用いる - みる会図書館


検索対象: 旺文社 全訳古語辞典
668件見つかりました。

1. 旺文社 全訳古語辞典

あども・ふ【率ふ】 ( 他ハ四 ) 窈・ }( 上代語》引きあな・かしこ①ああ、恐ろしい。ああ、おそれおおい。あらわし〔侮らわし】↓あなづらはし つれる。 = ・一究「御軍士紿をー・ひ⑩給ひ」皇三 0 「しかしかのことは、ー。 あとのため忌いむなること * あなた ( 代 ) 【彼方】①遠称の指示代名詞。⑦方向を 軍を引きつれなさり。 ぞ」これこれのことは、ああ、おそれおおいことだ。遺族さす。向こうのほう。かなた。あちら。〈 = 「山崎のー 一説に、声をかけて隊列などを整える意とも。 の方たちのために ( 不吉だから ) 避けるということだ。②手に、水無瀬といふ所に宮ありけり」訳山崎のむこう あと・を・た・る【跡を垂る】〔「垂迹く」の訓読〕仏・紙の終わりに用いて、敬意を表す語。かしこ。 3 ( 元来のに、水無瀬という所に離宮があった。④時間を示す。以 菩薩が衆生うを救うために、仮に神の姿となって現「ああ、おそれおおい」の意が失われ、下に禁止を表す語を前。昔。また、これから先。将来。〕 = 九 = 「昨夜よべも、 れる。圜明石「まことにー・れ⑩給ふ神ならば、助け給伴って副詞的に ) 決して ( ・ : するな ) 。五・咸陽宮「こ昨日の夜も、そがーの夜も、すべて、このごろうちしきり見 へ」本当に衆生を救うために現れなさる神であるならのことー、人に披露うすな」このことは決して人に伝ゆる人の」訳昨夜も、一昨夜も、その前の夜も、すっと、 え広げるな。 ば、お助けください。 このころしきりに顔を見せる人が。②〔「貴方」とも書く〕 ( 感 ) ああ。あら。まあ。 = 三六「ーめでたや。こ感動詞「あな」 + 形容詞「畏 3 しし」の語幹「かし人称代名詞。①の転用で、敬意を含んで用いる。⑦他 の獅子ヒの立ちゃう、いとめづらし」ああ、すばこ」 称。あちらの人。あのかた。〔落窪〕「この落窪の君の、 らしいことだ。この獅子の立ち方は、たいへんめすらしい ②は、古くは男女ともに用いた。 ーにのたまふことに従はす、悪しかんなるはなぞ」この 喜怒哀楽いずれにも用い、多く、あとに形容詞の語 * 幹 ( シク活用では終止形 ) を伴う。強めて、「あな・ : や ( 感 あながちま一方的だ。身勝手だ。〔記〕上「そのに従わないで、悪いということ ( だがそれ ) はどうしてだ。④対 兄れろー・こ 動の間投助詞 ) 」の形をとることも多い ⑩乞こひ徴はたりき」その兄はむりやりに ( 弟称。現代語より敬意が高い。あなた様。あなた。 がなくした釣針を ) 請求した。 * あ・ない【案内】〔「あんない」の撥音「ん」の表記されない あなた・こなた【彼方此方】 ( 代 ) あちらこちら。また、あ 形〕 0 ( 名 ) ①「案公文書の下書き・写し」の内容。 ②度を越している。異常だ。區貴公子たちの求婚れこれ。国一五 = 「ーに住む人の子の四つ五つなるは、あ ②文書の内容。草案。〔紫式部日記〕「頭の弁してーは「この人々、・ ・に⑩こころざし見えありく」この ( 五やにくだちて」訳 ( 近所の ) あちらこちらに住む人の子供で 奏せさせ給ふめり」頭の弁に命じて、 ( 加階の ) 草案は人の ) 人々は、 : ・異常なまでに志のあるところを見せてまわ四、五歳であるのは、いたすらで。 奏上させなさるようだ。①物事の事情や内容。一花る。 要た・至【彼方様】 ( 代 ) あちらのほう。向こうのほ 山院「大臣にも変はらぬ姿今一度見え、かくとー申し ①ひたむきだ。いちすだ。たって。桐壷「ー・に⑩御う。宿木「ーに向きてぞ添ひ臥ふしぬる」 ( 浮舟 て、必す参り侍らむ」 ( 父の ) 大臣にも変わらない姿前ま〈去らずもてなさせ給ひし程に」 ( 桐壷帝が桐壷のは ) 向こうを向いて物にもたれかかり横になった。 出家前の姿 ) をもつ一度見せ、こういうわけでと ( 出家する ) 更衣を ) いちすに御前から離さないように扱「ていらっしゃ * アナズラワシ【侮らはし】 ( 形シク ) ①あなど られた間に。 事情を申し上げてから、必す ( ここに ) 参上しましよう。 あなづらは・しってよい。圜玉鬘「よからぬ ( 名・他サ変 ) ①取り次ぎを頼むこと。三一一「思 ( 副 ) ( 下に打消や反語の語を伴って ) 必すしも。めった者どもなどの、ー・しつウ音便 ) するもかたじけなきわざな おぼし出いづる所ありて、ー・せ璽 0 せて入り給ひぬ」思に。決して。盟一 0 ・首渡「範頼芻・義経が申し状、り」函性質のよくない者どもなどが、軽蔑するように い出されると =. らがあって、取り次きを請わせてか負その家ー御許容あるべからす」範頼や義経の申すことは、め扱うのももったいないことである。 に ) おはいりになった。②事情を明らかにすること。また、問 ったにお許しになってはいけない。 ②気がおけない。遠慮のいらない。〔栄花〕浦々の別「ただ いただすこと。 C*J = 「宮の辺にー・し⑩に参らまほし * あな・かま ( 人の発言を制止して ) ああ、やかましい。しい右近をば、むつまじうー・しき⑩方かたにてと」ただ右 けれど」函中宮のあたりに事情を間いただしに参上したっ、静かに。圜大納言殿の姫君「ー、人に聞かすな」近を、親密で気のおけない者として ( 使うつに ) と。 しカ しいつ、静かに、人に知らせないで。 〔学習〕「あなづらはし」 軽蔑する意の動詞「あなづる」 ( ラ四 ) に対応する 團「あンない」と読む。平安時代は「ん」を発音しても感動詞「あな」 + 形容詞「かまし (= やかましい ) 」の 表記しないのがふつうであった。 語幹「かま」。 ( 一説に、「かまびすし」の「かま」とも ) 形容詞。軽蔑したくなるさま、軽蔑にふさわしいさまに あなーう【あな憂】ああつらい。ああいやだ。團雑下「事あな・ぐ・る【探る】 ( 他ラ四 ) 勗〉探し求める。せん用いる。②は、軽蔑にふさわしい↓尊敬しなくてよい しあればまづなげかれぬー世の中」何か事があると、まさくする。〔舒明紀〕「すなはち出」でて畝傍山に入る。 ↓遠慮がいらない↑気が許せる ) という関連で生じたも っさきについ嘆かれてしきつ。ああつらい、この世の中は。 因よりて山をー・ス」すると逃げ出して畝傍山に入の。 る。そこで山を探す。 感動詞「あな」 + 形容詞「憂うし」の語幹「う」 あともーあなっ 〔四こ

2. 旺文社 全訳古語辞典

秤の目方に ( 狂いなく ) きちんと ( 量って餅もちを ) 受け取っ②自発の意を表す。自然に・ : れる。 : ・ないではいられな「思ふ」「思ひ惑ふ」など心の動きを表す動詞、「ほほ笑む」 て ( 餅屋を ) 帰した。②【凜と】姿・態度などのきちんとしてい。 一團秋上「秋来きぬと目にはさやかに見えねども風のⅧ「泣く」「見やる」など感情の表れを表す動詞に付くことが いるようす。きり 0 と。〔狂・佐渡狐〕「目はた「にー立 0 音にぞおどろかれ⑩ぬる」訳↓あききぬと・ = 一一多い ③③の可能の意味で用いるときは、平安時代には打消 て、ロはくわっと耳せせまで裂けてある」目は縦にびん徒一五七「筆を執とればもの書かれ⑩、楽器を取れば音ね と切り立って、ロはくわっと耳のうしろの小高い骨まで裂を立てんと思ふ」訳筆を執ると ( 必ず ) 何か書かないではの語を伴って不可能を表すのがふつうで、中世以降、単 いられなくなり、楽器を取ると ( 必す ) 音を立てようと思う。独の可能の例がみられるようになる。 けている。 ④④の尊敬の意で用いる「る」は「給ふ」に比べると敬意 3 可能の意を表す。 : ・ことができる。氏桐壷「御胸 りん・ね【輪廻・輪回】 ( 名・自サ変 ) 「りんゑ」に同じ。 りん・めい【綸命】 ( 名 ) 「りんげん」に同じ。一一・殿のみ、つとふたがりて、つゆまどろまれ①ず、明かしかねさせの度が低く、「・ : れ給ふ」という形で尊敬に用いることはな 上闇討「兵杖を給はりて宮中を出入。するは、みな給ふ」 ( 桐壷帝は ) ただもうお胸がぐっとつまって、少し。かった。平安時代も末になると、尊敬の例がふえてくる 格式の礼をまもる。ーよしある先規れんなり」随身もうとうとすることができす、 ( 夏の短夜を ) 明かすことがが、それらの例をみても、天皇・大臣といった人々の動作 をいただいて↑連れ歩くことを許されて ) 宮中に出入りするできすにいらっしやる。一会「家の作りゃうは夏をむねⅧに用いられる例は少ない。広く尊敬の意で用いるようにな 者は、すべて格式に定められた礼法を守るものだ。 ( これらとすべし。冬はいかなる所にも住まる⑩」函家の造り方、るのは中世以降である。 また、他の尊敬語「おばす」「おばしめす」に付いた「る」が は夏を中心にするのがよい。 ( 人は ) 冬にはどんな所にでも は ) 勅命によって定められた由緒ある先例である。 - 尊敬になるのは中世以降で、平安時代の用例では尊敬 りん・ゑ爿【輪廻・輪回】 ( 名・自サ変 ) 〔連声豊うで「り住むことができる。 んね」という〕① ( 仏教語 ) 車輪が無限に回るように、衆④尊敬の意を表す。お・ : になる。 : ・なさる。氏若紫Ⅷにはならない。したがって、 生うの霊魂が成仏できないで転々と他の生をうけ、永「人々、近うさぶらはれよ◎かし」訳お付きの人はみな、「御門、なほめでたく思おぼしめさるること、せき止め がたし」 〈竹取・御門の求婚〉 久に流転 3 んすること。転生。窟一六・三一一「天の楽しびな ( 姫の ) そば近くお控えなさいよ。第「かし」は、強く念を一 ほ久しからすして遂。ひにーに堕だす」訳天上界での楽しおす意の終助詞。一一初瀬「など、かくし歩ありかるる一「女御とだに言はせずなりぬるが↑女御とさえ人々に言 Ⅷわせないままになってしまったのが ) あかす口惜しうお みはやはり永遠のものではなくてついには輪廻転生の世界⑩ぞ」どうして、このようにお歩きになるのか。 ばさるれば」 〈源氏・桐壷〉 に堕おちる。②執念深いこと。くどいこと。〔浄・出世景「かくし」の「し」は、強意の副助詞。 などは、自発とみるべきものである。 清〕「ー・し⑩たる女かな。そこのけと突きのけて」訳執四段・ナ変・ラ変の動詞の未然形に付く。 なお、可能・自発の意味の用例には、命令形がない。 念深くつきまとっている女だな。そこをどけと突きのけて。 用未然連用終止連体已然命令 る助動詞「りあ連体形。〈・一哭一「わが宿の花橘 連歌で、一句を隔てて三句目に、同じ内容の語句を ( 0 ) ( コト ) ( ドモ ) ( 0 ) ( ズ ) ( ケリ ) にほととぎす今こそ鳴かめ友にあへる時」私の家 繰り返すこと。これは避けるべきものとされている。 るるるるれれよ の庭先の花橘で、ほとときすよ、今こそ鳴くがいい。友と 会っているこの時に。徒一皂「ほととぎすや聞き給へ 田①の受身の意味で用いるとき、平安時代には、 「る」は「留」の草体 無生物を主語にすることは少なく、まれに無生物を主語る」ほととぎすの鳴き声をお聞きになったか。 にする場合には、 るい【類】 ( 名 ) ①仲間。同類。同種のもの。取一竜の 「ル」は「流」の終画 頸の玉「竜たつは鳴る神のーにこそありけれ」竜は雷の 「大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが」 〈枕・ = 00 〉仲間だったのだ。②親類。一族。一門。一一子忍びの ( 助動下二型 ) ①受身の意を表す。・ : れる。「凸のつに、動作をおよばすものをはっきり一小さないのがふつう森「京とても、たのもしう迎へとりてむと思ふー、親族れくも である。ただし、自分の意志と無関係に行われた動作になし」京とはいっても、頼りになって引きとってくれそう 芸「姑に思はるる①嫁の君」訳夫の母にかわい がられるお嫁さん。一皂「すべて男をば、女に笑は迷惑を感ずる意を表す、いわゆる「迷惑の受身」の用例はだと思う一族や親族もない。 るい・だい【累代】 ( 名 ) 「るいたい」とも。代を重ねるこ れ①ぬゃうにおほしたつべしとぞ」訳一般に、男をば女に古くからある。 と。代々。一究「ーの公物、古弊 2 いをもちて規模 「・ : 春は霞にたなびかれ夏はうっせみなきくらし」 笑われないように養育するのがいいということである。 〈古今・雑体〉とす」代々伝えられてきた朝廷の器物は、古くて破 係助詞「ぞ」のあとに結びの語「いふ」などが省略されてい る。 Ⅷ②の自発の意味で用いるときは、「推し量る」「驚く」損していることをもってよい手本とする。 りんねーるいた 〔九一九〕 る 3 文法

3. 旺文社 全訳古語辞典

主要助動詞活用表 ( 基本形 ) ( 未然形 ) ( 連用形 ) ( 終止形 ) ( 連体形 ) ( 巳然形 ) ( 命令形 ) ( 活用型 ) ( 接続 ) 完了 た ぬ っ p. 915 p. 660 p. 542 p. 558 たらたりたりたるたれたれラ変型連用形 ら て ナよ て ぬぬるぬれねナ変型連用形 っ つるつれてよ下二段型連用形 る れ れラ変型 ( 意味・用法 ) ① 動作・作用が実現し、完了した意を表す。・ : た。・ : てしまう。 : てしまった。 動作・作用の実現を確信したり、確認したりする意を表す。 確述 ( 強意 ) の用法。の単独て用いる場合。必ず・ : 。確かに・ : てしまう。④推量の助動詞とともに用いて、「てむ」「てまし」 「つべし」などの形になる場合。推量・意志・可能などの意を、 「確かに」「きっと」「必ず」の気持ちて述べる。 ・ ( 中世以降の用法 ) 終止形を重ね用いた「・ : ? : つ」の形て、一一 つの動作・作用が並立している意を表す。・ : たり・ : たり 重イ・作用が実現し、完了した意を表す。・ : た。・ : てしまう。 : てしまった。 ②動作・作用の実現を確信したり、確認したりする意を表す。確 述 ( 強意 ) の用法。の単独て用いる場合。必ず・ : 。確かに・ てしまう。④他の助動詞とともに用いて、「なむ」「なまし」「ぬべ し」などの形になる場合。推量・意志・可能などの意を、「確か に」「きっと」「必ず」の気持ちて述べる。 3 ( 中世以降の用法 ) 終止形を重ね用いた「・ : ぬ・ : ぬ」の形て、一一 つの動作・作用が並立している意を表す。・ : たり ①動作・作用が完了した意を表す。・ : た ②動作・作用の結果が存続している意を表す。・ : ている 3 動作・作用が継続している意を表す。・ : ている。 0 その状態てあること、またはその性状をそなえていることの 意を表す。・ : ている。・ : た ・ ( 中世以降の用法 ) 終止形を重ね用いた「・ : たり : ・たり」の形 て、二つの動作・作用が並立している意を表す。 ① 動作・作用が継続している意を表す。・ : ている。 カ乍・乍用の結果が存続している意を表す。・ : ている。・ : で 四段の巳然形②重イイ サ変の未然形ある。 3 動作・作用が完了した意を表す。・ : てしまった。・ : た ①カ 〔九六一 l)

4. 旺文社 全訳古語辞典

さすーさすか ます ) 歌を詠んでから盃を勧めよとおっしやったので。②火大進平生昌の家に、中宮 ( 定子 ) が ( お産のため ) お出かけ、「・ : せさす」となるはずなのに、中世以降「 : ・さす」という形 をともす。一 = 一 = 「紙燭れくー・し⑩て、くまぐまをもとめになられるにつけて。罕厳島御幸「上皇は・ : 玉体一が用いられるっになる。 「いかでか (= どうして ) 御声をも聞き、御姿をも見参らさ しほどに」調紙燭↑照明具 ) に火をともして、すみすみをもいとどうつくしうぞ見えさせ⑩おはしましける」医 ( 高 - 探していたうちに。 3 塗りつける。色をつける。 〈平家・三・僧都死去〉 倉 ) 上皇は・ : おからだもいっそう美しくお見えになられてい一せ給ふべき」 さ・す【刺す】 ( 他サ四ニさ す〉①突きさす。一平家一〈・た。 一「ともかくも総並みに ( 日すべて ) 任させられい」 妹尾最期「鎧の草摺りひきあげ、柄つかも拳毖もとほ 3 謙譲の意の「聞こゅ」とともに用いて、最高の謙譲の意Ⅷ 〈天草本伊曾保〉 れとほれと、三刀ー・いイ音便 ) て首をとる」訳鎧を表す。申し上げる。お : ・申しあげる。一源氏一夢浮橋「みさ・す【座主】 ( 名 ) 一山の寺務を総理する最高の僧職。 の草摺り (= 胴の下に垂れ下がった部分 ) を引き上げて、づから聞こえさす⑩べきことも多かれど」私自身がのちには特に比叡山延暦寺齪の長。籐葵「山 ( 刀の ) 柄も拳も通れ通れと、三度さして ( 殺し ) 首を取る。申し上げなければならないことも多いが。「〕 = 七〈「いっしのー、なにくれやむことなき僧ども」比叡山延暦寺の 棹さおで水底をついて船を進める。「棹ー・せ@どか出いでさせ給はなむと待ち聞こえさする⑩に、いと久座主や、だれそれという尊い僧たちが。 する . 籵せよ〉座る。〔轢一 底雙も知らぬわたつみの深き心を君に見るかな」訳棹をし」訳 ( 中宮の御輿しも ) 早くお出になられてほしいなあさ・す【座す・坐す】 ( 自サ変ニせ・ 突き立てても底もはかり知れない海のように深い心をあなとお待ち申しあげていると、たいそう時間がかかる。第一五七「散乱の心ながらも、縄床いにー・せ①ば、覚えすし たに感じることだ。 3 もちざおで鳥をとらえる。〔仮名・伊「給はなむ」の「なむ」は、あつらえの終助詞。 て禅定うなるべし」乱れた心のままでも、縄床 ( 日座 曾保〕「竿さをの先にとりもちをつけて、かの鳩はとをー・さ① 0 軍記物などで、受身の「らる」に代えて用いる。「武者禅の座 ) に座るならば、知らず知らすのうちに禅定↑心身 んとす」訳竿の先にとりもちをつけて、その鳩をとらえよう詞 3 」といわれるもので、「 : ・られる」というところを「・ : さの深く統一された状態 ) になるであろう。 とする。④毒虫がさす。また、毒蛇などがかむ。掴突せる」と言い表す。製一九・一一一之懸「しころを傾け さす・が【刺鉄】 ( 名 ) 鐙を下げる革に付いている止め 「くちばみにー・さ①れたる人、かの草を揉もみてつけぬれよ、内かぶと射さす⑩な」訳しころを下けろ、かぶとの内金。一一三「武蔵鐙札ーにかけて頼むには問はぬもっ ば、すなはち癒」ゆとなん」まむしにかまれた人は、その側を ( 敵に ) 射られるな。平を九・宇治川先陣「山田の次らし問ふもうるさし」訳武蔵鐙のさすがではないが、さす 草 (= めなもみという草 ) をもんで ( 傷口に ) つけると、すぐなお郎がはなっ矢に、畠山け馬の額をのぶかに射させ⑩て」がに、 ( あなたのことを ) 心にかけて頼りにする私としては、便 ると ( いうことである ) 。① ( 針で ) 縫う。 山田の次郎が放っ矢に、畠山が ( 乗っていた ) 馬の額をりがないのもつらいし、 ( かといって ) 便りをくれるのも、わすら さ・す【挿す】 ( 他サ四 ) し . ① すせ蹠〉さし入れる。さしはさ矢竹の部分まで深々と射られて。 わしい。 ( 「さすが」は「刺鉄」と「さすがに」との掛詞 ) む。②髪にさす。〔〕九「桃の花をかざしにー・さ①せ」毯上一・上二・下一・下二・カ変・サ変の動詞の未 * さ・す【鎖す】 ( 他サ四 ) 介〉閉じる。かぎをかける。然形に付く。四段・ナ変・ラ変に接続する「す」と対応す * さす力ては」られない。そうもかなそうでもない。 門や戸を閉ざす。方一 = ・一一一二七「門かど立てて戸もー・しる。↓す ( 助動下一一型 ) ・さす 〔一花散里「世の中なべて厭いとはしう、おほしならるる ⑩てあるを」訳門をしめて戸も閉じてあるのに。 に、ー・なる⑩こと多かり」 ( 光源氏は ) 世の中のことは 用未然連用終止連体已然命令 ( 助動サ下二型 ) ①使役の意を表す。 : ・させ 何もかもいやだと、お思いになられるのだが、そうはいうもの さす ( ズ ) ( タリ ) ( 0 ) ( コト ) ( ドモ ) ( 0 ) る。氏桐壷「この人の宮仕への本意ほい、かな の、そのままにしてはいられないことが多い。 活させさせさすさするさすれさせよ らす遂けさせ⑩奉れ」訳この人 (= 桐壷の更衣 ) の宮仕 ( 副 ) そうはいってもやはリ。なんといっても。さすがに。 えの宿願を、きっと成し遂げさせてさしあげよ。一二 0 「さす」がサ変動詞「す」に接続する場合、文法的には靄六・廻文「入道相国、かやうにいたく情けなう振る舞 「後徳大寺大臣の、寝殿に鳶とびゐさせ④じとて縄をⅧ「せさす」となるべきなのに、中世以降「さす」という形が用ひおかれしことを、ー恐ろしとや思はれけん」訳入道柤 はられたりけるを」訳後徳大寺大臣 ( Ⅱ藤原実定 ) が、 いられるようになる。室町時代以降は、 国 ( 日清盛 ) は、このようにひどく無情にかねて行動したこと 寝殿に鳶をとまらせまいとして縄をお張りになっていたの 「御自害をだにさせらるるならばと申したれば」 を、なんといってもやはり恐ろしいとお思いになったのだろう を。 〈天草本平家〉か。↓さすがに ②尊敬の補助動詞「給ふ」「おはします」「まします」、尊「これを元服させて義経の義を下されて、義久と名乗 * さすが・に ( 副 ) それはそうだが、しかし。そうはいってもや 敬の助動詞「らる」などとともに用いて、尊敬の意をさらに った」 〈天草本平家〉はり。そうはいうものの。「凸四一「木だかき木どもの中に、 強める。最高敬語。お : ・になられる。 : ・なされる。〔〔〔〕のように「さす」がふつうになる。 もろ声になきたるこそ、ーをかしけれ」 ( うぐいすが ) 高い 〈「大進贐生昌が家に、宮の出きさせ⑩給ふに」同じく、サ行下二段活用動詞に接続する場合にも木の中で、 ( ほととぎすと ) 声を合わせて鳴いているのは、 ( 当 ② 〔三八二〕

5. 旺文社 全訳古語辞典

〔四九〇〕 せんもーそ 臣・贈位などの儀式に読まれたものをいう。 はよいであろうが、その人もまたまもなく亡くなって。のように、誤写かと疑われる用例に現れ、確かな用例は、 ぜん・もん【禅門】 ( 名 ) ( 仏教語 ) ①禅宗。〔沙石集〕「あらん」の「ん」は仮定・婉曲くの助動詞。係り結び中古の末になってから見られるようになる。↓な ( 終助〈禁 「ーは迦葉 3 ふ、正法眼蔵ふを伝へしより、 : ・初めよ「こそあらめ」は、ここは強調逆接となって下の文に続く。止〉 ) り文字をたてす」神宗は迦葉尊者が、「正法眼蔵」②特定の人やあるものをそれと明示しないで示すこと。あ ( 係助 ) 〔上代には「そ」とも〕①文中にある場合。他 ( という本 ) を伝えたときから、・ : 初めから文字で ( 教えを ) 説る人。なにがし。一れ「京に、ーの人の御もとにとて、文 の何物でもなく、まさにそ係り結び かない。②在家のままで剃髪して、仏門にはいった男書きてつく」都に ( あてて ) 、ある人の御もとへといって、 のものであるという意味での〈強意〉 ( 連体形 ) 子。入道う。一盟一一・禿髪「このー世ざかりの程は、聊手紙を書いて頼む。 強調を表す。係り結びによ花ぞ咲きたる。 3 さかいるかせにも申す者なし」訳この ( 清盛 ) 入道が全盛 ( 終助 ) ①副詞「な」と呼応し、おもに動詞の連用形って、「ぞ」を受ける文末の活 (= 花が咲いている ) * そ の間は、ほんの少し良入道のことを ) おろそかにも申し上げ * ( カ変・サ変は未然形 ) の下に付いて、「な十連用形用語は連体形となる。⑦主 る者はない。 ( 未然形 ) 十そ」の形で禁止の意を表す。・ : な。どうか : 語を強調する場合。 : ・が。團冬「大空の月の光し清 せん・り - っ剴ウ【川柳】 ( 名 ) 江戸時代、前句付けから付てくれるな。医一四・三四五 = 「おもしろき野をばな焼きそ古ければ影見し水ぞまづこほりける」函大空の月の光が け句の部分が独立した十七音の短詩。字数は俳句と草に新草まじり生おひは生ふるがに」医眺めのよい清いから、月光を映していた水が最初に凍ったのだなあ。 同じだが、季語や切れ字などの制約はない。内容は、人野をどうか焼かないでくれ。古草に新しい草がまじって生「月の光し」の「し」は、強意の副助詞。〔〕〕右 情の機微をうがち、人間の弱点をつき、社会や政治の矛えに生えるように。第「がに」は、目的・理由を表す終近ぞ見知りたる」医右近が見知っている。團春上 盾を皮肉り、権力者をただの人間に引き下ろしてあざ笑助詞。一火鼠の皮衣「人ないたくわびさせ奉らせ給ひ「春の日の光にあたる我なれど頭の雪となるぞわびし うなど、庶民の心からの笑いを表現した。前句付けの点そ」あの方をひどくお困らせ申しあけなさるな。闊き」春の日の光にあたる↑春宮錯のお恵みを受ける ) 者柄井 2 ら川柳が創始したので、「川柳」の名が生まれ恋吾君があたり見つつを居をらん生駒山ま雲な隠しそ私であるが、頭が雪↑白髪 ) となるのがつらいことだ。④目 た。↓雑 0 雨は降るとも」 ( 伊勢・ = 三にも所収 ) 訳あなたの家のあた的語を強調する場合。 : ・を。一竜の頸の玉「杏いもの 川柳 ( ) ゥ一人名一↓柄井川柳 : う りを見ていよう。生駒山を雲よ隠してくれるな。仮に雨はやうなる玉をぞ添へていましたる」すもものような玉を 降るにしても。 ( 万葉集では第一一句が「見つつも居らむ」、 つけ加えていらっしやった。◎種々の連用修飾語などを 第四句が「雲なたなびき」になっている ) 。第「見つつを」強調する場合。き「もとの住みかに帰りてぞ、さら 「そ」は「曾」の草体 の「を」は、間投助詞。 に悲しきことは多かるべき」もとの家に帰ってからこ 「ソ」は「曾」の上画 ②「な・ : そ」の「な」がなく、「そ」だけで禁止の意を表す。そ、いっそう改めて悲しいことは多いにちがいない。 : ・な。〔夫木〕雑一「散りぬともほかへはやりそ色々の木の ②「ぞ」を受けて連体形で結ばれるはすの語に、「に・を・と 葉めぐらす谷の辻風」調仮に散ってしまうにしても、も立も・ど・ば」などの接続助詞が付くと、接続助詞の支 そ【十】 ( 名 ) ( 接尾語的に用いて ) とお。じゅう。三十から他の場所へは移さないでくれ。色とりどりの木の葉をあち配を受けて結びが消滅し ( 流れ ) 、条件句となって下文に 九十までの数で、十の位にいう。「三十・四十 こちにめぐらす谷のつむじ風よ。↓そね 続いていく。タ顔「別納のかたにぞ曹司など 五十 2 ・六十・七十・八十新・九十【一」寝動詞および助動詞「す」「さす」「しむ」「る」「らる」のして人住むべかめれど、こなたは離れたり」別棟のほう 「三十一文字」「八十氏人」などと用いる。 連用形に付く。ただし、カ変・サ変の動詞には未然形にに部屋などをしつらえて人が住んでいるにちがいないようだ そ【衣】 ( 名 ) 着物。ころも。多くは「御衣びの形で用い付く。 が、こち負日西の対 ) は離れている。第「べかめれ」は、「べ る。↓御衣・御衣みそ 禁止の意を表す終助詞「な」を用いた「動詞の終かるめれ」の撥音便「べかんめれ」の「ん」の表記されない * そ【其・夫】 ( 代 ) ①中称の指一小代名詞。それ。その人。止形 + な」の形にくらべて、やわらかくおだやかに禁止する形。後の頼み「後の世も思ふにかなはすぞあらむかし そのこと。三・四奕「わが屋前にはに花そ咲きたるーを言い方であるという。中古では、女性は、禁止を言うのにとぞうしろめたきに、頼むこと一つぞありける」後世も 見れど情も行かず」わが家の前庭に花が咲いてい 「な・ : そ」の形を用いるのがふつうであった。②のように思うようにならないだろうよと気がかりであるが、頼みに思 る。 ( しかし ) それを見ても心は満たされない。三 0 「思「な」を用いない言い方は、 うことが一つだけあった。第「あらむかし」の「かし」は、 ひ出いでてしのぶ人あらんほどこそあらめ、ーもまたほどなく 「かくみだりがはしくておはしそ、そこの御料にうあなた強く念をおす意の終助詞。 うせて」 ( 故人を ) 思い出してなっかしがる人がいるうち のお食事 ) もまうけ侍らむ」 〈今昔・一九・三〉 ① ( 多く「とぞ」の形で ) 形の上では文末にあるが、①の係り

6. 旺文社 全訳古語辞典

〔四一二〕 しかしーしから ( 感 ) 相づちをうつ場合に用いる語。そうそう。いかにし・かた【仕方】 ( 名 ) ①しうち。ふるまい。手段。〔浄・浦よ ( その波打ち際から氷が張って、しだいに沖の方へ ) 遠 も。序「ー、さ侍りしことなり」函そうそう、そうで菅原伝授手習鑑〕「案じる女房を思はぬー」気づかざかってゆく波の間から、氷のように冷たく光りながらのほ したことだ。 う女房を思わないふるまい ②ものまね。身ぶりや手まね。 ってくる有り明けの月よ。 しかーして【而して・然して】 ( 接 ) 「しかうして」に同じ。 〔去来抄〕修行「左の手にて太刀たちに反そりかけ直すーし「湖上の冬の月」という題で詠んだ歌合わせの歌。 * しかし・ながら【然しながら】目 ( 副 ) ①すべて。いっさて語り給へり」函左の手で刀に反りをかけ直す身ぶりを「志賀の浦」は琵琶湖 3 わの西岸。本歌は「さ夜よふくるま 。そのまま全部。七・忠度都落「この一一、三年は、 してお話しになった。 まにみぎはや凍こほるらむ遠とほざかりゆく志賀しがの浦波 京都の騒ぎ、国々の乱れ、ー当家の身の上のことに候ふ * しか・と【確と】 ( 副 ) ①きちんと。はっきりと。完全に。 ズ後拾遺・冬〉。本歌の表面には出ていない月を歌の 間」この一一、三年は、京都の騒ぎ、諸国の乱れ、 ( それ方五・〈九 = 「ーあらぬひげかきなでて」訳↓かせまじり中心にすえ、「氷りて出づる」という鮮やかな表現で、凍て らが ) すべてわが平家の身の上のことでこざいますので。 ②・一一。②確かに。必す。〔謡・鉢木〕「さてはーお貸しつく硬質な冬の月の印象を定着した。 要するに。結局。〔古活字本平治物語〕「志はさることなあるまじいにて候ふか」調それではどうあってもお貸しにな しか・は・あれ・ど【然はあれど】そうではあるが。そのとお れども、汝が母の嘆かんこと、ーわが僻事なるべし」らないつもりでこざいますか。 3 すきまなく。ぎっしりと。りだが。囹春上「年経ふれば齢は老いぬー花をし見 ( おまえの ) 志はもっともだが、おまえの母の嘆くことは、〔太平記〕三「回廊にー並み居たり」函 ( 警固の武士は ) ればもの思ひもなし」訳↓としふれば・ : 一 結局私の罪であるだろう。 回廊長く折れ回る廊下 ) にきっしりと並んでいた。 衂たお〕副詞「然しか」十係助詞「は」 + ラ変補助動詞 ( 接 ) しかし。そうではあるが。 しかと・あら・す【確とあらす】きちんとしていない。万葉一「あり」の已然形「あれ」 + 接続助詞「ど」 当ロは中世末期以降に現れた用法である。日②の五人九 = 「ー・ひげかきなでて」↓かせまじり・ : 「しかあれど」を強めた言い方。もと漢文訓読体に 用例』とも考えられるが、「平治物語」は鎌倉時代の〔日副詞「確しかと」 + ラ変補助動詞「あり」の未然用いられ、和文では「さはあれど」を用いることが多い。 作品であるから、日②で考えるのが自然である。 形「あら」 + 打消の助動詞「す」 しか・はかり【然ばかり】 ( 副 ) 〔副詞「然しか」に副助詞 しか・しふウ【私家集】 ( 名 ) 個人の歌を集めた本。家 * しが・な ( 終助 ) 〔終助詞「しが」に感動の終助詞「な」の「はかり」が付いたもの〕これほどまでに。そんなに。万葉一四・ の集。家集。多数の歌人の歌を収める勅撰集・私撰集付いたもの〕詠嘆のこもった願望を表す。 : ・たいものだな六三一「表辺 2 はなきものかも人はー遠き家路を還か〈さく思 に対する。平安後期から鎌倉時代に盛んに編集された。あ。〔金葉〕秋「秋ならで妻よぶ鹿を聞きしがな折をりから もへば」国愛想のないものだなあ、あなたは。こんなに遠い 西行の「山家集」、源実朝謐の「金槐集」など。 声の身にはしむかと」秋ではないときに妻をよぶ鹿の家路を追い返すことを思うと。 しか・ず【如かす・若かず・及かす】 ( : ・に ) 及ばない。 ( : ・に ) 声を聞きたいものだなあ。季節がらその声が身にしみるのしか・め・やも【如かめやも】及ばうか ( いや、及びはしな 越したことはない。 ( ・ : が ) いちばんだ。轢一一三 0 「わが身をかぎつかと ( 確かめるために ) 。 い ) 二一五・〈 0 三「銀も金も玉も何せむにまされる宝 後のちにして、人を先にするにはしかず⑩」自分自身第動詞の連用形、完了の助動詞「つ」の連用形子にー」↓しろかねも・ : 一和毯 のことをあとまわしにして、他人のことを優先的にするのに 「て」、「ぬ」の連用形「に」などに付く。 〔〕四段動詞「如しく」の未然形「しか」 + 推量の助 は越したことはない。 完了の助動詞「つ」「ぬ」の連用形に付いて「てしが動詞「む」の已然形「め」十反語の係助詞「やも」 〔な一四段動詞「如しく」の未然形「しか」十打消の助な」「にしがな」の形で用いられることが多い。↓てしがな・しか・も【然も】〔副詞「然しか」に係助詞「も」の付いたも 動詞「す」 にしがな の〕目 ( 副 ) そのように。そんなにまで。方葉一一・天「三輪 漢文訓読からの語で、「・ : に ( は ) 」を受けて用いる。しか・なり【然なり】そうだ。そのとおりだ。一一〈九山をー隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや」↓み * しか・す・がに【然すがに】 ( 副 ) ( 上代語 ) 〔副詞「然「日々に過き行くさま、かねて思ひつるには似す。・ : 一生わやまを・ : しか」にサ変動詞「為す」の終止形「す」、接続助詞「がに」の間もまたしかなり⑩」毎日毎日経過してゆく状 目 ( 接 ) なおその上に。それでいて。しかるに。一一「ゆ の付いたもの〕そうはいうものの。しかしながら。さすがに。態は、前から予想してきたものとは似ても似つかない。 : く河の流れは絶えすして、ー、もとの水にあらす」 ( いっ 〈・一四四一「うち霧きらし雪は降りつつー吾家の園一生の間もまたそのとおりだ。 も滔々と ) 行く川の流れは絶えることがなくて、それでい にうぐひす鳴くも」空一面をくもらせて雪は降り続い圀副詞「然しか」十断定の助動詞「なり」 て、 ( そこにある水は ) もとの水ではない。 ている。しかしながら私の家の庭にうぐいすが鳴いているよしがのうらや・ : 一一【志賀の浦や遠とほざかりゆしから・ず・は【然らすは】そうでなければ。さもなければ。 ( もっ春だ ) 。 く波間擎より氷こほりて出いづる有り明けの一一九・生すきの沙汰「組んで死ぬるか、ー西国へ向かう 中古以降は「さすがに」が用いられた。↓さすがに 月。き】〈新古今・六・冬・奎九・藤原家隆〉志賀のて、一人当千と聞こゆる平家の侍どもと軍して

7. 旺文社 全訳古語辞典

むくいーむこか むくい【報い】 ( 名 ) ①仕返し。返報。一「海賊ーせまえている人は、人の恩を受けたなら、必す恩返しを , 長け撥音便「ざんめり」の「ん」の表記されない形。 ①それ以外の何ものでもないさま。完全。一源氏一薄雲「今 むと言ふなることを思ふうへに」海賊が ( 貫之に対ればならない。 いはーの親ざまにもてなして、あっかひ聞こえ給ふ」 ( 光 する ) 仕返 , するだろうと言っているといううわさを心配むぐら【葎】 ( 名 ) つる草の総称。荒れはてた家や貧し するうえに。②ある行為の結果として身に受けるもの。応家の形容に用いられる。夏。一一九・四一一 PO 「ーはふ賤いや源氏は ) 今ではまったくの ( 梅壷の ) 親の態度で振る舞っ 報。果報。一出五「貧賤のーのみづからなやますか」しき屋戸やども」医むぐらのはい茂るむさくるしいこの家て、お世話し申しあげなさる。 ・程度のはなはだしいさま。若菜上「ーの末に参り 貧賤 ( という形で ) の応報が自分を悩ますのか。①手にも。 はいったもの。さすかったもの。一一四「糧かてともしければ、むぐら・の・やど【葎の宿】 ( 名 ) むぐらの生い茂った家。給へりし入道の宮」すっとあとに入内なさった入 おろそかなるーをあまくす」訳食糧が乏しいので、粗末な荒れはてた家や貧しい家をいう。横笛「露しげきー道の宮藤壷 ) 。 【学習〕「むげなり」 さすかりも食べ物 ) をおいしく感じさせる。 に古の秋にかはらぬ虫の声かな」訳露がしとどにおり それ以下がない、はなはだしくひどいさまをいうのが原 ( 形ク ) ①恐ろしい。気味がわるたむぐらの生い茂った家に、 ( 柏木 2 れ在世の ) 昔の秋に変 くつけ・し 義と見られるが、中古の用例では、たんに程度のはなは 。些タ顔「昔物語などにこわらない虫の声 (= 笛の音 ) であるなあ。 そ、かかることは聞けと、いとめづらかにー・けれ@ど」むぐら・ふム【葎生】 ( 名 ) むぐらが一面に生えているだしいさまをいうのに用いることが多い。語幹の「むげ」 に「の」の付いた形は、名詞の「むげ」に「の」の付いた形 昔の物語などでは、このような ( 物の怪けが出現するという ) 所。四・七五九「いかならむ時にか妹いもをーのきたなき ことは聞くものだと、 ( 光源氏には ) たいへんめったにないこと屋戸やどに入りいませなむ」いつどんな時になったら、愛とも見られ、また、連用形の「むげに」の形は、もつばら で気味がわるいが。②無骨である。無風流だ。些玉する人をむぐらが一面に生えている所のきたない家にお迎「①むやみに。ひどく。②全然。まるで」の意で用いられ るので、副詞に転じたものと見られている。 鬘「勢ひいかめしき兵髴ありけり。ーミ⑩心の中に、いさえすることができるだろうか。 さか好きたる心まじりて」威勢の盛んな武士がいた。むくろ【身・驅】 ( 名 ) ①からだ。また、胴体。一四・鷁 荒々しく無骨な気性の中に、少し風流を解する心も混「頭は猿、ーは狸、尾は蛇↑へび ) 、手足は虎の姿 * むけ・に【無下に】 ( 副 ) ①むやみに。ひどく。はなはだ。 じっていて。 なり」②死骸乳い。なきがら。首を切られた胴体だけの死「〕〈「わが家におはしましたりとて、ー心にまかするなめ ふ・ ) 恩返体。靄一一・重衡被斬「首うをこそはねられたりとも、り」 ( 生昌は中宮定子が ) 自分の家においでになっ むく・ふ【報ふ・酬ふ】 0 ( 他ハ四 ) 窈 2. ・〈① しや仕返しをする。盟セ・福原落「あやしの鳥けだものーをは取り寄せて孝養芻せん」訳首は切り捨てられたたというので、ひど又気が大きくなって ) 心のままにふるまっ ているのであるようだ。② ( 下に打消の語を伴って ) 全然。 も、恩を報じ、徳をー : ( ⑩心は候ふなり」卑しい鳥としても、 ( せめて ) なきがらを取り寄せて供養しよう。 や獣も、恩を返し、徳に報いる心はあるものです。②報酬むくろ・こめ【驅籠め】 ( 名 ) 〔「こめ」は接尾語〕からだぐまるで。いっこうに。些若紫「ーいと頼もしげなくなら を支払う。一出一一「車の力をー : 交体 ) ほかには、さらに他るみ。からだごと。「凸一 0 〈「ーに寄り給へ」からだ【」せ給ひにたれば」まる「どく頼りなくなってしまわれた ので。無下む当学習〕 の用途いらす」車の力を借りた報酬を支払う以外にとに ( こちらへ ) お寄り 0 い。 は、ほかに費用はかからない。 む・くわん引【無官】 ( 名 ) 官職のないこと。官職についむ・けん【無間】 ( 名 ) 「無間地獄」の略。八大地獄の 一。五逆罪を犯した者が落ち、もっとも重い責め苦を受 ( 自ハ四 ) 〈艸・〉報いが現れる。製一灌頂・女院ていないこと。製一四・宮御最期「ー無位なる者の」 死去「父祖の罪業は子孫にー・ム@といふこと疑ひなむくわん・の・たいふは ' 【無官の大夫】 ( 名 ) 位は四けるという。阿鼻あび地獄。 むーこ【無期】 ( 名・形動ナリ ) ①期限のないこと。終わり しとぞ見えたりける」訳父祖の罪業は子孫に応報する位・五位であるが官職のない者。 がいっとわからないこと。一 = 一三「『いかにぞ。ことなりぬ ということが疑いないと思われた。 【無下】 ( 名・形動ナリ ) ①まったくひどいこと。 ・け 鎌倉時代以降に、「むくゆ」から生じた語。 最悪。最低。一一〈〈「ーのことをも仰せらるや」といへば、『まだ、などいらへ」函「どんな ( ようす ) か。 そのことが始まったか ( Ⅱ行列が通ったか ) 」と言うと、「まだ、 むくむく・し ( 形シク ) 恐ろしい。気味がわるい。級一るものかな」訳情けないことをもおっしやるものだなあ。 ②ひどく身分が低いこと。無教養なこと。〔増鏡〕新島いつのことだか」などと答え。②久しいこと。いつまでも続 初瀬「聞くに、いとー・し・く⑩をかし」蓿の人の話を ) くこと。一 = 「ーののちにミえい』といらへたりければ」 聞くと、ひどく恐ろし又その一方で ) おかしくもある。 守「ーの民と争ひて、君の滅び給へるためし、この国には、 ゅ韓いよ〉受けた恩いとあまたも聞こえざめり」訳ひどく身分の低い人民とすいぶんたったあとで、「はい」と ( 稚児ちごが ) 答えたので。 むく・ゅ【報ゅ・酬ゅ】 ( 他ャ上一 I) 〈い や仇あだをかえす。一 = 九・三六「心あらむ人は、人の恩をか争って、帝擎が滅びなさった例は、この国では、それほど多むこーがね【婿がね】 ( 名 ) 〔「がね」は接尾語〕やがて婿に うむりなば、必ずー・ゅ@べきなり」ものの道理をわきくは知られていないようだ。第「ざめり」は、「ざるめり」のなる人。婿の候補者。〔雨月〕吉備津の釜「ことにーの 0 〔八一三〕

8. 旺文社 全訳古語辞典

主要助動詞活用表 種類基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形活用型接続 尊可自受 敬能発身 使役 尊敬 さすさせさせさすさするさすれさせよ下二段型 しむしめしめしむしむるしむれ すせ る p. 919 p. 459 p. 382 れ せすするすれせよ下二段型 れ れよ るるるるれ自発下二段型 可能 しめよ 〔しめ〕 下二段型未然形 右のほかの未 然形 冗五八〕 ◎〔〕内は、上代のもの、あるいは用例の少ない もの。 ( ) 内は、そのように表記されることも あるもの。また、〈〉内の基本形は、上代語。 ◎基本形の左下の数字は、本文ページを示す。 意味・用法 ①使役の意を表す。・ : せる。 ②尊敬の動詞「賜ふ」「宣ふ」などに付いて、最高の尊敬の意 を表す。 四段・ナ変・ 3 謙譲の動詞「参る」「奉る」「申す」などに付いて、謙譲の意を ラ変の未然形強める。 0 尊敬の補助動詞「給ふ」「おはします」「まします」、尊敬の助動 詞「らる」などとともに用いて、尊敬の意をさらに強める。最高 敬語。お・ : になられる。・ : なされる。 ①使役の意を表す。・ : させる。 ②尊敬の補助動詞「給ふ」「おはします」「まします」、尊敬の助動 詞「らる」などとともに用いて、尊敬の意をさらに強める。最高敬 語。お・ : になられる。・ : なされる ・謙譲の意の「聞こゅ」とともに用いて、最高の謙譲の意を表す。 申し上げる。お・ : 申しあげる。 0 軍記物などて、受身の「らる」に代えて用いる。「武者詞」と いわれるものて、「・ : られる」というところを「・ : させる」と言い 表す。 ① 使役の意を表す。・ : せる。・ : させる。 ②「給ふ」とともに用いて、程度の高い尊敬の意を表す。お・ : に なられる。・ : なされる。 3 おもに会話文て、「聞こゅ」「申す」「奉る」「啓す」などの謙譲語 に付いて、より高い謙譲の意を表す。 ①受身の意を表す。・ : れる。 四段・ナ変・②自発の意を表す。自然に・ : れる。・ : ないではいられない。 ラ変の未然形・可能の意を表す。・ : ことができる。 0 尊敬の意を表す。お : ・になる。・ : なさる。

9. 旺文社 全訳古語辞典

衣との服。白布に春の草・小鳥などを青摺りにし、狩を・や ( 多く「いはんや・ : においてをや」の形で ) ある一例をにたはぶれ」訳 ( わが子は ) 立っていても座っていても、 ( 親 衣翳のように作り、右肩に一一本の赤ひもをつけ、袖そでのあげ、他を推定する意を表す。 : ・はなおさらである。一一と ) いっしょに遊び戯れて。「立てれども」の「れ」は、 中央に紙縒こよりを垂れる。「をみ」とも。 七・主上都落「をさまれる世だにもかくのことし。いはんや完了 ( 存続 ) の助動詞「り」の已然形。 【女】 ( 名 ) 若い女。美女。〔天武紀〕「『諸乱れたる世においてー」訳治まっている世さえもこのよう ( 補動ラ変 ) ( 動詞の連用形の下に付いて ) 動作・状 をみな氏、ーを貢れ』とのたまふ」「各である。まして乱れた世ではなおさらである。 態の存続を表す。・ : ている。幽かぐや姫の昇天「え止 氏族は、若い女を朝廷に差し出せ」と蒂が ) お命じにな鬩間投助詞「を」十係助詞「や」 とどむまじければ、たださし仰ぎて泣きー・り⑩」訳 ( 竹取 る。 をーや蹇ド【小山田】 ( 名 ) 〔「を」は接頭語〕山あいのの翁はかぐや姫を ) 引き止めることはできそうもないので、 後には「をうな」「をんな」となり、女性一般を指すよ田。山田。薪固秋下「ーの庵いほ近く鳴く鹿のねにおどただ天を仰いで泣いている。第「え止むまじければ」の うになった。 ろかされておどろかすかな」訳山あいの田の庵 : お近くで「え」は副詞で、下に打消の語 ( ここでは「まじけれ」 ) を伴っ をみな・ヘしナ【女郎花・敗醤】 ( 名 ) ①植物の名。鳴く鹿の声に目をさまさせられて、 ( 鳴子などを鳴らして鹿て不可能の意を表す。 秋の七草の一つ。山野に自生し、また観賞用として栽を ) 驚かすことよ。 用未然連用終止連体已然命令 培する。夏・秋に黄色い小形の花を傘状につける。歌でを・やみド【小止み】 ( 名 ) ( 雨や雪、病状などが ) 少しの間 ( 0 ) ( コト ) ( ドモ ) ( 0 ) は多く女性にたとえる。。一喫一秋上「ひとりのみながむやむこと。固春下「春雨のそばふる空のーせず落つる活らり りるれれ るよりはーわが住むやどに植ゑてみましを」訳一人だけで涙に花ぞ散りける」訳春雨のしとしとと降る空が少しの ながめているよりは、あの女郎花を私の家の庭に植えて見間も降りやむことなく、 ( 花を惜しんで ) たえす流れ落ちる蔘ラ行変格活用の動詞には「あり」「居り」「侍り」「い たいものだが。 ( 一人で物思いに沈んでばかりいないで、あの ( 私の ) 涙とともに桜の花も散ることだ。 ます ( そ ) がり」がある。 女性に逢あってみたいものだが ) 。②襲黯の色目の名。表をーや・むド【小止む】 ( 自マ四 ) 〈 い〉「を」は接頭をりーえほし罸【折り烏帽子】 ( 名 ) 頭頂部を折りたた は縦糸が青、横糸が黄、裏は青色。秋に用いる。 語〕時々とぎれる。雨や雪が少しの間やむ。〔栄花〕たまのんだ烏帽子。右折りと左折りがある。風折譬り烏帽 平安朝以降、「女郎花な」は「をみな」との掛詞でかざり「女房など、あな、かたはらいたと思ふまで泣けは、講子・侍烏帽子など。「立て烏帽子」に対していう。↓ 用いることが多い。 師はあきれつつー・み⑩がちなり」訳女房などが、まあみ烏帽子 くる・くれ・けよ をむな冖ム【女】 ( 名 ) 「をんな」に同じ。 っともないと思うほど泣くので、 ( 経文の講義をする ) 僧侶をり・か・く罸【折り懸く】 0 ( 自力下一 l) 宀け・けく な・〉〔「めく」は接尾は途方にくれては ( 説教の声も ) 時々とだえがちである。 ( 波などが ) 折り返しては寄せる。薪固春下「岩ねこす清 * をーめ・くド【喚く】 ( 自力四 ) 語〕わめく。大声で叫ぶ。〔〔れ〔〕一四四「あやふがりて、猿のや * をりオリ【折】 ( 名 ) ①何かが起こっている、また行われてい滝川の速ければ波ー・くス ) 岸の山吹」訳岩をこえ うにかいっきてー・く⑩もをかし」あぶながって、猿のよるその時。ちょうどその時。場合。機会。取一かぐや姫る清滝川の水の流れが速いので、波が折り返しては寄せ うに ( 木に ) しがみついてわめくのもおもしろい の昇天「今はとて天あまの羽衣着るーぞ君をあはれと思ひる岸の山吹の花よ。 くる・くれ・けよ ( 他カ下一 l) つけく 〉①折って掛ける。折り曲げ を・や ( 文中に用いて ) 疑問の意を表す。 : ・を・ : ( だろう ) 出いでける」訳↓いまはとて・ : 一和歌一。②季節。時候。 か。飯氏一総角「隔てなきとはかかるー言ふらむ」訳隔て〔〔れ〕〕一一「ころは、正月・三月 : : 十一、一一月、すべてーにて物に掛ける。〔梁塵秘抄〕「賤しづの男をが篠しのー・け⑩ がない ( 話をしよう ) とは、こういうことを言っているのだろう つけつつ、一年ながらをかし」訳ころは、正月、三月 : ・ て干ほす衣」訳身分の低い男が細く小さい竹を折り、そ カ 十一、一一月、すべて季節に応じて、一年じゅう趣がある。 れに掛けて干す衣。②折ってそのままにする。〔義経記〕 一鬩格助詞「を」 + 疑問の係助詞「や」 【居り】 0 ( 自ラ変 ) ①存在する。いる。ある。「鎧に矢の立っこと数を知らす。ー・け⑩ー・け⑩した を・り一方囚 = 「もし、貧しくて、富める家の隣にー・るりけれは、蓑《。をさかさまに着たる様にぞありける」訳鎧 を・や ( 文末に用いて ) 強い感動・詠嘆の意を表す。・ : だ * なあ。一一一 0 ・熊野参詣「今日けふはかくやつれはて給へ⑩ものは、朝夕すほき姿を恥ちて、へつらひつつ出いで入に矢が立っことは無数である。 ( その矢を ) 折ってそのままに る御ありさま、かねては思ひょらざっしー」訳今日はこのる」訳かりに、貧乏で、金持ちである家の隣に住んでいるしておいたので、ちょうど蓑をさかさまに着たような姿であっ ようにすっかりみすほらしくなっていらっしやるこようす、以者は、朝にタに ( 自分の ) みすほらしい姿を恥すかしく思った。 前には想像もできなかったことであるよ。 法「ざっし」はて、 ( 隣家の人に ) 追従しいしい ( 自分の家に ) 出入りする ( よ * をり・から罸【折柄】 ( 名・副 ) ちょうどその時。ちょうど こレ」、 うになる ) 。 よい折。折が折なので。折しも。四一「かほどの理わり 「ざりし」の促音便。 ②座っている。方葉一五・丸 0 四「立てれどもー・れ@どもとも誰たれかは思ひょらざらんなれども、ーの、思ひかけぬ心地 囹間投助詞「を」 + 間投助詞「や」 をみなーをりか 〔九五三〕 オミ

10. 旺文社 全訳古語辞典

い鳥で、鴫の大きさである鳥都鳥 ) が。「白き鳥①卑しい。みすほらしい。〈〈「なりー・し / ⑩、物のよりと濡ぬれるほどに泣いた姿が思い出される。 の」の「の」は、いわゆる同格の格助詞で、「・ : で」の意。 色よろしくてまじらはむは、いふかひなきことなり」函身なあしかきの【葦垣の】《枕詞》葦垣は、すぐ古くなり乱れ りがみすほらし、衣服の色も平凡な状態で ( 殿上に ) まじやすいことから「古ふる」「思ひ乱る」に、間隔をつめて作る ② 歩くこと。歩み。玉鬘「すこしー馴なれたる人は、 とく、御堂に参りつきにけり」囮少し歩きなれた人は、とわるとすれば、それはふがいないことだ。第「まじらはむ」ことから「間近」に、垣は内と外とを区切ることから「外 ほか」に、また、葦の一名「よし」と同音をもっ地名「吉野」 の「む」は、仮定・婉曲くの助動詞。 つくに、御堂に着いているのだった。 3 人間や動物の器官としてのあしの位置や作用から、比④不快である。憎い。不都合である。一 = 三「このもとにかかる。一六・九 = 〈「ー古ふりにし郷さとと」。一一三・ 喩ひゆ的に用いるもの。⑦物の下の支え。行幸「かすの女、ー・、.x@と思へるけしきもなくて、出いだしやりけれ三毛 = 「ー思ひ乱れて」。一七・三九七五「ーほかになげかふ かなるー弱き車など、輪を押しひしがれ、あはれげなるもあば」函この前からの妻は、不快であゑ」思っているようす吾あれし悲しも」。〔続後撰〕春中「ー吉野の山の」 もなくて、 ( 男を新しい女のもとへ ) 送り出してやったので。あしーがた【足形】 ( 名 ) 「あしかた」とも。足跡。一 り」みすほらしい下部 ( " 車輪 ) がしつかりできていない 車などは、輪を押しつぶされ、無残なかっこうのもある。④⑤下手だ。ますい。一一 0 三「真名まなも仮名んもー・し一 0 三「かかる雨にのほり侍らば、ーっきて、いとふびんにきた 雨脚。〕一九〈「雨のー横さまにさわがしう吹きたるうウ音便 ) 書くを、人の笑ひなどすれば、隠かくしてなむあなくなり侍りなむ」このような雨 ( の日 ) に ( 褥乢とに ) のほ に」函雨脚が横になるほどに ( 風が ) 音を立てて吹きつける」 ( 信経は ) 漢字も仮名も下手に書くのを、人がりましたならば、足跡がついて、とても都合が悪く、きたなく なってしまいましよう。 ているときに。◎船の速度。船の水につかっている部笑ったりするので、隠している。 ① ( 天候・性格などが ) 険悪である。荒々しい。〔一富あし・がなへ引 , 【足鼎】 ( 名 ) 底に三本の足のある釜 分。喫水。〔義経記〕「〔船の〕ーは浅し」 あし【葦・蘆】 ( 名 ) 植物の名。ィネ科の多年草。水辺に士川「外との海は、いといみじくー・レ。⑩波高くて」国かま。食物を煮るのに用いる。一五三「傍らなるーをと りて、頭にかづきたれば」そばにある足のついた鼎を ( 手 生え、秋、細かい紫色の小花からなる大きな穂を出す。よ外海は、たいそうひどく荒々し / が高くて。 に ) 取って、頭にかぶったところ。 ( 学習〕「あし」と「わろし」 し。。 ( 葦茂る夏葦の花 ) 。春上「タ月夜よ 現代語の「悪い」にあたるのは「あし」であり、語形のあしがもの【葦鴨の】《枕詞 ) 「うち群れ」にかかる。一田佐一 潮しほ満ち来くらし難波江難のーの若葉に越ゆる白波」 「—* っち群れてこそわれは来にけれ」 似ている「わろし」は「よくない」の意にあたる。「あし」は 訳↓ゅふづくよ : ・和毯 比較を絶して本質的に悪いさまに用いられ、「わろし」足柄 ( ) 一地名一今の神奈川・静岡県境の地名。 屋根を葺ふいたり垣・簾を作ったりするのに用い、 は他と比較してよくない、普通より劣るさまに用いられ足柄山 ( 巴一地名今の神奈川県足柄上郡に また食用や薬用にれた。昔から難波江の景物とし て和歌によく詠まれた。「よし」は、「葦」が「悪あし」に通する。この関係は「よし」に対する「よろし」の関係と同じあり、東南は箱根山に連なる山。東西交通の要路にあ たる。 である。 るのを嫌って「良よし」に通わせた言い方。 あ」なし〔味気無し〕↓あちきなし あし【銭】 ( 名 ) 金銭のこと。おあし。一五一「多くのー あし・け【葦毛】 ( 名 ) 馬の毛色の一種。白毛に黒色・ を給ひて、数日け。に営み出」だして」多額のお金をおあ・じ【阿字】 ( 名 ) ( 仏教語 ) 梵語ま 字濃褐色の毛のまじったもの。黒葦毛・白葦毛・赤葦毛・ ↑古代インド語 ) の字音表の第一の 与えになって、 ( 水車を ) 数日かかって作りあげて。 婀連銭豊葦毛などがある。窟一一九・一一「黒造りの大刀たち 金銭は世に通用して歩き回ることから、「足」の転文字。宇宙一切は本来、不生不 滅、すなわち空くうであるという奥深い 帯はきて、ーの馬に乗りて来たる人あらば」黒く塗っ 義として派生。 【悪し】 ( 形シク ) ①悪い。帚木「公・道理を表す文字とされる。 = 「額蹼にーを書きて、た大刀をつけて、葦工あ馬に乗って来る人がいれば。 私の人のたたすまひ、良き、ー・し去のことの、縁を結ばしむるわざをなんせられける」函 ( 死者の ) 額に阿あし・こ【彼処】 ( 代 ) 遠称の指示代名詞。場所をさす。 目にも耳にもとまるありさまを」公私につけての人のの字を書いて、 ( 仏と ) 縁を結ばせ ( 成仏させ ) ることをなさつあそこ。〔梁塵秘抄〕「ーに立てるは何人ぞ」あそこ に立っているのはだれだ。 行動や、いいこと、悪いことで、見たり聞いたりする状況た。 * あしー至【悪し様】 ( 形動ナリ ) 悪いよう。悪いふう。 を。 あじ〔鶺〕↓あち ②みにくい。みつともない。然一 = 三 = 「ある人の子の、見ざあし・かき【葦垣】 ( 名 ) 〔後世は「あしがき」〕葦で編んで一総角「ー・に⑩は聞こえじ」悪いようにはとりは まなどー・しから①ぬが」ある人の子供で、容姿なども作った垣。 = 0 ・四三五セ「ーの隈処凵まに立ちて我妹子か 0 つまい。↑善様 が袖そでもしほほに泣きしぞ思もはゆ」函葦で編んだ垣あし・ずり【足摺り】 ( 名 ) ( 激しい怒りや悲しみなどで ) じ 見苦しくない者が。第「ある人の子の」の「の」は、いわ 根の陰になるすみの所に立って、かわいいお前が袖もぐっしだんだを踏むこと。盟一三・足摺「幼き者の乳母や母 ゆる同格の格助詞で、「 : ・で」の意。 あしーあしす