので。 った連歌とふさけた連歌とをませこせになさったこともしよっ②悲しみなどで胸がつまったようになる。むせぶ。例「吾妹『言はむする』『里へ出 ( い ) でむする』など言へば、や がていと悪翁 ) し」〈枕草子・ふと心劣りとかするもの ちゅうこざいます。 子 ( ) が植ゑし梅の木見ることに心ー : せつつ涙し流る」 〈万葉・一一一・四五三〉訳 ( 亡くなってしまった ) 私の妻が植えた梅は〉訳何を言うにしても、「その事させむとす」 (= ソレハ 目〔名・他サ変〕人に金銭や品物をねだること。もの一」い 例「猿引 ( ) きに初めて会うて「ーを言ふはいかがなれどの木を見るたびに、胸がつまって涙が流れる。匯大伴旅人ソウシマショウ ) 「言はむとす」 (= 言イマショウ ) 「何とせ も、ちと頼みたいことがあるが、聞いてくれうか」〈狂言・靫ガ亡キ妻ヲ偲ルンデ作ッタ歌。「涙し」ノ「し」ハ強調ノ助むとす」 (= 何々シマショウ ) と言う「と」という言葉を省 略して、ただ「言はむする」「里へ出 ( い ) でむずる」な坦」 猿〉訳猿まわしに初めて会って、物をねだるのはとうかと思詞。 言うのは、それだけでもう大変みつともなく聞こえる。 うけれども、ちょっと頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるむず〔助動サ変型〕矚続活用語の未然形に付く。 しかし、平安時代末期頃からだんだん多く使われる だろうか。 未然形連用形終止形連体形已然形命令形 ようになり、中世になると文章語としても一般に用い むしんーしょちゃく【無心所着】ジ〔名〕 ( 歌論用語 ) 〇〇むずむずるむずれ〇 られるようになった。 和歌で、一句一句がでたらめに連なり、一首の意味が通じ ないこと。また、そういう和歌。例「おほっかなく心籠 (%) り【推量】①まだそうなっていないことについての推量・予想の参考平安時代の終わり頃には【 nzu 〕と発音される て詠まむとするほどに、果てには自 ( ) らもえ心得す、違意を表す。・ : だろう。例「この月の十五日に、かのもとのようになって、「んす」と表記されることが多くなる。さら に中世以降には一 uzu 〕と発音されて「うず」と表記さ はぬー・になりぬ」〈無名抄〉訳 ( 歌おうとする内容が ) 国より、迎へに人々まうで来 ( こ ) むず」〈竹取・かぐや姫の もやもやとしたまま心をこめて歌を作ろうとするうちに、しまい昇天〉訳今月 (= 八月 ) の十五日に、あのもとの国 (= 月世れるようになる。 には自分でもわからなくなり、正真正銘の無心所着歌にな界 ) から、 ( 私を ) 迎えに人々がやって来ることでしよう。 ってしまう。 ②意志・意向・決意を表す。 : ・ ( し ) よう。 : ・ ( する ) つもりむずーと〔副〕動作が勢いよく力強く行われるさま。むんず だ。例「船つかまつらすは、いちいちに射殺さむずるそ」と。ぐいっと。例「御田翁ん ) の八郎に押し並べ、ーー取っ 〈平家・一一・逆櫓〉訳船を出さないなら、一人一人弓で射て引き落とし」〈平家・九・木曽最期〉訳 ( 巴御前械は自 参考『万葉集』巻十六に、「無心所着歌一一首」があ 分の馬を ) 御田八郎 ( の馬 ) に押し並べて、八郎をむんすと 殺すつもりだぞ。 る。戯れに故意に作ったもので、「我妹子 ( ) が額 ( 2 っ そうするのが当然だ、適当だという判断を表す。・ : すべきっかまえて ( 馬から ) 引き落として。 ひ ) に生ふる双六 ( ) の牡 ( ) の牛の鞍 ( しの上の瘡 ま だ。 : ・ ( するのが ) いい。 」〈万葉・一六・三へ三◇がその例。いとしい妻の額に 例「この御格子 ( 3 う ) は、参 9 らむすびーまっ【結び松】〔名〕神仏に願い事をしたり、誓い び 生えた双六盤の、雄牛の鞍の上の腫はれものよ、と訳でやあらむする」〈落窪・一〉訳この格子は、お上げしないをたてたりするしるしに、松の小枝を結び合わせること。ま す でよいだろうか。 してみても、うまく意味が通らない。 た、その松。例「磐代 ( ) の野中に立てるーー心も解けす む いにしへ思ほゅ」〈万葉・ = ・一四四〉訳磐代 (= 和歌山県日 ④ ( 主に連体形の用法で ) 仮に想定する意や柔らかく遠回 ①
芸の一つ。約百メートル四方を竹垣で囲い、そこに放った波が自分だけ砕け散るように、あの人は岩のようにつれなく ( 欲じを押し分けて、 : : : 高千穂の久士布流多気 ( と ぎ犬を、馬上から殺傷しない「蟇目 ( ) の矢」で射る。三十平然としていて、私だけが心も砕けるはかり思い悩んでいるに天降@り坐 ( ま ) さしめき」〈古事記・上・邇邇芸命〉訳 せ六騎の武士が三手に分かれ、百五十匹の犬を射る。例この頃であることよ。匯『百人一首』所収、源重之ノ ( 邇邇芸命は ) 高天原の岩の神座を離れ、天空 に幾重にもたなびく雲を押し分け、・ : ・ : 高千穂の霊峰に 「ひと日 ( ひ ) 、郊外に逍遥 ( ) してーーの跡を一見し」〈奥作。 の細道・黒羽〉訳ある日、 ( 黒羽の ) 郊外に遊びに出かけ、いは【家】四〔名〕 ( 上代東国方言 ) 「いへ」に同じ。例「草天降りなさった。 枕旅行く夫 ( せ ) なが丸寝せばーーなる我は紐 0 解かず寝いはけ・な・し【稚けなし】〔形ク〕いかにも幼い。あど 犬追物の行われた跡を一目見て。 いぬ・ふせぎ【犬防ぎ】〔名〕仏堂内で、本尊を安置してむ」〈万葉・ = 0 ・四四一六〉訳旅行くあなたが着物を着たままでけない。例「・ー・・くかいやりたる額つき髪 ( 2 ) ざし、いみじう うつくし」〈源氏・若紫〉訳あどけなくかきあげた額の様子 ある内陣と、参詣できる外陣とを仕切る柵例寝るのなら、家にいる私は ( 着物の ) 紐を解かないで寝ましょ や髪の生え具合が、とてもかわいらしい 1 一口 「ーーのうち見入れたる心地ぞ、いみじう尊氤ふ ) く、 う。夫ノ苦労ヲ共ニショウトイウ気持チ。 ( ま ) づ心もおこる」〈枕草子・正月に寺にこもりたるは〉訳いはーき【岩木・石木】イワ〔名〕石と木。岩石と樹木。思考「いはけなし」か「いわけなし」か歴史的仮名遣いは明 犬防ぎの柵の内側 (= 本尊ガアル ) をのぞき込んだ気持ちこ考や感情を持たないものの比喩 2 としていう。例「あはれならかでない。 、はしみづはイワシ ) ミズ : 〔神社名〕応神天皇・神功 る御心さまを、ーーならねば思 (#) し知らる」〈源氏・東屋〉石清水八幡宮まんぐう そ、大変に尊く、・ : ・ : 信仰心も起こる ( というものだ ) 。 いぬる【往ぬる】〔連体〕 ( 動詞「往ぬ」の連体形から ) 過ぎ訳思うところ深い ( 薫の ) お気持ちを、 ( 中の君も ) 岩や皇后・比売大神 黜の三神を祭る神 去った。この前の。例卩ー年の十五夜に」〈宇津保・蔵木ではないからお気づきになる。 参考『白氏文集』の新楽府「李夫人」に「人は木石に社。京都府八幡 2 開・中〉訳先年の十五夜に。 いぬーゐ【乾・戌亥】れ〔名〕方角の名。北西。例「戌竈 ) あらず、皆情有り」とあるところなどから、「木石」が心情の市にある。八五九年 ( 貞観元 ) に僧行教 の時ばかり、都の辰巳 ( ) より火出 ( い ) で来てーーに至る」ないもののたとえとして広まったのであろう。 〈方丈記・安元の大火〉訳夜八時頃、平安京の東南か磐城 ( ) 芻【旧国名〕東山道十三か国の一つ。現在のにより九州の宇佐八 福島県東部と宮城県南部にあたる地域。一八六八年幡宮を勧請じした ら火事が起こり北西へ焼けていった。 いのち【命】〔名〕①生きる力。生命。例「忘らるる身をば ( 明治元 ) に陸奥国を五つに細分した時に設けられたももの。朝廷・貴族の 0 参詣が多かったが、 思はすちかひてし人のーーの惜しくもあるかな」〈大和人四〉の。磐州既し 訳あなたに忘れられる私のことはなんとも思いません。でも、いはーく【言はく・曰く】イワ ( 動詞「言ふ」の未然形「言後には武家からも崇 神仏の前で変わらぬ愛を誓ってしまったあなたの命が、誓いは」 + 準体助詞「く」 ) 目〔連語〕言うこと。言うことには。敬される。陰暦三月の中の午の日が臨時祭として有名。 を破った罰で失われることを思うと、惜しくも思われます。例「かぐや姫のーー、『なんでふさることかし侍らむ』と言へ賀茂神社の「北祭」に対して、「南祭」といわれる。 ば」〈竹取・貴公子たちの求婚〉訳かぐや姫が言うことに岩代 ( 壗 ) ( 旧国名〕東山道十三か国の一つ。現在の 注『百人一首』所収、右近。ノ作。 生涯。一生。例「長からぬーーのほどに忘るるはいかには、「どうしてそんなこと (= 結婚 ) をしましようか」と言うの福島県西部。一八六八年 ( 明治元 ) に陸奥国を五つ に細分した時に設けられたもの。 短き心なるらむ」〈伊勢・一一三〉訳長くはない人の一生の間で。 に、 ( 恋しかった人を ) 忘れるとは、なんと短い心なのだろう。 日〔名〕 ( 近世語 ) 事情。わけ。例「ーーを御存じない故いはーと【岩戸】〔名〕岩を利用して造った住居の入り口 ( じ、御不審 ( ) の立つはず」〈近松・心中天の網島・の戸。岩屋の戸。また、古墳で棺を納めた石室の入り もっとのどかに私の愛情を受け入れてほしかったのに。 いの・る【祈る】〔他ラ四〕勗・ ) 神仏に祈願する。祈上〉訳事情をご存じないのだから、ご不審に思われるはす。ロの戸。例「豊国の鏡の山のーー立て隠 (%) りにけらし待 禳する。例「雨、風止 ( や ) ます。日一日 ( と ) 、夜もす要日は、漢文で「曰」などの訓読に用いたことから、言てど来まさず」〈万葉・三・四一◇訳豊国の鏡山 (= 福岡県 がら、神仏 ( ほ ) ー・る」〈土佐・二月二日〉訳雨、った内容の引用に用いるようになる。和文で「言ふやう田川郡香春町鏡山ニアル山 ) の岩戸を閉めきって隠れ 「 : : : 』と言ふ」の形式を用いるのに対して、漢文訓読体でてしまったらしい、 ( あの方は ) 待ってもおいでにならない。 風がやまない。一日中、 ( そして ) 夜通し、神仏を祈る。 いはーはし【石橋】イワ〔名〕川を渡るために、浅瀬に石を並 : ・』と言ふ」の形式を基本とする。 しいは【岩・巌・磐・石】四〔名〕大きな石。巨石。岩石。自は「いはく『・ : 然石をいうだけでなく、碇かや錘に用いたものをもしうしー 、。、よーくら【磐座】〔名〕 ( 古代では巨石を並べて神の宿べて置いたもの。飛び石。例「直 ({) に来すこゅ巨勢道 (} ぢ ) からーー踏みなづみぞ我が来し恋ひてすべなみ」〈万葉・ 例「風をいたみーー打っ波のおのれのみ砕けてものを思ふころるところとしたので ) 神の在所を讚えていう語。神のいらっ かな」〈詞花・恋上〉訳風が激しいので、岩に打ち当たるしやるところ。例「天 ) のーーを離れ、天の八重多那雲一三・三 = 五七〉訳 ( 人目を避けて ) ま「すぐには来ないで、ここか 七九 ② 」、第こ 石清水八幡宮