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1. 旺文社 全訳古語辞典

ひとふーひとも 〔七二四〕 ひと・ふし【一節】 ( 名 ) ①一つの目立っ点。一点。一同じである。 よるさへや夢のかよひ路ぢーよくらむ」訳↓すみのえの : ・ 部分。〔い〔〕四 0 「をりにつけても、ーあはれともをかしともひと・ま【一間】 ( 名 ) ①建物・橋などの、柱と柱の間の一和歌一 聞きおきつるものは、草・木・鳥・虫もおろかにこそおほえ部分。また、それと同じ長さ。〔史級一竹芝寺「勢多せたの ②人の出入リ。人の往来。人の訪れ。舌囹冬「山里は ね」訳 ( 何かの ) 折につけても、いつもと違「た一点、しんみ橋をーはかりこばちて」勢多の橋を一間の長さほどこ冬ぞさびしさまさりけるーも草もかれぬと思へは」↓や りとした情趣があるとも風情があるとも聞いて心にとめてわして。②四辺が柱と柱の間一つしかない小さな部屋。まざとは・ : 一和歌一 おいたものは、草や木、鳥、虫でもおろそかには思われない。 また、単に部屋の意。〔〔〔な〔〕 = 九 = 「一条の院に造らせ給ひひとーめか・し【人めかし】 ( 形シク ) 人並みである。一人 支法「おほえね」の「ね」は打消の助動詞「す」の已然形たるーのところには、にくき人はさらに寄せす」訳一条の前のようだ。源氏一総角「中の宮をなむ、いかで、ー・しく で、係助詞「こそ」の結び。②一つの事。一事件。氏院にお造りになられた一室には、気に入らない人はいっこ⑩も扱ひなし奉らむと」中の宮 (= 中の君 ) を、なんとか タ顔「ただ、はかなきーに御心とまりて」訳ただ、ほんのちうに寄せつけない。①障子などの桟さんでしきられた部分のして、 ( 相応の人と結婚させ ) 人並みに見えるようにもお世 よっとした ( タ顔が和歌を寄こした ) 一件に ( 光源氏の ) お一区切り。〔礬一一〈四「なほーっつ張られけるを」 ( 禅話申しあげたいと。 心がとまって。 3 音楽の一調子。一曲。〔浮・好色一代尼自身が障子の破れを ) 相変わらす一区切りずつお張りひと・めか・す【人めかす】 ( 他サ四 ) ( す さ . 蹠〉「めかす」 になっていたので。 男〕「昔を今にーをうたへば消え入るばかり」訳 ( 栄えてい は接尾語〕人並みに扱う。一人前として待遇する。 た ) 昔を今に ( とりもどしたいなあ ) と一曲を歌うと ( 一座の * ひと・ま【人間】 ( 名 ) ①人の見ていない間。人のいない「れ」六七「わざととりたててー・す⑩べくもあらぬさまなれ 者は ) 魂も消え入るばかり ( の深い感嘆 ) である。 すき。凾級〕かとで「等身に薬師仏 ; 煢を造りて、手洗ひど、かまっかの花らうたげなり」訳わざわざとりあけて一人 ひと・ヘ 1 ( 名 ) ①【一重】⑦それだけで他に重なるものなとして、ーにみそかに入」りつつ」訳等身大に薬師如前として取り扱うことができるほと ( の草花 ) でもないようす がないこと。級〕後の頼み「霧ー隔たれるやうに、透きて来像を造って、手を洗い清めたりして、人の見ていない だけれど、かまっかの花 ( 日っゅ草の花か ) はかわいらしい 見え給ふを」訳霧が一重へだたっているように、 ( 阿弥陀ときにひそかに ( その仏間に ) しはしば入っては。②人の訪れ * ひと・め・く【人めく】 ( 自力四 ) ~ か く・〉〔「めく」は接尾 仏だが ) 透けてお見えになるのを。④花びらの重なってい がまれになること。疎遠になること。 語〕①一人前らしくなる。人並みに見える。一源氏一橋姫 かきのもと ないもの。単弁。徒然一一三九「花はーなる、よし」訳 ( 桜の ) 人麻呂 ( ) 【人名↓柿本人麻呂 のひとまろ 「けはひ、いたうー・ ~ ) 一 ) て、よしある声なれは」訳 ( 弁の尼 花は一重なのが、よい。②【単】「単衣豊〈」の略。 ひと・みな【人皆】 ( 名 ) すべての人。人はみな。用佐一君の ) 態度が、たいそう一人前らしくて、風情のある声なの ひとへ・がさねは、【単襲】 ( 名 ) 平安時代、女官が表「ーまだねたれば、うみのありゃうも見えす」訳 ( 船の中の ) で。②人間らしく見える。一源些タ顔「花の名はー・ ~ 『⑩ 着の下に重ねて着るひとえもの。「れ」三五「こきーに一一人はみなまだ寝ているので、海のようすも見えない。 て、かう、賤あやしき垣根になむ、咲き侍りける」訳 ( タ顔 藍の織物、蘇枋のうす物のうは着など」訳濃い紅ひと・むら【一叢・一群】 ( 名 ) ひとかたまり。ひと群れ。 という ) 花の名前は、人間らしく思われて、 ( そのくせ ) こうし のひとえがさねに、一一藍 (= 青みのある赤色 ) の織物、蘇枋店今一哀傷「君が植ゑしー薄響虫の音ねのしげき野辺 て、いやしい家の垣根に咲くのでこざいましたことよ。 色暗紅色 ) の薄物の上着など ( の服装で ) 。 ともなりにけるかな」 ( 今は亡き ) あなたが植えたひとかた ひとめ・を・はか・る【人目を謀る】他人の目を盗んで ひとへ・きぬは ' 【単衣】 ( 名 ) 装束のいちばん下に着たまりの薄も、虫の音がしきりにする茂った野辺となってしま物事をする。一徒一芸「飲む人の顔、いと堪へがたけに眉 裏地の付かないひとえの着物。「ひとへ」とも。〔〔〔れ」一九〈 ったことだなあ。 ( 「しげき」は、虫の音が「しげき」と野辺が まゆをひそめ、ー・り⑩て捨てんとし」訳 ( 強いられて酒を ) 「生絹いずのーかさねて着たるも、いとをかし」訳生絹の「しげき」との掛詞 ) 飲む人の顔は、とてもがまんできなさそうに眉をしかめて、 単衣 ( 日練らない衣で仕立てた単衣 ) を重ねて着ているのひと・め【一目】 ( 名 ) ① ( 「一目見る」の形で ) ちょっと見人目を盗んで ( その酒を ) 捨てようとし。 も、たいそうおもしろい ること。ちらっと見ること。一源些須磨「ーも見奉れる人ひと・もの【一物】 ( 副 ) 容器に満ちているさま。いつば ひとへ・には ' 【偏に】 ( 副 ) ①ひたすらに。むやみに。 は」訳 ( 光源氏を ) ちらっとでも拝見したことのある者は。 。また、一面に。孚一五「内供が顔にも、童昔の顔 目の中いつばい。 一徒然一一一一一七「よき人は、ー好けるさまにも見えず、興するさま 一一須磨「涙をー浮けて見おこせにも、粥かゆとばしりて、ーかかりぬ」訳内供の顔にも、童 の顔にも、粥が飛び散って、一面にかかった。 も等閑なり」訳身分教養のある人は、むやみに ( 情趣給へる、いと忍びがたし」 ( 紫の上が ) 涙を目にい「はい を ) 好もしがるようすにも見えず、おもしろがるようすもあっさ浮かべて ( 光源氏を ) じっと見つめなさったようすは、 ( あまりひともをし : ・一和歌一 ( 百人一首 ) 【人もをし人ひとも りしている。②まったく。まるで。一平家一一・祇園精舎「たけのいじらしさに ) たいそうこらえていづらい ゅゑにも うらめしあぢきなく世よを思おも、い き者も遂つひにはほろびぬ、ー風の前の塵ちりに同じ」訳 【人目】 ( 名 ) ①他人の見る目。はため。よの思おもふ身みは】〈続後撰・一七・雑中・一一究・後鳥羽を 勇猛な者も結局は滅んでしまう、まったく風の前の塵と * そめ。一喫一恋 = 「住江の岸に寄る波夜院〉訳人がいとおしくも思われる。人がうらめしくも思わ ② * ひと・め

2. 旺文社 全訳古語辞典

れ諸れよ〉人里 深く降り積もった朝、人の許へ言ってやらなければならな * ひと・ばな・る【人離る】 ( 自ラ下一 I) 宀るる 「ー、すこし細高にて」訳体つきが、少し細長くて。 から遠く離れる。また、人けがない。毯富士川「あはれ ひと・と・な・る【人と成る・人と為る】①一人前にない用事があって手紙を届けるということで。 る。おとなになる。方葉一五・九 0 四「何時」「しかもー・り⑩出ひと・の・くに【人の国】①日本以外の国。外国。おに、ー・れ⑩て、いづこともなくておはする仏かなと」し いでて悪あしけくも善よけくも見むと」いっか一人前にもに中国。一〈四「さばかりの人の、無下むげにこそ心弱みじみとさびしけに、人里から遠く離れて、どこであってもこ なり、悪くもよくも、その様を見たいものだと。②人ここちき気色を、ーにて見え給ひけれ」訳それほどの ( 偉い ) だわらないというようすでおいでになる仏だなあと。 がつく。正気にもどる。一源氏一夢浮橋「やうやう、生き出い人が、ひどく気の弱いようすを、外国で見られなさった ( 日おひとはぶし・ : 衄初【人は武士なぜ町人うに でて、ー・り⑩給へりけれど」 ( 浮舟は ) だんだん、元気見せになった ) そうだ。②都以外の地方。田舎 2 な。「〕成なって来くる】〈柳多留ぎ・五〉訳「花は桜木、人は = 五六「遠き所のーなどより、家の主の上のぼりたる、いとさ武士」と ( 武士は ) いつもは威張っているくせに、なせ町人 が出てきて、正気にもどりなさっていたが。 ひと・どほ・し引シ【人遠し】 ( 形ク ) 人里が遠い。人がわがし」訳遠方の田舎などから、一家の主人が上京し風に変装して ( 刀や裃をつけないで ) 来るのかね。この遊 里へ来るときだけは。 近くにいない。徒然一 = 一「ー・く⑩、水草清き所にさまよひたのは、実に騒がしい。 ありきたるばかり心なぐさむことはあらじ」人里遠く、 ひと・の・ほと【人の程】その人物に備わっている品格。「花は桜木、人は武士」は、花の中では桜が最もす 水や草の清らかな所をさまよい歩きまわることほど心の慰人品骨柄。身分。「ーにあはねば、とがむるなり」ぐれ、人の中では武士がすぐれているの意。また両者とも、 訳 ( 船頭という ) 身分には合わない ( ことばである ) ので、気に散り方 ( 死に方 ) が潔いの意もある。 められることはあるまい ひと・はヘ【人ばへ】 ( 名・自サ変 ) 人前で調子に乗っ ひとなみ・なみ【人並み並み】 ( 形動ナリ ) 「人並み」をとめるのである。 た行動をすること。〔〔〕一五 = 「ー・する①ものことなる ひとーのーやう引【人の様】その人のようす・有り様。 強めた語〕世間並みだ。人並みだ。「〕四 0 「ねすもちの ひとはいさ・ : 歌 )( 百人一首 ) 【人はいさ心ろこもことなき人の子の、さすがにかなしうしならはしたる」人 木、ー・に⑩なるべきにもあらねど」ねずもちの木は、人 前で調子づくもの、格別なこともない子で、それでもさすが 知しらすふるさとは花はなぞ昔の香かにに 並みに待遇されそうな木でもないが。 るる・るれ・れよ 〉①つき合ほひける】〈古今・一・春上・四 = ・紀貫之し人に ( 親に ) かわいがられ、甘やかされつけているの。 ひと・な・る【人馴る】 ( 自ラ下一 l) 〈れ・れる いになれる。人すれしている。一源氏一花宴「男の御をしへなは、さあ、どうですか、心の中はわかりません。 ( でも ) 昔なじみ * ひと・ひ【一日】 ( 名 ) ①しちにち。然一一三七「ー れば、少し、ー・れ⑩たることやまじらむ」函男である ( 光のこの里は、梅の花が以前のままの香りで咲いているので人、一一人のみならんや」訳 ( 都では死者が ) 一日に一人、 源氏の ) こ教育であるので、 ( 紫の上には ) 少し人すれした点した。三句切れ ) 。「いさ」は副詞で、さあどうだかの二人だけであろうか ( いや、そんなに少なくはない ) 。第 がまじるであろうか。② ( 動物などが ) 人になっく。一更毯大意。ふつう下に「知らず」と受ける。「ける」は詠嘆の助動「や」は、反語の係助詞。②一日じゅう。終日。方葉一 一 = ・一一九三六「今は吾あは死なむよわが背恋すれば一夜 2 とー 納言殿の姫君「いみじうー・れ⑩つつ、傍にうちふした詞「けり」の連体形で、係助詞「ぞ」の結び。 り」 ( 猫は ) たいへん人になついていて、 ( 私たちの ) そばに奈良の長谷寺に参詣するたびに宿としていたも安けくもなし」もう私は死んでしまうよ、あなた。恋 いこがれていると一夜も一日も心の安らきもないことだ。 家を、しばらくぶりで訪れたところ、その家の主人が、あなた 寝た。 ある日。先日。〔許六離別の詞〕「そのわかれにのぞみ ひと・には引【一庭】 ( 名 ) 〔「ひと」は接頭語〕庭全体。の宿は昔のままですよと皮肉を一言ったので、そこに咲いてい 庭じゅう。一一一七七「鋸のくづを・ : ーに敷かれて、泥た梅の花を折って詠んだと詞書にある。「人」はその家のて、ー草扉をたたいて、終日閑談をなす」その別 土いいのわづらひなかりけり」おがくすを : ・庭じゅうにお主人。「ふるさと」も「花」も昔と同じように私を歓迎してれにのぞんで、ある日わが草庵を訪れてくれて、一日じゅう ゆっくりと話をする。④月の最初の日。ついたち。然聞 くれる。それに対して、あなたは、見かけは昔と変わりがない 敷きになって、ぬかるみの心配がなかったそうだ。 = 〈・一 = 「とはいかに、今日けふは卯月のーかは」訳いっ ひと・の・うへ引【人の上】人間の身の上。また、他人が、心のほうはどんなものだろうと応酬したのである。 の身の上。鏡のかげ「ーにても見しに、老おい衰へてひと・はしら【人柱】 ( 名 ) 橋・堤防・城などを築く際たいいつだったのか、今日は陰暦四月一日 (= 衣更えの 世に出で交じらひしは、をこがましく見えしかば」訳他に、神の心をやわらげるために、人を生きたまま水底や地日 ) か ( いや、そうではない ) 。 人の身の上のこととしても見てきたのだが、老い衰えて世中に埋めること。また、埋められる人。一平家一六・築嶋「ーひと・し【人人し】 ( 形シク ) 人並みである。いかにも たてらるべしなんど、公卿御僉議有りしかども、それ一人前だ。一〔〕〈 = 「頭の中将の宿直耻の所に、すこし 間に出て官職についたことは、みつともなく見えたから。 ー・しき⑩かぎり、六位まであつまりて」訳頭の中将の ひと・の・がり【人のがり】〔「がり」は接尾語〕人の許もとは罪業なりとて」訳人柱をお立てになるべきだなどと、 へ。その人のいる所へ。然一三一「雪のおもしろう降りたり公卿たちがこ評議になったけれども、それは罪深いことであ宿直所に、多少人並みだというような連中はかり、六位 の蔵人までが集まって。 し朝、ー言ふべき事ありて文ふみをやるとて」雪が趣るといって。 ひととーひとひ 〔七二三〕 3

3. 旺文社 全訳古語辞典

〔七二〇〕 ひとあーひとく いいのすけ、ーもやむ【」となく心ばせありて」訳たいそう年」との掛詞 ) 生まれついていると思うと。 ②相当の人物らしい。〔栄 をとっている内侍のすけ↑源典侍 ') で、人柄も並々ひと・がた【人形】 ( 名 ) ①にんきよう。一源氏一宿木「むか花〕かがやく藤壷「世の中に少し人に知られ、ー・しき⑩ でなく才気があって。 し思おぼゆる、ーをも作り、絵にも書きとめて」昔が思名僧などは」世間に少し ( ばかり ) 人に ( その存在を ) 知 ( 代 ) 対称の人代名詞。夫婦の間などで、相手をさし い出される ( 亡き大君黜いの ) 人形をも作り、絵にも描きとられ、相当の人物と思われる名僧などは。 ていう語。あなた。一平家一七・維盛都落「前世の契ちぎりどめて。②祈いうなとの際、自分の災いやけがれを移すたひと・がら【人柄】 ( 名 ) 人の性格・品性。人となり。 ありけれは、ーこそ憐あはれみ給ふとも」訳前世からの約めの人形う。かたしろ。これで身体をなで、川や海に流天為光「弟殿にはー・世おばえのおとり給へればにや」 束があったので、あなた ( 日維盛 ) は愛してくださっても。 した。氏一須磨「舟に、こと一」としきーのせて、流すを見訳弟 (= 斉信 ) 殿にくらべると人となりや世間の信望が ひと・あきびと【人商人】 ( 名 ) 人の子を売買する者。給ふにも」訳 ( 光源氏は ) 舟に、大けさな人形をのせて、劣っていらっしやったせいであろうか。 人買い。〔謡・隅田川〕「思はざるほかに、ひとり子をーに流すのをこ覧になるにつけても。 ひと・きき【人聞き】 ( 名 ) 世間への聞こえ。外聞。世 誘はれて」思いがけなくも、一人っ子を人買いにさらひとかた・なら・す【一方ならす】一通りでない。並々評。竹取一御門の求婚「昨日今日御門ののたまはむこと われて。 でない。一一タ顔「ー・す⑩、心あわただしくて」 ( 空につかむ、ーやさし」訳 ( つい ) 昨日今日帝の仰せになるこ ひと・うと・し【人疎し】 ( 形ク ) 人と親しまない。人づき蠅のことを思うと ) 一通りでなく、 ( 光源氏は ) 心が落ちとに従うのは、世間への聞こえが恥すかしい。 あいをしない。氏一蓬生「この姫君は、かく、ー・き⑩御着かなくて。 ひと・きさみ【一刻み】 ( 名 ) ①一段。一階級。一源 癖なれば、むつましくもいひ通ひ給はす」この姫君 (= 末ひと・かたらひ引人語らひ】 ( 名 ) 人に相談するこ桐壷「いま、ーの位をだにと、贈らせ給ふなりけり」訳 ( 桐 摘花い ) は、このように、人と親しまないご気質なので、 ( こと。一一物語「紫のゆかりを見て、続きの見まほしくおほ壷帝は桐壷の更衣に ) さらに、一階級上の位だけでもと、 の叔母とも ) 親密にもおっきあいをなさらない。 ゆれど、ーなともえせす」訳 ( 「源氏物語」の ) 紫の上にまお贈りになられるのであった。②第一流。第一の列。 ひとえ〔一重・単〕ひとへ つわる巻 ( Ⅱ若紫の巻 ) を見て、その続きが見たく思われる些若菜下「その御前の御遊びなどに、ーに選ばるる ひとえに〔偏に〕↓ひとへに が、人に相談することなともできない。 人々、それかれと、いかにぞ」その御前の管弦のお遊び ひと・おと【人音】 ( 名 ) 人のいるけはい。また、人の来る ひと・がち【人勝ち】 ( 形動ナリ ) 人がたくさんいるさま。 などに、第一流として選はれる人たちの、だれそれと、 ( 比べ 音。方医 = ・一〈九「朝日照る島の御門におほほしくーもせ実鏡一道長上「かくー・なる⑩にだに、けしきおほゅ」こて優劣は ) どうだろうか。 ねばまうら悲しも」訳朝日の照っている島の御殿に胸もんなに人かたくさんいるのでさえも、ぶきみな感じがする。 ひとーきは引【一際】 0 ( 名 ) 一階級。源氏一薄雲「いま 晴れ晴れせす人のいるけはいもしないので心悲しい。 ひとかひふねは : ・謡一 ( 小歌 ) 【人買ひ舟は沖おきを ーあがりなむに、何事もゆづりてむ」訳もう一階級昇進 ひと・かず【人数】 ( 名 ) ①人の数。徒然一一一一一七「世のー漕こぐとても売うらるる身みをただ静しづかに漕したなら、その時に、万事を譲ってしまおう。 もさのみは多からぬにこそ」訳世間の人の数もそうむやみこげよ船頭殿こ〈閑吟集〉訳人買い舟は沖を漕 ( 副 ) ①しちだんと。いっそう。さらに。掴然一一 0 「さし には多くないのである。②人並みな者として数えられるこ いでゆく。いすれ売られる身なのよ、せめて静かに漕いでよ、入りたる月の色も、ーしみじみと見ゆるぞかし」訳さし込 と。〔紫式部日記〕「世にあるべきーとは思はすながら」船頭さん。 んでいる月の光も、いちたんと深く心にしみて感じられるも 訳 ( 自分なと ) この世に存在するのが適当な人並みの者と者配列から、琵琶湖 3 わの光景であろう。人買いは中のだ。②ひとすじに。いちすに。若菜下「世の中は、 は思わないものの。 世において広く存在したもので、各種の作品に姿を見せ いと常なきものを、ーに思い定めて」夫婦仲は、たいそ ひと・かた【一方】 ( 名 ) 一人の方。また、一つの方。る。女・子供が対象であった。「人買ひ船」は、売られてい う変わりやすいものなのに、一方的にきめてかかって。 片方。一源氏一タ顔「今ーは、主つよくなるとも」訳もうく者を乗せた舟で、この歌はそうした女を歌った。 ひと・きゃう引ウ【一京】 ( 名 ) 〔「ひと」は接頭語〕京じ 一人の方 ( Ⅱ軒端の荻 ) は、たとえ ( 定まった夫ができ ) 夫がしひと・かへり剴リ【一返り】 ( 副 ) 一度。一回。一更級一竹ゅう。都全体。実道長下「ーまかりありきしかども」 つかりしていても。 芝寺「いひつること、いまーわれにいひて聞かせよ」 ( 今 ) ( 私は ) 都じゅうを歩き回ったけれども。 ( 形動ナリ ) 一通りだ。ふつうだ。一一須磨「しらざり言ったことを、もう一度私に言って聞かせよ。 ひときれ・な・し【人切れ無し】人のけはいがない。だれ し大海のはらに流れきてー・に⑩やはものは悲しき」訳ひと・がま・し【人がまし】 ( 形シク ) 〔「がまし」は接尾もいない。〔浮・世間胸算用〕「いづかたの道場にもー・く ( 私光源氏は ) まだ知らなかった大海原に ( 人形のよう 語〕①どうやら一人前と見える。人並みである。〔浮・世⑩」訳どこのお寺にも人がたれもいなくて。 に ) 流れてきて、一通りにもの悲しいのであろうか ( いや、悲し間胸算用〕「十人並みにー・しう⑩ ( ウ音便 ) 当世女房にひと・くさ【一種】 ( 名 ) ひといろ。一種類。梅枝 みは並み一通りではない ) 。 ( 「ひとかた」は「一方」と「人形生まれ付くと思へば」訳普通に人並みで当世風の女に「ただ、荷葉を、ーあはせ給へり」 ( 花散里は ) ただ、

4. 旺文社 全訳古語辞典

久方の月の桂も折をるばかり ( 拾遺 ) ・ ・ : かぜ②ひともとと ( 古今 ) ・ : はつる ・ーもと〈接尾〉①ふぢ衣はつるる糸は ( 古今 ) : ・ ひさかたの中におひたる ( 古今 ) : : ひさかた人もなき国もあらぬか ( 万葉 ) : 藤波の ( 万葉 ) : ・ : べし③ 固久方の光のどけき ( 古今 ) ・ ・ : たぐふ〔〕〔①・たづさふロ〔①藤原の ( 万葉 ) : : : おほみやっかへ・ろ〈間助〉② 膝ひざに伏す ( 万葉 ) : : たまのをごと人もなき古ふりにし里に ( 万葉 ) ・ : ふなぎほふ・みなきは ・ : めぐし①船競翳ふ ( 万葉 ) : 比多潟の ( 万葉 ) : ・ : なも〈助動〉人もなき空むなしき家は ( 万葉 ) ・ : けり①・むなし①冬枯れの野べとわが身を ( 古今 ) ( 伊勢 ) ・ 常陸なる ( 万葉 ) ・ : ・ : あど〈副〉固人もをし ( 続後撰 ) ・ ・ : 七 = 四冬枯れの森の朽ち葉の ( 新古今 ) : ・ ・ : おっ③ ひたぶるに ( 後撰 ) : : ふるす②ひとよとは ( 金葉 ) : : いっか③冬過ぎて ( 万葉 ) : : としつき①・ふりゆく 他国に ( 万葉 ) : ・ いますロ〈他サ下二〉一夜見し ( 和泉式部日記 ) : ・ ・ : ひとよ②冬ながら ( 古今 ) ・ 他国は ( 万葉 ) : ・ ・にほトり . ・ : すむやけしひとりして ( 大和 ) : ・ : わぶ②冬の池に ( 古今 ) : ひとごころ ( 後撰 ) : : ひとごころ①ひとりのみ ( 古今 ) : ・ : をみなへし①ふりくらし ( 伊勢 ) : : レ」、もが。な 人ごとに変はるは夢の ( 千載 ) : ・ : ゅめのまどひひとり居るて ( 万葉 ) : : こ ( 此 ) 振りさけて ( 万葉 ) ・ ・ : 茜九 人ごとに折をり挿頭かざしつつ ( 万葉 ) ・ : めづらし①日並翳み ( 万葉 ) ・ ・ : おみな : きむかふ古ふりにし ( 万葉 ) ・ 人一言の繁しげかる時は ( 万葉 ) : ・ : した④日に三度 ( 新葉集 ) : ・ : かへりみる②降り降らず ( 万葉 ) : : がてり 人言の繁き間ま守もると ( 万葉 ) ・ ・ : おも ( 面日の暮ぐれに ( 万葉 ) ・ : さやにふりみだれ ( 源氏 ) : ・ : なかぞら「〔あ 人言は暫しましそ吾妹讐 ( 万葉 ) : ・ : ゅ〈格助〉④日の光 ( 金葉 ) : ・ ・ : くもがくるロ⑨ふり分けの ( 万葉 ) ・ ・ : たく ( 綰く① 人言はまことこちたく ( 万葉 ) : : こちたし①日の本もとに ( 拾遺 ) : ・ : ひのもと降る雨の ( 蜻蛉 ) : ・ : おもひくだ・・、、「』 人言を ( 万葉 ) ・ ・ : こふ ( 恋ふ )S 日の本を ( 栄花 ) : ・ ・ : よはのけぶり故里と ( 古今 ) : ・ : ず〈「ず」の連用〉 人恋ふる ( 後撰 ) : ・ ・ : ぬるむ①東の ( 万葉 ) ・ ・ : たびね ・ : 七 = 〈ふるさとの旅寝時のゆめに ( 大和 ) : 人さへや ( 万葉 ) : ・ ・ : みつぐ①広瀬川せ ( 万葉 ) : ・ ・ : : : : : : つく ( 漬く ) 古里の軒のきの板間に ( 平家 ) ・ : こけむす 人知れず ( 狭衣物語 ) ・ : ・ : しぼる①日をだにも ( 土佐 ) : : だにも②古郷のもとあらの小萩 ( 新古今 ) : : : もとあら 人しれぬ心のうちに ( 大和 ) : ・ : くゆる② ふるさとを ( 源氏 ) : : くもゐ② 人知れぬわが通ひ路ぢの ( 古今 ) ( 伊勢 ) ・ : 降る雪の ( 万葉 ) : ・ つかへまつる日 : ・七 = 一吹きまよふ ( 源氏 ) : ・ : みやまおろし 人住まぬ ( 新古今 ) ・ 人ぞ憂き ( 新古今 ) ・ ・ : うし ( 憂し吹く風にあつらへつくる ( 古今 ) ・ : よく ( 避く ) 人妻と ( 万葉 ) ・ ・ : かる ( 借る ) ・しからば吹く風にわが身をなさば ( 伊勢 ) ( 新千載 ) : 仏造る ( 万葉 ) : ・ : まそほ① : しまし 一年に ( 古今 ) ( 伊勢 ) ・ ・ : たますだれ霍公鳥費と間しまし置け ( 万葉 ) ・ 人の寝ぬる ( 万葉 ) ・ ・ : うまい吹く風を ( 千載 ) : : せに・みちもせに : みじかよ ほととぎす来鳴く五月の ( 万葉 ) : 一百人はいさ ( 古今 ) ・ ・ : 七 = 三固吹くからに ( 古今 ) ・ : ・七三〈ほととぎす君に伝っててむ ( 源氏 ) : ・ : って ( 伝て ) 人はなど ( 新続古今 ) : ・ ・ : じ〈「じ」の已然〉ふけにけり ( 新古今 ) : : こゑ②ほととぎすなが鳴く里の ( 古今 ) : : ものから① 人はみな ( 更級 ) : ・ : つめり・よす目④更ふけにける ( 新古今 ) : : まじふ ・ : ふく ( 更く )S ほととぎす汝なが初声は ( 万葉 ) ・ 人はよし ( 万葉 ) ・ ・ : おもひやむ・よし ( 縦し )S 布施ふせ置きて ( 万葉 ) : ・ : しめ〈「しむ」の命令〉ほととぎす鳴きしすなはち ( 万葉 ) : 人皆の ( 万葉 ) : ・ : : : : : : ・くご②一一上の ( 万葉 ) ・ : こもる③ ・ : おふ ( 追ふ・すなはちロの 人皆は ( 万葉 ) ・ ・ : よし ( 縦し B 不当山警 ( 万葉 ) ・ ・ : 契四 ・ : ましじ固ほととぎす鳴きつるかたを ( 千載 ) ・ 人目多おほみ ( 万葉 ) : ・ ・ : けだしくも①二つなき ( 万葉 ) : : みへほととぎす鳴き渡りぬと ( 万葉 ) : : ききつぐ② ひとめ見し ( 古今 ) ・ : ・くる ( 来る ) ふたっ文字もじ ( 徒然 ) ・ ・ : 契四 ・ : 茜一一ほととぎす鳴くや五月の ( 古今 ) ・ 人めゅゑ ( 古今 ) : ・ ・ : はるけし②ニ人行ゆけど ( 万葉 ) : ・ : 茜一一ほどもなく ( 新千載 ) : : くも④ 人目をば ( 千載 ) ・ : : そでにあまる藤衣も着しはきのふと ( 源氏 ) ・ : ・ : ふぢごろも②ほにもいでぬ ( 古今 ) : : ふぢごろも〈名〉① 和歌・俳句索引 〔一〇一五〕

5. 旺文社 全訳古語辞典

く」の形で ) 同時に。〔讃岐典侍日記〕「暮るるとー・しく ーありける」訳その竹の中に、根もとが光る竹が一本あ 荷葉 (= 香の名 ) を、一種類お合わせになった。 った。②一つの血統。一族。一門。実匳師輔「おほく ひと・くたり ( 名 ) ①【一行】文章の一行。若紫⑩参り給ひて」訳日が暮れると同時に参上なさって。 「はかなきーの御返りの、たまさかなりしも」訳ちょっとし ひとし・なみ【等し並み】 ( 形動ナリ ) 同列だ。同等だ。はただこの九条殿の御ーなり」訳多くはただこの九条 た一行ばかりの ( 藤壷からの ) 御返事が、 ( かっては ) まれにあ〔一玉鬘「さりとも、すやつばらをー・に⑩は、し侍りなむ殿 ( 日師輔 ) の御血統である。 ( 形動ナリ ) ①一様なさま。一通りなさま。氏梅枝 ったのも。②【一領・一下り】衣類などの一そろい。第齣や」訳そうだ ( Ⅱ女どもが大勢いる ) としても、そいっ (= 女 ) ら を ( 玉鬘らと ) 同列には、きっと取り扱いましようか ( いや、 「ふるき跡は、 : ・ひろき心、ゆたかならす、ー・に⑩かよひて 上「装束ーばかり」訳装束一そろいほど なむありける」訳 ( 昔の人の ) 古い筆跡は、 : ・ゆったりした ひと・け【人気】 ( 名 ) 人のけはい。人のいるようす。一徒然一取り扱いません ) 。 = 三五「狐・ふくろふやうの物も、ーに塞せかれねば、所えが * ひと・しほ引【一入】 ( 名 ) 染め物を染め汁に一度浸心が、十分に出ていないで、 ( 筆法は ) 一様に似通っている ほに入いりすみ」 ( 住む人のいない家には ) 狐やふくろうして染めること。平家一九・一一一之懸「小次郎はおもだかをなあ。②いちずなさま。ひたすら。毯夫の死「宮仕へと のようなものも、人のけはいに妨げられないので、わがもの顔ーすったる直垂盤に、ふしなはめの鎧きて」小次郎ても、もとはー・に⑩仕うまつりつがはや」訳宮仕えにし はおもだか ( 日模様の名 ) を一染めすり染めにした直垂に、ふても、もともとそれいちすに引き続きお仕え申しあげたいも をして入りこんですみ ( つき ) 。 のだ。爻法「ばや」は、願望の終助詞。 ひとけ・な・し【人気無し】 ( 形ク ) 人並みでない。人のしなわめ ( 日縅の一つ ) の鎧をきて。 ( 副 ) いちだんと。いっそう。ひときわ。一平家一一一・重衡ひとすまぬ・ : 一和歌一【人住まぬ不破ふはの関屋の 数にはいらない。〔〔枕凵公一「あやし。なとてか、ー・き①もの はあらむ」ふしきだ。どうして、 ( 草の庵 : おなんて ) 人並被斬「日来つろおほっかなくおほしけるより、いまーかなしみ板いたびさし荒あれにしのちはただ秋あきの風 みでないものがここにいようか ( いや、いるはずがない ) 。 の色をぞまし給ふ」訳 ( 北の方は ) 日ころ ( 夫の安否を気かぜ】〈新古今・一七・雑中・一五究・藤原良経〉訳人の ひと・こころ【人心】 ( 名 ) ①人の心。人の情。〔後撰〕づかって ) 不安にお思いになっていた時よりも、もういっそう住んでいない、不破の関の番小屋の板びさしよ。荒れはて てしまったあとは、ただ秋の風が吹きぬけるばかりだ。 雑四「ーたとへて見れば白露の消ゆる間もなほ久しかりけ悲しみのようすを増しなさる。 「不破の関」は今の岐阜県関ヶ原にあった、東山 ひとーしれーす【人知れず】人に知られない。ひそかに。 り」訳 ( うつろいやすい ) 人の心と ( 白露とを ) 比べてみると 白露の消える ( までのわずかな ) 時間のほうが、やはり長かっ〔拾遺〕恋一「恋すてふわが名はまだき立ちにけりー亠 9 ⑩こ道の関所。延暦八年 ( 七〈九 ) に廃止された。「関屋」は関 守の住んでいる小屋で、「人」はここでは関守のこと。ただ たのだなあ。②正気。一六九「聖 2 じは、ーもなくて、一一そ思ひそめしか」訳↓こひすてふ・ : 一和歌一 ひとしれぬ : ・和毯【人知れぬわが通かよひ路ぢの廃屋を秋風が吹きぬけていくというだけでなく、この場合 日三日ばかりありて死にけり」訳聖は、正気も失って、 関守はよひょひごとにうちも寝ねなな「不破の関」であることが重要であろう。関所にはいかめし 一一、三日ほどして死んだ。 ひと・ごと【人言】 ( 名 ) 他人の言うことば。世間のうわむ】〈古今・一三・恋三・六三 = ・在原業平の >< 伊勢・五〉く物々しい印象がある。さらに「不破」の名から受ける堅 さ。氏一須磨「かばかりに憂うき世のーなれど」訳これ訳人に知られていない私の通い路にいる番人は、毎晩毎固なものとしてのイメージもある。それが荒廃してしまった 晩ちょっとの間だけでも眠ってしまってほしい。支造「寝ようすは、いっそうわびしい感じがつのる。 ほとにわすらわしい世間のうわさであるが。 ひと・こと【人事】 ( 名 ) 他人に関すること。よそこと。ななむ」の「ななむ」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」ひと・たがへ引 = 【人違へ】 ( 名 ) 人ちがい。玉鬘 にあつらえの終助詞「なむ」が付いたもの。 「ーにや侍らむ」訳人ちがいではこざいませんか。 一一一七五「人の国にかかる習ひあなりと、これらになきーに た暠娉・〉一人前になる。 て伝へ聞きたらんは」訳外国にこのような習慣があるそ当「古今集」の詞書に、垣のくすれたところからこっそひと・だ・つ【人立っ】 ( 自タ四ニ。 り出入りするというほどに人目を忍んで女のもとに通って成人する。氏一玉鬘「さておはしそめ、ー・ち⑩給ひな うだと、わが国にないよそこととして伝え聞いたら、それは。 ひと・ざま【人様・人状】 ( 名 ) 人柄。人の品位。一源氏一いたが、女の親がそのことを聞きつけて、作者の通り道にば」訳そのようにして ( 六条院に玉鬘らが ) お移りになっ 少女「子ながら、恥づかしげにおはする御ーなれば」訳番人を置いたために、女に逢あえないまま帰ってきて詠んだて暮らし始めて、一人前になりなさったら。 ( 内大臣は ) 自分の子でありながらも、こちらが気のひけるくとある。「伊勢物語」もほば似た内容。 ひと・だのめ【人頼め】 ( 名・形動ナリ ) 人に頼もしく思 らい立派でいらっしやるお人柄なので。 ひと , すくな【人少な】 ( 形動ナリ ) 人の少ないさま。人わせること。歌などでは、期待させるだけで、その効果のな ひと・し【等し・均し・斉し】 ( 形シク ) ① ( 性質・形状・数数の少ないさま。齣上「ー・に⑩てものしにし。いかが」い意に用いられることが多い。一古今一離別「かっ越えてわか れも行くか逢坂はー・なる⑩名にこそありけれ」訳一 量などが ) 同じである。等しい。「れ〕三セ「こと木どもとー・訳小人数で出かけたが。いかがか。 し 2 ウ音便 ) いふべきにもあらす」訳 ( 桐の木の花は ) 他 * ひと・すち引【一筋】受 ( 名 ) ① ( 細長いものの ) 一本。方では ( この山を ) 越えて別れて行くのか。この逢坂の関と いう名は、 ( 人に逢あうということで ) 頼もしく思わせる ( のに、 ② ( 「・ : とひとし幽かぐや姫の生ひ立ち「その竹の中に、もと光る竹なむ の木々と同じに論じてよいものでもない。 〔七二一〕 ひとくーひとた

6. 旺文社 全訳古語辞典

がめる土地の人も多いでしようから。 * さーと【颯と】 ( 副 ) ①動作・現象の急なさま。さっと。はの ( 秘密の ) せいである。 っと。一時に。一源氏一浮舟「面 3 も、ー赤みて、ものものたまさと・ずみ【里住み】 ( 名 ) ①宮中から出て、自分の家、さと・ぶ【里ぶ・俚ぶ】 ( 自バ上二 ) びし〔「ぶ」は接 はず」 ( 浮舟は ) 顔がさっと赤くなって、一言もおっしゃあるいは妻の家に住むこと。桐壷「源氏の君は、上尾語〕①田舎風である。田舎じみる。〔〔〕 = れ 0 「「子 らない。②大せいの人が一度に声を出すさま。どっと。わ う〈の常に召しまつはせば、心安くーもえし給はす」光ね九つ、丑うし八 ? などぞ、ー・び⑩たる人はいふ」「子 っと。然間毛・三一「四五十人ばかりの声なむー答へけ源氏の君は、 ( 父である ) 桐壷帝がいつも ( 自分のそば近く九つ、丑八つ」などと、里人めいた人は言う。雅みやぶ。 に ) 招き寄せ付き添わせなさるので、 ( 内裏から退出して ) ②宮仕えになじまないでいる。世帯じみる。吏級一宮仕へ る」四、五十人ほどの人の声が一度にわっと答えた。 「ー・び⑩たる心地には、なかなか定まりたらむ里住みよ 佐渡 ( さどニ地名一旧国名。北陸道七か国の一つ。今の気楽に自分の家に住むこともとてもおできにならない。 新潟県の佐渡が島全域。古来、遠流の島として知ら内裏住をみ。②宮仕えをしないで、家庭で生活するこりは、 : ・心も慰みやせむと思ふ折々ありしを」 ( 家に閉 と。宮仕へ「定まりたらむーよりは、をかしきことをもじこもって ) 世帯じみてしまった心では、かえって ( 宮仕えの れ、日蓮鷲・世阿弥らが流されている。佐州。 ざ・とう【座頭】 ( 名 ) ①盲人の琵琶法師髴しに与えら見聞きて心を慰みやせむと思ふをりをりありしを」きまほうが ) きまりきった家庭生活よりは、・ : 心を慰められるの れた官名で、四階級の最下位。検校豊う・別当・勾りきった家庭生活よりは、 ( 宮仕えのほうがかえって ) おもしではないだろうかと思う折々があったけれども。 当に次ぐ。②僧の姿をした盲人で、あんま・はりを業とろいことをも見聞きして心を慰めることもあるのではないだ里村紹巴 ( ) 一人名ズ ) 室町後期・安土 する者。また、琵琶・三味線・胡弓などをひき、歌曲・ろうかと思う折々があったけれども。 3 人里に住むこと。桃山時代の連歌師。宗祇以後の連歌界の第一人 俗界に住むこと。一第齣中「人にいひさまたげられて、今ま者。著に連歌論書「連歌至宝抄」など。 語り物を演じる盲人。 ) 【人名↓西行う でかかるーをして、またかかる目を見つるかな」人に言さとり【悟り・覚り】 ( 名 ) ①深く知ること。理解。 ′のりきょ 佐藤義清 ( さとう われて ( 出家を ) 妨けられて、今までこんな俗世間の暮らし橋姫「いと賢く、内教の御才ざえ、ー深くものし給ひけ さとおさ〔里長〕↓さと奓 ( ) さと・がち【里がち】 ( 形動ナリ ) 〔「がち」は接尾語〕宮仕をしていて、またしてもこんな ( つらい ) 目にあってしまったことるかな」訳 ( 八の宮は ) たいそう賢く、仏典のご学問に、理 だ。。山住み 解 (= 造詣 ) が深くていらっしやったなあ。②《仏教語 ) 迷い えの人・妻・婿むこ・養子・奉公人などが、実家に帰ってい るときの多いさま。里居がち。些桐壷「いと、あっしく さと・だいり【里内裏】 ( 名 ) 皇居の火災や方違えのを脱して、真理を知ること。〔平家一灌頂・六道之沙汰 「異国の玄奘三蔵既うは、ーの前に六道を見」訳外 なりゆき、もの心ばそげにー・なる①を」 ( 桐壷の更衣際などに、内裏の外に仮に設ける一時的な皇居。「今いま 国 (= 唐 ) の ( 僧の ) 玄奘三蔵は、悟り ( を開くこと ) の前に六 は ) たいそう病弱になっていき、なんとなく心細いようすで、内裏」とも。 るれよ〉人里道 (= 地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六つの世 さとーはな・る【里離る】 ( 自ラ下二 ){ れ 実家にさがることが多いのを。 から離れる。一一須磨「今は、いと、ー・れ⑩、心すごく界 ) を見。 さとし【諭し】 ( 名 ) 神仏のお告げ。前兆。一方囚 = 「かか ることやある。ただごとにあらす、さるべきもののーか、などぞて、海士あまの家だに稀まれになむ」 ( 須磨の地は、人の * さと・る【悟る・覚る】 ( 他ラ四 ) 勗・〉①詳しく知る。 疑ひ侍りし」 ( 旋風はよく吹くものであるが ) こんなひ住む家も少なく ) 今はすっかり、人里から離れ、ものさびし物事を会得する。理解する。氏一帚木「三史・五経の 道々しきかたを、あきらかにー・り⑩あかさむこそ、愛敬 どいことがあろうか。ただ【」とではない、 ( 神や仏といった ) しくて、漁師の家さえまれで ( ある ) 。 さとー【里人】 ( 名 ) ①宮仕えをしないでいる人。民 黜うなからめ」訳 ( 女が ) 三史・五経という本格的な学問 かるべきもののお告げだろうか、などと怪しみ恐れました。 * さと・し【聡し】 ( 形ク ) 聡明だ。明敏だ。賢い。悟り間の人。また、宮仕えをしているが自宅に下がっているを明確に会得して明らかにしたりすることは、かわいらしさ が早い。氏一紅葉賀「いと、ー・く⑩て、かたき調子ども者。〔記〕下「宮人跿の脚結の子鈴落ちにきと宮人とがないだろうが。②《仏教語 ) 迷いを去り、真理を体得す よむーもゆめ」宮人のあゆい (= 袴をひざ下でくくるる。一平家一灌頂・大原御幸「過去未来の因果をー・らの を、ただ一ひとわたりに、習ひ取り給ふ」 ( 紫の上は ) たい へん聡明で、 ( 箏そうの琴ことの ) むすかしい調子などを、たったひも ) につけている小鈴が落ちてなくなったと言って、宮人せ給ひなば、つやつや御嘆きあるべからす」過去の原 が騒ぎ立てているが、 ( 宮人も ) 里人も決して騒ぐな。↑宮因と未来の結果をお悟りになられたならば、少しもお嘆き 一度だけ ( の学習 ) で、お覚えになる。 さと・す【諭す】 ( 他サ四 ) 〕れ . 〉神仏がお告げによって人。②実家の人。里方の家族。氏一花宴「御かたがたになるはすがない。 3 感づく。察知する。平一・祇園精 知らせる。前兆を示す。また、道理などを教え知らせる。の、ー侍る中に」女御や更衣さま方の、里方の家舎「天下の乱れんことをー・ら①すして」天下が乱れ 一養一薄雲「天変、しきりにー・し⑩、世の中静かならぬは族がおりますなかに。 3 その里に住んでいる人。〔一タるだろうことを気づかすに。 このけなり」天空に起こる変動がひっきりなしに起こ顔「隣の、人しげく、咎とがむるー多く侍らむに」隣近さと・ゐ幻【里居】 ( 名 ) 宮仕えの人などが、自分の家に って ( 世の人に ) 前兆を示し、世の中が穏やかでないのはこ所は、人も多く ( 住んでいて ) 、安房たちの泣き声を ) 聞きと帰っていること。里さがり。「〕三一九「つれづれなるーのほ さとーさとゐ 〔三八七〕

7. 旺文社 全訳古語辞典

ひとたーひとと あてにするかいのない ) 名前であったのだなあ。 は、この書類に書かれていたことが少しも違わす。②少し。 一一本をさし加えた。 ひと・だま【人魂】 ( 名 ) 夜、空中を浮遊する青白い鬼ひとっ・こ【一つ子】 ( 名 ) ①一人っ子。届勢一〈四「ーに ひと・とき【一時】 ( 名 ) ①ほんの少しの間。しばらくの 火。人の魂が死によって抜け出たものと信じられた。さへありければ、いとかなしうし給ひけり」その上一人間。初瀬「ーが目をこやして何にかはせむ」 ( 御 一更毯夫の死「このあかっきに、いみじく大きなるーのたちっ子であったので、 ( 母は ) たいそうかわいがりなさった。②一禊ド見物など ) ほんの少しの間目を楽しませてなんになろ て」訳この明け方に、非常に大きな人魂が出て。 歳の子。一ま一一 = ・六代被斬「平家の子孫は : ・ーふたつう ( むだなことだ ) 。②一日を十一一の時に分けた、その一つ。 ひと・だまひイ【人給ひ】 ( 名 ) ①人々に物をたまわる子をのこさす、 : ・尋ねとって失てんき」訳平家の子孫今の約二時間。一平家一一 = ・泊瀬六代「よりあひょりのき、 こと。また、その物。②随行者に貸し与えられた牛車。 は・ : 一歳の子、一一歳の子を残さず、・ : 捜し捕らえて殺し ーばかりぞたたかうたる」近寄って斬りかかり斬り合 お供の人の車。「な〕 = 一宅「よきところの御車、ーひきつづてしまった。 って退きして、一一時間ほど戦った。 きて、おほく来るを」訳貴い方のお車が、お供の人の車がひと・づて【人伝て】 ( 名 ) 他人に依頼してことばを伝え * ひと・ところ【一所】 ( 名 ) ①〔「ところ」は高貴の人を 引きつづいて、たくさん来るのを。 ること。ことづて。また、間接に聞き知ること。〔後拾遺〕数えるのに用いる接尾語〕おひとり。おひとかた。一竹幽蓬 ひと・つ【一つ】目 ( 名 ) ①ひとつ。一個。一歳。一徒然一恋三「今はただ思ひ絶えなむとばかりをーならでいふよしも莱の玉の枝「ただー、深き山へ入り給ひぬ」ただおひ 六 0 「師匠、死にさまに、銭二百貫と坊ーを譲りたりけ がな」訳↓いまはただ : 亠和歌一 とりで、深い山へお入りになった。②同じ所。氏一賢木 るを」訳師匠が死にぎわに、銭二百貫と僧坊ひとっとをひとっ・はら【一つ腹】 ( 名 ) 母親を同じくすること。同「后の宮も、ーにおはする頃ころなれは」后の宮 ( 日弘 ( この盛親僧都に ) 譲っていたのに。②単一。単独。母きようだい。一源氏一紅葉賀「この君一人ぞ、ひめ君の御徽殿の太后 ) も、 ( 朧月夜の尚侍 : と ) 同じ所においで そのものだけ。氏一タ顔「御心ざしーの浅からぬに、よろ ーなりける」訳この君 ( Ⅱ頭の中将 ) 一人だけが、姫君なさる頃であるから。 づの罪、許さるるなめりかし」訳 ( 光源氏のタ顔に対す葵 2 おの上 ) のこ同腹であった。 ひと・とせ【一年】 ( 名 ) ①しちねん。また、一年間。 る ) 御愛情そのものだけが浅くはないために、すべての欠点ひと・づま ( 名 ) ①【人妻・他妻】他人の妻。方葉一一・届勢一六三「百年煢にーたらぬつくも髪我を恋こふらし面影 が、許されるのであろうよ。「なめり」は「なるめり」の一一一「紫草のにほへる妹いもを憎くあらばーゅゑにわれ恋ひに見ゅ」百歳に一歳たりない九十九髪も ( " 白 撥音便「なんめり」の「ん」の表記されない形。「かし」は、めやも」↓むらさきの・ : 一和歌「②【他夫】他人の夫。髪 ) の老女が私を恋い慕っているようだ。その姿がありあり 強く念をおす意の終助詞。 3 同じ物。同じこと。同じ方葉一一三・三三一四「つきねふ山城道しをーの馬より行くにと目に浮かぶ。②ある年。先年。平家一七・実盛「実盛 所。同時。いっしよ。一更級一宮仕へ「母なくなりにし姪めひ己夫し歩かちより行けば見ることに哭ねのみし泣かゆ」が身ひとつのことでは候はねども、ー東国へむかひ候ひし どもも、生むまれしよりーにて」母が亡くなってしまった山城への道を他人の夫が馬で行くのに私の夫は徒歩時」私実盛の身一人のことではこざいませんが、先年 姪たちも、生まれた時からいっしょに暮らして。④第一。 でいくので、見る一」とに、ひたすら泣けてくる。 ( 「つぎねふ」は東国へ向かいました時。 一番目。一徒然一一一七「友とするにわろき者七つあり。ーに「山城」にかかる枕詞 ) ひととせに : こ和歌一【一年にひとたび来きます は、高くやん【」となき人」友とするのによくない者に七ひとっ・や【一つ家】 ( 名 ) 山野の一軒家。また、一つ屋君きみ待まてば宿やどかす人ひともあらじとぞ思おも つある。第一には、身分が高く重んすべき人。 3 時刻の根の下。同じ家。一細甅芭蕉「ーに遊女もねたり萩はぎ ふ】〈古今・九・羇旅・四一九・紀有常 ?>< 伊勢・公一〉 数え方。一刻を四つに分けた最初の一区分。届究と月」一つ屋根の下に遊女も泊まり合わせることに ( 織姫は ) 一年に一度おいでになる方 (= 彦星 ) を待っている 「子ねーばかりに、をとこのもとに来たりけり」 ( 女は ) 子なった。折しも、庭には萩が咲き、月がさしている。 ( その萩ので、宿を貸す人はいない (= ほかの人には宿を貸さない ) だ ひとっころ ( Ⅱ午後十一時から十一時半ごろ ) に、男のもとと月のながめは、私たちの一見無縁で不思議な泊まり合ろうと思う。 に来たのだった。⑥一方。一面。九一一「わづかに一一つわせを思わせるような取り合わせであった ) 「狩り暮らしたなばたつめに宿からむ天あまの河原に の矢、師の前にてーをおろかにせんと思はんや」わすかひと・て【一手】 ( 名 ) ①一組み。一隊。〔太平記〕一五我は来にけり」 ( ↓かりくらし・ : 和歌一 ) 〈古今・羇旅〉 に二本の矢で、師匠の前においてその一方をいいかげんに 「二万三千余騎を三手三隊 ) に分けて、ーをば将軍塚〈伊勢人 = 〉の歌の返歌として詠まれたもの。その名も天の 扱おうと思うだろうか ( いや、思いはしない ) 。支法「や」は、 の上へ挙け↑登らせ ) 」②一回のわざ。一番。一手 3 つ。 河原というところに来たので、織女に宿を借りようとしゃ 反語の係助詞。 一徒然一一公「碁ごを打つ人、ーも徒らにせす」碁を打れた贈歌に対して、切り返した。 ( 副 ) ① ( 下に打消の表現を伴って ) 少しも。吏毯富つ人が、一手もむだにしないで。 3 弓を射るとき、手に持ひと・と・なり【為人】 ( 名 ) ①生まれつき。天性。〔霊 士川「かへる年の司召しに、この文ふみに書かれたりしーっ二本一組みの矢。盟一四・競「鷹たかの羽にてはいだり異記〕「ー邪見にして三宝を信うけす」函天性はよこし たがはず」訳翌年の司召し ( Ⅱ官職を任官する儀式 ) にける的矢とーぞさしそへたる」鷹の羽でつくった的矢まで三宝 (= 仏・法・僧 ) を信じない。②体つき。靏論一一 = 四 〔七一三〕

8. 旺文社 全訳古語辞典

前からいる人。古参の人。氏一玉鬘「右近は : ・ーの * ふ・る【振る】 ( 他ラ四 ) 勗〉①ゆり動かす。ふる。り」↓みよしのの : 亠和歌 方葉一一・ = 0 「あかねさす紫野翳さ行ゆき標野 % 行き野守②自分の生まれた土地。生まれ故郷。徒然一一四一「ーのかすに、仕。かうまつり馴なれたり」訳右近は・ : 古参の女 人の来きたりて物語すとて」生まれ故郷の人がやって房の数に入って、 ( 光源氏に ) 長いことお仕えしている。 肥は見すや君が袖そでー・る⑩」↓あかねさす : 昔なじみの人。害囹恋四「かげろふのそれかあらぬか春雨 一和歌「②神体などを移す。遷座する。一大鏡一道長上来て話をするということで。 こ主んでいた土地。よく訪れたことのある土地。のーなれば袖そでぞ濡ぬれぬる」訳かけろうのようにはっき 「大和の国三笠さ山にー・り⑩奉りて、春日明神 3 以前。 { と名づけ奉りて」訳 ( 神体を ) 大和の国の三笠山にお移古いなじみの地。一喫一春上「人はいさ心も知らずーは花りしないが、あれは昔のあの人だったのかそうでないのか。 ( 訪ねてきたのは ) 昔なじみの人なので、袖は春雨が降ったよ し申しあげて、春日明神とお名づけ申しあけて。 3 男女ぞ昔の香ににほひける」訳↓ひとはいさ : ・和 の間で、相手をふり捨てる。氏一タ顔「怪しう、人に似 * ふる・し【古し・故し・旧し】 ( 形ク ) ①遠い昔のことであうに濡れてしまった。 ( 第三句までは「ふる人」を導きだす ぬ心づよさにても、ー・り⑩離れぬるかな」 ( 空蝉は ) る。一一一・三 = 「ささなみのー・き⑩京やを見れは悲しき」序詞。「古人」に「古」と「降る」をかける ) 、・〉①ゆれ動く。〔記〕 不思議なくらい、ふつうの人にはない気の強さでまあ、 ( 光遠い昔の ( 栄えた ) 都 ( のあと ) を見ると悲しいことだ。ふる・ふ【震ふ】 ( 自ハ四 ) 窈ひふ ( 「ささなみの」は「古き都」にかかる枕詞 ) 。②年を経てい上「六師いく雷棗のごとくー・ひ⑩、三軍電の【」とくゆ 源氏を ) ふり捨てて離れていったなあ。 ふるいけや・ : 一俳包【古池や蛙飛とびこむ水る。年功をつんでいる。年老いている。一源氏一蓬生「ー・ききき」訳天子の軍隊は雷のようにゆれ動き、諸侯の軍 みづのおと】〈春の日・芭蕉〉訳静まりかえった古池。 ( そ①女はらなどは」年老いている女房たちなとは。 3 古隊はいなすまのように進んだ。②わななく。 ( 恐怖や寒さで ) の静寂を破って ) 蛙が飛び込んだ音。 ( あとにはまた静寂がびている。古くさい。また、珍しくない。方葉一一七・三空 0 ふるえる。一愈一天・四 = 「持たりつる太刀たちをも落としつは あるばかりだ ) 。 ( 蛙 「鶉鳴きー・し⑩と人は思へれど花橘卵のにほふこのかりこそー・ひ⑩つれ」持っていた刀も落としてしまい そうなほどにふるえていた。 「蛙の鳴き声」が対象であった和歌の伝統に対し、宿」うすらが鳴いて古びたところだと人々は思ってい 〈・〉①振る。ゆり動 「飛び込む水の音」をしかも「古池」と共に取りあけた、い るけれど、たちばなの花の香りの匂うこの宿であるよ。法ふる・ふ叮【振るふ】 ( 他ハ四 ) 〈糾ひふ 「思へれど」の「れ」は、完了の助動詞「り」の已然形。 かす。一龠凹 = 九・三三「鷲わしまた目を見開きて顔をとかく わば平俗の中に詩境を開拓した芭蕉の面目を示す句。 す・〉①古くする。 ・ヘ@るに」鷲はまた目を見開いて顔をあちこちゅ ふる・す【旧す・古す】 ( 他サ四 ) 介せせ ふる・こたち【古御達】 ( 名 ) 年をとった女房たち。 使って古くさせる。第齣上「語らはむ人なき里にほととぎり動かしたが。②勢いよく動かす。道一松嶋「造化の 陬氏一帚木「使ふ人召使 ) 、ーなと」 ふる・こと【古言】 ( 名 ) 「ふるごと」とも。①古いことば。すかひなかるべき声なー・し⑩そ」話し相手をする人天工、いづれの人か筆をー・ひ⑩詞を尽くさむ」訳造 古い言い伝え。昔話。一大道長下「かやうなる女・をきもいないこの里に、ほととぎすよ、鳴いてもかいのない声を古物主の神わざは、どんな人が絵筆を動かしことばで言い尽 ななんどのーするは、いとうるさく、聞かまうきゃうにこそおびさせるな。②飽きて見捨てる。忘れる。〔後撰〕恋四「ひくすことができようか ( いや、とてもできるものではない ) 。 たぶるに思ひなわびそー・さるる人の心はそれよ世の常」存分に発揮する。〔太平記〕六「その威ゃうやく近国にー ほゆるに」訳こういう嫗や翁鰭などが昔話をするのは、 たいそうくどくて、聞きたくないように思われるが。②古いいちすに思い嘆くな、 ( 恋人に ) 飽きて見捨てられる人のひ⑩けれは」訳その威力をだんだん近くの国に対して発 揮したので。④すべて出し尽くす。全部はたき出す。〔栄 詩や歌。古歌。一源氏一蓬生「うるはしき紙屋紙や・陸心は、それ、この世によくあることなのだから。 奥紙煢などのふくだめたるに、ーどもの、目馴なれたるなふる・とし【旧年】 ( 名 ) ①新年から見て去った年をい花〕あさみどり「よろづこのたびは我が宝ー・ひ⑩てむ」訳 どは」きちんとした紙屋紙や陸奥紙などの ( 古くて ) ぶう。去年。。〔栄花〕もとのしづく「ーより皆病みけり」すべて今度は私の宝を出し尽くしてしまおう。 ふる・まひ引【振る舞ひ】 ( 名 ) ①行動。動作。行為。 くぶくしているのに、いくつかの古い歌で、珍しくもないのが訳去年からみんな病気にかかった。②まだ年が明けてい ない年内。暮れていく年。一喫一春上・詞書「ーに春立一徒然一一 0 「大方のー・心づかひも、愚かにしてつつしめるは ( 書いて ) あるの (= 草子 ) などは。 ふる・こと【故事】 ( 名 ) 「ふること」とも。昔あったこと。ちける日よめる」訳年内に立春があった日に詠んだ歌。得の本もとなり」訳一般の行動や心がけも、愚かではある また、故事こじ。一源氏一初音「かの、あさましかりし世のー * ふる・ひと【古人・旧人】 ( 名 ) 「ふるびと」とも。①昔のが用心深くしているのは利益を得るもとである。②もてな を、聞き置き給へるなめり」あの、いやだった当時の昔人。亡くなった人。〔雨月〕吉備津の釜「そもーは何人し。こちそう。饗応う。〔狂・今参〕「まだ何もーはせぬ 雕にて、家は何地に住ませ給ふや」訳そもそも亡くなか」まだ何ももてなしはしないのか。 のことを、 ( 光源氏が ) お聞きになっているように思われる。 った方はどんな方で、家はとこに住んでおられるのか。②年 * ふる・ま・ふ引【振る舞ふ】受 ( 自ハ四 ) 【古里・故郷】 ( 名 ) ①昔、都などがあ ふる・さと って今は荒れ果てた所。旧都。一新固老いた人。老人。明石「ーは、涙もとどめあへす」動する。一源氏一帚木「遊び・戯れをも、人よりは心やす 秋下「み吉野の山の秋風さ夜ふけてー寒く衣いろ打つな老人 ( Ⅱ明石の入道 ) は、涙もおさえきれないで。 3 以く、なれなれしくー・ひ⑩たり」函 ( 頭の中将は ) 遊びやふ ふるーふるま 〔七五一〕 〉① 3

9. 旺文社 全訳古語辞典

もはやいなくなったのだなあ。第助動詞「けり」には、過名前は忘れてしまった。②時節。時世い。時代の風ぐれていたからであろうか。第係助詞「や」のあとに「あ 去から現在まで継続してきたことを述べる用法がある。潮。氏一宿木「かの君達の程に劣るまじき際きはのりけん」など、結びが省略されている。④恩恵。めぐみ。 ②樹木の葉が一年じゅう緑であること。常緑二人々も、ーに従ひつつ衰へて」あの ( 宇治の ) 姫君たち一齏澪標「神の御ーをあはれにめでたしと思ふ」 ( 心 = 0 ・四五 0 一「八千種の花は移ろふー・なる⑩松のさ枝をの身分に劣るまいと思われる家柄の人々も、時世 ( の移りの中で住吉の ) 神のおめぐみを身にしみてみことだ↑あらた かだ ) と思う。⑤おかけ。ため。孚一〈「「客人殿の御 われは結ばな」数々の ( 美しい ) 花は色があせ ( て衰え ) 変わり ) につれて落ちぶれて。 ーに芋粥くひっ』といひあへり」「お客様のおかげで る。常緑の松の小枝を ( 永遠の願いをこめて ) われわれは結どきよう〔読経〕↓どきゃう ( われわれが ) 芋粥を食べた」と言いあっている。「くひ ほう。支法「結はな」の「な」は、勧誘を表す上代の終助ときわ【常磐・常盤〕↓ときは とき・わか・す【時分かず】季節の区別がない。時を選つ」の「つ」は、確述の用法。①富。財産。一 0 一「毘 詞。 しつでも二一六・九六一「湯の原に鳴く蘆鶴は沙門やを作り奉りて持ちたる人は、必すーっかぬはなか とき・めか・し【時めかし】 ( 形シク ) 〔動詞「時めく」に対ばない。、 わがことく妹いもに恋ふれやー・す⑩鳴く」訳湯の原で鳴りけり」訳毘沙門天福徳をさすける神 ) をお作り申し 応する形容詞〕時勢に合って今を盛りと栄えている。 「強〕能因本・ = 一「さわがしうー・しき⑩所に、うち古めきく鶴。るは、私のように妻を恋しく思っているからか、時をあげて持っている人は、必す財産が身につかないものはなか った。①利益。もうけ。〔浮・世間胸算用〕「紙つかひすこ たる人の : ・ことなることなき歌詠みしておこせたる」訳選はす鳴いていることだ。 ( 人の出入りも ) にぎやかに栄えている人の家へ、時勢にととき・を・うしな・ふ幻時を失ふ】時勢に合わすにして不自由なる子供に一日一倍ましの利にてこれをか し、年中につもりてのー、何ほどといふ限りもなし」紙 り残された人が・ : 何のとりえもない歌を詠んでよこしたの落ちぶれる。一仮名序「昨日は栄えおごりて、 ひ⑩、世にわび」昨日 ( まで ) は栄えお【」って、 ( 今日はたを使い過ぎて困っている子供に一日一倍増しの利息で ( は興ざめである ) 。 この紙を貸し、一年じゅうでは ( その利息の紙が ) 積もって れを〉〔「めかす」ちまち ) 権勢を失い、落ちぶれ ( た生活をし ) 。 とき・めか・す【時めかす】 ( 他サ四ニ のもうけはどれほどといえないくらいたいへんなものになる。 は接尾語〕時勢に合って栄えるようにする。特別にひいきと・きん【兜巾・頭巾】 ( 名 ) 【解く】 ( 他カ四 ) 0 けけ かきく・〉①結び目をほど にして愛する。寵愛うする。一師尹「御目のしりの修験者れが前頭部につけ * と・く く。〔記〕上「大刀たちが緒をもいまだー・か①す 少しさがり給へるが、いとどらうたくおはするを、帝いとかしる小さな黒いずきん。十一一 て」大刀の下け緒もまだ解かないで。 こくー・さ①せ給ひて」訳御目じりが少しさがっていらっ因縁をかたどって十二のひだ ② ( 髪など ) 乱れもつれたものを整える。とかす。手習 しやるのが、いっそうかわいらしくいらっしやるのを、 ( 村上 ) を寄せてある。〔義経記〕「古 ふりたるー、目の際きはまでひ 「ー・き⑩果てたれば、艶々と清けうらなり」 ( 髪を ) す 天皇はたいそうあっく寵愛しなされて。 つかりとかしてしまうと、光沢があって美しい ・〉〔「めく」は接尾っこうで」訳古びたすきん * とき・め・く【時めく】 ( 自力四 ) 3 知る。さとる。答えを出す。徒然一一日「近習豊の人ど 語〕時勢に合って栄える。寵愛うを受けて栄える。を、目の所まで深くかぶって。 も、なぞなぞを作りてー・か①れける所へ」おそばづきの 一一桐壷「いとやむことなき際きはにはあらぬが、すぐれて ( 「ひっこうで」は「引き込みて」の音便形 ) ・き⑩給ふありけり」たいして重々しい家柄の出で * とく【徳】 ( 名 ) ①道徳。人の道。一一一一一 0 「人に本意人たちが、なぞなぞを作って解いていらっしやったところへ。 ほいなく思はせて我が心を慰まんこと、ーに背そむけり」訳④〔「溶く」とも書く〕固形のものを液状にする。とかす。 はない方で、格別に帝の【」寵愛を受けて栄えていらっしゃ る方があったそうだ。「あらぬが」の「が」は、いわゆる人に残念に思わせておいて自分の心を楽しくすることは、一喫一春上「袖そでひちてむすびし水のこほれるを春立つけ 人の道に反している。支法「慰まん」の「ん」は、仮定・婉ふの風やー・く⑩らむ」↓そでひちて : 亠和歌一 同格の格助詞で「・ : で」の意。 くる・くれ・けよ ( 自力下一 l) けく 〉①結び目がほどける。一万葉一 ど・きゃう引ウ【読経】 ( 名・自サ変 ) 声を出して経文を曲最くの助動詞。②生まれつきのすぐれた能力。天性。 ・三一四五「吾妹子し吾あを偲しのふらし草枕ら旅のま 読むこと。一一三「もし念仏ものうく、ーまめならぬ時は、一一六セ「人としては善にほこらず、ものと争はざるをーと一 = みづから休み、みづからおこたる」訳もし念仏するのがめんす」人間としては善行を自慢せす、他人と競争しなろ寝に下紐ー・け⑩ぬ」函私のいとしい人は私を ( 家 いのを長所とする。 3 名望。人徳。徒六 0 「世の常なで ) 思い慕っているらしい。旅で衣服を着たまま寝ている どうで、経文を読むことに身が入らないときは、自分の思 らぬさまなれども、人にいとはれす、よろづ許されけり。ーのと、下紐が解けてしまったことだ。 ( 「草枕」は「旅」にかかる うように休み、思うように怠ける。 とき・よ【時世】 ( 名 ) ①年月。時代。一一〈 = 「ーへて至れりけるにや」 ( 盛親僧都のふるまいは ) 世間枕詞。下紐がしせんに解けるのは、人に思われているしる 久しくなりにけれは、その人の名忘れにけり」年月がた並みではないありさまであるけれども、人にいやがられす、すしであると信じられていた ) 。第「吾妹子し」の「し」は、 って長いことになってしまったので、その人 ( Ⅱ馬の頭かみ ) のべて気まま勝手 ) を認められていた。人徳がこの上なくす強意の副助詞。 ときめーとく 〔五九五〕 0 まコ物 ( ときん )

10. 旺文社 全訳古語辞典

いたまーいちく 間。平三・少将都帰「ふるき軒のーより、もる月影を板でふいた粗末な家。タ顔「八月十五夜、隈くまちまちにー・る@」函 ( 瞬間をたいせつにしないと ) 寿命が ぞ隈くまもなき」古い軒の板のすき間から、漏もれてくるなき月かげ、ひま多かるー、残りなく漏もり来て」函陰暦尽きるときは、すぐさまやってくる。 いきとどく。思い及 月の光はかげになる所もない ( ほど明るい ) 。 八月十五夜の、曇る所もない月の光が、すきまが多い板ぶ。帚木「などかは、女と言はむからに、世にあること * いたま・し【痛まし・傷まし】 ( 形シク ) 〔動詞「痛む」に対でふいた屋根の、 ( すきまの ) すべてから ( 室内に ) 漏れて来て。 の、公私黯につけて、むげに、知らすー・ら①すしもあら 応する形容詞〕①心が痛む。かわいそうだ。ふびんであいたり【至り】 ( 名 ) ①思慮・経験などが深くいきとどい む」函いったいどうして、女だからといって、世の中にある る。一 = 〈「彼に苦しみを与へ、命を奪はんこと、いかでていること。一帚木「あだ事にも、まめ事にも、我が心ことの、公的私的な面に関して、まったく、知らず思い及 かー・しから①ざらん」函彼ら (= 生き物 ) に苦しみを与と思ひ得ることなく、深きーなからむは、いと口惜しく」 ばないということがあろうか ( いや、そんなことはない ) 。④きわ え、命を奪うようなことは、どうしてかわいそうでないことがちょっとしたたわむれごとであっても、まじめなことであつまる。このうえない状態になる。一六 0 「尋常ならぬさ あろうか ( いや、かわいそうなことだ ) 。「奪はんこと」のても、 ( 妻が ) 自分の心から考え ( て処理す ) ることもなく、深まなれども、人にいとはれず、よろづ許されけり。徳のー・れ 「ん」は、仮定・婉曲くの助動詞。②つらい。迷惑であ い思慮がないとしたら、それはたいそう残念で。②至り着◎りけるにや」 ( この僧の行いは ) ふつうでないようすであ る。一一一「ー・し一 2 雙ウ音便 ) するものから、下戸げこならくところ。極致。きわみ。一轢一 = 一九「短慮のー、きはめてるけれども、人からいやがられす、すべて許されていたそうだ。 ぬこそ男のはよけれ」 ( 酒をすすめられて ) 迷惑であるよ荒涼芻のことなれども」 ( 私が申し上げることは ) 浅は人徳がきわまっていたからなのであろうか。係助詞 うにしながらも、酒が飲めないわけではないのが男としてはい かな考えのきわみで、このうえなく口はばったいことであるけ「や」のあとに結びの語「あらん」が省略されている。 いものだ。 れど。 いたわる【労る〕↓いたはる * いた・む【痛む・傷む】 0 ( 自マ四 ) みむ ・〉①からだにいたり・たる【至りたる】極意をきわめている。このうえないた・ゐ【板井】 ( 名 ) 板で囲った井戸。一古囹神あそ 痛みを感じる。〔神武紀〕「時に五瀬命のの矢やの 。〔花鏡〕「ー上手の能をば、師によく習ひては似すべびの歌「わが門かどのーの清水里遠み人し汲くまねば水草 瘡きー・み⑩ますことはなはだし」そのときに五瀬命し」極意をきわめた達人の ( 演する ) 能を、師匠 (= 達生おひにけり」私の家の門の前にある板囲いの井 の矢の傷がいたみなさることが並みはずれている。②悲し人 ) についてよく稽古 3 いしてからなら ( それに ) 似せてもよい 戸の清水は、人里から遠いので、人が汲みにこないから、 む。なげく。一 = ・一四一・詞書「有間皇子 3 、自ら四段動詞「至る」の連用形「いたり」 + 完了の水草が生えてしまったことだ。 ・み⑩て松が枝えを結ぶ歌」有間皇子が、自ら悲助動詞「たり」の連体形「たる」 いち【一】 ( 名 ) ① ( 順序などの ) 一番目。最初。物 しんで松の枝を結んで詠む歌。①迷惑がる。一一七五いたり・て【至りて】 ( 副 ) きわめて。はなはだしく。一礫一語「この源氏の物語、ーの巻よりしてみな見せ給へ」函 「いたうー・む⑩人の、しひられて少し飲みたるも、いとよ〈五「ー愚おろかなる人は、たまたま賢なる人を見て、これをこの源氏物語を、一の巻をはじめとして全部お見せくださ し」ひどく迷惑がる人が、強制されて少し飲んだのも、憎む」函きわめて愚かな人は、時たま賢い人を見て、これ ②最もすぐれていること。第一。最高。一〕一 0 一「す たいそうよい。④傷がつく。そこなわれる二盟一 = ・烽火を憎く思う。 べて、人にーに思はれずは、何にかはせむ」囮総じて、人 之沙汰「再び実なる木は、その根必ずー・む@とみえて候いたり・ふか・し【至り深し】①思慮・配慮がいきとどから第一に思われないとしたら、いったい何になろうか ( 思わ ふ」函一年に一一度実がなる木は、その根が必すそこなわ いている。学問・芸術などに造詣臂が深い。帚木れても何のかいもない ) 。 れると ( 古典に ) みえております。 「私ざまの、世に住まふべき心おきてを、思ひめぐらさむ方いち【市】 ( 名 ) 人が集まって物品を売買する所。また、 むる・むれ・めよ 〉①心身に痛い思いをさせる。 かたもー・く⑩」私的な ( 面で ) 、この世間に暮らしてい人が多く集まるにぎやかな所。 = 「頼む方かたなき人 痛めつける。盟 = ・西光被斬「足・手をはさみ、さまざまくうえでの心がけを、くふうするという点において良この女は、自らが家をこほちて、ーに出いでて売る」生計を にー・め⑩問ふ」 ( 西光法師の ) 足や手をはさみ、あれは ) 思慮深くて。②趣が深い。若紫「播磨の明立てる方法がない人は、自分自身の家をこわして、市に これと痛めつけ問いただす拷問する ) 。②こわす。傷つけ石の浦こそ、なほ殊ことに侍れ。何のー・き⑩隈くまはな出て行って ( たきぎとして ) 売る。 いちかはだイチカワダン んじふらうジュウロウ 一人名ニ ) 江 る。一 = 〈「生ける物を殺し、ー・め⑩、たたかはしめてけれど」訳播磨 ( 兵庫県 ) の明石の浦が、やはり格別でこ市川団十郎 ( 初代 ) ( ) 遊び楽しまん人は、畜生残害の類 : ぐなり」生きてい ざいます。っという趣が深い所はないけれども。 戸時代中期の歌舞伎俳優。荒事調の創始者。屋号 る物を殺し、傷つけ、たたかわせて遊び楽しむような人は、 * いた・る【至る】 ( 自ラ四 ) ① る・〉行き着く。到達すは成田屋。江戸の歌舞伎界で活躍し、和事を得意 互いに食い合い傷つけ合う動物と同類である。る。九「三河はの国、八橋といふ所にー・り⑩ぬ」とする大坂の坂田藤十郎と好対照をなした名優。 「遊び楽しまん」の「ん」は、仮定・婉曲くの助動詞。 三河の国 ( 愛知県 ) の、八橋という所に行き着いた。いち・ぐ【一具】 ( 名 ) 道具などのひとそろい。ひと組み。 いた・や【板屋・板家】 ( 名 ) 板でふいた屋根。また、屋根② ( あるときが ) やってくる。一 0 〈「命を終をふる期ご、た一公一「物を必ずーにととのへんとするは、ったなきものの 3