VoIP - みる会図書館


検索対象: UNIX MAGAZINE 2004年12月号
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1. UNIX MAGAZINE 2004年12月号

Vo の基礎知識 IP 網での FAX 通信の実現 IP 網上で FAX を実現する技術のうち、代表的なものと して下記の 3 つの方式があります。 ・音声バケットによる FAX 送信 UNIX MAGAZINE 2004. 12 ベル、プロトコルの 3 つが多いといわれています。 VoIP で FAX を扱うときのトラブルの原因は、遅延、レ 点をいくつか挙げておきましよう。 最後に、 VoIP 環境における FAX 通信についての注意 らざるをえず、トラブルが発生する可能性もあります。 するため、 FAX 機能の設定が最大公約数的なものにな この方式では、複数の FAX 端末でゲートウェイを共用 ウェイを接続し、 FAX は PBX の内線側に接続します。 PBX のトランク ( 中継線接続装置 ) 側に VoIP ゲート ・ PBX にゲートウェイを接続 端末ごとにゲートウェイを用意する必要があります。 較的トラブルが回避しやすいといえます。ただし、 FAX FAX 端末に合わせてゲートウェイで設疋できるため、比 (P)O 通信速度やデータ送信レベルなどを、接続される VoIP ゲートウェイを FAX 端末に接続します ( フル PBX を経由せず、アナログ信号を IP 化するための ・ VoIP ゲートウェイ接続 つの方式に大別できます。 ゲートウェイ接続 " と、、 PBX にゲートウェイを接続 " の 2 みていきましよう。これは、以下に説明するように、、 VoIP 次に、 VoIP 環境で FAX を利用する場合の接続形態を VoIP 竟での FAX の接続形態 リアルタイムに中継する方式です。 simile protocol) というプロトコルを使って IP 網上で FAX 端末から送出された信号を、 IFP (lnternet Fac- ・ T. 38 によるリアルタイム送信 して相手先にメッセージを送信する方式です。 トウェイやサーバー側にいったん蓄積し、その後に一括 FAX 端末が送信したメッセージのすべてを VoIP ゲー ・ T. 37 による Store and Forward 送信 手の VoIP ゲートウェイに伝える方式です。 ートウェイが音声とみなし、 RTP バケットに乗せて相 FAX 端末から送出される FAX トーン信号を VoIP ゲ 表 6 障害対策方式の比較 サーバー冗長化 ・バックアップ 旧 DN / アナログ 公衆回線網 図 12 公衆回糸掲の利用 公衆網バックアップ VoIP ゲートウェイによる 停電直通電話 SIP 電話機 公衆網バックアップ スイッチ 特集 ネットワーク障害 〇 〇 * * 〇 * 〇 〇 * サーバー障害 〇 〇 * 〇 〇 * 〇 * * * 拠点内通話 回線制御装置 * * 公衆回線臨舌 ② ②停電時には、直通電話により通話を確保 ① 旧網 旧テレホニ ①ネットワーク機器、サーバー、ケーカレなどに障害が発生 した場合は、公衆網にバックアップし、通話を確保 遅延とは、ネットワークの遅延そのものです。使用帯域 い、送信を開始するまでの時間を短縮する機能にトラブル うコーリングトーンが出てからネゴシェーションをおこな している場合に起きやすいようです。とくに、、、ピー " とい この問題は、メーカー独自の機能をもつ FAX 端末を利用 モデムがトーン信号を正常に認識できなくなったりします。 ( 音の大きさの調整 ) にひすみが生じ、 VoIP に内蔵される ワークを拡張していくうちに送受信の PAD レベルダイヤ とえば、 PBX にゲートウェイを接続する方式で、ネット レベルとは、ひらたくいえば音の大きさのことです。た のようです。 優先制御がルータに設疋されていなかったことなどカ源因 用する FAX 通信用パケットの TCP/UDP ポート番号の の多くは、 IP 網の多段接続による遅延や、 IFP 手順で利 アウトが発生し、接続できないケースです。これらの障害 の狭さや伝送時の遅延などにより FAX 手川頁の応答タイム が多いといわれています。 43

2. UNIX MAGAZINE 2004年12月号

図 6 VoIP 導入形態 拠点間の Vo 旧化 既存電話機の利用 Vo 旧ゲートウェイ利用 ・中継回線部分 (WAN) の みを旧化→キャリア部分の コスト低減 ・既存の PBX を流用→情報 システムとの連携など、拡 張の柔軟性に欠ける 電話機の旧化→情報端末としての電話機 電話機までフル旧 自社内に設置 ・自社内に旧テレホニー・サ ーバーを集中設置 ( セント レックス ) して旧イヒ→キャリ ア部分のコスト削減のみで なく、従来の PBX 保守 / 運 用、移設 / 増設工事費など の電話関連コストを削減 ・電話機までフル旧→情報 システムとの連携など、柔 軟な拡張が可能 キャリアのサービスを利用 ・キャリアの旧テレホニー・サ ービス ( サーバー ) を活用 →企業内旧セントレックス と同様にコストの削減が可 能 ・電話機までフル旧→情報 システムとの連携などの点 で拡張の柔軟性に欠ける ( アプリケーションはキャリ アに依存 ) → SOHO / 小規 模オフィス向け けにくくなります。ただし、端末は若干割高です。 VoIP の導入形態 ・キャリアサービス利用型 (PBX 機能にキャリアカ甘是供 内に設置 ) ・企業内 IP セントレックス型 (PBX を IP 化して自社 拠点間 VoIP 型 (VoIP ゲートウェイを利用 ) の設置方式を軸として以下の 3 つにまとめてみました。 上記の分類をもとに、企業での VoIP 導入形態を PBX これらを整理したのカ咽 6 です。 リアのサービスを利用するかに分類できます。 後者はさらに、 PBX 機能を自社内に設置するか、キャ ・ PBX の IP 化 ・既存の電話機と PBX の流用 ( 拠間の VoIP 化 ) ます。 voIP の一般的な導入形態は、下記の 2 つに大別でき 扎点間 VoIP 型 以下、それぞれについて説明します。 するサービスを利用 ) 36 線網を廃止し、 PBX から新たに設置される VoIP ゲート ある拠点で、それまで PBX どうしカ甘妾続されていた内 を選択することが多いようです。 なんらかの事情で PBX を撤去できない場合、この形態 ウェイを経由して IP 網へつなぎます。 VoIP ゲートウェ イは、既存の PBX やボタン電話装置の音声データを IP バケットに変換し、データ通信回線に転送します ( 図 7 ) 。 基本的に、既存の PBX やアナログ電話機による運用を 残したまま、拠間についてだけ VoIP 化します。電話の 運用については従来の方式を変更する必要がほとんどなく、 移行にともなう業務への影響を最小限にとどめることがで きます。逆に、附処点の PBX の運用・保守作業は残るた め、高価な PBX を使い続ける必要があります。帯域制御 (QoS) については、 IP 化する拠点間の通信網部分だけを 検討すればよく、ネットワークの設計にもあまり負荷はか かりません。 一方、 voIP の特徴の 1 つである情報システムとの連携 については、既存の PBX を使うためにどうしても柔軟性 に欠けてしまいます。 企業内 IP セントレックス型 各拠点の PBX を廃止し、センターのみに IP テレホニ ・サーバーを設置する形態で、、、セントレックス (cen- trex) 型 " ともいわれます ( セントレックスとは、 Central と Exchange を組み合わせた造語で、奐機の集中化・ 元化を意味します ) 。 IP 網の特徴を活かしたシンプルな構 成カ河能で、 IP 網経由で PBX の機能力リ用できます ( 図 8 ) 。 IP テレホニ ・サーバーは、専用機 ( ボックス型 ) と、 UNIX MAGAZINE 2004. 12

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プロトコルの概要から導入時の注意点まで 特集 Vo の基礎知識 28 ら開始されました。インターネットを介して PC どうしで 一方、 voIP での実用的な音声通話は 1990 年代半ばか Cohen らにより RFC にまとめられています [ 1 ] ) 。 1974 年に実験がおこなわれています ( その仕様は、 Danny は古く、インターネットの前身である ARPANET でも コンピュータ・ネットワークにおける音声通話の歴史 VoIP の歴史 ット電話 " と呼びます。 インターネットを利用した IP 電話のことを、、インターネ す。専用の IP 網を使ったサービスが、、狭義の IP 電話 " 、 いろと制約があるため、この 2 つを区別することがありま 者では基本的には自由な運用力河能ですが、後者ではいろ いません。しかし、ネットワークの性質は異なります。前 も、通信事業者の回線による閉じたネットワークでもかま 利用する IP 網は、社内ネットワーク ( イントラネット ) で つを区別する場合もあります ( 図 1 ) 。一般に、、 IP 電話 " が また、、、狭義の IP 電話 " と、、インターネット電話 " の 2 般を指します。 や製品を含む、 IP を利用して音声を伝送する技術や製品全 電話サービスのことです。つまり、 IP 電話などのサービス ターネットをはじめとする IP 網を用いて音声を伝送する 使われている技術が VoIP であり、、、 IP 電話 " とは、イン 話 " という言葉をよく耳にするようになりましたが、これに ーク ) 上で伝送するための技術のです。最近、、、 IP 電 VoIP (Voice over (P) は、音声を IP 網 ()P ネットワ VoIP とは 図 1 秋葉俊夫 垣内啓之 木村嘉秋 ガー局冫ロ 田中一寿 森永有紀子 VoIP Vo 旧 . 音声を旧ネットワーク上で伝送するための技術 旧電話 : 旧ネットワークを用いて音声を伝送するサービス 狭義の旧電話 ワークを利用した旧電話 ネット ) など、閉じたネット 社内ネットワーク ( イントラ インターネット電話 インターネットを利用した 旧電話 通話するという方式で、草分け的なものとしてはイスラエ ルの VocalTec Communications の lnternet Phone ( 1995 年 ) や Microsoft の「 NetMeeting 」 ( 1996 年 ) などがあります。しかし、当時のインターネットへのアク セスはおもに電話網や ISDN カ俐用されていたため、音声 品質も悪く、一部で使われる程度でした。また、当初はダ イヤルアップで接続した PC 間の通信であったため、 - ヨ殳 加入電話への接続も不可能でした。 その後、電話へのゲートウェイ・サービスが登場し、 PC から一 -- 引勣日入電話へもかけられるようになり、 2002 年には 系谺旁省が IP 電話専用の識別番号として 050 を定め、一一ヨ殳 的な通話であれば、一ヨ勣叺電話と区別なく利用できるよ うになりました。さらに、 ADSL をはじめとした高速なプ ロードバンド通信の普及とともに、 VoIP 技術を用いた電 話がひろく使われるようになってきました。 VOIP を構成する技術 次に、 VoIP を構成する技術についてみていきましよう。 デジタルデータをバケット化して送る IP 網で、電話とい う音声サービスを実現するにはさまざまな課題を解決しな UNIX MAGAZINE 2004. 12

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検討や PBX のリース期限、拠の新設や移動などが考え VLAN ( I 刊 EE802. IQ ) の利用 られます。 IP 電話を導入すると、データ系の機器とネットワークを PBX のリース期限に合わせて VoIP の導入を検討する 共有する必要が出てきます。その場合、音声品質を確保す ことはよくありますが、企業内ネットワークやシステムの る手段の 1 っとして VLAN の利用が考えられます。つま 見直しをおこなう場合も、音声 ( 電話 ) システムを含む構成 り、 VLAN を用いて音声系とデータ系のセグメントを論理 を考慮すべきでしよう。 VoIP の導入が先送りになった場 的に分割するわけです。 合も、将来的な VoIP 化を彳アに入れた言気 1 が必要です。 IEEE802. IQ (Tag VLAN) について簡単に説明しま 拠の新設や移動の際には、導入および運用のコストを す。 算出し、新たな拠点から順次 V 。 IP 化していくことも考え 複数のスイッチで VLAN を設定するときは、当然です られます。 が、それぞれの VLAN をつなぐケープルが必要です。 1 導入目的は、現状では大きく分けて次の 2 つの場合があ 本のケーカレで VLAN 間を接続して通信しようとすると、 るようです。 送られてきたバケットのヘッダをみただけでは、そのバケ ットがどの VLAN 宛のものかは判別できません。そこで、 ・ IP 電話 /VOIP の導入他隹、才翅孑の蓄積 バケットがどの VLAN 宛かをスイッチ間で区別できるよ 初期の電子メールや拷電話などの場合と同様、 IP 電話 うに、ヘッダ部に VLAN を言嬲リする 2 バイトの情報 ( タ ( とくにソフトホン ) の便利さは簡単には理解してもらえ グ (Tag)) を埋め込み、相互にやりとりすることで目的と ません。理解を深める一番の近道は、実際に使うことで する VLAN への送出を可能にします。 す。そのため、一部の部署で VoIP を導入し、実績を上 この機能が Tag VLAN です ( タギング機能ともいい げて全社での導入に結びつけるといったことがおこなわ ます ) 。 れています。 また、 VoIP システムの設引・や構築、運用にはデータ系、 優先帋掏 ( I 冊刊 E802. lp など ) 音声系の両方の技術が必要になるため、ノウハウの蓄積 優先制御とは、 VoIP 系のトラフィックであるシグナリ を目的として導入する企業も増えています。 ングや音声バケットを識別し、その他のデータ系トラフィ 業矛」率の向上 ックと区別して優先的に処理する機能です。 Ethernet レ 既存の情報システムについては、 VoIP ( 電話 ) の併用に ベルでは IEEE802. lp で規定されており、識別が叮能で よって作業効率を上げたり、処理結果の精度を高めるこ す。とくに、バックボーン用のネットワーク機器において とができます。一方、電話についても、コールセンター は必顎の機能です。 機能などによって、従来よりも素早い対応が可能になる LAN におけるおもな優先制御技術としては、以下のも でしよう。 のがあります。 ネットワーク機器 ・ IEEE802. lp : スイッチで Ethernet フレームに挿入さ VoIP を導入する場合には音声系の優先制御をおこなう れたタグを用いて優先制御をおこなう。 必要がありますが、既存のネットワークで使用している機 ・ WFQ : ルータなどの出力キューにおける特定バケット 器がこれに対応しているかを調べておきます。 を優先する。 ・ RSVP : 通信に先立って帯域確保のためのメッセージを 帯域に注意 奐する。 通常の PC やサーバーカ坏リ用するネットワークに IP 電 ・ Diff-Serv : IP データへの優先情報の書込み、ルーティ 舌機を接続すると、当然のことながら、それらのトラフィッ ング時の優先制御をおこなう。 クの負荷がネットワークにかかります。必要とあらば、基 幹ネットワークの GbE や 10GbE へのアップグレードも IEEE802. lp や Diff-Serv のように、フレームやバケッ 検討したほうがよいでしよう。 トに優先川頁位情報を付加する才翅孑を、℃。 S (CIass of Ser- 一三ロ 40 UNIX MAGAZINE 2004. 12

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は、そのための機能をもつルータや帯域制御装置を利用し ます。これらの機器の内部には数種類のメモリ ( キュー ) があり、バケットのヘッダ情報に設疋されている優先度に 応じて適切なキューに割り振り、優先度の高いものから順 に処理していきます。 3 つ目はゆらぎ吸収です。、ゆらぎ " とは、 IP 網を構成 する機器の内部や伝送路上で音声バケットが遅延し、到着 時間にばらっきが生じて連続性カ賴なわれる現象のことで す。データの連続性が重要である IP 電話では、ゆらぎは 音声品質を損なう大きな要因です。これを防ぐために、、、ゆ らぎ吸収バッファ " を利用します。届いた音声バケットを このバッフアにいったん蓄積し、一定時間カ過してから 蓄積した音声ノヾケットを再生します。通話先で音声カ舸生 されるまでに多少の時差カ咥生しますが、連続した途切れ のない音声の提供カ河能になります。ゆらぎ吸収バッファ は、おもに、、 V 。 IP ゲートウェイ " に実装されています。 VoIP のプロトコル VoIP 技術は、いくつかのプロトコルによって実現され ています。 当初、 VoIP の世界では独自手川頁による製品化が先行し ていましたが、相互接続の必要に迫られ、 1996 年 11 月に 最初の国際標準として ITU-T 勧告 H. 323 が承認されま 0 一方、 IETF (lnternet Engineering Task Force)2 で は、 VoIP と公衆網間の相互接続を充実させるために、 1998 年頃からもう 1 つの VoIP 標準として SIP (Ses- sion lnitiation protocol) の検討が進められ、 1999 年 に RFC2543 として標準化されました ( 2002 年に RFC 3261 [ 3 ] によって更新されています ) 。 当初、 ITU-T と IETF は個別に標準化を進めていまし たが、その後、共同で作業をおこなうようになり、両者の 連携による VoIP の基盤も整いつつあります。その一環と して、 2000 年 6 月に事業者間での IP 電話の利用者情報 などを奐するための規格がまとめられています。 SIP と H. 323 は呼制御を担当するプロトコルで、相手 ( 受信側 ) 端末と接続されたあとは、端末間で RTP [ 4 ] を 2 http://www.ietf.org/ UNIX MAGAZINE 2004. 12 Vo の基礎知識 特集 用いて音声を伝送します。 RTP は音声や映像を IP 網で 伝送するためのプロトコルで、通信状態を通知する RTCP と組み合わせて使います。 H. 323 と SIP こまでに述べたように、 VoIP では基本的に 2 種類の プロトコルカ駛われます。 H. 323 で定められているのは、 IP 網をはじめとするバケ ット交換ネットワークにおいて、音声や画像などのマルチ メディア通信をおこなうための技術仕様です。一方、 SIP はテキストべースの手順によるクライアント・サーバー型 モデルにもとづく通信プロトコルです。 H. 323 は、もともと公衆回線網の通イ言才を孑をベースとし ているため、 IP 網への技術的な拡張は難しいといわれてい ました。 SIP は IP 網を前提とした環境で音声や画像など のマルチメディア通信を実現するための技術であり、プロ トコルとしてシンカレで拡張も容易です。 H. 323 H. 323 プロトコルで通イ言をおこなうには、次のようなも のが必要になります。 ・ H. 323 端末 : 音声 / 映像伝送、データ通信をおこなうた めの端末 ・ H. 323 ゲートウェイ : 既存の公衆回糸霧罔と接続し、音声 と IP バケットとの変換をおこなう装置 ・ H. 323 ゲートキーパー : 電話番号と IP アドレスの変換 をおこなう電話番号管理装置 ・ H. 323MCU : IP 網で接続された複数の H. 323 端末間 において、 TV 会議を実現する際に必要な装置 H. 323 プロトコルの基本構成を表 2 に示します。 基本的な処理手順 H. 323 では、基本的に以下の手川頁で処理をおこないます ( 図 3 ) 。 1. 端末の登録 / 呼の許可 H. 323 端末は、電源が入ると相手先情報 ( 電話番号、 IP アドレスなど ) を H. 323 ゲートキーパーに通知する。 H. 323 ゲートキーパーは H. 323 端末情報を登録する。 31 の電話番号の正否、 IP アドレスなどの情報を H. 323 ゲ 電話をかける場合、 H. 323 端末は相手先の H. 323 端末

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図 13 サーバー・バックアップ 拠点 1 個別設置 旧テレホニ サーバー 回線制御装置 ! 公衆回線網 旧 DN / アナログ 本社 回線制御装置 公衆回線網 旧 DN / アナログ 三② 拠点 n 個別設置 旧テレホニ 旧網 旧テレホニ サーバー 回線制御装置・ 2 ①通常時、本社のサーバー制御により内線・外線通話 ②本社サーバーおよびネットワーク障害時、拠点個別設置サーバー制御により 拠点内通話と公衆網通話を確保 障害時の対策 次に、ネットワーク障害などが発生したときにも電話に よる通信を可能にする方式について述べます。 代表的な障害対策としては、以下に述べるようなものが あります俵 6 も参照してください ) 。 公衆回糸罔の利用 公衆回線網への接続を保持することにより、機器障害や SIP 電言間通話と公衆回糸バックアップ 図 15 停電が発生したときにも通話ができるようにします ( 図 サーバー 旧網 12 ) 。 ・バックアップ サーバーを冗長化して信頼性を向上させたり、拠点にバ ックアップ・サーバーを設置し、ネットワークやサーバー に障害カ起きたときにも通話ができるようにします ( 図 Vo 旧 S 旧電話機 S 旧電話機 ゲートウェイ 13 ) 。 VoIP ゲートウェイによるバックアップ ている通話先 ( 100 カ所 ) ) や voIP ゲートウェイ経由 ネットワークに障害が発生した場合は、 VoIP ゲートウ での公衆回繕罔の利用力河能です ( 図 15 ) 。 ェイで公衆回線網へバックアップして通話をおこないま す ( 図 14 ) 。 こで紹介した対策は、いずれも基本的には内線網の 迂回機肯咐き SIP 電話機の利用 信頼性を向上させるためのものです。現在では携帯電話や 迂回機能付き SIP 電話機があれば、サーバーに障害カ咥 PHS がかなり普及しているため、、、どのレベルまで対応す 生しても、 SIP 電話機間の通話 (SIP 電話機に登録され べきか " を現状に即して検討しましよう。その際には、信 図 14 VoIP ゲートウェイによるバックアップ 公衆回線 電話機 Vo 旧 ゲートウェイ PBX 旧網 FAX 公衆回線網 44 UNIX MAGAZINE 2004. 12

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図 10 事前オ館寸項目と言十ポイント ・おもな事前検討項目 導入のタイミング検討 ユーザー ーズの検討 ネットワーク機器の検討 ・おもな設計ポイント 電話番号計画 アドレス設計 旧テレホニー・サーバーでの サーヒス機能設計 ネットワーク設計時の留意点 日声品質・音声符号化 給電方式 外線接続、 FAX 通信 障害時 / セキュリティ対策 Vo の基礎知識 特集 ・「導入のタイミング」参照 ・使用中の PBX の機能をリストアップ ・旧化への希望事項 ・「ネットワーク機器」参照 ・「電話番号計画」参照 ・旧アドレス設計 ( 音声系機器、 DHCP 使用の有無 ) ・ VLAN 設計 ・ポート番号設計 一般機能 ( 短縮ダイヤル、保留など ) ・特殊機能 ( 電気錠連動など ) ・ DHCP ( 旧アドレスの付与方式 ) ・マルチキャスト ( 多機能電話のランプ情報などに利用 ) ・「音声品質の評価・測定」参照 ・「音声の符号化と圧縮」参照 ・旧電話機利用時の給電方式 ・「セキュリティ対策」参照 ・「障害時の対策」参照 ・「 FAX 通信」参照 ・「外線接続」参照 バーを置き、ユーザーは IP 網経由で PBX 機能を利用し ます。これは保守費などのコスト面では有利ですが、万一、 センターの IP テレホニ ・サーバーがダウンすると、企 業内のすべての電話が使えなくなってしまいます。拠点側 でも、ネットワークカ陪に分的にダウンしたときの緊急回線 や停電時の対策が必要です。 従来のアナログ内線電話は PBX 側から電源が供給され るため、停電しても原則として PBX 側でバックアップ電 源を確保するだけですみました。これに対し、 IP 電話機や ソフトホンでは基本的に個別の電源供給手段が必要です。 また、さきほども述べたセキュリティ面での酉や、 IP 網ならではのセキュリティ対策も不可欠でしよう。 こまで、基本的な 3 つの導入形態について説明してき ました。それぞれに長短があるので、導入前・導入後の利 用形態を十分に予測・検討したうえで選択すべきです。ま た、 VoIP の導入は部分的もしくは段階的におこなわれる UN 工 X MAGAZINE 2004. 12 ことが多いのが実情です。したがって、これら 3 つのうち のどれかをベースとし、導入する側の考えを反映させた形 態に近づけていくのか現実的な方法ではないでしようか。 39 導入の時機としては、既存ネットワーク・システムの再 必要があります。 導入についても同様です。同時に、目的も明確にしておく なにごとにも適切なタイミングがありますが、 VoIP の 導入のタイミング 注意事項について説明します。 導入して運用するという前提で、 VoIP の言気 t ・導入時の ・サーバーを自社内に 以下では、おもに IP テレホニ 10 に示します。 VoIP システムの設計や導入の際に検討すべき項目を図 設計・導入時の注意事項

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Q 「 coLinux 」と pc 工ミュレータの 最大の違いは何 ? 日経 NIKKEI 答えは、 と 今年はも。と第しめ 日経し i n u x ックス流 12 月号特集で ! で即実現 以下では、 VoIP の導入形態と導入時の注意事項につい Windows と て説明します。 既存の PBX には、たんに電話をかけるだけでなく、秘 Linux を 書機能や多機能電話など、じつにたくさんの機能がありま 同時に使おう す。さらに、ポケベル機能や鍵やドアの開閉、ナースコー ル・システム、予約システム、一斉同報などを PBX で実 現しているところもあります。これらの機能を利用してい Windows 上で簡単に Linux を使える「 coLinux 」一従来の 工ミュレータとの違いや利点を仕組みレベルから解き明かす る場合には、音声系のシステムを VoIP 化するときに、ど 今年はもっと楽しめる のように対処すべきかが大きな問題になります。 これとは別種の問題になりますが、一一般に PBX では番 号の付替え以外は設定力更されないため、導入当初 ( た フリーソフトから有償の年賀状作成ソフトまで、活用方法などをご紹介 とえば、 10 年前 ) の設定を調べるのが大仕事になります。 サーバー構築 / 管理 AtoZ きちんと調査しておかないと、 voIP の導入によってつな Web データの動的圧縮にチャレンジ がらないところカ咄てきたり、呼続に時間がかかったり、 ニ士′ オフフック直後の一言が聞こえないといったトラブルが起 アプリケーション層からトランスホート層までの処理 こります。 端末についても注意が必要です。これまで、音声端末と すぐ作って今日から使える実践グループウェア構築術 いうといわゆる固定電話機が一般的でしたが、 voIP 化さ ま 0 ~ 000 0000 0-0000 0 ーー ・ KNOPP Ⅸ 3.6 coLinux れると IP 電話機だけでなく、ソフトホンも選択可能にな MaxDB by MySQL ります。固定 IP 電話機の操作性は従来の電話機とあまり 変わりませんが、 PC アプリケーションと直接連携するの はほ : 新く可能です。また、端末か干割高になります。 方、ソフトホンの場合は電話機カ坏要で、 PC アプリケー ションとの連携も容易です。無線 LAN 対応のノート PC であれば、場所にとらわれないデスク竟が実現できます。 ただし、当然のことながら PC の電源が入っていなければ 電話は使えませんし、 OS のパッチやほかのアプリケーシ ョンの景彡響を受ける可能性もあります。 好評発売中 ! 日経 BP パソコンベストムック 固定 IP 電話機とソフトホンを連携させる方法もありま 「 Windows から Linux へ乗り換えよう」 す。この方式では、 PC アプリケーションとの連携が容易 ・定価 : 1 , 490 円 ( 税込 ) 付銀 CD - 日 OM になり、 PC の電源が入っていなくても電話が使えます。 Windows ユーサや Linux 入門者のための、■ ISBN : 4 ・ 8222 ・ 2124 ・ 5 ・発行 : 日経 BP 社 Windows → Linux 乗り換え完全ガイド ・発売 : 日経 BP 出版センター また、 OS のパッチやほかのアプリケーションの影響も受 にして送るといったこともできます。 プレゼンス機能とは、通話先の状況を事前に把握する ものです。電話をかける前に通話先の状況 ( 離席や在 席、在席していても電話に出られない場合など ) が分 かり、それによって最適なアクセス方法が選べます。 CoLinux セ十ュリテ ? ト齠「聞明向 特集 I coLinux VoIP の導入 リナックス流 ステップアップ 短期集中連載 0 新連載 付録 CD-ROM2 枚組 Linux をもっと知る、もっと使う、もっと楽しむ 日経 Linux 好評発売中 ! 全国の書店にてお求めください 12 月号 / 定価 1 , 490 円 ( 税込 ) 発行・日経 BP 社発売・日経 BP 出版センター http://linux.nikkeibp.co.jp ・ La!cooda WIZ ほか 付 ACD-ROM 2 枚組 35 UNIX MAGAZ 工 NE 2004. 12

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図 5 1990 年代 ~ 現在窈ホ景 1990 年代 ・インターネット、 PC の普及 2000 ~ 2004 年 技術・環境 商用サービス ・ Vo 旧技術を使用した電話サービス ・ Q 。 S 機能を備えた製品の出現 ・旧テレホニー・サーバー製品イヒ ・ ADSL サービス ・旧電話サービス ・ 050 サービス 優先制御や帯域制御などの機能が実装され始めました。 ・ 2000 年以降 SIP カ鰾準化され、日本国内では SIP に対応した IP テ ・サーバー製品が発表され始めました。 レホニ 次に、 VoIP 関連の商用サービスの推移をみてみます。 ・ 1999 年 ~ 2000 年末 それまで、比較的襾だが虫なダイヤルアッフ接続か、 高価な専用線接続の二者択一だったインターネット接続 が、低価格で広帯域の xDSL サービスにとって代わられ ました。広域 Ethernet や CATV インターネットなど の接続サービスに加え、 2001 年後半からは FTTH な どの光接続サービスも始まり、ネットワークの低価格化、 広帯域化がさらに加速しました。 ・ 2001 年 ~ 各通信事業者により、固定料金制で広帯域のネットワー クを利用した IP 網内での音声サービスが開始され、通話 料が無料・であったため個人ユーザーにも浸透しました。 ・ 2003 年 ~ IP 電話サービス用に、、 050 " の番号が付与され、一般電 話や異なる通イ言事業者間での電話の送受信も可能になり ました。 ・ 2004 年 ~ ( 川頁次開始 ) 携帯電話事業者による企業内電話 ( 内線電話 ) に対応し たサービス ( モバイル・セントレックス ) が開始されま 1. 中継回線の IP 化 つの段階に分けられるようです。 企業における VoIP の導入状況をみると、大きく次の 2 企業における導入 す。 34 2000 年以降、拠点間の中継回線を VoIP 化して音声系 ・モバイル・セントレックス ( 順次開始 ) のネットワークをデータ系の IP 網に統合し、中継回線 た。また、拠点ごとに設置していた交換機の代わりにセ 専用で使っていた酉泉や交換機の撤去も可能になりまし のネットワーク ( 配線 ) を IP 網に統合し、従来は音声 線だけでなく利用者の端末まで IP 化することで、屋内 VoIP の普及期といえる 2002 年以降になると、中継回 2. 端末までのフル IP 化 る機器も必要最小限ですむという利点があります。 のまま利用でき、一ヨリ用者への影響が少なく、追加す 利用者の端末 ( 電話機 ) や端末までのネットワークはそ まり始めました。また、中継回線のみを IP 化するため、 や既存設備を撤去してコストを削減する方式に注目が集 ンターに置いた IP テレホニ ・サーバーで集中管理を おこない、運用コストや初期投資を抑えることもできま す。この場合、既存の端末 ( 電話機 ) は使えなくなるた め、 IP 電話機を新たに用意する必要があります。とは いえ、 PC 上で IP 電話の応答が可能なソフトホンや IP 網に接続可能な拷端末、無線 LAN の活用など、選択 の幅が大きくひろがります。 端末までをすべて IP 化すると、 IP 電話の特徴でもある 以下のような利点カられます。 ・ IP 網をベースとするため、レイアウト変更にともなう 電話設備の移動などを自前でおこなうこともできる。 ・場所に依存しない番号の利用が可能 ( 生涯一番号 ) 。 ・ユニファイド・メッセージやプレゼンス機能の利用が ユニファイド・メッセージにより、音声やメール、 FAX を一元管理し、異なるメディア間で変換や車幻医カ河能 になります。電話をかけた相手カ材く在であれば、ポイ スメッセージに伝言を残し、その旨を携帯電話などに 自動的に通知したり、テキストメールやポイスメール UNIX MAGAZINE 2004. 12

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図 11 R 値の算出方法 R 値 = 0 ー ls ー ld - le 十 A ・召。 (Basic signal-to-noise raito) : 回線雑音、送受話室内雑音による劣化 ・な (Simultaneous impairment factor) : 音量、側音、量子化ひずみによる劣化 ・ノ d (Delay impairment factor) : 送話者工コー、受話者ェコー、絶対遅延による劣化 ・ le (Equipment impairment factor) : 低ビットレート CODEC 、バケット損失による劣化 A (Advantage factor) : モバイル通信なと利便性による影響を補完 R 値の第囲 通言質 ューザーの足度 90 坙く 100 たいへん満足 Best 80 坙 < 90 満足 High 不満なユーザーもいる 70 坙く 80 Medium 多くのユーザーカ坏満 60 坙く 70 Low ほぼべてのユーザーカ坏満 50 ミ R < 60 Poor 出典 : 嬲省「 IP ネットワーク才翅に関する石丿院会」報告書より 音声の符号化と圧縮 表 5 IP 電話窈舌品質 総合イ質率 (R 価 end-to-end 遅延 音声をデジタル化するために符号化し、さらに伝送効率 クラス A > 80 < 100mS ( 固定電話並み、 * ) を上げるために圧縮します。「 VoIP を構成する技術」の項 クラス B > 70 < 150mS にも書いたように、一殳の電話網では G. 711 と呼ばれる符 クラス C > 50 < 400mS 号化方式を使用し、 64Kbps ( 非圧縮 ) で伝送しています。 注 : R 値、遅延に関する表中の新直は 95 % の確で満足させること。 VoIP でも、クリアな音声を重視するところでは G. 711 を * 、固定電話並み、 " や、携目苧舌並み・ " は、通話品質のみの指標。 使い、音声情報を圧縮する場合には G. 723.1 (6.3Kbps) 出典 : 務省「 IP ネットワーク才翅リ・に関する研究会」報告書より や G. 729 (8Kbps) を利用することが多いようです。 通話の性質や帯域幅、用途に合わせて各方式を使い分け 音声のデジタルイヒによるひすみや遅延、雑音などを品質 ます。もちろん、使用する機器によってサポート方式が違 パラメータとして、計算式にあてはめて算出します ( 数 うので注意が必要です。 値カ皜いほと哥価カ皜くなります ) 。 R 値は、 E-modeI と呼ばれるアルゴリズム ( 計算式 ) に、音声品質に関す 外系妾続 る回線の雑音や日量、エコーや遅延など、 20 個のパラメ ータ ( 計算要素 ) を入れて算出します ( 図 11 ) 。 複数の拠がある場合、通常の外線接続や緊急時の発信 谺旁省は、 050 局番を事業者に割り当てる際、最低限必 回線を処点に接続するか、センター機能をもつ 1 カ所の 要な品質担集として R 値を使っています ( R 値が 50 以 拠報こ接続するかなども検討する必要があります ( ただし、 上であることが必要条件となっています ) 。 110 や 119 などの緊急通報は、拠ごとに現地の番号から 発信しなければなりません ) 。 各種の測定ツールを使い、音声を流すネットワーク上で PSQM 値、 PESQ 値、 R 値などを測定します。 IP 電話 FAX 通信 の通話品質として R 値を用いる場合には、表 5 の 3 つの VoIP を導入する際、とくに注意すべきものの 1 つに クラスに分類されます。 FAX があります。「 VoIP で FAX 通信ができる確率は、 音質の評価は個人差が大きいため、 IP 電話での音質評価 ビジネス用 FAX では 80 ~ 85 % 」などともいわれており、 は、 MOS 値と R 値 ( および、その他の客観的方法 ) を用 それまで利用していたすべての FAX がそのまま使える保 いておこなう必要があります。 正はありません。とくに、音声帯域を圧縮している場合な どは、 FAX 通信カ澗題となることが多いようです。 二一一口 42 UNIX MAGAZINE 2004. 12