施線部分の中止法は、「こめられて」「切られ東の方かたに住むべき国求めに (= さがすこと形に、この用法がある。さまざまな終止法のう 〈 0 ちで、活用語の終止形によるものが、もっとも のために ) とて行きけり。 て」「恋ふる愁へ」の意になる。 形容詞型活用の連用形、打基本となる終止法である。 主として、形容詞・形容動 順接の仮定条件法 副詞法 ( 連用法 ) 消の助動詞「ず」の連用形マ「われ朝ごとタごとに見る竹の中におはする 詞の連用形が、副詞のよう にて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり。」 に用言を修飾する用法をいう。解釈上留意すべに、係助詞「は」の付いた形で、「もしも・ : なら とて、手にうち入れて家へ持ちて来きぬ。妻め ( たら ) 」の意の順接の仮定条件の表現になる。 き副詞法に次の三つの用法がある。 の嫗讐に預けて養はす。うつくしきこと限り ①下にくる「思ふ・見る・聞く・言ふ」などのただし、単なる強調表現の場合もある。 恋しく小 (= 恋しいなら / 恋しくなったら ) 形なし。いと幼ければ、籠こに入れて養ふ。 内容を表す副詞法。 〈圄かぐや姫の生ひ立ち〉 さて、春ごとに咲くとて、桜をよろしう (= 見にせよとわが背子せこが植ゑし秋萩はぎ花咲き 終止形に接続助詞「と・と たいしたことがないと ) 思ふ人やはある。 逆接の仮定条件法 も」の付いた形で、「たと 〈三九〉 マ今日来ずは (= 来なかったら ) 明日は雪とぞ降 ②文頭にあって、以下の部分全体にかかり、そりなまし消えず小ありとも (= たとえ消えないえ : ・ても」の意の逆接の仮定条件の表現にな る。 では〈強調〉あるにしても ) 花と見ましゃ の感想を表す副詞法。 〈團春上〉マ「あひ戦はむとすとも (= たとえ戦いあおうと 「あさましう (= 思いがけないことには ) 、犬 形容詞型活用の連用形、打しても ) 、かの国の人来なば、猛たけき心つかふ など・も、かかる、心あ - るものなりけり。」と 逆接の仮定条件法 ( 一条天皇は ) 笑はせ給ふ。 消の助動詞「ず」の連用形人も、よもあらじ。」〈圄かぐや姫の昇、天〉 に、接続助詞「と・とも」の付いた形で、「たと▽飽かず、惜しと思はば、千年を過ぐすとも ③下にくる動作の結果を表す副詞法。 髪は、扇を広げたるやうにゆらゆらとしえ・ : ても」の意の逆接 (= 逆態接続 ) の仮定条 (= たとえ千年を過ごしても ) 、一夜 2 との夢の心 〈一七〉 地こそせめ。 て、顔は、いと赤く (= 赤くなるように ) すり件の表現になる。 〈一若紫〉マ唐からの物は、薬のほかは、なくとも (= たとえなお、形容詞、打消の助動詞「ず」の場合 なして立てり。 〈一 = 0 〉は、連用形に「と・とも」の付いた形になる。 なくても ) 事欠くまじ。 なお、形容詞の連用形に接続助詞「て」の付 連体形の単独の用法には、 花の色は霞にこめて見せずとも↑たとえ いた形は、ふつうの副詞法と異なり、ようす・ 【連体形の用法】 見せないにしても ) 香かをだに盗め春の山風 連体法・終止法 ( 係り結 状態を表す用法になる。 〈團春下〉び・連体形止め ) ・準体法などがある。また、助 マ三寸ばかりなる人、いとうつくしうて (= か 、詞「が・の・を・に・より・か・かな・ぞ」、助 終止形の単独の用法には わいらしいようすで ) ゐたり (= すわってい 【終止形の用法】 終止法がある。また、助詞動詞「ごとし・なり ( 断定 ) 」に連なる。なお、 る ) 。 〈かぐや姫の生ひ立ち〉 主として、動詞の連用形が、「 : ・こと」「と・とも・や ( 疑問 ) ・な ( 禁止 ) 」、助動詞「らラ変動詞・形容詞カリ活用・形容動詞の連体形 名司法 言冫「・ : もの」などの意で用いられる用法む・めり・らし・べし・まじ・なり ( 伝聞・推定 ) は、助動詞「らむ・めり・らし・べし・まじ・ なり ( 伝聞・推定 ) 」に連なる。 をいう。ふつうは名詞に転じたもの ( 転成名 ( いずれもラ変以外 ) 」に連なる。 連体形が連体修飾語として体言を修飾 単語が文の言い切りに用いられるのが 詞 ) として扱う。 連体法 終止法 する用法をいう。 終止法である。感動詞・終助詞・体 「かかる老おい法師の身には、たとひ憂へ (= 一言、形容詞の語幹、形容動詞の語幹、活用語のマ「阿弥陀仏ものし給ふ堂に、すること侍る 心配すること〈災難〉 ) 侍りとも、何の悔い (= 〈冨若紫〉 悔いること〈後悔〉 ) か侍らむ。」〈一薄雲〉終止形・命令形、係り結びによる連体形・已然頃になむ。」 〔九六九〕 文法要語解説 マ 〈 C*J 九〉 マ
ロ形容詞活用表 尾 活 形 種類例語幹語 語未然形連用形終止形連体形己然形命令形 ロ品詞分類表 ク活用よしょ シク活用美しうつく 主な用法 活用形の 見分け方 単語 付属語宀 自立語 活用しない語 ・ : 動詞〔書くあり死ぬ受く : ・〕 言い切りの語尾がウ段で終わる語 : ( ただし、ラ変動詞はイ段 ) ・ : 形容詞〔おもしろしゆかしいみじ・ : 〕 活用する語ーー述語となる語ー用言言い切りの語尾が「し」で終わる語・ 言い切りの語尾が「なり」「たり」で終わる語・ : 形容動詞〔おろかなり朦朧たり・ : 〕 主語となる語ー体言・ : ・ : 名詞〔江戸花二月をりわれ・ : 〕 用言を修飾する語 : 詞〔いといかでたびたび・ : 〕 修飾語となる語ーー宀 体言を修飾する語 : ・ : 連体詞〔ある ( 夜 ) あらゆる ( 国 ) : ・〕 主語とならない語 接続する語・ ・ : 接続詞〔またなほしかもされど : ・〕 修飾語とならない語宀 接続しない語・ : ・ : 感動詞〔あはれあないざいで : ・〕 活用する語 : ・ ・ : 助動詞〔 ( 男あり ) けり ( 知ら ) す : ・〕 活用しない語 : ・ ・ : 助詞〔三つ ) の ( 戸 ) を ( 人 ) も・ : 〕 ーしくーし ーしからーしかり ズに連 . ル冖」連 なる なる ロ形容動詞活用表 尾 形 活 種類例語幹語 語未然形連用形終止形連体形己然形命令形 ーき ーけれ ナリ活用静かなりしづかーなら ーかる ーかれ ーしきーしけれ タリ活用堂々たりだうだうーたら ーしかる ーしかれ キ・ナ トキ・ 命令の意 主な用法 ズに連 味で言い 。ル〔」連 活用形の なる 連なる なる 連なる 切る 見分け方 ◎主要助動詞活用表 ( 意味・用法つき ) については付録九五八ページ参照のこと。 ◎主要助飼一覧 ( 意味・用法つき ) については付録九六四。ヘージ参照のこと。 ◎各活用形の用法については付録「文法要語解説」〈一、活用形の用法〉 ( 九六八ページ ) を参照のこと。 言い切 る 用 ーなり ーたり ーと 言い切 る ーなりーなるーなれーなれ ーたりーたるーたれーたれ 命令の意 味で言い 切る 用 トキ・ 連なる に . モ一に 連なる
とも【鞆】 ( 名 ) 弓を射るとき、弓を持っ左手の手首の内一形を残したものと見られる。↓と ( 接助 ) ・ば ( 接助 ) 省いて「ありと知らすして」としても文脈が不自然にな らない。②は「たとえ : ・ても」の意の仮定条件逆接にな 側に結びつける皮製の具。弦つるが手首を打つのを防き、Ⅲ るもの。③は中世以降の用例しか見られず、現代語の また弦の音を高くするために用いるという。一・契「まと・も ( 終助 ) 〔格助詞「と」に係助詞「も」の付いたもの〕 「出て行くとも」「出て行くつもりだとも」などの表現 すらをのーの音すなりもののふの大臣諸楯たて立つらし相手のことばに応じて同意する意を表す。もちろん・ : さ。 の源流。 ・ : だとも。〔狂・止動方角〕「「こなたの御立身をなされた も」訳勇士 ( が弓を射る時 ) の鞆の音が聞こえてくる。大 ならは、この太郎冠者をも取り立てて下さるるでござろう』 将軍が楯を立てて訓練しているらしいよ。 とも【艫】 ( 名 ) 船の後部。船尾。一一一一・ = 七四 0 「大船『おお、取り立ててとらしようともこ訳「御主人様が御 * ・ども ( 接尾 ) ① ( 体言に付いて ) 同類のものの複数を表 のーにも舳、にも寄する波寄すともわれは君がまにまに」出世なさったなら、この太郎冠者をも引き立ててくださるす。 : ・ら。 : ・のいくつか。 : ・の多く。一一一・嗣信最期 でしようね」「うん、もちろん引き立ててやろうとも」 「大臣黯殿、侍ーを召して」。② ( 自称の語に付いて ) 大船の船尾にも舳先にも寄せる波の「寄す」ではない 謙譲の意を表す。〔狂・末広がり〕「みーは無念なことを が、たとえ ( 他の人が ) 言い寄せようとも私はあなたの思いの寝統活用語の終止形に付く。 致いた (= うつかりしたことをいたしました ) 」。 3 ( 人物を表 室町時代以降に用いられた。 ままに。 ( 第三句までは「寄す」を導きだす序詞 ) 。①舳、 「と」の受ける部分の意味をやわらげたり、含みをす単数の体言に付いて ) 低く待遇し、卑しめたり、親しさ 鞆 ( とも ) 一地名今の広島県福山市鞆町。沼隈新半島と・も① の東南端の港。朝鮮半島との通交や瀬戸内海航路の持たせたりする。 : ・とも。一六「鬼ある所ー知らで」を示したりする意を表す。一崙一一五六「嫗ー、いざたまへ ↑さあいらっしゃい ) 」 鬼がすむ所とも知らないで。一徒然一一 0 「時のまの煙 要港として名高い景勝の地。 ( 接助 ) 〔接続助詞「ど」に係助詞「も」の付い ーなりなんとぞ、うち見るより思はるる」 ( 立派な住居ま ( 接助 ) 〔接続助詞「と」に係助詞「も」の付い と・も * とーも たもの〕①逆接の確定条件を表す。・ : けれど も火事にでもあえば ) ひとときのあいだの煙ともなってしまう * たもの〕①逆接の仮定条件を表す。たとえ・ : にしても。一 = 0 「唐からの物は、薬のほかは、なくともだろうと、ちょっと見ているそばから思われてくる。②同じも。 : ・のに。 : ・だが。一徒然一一 0 九「あやしき下﨟なれど 事欠くまじ」中国の物は、薬以外は、たとえなくても動詞・形容詞を重ねてその間に置いて、意味を強める。も、聖人の戒いまめにかなへり」身分の低い下人では 一一玉鬘「あなうれしー、うれし」訳ああうれしいこと、あるけれども、聖人の教訓によく一致している。 不自由はしないだろう。 うれしいこと。「堤〔〕虫めづる姫君「あなゅゅしーゅゅし」②逆接の恒常条件 (= あることがあっても、それにかかわら ②事実そうであったり、そうなるのが確実な事柄について、 す、いつも同じように次に述べる事柄が起きること ) を表 仮に仮定条件で表して意味を強める。 ( ・ : ではあるが ) たああいまいましいったらない。 す。たとえ・ : ても ( やはリ ) 。 : ・ときでも。徒六 0 「いかなる とえ・ : でも。一一かぐや姫の昇天「かくさしこめてありと〔な衂た格助詞「と」十係助詞「も」 も、かの国の人来こば、みな開あきなむとす」たとえ ( 私格助詞「と」に同じ。ただし、②の用法は、「と」では大事あれども、人の言ふこと聞き入れす」たとえどん を ) このように ( 塗籠の中に ) 閉じ込めてあるにしても、あの動詞の連用形十「と」に限られるが、「とも」ではシク活用な大事があっても、人の言うことを聞き入れない。 毯活用語の已然形に付く。 ( 月の ) 国の人が来たら、きっとみんな開いてしまうだろう。形容詞の終止形も受ける。 基本となる用法は①と②であるが、文脈上、「・ : だ 〔学習〕「とも」の識別 爻法「開きなむ」の「な」は、助動詞「ぬ」の未然形で、ここ が、それでは足りず、さらにそのうえに」の意を表していると ①格助詞「と」十係助詞「も」 は確述の用法。 寝毯動詞・形容動詞・助動詞 ( 動詞・形容動詞型活 「深田ありとも ( " あるとも ) 知らずして、馬をざっとう見られる次のような用例もある。 「風吹き、浪激しけれども↑激しいのに ) 、かみ↑かみな △鬻一九・木曾最期〉 ち入れたれば」 用 ) の終止形、形容詞・助動詞 ( 形容詞型活用・打消の り ) さへ頂に落ちかかるやうなるは、竜を殺さむと求め 「す」 ) の連用形に付く。鎌倉時代以降は、動詞・形容②接続助詞「とも」 〈竹取・竜の頸の玉〉 給へばあるなり」 「今日来ずは明日は雪とぞ降りなまし消えずはあり 動詞・助動詞 ( 動詞・形容動詞型活用 ) の連体形に付 「ども」に添加の意があるというのでなく、①の用法が文 とも ( Ⅱたとえ消えないであるにしても ) 花と見ましや」 く場合もある。 〈一古今一春上〉亠脈上「・ : だけでなく」の訳にあたると考えてよい 目接続に関して、奈良時代の文献に特例が認められ 一なお、「ど」「ども」は同じ意味で使われるが、「ども」は漢 る。すなわち、上一段活用の動詞「見る」に接続する場③終助詞「とも」 「『食ふ物をやったならば、出て行かうか』『オオ出て亠文訓読調の文章に多く使われ、平安時代の散文全体 合、「終日に見とも飽くべき浦にあらなくに」〈万葉一 行かうとも』」 一〈・四 0 三七〉のように「見とも」の形が表れる。これは、「見べ 〈狂・節分〉一では「ど」の方が優勢である。鎌倉時代以降になると、逆 Ⅲに「ども」が一般的に使われるようになる。↓ど第・ば 意味のうえで見分ける。①の「も」は強めになるので、 し」「見らむ」の用例とともに、動詞「見る」の接続の古い 〔六〇七〕 ともーとも
( 4 ) ( 源氏物語 ) 調 ( おくのほそ道 ) 国 ( 堤中納言物語 ) ( 万葉集 ) ( 更級日記 ) 團 ( 古今和歌集 ) ( 新古今和歌集 ) ( 今昔物語集 ) 右にあげた作品のほか、次の作品も略称で示した。 落窪物語↓〔落窪〕 古事記↓〔記〕 日本書紀↓〔仁徳紀〕など栄花物語↓〔栄花〕 日本霊異記↓〔霊異記〕十訓抄↓〔十訓〕 雨月物語↓〔雨月〕 宇津保物語↓〔宇津保〕 ③①・以外の出典は、原則として書名をそのまま掲げた。た だし、歌集は「和歌集」の部分を省略して示した。 和歌には歌集名・部立 ( 主として勅撰集に ) を、俳句には句集 名・作者名を示した。特に「万葉集」は、巻数と国歌大観番号 を示した。 〔拾遺〕冬 〔猿蓑〕芭蕉一一・一四 = 6 著名な出典には、「巻名」「巻数」「段数」「編名」「小見出し」 「説話番号」などを付記した。 ( 「枕草子」の段数、小見出し、 説話番号などは日本古典文学大系のそれによった ) ⑥ジャンル名・種類の表示は、次のような略称で示した。 ①芸能に関するもの 浄瑠璃↓浄謡曲↓謡狂一 = ロ↓狂歌舞伎↓伎 ②近世の小説類のうち、次にあげたジャンル名は略称で示し、 その他は作品名のみ表示した。 浮世草子↓浮仮名草子↓仮名御伽草子↓伽 黄表紙↓黄洒落本↓洒 この辞典のきまりと使い方 ( 2 ) 略語・記号一覧 〔品詞・その他〕 ( 名 ) 名詞 ( 代 ) 代名詞 ( 自 ) 自動詞 ( 他 ) 他動詞 ( 補動 ) 補助動詞 ( 形 ) 形容詞 ( 形ロ ) ロ語形容詞 ( 形動 ) 形容動詞 ( 形動ロ ) ロ語形容動詞 ( 連体 ) 連体詞 ( 副 ) 副詞 ( 接 ) 接続詞 ( 感 ) 感動詞 ( 助動 ) 助動詞 ( 格助 ) 格助詞 ( 接助 ) 接続助詞 ( 副助 ) 副助詞 ( 間助 ) 間投助詞 ( 係助 ) 係助詞 ( 終助 ) 終助詞 ( 接頭 ) 接頭語 ( 接尾 ) 接尾語 〔活用〕 ( 四 ) 四段活用 ( 上一 ) 上一段活用 ( 上一 l) 上二段活用 ( 下一 ) 下一段活用 ( 下 (l) 下二段活用 ( カ変 ) 力行変格活用 ( サ変 ) サ行変格活用 ( ナ変 ) ナ行変格活用 ( ラ変 ) ラ行変格活用 ( ク ) ク活用 ( シク ) シク活用 ( タリ ) タリ活用 ( ナリ ) ナリ活用 の未然形 ⑩連用形 @ 終止形 連体形 0 已然形 命令形 〔その他〕 最重要語 重要語 ゝゝこよる見 ( 〕現代かなづ力し。 出し語 対義語 《① ) 語義①② 3 : の全体に 共通する対義語 他の見出し語の語釈やそ の語に関する事項などへ の参照 ↓現代かなづかいから歴史 的かなづかいへの指示お よび学習・付録への参照 〔九〕
この辞典のきまりと使い方 につくように配慮した。〈項目一覧は一一ページ参照〉 おほし " 【思し・覚し】 ( 他サ四連用形 ) ( 動詞の上に付いて ) 【例語】髞し置く・思し掟おきっ・思し掛く : : : : : : “あり・く【歩く】 ( 補動力四 ) ・けけ く・〉 ( 動詞の連用形の下に 付いて ) : 【例語】憧れ歩く・歩あゆみ歩く・ : 動詞・形容詞・助動詞・活用のある接尾語は終止形で示し、 助動詞を除き、語幹と活用語尾との区別のあるものには、その 間を「・」で区別した。なお、形容動詞は語幹で示した。 あそ・ふ【遊ぶ】 ( 自バ四 ) いまめか・し【今めかし】 ( 形シク ) らる ( 助動下二型 ) ・が・る ( 接尾ラ四型 ) なのめ【斜め】 ( 形動ナリ ) ⑦主要な助動詞については、終止形以外の各活用形をも見出し 語として掲げた。 し助動詞「き」の連体形。な助動詞「ぬ」の未然形。 ⑧和歌・歌謡・俳句・川柳は、第一句を見出しとして掲げた。 あさほらけ : ・はしけやし・ : しづかさや : ・くじふくは・ : 複合語・連語・慣用句などは、そのままの形を見出しとし、わ かりにくいものにはを付けた。 ⑩人名は原則として姓名で引くようにし、名または号で呼びな らわされているものは、それをも見出しとし、解説は姓名の見 出しのほうで行った。 西鶴 ( ) 〔人名↓井原西鶴鷲く 見出し語の配列 配列は、表記のかなの五十音順とした。また、漢字表記の見出 ( 6 ) 〔四〕 し語は、その読み↑歴史的かなづかい ) の五十音順とした。なお、 五十音順で定まらない語は、次の方針によって配列した。 ①濁音・半濁音は清音のあと、拗音・促音は直音のあと。 ②品詞などの順は、接頭語・接尾語・名詞・代名詞・動詞・形 容詞・形容動詞・連体詞・副詞・接続詞・感動詞・助動詞・ 助詞・連語・慣用句・枕詞・和歌 ( 歌謡 ) ・俳句 ( 川柳 ) の順。 ③和歌・歌謡・俳句・川柳で、第一句が同じ場合には、第二句 以下の表記の五十音順。 見出し漢字と読み方の表示 見出し語のかなに相当する漢字を【】内に示した。二種以上 の漢字表記があるものについては併記し、一般的なものから先 に掲げた。また、送りがななどは、ひらがな・歴史的かなづか いで示した。 ⑦見出し語のかなづかいが現代かなづかいと相違するものには、 見出し語の直下三行どりの最重要語はその右側 ) に、現代かな づかいに準じて小字のカタカナで示した。その際、現代かなづ かいと同じ部分はーで示した。また、慣用的な読み方のあるも のは ( ) を用いて併記した。 アナズラワシ 【侮らはし】 ( 形シク ) ① あなづらは・し いへ・あるじに【家主】 ( 名 ) うかが・ふ【伺ふ】 ( 他ハ四 ) 品詞および活用の表示 ①品詞名は略語によって ( ) で示した。また、動詞には活用の 種類と全活用形を ( 〉で示した。形容詞にはク活用・シク活用
主要助詞一覧 係助詞 副助詞 ( 意味・用法 ) 状態 ( の状態て ) で打消接続 ( ないて ) ①反復・継続 ( ては・つづけて ) ②並行 ( ながら ) 助 ①並行 ( ながら ) 続ながら②逆接の確定条件 ( のに ) ③条件・状態の不変 ( のままて ) 接 ものの①逆接の確定条件 ( のに ) ものから②原因・理由 ( のてニ「ものの」は除く〕 ものを ものゆゑ は とりたて ( は ) ①並立 ( も ) も②類推 ( てさえ ) ③詠嘆 ( もまあ ) ①強調 ぞ② ( 文末て ) 断定 ( だ ) ③ ( 文末て ) 疑問 ( か ) なむ ( なん ) 強調 や①疑問 ( か ) やは②反語 ( か、いやそうてはない ) か①疑問 ( か ) かは②反語 ( か、いやそうてはない ) こそ強調 ①類推 (i てさえ ) だに ②最小限 ( せめて : ・だけても ) すら類推 ( てさえ ) さへ添加 ( まても ) ①限定 ( だけ ) ②強調 ( 特に・びたすら ) ( 語 ) ( 接続 ) ( 用例 ) 形容詞型・形容動詞型玉くしげ見諸戸山を行きしかば面白くして古思ほゅ ^ 万葉〉 ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 ^ 方丈〉 の連用形など さては、一のにはあらで、くらげのななり。 ^ 枕 > 未然形 動詞・助動詞の連用形①野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。へ竹取〉 ②水の上に遊びつつ魚いをを食ふ。へ伊勢〉 体一 = ロ、動詞の連用形、①膝元に置きつつ、食ひながら文ふみをも読みけり。 ^ 徒然〉 形容詞・形容動詞の語②身はいやしながら、母なむ宮なりける。 ^ 伊勢〉 幹 ③源氏の五十余巻、ひつに入りながら : ・ヘ更級〉 連体形 ①君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞ経ふる〈伊勢〉 ①ほととぎすなが鳴く里のあまたあればなほうとまれぬ思ふものから〈古今〉 ①生むまれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ〈上佐〉 ②ことゆかぬものゆゑ、大納言をそしりあひたり。〈竹取〉 たけきもののふの心をもなぐさむるは歌なり。 ^ 古今仮名序〉 ①山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば ^ 古今〉 ②夏は夜。月のころはさらなり。闇やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。 ^ 枕〉 ③限りなく遠くも来にけるかな。へ伊勢〉 種々の語 ( ②③は終助①もとの住みかに帰りてぞ、さらに悲しきことは多かるべき。〈徒然〉 詞とする説もある ) ②われはすきずきしき心など無き人ぞ。〈源氏〉 ハぞ。〈徒然〉 ( ③かばかりになりては、跳びおるともおりなん。い力にカくい、 橋を八つ渡せるによりてなむ八橋と言ひける。〈伊勢〉 種々の語 種々の語 ( 「や」の文末①袖そてひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ ^ 古今〉 用法詞 ) ては終止形 ) ②よき人は、知りたることとて、さのみ知り顔にやは言ふ。〈徒然〉 種々の語 ( 「か」の文末①いづれの山か天に近き。〈竹取〉 用法ては連体形 ) ②すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。〈徒然〉 をりふしの移りかはるこそ、ものごとにあはれなれ。〈徒然〉 種々の語 種々の語 ①かぐや姫、光やあると見るに、蛍ばかりの光だになし。〈竹取〉 ②散りぬとも香をだに残せ梅の花恋しき時の思ひ出にせむ〈古今〉 聖などすら、前さきの世のこと夢に見るは、いと難かたかなるを : ・ ^ 更級〉 種々の語 春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなっかし山吹の花〈古今〉 種々の語 種々の語 ①花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。〈徒然〉 ②月・花はさらなり、風のみこそ、人に心はつくめれ。 ^ 徒然〉 種々の語 種々の語 〔九六六〕
〔五九〇〕 とーとある のひしと鳴るまで嘆きつるかも」函この床がみしみしと音 〔学習〕「と」の識別 じたものと考えられる。↓とも ( 接助 ) ・ば ( 接助 ) 文法 を立てるほどに嘆いていたことだ。 ①形容動詞 ( タリ活用 ) の連用形語尾 ( 接助 ) ①逆接の確定条件を表す。現にその事実 がありながら、予想に反した結果が現れることを一小す。 ① ( 多く「・ : となる」の形で ) 変化した結果、ある状態にな 「北には青山峨々ががとして↑険しくそびえ立っ * る意を表す。・ : に。〔徒一「白頭の人となりし例いめな : けれども。 : ・のに。 : ・だが。届 = 三「男も女も恥ちか て ) 、松吹く風索々たり↑ものさびしい ) 」 きにあらす」白髪の人になった例がないわけではない。 △一一 0 ・海道下〉はしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ」男も ① 女もおたがいにはにかみ合っていたけれとも、男はせひこの 比喩ひゅを表す。 : ・のように。・ : と同じに。・ : として。②断定の助動詞「たり」の連用形 一更毯大納言殿の姫君「笛の音ねのただ秋風と聞こゆる 「下しもとして臣下であって ) 上かみに逆さかふること、女を妻にしようと思う。 に」訳笛の音はまるで秋風のように聞こえるのに。 あに人臣の礼たらんや↑どうして人臣の礼であろう ② 逆接の恒常条件を表す。現にその事実があるわけでは ⑨ 直接、断定の助動詞「なり」に続いて、「・ : というの ( で か ) 」 △鬻一三・法印問答〉 ないが、その事実が現れた場合でも、必すその事実から予 想される事態に反する結果になることを一小す。たとえ・ : て ある ) 」「・ : と思うの ( である ) 」などの意を表す。「・ : となら③格助詞「と」 ば」「・ : とにあり」「・ : となり」などの形をとり、「と」と「なり」 「資盛朝臣芻のをはじめとして↑筆頭に ) 、侍ども ( やはリ ) 。・ : ときでも。一徒然一一「その子、孫までは、はふ の間に「思ふ」「言ふ」「する」などが省略されたもの。一一 も皆馬よりとって引き落とし、頗こる恥辱に及びけれにたれど、なほなまめかし」その ( ような人たちの ) 子供 九・一七四 0 「常世辺にまた帰り来て今のこと逢あはむとな り ( 日恥をかかせた ) 」 〈一平家一一・殿下乗合〉や孫までは、たとえ落ちぶれてしまっても、やはり上品であ る。 らば」医不老不死の常世の国にまた帰って来て、今の①・②は上の語で見分ける。峨々・悠然・蕭条 ように逢お一 ? 」思うのであれば。 など状態を表す漢語であれば①、ふつうの体言であれば寝活用語の已然形に付く。 「ど」と「ども」は、ほほ同じ意味に用いられる。ただ ⑩体言またはそれに準するものを並列する。用佐一「わが②である。③は「 : ・を・ : とす」の文型で、①・②とは文の し、平安時代では、女性の書いた文章に「ど」が「ども」に 髪の雪と磯辺の白波といづれまされり沖っ島守」組み立てが異なる。 訳↓わがかみの : ・和 比して圧倒的に多く使われる。ところが鎌倉時代に入る の同じ動詞の間に置いて、意味を強める。上にくる動司 ( 接助 ) 逆接の仮定条件を表す。 : ・ても。たとえ : ・ と、むしろ「ども」が一般的に使われるようになり、「ど」が減 は連用形。幽竜の頸の玉「わが家にありとある人召 ても。〔山家集〕「風吹くと枝をはなれて落つまじく花少する。↓ども ( 接助 ) ・ば ( 接助 ) し集めてのたまはく」自分の家にあらゆる人々を召しとちつけよ青柳の糸」風が吹いても枝を離れて落と・あ・り : ・である。 : ・という職にある。然聞一一・三 = 「大 集めておっしやることには。 ちないように、花を結びつけてくれよ、青柳の糸よ。 納言な坂上の田村麻呂といふ人、近衛鍍の将監と 体言、体言に準する語、⑩の場合は動詞の連用毯動詞・形容動詞・助動詞 ( 動詞・形容動詞型活あり⑩ける時」医大納言坂上田村麻呂という人が、 形、④の引用の場合には文の言い切りの形に付く。 用 ) の終止形、形容詞・助動詞 ( 形容詞型活用・打消の近衛の将監 ( 日近衛府の三等官 ) の任にあった時。 格助詞の「と」は、「に」と共通する点が多い。「と」独「ず」 ) の連用形に付く。 〔鬩断定の助動詞「たり」の連用形「と」 + ラ変補 「とも」と同じ意味だが、用例は少ない。古く、上代助動詞「あり」 一自の用法としては、つぎの三つが挙げられる。 Ⅷ田動作の相手を表す。 ( ② ) ・ : という。 : ・と決まっている。一一公一「一部 から現れる「とも」に対して、「と」の確かな用例は中古以と・あ・り 降に見られる 「言ふ」「思ふ」「聞く」などの内容を一小す。 ( ④ ) とある⑩草子などの」訳一部としてまとまっている書 「暮ると明くと目かれぬものを↑目を離すことがないの物などで。 ③「と言って」「と思って」などの意で使われる。 ( ⑤ ) に ) 梅の花いつの人まに ( Ⅱ人の見ていないときに ) 移ろひ格助詞「と」十ラ変動詞「有り」 一なお、⑩の用法に当たるものを、特に「並立助詞」と呼 ぬらむ」 〈古今・春上〉と・あり・かかりああだこうだ。なんだかんだ。一徒然一一三七 一ぶこともある。ちなみに、並立して一小す場合、文語ではっき この用例は、体言またはそれに準するものを並列する格「一事も見もらさじとまほりて、「ー」と物ことに言ひて」 一の三通りの方法が現れる。 田甲と乙甲と乙と③甲、乙と 助詞から逆接の仮定条件を表す接続助詞になろうとし函一つのことでも見落とすまいと思ってじっと見つめて、 「ああだこうだ」と ( 祭りの行列の ) 見る物ごとに言って。 冊①とは、現代語でもふつうに使われるが、 3 はあまりているものと見られ、「日が暮れるときと夜が明けるときと に ( " 日が暮れるといっては見、夜が明けるといっては見て ) 」者「と」は副詞。「かかり」は「かくあり」の約。 一用いられないので注意が必要である。 「狩衣翳、袴、烏帽子、帯とを入れて」 の意にも、「日が暮れても夜が明けても」の意にも解釈と・ある ( 連体 ) ある。ごくふつうの。〔太平記〕五「宮をば 〈大和・一岩〉することができる。このような用法から接続助詞「と」が生ー辻堂の内に置き奉りて」宮様を一」くふつうの道 と * ど 文法
〔九一〇〕 らうたーらくき くの物が散乱していること。一六・紅葉「ある夜、野分らうーどう【郎等】 ( 名 ) ①従者。家来。「郎党弱」「立てる人どもは、装束うのきよらなること物にも似す。 2 きはしたなうふいて、紅葉齲みな吹きちらし、落葉すことも。靄九・木曾最期「敵 2 たにおしへだてられ、いふかひ飛ぶ車ひとっ具ぐしたり。ーさしたり」函 ( 雲の上に ) 立っ ぶるー・なり⑩」訳ある夜、秋の嵐が激しく吹いて、紅なき人のーに組み落とされさせ給ひて、うたれさせ給ひなている人たちは、衣装の美しいことは他に似るものもない。 葉をすべて吹き散らし、落葉が非常に乱雑である。②無ば」訳敵に間を押し隔てられ、とるに足りないだれかの家飛ぶ車をひとっ伴っている。 ( それには ) 羅蓋をさしかけてあ 法なさま。無作法なふるまい。乱暴な行為。一平家一一・殿来に ( 馬から ) 組み落とされなさって、お討たれになってしまる。 上闇討「布衣 2 うの者の候ふは何者ぞ。ー・なり@。まか ったら。②武士の家来で、主人と血縁関係がなく、領地 * ーらく ( 接尾 ) 《上代語》① : ・することの意を表す。一 賀「桜花散りかひくもれ老いーの来こむといふなる道まが り出いでよ」無紋の狩衣翳の者が控えているのはだれも持たない者。↓家い〈の子② だ。無作法である。退出せよ。 * らうらう・じ : ( 形シク ) ①よく洗練されている。物ふがに」↓さくらばな・ : 一叝一②連用修飾語になる。 事にたくみである。もの慣れしている。才たけている。利発 : ・することには。一三・三一一一 0 三「里人のわれに告ぐー」 らう・だう【郎党】 ( 名 ) 「 0 つどう」に同じ。 * らうた・が・るしタ ( 他ラ四ニら る勗〉〔「がる」は接尾である。天一四 = 「いとー・じく⑩、うたよみ給ふことも、お里の人が私に告げることには。①文末にあって詠嘆を 語〕いたわる。かわいがる。「れ〕天「あからさまにきたる子とうとたち御息所 % よりもまさりてなむいますかりける」表す。 : ・することよ。一五・一毛一九「草枕旅に久しくあ ども・わらはべを、見入れー・り⑩て」訳ついちょっとやっ訳たいそう洗練されてたくみに、歌をお詠みになることも、らめやと妹いもに言ひしを年の経〈ぬー」それほど長く てきた子供たちゃ幼児たちを、目をかけかわいがって。 妹たちゃ御息所よりもすぐれていらっしやった。②けだかく旅に出てはいないだろうと妻に言ったのに、もう年が過きて * らうた・けタ ( 形動ナリ ) 〔「げ」は接尾語〕かわいらしい美しい。上品でかわいらしい。〔〕四一「夜ふかくうちいでしまったことよ。 ( 「草枕」は「旅」にかかる枕詞 ) 。第「め さま。〔れ〕四一一一「夏虫、いとをかしうー・なり⑩」夏虫たるこゑの、ー・じう ( 雙ウ音便 ) 愛敬黜うづきたる、いみじうや」は推量の助動詞「む」の已然形「め」に反語の係助詞 は、たいそうおもしろくかわいらしい 心あくがれ、せむかたなし」訳夜が更けてからふいに鳴き「や」が付いた形で、結局「ざらむ」の意となる。 ( 形ク ) かわいい。いとおしい。愛らし出した ( ほとときすの ) 声が、上品で美しく魅力があるのは、 寝毯↓第参照 * らう・た・し い。 ( 見た目に ) 可憐 2 んである。〔〔屬〔〕とても心がひかれて、どうしようもない。 形の上では、上二段・下二段・カ行変格・サ行変 一五一「をかしげなる児ちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつ * ・らか ( 接尾 ) ( 名詞・形容詞の語幹などに付いて ) 「いかに一格・ナ行変格活用動詞の終止形、上一段活用動詞の くしむほどに、かいっきて寝たる、いとー・し⑩」かわい も・ : と感じられるさまである」の意の形容動詞の語幹をつ一未然形と考えられた形に付く。また、助動詞「しむ」「つ」 らしい赤ん坊が、ち「と抱いて遊ばしたりあやしたりするくる。「ある人、鮮ー・なる⑩ものもて来たり」一「ぬ」「ゆ」などの終止形と考えられた形にも付く。上接の ある人が、新鮮な魚を持「て来た。一一七五「女は額髪語を名詞化する働きがあり、中古以降は「おそらく」「老 道長上「その御車副るひをば、いみじうー・く⑩せひ晴れー・に⑩掻かきやり」女は額を隠すために垂いらく」などの語にいわば化石化されて残り、現代に至っ させ給ひ、御かへりみありしは」 ( 道長は ) その御車副い れかけた髪をさつばりとかきあけて。【例語】浅らか・厚らかている。接尾語「く」と補いあい、四段・ラ変の動詞、形 (= 牛車の左右に「きそう従者 ) をたい〈んかわ〔がりなさ (= 厚ほ「たいさま ) ・荒をらか・粗をらか (= 粗悪なさま ) ・薄一容祠、助動詞「けり」「り」「む」「す」などには、「く」が付い り、目をかけておやりになったことであるよ。 ( 「らうたくす」でらか・多らか (= 多いさま ) ・重らか (= 落ち着いているさま ) ・軽一て名詞化する。この「らく」と「く」との複雑な接続を統一 「かわいがる」意となる ) 。「ありしは」の「は」は、詠嘆らか・かわらか ( " さわやかなさま ) ・煌きららか↑きらきらと美し的に説明するため、「あく」という語を想定して、上の語の の終助詞。 いさま ) ・強こはらか ( " ごわごわしたさま ) ・爽さはらか ( Ⅱさつばり、連体形にこれが付いたと見る説があり、本書はこの説によ 〔学習〕「らうたし」 しているさま ) ・高らか・円つづらか↑目のまるまるしたさま ) ・Ⅷっている。↓あく ( 接尾 ) いたわる意の漢語「労」に、程度がはなはだしい意の円つぶらか ( 日丸くふつくらしているさま ) ・なよらか ( 日しなやからく【洛】 ( 名 ) ( 「洛陽」の略から ) みやこ。特に、京都を 形容詞「甚いたし」が付いてできた語。世話をしていたわ で美しいさま ) ・憎らか・伸びらか・早らか・低ひきらか (= 低い いう。〔幻住庵記〕「このたびーにのばりいまそかりけるを」 ってやりたいさまにいう。かわいがる意の動詞「らうたが さま ) ・広らか・脹ふくらか↑ふつくらして柔らかみのあるさ函このたび京にのほっていらっしやったのを。 る」 ( ラ四 ) 、かわいらしいさまにいう形容動詞「らうたげな ま ) ・丸まろらか↑丸くふつくらしたさま ) ・短らか・群れらからくーきよじ【落居】 ( 名・自サ変 ) ①物事が定まり落 り」は派生語。なお、類義語の形容詞「うつくし」は肉 ( 日群れをなすさま ) ・安らか・揺ららか ( " ゆらゆらと揺れるさち着くこと。落着。製一三・法印問答「近年、朝廷しづ 親、特に幼少の者の愛らしい感じにいい、形容詞「らうま ) ・緩ゆるらか (= ゆったりしたさま ) ・わららか (= 陽気なさま ) かならすして、人の心もととのほらす。世間もー・せ①ぬさ らうじ」は洗練された気品のある感じにいう。 ら・がい【羅蓋】 ( 名 ) 絹のうすもので張った大型の日傘まに成り行くこと」近年、朝廷が平穏でなく、人の心 さ。貴人の頭上にさしかけるもの。一かぐや姫の昇天も調子がそろわない。世間も落ち着かないようすになって
和歌三首による古語辞典引き方ガイド ・秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 自立語で活用 含秋上。↓ニ一べージ ) のある動詞・ 形容詞・形容 「円、 0 終止形 ^ 自発〉に ( 動力変 ) な 連体形 さやかなら ( 動下一 l) ぬに 己然形付属語のうち 、目に」 - はよ 0 ー・か 見えねども風の音にぞおどろかれぬる ぬ 命令形 活用のある助 おどろき るぬれ くぬる さやかなり見え〇 動詞。 おどろくるるね さやかなる見ゅ くるぬれ 係り結び おどろくるれ さやかなれ見ゆる くれね ・単語ごとに分け、活用する語 さやかなれ見ゆれ おどろけ ( し こま ) は言い切りの形 ( 終止形 ) で おどろけ 見えよ 引く。ただし、形容動詞は語 幹で引く。 ・起きもせず寝もせで夜をあかしては春の物とてながめ暮らしつ ( 含恋三。↓起く① ) . 上一一段活用・下一一段活用の動 形続 ( 動四 ) 形続 ( 動四 ) ( 動下一 l) ( 動上一 l) 用接 詞の終止形は、連用形の語尾 ながめくらさて 亠の、か」燵 ( 動サ変 ) は 起き ( 動サ弯 0 ね をウ段にするとわかりやすい っ 起きもせずねもせで夜をあかし 0 は春の物とてながめくらし 起きーーー↓起く ( ウ段 ) あかす ながめくらすつる しすぬ 見ゅ ( ウ段 ) あかす ながめくらすつれ 起くるすぬぬるす ながめー↓ながむ ( ウ段 ) あかせ ながめくらせてよ 起くれするねぬれする ながらへ↓ながらふ ( ウ段 ) ・本辞典では、 引きやすさを考 あかせ ながめくらせ 起きょすれ〇ねよすれ え、主要助動詞は六つの活用 せよ せよ 形すべてを見出しに立ててい ・ながらへばまたこのごろやしのばれん憂しと見し世ぞ今は恋しき る。また、よく出てくる言い ( 観同雑下。↓六ニ一べージ ) 回しは連語の形のままで、収 ( 形シク ) 録されている歌謡・和歌・俳 せ 〇 ( 形ク ) ・ 句は初句の五文字で引けるよ うにしてある。 〇〇 止 ( 動上 I) 〇 恋しく 歴史的かなづかいで引く。 ( 前 見 ( 動四 )< 自発〉ん憂く 付「歴史的かなづかい一覧」 ながらへばまたこのごろやしのばれん 憂しと見し世ぞ今は恋しき 一二ページ参照 ) ながらへ しのびれめ憂き るしか 赤 5 しけれ ・本辞典では、例えば「男 ( をと ながらふ しのふる〇憂けれ見る〇 こ ) 」は「おとこ」、「参 ( まゐ ) ながらふる しのぶるる〇 見れ る」は「まいる」からも引け ながらふれ しのべるれ 見よ るよう、カラ見出しを多く立 ながらへよ しのべ〇 てている。 ( 動下一 l) ( 形動ナリ )
めうーめくし る ) ・ふためかす ( Ⅱはたばたさせる ) ・仄ほのめかす ( 日それとなくめく ) ・朧おぼめく (= 知らないふりをする ) ・親めく↑親らしくふ めうウョ【妙】 ( 名・形動ナリ ) ①非常にすぐれていること。 非常にじようすなこと。巧妙。〔松嶋前書〕「さまざまの言う ) ・群むらめかす ( Ⅱ群れをなす ) ・物めかす ( 日一人前に扱るまう ) ・かかめく ( " かかと鳴く ) ・才かどめく↑才能があるよう に見える ) ・からめく ( Ⅱからからと鳴り響く ) ・唐からめく・乾 嶋々、奇曲天工のー・を刻みなせるがことく」訳 ( 松島う ) ・態わざとめかす ( Ⅱわざとらしくする ) からめく↑かさかさして骨ばって見える ) ・がらめく ( " がらがら 湾内には ) さまざまの島々 ( が浮かび ) 、その珍しい趣は天然め・かり【海布刈り・和布刈り】 ( 名 ) わかめを刈ること。 のわざが妙技をふるったようで。②非常に不思議なこと。圈。〔謡・和布刈〕「年は暮るれと緑なやーの今日の神祭と鳴り響く ) ・軋きしめく・煌きらめく・転くるめく ( Ⅱくるくると 奇妙なこと。〔仮名・仁勢物語〕「起きもせす寝もせで夜り」訳年は暮れても緑の色のわかめを刈って、今日の神回る ) ・こそめく ( 日かさこそ音をたてる。こっそりとする ) ・こほ めく (= ごとこと音がする ) ・子めく↑子供つばく見える ) ・さざ も又昼も ! な⑩ ( ロ語 ) 顔とて眺め暮らしつ」函起きる事を執とり行い。 るい . いれし目が離れる。めく ( 日がやがやと騒ぐ ) ・侍めく ( 第侍のようにふるまう ) ・さ わけでもなく寝るわけでもなく、夜も昼も奇妙な顔だと思 * めーか・る【目離る】 ( 自ラ下一 l) 宀れ って眺め暮らした。 しだいに見なくなる。離れていて会わなくなる。一一四六らめく ( Ⅱさらさらと音がする ) ・ざんざめく ( 日騒きたてる ) ・しじ め・うっし【目移し】 ( 名 ) 一つのものを見なれた目でほか「世の中の人の心はー・るれ@ば、忘れぬべきものにこそあめくやかましく声をたてる ) ・しなめく・上衆めく ( Ⅱ貴人 の物を見ること。花宴「次に頭の中将、人のーもためれ」訳世の中の人の心というものは、離れていて会わならしくふるまう ) ・すめくすうすう大きな息づかいをする ) ・そ だならず思おぼゅべかめれど」訳次に頭の中将は、人が ( そくなると、忘れてしまうのが当然のもののようだ。「忘そめく↑ざわめく。そわそわする ) ・そめく ( 日騒ぐ ) ・ぞめく↑騒 れまで光源氏に向けていた ) 目を自分に移して見るのを、れぬべき」の「ぬ」は、助動詞「ぬ」の終止形で、ここは確述ぐ ) ・そよめくそよそよと音がする。ざわめく ) ・ぞろめく↑ぞ 落ち着かなく思っているようだけれども。 の用法。「あめれ」は、「あるめれ」の撥音便「あんめれ」のろぞろと続いて行く ) ・だくめく胸がどきどきする ) ・つつめ く↑ささやく ) ・どよめく・艶つやめく ( Ⅱつやつやとして見える ) ・ めう・もん屬ウ【妙文】 ( 名 ) 巧妙な文章。すぐれた文。「ん」の表記されない形。 特に、「法華経う」の称。一一灌頂・大原御幸「八軸めーかれ【目離れ】 ( 名 ) 目が離れること。会わないでいる時めく ( 日時勢に合って栄える ) ・どしめく ( Ⅱ大声でどなりち のー、九帖の御書も置かれたり」法華経八巻、御こと。一一会「思へども身をし分けねばーせぬ雪の積もらす ) ・とちめく①つろたえる ) ・轟とどめく↑わいわいがやがやと 書九帖も置かれてある。 るぞわが心なる」訳いつも参上したいとは思っているが、騒ぐ ) ・轟どめく ( 日とどろく ) ・動どよめく・生なまめく↑みすみ めか・し ( 接尾シク型 ) ( 名詞や形容詞・形容動詞の語わが身を一一つには分けられないので、 ( 今 ) この目を離すことずしく見える ) ・ののめく ( Ⅱ大声で騒ぐ ) ・花めく↑はなやかに 幹に付いて ) 「 : ・のようである。 : ・らしい。・ : 風ふうだ」などもできないほど激しく降り続いている雪が積もって帰れな見える。栄える ) ・はらめく↑ばらばらと音をたてる。ほろほ の意の形容詞をつくる。些桐壷「おほえいとやむことな くなるのが、私の望むところである。 ろに破れる ) ・春めく・犇ひしめく ( 日ぎしぎし鳴る。押しあいへ く、上衆ー・しけれ@ど」 ( 桐壷の更衣は人々からめ・きき【目利き】 ( 名 ) 物事のよしあしゃ刀剣・書画・骨しあいする ) ・密ひそめく・人めく↑人間らしく見える ) ・ひひめ の ) 信望も非常によく、貴人らしいようすであるが。然一董などの真贋↑本物と偽物 ) や良否を見分けるこく ( Ⅱびいびいと声を立てて鳴く ) ・閃 2 らく ( Ⅱびかりと光る。 ひらひらとひるがえる ) ・閃ろく↑びかびかと光る ) ・広めく 一 0 「今ー・しく⑩きららかならねど」訳当世風ではなく、と。また、その人。 けばけばしくないけれども。 ( 接尾カ四型 ) ( 名詞、形容詞・形容動詞のふらふらと歩き回る ) ・武左ぶぎめく↑田舎武士のようにふ ・め・く 語幹、副詞、擬声語・擬態語などに付いて ) るまう ) ・ふためく ( Ⅱばたはたと音をたてる ) ・ぶめく ( Ⅱぶんぶん めか・す ( 接尾サ四型 ) ( 名詞、形容詞の語幹、擬声 * 語・擬態語などに付いて ) 「・ : のようにする。・ : らしくする。 「・ : のようになる。・ : らしくなる。・ : という音を出す」など羽音をたてる ) ・古めく・ほとめく↑ことことと音をたてる ) ・ ・ : という音を出させる」などの意の動詞をつくる。〔〕一の意の動詞をつくる。一少女「木深くおもしろく、山仄ほのめく ( Ⅱほのかに見える。ほのめかす ) ・むくめく (= もぞも 六七「わざととりたてて人ー・す⑩べくもあらぬさまなれど」里ー・き⑩て」 ( 森のように ) 木が茂って趣が深く、山ぞと動く ) ・目眩るめく・由よしめく↑由緒ありげに見え わざわざとりあげて人間並みに扱うこともできそうにな里のようであって。一 = 七五「『この中将に扇の絵のこる ) ・態わざとめく ( Ⅱわざとらしく見える ) ・痴をこめく ( Ⅱばかけて いようすであるが。一五六「蔵人のいみじく高く踏みこといへ』とさ六 }—・け@ば」「この中将 ( Ⅱ成信 % ) に扇見える ) ・喚をめく↑大声で叫ぶ。わめく ) ほー・し⑩て」訳蔵人がたいそう足音高くどしんどしんの絵のことを言って」と小声で言う↑ささやく ) ので。【例めぐ・し【愛し】 ( 形ク ) 《上代語 ) ①いたわしい。あわれ と踏み鳴らして。【例語】がらめかす↑がらがらと音をたて語】婀娜あだめく↑浮気つばく見える ) ・あめく (= 大声を出だ。かわいそうだ。〔一一一・ = 五六 0 「人もなき古ふりにし里 させる ) ・くつめかす (= 喉のどをくつくっと鳴らさせる ) ・転くるめす。わめく ) ・急いそめく ( Ⅱ忙しそうにする ) ・今めく ( 日現代風にある人をー・く⑩や君が恋に死なする」人もいない かす ( 日回転させる ) ・さざめかす ( 日ざわっかせる ) ・さらめかす (= にふるまう ) ・苛いらめく ( Ⅱ角ばって見える ) ・いりめくもみあ古びた里に ( ひっそりと ) 住んでいる人 (= 私 ) を、かわいそうな さらさらと音をさせる ) ・ざんざめかす ( Ⅱにぎやかに騒ぎたてう ) ・色めく ( い色づく。好色めく ) ・呻うめきすめく↑苦しい息ことには、あなたがこがれ死にさせるのか。②かわいらしい る ) ・時めかす ( Ⅱ時めくようにする ) ・閃かす↑ひらひらさせづかいをする ) ・呻うめく↑うっと声を出す ) ・蠢おごめく ( 日うこ いとおしい。三人 00 「父母を見れば尊し妻子めこ見れ